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特許異議申立

2023-701110

リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー及びその製造方法、リチウムイオン電池用電極、並びにリチウムイオン電池

審判番号
2023-701110
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-181848
登録番号
7259689
請求日
2023年10月18日
審決日
2024年07月24日
公報発行日
2024年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】荒川化学工業株式会社
  • 【異議申立人】安藤 宏
審判長/審判官
  • 審判長 岩間 直純
  • 審判官 渡辺 努
  • 審判官 行武 哲太郎
分類
P1652.113-YAA(H01M) / P1652.121-YAA(H01M) / P1652.851-YAA(H01M) / P1652.857-YAA(H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7259689号発明「リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー及びその製造方法、リチウムイオン電池用電極、並びにリチウムイオン電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7259689号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~15〕について訂正することを認める。 特許第7259689号の請求項1~3、6~12に係る特許を維持する。 特許第7259689号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7259689号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、令和元年10月2日(優先権主張 平成30年10月5日)の出願であって、令和5年4月10日にその特許権の設定登録がされ、同年4月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許に対し、令和5年10月18日に特許異議申立人安藤宏(以下、「特許異議申立人」という。)により本件の請求項1~4、6~12に係る特許に対する特許異議の申立てがなされ、甲第1号証が提出された。 その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年 2月28日付け 取消理由通知 同年 4月17日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 5月 7日 訂正請求書を補正する補正書提出(特許権者) 同年 6月17日 意見書提出(特許異議申立人) 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年4月17日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、同年5月7日に補正された請求の趣旨より、特許第7259689号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである(なお、下線は訂正部分を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含む、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液。 <一般式(1)> 【化1】 [図:0001415288000001.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」 と記載されているのを、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含み、 乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液。 <一般式(1)> 【化1】 [図:0001415288000002.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2について、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000003.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」 と記載されているのを、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含み、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000004.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び6~12も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5について、 「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000005.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、請求項2~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。」 と記載されているのを、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)及び電極活物質(C)を含み、前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000006.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000007.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~12も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5について、 「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000008.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、請求項2~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。」 とあるうち、請求項2、3を引用するものについて、独立形式に改め、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)及び電極活物質(C)を含み、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)中の(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位と前記水溶性多価アルコール(B)とのモル比[(a)/(B)]が1.0以上であり、 前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化5】 [図:0001415288000009.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1 以上の整数である。)で表される、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化6】 [図:0001415288000010.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」 と記載し、新たに請求項13とする。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5について、 「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000011.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、請求項2~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。」 とあるうち、請求項2、4を引用するものについて、独立形式に改め、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)及び電極活物質(C)を含み、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下であり、 前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化7】 [図:0001415288000012.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化8】 [図:0001415288000013.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」 と記載し、新たに請求項14とする。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項5について、 「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000014.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、請求項2~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。」 とあるうち、請求項2、3、4を引用するものについて、独立形式に改め、 「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)及び電極活物質(C)を含み、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)中の(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位と前記水溶性多価アルコール(B)とのモル比[(a)/(B)]が1.0以上であり、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコー ル(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下であり、 前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化9】 [図:0001415288000015.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1 以上の整数である。)で表される、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化10】 [図:0001415288000016.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。)」 と記載し、新たに請求項15とする。 2 訂正の適否についての判断 (1)請求項1について ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含む、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液」について、「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」ことに限定したものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 明細書の【0137】には、以下の記載がある。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 【0137】 1つの実施形態において、前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEは、10%以下(例えば、9、7、5、3、1、0.9、0.5、0.1%以下、0%)が好ましい。 以上の記載より、願書に添付した明細書には、 「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」が記載されているものである。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)から明らかなように、訂正事項1に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (2)一群の請求項2~12について ア 一群の請求項 訂正前の請求項3~12は、訂正前の請求項2を直接もしくは間接に引用しており、訂正事項2によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項2~12に対応する訂正後の請求項2~15は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2の「水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)」について、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」ことに限定したものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(1)ア(イ)と同様に、明細書の【0137】の記載より、願書に添付した明細書には、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」ことが記載されているものである。 したがって、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)から明らかなように、訂正事項2に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的 訂正事項3は、請求項を削除する訂正であるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、請求項を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的 訂正事項4は、請求項2の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2の記載を引用しないものに訂正するものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、請求項2の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2の記載を引用しないものに訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 オ 訂正事項5について (ア)訂正の目的 訂正事項5は、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、3の記載を引用しないものに訂正するものである。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、3の記載を引用しないものに訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 カ 訂正事項6について (ア)訂正の目的 訂正事項6は、請求項2の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、4の記載を引用しないものに訂正するものである。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、請求項2の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、4の記載を引用しないものに訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 キ 訂正事項7について (ア)訂正の目的 訂正事項7は、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、3、4の記載を引用しないものに訂正するものである。 したがって、訂正事項7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「請求項間の引用関係の解消」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5の記載を、その内容を変更することなく請求項2、3、4の記載を引用しないものに訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3)独立特許要件 訂正事項1~3については「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるが、訂正前の請求項1、2、4について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項1、2、4に係る訂正事項1~3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 訂正の適否についてのむすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2~15について訂正することを認める。 第3 訂正後の請求項1~12に係る発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ、「訂正発明1」~「訂正発明12」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含み、 乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液。 <一般式(1)> 【化1】 [図:0001415288000017.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) 【請求項2】 (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含み、 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000018.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) 【請求項3】 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)中の(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位と前記水溶性多価アルコール(B)とのモル比[(a)/(B)]が1.0以上である、請求項2に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)及び電極活物質(C)を含み、前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000019.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000020.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) 【請求項6】 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)の合計と前記電極活物質(C)との質量比[{(A)+(B)}/(C)]が0.01~0. 15である、請求項2~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 【請求項7】 前記電極活物質(C)が炭素層で覆われたシリコン及び/又はシリコンオキサイドを5質量%以上含む負極活物質である、請求項2~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 【請求項8】 前記電極活物質(C)が遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物及び遷移金属硫化物からなる群から選択される1つ以上を含む正極活物質である、請求項2~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 【請求項9】 前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、前記水溶性多価アルコール(B)、及び前記電極活物質(C)を混合する工程を含む、請求項2~8のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリーの製造方法。 【請求項10】 請求項2~8のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリーを集電体に塗布し乾燥させ、熱架橋させることにより得られる、リチウムイオン電池用電極。 【請求項11】 前記集電体が銅箔又はアルミ箔である、請求項10に記載のリチウムイオン電池用電極。 【請求項12】 請求項10又は11に記載のリチウムイオン電池用電極を含む、リチウムイオン電池。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 令和6年2月28日付け取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 1.(新規性)請求項1~3、6、8~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、6、8~12に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2.(進歩性)下記の請求項7、9~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明及び周知技術(例えば、引用文献2及び3)に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項7、9~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用文献1:国際公開第2017/163806号(甲第1号証) 引用文献2:特開2005-259697号公報(本件特許掲載公報の【0117】に記載された文献) 引用文献3:特許第5390336号公報(本件特許掲載公報の【0117】に記載された文献) 2 各引用文献について (1)引用文献1(国際公開第2017/163806号(甲第1号証)) ア 引用文献1に記載された事項 引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は、当審にて付した。 [0023] 水溶性重合体は、少なくとも酸基含有単量体単位を含む。その他、水溶性重合体は、例えば、(メタ)アクリルアミド単量体単位、ヒドロキシル基含有単量体単位、架橋性単量体単位、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位および芳香族モノビニル単量体単位からなる群より選択される1種以上の単位を含んでいてもよい。 [0084] 実施例で用いた各成分は、以下のとおりである。 酸基含有単量体:アクリル酸 (メタ)アクリルアミド単量体:アクリルアミド ヒドロキシル基含有単量体:ヒドロキシエチルアクリルアミド 架橋性単量体:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学社製の製品名ATM-35E) 比較水溶性重合体(カルボキシメチルセルロース):ダイセル社製の製品名CMCダイセル2200 重合開始剤:過硫酸カリウム 重合促進剤:L-アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム 反応停止剤:亜硝酸ナトリウム アセチレンブラック:デンカ社製のHS-100 [0085] (実施例1) <非水系二次電池電極用バインダー組成物の調製> セプタム付き10Lフラスコに、イオン交換水842質量部を投入して、温度40℃に加熱し、流量100mL/分の窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、表1に示す量のアクリルアミド、アクリル酸およびヒドロキシエチルアクリルアミドを混合して、シリンジでフラスコ内に注入した。その後、L-アスコルビン酸の2.0%水溶液0.05質量部(固形分換算)をシリンジでフラスコ内に添加した。その15分後に過硫酸カリウムの2.0%水溶液を用いて、表1に示す量(固形分換算)の過硫酸カリウムをシリンジでフラスコ内に添加して反応を開始し、反応温度を55℃に昇温した。2時間後、反応転化率をさらに上げるために、過硫酸カリウムの2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と、亜硫酸水素ナトリウム0.077質量部(固形分換算)とを添加した。さらに2時間後、過硫酸カリウムの2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と、亜硫酸水素ナトリウムの1.0%水溶液0.077質量部(固形分換算)を添加した。2時間後、亜硝酸ナトリウム10%水溶液0.1質量部(固形分換算)をフラスコ内に添加して、撹拌した。その後、そのフラスコを40℃まで冷却し、空気雰囲気下とし、5%水酸化リチウム水溶液を用いて、水溶性重合体と水を含むバインダー組成物のpHを8.0とした。 [0086] (実施例2~15および比較例1~3) 表1に示すように、各単量体および反応開始時の重合開始剤を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を重合し、非水系二次電池電極用バインダー組成物を調製した。実施例15では、その他の単量体として、上述した架橋性単量体:ATM-35Eを用いた。 [0089] <リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物の調製> プラネタリーミキサーに、負極活物質としての人造黒鉛(理論容量:350mAh/g)100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック1質量部と、調製した非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で1.50質量部とを投入した。さらにイオン交換水で固形分濃度が60%となるように希釈した。その後、回転速度45rpmで60分間混練した。そして、粘度が1100±100mPa・s(B型粘度計、12rpmで測定)となるようにイオン交換水を加え、リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を調製した。このときのリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物の固形分濃度は45質量%であった。そして、調製したリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物について、上述したようにスラリー安定性を評価した。 [0090] <リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物の調製> プラネタリーミキサーに、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(理論容量:150mAh/g)100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック3質量部と、調製した非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で4.00質量部とを投入した。さらにイオン交換水にて固形分濃度が60%となるように希釈した。その後、回転速度45rpmで60分間混練した。そして、粘度が4000±300mPa・s(B型粘度計、60rpmで測定)となるようにイオン交換水を加え、リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を調製した。このときのリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物の固形分濃度は50質量%であった。 [0091] <非水系二次電池用負極の作製> 調製したリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を、集電体としての銅箔(厚さ15μm)の上にコンマコーターで塗付量が10mg/cm2~12mg/cm2となるように塗布し、乾燥させた。乾燥は、温度80℃のオーブン内に、リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物が塗布された銅箔を0.5m/分の速度で2分間かけて搬送することにより行った。その後、その集電体をさらに温度120℃にて2分間加熱処理することにより、負極原反を得た。次に、得られた負極原反を、ロールプレス機にて密度が1.60g/cm3~1.75g/cm3となるようプレスすることにより、集電体の片面に負極合材層が形成された負極を得た。そして、作製したリチウムイオン二次電池用負極について、上述したようにピール強度を評価した。 [0092] <非水系二次電池用正極の作製> 調製したリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を、集電体としてのアルミ箔(厚さ20μm)の上にコンマコーターで塗布し、乾燥させた。乾燥は、温度60℃のオーブン内に、リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物が塗布されたアルミ箔を0.5m/分の速度で2分間かけて搬送することにより行った。その後、その集電体をさらに温度120℃にて2分間加熱処理することにより、正極原反を得た。次に、得られた正極原反をロールプレス機にて密度が3.10g/cm3~3.20g/cm3となるようにプレスすることにより、集電体の片面に正極合材層が形成された正極を得た。 [0093] <非水系二次電池の組立て> 単層のポリプロピレン製セパレータ(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm;乾式法により製造;気孔率55%)を用意し、5cm×5cmの正方形に切り抜いた。また、電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。そして、作製した正極を、4cm×4cmの正方形に切り出し、正極の集電体側の表面がアルミ包材外装に接するように配置した。次に、正極の正極合材層側の表面上に、正方形のセパレータを配置した。さらに、作製した負極を、4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、セパレータの正極合材層側とは反対側の表面上に、負極合材層側の表面が向かい合うように配置した。その後、電解液として濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒:エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(体積比)、添加剤:ビニレンカーボネート2質量%(溶媒比))を充填した。次に、アルミ包材外装に対して150℃のヒートシールをしてアルミ包材外装の開口を密封閉口することにより、非水系二次電池としてのリチウムイオン二次電池を製造した。そして、製造したリチウムイオン二次電池について、上述したようにサイクル特性、低温特性および、サイクル後の電極膨らみ耐性を評価した。結果を表1に示す。 [0094] [図:0001415288000021.jpg] イ 引用文献1に記載された発明 (ア)[0086]より、実施例6の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、各単量体および反応開始時の重合開始剤を変更したこと以外は、[0085]に記載された実施例1の非水系二次電池電極用バインダー組成物と同様にして調製されるものである。 そして、[0094]の[表1]より、実施例6の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、酸基含有単量体単位25質量部、(メタ)アクリルアミド単量体単位75質量部を混合するものであって、反応開始時の過硫酸カリウムは0.23質量部である。 また、[0023]、[0094]の[表1]より、実施例6の水溶性重合体は、酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体を含むものである。 そうすると、[0084]、[0085]に記載された実施例1の非水系二次電池電極用バインダー組成物に関する記載より、実施例6の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、 イオン交換水842質量部を投入して、温度40℃に加熱し、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)75質量部、アクリル酸(酸基含有単量体)25質量部を混合し、L-アスコルビン酸(重合促進剤)の2.0%水溶液0.05質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.23質量部を添加して反応温度を55℃に昇温し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)0.077質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)の1.0%水溶液0.077質量部(固形分換算)を添加し、亜硝酸ナトリウム(反応停止剤)の10%水溶液0.1質量部(固形分換算)を添加して、撹拌した後、40℃まで冷却し、空気雰囲気下とし、5%水酸化リチウム水溶液を用いて、水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体を含む)と水を含むバインダー組成物のpHを8.0として調製されるものといえる。 [0089]、[0090]、[0093]より、実施例6の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物やリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物やリチウムイオン二次電池に利用されるものであるから、実施例6の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物といえる。 以上より、引用文献1には、実施例6として以下の発明(以下、「引用発明1A」という。)が記載されている。 (引用発明1A) イオン交換水842質量部を投入して、温度40℃に加熱し、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)75質量部、アクリル酸(酸基含有単量体)25質量部を混合し、L-アスコルビン酸(重合促進剤)の2.0%水溶液0.05質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.23質量部を添加して反応温度を55℃に昇温し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)0.077質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)の1.0%水溶液0.077質量部(固形分換算)を添加し、亜硝酸ナトリウム(反応停止剤)の10%水溶液0.1質量部(固形分換算)を添加して、撹拌した後、40℃まで冷却し、空気雰囲気下とし、5%水酸化リチウム水溶液を用いて、水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体を含む)と水を含むバインダー組成物のpHを8.0として調製されるリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物。 (イ)[0089]より、引用文献1のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物は、負極活物質としての人造黒鉛100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック1質量部と、調製した非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で1.50質量部とを投入し、イオン交換水で固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製される。 以上より、引用文献1には、実施例6として以下の発明(以下、「引用発明1B」という。)が記載されている。 (引用発明1B) 負極活物質としての人造黒鉛100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック1質量部と、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で1.50質量部とを投入し、イオン交換水で固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製されるリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。 (ウ)[0090]より、引用文献1のリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物は、正極活物質としてのコバルト酸リチウム100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック3質量部と、調製した非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で4.00質量部とを投入し、イオン交換水にて固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製される。 以上より、引用文献1には、実施例6として以下の発明(以下、「引用発明1C」という。)が記載されている。 (引用発明1C) 正極活物質としてのコバルト酸リチウム100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック3質量部と、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で4.00質量部とを投入し、イオン交換水にて固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製されるリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物。 (エ)[0086]より、実施例15の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、各単量体および反応開始時の重合開始剤を変更し、その他の単量体として、架橋性単量体を用いたこと以外は、[0085]に記載された実施例1の非水系二次電池電極用バインダー組成物と同様にして調製されるものである。 そして、[0094]の[表1]より、実施例15の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、酸基含有単量体単位25質量部、(メタ)アクリルアミド単量体単位74.5質量部、その他の単量体として、架橋性単量体(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)0.5質量部を含む水溶性重合体を含み、反応開始時の過硫酸カリウムは0.29質量部である。 また、[0023]、[0094]の[表1]より、実施例15の水溶性重合体は、酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、架橋性単量体を含むものである。 そうすると、[0084]、[0085]に記載された実施例1の非水系二次電池電極用バインダー組成物に関する記載より、実施例15の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、 イオン交換水842質量部を投入して、温度40℃に加熱し、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)74.5質量部、アクリル酸(酸基含有単量体)25質量部、その他の単量体として、架橋性単量体(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)0.5質量部を混合し、L-アスコルビン酸(重合促進剤)の2.0%水溶液0.05質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.29質量部を添加して反応温度を55℃に昇温し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)0.077質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)の1.0%水溶液0.077質量部(固形分換算)を添加し、亜硝酸ナトリウム(反応停止剤)の10%水溶液0.1質量部(固形分換算)を添加して、撹拌した後、40℃まで冷却し、空気雰囲気下とし、5%水酸化リチウム水溶液を用いて、水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、架橋性単量体を含む)と水を含むバインダー組成物のpHを8.0として調製されるものといえる。 [0089]、[0090]、[0093]より、実施例15の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物やリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物やリチウムイオン二次電池に利用されるものであるから、実施例15の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物といえる。 以上より、引用文献1には、実施例15として以下の発明(以下、「引用発明1G」という。)が記載されている。 (引用発明1G) イオン交換水842質量部を投入して、温度40℃に加熱し、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)74.5質量部、アクリル酸(酸基含有単量体)25質量部、その他の単量体として、架橋性単量体(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)0.5質量部を混合し、L-アスコルビン酸(重合促進剤)の2.0%水溶液0.05質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.29質量部を添加して反応温度を55℃に昇温し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)0.077質量部(固形分換算)を添加し、過硫酸カリウム(重合開始剤)の2.0%水溶液0.2質量部(固形分換算)と亜硫酸水素ナトリウム(重合促進剤)の1.0%水溶液0.077質量部(固形分換算)を添加し、亜硝酸ナトリウム(反応停止剤)の10%水溶液0.1質量部(固形分換算)を添加して、撹拌した後、40℃まで冷却し、空気雰囲気下とし、5%水酸化リチウム水溶液を用いて、水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、架橋性単量体を含む)と水を含むバインダー組成物のpHを8.0として調製されるリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物。 (オ)上記(イ)と同様に考えると、引用文献1には、実施例15として以下の発明(以下、「引用発明1H」という。)が記載されている。 (引用発明1H) 負極活物質としての人造黒鉛100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック1質量部と、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で1.50質量部とを投入し、イオン交換水で固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製されるリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。 (カ)上記(ウ)と同様に考えると、引用文献1には、実施例15として以下の発明(以下、「引用発明1I」という。)が記載されている。 (引用発明1I) 正極活物質としてのコバルト酸リチウム100質量部と、導電材としてのアセチレンブラック3質量部と、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物(固形分濃度:5.0%)を固形分換算で4.00質量部とを投入し、イオン交換水にて固形分濃度が60%となるように希釈し、混練し、イオン交換水を加え、調製されるリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物。 (2)引用文献2(特開2005-259697号公報) 引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は、当審にて付した。 【0016】 本発明の負極活物質の第1具体例としてはB、P、Li、Ge、Al、V、及びこれらの混合物(化合物を含む)からなる群より選択される少なくとも一種の元素とシリコンオキシド(SiOx;xは1.5以下、)を含むシリコン系複合体をコア物質として、前記コア物質の表面に炭素物質を被覆する形態がある。 【0027】 前記B、P、Li、Ge、Al、V、及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一種の元素からなる物質は、前記シリコン系複合体の全体重量に対して50質量%以下が好ましくて、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。前記選択された物質の含量が50質量%を超える場合には、エネルギー密度及び非可逆容量が増加して、充放電特性が劣化する心配がある。 【0034】 本発明の第1具体例、第2具体例、及び第3具体例の負極活物質において、前記炭素物質は負極活物質全体重量に対して10乃至90質量%に含まれることが好ましく、30乃至70質量%に含まれることがさらに好ましい。炭素物質の含量が10質量%未満である場合には電池の充放電時に発生の恐れがある活物質体積膨脹に対する支持体としての役割が著しく減少して電極寿命に悪影響を及ぼすおそれがあって、90質量%を超える場合にはシリコン系複合体の構成比率減少による活物質自体の放電容量が減少して既存黒鉛材負極活物質よりも高いエネルギー密度を追求することは困難である。 (3)引用文献3(特許第5390336号公報) 引用文献3には、以下の記載がある。なお、下線は、当審にて付した。 【0014】 上記課題を解決するため、本発明では、非水電解質を用いる二次電池用の負極に用いられる負極材料であって、該負極材料は、一般式SiOxで表される酸化珪素粒子の表面上に炭素皮膜が被覆されたものであり、かつ前記炭素皮膜は熱プラズマ処理されたものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材料を提供する。 【0058】 ここで、負極材に対する炭素被覆酸化珪素粒子の配合量は50~98質量%が望ましく、75~96質量%、特には80~96質量%がさらに望ましい。 そして、結着剤の配合量は、負極材中に1~20質量%が好適であり、3~15質量%がより望ましい。結着剤が少なすぎると負極活物質が分離することがあり、多すぎると空隙率が減少して絶縁膜が厚くなり、Liイオンの移動を阻害する場合がある。このため、1~20質量%とすることが望ましい。 更に、導電剤の配合量は、負極材中に50質量%以下(負極材あたりの電池容量は概ね1000mAHr/g以上となる)が望ましく、1~30質量%、更には1~10質量%が望ましい。導電剤の量が少ないと、負極材の導電性に乏しい場合があり、初期抵抗が高くなる傾向がある。一方、導電剤の量の増加は電池容量の低下につながるおそれがある。 3 当審の判断 (1)訂正発明1について ア 訂正発明1と引用発明1Aとを対比・判断する。 (ア)引用発明1Aの水溶性重合体は、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)を含む重合体であるから、(メタ)アクリルアミド基含有化合物由来の構成単位を含むものである。そして、(メタ)アクリルアミドが重合した水溶性重合体であるから、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドである。 また、引用発明1Aの水溶性重合体は、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)、アクリル酸(酸基含有単量体)以外の他の構成単位を含まないものであるから、訂正発明1の一般式(1)で表される構成単位を含まないものである。 以上より、引用発明1Aの「水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体を含む)」は、訂正発明1の「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)」に相当する。 (イ)引用発明1Aの「L-アスコルビン酸」は、水溶性である。また、L-アスコルビン酸の化学構造式は、 [図:0001415288000022.jpg] であり、複数の水酸基を有することから、多価アルコールといえる。 以上より、引用発明1Aの「L-アスコルビン酸」は、訂正発明1の「水溶性多価アルコール(B)」に相当する。 (ウ)引用発明1Aの「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、「水溶性重合体と水を含むバインダー組成物」であるから、リチウムイオン電池用バインダー水溶液であるといえる。 また、アミド基と水酸基は、熱により結合し、重合体は架橋し得るといえ、[0091]、[0092]の記載から、当該バインダー組成物は「温度120℃にて2分間加熱処理」されていることから、その際に、熱架橋されるといえる。 したがって、「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、熱架橋性であるといえる。 以上より、引用発明1Aの「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、訂正発明1の「リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液」に相当する。 (エ)訂正発明1は、「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Aは、そのような特定を有していない点で相違する。 (オ)上記(ア)~(エ)によれば、訂正発明1と引用発明1Aとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含む、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液。 <一般式(1)> 【化1】 [図:0001415288000023.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点1) 訂正発明1は、「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Aは、そのような特定を有していない点。 (カ)訂正発明1と引用発明1Aとは上記(オ)のように相違点1を有するものであるから、訂正発明1は引用発明1Aではない。 イ 訂正発明1と引用発明1Gとを対比・判断する。 (ア)引用発明1Gの水溶性重合体は、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)を含む重合体であるから、(メタ)アクリルアミド基含有化合物由来の構成単位を含むものである。そして、(メタ)アクリルアミドが重合した水溶性重合体であるから、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドである。 また、引用発明1Gの水溶性重合体は、アクリルアミド((メタ)アクリルアミド単量体)、アクリル酸(酸基含有単量体)、架橋性単量体(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)以外の他の構成単位を含まないものであるから、訂正発明1の一般式(1)で表される構成単位を含まないものである。 以上より、引用発明1Gの「水溶性重合体(酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、架橋性単量体を含む)」は、訂正発明1の「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)」に相当する。 (イ)引用発明1Gの「L-アスコルビン酸」は、水溶性である。また、L-アスコルビン酸の化学構造式は、 [図:0001415288000024.jpg] であり、複数の水酸基を有することから、多価アルコールといえる。 以上より、引用発明1Gの「L-アスコルビン酸」は、訂正発明1の「水溶性多価アルコール(B)」に相当する。 (ウ)引用発明1Gの「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、「水溶性重合体と水を含むバインダー組成物」であるから、リチウムイオン電池用バインダー水溶液であるといえる。 また、架橋性単量体(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)を含み、[0091]、[0092]の記載から、当該バインダー組成物は「温度120℃にて2分間加熱処理」されていることから、その際に、熱架橋されるといえるので、「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、熱架橋性であるといえる。 以上より、引用発明1Gの「リチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物」は、訂正発明1の「リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液」に相当する。 (エ)訂正発明1は、「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Gは、そのような特定を有していない点で相違する。 (オ)上記(ア)~(エ)によれば、訂正発明1と引用発明1Gとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、及び水溶性多価アルコール(B)を含む、リチウムイオン電池用熱架橋性バインダー水溶液。 <一般式(1)> 【化1】 [図:0001415288000025.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点2) 訂正発明1は、「乾燥することにより得られる膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Gは、そのような特定を有していない点。 (カ)訂正発明1と引用発明1Gとは上記(オ)のように相違点2を有するものであるから、訂正発明1は引用発明1Gではない。 (2)訂正発明2について ア 訂正発明2と引用発明1Bとを対比する。 引用発明1Bのリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物は、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)アの検討より、訂正発明2とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Bの「負極活物質としての人造黒鉛」は、訂正発明2の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Bは、そのような特定を有していない点で相違する。 したがって、訂正発明2と引用発明1Bとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000026.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点3) 訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Bは、そのような特定を有していない点。 訂正発明2と引用発明1Bとは上記のように相違点3を有するものであるから、訂正発明2は引用発明1Bではない。 イ 訂正発明2と引用発明1Cとを対比する。 引用発明1Cのリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物は、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)アの検討より、訂正発明2とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Cの「正極活物質としてのコバルト酸リチウム」は、訂正発明2の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Cは、そのような特定を有していない点で相違する。 したがって、訂正発明2と引用発明1Cとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000027.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点4) 訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Cは、そのような特定を有していない点。 訂正発明2と引用発明1Cとは上記のように相違点4を有するものであるから、訂正発明2は引用発明1Cではない。 ウ 訂正発明2と引用発明1Hとを対比する。 引用発明1Hのリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物は、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)イの検討より、訂正発明2とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Hの「負極活物質としての人造黒鉛」は、訂正発明2の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Hは、そのような特定を有していない点で相違する。 したがって、訂正発明2と引用発明1Hとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000028.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点5) 訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Hは、そのような特定を有していない点。 訂正発明2と引用発明1Hとは上記のように相違点5を有するものであるから、訂正発明2は引用発明1Hではない。 エ 訂正発明2と引用発明1Iとを対比する。 引用発明1Iのリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物は、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)イの検討より、訂正発明2とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Iの「正極活物質としてのコバルト酸リチウム」は、訂正発明2の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Iは、そのような特定を有していない点で相違する。 したがって、訂正発明2と引用発明1Iとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化2】 [図:0001415288000029.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点6) 訂正発明2は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」のに対し、引用発明1Iは、そのような特定を有していない点。 訂正発明2と引用発明1Iとは上記のように相違点6を有するものであるから、訂正発明2は引用発明1Iではない。 (3)訂正発明3について 訂正発明3は、訂正発明2を引用する発明であるから、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものである。 したがって、訂正発明3は引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明ではない。 (4)訂正発明6について ア 訂正発明6は、訂正発明2~5のいずれかを引用する発明である。 ここで、本件訂正に伴い、請求項5については、他の請求項の記載を引用しない独立形式の請求項に訂正された。 そうすると、訂正発明6は、独立形式の請求項である請求項2を直接又は間接に引用する発明、もしくは、独立形式の請求項である請求項5を引用する発明である。 以下では、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明6と、訂正発明5を引用する訂正発明6について、それぞれ検討を行う。 イ 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明6について 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明6と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものである。 したがって、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明6は引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明ではない。 ウ 訂正発明5を引用する訂正発明6について 訂正発明5を引用する訂正発明6についての検討を行うために、まず、訂正発明5と引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iとを対比する。 (ア)訂正発明5と引用発明1Bとを対比する。 引用発明1Bのリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物は、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)アの検討と同様に、訂正発明5とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Bの「負極活物質としての人造黒鉛」は、訂正発明5の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000030.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Bは、「L-アスコルビン酸」である点で相違する。 したがって、訂正発明5と引用発明1Bとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000031.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点7) 訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000032.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Bは、「L-アスコルビン酸」である点。 (イ)訂正発明5と引用発明1Cとを対比する。 引用発明1Cのリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物は、引用発明1Aのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)アの検討より、訂正発明5とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Cの「正極活物質としてのコバルト酸リチウム」は、訂正発明5の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000033.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Cは、「L-アスコルビン酸」である点で相違する。 したがって、訂正発明5と引用発明1Cとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000034.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点8) 訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000035.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Cは、「L-アスコルビン酸」である点。 (ウ)訂正発明5と引用発明1Hとを対比する。 引用発明1Hのリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物は、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)イの検討より、訂正発明5とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Hの「負極活物質としての人造黒鉛」は、訂正発明5の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000036.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Hは、「L-アスコルビン酸」である点で相違する。 したがって、訂正発明5と引用発明1Hとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000037.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点9) 訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000038.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Hは、「L-アスコルビン酸」である点。 (エ)訂正発明5と引用発明1Iとを対比する。 引用発明1Iのリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物は、引用発明1Gのリチウムイオン二次電池用の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むものであるから、上記(1)イの検討より、訂正発明5とは、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)を含む」「リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー」である点で一致する。 また、引用発明1Iの「正極活物質としてのコバルト酸リチウム」は、訂正発明5の「電極活物質(C)」に相当する。 しかし、訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000039.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Iは、「L-アスコルビン酸」である点で相違する。 したがって、訂正発明5と引用発明1Iとは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) (メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来の構成単位を含み、一般式(1)で表される構成単位を含まない、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)、水溶性多価アルコール(B)、及び電極活物質(C)を含む、リチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。 <一般式(1)> 【化4】 [図:0001415288000040.jpg] (一般式(1)中、mは1以上の整数である。R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。) (相違点10) 訂正発明5は、「前記水溶性多価アルコール(B)が、下記一般式(B1) 【化3】 [図:0001415288000041.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される」のに対し、引用発明1Iは、「L-アスコルビン酸」である点。 (オ)訂正発明5と引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明とは、上記(ア)~(エ)のように相違点7~10のいずれかの相違点を有するものである。 そして、訂正発明6は、訂正発明5を引用する発明であるから、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(ア)~(エ)に掲げた相違点7~10のいずれかの相違点を含むものである。 したがって、訂正発明5を引用する訂正発明6は引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明ではない。 (5)訂正発明7について ア 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明7について 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明7と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものである。 そして、引用文献2、3は、「炭素層で覆われたシリコン及び/又はシリコンオキサイドを5質量%以上含む」構成は、周知の構成であることを示すための文献であって、当該相違点3~6と関係する文献ではない。 また、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iには、HAZEを10%以下にすることに関する記載も示唆もなく、HAZEを10%以下にすることが周知の構成であると認めることもできず、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかから、相違点3~6に係る構成に関して当業者が容易に想到しうるものであると認めることができない。 したがって、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明7は、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明7について 訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明7について検討すると、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(4)ウ(ア)~(エ)に掲げた相違点7~10のいずれかの相違点を含むものである。 そして、引用文献2、3は、「炭素層で覆われたシリコン及び/又はシリコンオキサイドを5質量%以上含む」構成が周知の構成であることを示すための文献であって、当該相違点7~10と関係する文献ではない。 また、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iの「L-アスコルビン酸」は、一般式(B1)とは異なるものであるし、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iの「L-アスコルビン酸」を、一般式(B1)に置き換える動機付けもない。 したがって、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明7は、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)訂正発明8について 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明8と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものである。 また、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明8と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(4)ウ(ア)~(エ)に掲げた相違点7~10のいずれかの相違点を含むものである。 したがって、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明8、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明8は引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明ではない。 (7)訂正発明9~12について ア 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明9~12について 訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明9~12と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものである。 そして、引用文献2、3は、「炭素層で覆われたシリコン及び/又はシリコンオキサイドを5質量%以上含む」構成が周知の構成であることを示すための文献であって、当該相違点3~6と関係する文献ではない。 また、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iには、HAZEを10%以下にすることに関する記載も示唆もなく、HAZEを10%以下にすることが周知の構成であると認めることもできず、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかから、相違点3~6に係る構成に関して当業者が容易に想到しうるものであると認めることができない。 したがって、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明9~12は、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明9~12について 訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明9~12について検討すると、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記(4)ウ(ア)~(エ)に掲げた相違点7~10のいずれかの相違点を含むものである。 そして、引用文献2、3は、「炭素層で覆われたシリコン及び/又はシリコンオキサイドを5質量%以上含む」構成が周知の構成であることを示すための文献であって、当該相違点7~10と関係する文献ではない。 また、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iの「L-アスコルビン酸」は、一般式(B1)とは異なるものであるし、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iの「L-アスコルビン酸」を、一般式(B1)に置き換える動機付けもない。 したがって、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明9~12は、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 4 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、特許異議申立書及び意見書において、「HAZEが10%以下である」ことに関して、以下のような主張をしている。 「本件特許発明4は、「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液を乾燥し、得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である、請求項2又は3に記載のリチウムイオン電池用電極熱架橋性スラリー。」である。 これに対して、甲1発明Bにおいて「アクリル酸(25質量部)、アクリルアミド(75質量部)を含む水溶性重合体とL-アスコルビン酸を混合した水溶液の組成は、本件特許発明4の「前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)及び前記水溶性多価アルコール(B)を混合した水溶液」と組成成分が同じであり、かつ、組成比において、本件特許発明4に含まれるものであり、その組成物を乾燥し、得られる膜厚100μmのフィルムは、HAZEは10%以下であるといえる。」(特許異議申立書28頁) 「HAZEは、フィルムにおける基礎的な特性である。そして、「得られた膜厚100μmのフィルムのHAZEが10%以下である」ことは、本件特許に係る出願の審査において、審査官が、「引用文献1には、上記バインダー樹脂組成物を乾燥して得られた膜厚100のフィルムのHAZEは明記されていないが、上記バインダー樹脂組成物の組成から見て、仮に測定してみれば本願と同程度のHAZE値を有する蓋然性が高い。」と認定している程度のごく普通の値である。」(意見書2頁) 上記主張について検討する。 本件明細書において、HAZEを具体的に測定した値は、【0161】の【表2】に記載されており、いずれも10%以下である。 ここで、各実施例である実施例1-1~1-14をみるに、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれとも組成が一致するものはなく、特に、水溶性多価アルコール(B)が、「L-アスコルビン酸」である実施例は存在しない。 そうすると、HAZEがフィルムにおける基礎的な特性であるとしても、本件の各実施例とは組成が異なる引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1IのHAZEが10%以下になるものと認めることはできない。 したがって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 新規性について 取消理由通知では、請求項1~3、6、8~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する旨の通知をした。 特許異議申立理由では、取消理由通知で採用した請求項以外に、請求項4、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する旨の主張をしているので、以下で検討する。 請求項4に係る特許は、訂正により削除されたので、対象となる請求項が存在しないものとなった。 請求項7に係る特許に関して、上記第4の3(5)で検討したように、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明7と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記第4の3(2)ア~エに掲げた相違点3~6のいずれかの相違点を含むものであるし、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明7と、引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明との相違点は、少なくとも、上記第4の3(4)ウ(ア)~(エ)に掲げた相違点7~10のいずれかの相違点を含むものである。 したがって、訂正発明2を直接又は間接に引用する訂正発明7、訂正発明5を直接又は間接に引用する訂正発明7は引用発明1B、引用発明1C、引用発明1H、引用発明1Iのいずれかの発明ではない。 2 実施可能要件、サポート要件、明確性について 特許異議申立人は、特許異議申立書において、実施可能要件、サポート要件、明確性に関して、以下のような主張をしている。 「本件特許発明は、水溶性多価アルコール(B)を発明特定事項とするものであるが、 本件特許明細書には、 「【0079】 <水溶性多価アルコール(B)> 本発明の水溶性多価アルコール(B)は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)に存在する(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a)由来のアミド基との熱架橋反応性を有している。また、室温状態では架橋せず安定に存在するという潜在性を有している。熱架橋反応は電池製造工程のどの段階で架橋させるかは特に限定されず、例えば、スラリー塗布後の電極の乾燥時に架橋させても良いし、別に熱架橋工程を設けても良い。 【0080】 水溶性多価アルコール(B)は、水酸基を2個以上有するアルコールのうち、水溶性のものである。水溶性の定義は上述のものと同じである。水溶性多価アルコールは、各種公知のものを特に制限なく使用でき、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。」 と機能的かつ曖昧な定義が記載されており、当業者は、水溶性多価アルコール(B)に含まれる化合物を明確に理解することができない。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (中略) 同様の理由により、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることとの要件を満たさない。 (中略) 同様の理由により、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であることとの要件を満たさない。」(特許異議申立書37、38頁) しかし、水溶性多価アルコール(B)については、【0080】に「水酸基を2個以上有するアルコールのうち、水溶性のものである。」と定義され、【0081】には、具体的に、「水溶性多価アルコール(B)は、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が例示される。 これらの中でも一般式(B1): 【化8】 [図:0001415288000042.jpg] (式中、Rは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、nは1以上の整数である。)で表される水溶性多価アルコール、特にポリエチレングリコール(n=1~6)が、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド(A)との熱架橋性がよいことから好ましい。」と記載されていることからみて、当業者は、水溶性多価アルコール(B)に含まれる化合物を明確に理解することができるものである。 したがって、「本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。」「特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることとの要件を満たさない。」「特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であることとの要件を満たさない。」との特許異議申立人の主張を採用することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、請求項1~3、6~12に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に請求項1~3、6~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 更に、請求項4に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701110

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