特許異議申立
2023-701297
積層型電池の製造方法、積層型電池の製造装置、及び積層型電池
- 審判番号
- 2023-701297
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-180704
- 登録番号
- 7299816
- 請求日
- 2023年12月07日
- 審決日
- 2025年02月17日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】積水化学工業株式会社
- 【権利者代理人】宮嶋 学
- 【権利者代理人】浅野 真理
- 【権利者代理人】堀田 幸裕
- 【権利者代理人】高田 泰彦
- 【権利者代理人】柏 延之
- 【権利者代理人】岡村 和郎
- 【権利者代理人】石川 大策
- 【異議申立人】川中 理恵子
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 渡辺 努
- 審判官 篠原 功一
- 分類
- P1651.851-YAA(H01M) / P1651.857-YAA(H01M) / P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7299816号発明「積層型電池の製造方法、積層型電池の製造装置、及び積層型電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7299816号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~17〕、18について訂正することを認める。
特許第7299816号の請求項1~18に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7299816号の請求項1~18に係る特許についての出願は、令和元年9月30日の出願であって、令和5年6月20日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日 令和5年6月28日)がされた。
これに対して、令和5年12月7日に特許異議申立人川中理恵子より請求項1~18に対して特許異議の申立てがなされ、証拠として甲第1号証及び甲第2号証が提出された。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月28日付け 取消理由通知
同年 5月31日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
同年 7月25日 意見書提出(特許異議申立人)
(証拠として甲第3号証及び甲第4号証を提出)
同年 8月28日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年10月16日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
なお、令和6年10月16日になされた訂正請求によって、令和6年5月31日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる。
また、令和6年10月16日の訂正請求に対する特許異議申立人からの意見はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年10月16日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、「特許第7299816号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~18について訂正することを求める。」というものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである。
なお、下線は訂正箇所である。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「 第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容する、積層型電池の製造方法。」
と記載されているのを、
「 第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記電極体は、複数の前記電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有し、
前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、前記第1接続領域において接合されており、
前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、前記第2接続領域において接合されており、
前記接合工程において、前記タブの前記第1端辺を含む部分を、前記第1接続領域の、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体が互いに接合されている部分において前記第1電極集電体に接続するか、または前記第2接続領域の、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体が互いに接合されている部分において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の前記電極板の少なくとも一つに接合する、積層型電池の製造方法。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3~9も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「 前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。」
と記載されているのを、
「 第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池の製造方法。」
に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3~9も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「 前記突起部は、少なくとも前記第1端辺及び前記第2端辺に位置する、請求項1または2に記載の積層型電池の製造方法。」
と記載されているのを、
「 前記突起部は、少なくとも前記第1端辺及び前記第2端辺に位置し、
ロール状に巻かれた金属シートを切断することによって、前記金属シートが切断された箇所を前記第1端辺及び前記第2端辺とする前記タブを作製する工程をさらに備える、請求項1または2に記載の積層型電池の製造方法。」
に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4~9も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に
「 積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含む、積層型電池。」
と記載されているのを、
「 積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記外装体は、第1部材と第2部材とを有し、
前記外装体は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有し、
前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の前記電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、
前記第2部材は、平坦な部材であり、
前記タブの前記第1端辺が、前記第1部材側から前記電極体と重なっている、積層型電池。」
に訂正する。
請求項10の記載を引用する請求項11~17も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13に
「 前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の積層型電池。」
と記載されているのを、
「 積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池。」
に訂正する。
請求項13の記載を引用する請求項14~17も同様に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項18に
「 第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合装置と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容装置と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合装置は、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容装置は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容する、積層型電池の製造装置。」
と記載されているのを、
「 第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合装置と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容装置と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合装置は、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容装置は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池の製造装置。」
に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項1~9について
ア 一群の請求項
訂正前の請求項2~9は、訂正前の請求項1を直接もしくは間接に引用しており、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。
イ 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「電極体」について、「複数の前記電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有し、前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、前記第1接続領域において接合されており、前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、前記第2接続領域において接合されて」いることの限定を付加し、「接合工程」について、「前記タブの前記第1端辺を含む部分を、前記第1接続領域の、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体が互いに接合されている部分において前記第1電極集電体に接続するか、または前記第2接続領域の、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体が互いに接合されている部分において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の前記電極板の少なくとも一つに接合する」ことの限定を付加したものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書の【0031】、【0033】、【0036】、【0037】、【0040】、【0046】、【0075】、及び図面の【図7】には、以下の記載がある。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。
【0031】
図4は、電極体2を示す断面図である。図2~図4に示すように、電極体2は、板状部材60として、複数の正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を有している。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dL(図4参照)に沿って交互に配列されている。電極体2及び積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
【0033】
正極板10X(第1電極板10)は、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10X(第1電極板10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
【0036】
図3及び図4に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1接続領域a1及び第1接続領域a1に隣接する第1有効領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1有効領域b1のみに配置されている。第1接続領域a1及び第1有効領域b1は、正極板10Xの長手方向に配列されている。第1接続領域a1は、第1有効領域b1よりも正極板10Xの長手方向における外側(図3における右側)に位置している。複数の正極集電体11Xは、第1接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。一方、第1有効領域b1は、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。このような第1有効領域b1の配置により、正極活物質層12Xからのリチウムの析出を防止することができる。
【0037】
次に、負極板20Y(第2電極板20)について説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Y(第2電極板20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
【0040】
図3及び図4に示すように、負極集電体21Y(第2電極集電体21)は、第2接続領域a2及び第2接続領域a2に隣接する第2有効領域b2を有している。負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)は、負極集電体21Yの第2有効領域b2に配置されている。第2接続領域a2及び第2有効領域b2は、負極板20Yの長手方向に配列されている。第2接続領域a2は、第2有効領域b2よりも負極板20Yの長手方向における外側(図3における左側)に位置している。複数の負極集電体21Yは、第2接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。一方、第2有効領域b2は、正極板10Xの正極活物質層12Xに対面する領域に広がっている。
【0046】
図7は、図5において符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大した断面図である。タブ16,26は、第1面側において電極体2と対面し、かつ第1端辺が電極体2と重なるように、電極板に接続されている。図6及び図7に示す例において、第1タブ16は、第1面161側において電極体2と対面し、かつ第1端辺16aが電極体2と重なるように、正極板10Xの正極集電体11Xに接続されている。また、図示はしないが、第2タブ26は、第1面側において電極体2と対面し、かつ第1端辺が電極体2と重なるように、負極板20Yの負極集電体21Yに接続されている。図5、図6及び図7に示す例において、第1タブ16は、第1接続領域a1において最も第1タブ16側に位置する正極集電体11Xの第1面11a(上面)に接続されている。図示はしないが、第2タブ26も、第2接続領域a2において最も第2タブ26側に位置する負極集電体21Yの第1面21a(上面)に接続されている。
【0075】
(接合工程)
接合工程においては、シーラント18,28が設けられているタブ16,26を、積層された複数の電極板の少なくとも一つに、タブ16,26が電極板に電気的に接続されるように接合する。図16は、接合工程において、第1タブ16を正極板10Xに接合している様子を示す図である。接合工程においては、図16に示すように、タブ16,26が第1面側において電極体2と対面し、かつ第1端辺が電極体2と重なるように、タブ16,26を電極板に接合する。
【図7】
[図:0001422403000001.jpg]
【図7】より、第1タブ16の第1端辺16aを含む部分を、複数の正極板10Xの正極集電体11Xが互いに接合されている部分において正極集電体11Xに接続していることが見て取れる。
また、【0046】より、第2タブ26についても同様であることから、第2タブ26の第1端辺を含む部分を、複数の負極板20Yの負極集電体21Yが互いに接合されている部分において負極集電体21Yに接続しているものといえる。
以上の記載より、願書に添付した明細書には、
電極体が、「複数の電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有し、
前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、第1接続領域において接合されており、
前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、第2接続領域において接合されて」
いること、
接合工程において、「タブの第1端辺を含む部分を、第1接続領域の、複数の第1電極板の第1電極集電体が互いに接合されている部分において前記第1電極集電体に接続するか、または第2接続領域の、複数の第2電極板の第2電極集電体が互いに接合されている部分において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の電極板の少なくとも一つに接合する」
ことが記載されているといえる。
したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2について、請求項1を引用する形式で記載されていたものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立請求項の形式に改めるものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許請求の範囲の拡張・変更をするものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「積層型電池の製造方法」について、「ロール状に巻かれた金属シートを切断することによって、前記金属シートが切断された箇所を前記第1端辺及び前記第2端辺とする前記タブを作製する工程」をさらに備えることの限定を付加したものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書の【0067】には、以下の記載がある。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。
【0067】
図9に示す第1タブ16は、例えば以下の方法によって作製される。まず、図10に示すように、第1タブ16の材料となる、ロール状に巻かれた金属シート91の端部を、支持板92上に延び出させる。このとき、金属シート91が延び出す方向を調整するために、図10に示すガイドローラー94等が用いられてもよい。次に、支持板92上に延び出させた金属シート91を、切断刃93を用いて切断する。これによって、金属シート91が切断された箇所を第1端辺16a及び第2端辺16bとする第1タブ16が作製される。また、金属シート91を、第1タブ16の第2面162となる側から切断刃93をあてて切断することによって、第1タブ16の第1端辺16a及び第2端辺16bに、第1面161から突出するバリとして、突起部50が形成される。この場合において、第1タブ16及び第1タブ16の材料である金属シート91が特に大きな厚さ、例えば100μm以上の厚さを有するときには、第1タブ16の第1端辺16a及び第2端辺16bには、特に大きなバリが形成されやすい。また、図10に示す例において、金属シート91は、第1タブ16の第1面161となる側が内側、第2面162となる側が外側となるように、ロール状に巻かれている。このため、ロール状に巻かれている金属シート91の形状に対応して、第1タブ16は、第1端辺16aと第2端辺16bとの間において第1面161側に凹となるように湾曲する。この場合において、第1タブ16及び第1タブ16の材料である金属シート91が特に大きな厚さ、例えば100μm以上の厚さを有するときには、第1タブ16には、金属シート91の形状に対応した湾曲が顕著に残りやすい。
以上の記載より、願書に添付した明細書には、
「ロール状に巻かれた金属シートを切断することによって、前記金属シートが切断された箇所を第1端辺及び第2端辺とするタブを作製する工程」
が記載されているといえる。
したがって、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項3に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(2)一群の請求項10~17について
ア 一群の請求項
訂正前の請求項11~17は、訂正前の請求項10を直接もしくは間接に引用しており、訂正事項4によって訂正される請求項10に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項10~17に対応する訂正後の請求項10~17は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。
イ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項10の「外装体」について、「第1部材と第2部材とを有し、」「前記第1部材と前記第2部材との間に前記電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有し、前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の前記電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、前記第2部材は、平坦な部材」であることの限定を付加し、「タブ」について、「前記第1端辺が、前記第1部材側から前記電極体と重なっている」ことの限定を付加したものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書の【0031】、【0046】、【0057】~【0059】及び図面
の【図5】には、以下の記載がある。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。
【0031】
図4は、電極体2を示す断面図である。図2~図4に示すように、電極体2は、板状部材60として、複数の正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を有している。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dL(図4参照)に沿って交互に配列されている。電極体2及び積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
【0046】
図7は、図5において符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大した断面図である。タブ16,26は、第1面側において電極体2と対面し、かつ第1端辺が電極体2と重なるように、電極板に接続されている。図6及び図7に示す例において、第1タブ16は、第1面161側において電極体2と対面し、かつ第1端辺16aが電極体2と重なるように、正極板10Xの正極集電体11Xに接続されている。また、図示はしないが、第2タブ26は、第1面側において電極体2と対面し、かつ第1端辺が電極体2と重なるように、負極板20Yの負極集電体21Yに接続されている。図5、図6及び図7に示す例において、第1タブ16は、第1接続領域a1において最も第1タブ16側に位置する正極集電体11Xの第1面11a(上面)に接続されている。図示はしないが、第2タブ26も、第2接続領域a2において最も第2タブ26側に位置する負極集電体21Yの第1面21a(上面)に接続されている。
【0057】
(外装体)
外装体3は、電極体2を外部から封止するための包装材である。外装体3は、図1に示すように、電極体2の上側に位置するシート状の第1部材4と、電極体2の下側に位置するシート状の第2部材5と、を有する。第1部材4及び第2部材5は、平面視において電極体2を囲むように外縁に沿って互いに接合されている。
【0058】
以下の説明において、外装体3のうち、第1部材4と第2部材5との間に電極体2を収容する収容空間6aを画成している領域のことを、収容領域6とも称する。また、外装体3のうち、収容領域6の外周に位置し、第1部材4と第2部材5とが接合されている領域のことを、封止領域7とも称する。図3においては、封止領域7がハッチングで表されている。
【0059】
外装体3の第1部材4及び第2部材5について説明する。図1に示す例において、第1部材4は、収容領域6に、封止領域7に対して隆起する側面部41と、側面部41に連結されるとともに積層方向dLにおいて電極体2に重なる中央部42と、を有する。また、図1に示す例において、第2部材5は、第1方向d1及び第2方向d2に広がる平坦な部材である。図5に示すように、第1部材4は、基材4aと、基材4aよりも収容空間6a側に位置する熱可塑性樹脂層4bと、を含む。同様に、第2部材5は、基材5aと、基材5aよりも収容空間6a側に位置する熱可塑性樹脂層5bと、を含む。
【図5】
[図:0001422403000002.jpg]
【図5】より、タブ(16)の第1端辺(16a)が、第1部材(4)側から電極体(2)と重なっていることが見て取れる。
以上の記載より、願書に添付した明細書には、
外装体が、「第1部材と第2部材とを有し、
前記外装体は、前記第1部材と前記第2部材との間に電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有し、
前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、
前記第2部材は、平坦な部材」
であること、
タブについて、「第1端辺が、第1部材側から電極体と重なっている」
ことが記載されているといえる。
したがって、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項4に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項13について、請求項10乃至12のいずれか一項を引用する形式で記載されていたものを、請求項11及び12の引用を削除し、請求項10を引用する発明について、請求項間の引用関係を解消し、請求項10の記載を引用しないものとするものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、請求項11及び12の引用を削除することによる特許請求の範囲の減縮、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、請求項11及び12の引用を削除することによる特許請求の範囲の減縮、及び、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許請求の範囲の拡張・変更をするものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)請求項18について
ア 訂正事項6について
(ア)訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項18の「タブ」について、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」ことの限定を付加したものである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書の【0049】には、以下の記載がある。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。
【0049】
タブ16,26は、第1端辺と第2端辺との間において第1面側に凹となるように、湾曲している。図5に示す例において、第1タブ16は、第1端辺16aと第2端辺16bとの間において、第1端辺16aが延びる方向に延びる直線を軸として、第1面161側に凹となるように湾曲している。
以上の記載より、願書に添付した明細書には、
タブが、「第1端辺と第2端辺との間において第1面側に凹となるように、湾曲している」
ことが記載されているといえる。
したがって、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項6に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、申立人による特許異議申立ては、訂正前の請求項1~18の全てに対してなされているので、同条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~17〕、18について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2より、本件訂正請求による訂正は認められるから、本件特許の請求項1~18に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明18」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記電極体は、複数の前記電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有し、
前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、前記第1接続領域において接合されており、
前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、前記第2接続領域において接合されており、
前記接合工程において、前記タブの前記第1端辺を含む部分を、前記第1接続領域の、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体が互いに接合されている部分において前記第1電極集電体に接続するか、または前記第2接続領域の、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体が互いに接合されている部分において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の前記電極板の少なくとも一つに接合する、積層型電池の製造方法。
【請求項2】
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池の製造方法。
【請求項3】
前記突起部は、少なくとも前記第1端辺及び前記第2端辺に位置し、
ロール状に巻かれた金属シートを切断することによって、前記金属シートが切断された箇所を前記第1端辺及び前記第2端辺とする前記タブを作製する工程をさらに備える、請求項1または2に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項4】
前記接合工程において、前記タブを前記電極板に溶接することによって、前記タブを前記電極板に接合する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項5】
前記接合工程の前に、前記タブが支持面に置かれた前記電極体上に部分的に位置し、かつ前記第1面側において前記電極体と対面するように、前記タブを配置する、配置工程をさらに備え、
前記接合工程において、前記タブの前記第2面に溶接具を接触させることによって、前記タブを前記電極板に溶接する、請求項4に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項6】
前記配置工程において、前記第1端辺に位置する前記突起部が前記電極体に接触するように前記タブを配置する、請求項5に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項7】
前記配置工程において、前記タブの前記第2面側に吸着した吸着部を移動させることによって、前記タブを配置する、請求項5または6に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項8】
前記接合工程の前において、前記突起部は、前記タブの厚さの0.1倍以上0.9倍以下の高さを有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項9】
前記接合工程の前において、前記突起部は、20μm以上180μm以下の高さを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項10】
積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記外装体は、第1部材と第2部材とを有し、
前記外装体は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有し、
前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の前記電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、
前記第2部材は、平坦な部材であり、
前記タブの前記第1端辺が、前記第1部材側から前記電極体と重なっている、積層型電池。
【請求項11】
前記タブが少なくとも部分的に重なる前記電極板のうち、最も前記夕ブ側に位置する電極板は、前記突起部に貫通されている、請求項10に記載の積層型電池。
【請求項12】
前記タブが少なくとも部分的に重なる前記電極板のうち、最も前記タブ側に位置する電極板は、前記突起部を受ける凹部を有する、請求項10に記載の積層型電池。
【請求項13】
積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池。
【請求項14】
前記突起部は、少なくとも前記第1端辺及び前記第2端辺に位置する、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の積層型電池。
【請求項15】
前記突起部は、前記タブの厚さの0.1倍以上0.9倍以下の高さを有する、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の積層型電池。
【請求項16】
前記突起部は、20μm以上180μm以下の高さを有する、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の積層型電池。
【請求項17】
前記タブは、100μm以上の厚さを有する、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の積層型電池。
【請求項18】
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合装置と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容装置と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合装置は、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容装置は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記タブは、前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している、積層型電池の製造装置。
第4 取消理由(決定の予告)の概要
当審が令和6年8月28日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
1.(新規性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2.(進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
理由1(新規性)について
請求項1、4、8、9に対して、
引用文献1:特開2005-149938号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証)
理由2(進歩性)について
請求項3~9、11、14~17に対して、
引用文献1:特開2005-149938号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証)
第5 各甲号証について
1 甲第1号証(特開2005-149938号公報)(取消理由における引用文献1。以下では、取消理由に合わせて「引用文献1」と称する。)
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は、当審にて付した。
【背景技術】
(中略)
【0004】
外装材にラミネートフィルムを用いたフィルム外装電池においては、正極と負極とをセパレータを介して積層した電池要素電池要素を、熱融着性樹脂フィルムを互いに対向させてラミネートフィルムで包囲し、電池要素の周囲でラミネートフィルムを熱融着することによって電池要素を気密封止(以下、単に封止という)している。電池要素の正極および負極をラミネートフィルムの外部へ引き出すために、正極および負極にはそれぞれタブが突出して設けられており、これらタブに、リード端子をラミネートフィルムから突出させて接続している。また、セパレータとしては、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を用いて形成した多孔性フィルムなどが用いられる。
【0005】
図11に従来のフィルム外装電池の一例の、電池要素の側断面図を示す。
(中略)
【0007】
電池要素502は、複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成されている。各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、負極は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出している、電極材料が塗布されていない延出部は、正極板の延出部同士、および負極板の延出部同士がそれぞれ一括して超音波溶接されて、中継部である正極集電部503aおよび負極集電部503bが形成される。これと同時に正極集電部503aと正極タブ504a、負極集電部503bと負極タブ504bもそれぞれ超音波溶接によって接続される。これら正極タブ504aおよび負極タブ504bは、それぞれアルミニウム板、銅板を打ち抜き加工することにより作製される。
【0008】
外装体は、電池要素502をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルム505、506からなる。各ラミネートフィルム505、506は、PP(ポリプロピレン)層510、アルミニウム層511、およびナイロン層512を積層してなるものであり、PP層510が電池の内側の層となるようにしてラミネートフィルム505、506の周縁部を熱融着することで、電池要素502が封止される。
【0009】
しかしながら、正極タブ504aおよび負極タブ504bは、金属板を打ち抜き加工することにより製造されているため、その切断面にカエリ530(バリ等も含む)が形成されることとなる。このカエリ530が、図12(a)に示すように上方に向いた状態で正極集電部503aおよび負極集電部503bに接続されると、カエリ530が金属箔からなる正極集電部503aおよび負極集電部503bを突き刺さり、箔破れの原因となる場合があった。一方、図12(b)に示すように、カエリ530が下方に向いた状態で正極集電部503aおよび負極集電部503bに接続されると、カエリ530の先端がラミネートフィルム506のPP層510を突き破り、その下層に積層されているアルミニウム層511にまで到達し、ショートの原因となる場合があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の製造方法では、正極タブおよび負極タブの端部のカエリを除去するためには、面取り用の装置が必要であるとともに、面取り加工する工程が製造工程に追加されてしまう。さらには、カエリが除去されたかどうかを検査する工程も必要となる。このため、フィルム外装電池の製造コストが高くなってしまうという問題を生じる。
【0013】
そこで、本発明は、タブのカエリ除去を行うことなく、カエリによる不具合を防止することができるフィルム外装電池およびフィルム外装電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0031】
本発明によれば、集電部または金属層と、タブの端部に生じたカエリとの間に阻止手段を有するためカエリが集電部または金属層に到達しない。このため、カエリが集電部または金属層に電気的に接触して発生するショート、あるいは集電部または金属層の損傷といったカエリに起因する問題を、カエリを除去することなく解決することができる。
【図11】
[図:0001422403000003.jpg]
【図12】
[図:0001422403000004.jpg]
(2)引用文献1に記載された発明
(2-1)フィルム外装電池に係る発明
ア 引用文献1に記載された発明として、【0004】~【0009】、【図11】、【図12】(a)に記載された従来のフィルム外装電池に係る発明に着目する。
イ 【0007】より、電池要素502は、複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成されている。
ウ 【0008】より、外装体は、電池要素502をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルム505、506からなり、ラミネートフィルム505、506の周縁部を熱融着することで、電池要素502が封止されるものである。
そして、【図11】より、ラミネートフィルム505は、正極集電部503a及び負極集電部503bの形状に沿うように隆起し、中央部では電池要素502に重なるような構成であること、ラミネートフィルム506は、平坦であることが見て取れる。
ここで、ラミネートフィルム505及びラミネートフィルム506を、それぞれ、上方のラミネートフィルム、下方のラミネートフィルムと称すると、上方のラミネートフィルムは正極集電部及び負極集電部の形状に沿うように隆起し、その中央部では電池要素に重なるような構成であり、下方のラミネートフィルムは平坦であるといえる。
エ 【0004】、【0007】より、正極タブ504aは、電池要素の正極を外部へ引き出すために設けられ、正極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部503aと超音波溶接によって接続され、負極タブ504bは、電池要素の負極を外部へ引き出すために設けられ、負極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部503bと超音波溶接によって接続されている。
【図11】、【図12】(a)から、タブの一方の端辺は外装体の内部に位置し、他方の端辺は外装体の外部に位置していることが見て取れる。
ここで、正極タブ504a及び負極タブ504bについて、【図11】、【図12】(a)における上側の面を第1面、【図11】、【図12】(a)における下側の面(第1面と反対側の面)を第2面と称すると、正極タブ504a及び負極タブ504bは、第1面と第2面とを有するといえる。
また、外装体の内部に位置する端辺を第1端辺、外装体の外部に位置する端辺を第2端辺と称すると、【図11】、【図12】(a)より、第2端辺と第1端辺とは対向しているといえる。
以上をまとめると、正極タブ504aは、電池要素の正極を外部へ引き出すために設けられ、正極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部503aと超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有するといえ、負極タブ504bは、電池要素の負極を外部へ引き出すために設けられ、負極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部503bと超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有するといえる。
オ 【0007】より、各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、各負極板は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出しているものである。
カ 【0007】より、正極タブ504a及び負極タブ504bは、それぞれアルミニウム板、銅板を打ち抜き加工することにより作製されるものである。
キ 【図11】、【図12】(a)より、正極タブ504aは、第1面側において正極集電部503aと対面し、負極タブ504bは、第1面側において負極集電部503bと対面し、正極タブ504a及び負極タブ504bは、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されていることが見て取れる。
また、正極タブ504aの第1端辺は、正極集電部503aのうちの正極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、正極集電部503aと重なるように、ラミネートフィルム506(下方のラミネートフィルム)側から正極集電部503aに接続され、負極タブ504bの第1端辺は、負極集電部503bのうちの負極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、負極集電部503bと重なるように、ラミネートフィルム506(下方のラミネートフィルム)側から負極集電部503bに接続されていることが見て取れる。
ク 【0009】、【図11】、【図12】(a)より、正極タブ及び負極タブは、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含むものといえる。
ケ 上記ア~クより、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
(引用発明1)
複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成された電池要素と、
電池要素をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルムからなり、2枚のラミネートフィルムの周縁部を熱融着することで、電池要素が封止され、上方のラミネートフィルムは正極集電部及び負極集電部の形状に沿うように隆起し、その中央部では電池要素に重なるような構成であり、下方のラミネートフィルムは平坦である外装体と、
電池要素の正極を外部へ引き出すために設けられ、正極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する正極タブと、
電池要素の負極を外部へ引き出すために設けられ、負極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する負極タブと、を備え、
各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、各負極板は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出し、
正極タブ及び負極タブは、それぞれアルミニウム板、銅板を打ち抜き加工することにより作製され、
正極タブは、第1面側において正極集電部と対面し、負極タブは、第1面側において負極集電部と対面し、正極タブ及び負極タブは、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成され、
正極タブの第1端辺は、正極集電部のうちの正極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、正極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から正極集電部に接続され、負極タブの第1端辺は、負極集電部のうちの負極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、負極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から負極集電部に接続され、
正極タブ及び負極タブは、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含む、
フィルム外装電池。
(2-2)フィルム外装電池を製造する方法に係る発明
引用文献1には、フィルム外装電池の製造方法に関する発明についても記載(例えば、【特許請求の範囲】の【請求項9】~【請求項16】及び【0022】~【0030】を参照。)されている。
引用発明1においては、正極タブ(負極タブ)は正極集電部(負極集電部)と接続しており、電池要素は外装体に包囲され、正極タブ(負極タブ)の第1端辺が外装体の内部に位置している。
したがって、引用発明1のフィルム外装電池を製造する方法においては、正極タブを正極集電部に接続し、負極タブを負極集電部に接続するように接合する接合工程や、電池要素と正極タブ及び負極タブの第1端辺とが外装体の内部に位置するように収容する収容工程を備えるものといえる。
よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
(引用発明2)
複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成された電池要素と、
電池要素をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルムからなり、2枚のラミネートフィルムの周縁部を熱融着することで、電池要素が封止され、上方のラミネートフィルムは正極集電部及び負極集電部の形状に沿うように隆起し、その中央部では電池要素に重なるような構成であり、下方のラミネートフィルムは平坦である外装体と、
電池要素の正極を外部へ引き出すために設けられ、正極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する正極タブと、
電池要素の負極を外部へ引き出すために設けられ、負極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する負極タブと、を備え、
各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、各負極板は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出し、
正極タブ及び負極タブは、それぞれアルミニウム板、銅板を打ち抜き加工することにより作製され、
正極タブは、第1面側において正極集電部と対面し、負極タブは、第1面側において負極集電部と対面し、正極タブ及び負極タブは、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成され、
正極タブの第1端辺は、正極集電部のうちの正極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、正極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から正極集電部に接続され、負極タブの第1端辺は、負極集電部のうちの負極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、負極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から負極集電部に接続され、
正極タブ及び負極タブは、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含む、
フィルム外装電池を製造する方法において、
正極タブを正極集電部に接続し、負極タブを負極集電部に接続するように接合する接合工程や、電池要素と正極タブ及び負極タブの第1端辺とが外装体の内部に位置するように収容する収容工程を備える方法。
(2-3)フィルム外装電池を製造する装置に係る発明
引用文献1には、フィルム外装電池の製造方法についても記載されていることから、当該製造方法を利用したフィルム外装電池を製造する装置についても示唆されているといえる。
引用発明1においては、正極タブ(負極タブ)は正極集電部(負極集電部)と接続しており、電池要素は外装体に包囲され、正極タブ(負極タブ)の第1端辺が外装体の内部に位置している。
したがって、引用発明1のフィルム外装電池を製造する装置においては、正極タブを正極集電部に接続し、負極タブを負極集電部に接続するように接合する接合装置や、電池要素と正極タブ及び負極タブの第1端辺とが外装体の内部に位置するように収容する収容装置を備えるものといえる。
よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
(引用発明3)
複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成された電池要素と、
電池要素をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルムからなり、2枚のラミネートフィルムの周縁部を熱融着することで、電池要素が封止され、上方のラミネートフィルムは正極集電部及び負極集電部の形状に沿うように隆起し、その中央部では電池要素に重なるような構成であり、下方のラミネートフィルムは平坦である外装体と、
電池要素の正極を外部へ引き出すために設けられ、正極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する正極タブと、
電池要素の負極を外部へ引き出すために設けられ、負極板の延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部と超音波溶接によって接続され、第1面と第2面とを有するとともに、外装体の内部に位置する第1端辺と、前記第1端辺に対向し外装体の外部に位置する第2端辺とを有する負極タブと、を備え、
各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、各負極板は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出し、
正極タブ及び負極タブは、それぞれアルミニウム板、銅板を打ち抜き加工することにより作製され、
正極タブは、第1面側において正極集電部と対面し、負極タブは、第1面側において負極集電部と対面し、正極タブ及び負極タブは、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成され、
正極タブの第1端辺は、正極集電部のうちの正極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、正極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から正極集電部に接続され、負極タブの第1端辺は、負極集電部のうちの負極板の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、負極集電部と重なるように、下方のラミネートフィルム側から負極集電部に接続され、
正極タブ及び負極タブは、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含む、
フィルム外装電池を製造する装置において、
正極タブを正極集電部に接続し、負極タブを負極集電部に接続するように接合する接合装置や、電池要素と正極タブ及び負極タブの第1端辺とが外装体の内部に位置するように収容する収容装置を備えるフィルム外装電池を製造する装置。
2 甲第2号証(特開2012-33449号公報)
甲第2号証には、以下の記載がある。
【0001】
本発明はラミネートフィルム外装積層型電池およびラミネートフィルム外装積層型電池における製造方法に関する。
【0025】
正極シートどうしの接続及び負極シートどうしの接続については、それぞれの金属箔の活物質未塗布部分で、積層された複数の正極シートまたは負極シートを正極タブ6または負極タブ7と共に超音波溶接等の溶接により一括して接続される。
【0026】
各ラミネートフィルム2の凹形状部内に電池要素3を収容するように一対のラミネートフィルム2にて電池要素3を覆い、電池要素3に電解液を注入後、一対のラミネートフィルム2どうしの接合部分を熱融着にて気密に接着した構造である。さらに、接合されたラミネートフィルム2の外周辺より外側に正極タブ6および負極タブ7が延出している構造である。
【0027】
図2は本実施形態によるラミネートフィルム外装積層電池1の電池要素3の集電部近傍の断面図である。正極と負極の構成がともに同じであるため、図2以降については、正極のみで説明する。
【0028】
正極集電部4(複数の正極シートの端部における活物質未塗布部分を接続してなる部分)と正極タブ6とを超音波溶接により接続している部分である超音波溶接部9と、正極タブ6の端部分とを覆う領域に、保護シート8が貼り付けられている。
【0029】
正極集電部4と正極タブ6との超音波溶接時の圧力により、超音波溶接部9の周辺に位置する正極タブ6の端部にカエリ10が生じ、また超音波溶接部9にバリ状の鋭角部分11が生じ、さらに、正極集電部4のエッジ12も存在する。そのため、保護シート8は、正極集電部4のエッジ12、正極タブ6のカエリ10や、超音波溶接部9のバリ状の鋭角部分11などで、ラミネートフィルム2の内壁が損傷することを防止する。これと同じ目的で負極についても保護シート8が貼り付けられる。
【0030】
図3は本実施形態と比較するラミネートフィルム外装積層電池の構成例(従来例)を示している。この例では正極タブ6の端部分13にカエリが出来ていないため、正極タブ6の端部分13への保護が必要ないが、正極集電部4のエッジ12や超音波溶接部9のバリ状の鋭角部分11が存在していて、ラミネートフィルム2の内壁を損傷する可能性がある。
【0031】
ラミネートフィルム2は、電解液や水分およびガスの透過を防止することが可能な金属薄膜であるアルミニウム薄膜の片面にヒートシール層である熱融着樹脂フィルムを積層し、そのもう片面に保護フィルムを積層した3層構造のラミネートフィルムである。上記のカエリ10やバリ、エッジ等でラミネートフィルム2の内壁のヒートシール層が破けて、タブや集電部の金属がアルミニウムなどの金属薄膜とショートするという問題や、ラミネートフィルム2における金属薄膜が損傷して外装の絶縁性が低下するという問題が発生する。本発明は上記のような保護シート8を備えることにより、このような問題を防ぐことができる。
【図2】
[図:0001422403000005.jpg]
【図3】
[図:0001422403000006.jpg]
3 甲第3号証(特開2008-27894号公報)
甲第3号証には、以下の記載がある。
【0007】
図2A及び図2Bを参照すると、正極タブ群40は、矢印方向に密着して正極リード60に連結される。正極リード60は、通常、溶接によって結合され、図2Aに示すように最上端の正極タブ41の上側面に配置された状態、または、図2Bに示すように最下段の正極タブ42の下側面に配置された状態で結合される。
【0021】
前記二次電池は、充放電可能な電極組立体が内蔵されてなる二次電池で、好ましくは、金属層と樹脂層を含むラミネートシートからなる電池ケースに、電極組立体が密封された状態で内蔵されている構造を有し、このような構造の二次電池を、パウチ形二次電池とも呼ぶ。
【図2A】
[図:0001422403000007.jpg]
4 甲第4号証(JFE-TEC News No.48(2016年7月))
甲第4号証には、以下の記載がある。
自動積層による電池・キャパシタ用セル試作
自動積層機による積層型セルの試作
今回導入した自動積層機の外観を図3に示します。表1に示します3つのタイプの積層電極型セル試作が可能です。そのうちDタイプの試作例(外観)を図4に示します。その他のサイズをご要望の場合にも、専用治具の制作による対応が可能です。
第6 当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1-1 理由1(新規性)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と引用発明2との対比
(ア)引用発明2の「正極タブ」(「負極タブ」)は、電池要素の正極(負極)を外部へ引き出すために設けられ、正極板(負極板)の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部(負極集電部)と接続されていることから、正極タブ(負極タブ)と正極集電部(負極集電部)との接続は電気的に接続されているものといえる。
そして、引用発明2の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1面と第2面とを有し、アルミニウム板(銅板)を打ち抜き加工することにより作製されたものであるから、板状であるといえ、本件発明1の「第1面と第2面とを有する板状のタブ」に相当する。
また、引用発明2の「電池要素」は、複数の正極板と複数の負極板とを積層したものであり、正極板と負極板は、ともに電極板であるといえるので、本件発明1の「積層された複数の電極板を有する電極体」に相当する。
以上より、引用発明2の「正極タブ(負極タブ)を正極集電部(負極集電部)に接続するように接合する接合工程」は、本件発明1の「第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程」に相当する。
(イ)引用発明2の「電池要素」「が外装体の内部に位置するように収容する収容工程」は、本件発明1の「前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程」に相当する。
(ウ)引用発明2の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するものである。
また、引用発明2の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含む構成であり、かかる「カエリ」は、本件発明1の「突起部」に相当する。
したがって、引用発明2は、本件発明1の「前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含」むことに相当する構成を有している。
(エ)引用発明2の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1面側において正極集電部(負極集電部)と対面し、かつ第1端辺が正極集電部(負極集電部)と重なるように、正極集電部(負極集電部)に接続されている。ここで、正極集電部(負極集電部)との接続は、接合工程にて接続するように接合されるものであり、正極集電部(負極集電部)は、電池要素を構成する正極板(負極板)から形成されているものであるから、引用発明の「正極タブ」(「負極タブ」)は、接合工程において、第1面側において電池要素と対面し、かつ第1端辺が電池要素と重なるように、正極板(負極板)に接続するように接合されているといえる。
したがって、引用発明2は、本件発明1の「前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合」することに相当する構成を有している。
(オ)引用発明2の「収容工程」は、「正極タブ(負極タブ)の第1端辺が外装体の内部に位置するように収容する」ものである。
そして、引用発明2では、正極タブ(負極タブ)の第1端辺が外装体の内部に位置し、第2端辺が外装体の外部に位置していることから、外装体は、第2端辺が外装体の外部に位置するように収容するものであって、正極タブ(負極タブ)を部分的に内部に収容している構成であるといえる。
したがって、引用発明2は、本件発明1の「前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容」することに相当する構成を有している。
(カ)引用発明2の「電池要素」は、「複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成された」ものである。
ここで、上記(ア)より、引用発明の「電池要素」は、本件発明1の「電極体」に相当する。
そして、引用発明2の「正極板」及び「負極板」は、ともに電極板であるといえ、それぞれ、本件発明1の「第1電極板」及び「第2電極板」に相当する。
したがって、引用発明2は、本件発明1の「前記電極体は、複数の前記電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有」することに相当する構成を有している。
(キ)引用発明2においては、各正極板(負極板)はアルミニウム箔(銅箔)に正極材料(負極材料)が塗布され、それぞれの箔の未塗装部すなわちアルミニウム箔(銅箔)が積層領域から延出している。そして、延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部(負極集電部)を有する。よって、アルミニウム箔(銅箔)は、正極集電部(負極集電部)が存在する領域を有し、当該領域において接合されているといえる。
そうすると、引用発明2における正極板のアルミニウム箔及び負極板の銅箔における「正極集電部」及び「負極集電部」は、それぞれ、本件発明1の「第1電極集電体」及び「第2電極集電体」に相当し、引用発明2の「延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部が存在する領域」及び「延出部同士が超音波溶接されて形成された負極集電部が存在する領域」は、それぞれ、本件発明1の「第1接続領域」及び「第2接続領域」に相当する。
ここで、引用発明2の「正極板」及び「負極板」は、それぞれ「第1電極板」及び「第2電極板」に相当する。
したがって、引用発明2は、本件発明1の「前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、前記第1接続領域において接合されており、前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、前記第2接続領域において接合されて」いることに相当する構成を有している。
(ク)引用発明2の接合工程は、正極タブ(負極タブ)を正極集電部(負極集電部)に接続するように接合する工程である。
また、引用発明2の正極タブ(負極タブ)は、正極板(負極板)の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部(負極集電部)と超音波溶接によって接続され、各正極板はアルミニウム箔に正極材料が塗布されており、各負極板は銅箔に負極材料が塗布されており、それぞれの箔の未塗装部が積層領域から延出していることから、正極タブ(負極タブ)は、正極集電部(負極集電部)においてアルミニウム箔(銅箔)に接続しているといえるから、本件発明1と引用発明2とは、「前記接合工程において、前記タブを、前記第1接続領域において前記第1電極集電体に接続するか、または前記第2接続領域において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の前記電極板の少なくとも一つに接合する」構成を有する点で共通するものである。
しかし、引用発明2は、正極タブ(負極タブ)の第1端辺は、正極集電部(負極集電部)のうちの正極板(負極板)の延出部同士が超音波溶接された部分ではない箇所で、正極集電部(負極集電部)に接続している構成である。
したがって、タブを第1電極集電体(第2電極集電体)に接続することに関して、タブの第1端辺を含む部分を、本件発明1は、第1電極集電体(第2電極集電体)が互いに接合されている部分において接続するのに対し、引用発明2はそのような構成ではない点で相違する。
イ 一致点、相違点
以上より、本件発明1と引用発明2との一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容し、
前記電極体は、複数の前記電極板として、複数の前記電極板が積層される積層方向に沿って交互に配列された複数の第1電極板と複数の第2電極板とを有し、
前記第1電極板は、第1接続領域を有する第1電極集電体を有し、複数の前記第1電極板の前記第1電極集電体は、前記第1接続領域において接合されており、
前記第2電極板は、第2接続領域を有する第2電極集電体を有し、複数の前記第2電極板の前記第2電極集電体は、前記第2接続領域において接合されており、
前記接合工程において、前記タブの前記第1端辺を含む部分を、前記第1接続領域において前記第1電極集電体に接続するか、または前記第2接続領域において前記第2電極集電体に接続することによって、複数の前記電極板の少なくとも一つに接合する、積層型電池の製造方法。
(相違点1)
タブを第1電極集電体(第2電極集電体)に接続することに関して、タブの第1端辺を含む部分を、本件発明1は、第1電極集電体(第2電極集電体)が互いに接合されている部分において接続するのに対し、引用発明2はそのような構成ではない点。
ウ 検討
本件発明1と引用発明2とは、上記相違点1を有するから、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではない。
(2)本件発明4、8、9について
請求項1を直接若しくは間接に引用する請求項4、8、9に係る発明は、本件発明1と引用発明2との上記相違点1に係る構成を備えているから、請求項1に係る発明と同様に、引用文献1に記載された発明ではない。
1-2 理由2(進歩性)について
(1)本件発明3~9について
以下、取消理由で検討した請求項1を直接若しくは間接に引用する請求項3~9に係る発明について検討する。
本件発明1と引用発明2との対比、一致点及び相違点は、上記1-1(1)ア、イのとおりである。
そこで、相違点1に係る構成について、当業者が容易に想到し得るものであるかについて以下検討する。
引用発明1の「フィルム外装電池に係る発明」は、上記第5の1(2)(2-1)アに記載したように、引用文献1において、従来技術として示されたものであり、同様に、引用発明2の「フィルム外装電池を製造する方法」も、従来技術として示されたものである。
そして、引用文献1の【0009】、【0012】、【0013】、【0031】には、引用発明2に係る従来のフィルム外装電池を製造する方法では、カエリが上方に向いた状態で正極集電部および負極集電部に接続されることにより、カエリが金属箔からなる正極集電部および負極集電部に突き刺さり、箔破れの原因となる場合があることが記載されており、特許請求の範囲の記載も参酌すると、引用文献1は、このようなカエリによる不具合を防止することを目的とし、カエリが集電部に到達しないように、集電部とカエリとの間に阻止手段を設けることを、その課題解決手段とする発明を開示したものといえる。
そうすると、引用文献1に接した当業者が、あえて従来技術に係るフィルム外装電池に着目し、これを本件発明1のように、箔破れによる不具合を生じうるカエリを有するタブの第1端辺を含む部分を、第1電極集電体(第2電極集電体)が互いに接合されている部分において接続するように設計変更を行うことは、容易には想起し得ないことである。
したがって、請求項1を直接若しくは間接に引用し、上記相違点1に係る構成を備える請求項3~9に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明11について
本件発明11と引用発明1とを対比するにあたり、請求項11は請求項10を引用するので、まず、本件発明10と引用発明1とを対比、検討することとする。
ア 本件発明10と引用発明1との対比
(ア)引用発明1の「電池要素」は、複数の正極板と複数の負極板とを積層したものであり、正極板と負極板は、ともに電極板であるといえるので、本件発明10の「積層された複数の電極板を有する電極体」に相当する。
(イ)引用発明1の「外装体」は、電池要素を包囲すなわち収容しているものであるから、本件発明10の「前記電極体を収容している外装体」に相当する。
(ウ)引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、正極板(負極板)の延出部同士が超音波溶接されて形成された正極集電部(負極集電部)と接続されていることから、正極板(負極板)と接続されているといえる。
また、電池要素の正極(負極)を外部へ引き出すために設けられていることから、その接続は電気的に接続されているものといえる。
そして、引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するものである。
以上より、引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、本件発明10の「複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブ」に相当する。
(エ)引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1面側において正極集電部(負極集電部)と対面し、かつ第1端辺が正極集電部(負極集電部)と重なるように、正極集電部(負極集電部)に接続されている。ここで、正極集電部(負極集電部)は、電池要素を構成する正極板(負極板)から形成されているものであるから、「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1面側において電池要素と対面し、かつ第1端辺が電池要素と重なるように、電池要素を構成する正極板(負極板)に接続されているものといえる。
したがって、引用発明1は、本件発明10の「前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され」ていることに相当する構成を有している。
(オ)引用発明1の「外装体」は、正極タブ(負極タブ)の第1端辺が外装体の内部に位置し、第2端辺が外装体の外部に位置していることから、正極タブ(負極タブ)を部分的に内部に収容している構成であるといえる。
したがって、引用発明1は、本件発明10の「前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容し」ていることに相当する構成を有している。
(カ)引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、第1端辺に第1面から突出しているカエリを含む構成であり、かかる「カエリ」は、本件発明10の「突起部」に相当するといえるから、引用発明1は、本件発明10の「前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含む」ことに相当する構成を有している。
(キ)引用発明1の外装体は、「電池要素をその厚み方向両側から挟んで包囲する2枚のラミネートフィルム(上方のラミネートフィルムと下方のラミネートフィルム)からなり、2枚のラミネートフィルムの周縁部を熱融着することで、電池要素が封止され」る構成である。
ここで、外装体は、上方のラミネートフィルムと下方のラミネートフィルムとの間に電池要素を収容し、上方のラミネートフィルムと下方のラミネートフィルムとの外周を接合して封止されているものといえる。
また、引用発明1の「上方のラミネートフィルム」と「下方のラミネートフィルム」とは、それぞれ、本件発明10の「第1部材」及び「第2部材」に相当する。
したがって、引用発明1は、本件発明10の「前記外装体は、第1部材と第2部材とを有し、前記外装体は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有」することに相当する構成を有している。
(ク)引用発明1の「上方のラミネートフィルムは正極集電部及び負極集電部の形状に沿うように隆起し、その中央部では電池要素に重なるような構成であり、下方のラミネートフィルムは平坦である」ことは、本件発明10の「前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の前記電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、前記第2部材は、平坦な部材であ」ることに相当する。
(ケ)引用発明1の正極タブ(負極タブ)の第1端辺は、下方のラミネートフィルム側から正極集電部(負極集電部)に接続されている。
したがって、本件発明10と引用発明1とは、「前記タブの前記第1端辺が、前記電極体と重なっている」点で共通する。
しかし、タブの第1端辺が、電極体と重なることに関して、本件発明10は、「第1部材側から」重なっているのに対し、引用発明1は、下方のラミネートフィルムすなわち第2部材側から重なっている点で相違する。
(コ)引用発明1の「フィルム外装電池」は、複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層して構成されたものであるから、本件発明10の「積層型電池」に相当する。
イ 本件発明10と引用発明1との一致点、相違点
以上より、本件発明10と引用発明1との一致点、相違点は、以下の通りである。
(一致点)
積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記外装体は、第1部材と第2部材とを有し、
前記外装体は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記電極体が収容される収容空間を画成する収容領域と、前記収容領域の外周に位置し前記第1部材と前記第2部材とが接合されている封止領域とを有し、
前記第1部材は、前記封止領域に対して隆起する側面部と、前記側面部に連結されるとともに複数の前記電極板が積層される積層方向において前記電極体に重なる中央部と、を有し、
前記第2部材は、平坦な部材であり、
前記タブの前記第1端辺が、前記電極体と重なっている、積層型電池。
(相違点2)
タブの第1端辺が、電極体と重なることに関して、本件発明10は、「第1部材側から」重なっているのに対し、引用発明1は、下方のラミネートフィルムすなわち第2部材側から重なっている点。
ウ 本件発明11についての検討
請求項11は、請求項10を引用しており、本件発明11は本件発明10の全ての構成を含むから、本件発明11と引用発明1とは、少なくとも上記相違点2において相違する。
そこで、上記相違点2に係る構成について、当業者が容易に想到し得るものであるかについて以下検討する。
引用発明1は、上記第5の1(2)(2-1)アに記載したように、引用文献1における従来のフィルム外装電池に関する発明である。
そして、引用文献1の【0009】、【0012】、【0013】、【0031】には、引用発明1に係る従来のフィルム外装電池は、カエリが上方に向いた状態で正極集電部および負極集電部に接続されることにより、カエリが金属箔からなる正極集電部および負極集電部に突き刺さり、箔破れの原因となる場合があることが記載されており、特許請求の範囲の記載も参酌すると、引用文献1は、このようなカエリによる不具合を防止することを目的として、カエリが集電部に到達しないように、集電部とカエリとの間に阻止手段を設けることを、その課題解決手段とすることを発明として開示するものであるといえる。
そうすると、引用文献1に接した当業者が、あえて従来技術に係るフィルム外装電池に着目し、これを本件発明10や11のように、箔破れによる不具合を生じうるカエリを有するタブの第1端辺を第1部材側(上方のラミネートフィルム)から電極板や集電部に重ねるような設計変更を行うことは、容易には想起し得ないことである。
したがって、請求項10を引用し、上記相違点2に係る構成を備える請求項11に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明14~17について
請求項11に係る発明は、上記(2)のとおり、引用文献1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項11を直接若しくは間接に引用する請求項14~17に係る発明は、同様に、引用文献1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要
取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要は、以下の通りである。
(1-1)申立理由1(新規性)
請求項2~4、8~18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。
(なお、請求項4、8、9については、請求項1に係る発明を直接若しくは間接に引用する発明についてのみ取消理由通知(決定の予告)で採用した。)
(1-2)申立理由2(進歩性)
請求項5~7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。
以下、上記申立理由について検討する。
(2)申立理由1(新規性)について
ア 本件発明2について
(ア)本件発明2と引用発明2との対比
a 上記1の1-1(1)ア(ア)の検討を援用するに、引用発明2の「正極タブ(負極タブ)を正極集電部(負極集電部)に接続するように接合する接合工程」は、本件発明2の「第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程」に相当する。
b 引用発明2の「電池要素」「が外装体の内部に位置するように収容する収容工程」は、本件発明2の「前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程」に相当する。
c 上記1の1-1(1)ア(ウ)の検討を援用するに、引用発明2は、本件発明2の「前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含」むことに相当する構成を有している。
d 上記1の1-1(1)ア(エ)の検討を援用するに、引用発明2は、本件発明2の「前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合」することに相当する構成を有している。
e 上記1の1-1(1)ア(オ)の検討を援用するに、引用発明2は、本件発明2の「前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容」することに相当する構成を有している。
f タブに関して、本件発明2は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明2は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点で相違する。
(イ)一致点、相違点
以上より、本件発明2と引用発明2との一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合工程と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合工程において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容工程において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容する、積層型電池の製造方法。
(相違点3)
タブに関して、本件発明2は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明2は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点。
(ウ)検討
本件発明2と引用発明2とは、上記相違点3を有するから、請求項2に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではない。
イ 本件発明3,4,8,9について
請求項2を直接若しくは間接に引用する請求項3,4,8,9に係る発明は、本件発明2と引用発明2との上記相違点3に係る構成を備えているから、請求項2に係る発明と同様に、引用文献1に記載された発明ではない。
ウ 本件発明10、11、12について
本件発明10と引用発明1とは、上記1の1-2(2)イで検討したとおり、上記相違点2を有するから、請求項10に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではない。また、請求項10を引用し、少なくとも、上記相違点2に係る構成を備える請求項11、12に係る発明も、同様に、引用文献1に記載された発明ではない。
エ 本件発明13について
(ア)本件発明13と引用発明1との対比
a 本件発明13と本件発明10とに共通する構成に留意しつつ、上記1の1-2(2)ア(ア)の検討を援用するに、引用発明1の「電池要素」は、本件発明13の「積層された複数の電極板を有する電極体」に相当する。
b 上記1の1-2(2)ア(イ)の検討を援用するに、引用発明1の「外装体」は、本件発明13の「前記電極体を収容している外装体」に相当する。
c 上記1の1-2(2)ア(ウ)の検討を援用するに、引用発明1の「正極タブ」(「負極タブ」)は、本件発明13の「複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブ」に相当する。
d 上記1の1-2(2)ア(エ)の検討を援用するに、引用発明1は、本件発明13の「前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され」ていることに相当する構成を有している。
e 上記1の1-2(2)ア(オ)の検討を援用するに、引用発明1は、本件発明13の「前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容し」ていることに相当する構成を有している。
f 上記1の1-2(2)ア(カ)の検討を援用するに、引用発明1は、本件発明13の「前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含む」ことに相当する構成を有している。
g タブに関して、本件発明13は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明1は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点で相違する。
(イ)一致点、相違点
以上より、本件発明13と引用発明1との一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
積層された複数の電極板を有する電極体と、
前記電極体を収容している外装体と、
複数の前記電極板の少なくとも一つに電気的に接続され、第1面と第2面とを有するとともに、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するタブと、を備え、
前記タブは、前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記電極板に接続され、
前記外装体は、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に内部に収容しており、
前記タブは、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含む、積層型電池。
(相違点4)
タブに関して、本件発明13は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明1は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点。
(ウ)検討
本件発明13と引用発明1とは、上記相違点4を有するから、請求項13に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではない。
オ 本件発明14~17について
請求項10又は13を直接若しくは間接に引用する請求項14~17に係る発明は、引用発明1との相違点2又は4に係る構成を備えているから、本件発明10および13と同様に、引用文献1に記載された発明ではない。
カ 本件発明18について
(ア)本件発明18と引用発明3との対比
a 本件発明18と本件発明2とに共通する構成、ならびに、引用発明3と引用発明2とに共通する構成に留意しつつ、上記ア(ア)aの検討を援用するに、引用発明3の「正極タブ(負極タブ)を正極集電部(負極集電部)に接続するように接合する接合装置」は、本件発明18の「第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合装置」に相当する。
b 引用発明3の「電池要素」「が外装体の内部に位置するように収容する収容工程」は、本件発明18の「前記電極体を外装体の内部に収容する収容工程」に相当する。
c 上記ア(ア)cの検討を援用するに、引用発明3は、本件発明18の「前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含」むことに相当する構成を有している。
d 上記ア(ア)dの検討を援用するに、引用発明3は、本件発明18の「前記接合装置において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合」することに相当する構成を有している。
e 上記ア(ア)eの検討を援用するに、引用発明3は、本件発明18の「前記収容装置において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容」することに相当する構成を有している。
f タブに関して、本件発明18は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明3は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点で相違する。
(イ)一致点、相違点
以上より、本件発明18と引用発明3との一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
第1面と第2面とを有する板状のタブを、積層された複数の電極板を有する電極体の、複数の前記電極板の少なくとも一つに、前記タブが前記電極板に電気的に接続されるように接合する、接合装置と、
前記電極体を外装体の内部に収容する収容装置と、を備え、
前記タブは、第1端辺と、前記第1端辺に対向する第2端辺とを有するとともに、少なくとも前記第1端辺に位置し、前記第1面から突出する突起部を含み、
前記接合装置において、前記タブが前記第1面側において前記電極体と対面し、かつ前記第1端辺が前記電極体と重なるように、前記タブを前記電極板に接合し、
前記収容装置において、前記第1端辺が前記外装体の内部に位置し、前記第2端辺が前記外装体の外部に位置するように、前記タブを部分的に前記外装体の内部に収容する、積層型電池の製造装置。
(相違点5)
タブに関して、本件発明2は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明3は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点。
(ウ)検討
本件発明18と引用発明3とは、上記相違点5を有するから、請求項18に係る発明は、引用文献1に記載された発明ではない。
(3)申立理由2(進歩性)について
ア 本件発明5~7について
本件発明5~7は、本件発明1又は2を直接若しくは間接に引用する引用する発明である。
本件発明1と引用発明2との相違点は、上記1の1-1(1)イの相違点1であり、本件発明2と引用発明2との相違点は、上記(2)ア(イ)の相違点3である。
相違点1及び3について再掲する。
(相違点1)
タブを第1電極集電体(第2電極集電体)に接続することに関して、タブの第1端辺を含む部分を、本件発明1は、第1電極集電体(第2電極集電体)が互いに接合されている部分において接続するのに対し、引用発明2はそのような構成ではない点。
(相違点3)
タブに関して、本件発明2は、「前記第1端辺と前記第2端辺との間において前記第1面側に凹となるように、湾曲している」のに対し、引用発明2は、第1端辺と第2端辺との間において直線状に形成されている点。
相違点1について検討する。
特許異議申立人が証拠として提出した甲第2号証の【図2】は、【0029】の記載から、正極タブの端部にカエリが生じている場合の例である。ここで、【図2】より、当該カエリは超音波溶接部と接続する方向と反対の方向に形成され、正極タブの端辺は超音波溶接部と接続していないことが見て取れる。
また、【図3】の正極タブの端辺は超音波溶接部と接続しているように見て取れるものの、【0030】の記載から、【図3】はカエリが出来ていない場合の例である。
したがって、甲第2号証を参酌しても、上記相違点1に係る構成は当業者が容易に想到し得るものではない。
相違点3について検討する。
甲第2号証の【図2】をみても、正極タブが端辺の間で凹となるように湾曲しているとは認められない。
したがって、甲第2号証を参酌しても、上記相違点3に係る構成は当業者が容易に想到し得るものではない。
以上より、請求項1又は2に係る発明が、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものでないから、請求項1又は2を直接若しくは間接に引用する請求項5~7に係る発明も、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701297