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特許異議申立

2025-700262

泡吐出容器

審判番号
2025-700262
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-236584
登録番号
7551294
請求日
2025年03月03日
審決日
2025年11月19日
公報発行日
2026年02月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大和製罐株式会社
  • 【権利者代理人】渡邉 丈夫
  • 【権利者代理人】中本 菊彦
  • 【異議申立人】安藤 宏
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 川口 真一
  • 審判官 長馬 望
分類
P1651.121-YAA(F04B) / P1651.537-YAA(F04B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7551294号発明「泡吐出容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7551294号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第7551294号の請求項2、3に係る特許を維持する。 特許第7551294号の請求項1に係る特許についての申立てを却下する。

理由

理 由 第1.手続の経緯 特許第7551294号の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和元年12月26日の特許出願であって、令和 6年 9月 6日にその特許権の設定登録がされ、令和 6年 9月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許の請求項1~3について、令和 7年 3月 3日付けで特許異議申立人 安藤 宏により特許異議の申立てがされ、同年 6月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年 8月29日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされたものである。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 令和 7年 8月29日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1~3のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2の記載のうち「請求項1に記載の泡吐出容器であって、」との請求項1を引用する記載について、独立形式に改めて、「発泡性の液体を収容する容器の開口部にキャップが取り付けられるとともに、前記キャップに泡を吐出する吐出口を有するノズル部が上下動可能に保持され、前記ノズル部と共に上下動する空気ポンプと液体ポンプと、前記空気ポンプが気密状態に嵌合しかつ前記空気ポンプの上下動に伴って空気を前記吐出口に向けて押し出す空気シリンダと、前記液体ポンプが液密状態に嵌合しかつ前記液体ポンプの上下動に伴って前記液体を前記吐出口に向けて押し出す液体シリンダと、前記空気シリンダから押し出された空気と前記液体シリンダから押し出された前記液体とを混合する混合室と、前記空気と混合した前記液体を発泡させるとともに、前記泡を微細化する多孔質体とが前記キャップの内部に設けられた泡吐出容器であって、前記発泡性の液体が、洗浄剤であって、粘度が4.5mPa・s以上かつ12mPa・s以下であり、前記空気シリンダと前記液体シリンダとのそれぞれは、円筒状に構成されるとともに、前記空気シリンダの直径の自乗の前記液体シリンダの直径の自乗に対する比率が15.5以上かつ30.5以下であり、前記ノズル部を押して前記空気シリンダから押し出される空気と前記液体シリンダから押し出される前記液体との体積比である発泡倍率が15.5以上かつ30.5以下であり、前記吐出口から吐出される前記泡が、0.03g/cm3から0.06g/cm3の泡密度となるように構成され、前記泡の外表面側の気泡の最大径が450μm以下で、かつ前記泡の外表面側の複数の気泡の平均径が200μm以下であり、」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3について、引用する請求項として記載されていた「請求項1または2」を、請求項1を削除することに伴って、請求項2を引用する記載に改めて、「請求項2に記載の泡吐出容器であって、前記吐出口の開口端の直前に、メッシュサイズが#305のネットが配置されていることを特徴とする泡吐出容器。」に訂正する。 2.訂正要件についての判断 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア.訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が、訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消して、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2による訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア.訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3の引用先が請求項1または2であったところを、新たな引用先として請求項2に限定するものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減にあたり、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項3の引用先が請求項1または2であったところを、新たな引用先として請求項2に限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)一群の請求項について 本件訂正請求は、一群の請求項〔1~3〕に対して請求されたものである。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1~3]について訂正を認める。 第3.訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~3に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 発泡性の液体を収容する容器の開口部にキャップが取り付けられるとともに、前記キャップに泡を吐出する吐出口を有するノズル部が上下動可能に保持され、前記ノズル部と共に上下動する空気ポンプと液体ポンプと、前記空気ポンプが気密状態に嵌合しかつ前記空気ポンプの上下動に伴って空気を前記吐出口に向けて押し出す空気シリンダと、前記液体ポンプが液密状態に嵌合しかつ前記液体ポンプの上下動に伴って前記液体を前記吐出口に向けて押し出す液体シリンダと、前記空気シリンダから押し出された空気と前記液体シリンダから押し出された前記液体とを混合する混合室と、前記空気と混合した前記液体を発泡させるとともに、前記泡を微細化する多孔質体とが前記キャップの内部に設けられた泡吐出容器であって、 前記発泡性の液体が、洗浄剤であって、粘度が4.5mPa・s以上かつ12mPa・s以下であり、 前記空気シリンダと前記液体シリンダとのそれぞれは、円筒状に構成されるとともに、前記空気シリンダの直径の自乗の前記液体シリンダの直径の自乗に対する比率が15.5以上かつ30.5以下であり、 前記ノズル部を押して前記空気シリンダから押し出される空気と前記液体シリンダから押し出される前記液体との体積比である発泡倍率が15.5以上かつ30.5以下であり、 前記吐出口から吐出される前記泡が、0.03g/cm3から0.06g/cm3の泡密度となるように構成され、 前記泡の外表面側の気泡の最大径が450μm以下で、かつ前記泡の外表面側の複数の気泡の平均径が200μm以下であり、 前記多孔質体のメッシュサイズは、前記混合室側が#100、前記吐出口側が#200である ことを特徴とする泡吐出容器。 【請求項3】 請求項2に記載の泡吐出容器であって、 前記吐出口の開口端の直前に、メッシュサイズが#305のネットが配置されていることを特徴とする泡吐出容器。」 第4.取消理由通知に記載した取消理由について 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1~3に係る特許に対して、当審が令和 7年 6月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、あるいは、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)請求項2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)請求項3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)請求項1及び請求項1を直接引用する請求項3は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 引用文献1:特開2007-261688号公報(甲第1号証) 引用文献2:特開2018-2637号公報(甲第2号証) 引用文献3:特開2019-151360(甲第3号証) 引用文献4:実用新案登録第2572386号公報(甲第6号証) 2 当審の判断 (1)引用文献の記載及び引用発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載 特許異議申立人が甲第1号証として提出し、令和 7年 6月30日付け取消理由通知で引用した引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。) a 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 液体洗浄剤組成物が収容される容器本体の口頸部に泡吐出ポンプが取り付けられ、前記泡吐出ポンプは、内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、泡吐出口が設けられると共に上方に付勢された状態の前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを一体的に押し下げる作動部材と、前記液用シリンダから供給される液体洗浄剤組成物と前記空気用シリンダから供給される空気とが混合される混合室と、前記泡吐出口と前記混合室との間の流路に配置された発泡用部材とを備え、前記作動部材を押圧操作して前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを付勢力に抗して押し下げることにより、前記混合室内で空気と混合された液体洗浄剤組成物を前記発泡用部材により発泡させて前記泡吐出口より吐出する液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器であって、 前記混合室で混合される空気と液体洗浄剤組成物との体積比が15:1~35:1であり、 前記泡吐出ポンプは、前記混合室の液流入口に設けられた弁座と、前記弁座に対して着座及び離間可能に設けられた弁体と、前記弁体を前記弁座の着座位置に復帰させる復帰手段とを有し、 前記液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、両性界面活性剤(B)、半極性界面活性剤(C)のうち少なくとも1つ以上を含有し、その合計量が3~25質量%であり、なお且つ、5/1≦A/(B+C)≦1/5の関係を満足することを特徴とする液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。」 b 「【0012】 泡吐出ポンプ10は、例えば容器本体1の口頸部1aに着脱自在に装着された装着キャップ2を介して容器本体1に取り付けられている。また、泡吐出ポンプ10は、この装着キャップ2の下面から容器本体2の内部に向かって垂下されるシリンダ部材11を備えている。 【0013】 シリンダ部材11は、装着キャップ2の下面に取り付けられた環状のフランジ部12と、このフランジ部12から垂下された略円筒状の空気用シリンダ13と、この空気用シリンダ13よりも小径且つ空気用シリンダ13の底部中央から同心円状に垂下された略円筒状の液用シリンダ14とを有している。また、液用シリンダ14の下端には、容器本体1に収容された内容液を吸い込む吸込パイプ15が接続されており、この吸込パイプ15の下端は、容器本体1の底部まで延びている(図示せず。)。 【0014】 装着キャップ2は、このシリンダ部材11を容器本体1の内部に挿入し、口頸部1a上に配置したパッキン3の上にフランジ部12を当接させた状態で口頸部1aの外周部に螺合により装着されている。 【0015】 泡吐出ポンプ10は、この泡吐出ポンプ10を動作させる作動部材20として、液用シリンダ14内に配置されたコイルスプリング22により上方に付勢された状態で上下方向に移動可能に支持された筒状のピストンガイド21と、このピストンガイド21の上端部に接続されると共に装着キャップ2の中央に設けられた筒状部2aから上方に向かって突出されたステム23と、このステム23の先端部に配置されたノズルヘッド24とを有している。」 c 「【0028】 メッシュリング37a,37bは、図1に示すように、混合室31内で空気と混合された内容液を発泡させるための発泡用部材であり、下部側のメッシュリング37aは、筒状部材の下部開口部にメッシュが取り付けられ、上部側のメッシュリング37bは、筒状部材の上部開口部にメッシュが取り付けられた構造を有している。なお、筒状部材に対するメッシュの配置については、両端開口部のうち一方のみに配置する構成に限らず、両方に配置することも可能である。また、メッシュについては、100メッシュ以上であることが泡形成性の点から好ましく、より好ましくは100~400メッシュであり、更に好ましくは100~300メッシュである。また、メッシュの枚数については、1~4枚であることが泡形成性の点から好ましく、より好ましくは2~3枚である。 【0029】 ノズルヘッド24は、ステム23の上端部にステム23と一体に設けられたヘッド部24aと、このヘッド部24aの側面から延長された泡吐出口となるノズル部24bとを有している。このうち、ヘッド部24aは、押圧操作される部分であり、その内側にステム23からノズル部24bへと内容液を導く流路24cが設けられている。ノズル部24bは、この流路24cと連通されると共に、ヘッド部24aの側面部からほぼ水平方向に延長され、その先端部が下方に向かって僅かに屈曲した細長形状を有している。また、ヘッド部6の下面からは、筒状部1aの周囲を囲む外側筒部24dが垂下されており、この外側筒部24dの下端にはリング部材39が嵌め込まれている。なお、装着キャップ2の筒状部2aには、ノズルヘッド24の押圧方向の移動を係止するストッパー40が着脱可能となっている。」 d 「【0032】 この状態から、作動部材20であるノズルヘッド24を押圧操作してステム23及びピストンガイド21をコイルプスリング24の付勢力に抗して押し下げると、液用ピストン25及び空気用ピストン27が一体となって下降する。このとき、ポペット26の上部弁体26bがピストンガイド21の弁座21aから離間して、このピストンガイド21の上部開口を開放する。また、下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内が加圧されると、この液用シリンダ14内で加圧された内容液がポペット26を押圧して下降させる。これにより、ポペット26の下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aに着座して、液用シリンダ14の下部門口を閉塞する。 【0033】 一方、空気用ピストン27は、ノズルヘッド24の押し下げ開始直後はシール筒部27bと空気用シリンダ13との摩擦力によって停止しており、その状態でピストンガイド21が下降することによって、図3中の中心線に対して右半分側で示されるように、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dから離間し、空気用シリンダ13と縦溝30との間が連通された状態となる。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間に当接されることによって空気流入孔28を開塞する。そして、この空気用ピストン27は、ステム23の下端が当接された以降はピストンガイド21と一体となって下降する。 【0034】 下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内で加圧された内容液は、液流入弁31の弁体34を押圧して、この弁体34を弁座33から離間させる。これにより、液用シリンダ14内で加圧された内容液が液流入口31aを通って混合室31に流入することになる。一方、下降する空気用ピストン27により空気用シリンダ15内で加圧された空気は、縦溝30及び隙問38によって形成された空気流路を通って混合室31に流入することになる。 【0035】 混合室31内では、供給された内容液と空気とが撹拌されて、この空気と混合された内容液が液流出口31bを通ってステム23側へと送られる。そして、ジェットリング36及び2つのメッシュリング37a,37bを通過した内容液は、発泡されて泡状となり、ノズルヘッド24の流路24cを通ってノズル部24bの先端部から吐出される。」 e 「【0042】 具体的に、上記泡吐出容器では、混合室31で混合される空気と内容液との体積比(気液混合比)が15:1~35:1(すなわち、内容液を1としたときの空気の割合が15/1~35/1)に設定されている。気液混合比が15:1~35:1の範囲を超えると、粗密な泡となってしまい泡の持続性が悪くなる。 また、ノズルヘッド24を押圧操作するのに必要な押圧は、例えば子供や老人といった利用者にとっても使いやすい30.9N以下とすることが好ましい。 また、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される内容液(泡)の泡体積を20~50mLとすることが好ましい。 【0043】 このような条件を満足しつつ、ノズルヘッド24の1回の押圧操作に対する泡の吐出量を大きくする場合には、このノズルヘッド24の1回の押圧操作によって、空気用シリンダ13から混合室31に供給される空気の供給量を24~56mL、液用シリンダ14から混合室31に供給される内容液の供給量を1.5~2.0mLとすることが好ましい。 また、この場合、ノズル24bから吐出される(泡状の)内容液の吐出量を1.6g以上とすることができる。 【0044】 なお、本実施の形態では、キャップ本体1にHDPE(高密度ポリエチレン)からなるものを用い、その内容量は580mL(満720mL)であり、質量は50gである。気/液比を19/1とし、ノズルヘッド24を押圧操作する際のストロークを25mmとしている。そして、ノズルヘッド24の1回の押圧操作でノズル24bから吐出される(泡状の)内容液の吐出量は1.6gである。」 f 「【0057】 液体洗浄剤組成物は、このような組成範囲とすることで、混合室31で混合される空気と内容液との体積比が15:1~35:1である場合において、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される内容液(泡)をきめの細かいクリーミーな泡質とすることができ、且つ、泡の持続性を良好なものとすることができる。」 g 「【0059】 また、液体洗浄剤組成物の製剤粘度は、ポンプの押し易さに影響しており、この製剤粘度をBL型粘度計(東京計器製、ローターNo.1、60rpm、1分後測定、15℃)で測定した場合に、40mpa・s以下とすることが好ましく、より好ましくは15mPa・s以下である。これにより、ポンプ操作を容易に行うことができる。」 h 「【実施例】 【0068】 以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。 (実施例1~7及び比較例1~5) 実施例1~7及び比較例1~5では、図1に示す上記泡吐出容器と同様の泡吐出容器を実際に作製し、この容器に液体洗浄剤組成物の各成分を変更したものを収容して、泡を吐出させた際の泡の形成性、泡の持続性、泡のすすぎ易さ、及びポンプの押し易さについての評価試験を行った。 【0069】 具体的に、実施例1~7及び比較例1~5では、泡吐出容器に下記表1,2に示す配合で調製した皮膚用液体洗浄剤組成物を収容してなる各サンプルを作製した。なお、表1,2中の配合量は質量%(純分換算)である。また、泡吐出容器の気/液比は19/1であり、ポンプストロークは25mmであり、内容液の1回の吐出量は1.6gであり、液用ピストンの径は8.6mmであり、空気用シリンダーの径は39.7mmである。メッシュは200メッシュを2枚使用した。また、表1,2中の水酸化カリウムはpH調整剤であり、適量添加することでpH10.4に調整した、なお、比較例5については水酸化カリウムを添加せず、pHの調整を行わなかった。pHはpHメーター(東亜電波工業製HM-30G、1分後、25℃)で測定した。」 i 【表2】 [図:0001432074000001.jpg] j 【図1】 [図:0001432074000002.jpg] k 上記a、d(段落【0035】)から、内容液は、発泡されて泡状となる発泡性の液体であって、液体洗浄剤組成物であるといえる。 l 上記b(段落【0015】)、c(段落【0029】)及びjから、泡吐出ポンプ10は、装着キャップ2に泡吐出口であるノズル24bを有するノズルヘッド24が上下動可能に保持される機構を備えているといえる。 m 上記aには、液用ピストン25及び空気用ピストン27を一体的に押し下げる作動部材20、前記作動部材を押し下げることにより、混合室内で空気と混合された内容液を発泡させてノズル部24bより吐出する構成を備える泡吐出容器が記載されている。ここで、作動部材20はノズルヘッド24と一体であることから(上記d段落【0032】、上記j図1)、当該泡吐出容器は、ノズルヘッド24と共に上下動する空気用ピストン27と液用ピストン25を備えているといえる。そして、前記作動部材20を押圧操作して前記液用ピストン25及び前記空気用ピストン27を付勢力に抗して押し下げることにより、混合室31内で空気と混合された液体洗浄剤組成物、つまり内容液を発泡用部材により発泡させてノズル部24bより吐出する構成が記載されていることから、空気用ピストン27を押し下げることにより前記空気を混合室31に供給する空気用シリンダ13と、液用ピストン25を押し下げることにより前記内容液を混合室31に供給する液用シリンダ14が記載されているといえ、また、前記空気と前記内容液は、混合室31を経た後、ノズル部24bに向けて供給されることが記載されている。 n 上記aには、混合室31内で空気と混合された内容液を発泡用部材により発泡させることが記載され、上記d(段落【0035】)には、内容液が発泡用部材を通過することにより発泡され泡状となることが記載されている。そして、上記h(段落【0069】)には、実施例として、200メッシュのメッシュを2枚使用することが記載されているから、発泡用部材として200メッシュである2枚のメッシュリング37a,37bを設けることが把握でき、上記j(【図1】)には、空気用ピストン27、液用ピストン25、空気シリンダ13、液用シリンダ14、混合室31及びメッシュリング37a,37bが装着キャップ2の内部に設けられた泡吐出容器が記載されている。 o 表2(上記i)には、「実施例5」における製剤粘度が10mPa・sと示されている。 p 「実施例5」において、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される内容液(泡)の泡体積について、上記i(【表2】)からは明らかでないが、上記e(段落【0042】)を参照すると「20~50mL」であると解することができる。 (イ)引用発明 前記(ア)a~pによると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「内容液が収容される容器本体1の口頸部1aに装着キャップ2が着脱自在に装着されるとともに、前記装着キャップ2に泡吐出口であるノズル部24bを有するノズルヘッド24が上下動可能に保持され、前記ノズルヘッド24と共に上下動する空気用ピストン27と液用ピストン25と、内部を前記空気用ピストン27が摺動し、前記空気用ピストン27を押し下げることにより前記空気を混合室31に供給する空気用シリンダ13と、内部を前記液用ピストン25が摺動し、前記液用ピストン25を押し下げることにより前記内容液を混合室31に供給する液用シリンダ14と、前記空気用シリンダ13から供給される空気と前記液用シリンダ14から供給される前記内容液とが混合される混合室31と、前記空気と混合した前記内容液を発泡させるとともに、泡状とする200メッシュである2枚のメッシュリング37a、37bからなる発泡用部材とが前記装着キャップ2の内部に設けられた泡吐出容器であって、 前記内容液が、液体洗浄剤組成物であって、製剤粘度が10mPa・sであり、 前記空気用シリンダ13と前記液用シリンダ14とのそれぞれは、略円筒状に構成されるとともに、空気用シリンダ13の径は39.7mmであり、液用ピストン14の径は8.6mmであり、 泡吐出容器の気液比は19/1であり、 ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される泡体積を20~50mLとし、(泡状の)内容液の吐出量を1.6gとなるように構成され、 発泡用部材として200メッシュである2枚のメッシュリング37a,37bを設ける 泡吐出容器。」 イ 引用文献2 特許異議申立人が甲第2号証として提出し、令和 7年6月30日付け取消理由通知で引用した引用文献2には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0006】 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、毛髪洗浄剤、毛髪保護料を、特定構造を有するノンガスタイプフォーマー容器から吐出させた泡状形態とすることにより、毛髪洗浄及びその後のトリートメントにおいて、毛髪同士の摩擦を低減させることができ、毛髪損傷を防止できることを見出した。」 (イ)「【0097】 本発明のノンガスタイプフォーマー容器から吐出する本発明の泡状毛髪化粧料の泡の直径の平均値は、特に限定されないが、好ましくは0.01~1mm、より好ましくは0.1~0.3mm、さらに好ましくは0.15~0.25mmである。泡の平均直径がこの範囲内にあることにより、本発明の泡状毛髪化粧料の泡のきめ細やかさ、クッション性、ボリューム感が一層向上し、毛髪同士の摩擦による擦れが低減され、毛髪のダメージを効果的に防止することができる。泡の平均直径がこの範囲を超えると、泡のきめ細やかさが不十分となり、毛髪がダメージを受けやすくなる。また、泡の平均直径がこの範囲未満であると、泡が硬くなり、毛髪に馴染みにくくなる。 また、本発明のノンガスタイプフォーマー容器から吐出する本発明の泡状毛髪化粧料の泡の直径の標準偏差は、特に限定されないが、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下、さらに好ましくは0.06mm以下である。泡の直径の標準偏差がこの範囲内にあることにより、本発明の泡状毛髪化粧料の泡のきめ細やかさの均一性、クッション性、ポリューム感が一層向上し、毛髪同士の摩擦による擦れが低減され、毛髪のダメージを効果的に防止することができる。」 (ウ)上記(イ)において、泡の直径の平均値について、さらに好ましくは0.15~0.25mm(150~250μm)と示されており、また、泡の直径の標準偏差について、さらに好ましくは0.06mm(60μm)と示されている。直径の平均値を250μmとし、標準偏差σを60μmとすると、3σ(±180μm)の範囲である70μm~430μmの範囲に99.7%が含まれるということができる。 ウ 引用文献3 特許異議申立人が甲第3号証として提出し、令和 7年6月30日付け取消理由通知で引用した引用文献3には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0005】 本発明は、よりきめ細かい泡を吐出することが可能な構造の泡吐出記、泡吐出キャップ、泡吐出器用アタッチメント、及び、液体詰め泡吐出容器に関する。」 (イ)「【0011】 図1に示すように、本実施形態に係る泡吐出器100は、泡が通過する泡流路40と、泡流路40を通過した泡を吐出する吐出口71bと、泡流路40に対して交差する姿勢で当該泡流路40の内部に配置されていて泡を通過させる開口82(図2(a)、図2(b)、図3)を有する板状の薄板部80と、開口82よりも日開きが細かく薄板部80に対して当接又は近接して開口82を塞いでいるメッシュ90と、を備えている。 本実施形態によれば、薄板部80によって泡の流路が絞り込まれることによって泡の流速が増大している状態で、泡がメッシュ90を通過する。これにより、メッシュ90による泡の剪断がより確実に生じることから、泡がよりきめ細かくなる。よって、泡吐出器上100は、よりきめ細かい泡を吐出口71bから吐出することが可能である。」 (ウ)「【0024】 本実施形態の場合、泡吐出器100は、手動式のポンプ容器(ポンプフォーマー)であり、液体を泡化するフォーマー機構20を備えている。泡吐出器100は、泡となる液体101を貯留する容器本体10を備えている。容器本体10には、液体101が常圧で貯留されている。」 (エ)「【0056】 より詳細には、図5(a)、図6(a)、図7及び図8(a)には、各実施例及び各比較例の条件として、メッシュ90の目の細かさ又はメッシュ使用の有無(図中の「メッシュ」の行)、薄板部80に形成されている開口82の開口径と開口82の数又は薄板部の使用の有無(図中の「薄板部」の行)、開口率(薄板部80における開口82の合計面積の割合)、薄板部80の厚み寸法(図中の「薄板部厚み」の行)、メッシュ90と薄板部80との距離、及び、液体の種類を示している。各実施例及び各比較例において、ヘッド部30を押し下げる速度は、すべて30mm/sとした。 また、図5(a)、図6(a)及び図7には、各実施例及び各比較例について、得られた泡の性状等の特性(結果)として、平均泡径(半径)、平均泡径の低下率、泡径の標準偏差、及び、ヘッド部30の押し圧を示している。なお、これらの泡の性状等の特性(結果)は、泡の吐出動作を3回行ったときの平均値である。」 (オ)「【図1】 [図:0001432074000003.jpg] 」 (カ)「【図5】 [図:0001432074000004.jpg] 」 (キ)「【図6】 [図:0001432074000005.jpg] 」 エ 引用文献4 特許異議申立人が甲第6号証として提出し、令和 7年6月30日付け取消理由通知で引用した引用文献4には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本考案は、シェービングフォームやハンドソープやシャンプー等の発泡性の液体を、空気と混合させて発泡させた後に、均一な泡を小出しに噴出する泡出しポンプ容器に関する。」 (イ)「【0049】即ち、本考案では、混合室の下流の泡通路に配設される前記多孔シートの中、混合室に近い多孔シート(上流側多孔シート)とその次に位置する多孔シート(下流側多孔シート)とが10mm以上間隔を置いて配設され、該上流側多孔シートの各開孔部を0.10mm2以上とし、該下流側多孔シートの各開孔部を0.015mm2以下にし、且つ上流側多孔シートに対し下流側多孔シートの各開孔部の大きさを約60%以下に形成した。 【0050】 【作用】本考案の泡出しポンプ容器においては、上述の如く、2枚以上の多孔シートの中、混合室に近い多孔シートと、その次に位置する多孔シートの配設間隔や開孔部の大きさを特定の条件に設定しているので後記実験例から明確に理解される様に前記従来技術の泡出しポンプ容器に比べて、20センチポイズ程度の発泡性液体でも大きな泡が混入せず、均質できめ細かいシェービングフォームや洗顔フォームに適した泡を生成することが出来る。」 (ウ)「【0059】 一方、下流側多孔シート18bの個々の開孔部の大きさは、泡のきめを細かくするため0.015mm2以下、好ましくは0.0007~0.007mm2にすれば、中身や容器内の微少なほこり等による目詰まりが起こりにくく、且つ泡通過時の抵抗も増大せずに、きめ細かい泡を得ることが出来る。これに加えて、下流側多孔シート18bの開口部を、上流側多孔シート18aに対し、60%以下の大きさにすることにより、大きな泡の混入を防止できる。」 (エ)「【0061】 尚、上記実施例では、多孔シートを2枚設けているが、図2に示す他の実施例のように、更に下流側に多孔シート18bよりも目の細かい別の多孔シート18cを、多孔シート18bの目の60%以下で増設すればノズル押し下げ力は増大するが、より粘度の高い発泡性液体をきめ細かい均質な泡に生成することが可能となる。」 (2)本件発明1について 訂正前の請求項1は、本件訂正請求によって削除された。 (3)本件発明2について ア 対比 本件発明2と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「内容液」、「容器本体1」、「口頸部1a」、「装着キャップ2」、「ノズル部24b」及び「ノズルヘッド24」は、それぞれ本件発明2の「発泡性の液体」、「容器」、「開口部」、「キャップ」、「吐出口」及び「ノズル部」に相当する。そして、引用発明においても、ノズルヘッド24が上下動可能に保持される機構を備えていることから、引用発明における「内容液が収容される容器本体1の口頸部1aに装着キャップ2が着脱自在に装着されるとともに、前記装着キャップ2に泡吐出口であるノズル部24bを有するノズルヘッド24が上下動可能に保持され」という事項は、本件発明2の「発泡性の液体を収容する容器の開口部にキャップが取り付けられるとともに、前記キャップに泡を吐出する吐出口を有するノズル部が上下動可能に保持され」という事項に相当する。 (イ)引用発明の「空気用シリンダ13」及び「液用シリンダ14」は、それぞれ本件発明2の、「空気シリンダ」及び「液体シリンダ」に相当する。 本件発明2における「空気ポンプ」は、発明の詳細な説明を参照すると、「これらの空気シリンダ18と空気ピストン21とによって上述した空気ポンプが構成されている」(【0022】)と記載されているように「空気シリンダ」及び「空気ピストン」からなる構成を備えたものである。他方、「上記の空気シリンダ18の内周面に気密状態を維持して軸線方向(図1での上下方向)に摺動する空気ピストン21が嵌合されている」(【0022】)と記載されているように、「空気シリンダ」に対して、軸線方向である上下方向に摺動するのは「空気ピストン」である。そうすると、本件発明2の「前記ノズル部と共に上下動する空気ポンプ」は、「空気ポンプ」のうち、上下方向に摺動する「空気ピストン」を示していると解される。同様に、「前記ノズル部と共に上下動する液体ポンプ」は、「液体ピストン」を示していると解される。そして、引用発明の「空気用ピストン27」、「液用ピストン25」は、それぞれ「空気用シリンダ13」、「液用シリンダ14」の内部を摺動するものである。 したがって、引用発明の「空気用ピストン27」及び「液用ピストン25」は、本件発明2の「空気ポンプ」及び「液体ポンプ」に相当するといえる。 また、引用発明の空気用シリンダ13において「前記空気用ピストン27を押し下げることにより前記空気を混合室31に供給する」構成は、当該空気用ピストン27の上下動に伴い空気を加圧するものであるが、加圧された当該空気は混合室31に供給されると同時に、ノズル部24bに向けて押し出されているといえる。また、液用ピストン25も同様に、「前記液用ピストン25を押し下げることにより前記内容液を混合室31に供給する」構成は、当該液用ピストン25の上下動に伴い内容液を加圧するものであるが、加圧された当該内容液は混合室31に流入すると同時に、ノズル部24bに向けて押し出されているといえる。そして、「空気用ピストン27」が「空気用シリンダ13」に対して気密状態に嵌合する構成であること、及び「液用ピストン25」が「液用シリンダ14」に対して気密状態に嵌合する構成であることは、技術常識を勘案すると当業者にとって自明な事項ということができる。 したがって、引用発明における「前記ノズルヘッド24と共に上下動する空気用ピストン27と液用ピストン25と、内部を前記空気用ピストン27が摺動し、前記空気用ピストン27を押し下げることにより前記空気を混合室31に供給する空気用シリンダ13と、内部を前記液用ピストン25が摺動し、前記液用ピストン25を押し下げることにより前記内容液を混合室31に供給する液用シリンダ14」という事項は、本件発明2の「前記ノズル部と共に上下動する空気ポンプと液体ポンプと、前記空気ポンプが気密状態に嵌合しかつ前記空気ポンプの上下動に伴って空気を前記吐出口に向けて押し出す空気シリンダと、前記液体ポンプが液密状態に嵌合しかつ前記液体ポンプの上下動に伴って前記液体を前記吐出口に向けて押し出す液体シリンダ」という事項に相当する。 (ウ)引用発明の「供給される」、「混合室31」、「200メッシュである2枚のメッシュリング37a、37bからなる発泡用部材」、「装着キャップ2の内部」及び「泡吐出容器」は、それぞれ本件発明2の「押し出された」、「混合室」、「多孔質体」、「キャップの内部」及び「泡吐出容器」に相当する。そして、引用発明において、「前記空気と混合した前記内容液を発泡させるとともに、泡状とする」は、上記(1)ア(ア)cに「メッシュについては、100メッシュ以上であることが泡形成の点から好ましく」と記載され、上記(1)ア(ア)fに「内容液(泡)をきめの細かいクリーミーな泡質とすることができ、且つ、泡の持続性を良好なものとすることができる」と記載されていることからみて、発泡させるとともに、泡を微細化することといえる。 したがって、引用発明における「前記空気用シリンダ13から供給される空気と前記液用シリンダ14から供給される前記内容液とが混合される混合室31と、前記空気と混合した前記内容液を発泡させるとともに、泡状とする200メッシュである2枚のメッシュリング37a、37bからなる発泡用部材とが前記装着キャップ2の内部に設けられた泡吐出容器であって」という事項は、本件発明2の「前記空気シリンダから押し出された空気と前記液体シリンダから押し出された前記液体とを混合する混合室と、前記空気と混合した前記液体を発泡させるとともに、前記泡を微細化する多孔質体とが前記キャップの内部に設けられた泡吐出容器であって」という事項に相当する。 (エ)引用発明の「内容液」、「液体洗浄剤組成物」及び「製剤粘度」は、本件発明2の「発泡性の液体」、「洗浄剤」及び「粘度」に相当する。そして、引用発明の「前記内容液が、液体洗浄剤組成物であって、製剤粘度が10mPa・s」は本件発明2の「前記発泡性の液体が、洗浄剤であって、粘度が4.5mPa・s以上かつ12mPa・s以下」に相当する。 したがって、引用発明における「前記内容液が、液体洗浄剤組成物であって、製剤粘度が10mPa・sであり」という事項は、本件発明2の「前記発泡性の液体が、洗浄剤であって、粘度が4.5mPa・s以上かつ12mPa・s以下であり」という事項に相当する。 (オ)引用発明の「空気用シリンダ13」、「液用シリンダ14」及び「略円筒状」は、本件発明2の「空気シリンダ」、「液体シリンダ」及び「円筒状」に相当する。そして、引用発明の「前記空気用シリンダ13と前記液用シリンダ14とのそれぞれは、略円筒状に構成されるとともに、空気用シリンダ13の径は39.7mmであり、液用ピストン14の径は8.6mm」と本件発明2の「前記空気シリンダと前記液体シリンダとのそれぞれは、円筒状に構成されるとともに、前記空気シリンダの直径の自乗の前記液体シリンダの直径の自乗に対する比率が15.5以上かつ30.5以下」とは、「空気シリンダと液体シリンダのそれぞれは、円筒状に構成される点で共通する。 (カ)引用発明の「液吐出容器の気液比」とは、本件発明2の「ノズル部を押して空気シリンダから押し出される空気と液体シリンダから押し出される液体との体積比である発泡倍率」に相当する。そうすると、引用発明における「泡吐出容器の気液比は19/1」との事項は、本件発明2の「前記ノズル部を押して前記空気シリンダから押し出される空気と前記液体シリンダから押し出される前記液体との体積比である発泡倍率が15.5以上かつ30.5以下」に相当する。 (キ)引用発明の「発泡用部材として200メッシュである2枚のメッシュリング37a,37bを設ける」ことと、本件発明2の「前記多孔質体のメッシュサイズは、前記混合室側が#100、前記吐出口側が#200である」こととは、「多孔質体のメッシュサイズは、吐出口側が#200である」点で共通する。 そうすると、本件発明2と引用発明とは、次の点において一致し、相違する。 (一致点) 「発泡性の液体を収容する容器の開口部にキャップが取り付けられるとともに、前記キャップに泡を吐出する吐出口を有するノズル部が上下動可能に保持され、前記ノズル部と共に上下動する空気ポンプと液体ポンプと、前記空気ポンプが気密状態に嵌合しかつ前記空気ポンプの上下動に伴って空気を前記吐出口に向けて押し出す空気シリンダと、前記液体ポンプが液密状態に嵌合しかつ前記液体ポンプの上下動に伴って前記液体を前記吐出口に向けて押し出す液体シリンダと、前記空気シリンダから押し出された空気と前記液体シリンダから押し出された前記液体とを混合する混合室と、前記空気と混合した前記液体を発泡させるとともに、前記泡を微細化する多孔質体とが前記キャップの内部に設けられた泡吐出容器であって、 前記発泡性の液体が、洗浄剤であって、粘度が4.5mPa・s以上かつ12mPa・s以下であり、 前記空気シリンダと前記液体シリンダとのそれぞれは、円筒状に構成され、 前記ノズル部を押して前記空気シリンダから押し出される空気と前記液体シリンダから押し出される前記液体との体積比である発泡倍率が15.5以上かつ30.5以下であり、 前記多孔質体のメッシュサイズは、吐出口側が#200である 泡吐出容器。」 (相違点) <相違点1> 「空気シリンダ」と「液体シリンダ」について、本件発明2は、「空気シリンダの直径の自乗の液体シリンダの直径の自乗に対する比率が15.5以上かつ30.5以下」であるのに対して、引用発明は「空気用シリンダ13の径は39.7mmであり、液用ピストン14の径は8.6mm」であり、空気シリンダの直径の自乗の液体シリンダの直径の自乗に対する比率が明らかでない点。 <相違点2> 「吐出口から吐出される泡密度」について、本件発明2は、「0.03g/cm3から0.06g/cm3」であるのに対して、引用発明は「泡体積を20~50mLとし、(泡状の)内容液の吐出量を1.6g」であり、泡密度が明らかでない点。 <相違点3> 本件発明2は、「泡の外表面側の気泡の最大径が450μm以下で、かつ前記泡の外表面側の複数の気泡の平均径が200μm以下であり、多孔質体のメッシュサイズは、混合室側が#100、吐出口側が#200である」のに対し、引用発明は、泡の外表面側の気泡の径が不明であり、2枚のメッシュリング37a,37bのメッシュサイズは、混合室側が#200、吐出口側が#200である点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点3について、先ず検討する。 引用文献1には、吐出する泡について、外表面側の気泡の径について具体的な記載や示唆はなく、引用発明において、泡の気泡の径に寄与していると考えられる2枚のメッシュリング37a,37bのメッシュサイズは、ともに200メッシュであるから、混合室側が#100、吐出口側が#200である多孔質体を備えた本件発明2の泡とは、その外表面側の気泡の最大径、平均径が同じとはいえない。また、引用文献1には、2枚のメッシュリング37a,37bのメッシュサイズについて、混合室側を#100、吐出口側を#200とするような記載も示唆もない。 また、引用文献2~4においても、「泡の外表面側の気泡の最大径が450μm以下で、かつ前記泡の外表面側の複数の気泡の平均径が200μm以下であり、多孔質体のメッシュサイズが、混合室側が#100、吐出口側が#200である」ことについて、記載も示唆もされていない。この点は、特許異議申立人が提出した甲第4号証(特開平10-330799号公報)、甲第5号証(実用新案登録第2550699号公報)、甲第7号証(特開2008-259932号公報)をみても同様である。 そして、本件発明2は、上記相違点3に係る構成を有することにより、「弾力および安定性に富む泡を得ることができる」という格別顕著な効果を奏するものであるから、当該構成を当業者が適宜なし得た設計的事項とすることもできない。 以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点3に係る本件発明2の構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たことではない。 してみると、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ まとめ 以上によると、本件発明2は、引用発明、引用文献2~4に記載された事項及び甲第4、5、7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明3について 本件発明3についても、本件発明2の相違点3に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(3)に示した本件発明2についての理由と同様の理由により、引用発明、引用文献2~4に記載された事項及び甲第4、5、7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)特許法第36条第6項第1号について 本件訂正請求により、訂正前の請求項1は削除され、請求項3は請求項2のみを引用することになったため、特許法第36条第6項第1号の取消理由は解消した。 (6)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項2について、「甲1発明において、多孔質体のメッシュサイズを、混合室側が#100、吐出口側が#200とすることは、必要に応じて当業者が容易になし得ることである。よつて、本件特許発明2は、甲第1号証~甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。」旨を主張する。しかしながら、上記(3)イで検討したとおり、本件発明2は、引用発明及び甲第2号証~甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、特許異議申立人の前記主張は、採用することができない。 第5.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明2~3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明2~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項1に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項1に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700262

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