特許異議申立
2023-701198
窒化ケイ素焼結体
- 審判番号
- 2023-701198
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-071651
- 登録番号
- 7278325
- 請求日
- 2023年11月13日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社MARUWA
- 【権利者代理人】松原 等
- 【異議申立人】松岡 孝代
- 審判長/審判官
- 審判長 河本 充雄
- 審判官 立木 林
- 審判官 金 公彦
- 分類
- P1651.113-Y (C04B) / P1651.121-Y (C04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第7278325号発明「窒化ケイ素焼結体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7278325号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7278325号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和3年4月21日に出願され、令和5年5月11日にその特許権の設定登録がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行された。その後、同年11月13日に特許異議申立人 松岡孝代により、本件の請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立てがなされた。
第2 本件発明
特許第7278325号の請求項1~6の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下、請求項1~6に係る発明を、請求項の項番にしたがって「本件発明1」等という。
「【請求項1】
窒化ケイ素焼結体の表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.9以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の10%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている窒化ケイ素焼結体。
【請求項2】
窒化ケイ素焼結体の表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.8以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の30%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている窒化ケイ素焼結体。
【請求項3】
前記エリアにおいて、ボイドの平面投影面積率が1.0%以下である請求項1又は2に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体を用いた回路基板。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体を用いた放熱部材。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体を用いた絶縁部材。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第5号証を提出し、以下の理由により、請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。なお、甲第1号証等を、略して「甲1」等という。
1 申立理由1(甲1を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如)
本件発明1~6は、甲1に記載された発明であるか、又は甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
2 申立理由2(甲2を主たる証拠とする新規性・進歩性欠如)
本件発明1~6は、甲2に記載された発明であるか、又は甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
3 証拠方法
甲第1号証 特開2010-235335号公報
甲第2号証 再公表特許WO2010/002001号
甲第3号証 特開2012-218983号公報
甲第4号証 特開2002-201075号公報
甲第5号証 特開2007-189112号公報
第4 特許異議申立理由についての当審の判断
1 各甲号証の記載事項
(1) 甲1の記載事項
甲1には、「セラミック焼結体、放熱基体および電子装置」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている(なお、記載の省略は「・・・」で表す。また、下線は当審が付与した。以下同様である。)。
ア 「【請求項1】
窒化珪素質のセラミック焼結体において、窒化珪素を主成分とする複数の結晶粒子の間に、希土類金属酸化物を含む粒界相を有してなり、任意断面の100μm2の領域内における前記粒界相の数が42個以下であることを特徴とするセラミック焼結体。」
イ 「【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一形態に係るセラミック焼結体の任意の断面における結晶構造を示し、(a)は倍率を1000倍として断面の2次電子像を撮影した写真であり、(b)は倍率を3000倍として断面の2次電子像を撮影した写真である。
・・・」
ウ 「【0071】
そして、焼成炉内の雰囲気を窒素雰囲気として、1800℃以上2000℃以下で5~40時間、好適には20~40時間保持することで本実施形態のセラミック焼結体を得ることができる。」
エ 「【実施例】
・・・
【0092】
このようにして得られた複数のセラミック成形体を焼成炉内に置かれた、純度が95質量%以上の窒化珪素焼結体からなる焼成用容器内に配置し、焼成炉内の雰囲気を窒素雰囲気として、1970℃で40時間保持することで本実施例のセラミック焼結体を得た。
・・・
【0096】
セラミック焼結体の絶縁破壊電圧は、JIS C 2110-1994(IEC 60243:1967(MOD))に準拠して測定した。・・・これら測定値を表1に示す。
【0097】
【表1】
[図:0001409152000001.jpg]
」
オ 「【図1】
[図:0001409152000002.jpg]
」
(2) 甲2の記載事項
甲2には、「窒化珪素基板及びその製造方法並びにそれを使用した窒化珪素回路基板及び半導体モジュール」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
β型窒化珪素の結晶粒子と、少なくとも1種類の希土類元素(RE)、マグネシウム(Mg)及び珪素(Si)を含有する粒界相からなる窒化珪素基板において、前記粒界相は非晶質相とMgSiN2結晶相からなり、前記希土類元素(RE)を含んだ結晶相のいずれの結晶面のX線回折線ピーク強度も前記β型窒化珪素の結晶粒子の(110)、(200)、(101)、(210)、(201)、(310)、(320)及び(002)の回折線ピーク強度の和の0.0005倍未満であり、前記MgSiN2結晶相の(121)のX線回折ピーク強度が前記β型窒化珪素の結晶粒子の(110)、(200)、(101)、(210)、(201)、(310)、(320)及び(002)のX線回折ピーク強度の和の0.0005~0.003倍であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。」
イ 「【0035】
なお、Mg成分を含んだ粒界相は蒸気圧が高いため、高温での焼結時に揮発や偏析を起こしやすく、焼結体表面層で気孔生成による密度低下や局部的な色調むらを生じる。このため、Mg成分を基板中に留めておくためには密閉式のセラミックス製の焼成容器を、望ましくは、BN製の焼成容器を用い、それらの内部におけるMg成分のガス濃度を一定に保つことで揮発するMg成分を抑制することで、極端な強度低下が回避できかつ高熱伝導相であるMgSiN2相を適度に析出させることが肝要である。・・・」
ウ 「【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
【0037】
・・・焼結は密閉式のBN製の焼成容器中にて行った。
・・・
【0049】
【表1】
[図:0001409152000003.jpg]
」
2 申立理由1(甲1を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如)について
(1) 甲1に記載された発明
上記1(1)アによれば、甲1には以下の発明が記載されているといえる(以下、「甲1発明」という。)。
「窒化珪素質のセラミック焼結体において、窒化珪素を主成分とする複数の結晶粒子の間に、希土類金属酸化物を含む粒界相を有してなり、任意断面の100μm2の領域内における前記粒界相の数が42個以下であるセラミック焼結体。」
(2) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「窒化珪素を主成分とする」「窒化珪素質のセラミック焼結体」は、本件発明1の「窒化ケイ素焼結体」に相当することから、本件発明1と甲1発明とは、「窒化ケイ素焼結体」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件発明1が「表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.9以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の10%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている」のに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。
イ 判断
相違点1-1に係る本件発明1の構成について、甲1~5には記載も示唆もないから、本件発明1は甲1発明でないし、また甲1発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(3) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、両者は「窒化ケイ素焼結体」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-2>
本件発明1が「表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.8以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の30%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている」のに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。
イ 判断
相違点1-2に係る本件発明2の構成について、甲1~5には記載も示唆もないから、本件発明2は甲1発明でないし、また甲1発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(4) 本件発明3~6について
本件発明3~6は、少なくとも相違点1-1又は相違点1-2に係る本件発明1又は2の構成を含むものであるから、上記(2)又は上記(3)で検討した理由と同様の理由により、本件発明3~6は、甲1発明でないし、また甲1発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(5) 申立人の主張について
ア 申立人の主張の概要
特許異議申立書において、申立人は、概略、以下の点を主張している。
甲1に記載されたセラミック焼結体は、(i)製造方法及び(ii)特性が共通し、且つ(iii)断面の写真から看取される性状も本件発明の性状と同じであるから、相違点1―1及び相違点1―2に係る本件発明1、2の構成を備える蓋然性が高い(特許異議申立書の33ページ12~17行、35ページ13~24行)。
イ 申立人の主張の検討
(ア) 製造方法について、本件特許明細書【0018】には、窒化ケイ素焼結体の焼結工程を「1930≦焼成温度(℃)+焼成時間(hr)×50≦2200」とすること(以下、「本件焼成条件」という。)、これによりボイド形状の凹凸が小さくなることが記載されている。
一方、甲1には、本件焼成条件とすることについて記載も示唆もない。甲1には、セラミック焼結体の焼成条件として「1800℃以上2000℃以下で5~40時間」とすることが記載されているものの(上記1(1)ウの【0071】)、当該焼成条件であれば、必ず本件焼成条件を満たすものでもない。例えば、甲1に記載された実施例の焼成条件の場合、1970(℃)+40(hr)×50=3970であり、本件焼成条件の範囲外である(上記1(1)エの【0092】)。
以上のとおりであるから、少なくとも本件焼成条件を満たすか否かという点で、本件発明に係る窒化ケイ素焼結体の製造方法と、甲1に係るセラミック焼結体の製造方法とが共通するとはいえず、この点はボイド形状の凹凸に影響するものである。
(イ) 特性について、申立人は、上記1(1)オによれば、甲1における実施例の試料No.1、同No.2の絶縁破壊電圧は52MV/m、51MV/mであることが記載されており、これらを100μm当たりの値に換算すると、それぞれ5.2kV/100μm、5.1kV/100μmとなるので、本件特許明細書【0024】に記載された「厚さ100μmに加工して測定した絶縁破壊電圧が5kV以上」と効果に差異がない旨、主張している(特許異議申立書の30ページ下から7行~31ページ2行も参照)。
しかしながら、絶縁破壊電圧とボイド形状の凹凸形状とは別物であるし、セラミック焼結体の絶縁破壊電圧に差異がなければ、ボイド形状の凹凸が同様となるという技術常識も確認できない。
(ウ) 断面の写真から看取される性状について、甲1の図1には、甲1に係るセラミック焼結体の断面における2次電子像を撮影した写真が記載されており(上記1(1)イ、オ)、当該写真からスケールバーも見て取ることができる。
しかしながら、当該写真からボイド部分を正確に見て取ることはできず、仮にボイドが存在したとしても、その凹凸形状を評価できるほど明瞭に把握することはできないことから、「断面の写真から看取される性状も相違点1-1、1-2に係る本件発明の性状と同じである」とはいえない。
(エ) 以上のとおり、甲1に記載されたセラミック焼結体と本件発明の窒化ケイ素焼結体の製造方法は共通するとはいえず(上記(ア))、絶縁破壊電圧の特性が共通することはボイド形状の凹凸が同様の構成となることの論拠になるとはいえず(上記(イ))、また甲1の図1から本件発明と同様のボイド形状の凹凸であることも把握できない(上記(ウ))から、申立人の主張は採用できない。
(6) 申立理由1についての結論
以上によれば、本件発明1~6は、甲1に記載された発明でなく、また、甲1に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものでない。
よって、申立理由1には理由はない。
3 申立理由2(甲2を主たる証拠とする新規性、進歩性欠如)について
(1) 甲2に記載された発明
上記1(2)ア、ウに記載された事項を、上記1(2)ウの実施例6に着目して整理すると、甲2には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「甲2発明」という。)。
「相対密度99.1%の窒化珪素質焼結体。」
(2) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「窒化珪素質焼結体」は、本件発明1の「窒化ケイ素焼結体」に相当することから、本件発明1と甲2発明とは、「窒化ケイ素焼結体」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1が「表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.9以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の10%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている」のに対し、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
イ 判断
相違点2-1に係る本件発明1の構成について、甲1~5には記載も示唆もないから、本件発明1は甲2発明でないし、また甲2発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(3) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲2発明とを対比すると、両者は「窒化ケイ素焼結体」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-2>
本件発明2が「表面を50μm以上研磨した研磨面の任意の少なくとも1つの64μm×48μmのエリアにおいて、ボイドの輪郭線内の面積をボイドの包絡線内の面積で除して算出される凹凸度が0.8以上であるボイドの個数が、ボイドの全個数の30%以上を占め、かつ、当該凹凸度が0.7未満であるボイドの個数が、ボイドの全個数の43%以下を占めている」のに対し、甲2発明は、そのような特定がされていない点。
イ 判断
相違点2-2に係る本件発明2の構成について、甲1~5には記載も示唆もないから、本件発明2は甲2発明でないし、また甲2発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(4) 本件発明3~6について
本件発明3~6は、少なくとも相違点2-1又は相違点2-2に係る本件発明1又は2の構成を含むものであるから、上記(2)又は上記(3)で検討した理由と同様の理由により、本件発明3~6は、甲2発明でないし、また甲2発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(5) 申立人の主張について
ア 申立人の主張の概要
特許異議申立書において、申立人は、概略、以下の点を主張している。
本件製造方法と甲2に記載された製造方法は共通しており、本件特許発明に係る窒化ケイ素焼結体と甲2に記載された発明に係る窒化珪素基板の特性も重複しており、相対密度が100%を下回っていることから、ボイドが存在することも分かるため、甲2に記載された発明に係る窒化珪素基板においても、相違点2―1及び相違点2―2に係る本件発明1、2の構成である蓋然性が高い(特許異議申立書の43ページ下から12~下から4行、44ページ10~17行)。
イ 申立人の主張の検討
本件特許明細書【0018】の記載によれば、窒化ケイ素焼結体の焼結工程において、「焼成用の閉鎖状態の筐体内に、製造する窒化ケイ素焼結体とは別体の予め焼結した板状の窒化ケイ素焼結体(以下「ダミー窒化ケイ素焼結体」という。)を配置する」こと、これにより、「製造する窒化ケイ素焼結体のSiO2の揮発が抑制され」、「粒界相の」「結晶化が抑制され」ることが理解できる。さらに、同【0018】における本件焼成条件に関する記載から、粒界相の結晶化は、「ボイド形状の凹凸」にも影響することが理解できる。
そうすると、窒化ケイ素焼結体の焼結工程において、焼成用の閉鎖状態の筐体内に、ダミー窒化ケイ素焼結体を配置することは、ボイド形状の凹凸に影響するものということができる。
一方、甲2には、ダミー窒化ケイ素焼結体を配置して焼結することは記載されていない。なお、甲2には、密閉式のセラミックス製(BN製)の焼成容器を用いることで、Mg成分を基板中に留めておくことは記載されているものの(上記1(2)イ)、SiO2の揮発抑制については記載されていない。
そうすると、窒化ケイ素焼結体中のボイド形状の凹凸に影響する手法である、焼結工程におけるダミー窒化ケイ素焼結体の有無の点で、本件製造方法と甲2に記載された製造方法とは異なるから、甲2に記載された発明に係る窒化珪素基板が、相違点2―1、相違点2―2に係る本件発明1、2の構成を有するということはできず、上記主張は採用できない。
(6) 申立理由2についての結論
以上によれば、本件発明1~6は、甲2に記載された発明でなく、また、甲2に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものでない。
よって、申立理由2には理由はない。
第5 まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701198