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特許異議申立

2023-701086

薬剤払出し装置

審判番号
2023-701086
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-035913
登録番号
7256975
請求日
2023年10月11日
審決日
2023年12月21日
公報発行日
2024年01月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社湯山製作所
  • 【権利者代理人】藤田 隆
  • 【異議申立人】松本 征二
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 正章
  • 審判官 栗山 卓也
  • 審判官 井上 哲男
分類
P1652.121-Y (A61J) / P1652.537-Y (A61J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7256975号発明「薬剤払出し装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7256975号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7256975号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)11月18日(優先権主張 2013年11月22日 2014年 9月24日)を国際出願日とする出願である特願2015-549160号の一部を平成31年 4月 3日に新たな特許出願とした特願2019-71504号の一部を令和 2年 5月25日に新たな特許出願とした特願2020-90517号の一部を、さらに令和 4年 3月 9日に新たな特許出願としたものであって、令和 5年 4月 5日にその特許権の設定登録がされ、令和 5年 4月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1及び2に係る特許に対し、令和 5年10月11日に特許異議申立人 松本征二(以下「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下本件特許の請求項1、2に係る発明をそれぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。)。 「【請求項1】 散薬を収容し散薬を排出する薬剤排出部を有する薬剤容器と、薬剤容器を保管する容器保管装置と、保管された薬剤容器を移動する容器移動手段と、分配皿と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する容器載置装置と、分配皿に排出された散薬が掻き出され、掻き出された散薬を包装する薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置であって、 薬剤払出し装置内の薬剤容器を出し入れする出入り口を設け、 薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体には扉部が設けられており、 出入り口は、扉部のことであり、 出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、 薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とすることを特徴とする薬剤払出し装置。 【請求項2】 薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により容器載置装置または容器保管装置から薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させる動作を含むことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出し装置。」 第3 申立理由の概要 申立人は、証拠方法として、後記する甲第1号証~甲第7号証を提出し、以下の理由により、本件特許の請求項1及び2に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由1(進歩性) (1)申立理由1-1 本件発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明、周知技術(甲第2号証~甲第6号証)及び甲2、3記載の事項に基いて、その技術の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由1-2 本件発明1及び2は、甲第7号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証~甲第6号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立理由2(明確性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、」と記載されているが、この記載における「近傍」について何ら定義がなされておらず、その範囲が不明確であるから、発明が不明確である。 したがって、本件特許の請求項1、及び当該請求項1を引用する請求項2の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合しないものであり、その特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 <証拠方法> 甲第1号証:特開平5-285199号公報(以下「甲1」という。) 甲第2号証:特開平11-226086号公報(以下「甲2」という。) 甲第3号証:特開平11-226087号公報(以下「甲3」という。) 甲第4号証:国際公開第2011/102491号(以下「甲4」という。) 甲第5号証:特開平7-67939号公報(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特開2002-85523号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:特開平7-80043号公報(以下「甲7」という。) 第4 甲各号証の記載事項、並びに甲1発明、甲7発明 1 甲1の記載事項 (1)甲1には、次の記載がある。 ア「【0007】 【実施例】図1および図2はこの発明による散薬供給装置の一実施例を示したものであり、この散薬供給装置は、多数の散薬収容器1、1、…と、任意の散薬収容器1を集団で移動させて取出位置2にもたらす移動手段3と、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9と、取り出された散薬を一定量ずつに分割する手段11とを具えている。各散薬収容器1は、散薬をストックするストック部4と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5とから構成されている。排出部5は、適宜に構成することが可能であるが、たとえば、排出路中に設けたスクリューの回転、停止と、出口に設けたシャッタの開、閉とを組み合わせることによって、実現することができる。移動手段3は、以下に説明するように、循環装置6と、昇降装置7とから構成されている。散薬収容器1、1、…は、図2の平面図に示すように、複数個の散薬収容器1、1、…が散薬収容器群1Aとして、左右方向に延びた循環路に沿って配置されている。この循環路には、それを一方向または両方向に循環(または反転移動)させるようになった循環装置6が設けられ、そのため、散薬収容器群1Aの各散薬収容器1、1、…は、循環装置6の作動によって、一方向または両方向に循環(または反転移動)するように一体的に組み合わされている。また、図1の正面図に示すように、複数組の散薬収容器群1A、1B、…が上下に隣接して配置され、これらに昇降装置7が一体的に設けられ、そのため、散薬収容器群1A、1B、…は、昇降装置7の作動によって、一体的に昇降するように構成されている。取出位置2には、この位置にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8と、駆動装置8の作動により排出部5から排出される散薬を計量する計量装置9とが設けられ、計量装置9の計量値があらかじめ決められた必要量に達すると、駆動装置8が排出部5の作動を停止させるように構成されている。散薬収容器1の取り出しに関連した各部の作動、すなわち、循環装置6および昇降装置7の作動による取り出すべき散薬収容器1の指定およひその実行は、制御装置10によって制御されるようになっている。すなわち、循環装置6は、散薬収容器1、1、…のなかから、制御装置10で指定された散薬収容器1が、取出位置2に対応した左右方向位置にくるように、その散薬収容器1の属する散薬収容器群1A(1B、…)を作動させ、また、昇降装置7は、散薬収容器群1A(1B、…)の作動によって所定の左右方向位置にきた散薬収容器1が、取出位置2に対応した高さにくるように、散薬収容器群1A、1B、…を一体的に昇降させるように構成されている。このような循環装置6および昇降装置7としては、適宜のものが使用可能であるから、その構成についての詳細な説明は省略することとする。また、取出位置2に隣接して、分割装置11が設けられ、分割装置11は、駆動装置8および計量装置9の作動により、散薬収容器1から取り出されたあらかじめ決められた必要量の散薬を、まず、環状または円弧状に配分したうえ、それを放射状に所定角度ずつ分割して、それにより1回服用量ずつに分割された散薬を、包装装置12に供給するように構成されている。」 イ「【0008】つぎに、上記のように構成された散薬供給装置の作用について説明する。まず、制御装置10によって、取出位置2に取り出すべき散薬収容器1を指定する。すると、指定された散薬収容器1の属する散薬収容器群1A(1B、…)を循環装置6が作動させて、指定された散薬収容器1が取出位置2に対応した左右方向位置にくるまで、その散薬収容器群1Aを集団で移動させる。このとき、それ以外の散薬収容器群1B、…の散薬収容器1、1、…の左右方向位置は、指定された散薬収容器1が到達する取出位置2に対応した左右方向位置から、適量(たとえば1/2ピッチ)だけずれていることが好ましい。そうすれば、取出位置2にくる指定された散薬収容器1の左右方向位置と、それ以外の散薬収容器群1B、…の散薬収容器1、1、…の左右方向位置とが、上下方向に重ならず、取出位置2を近接させることができる。一方、昇降装置7は、指定された散薬収容器1が取出位置2に対応した高さにくるまで、散薬収容器群1A、1B、…を集団で一体的に昇降させる。つぎに、取出位置2にもたらされた散薬収容器1の排出部5を駆動装置8が作動させ、それにより排出部5から排出される散薬の排出量が、計量装置9の計量値としてあらかじめ決められた必要量に達すると、駆動装置8が排出部5の作動を停止させる。つぎに、取出位置2において散薬収容器1から取り出されたあらかじめ決められた必要量の散薬は、分割装置11に導入され、分割装置11の作動によって、1回服用量ずつに分割されたうえ、包装装置12の作動によって、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包されることとなる。」 ウ「【0009】…また、上記実施例では、移動手段3を、循環装置6と、昇降装置7とから構成したが、これに限定するものでなく、任意の散薬収容器1を取出位置2にもたらすことができるものなら、どのような構成であってもよい。また、上記実施例では、各散薬収容器群1A(1B、…)の散薬収容器1、1、…を、左右方向に延びた循環路に沿って配置したが、これに限定するものでなく、また、上記実施例では、複数組の散薬収容器群1A、1B、…を、上下に隣接して配置したが、これに限定するものでない。すなわち、各散薬収容器群1A(1B、…)の散薬収容器1、1、…を、たとえば、上下方向に延びた循環路に沿って配置することができ、その場合、複数組の散薬収容器群1A、1B、…を、たとえば、左右に隣接して配置することができる。そして、散薬収容器群1A、1B、…の循環路の方向および隣接配置の方向によって、昇降装置7に代えて、所要の移動方向を有する適宜の移動装置を使用することはいうまでもない。また、上記実施例では、取出位置2に、この位置にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8を設けたが、これに限定するものでなく、たとえば、各散薬収容器1、1、…ごとにそれぞれ駆動装置8、8、…を設けておくことができる。また、上記実施例では、取出位置2に、この位置にもたらされた散薬収容器1の排出部5から排出される散薬を計量する計量装置9を設けたが、これに限定するものでなく、たとえば、循環装置6または昇降装置7に付設しておくことが可能である。また、計量装置9は、散薬の重量をはかるものであってもよいし、散薬の容積をはかるものであってもよい。また、取出位置2は、1個の散薬収容器1に対応した1箇所に限られるものではなく、1箇所であっても2個またはそれ以上の散薬収容器1、1、…に対応させることができるし、また、2箇所以上設けることもできる。また、分割装置11は、散薬を環状または円弧状に配分するものに限らず、たとえば、直線状に配分するものでもよく、その場合は、配分された散薬を、その直線に沿って所定長さずつ分割するようにすればよい。さらに、各散薬収容器1、1、…に散薬の補充作業を行うため、必要な散薬収容器1を装置本体から着脱する位置は、取出位置2とは別に設けることが可能である。」 エ「 [図:0001405859000001.jpg] 」 オ「 [図:0001405859000002.jpg] 」 カ 「散薬収容器1」と「移動手段3」と「散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9」と「分割装置)11」とを具える「散薬供給装置」(上記ア)は、上記イの「散薬供給装置の作用について説明する。…包装装置12の作動によって、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包される」との記載を踏まえれば、「包装装置12」を具えるといえる。 2 甲1発明 上記1のア~カを総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「散薬をストックするストック部4と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5とから構成されている散薬収容器1と、 多数のうち任意の散薬収容器1を集団で移動させて、指定された散薬収容器1を取出位置2にもたらす移動手段3と、 取出位置2にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8が設けられ、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9と、 取出位置2に隣接して設けられ、取り出された散薬を環状または円弧状に、あるいは直線状などに配分したうえ、それを1回服用量ずつに分割する分割装置11と、 分割された散薬を、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包する包装装置12とを具え、 各散薬収容器1に散薬の補充作業を行うため、必要な散薬収容器1を装置本体から着脱する位置を、取出位置2とは別に設ける、 散薬供給装置。」 3 甲7の記載事項 (1)甲7には、次の記載がある。 ア「【0007】 【実施例】図1~図3はこの発明による散薬供給装置を採用した散薬分包機の一実施例を示したものであり、この散薬分包機1は、手前に配置された分割包装機2と、その背後に配置された散薬収納庫20とから構成されている。 【0008】分割包装機2は、配分/分割装置3を左右に2台(3a、3b)具え、その下方に、両者に共通のホッパ4を有する包装装置5が設置されたものである。配分/分割装置3は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させ、また、散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させるようになった駆動装置7とを具えている。また、配分/分割装置3は、回転体の内側から凹溝6上へ突き出して設けられた切出装置8を具え、切出装置8は、凹溝6の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成されたものであり、仕切板が凹溝6の円弧状内側面に沿って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められた散薬を切り出して、凹溝6から包装装置5のホッパ4に導入するように構成されている。… 【0009】散薬収納庫20は、散薬をカセット21に収容して、このようなカセット21を散薬の種類に応じて多数具えたものであり、どのカセット21に収容された散薬でも分割包装機2の配分/分割装置3に配分するため、左右の配分/分割装置3a、3bに対応した供給位置40a、40bのいずれにもすべてのカセット21を移動させることのできる移動機構41を具えている。 【0010】カセット21は、ストック部22と、排出部23とから構成されている。」 イ「【0012】供給位置40a、40bには、配分/分割装置3a、3bに配分する散薬を供給するための散薬フィーダ50a、50bが設けられ、各散薬フィーダ50は、その供給位置40に位置するカセット21と、カセット21を作動して散薬を排出させる作動装置51と、カセット21から排出される散薬を計量する計量装置61とから構成されている。」 ウ「【0017】左右の供給位置40a、40bの中間には、収容してある散薬が不足したカセット21に散薬を補充するために、そのようなカセット21を散薬収納庫20から取り出すようになった取出位置90が設けられ、この取出位置90と供給位置40a、40bそれぞれとの間隔も、カセット21のピッチの整数倍となるように配置され、また、取出位置90に対応して取出装置91が設けられている。取出装置91は、取出位置90にあるカセット21を移動機構41の支持体43から離脱させたうえ、支持体43に代わってカセット21を保持して、散薬収納庫20の外方に設けた補充位置まで移動させ、この補充位置ではカセット21を離脱させることができるようになっている。また、取出装置91は、散薬補充後、補充位置でカセット21を保持して、取出位置90まで移動させたうえ、その位置にある支持体43にカセット21を装着させるようになっている。 【0018】取出装置91には、カセット21を保持する際、そのカセット21のデータキャリア80に必要なデータを書き込み、読み取るリーダライタ92が設けられている。このリーダライタ92は、供給位置40a、40bに設けられたリーダライタ81と同様のものである。すなわち、あるカセット21が散薬補充のため移動機構41により取出位置90に到達し、これを取出装置91が保持する際、リーダライタ92が、そのカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取ることによって、そのカセット21が所定のものに間違いないことを、カセット21の取出および散薬補充に先立って確認することができるようになっている。」 エ「【0023】配分が終了したら、駆動装置7を切り換えて、配分/分割装置3の凹溝6を、所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回動させながら、駆動装置9によって切出装置8を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、凹清6内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置5のホッパ4に順次導入する。包装装置5はこれを受けて、その散薬を1包分ずつ分包する。」 オ「【0025】カセット21に散薬を補充する場合は、そのカセット21が取出位置90に来るように、移動機構41を作動させて、必要な循環、昇降を行わせる。カセット21が取出位置90に到達したら、取出装置91にそのカセット21を保持させ、その際、リーダライタ92が、そのカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取り、それによって、そのカセット21が所定のものに間違いないことを、カセット21の取出および散薬補充に先立って確認する。つぎに、取出装置91を作動させて、カセット21を取出位置90から補充位置まで移動させ、その位置でカセット21を取出装置91から離脱させて、作業者が散薬の補充作業を行う。」 カ「 [図:0001405859000003.jpg] 」 キ「 [図:0001405859000004.jpg] 」 ク 上記ウの「散薬収納庫20の外方に設けた補充位置まで移動させ」との記載から、散薬収納庫20は筐体で覆われており、当該筐体を境にして散薬収納庫20からみた外方に補充位置が設けられていると解されるから、上記カ、キの記載も踏まえれば、甲7の分割包装機2と、散薬収納庫20とからなる散薬分包機1は、その散薬収納庫20部分も含め全体が筐体で覆われている。 4 甲7発明 上記3のア~クを総合すると、甲7には、次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されているといえる。 「分割包装機2と、散薬収納庫20とから構成され、 分割包装機2は、配分/分割装置3を具え、その下方に、ホッパ4を有する包装装置5が設置され、 散薬収納庫20は、散薬を、ストック部22と、排出部23とから構成されるカセット21に収容して、多数具えたものであり、配分/分割装置3a、3bに対応した供給位置40a、40bのいずれにもすべてのカセット21を移動させることのできる移動機構41を具えており、 供給位置40a、40bには、配分/分割装置3a、3bに配分する散薬を供給するための散薬フィーダ50a、50bが設けられ、各散薬フィーダ50は、その供給位置40に位置するカセット21と、カセット21を作動して散薬を排出させる作動装置51とから構成されており、 配分/分割装置3は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させ、また、散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させるようになった駆動装置7とを具えるとともに、回転体の内側から凹溝6上へ突き出して設けられた切出装置8を具え、 切出装置8は、凹溝6の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成され、配分/分割装置3の凹溝6を、所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回動させながら、仕切板が凹溝6の円弧状内側面に沿って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められ1包相当分とされた散薬を切り出して、凹溝6から包装装置5のホッパ4に順次導入するように構成され、 包装装置5はこれを受けて、その散薬を1包分ずつ分包するものであり、 左右の供給位置40a、40bの中間には、収容してある散薬が不足したカセット21に散薬を補充するために、そのようなカセット21を散薬収納庫20から取り出すようになった取出位置90が設けられ、取出位置90に対応して取出装置91が設けられており、 取出装置91は、取出位置90にあるカセット21を移動機構41の支持体43から離脱させたうえ、支持体43に代わってカセット21を保持して、散薬収納庫20の外方に設けた補充位置まで移動させ、この補充位置でカセット21を離脱させることができるようになっており、 散薬分包機1は筐体で覆われ、当該筐体を境にして散薬収納庫20からみた外方に補充位置が設けられており、 カセット21に散薬を補充する場合は、そのカセット21が取出位置90に来るように、移動機構41を作動させ、カセット21が取出位置90に到達したら、取出装置91にそのカセット21を保持させ、取出装置91を作動させて、カセット21を取出位置90から補充位置まで移動させ、その位置でカセット21を取出装置91から離脱させて、作業者が散薬の補充作業を行う、 散薬分包機1。」 第5 当審の判断 1 申立理由1-1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「散薬をストックするストック部4と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5とから構成されている散薬収容器1」は、本件発明1の「散薬を収容し散薬を排出する薬剤排出部を有する薬剤容器」に相当する。 イ 図1、2の記載を踏まえれば、甲1発明の「散薬をストックするストック部4」を有する「散薬収容器1」は、その多数が配置されて、保管されている部分を有しているから、甲1発明の当該部分は、本件発明1の「薬剤容器を保管する容器保管装置」に相当する。 ウ 甲1発明の「多数のうち任意の散薬収容器1を集団で移動させ」る「移動手段3」は、本件発明1の「保管された薬剤容器を移動する容器移動手段」に相当する。 エ 甲1発明の「取出位置2にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8が設けられ、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9と、取出位置2に隣接して設けられ、取り出された散薬を環状または円弧状に、あるいは直線状などに配分したうえ、それを1回服用量ずつに分割する分割装置11と、分割された散薬を、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包する包装装置12」と、本件発明1の「分配皿と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する容器載置装置と、分配皿に排出された散薬が掻き出され、掻き出された散薬を包装する薬剤包装装置」とは、「散薬を分配する構造と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を当該構造に排出する装置と、当該構造に排出された散薬を包装する薬剤包装装置」の限りで一致する。 オ 甲1発明の「散薬供給装置」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「薬剤払出し装置」に相当する。 そうすると、両者は、 「散薬を収容し散薬を排出する薬剤排出部を有する薬剤容器と、薬剤容器を保管する容器保管装置と、保管された薬剤容器を移動する容器移動手段と、散薬を分配する構造と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を当該構造に排出する装置と、当該構造に排出された散薬を包装する薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点1] 「散薬を分配する構造と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を当該構造に排出する装置と、当該構造に排出された散薬を包装する薬剤包装装置」に関して、本件発明1は、「分配皿と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する容器載置装置と、分配皿に排出された散薬が掻き出され、掻き出された散薬を包装する薬剤包装装置」であるのに対し、甲1発明は、「取出位置2にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8が設けられ、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9と、取出位置2に隣接して設けられ、取り出された散薬を環状または円弧状に、あるいは直線状などに配分したうえ、それを1回服用量ずつに分割する分割装置11と、分割された散薬を、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包する包装装置12」である点。 [相違点2] 本件発明1は、薬剤払出し装置が「薬剤払出し装置内の薬剤容器を出し入れする出入り口を設け、薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体には扉部が設けられており、出入り口は、扉部のことであり、出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」のに対し、甲1発明は、「散薬収容器1から散薬を必要量取り出す」ために「指定された散薬収容器1を」「移動手段3」により「取出位置2にもたらす」とともに、「各散薬収容器1に散薬の補充作業を行うため、必要な散薬収容器1を装置本体から着脱する位置を、取出位置2とは別に設ける」点。 (2)判断 事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。 甲1発明は、「各散薬収容器1に散薬の補充作業を行うため、必要な散薬収容器1を装置本体から着脱する位置を、取出位置2とは別に設ける」ものであるが、散薬収容器1を装置本体から着脱する具体的な位置及び機構について特定されていない。 一方、甲1~6には、「出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」ことについて記載も示唆もない。また、「出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」ことは、本願出願前の技術常識であるともいえない。 したがって、甲1発明において、各散薬収容器1に散薬の補充作業を行うため、必要な散薬収容器1を装置本体から着脱する位置を決定するに際して、「薬剤払出し装置内の薬剤容器を出し入れする出入り口を設け、薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体には扉部が設けられており、出入り口は、扉部のことであり、出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」ことを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 また、本件発明1は、「薬剤払出し装置内の薬剤容器を出し入れする出入り口を設け、薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体には扉部が設けられており、出入り口は、扉部のことであり、出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し、薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させ、使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」との事項を備えることで、使用者は、扉部を開いて薬剤容器を取り出し、薬剤容器内に散薬が無い場合は、薬剤容器に薬剤を補充する(本願明細書【0079】参照)、という効果を有するものであるから、当業者が設計上適宜なし得たことであるともいえない。 (3)小活 よって、本件発明1は、甲1発明及び甲1~6の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項に違反してされたものとすることはできない。 2 申立理由1-2について (1)対比 本件発明1と甲7発明とを対比する。 ア 甲7発明の「散薬を」「収容」する「ストック部22と、排出部23とから構成されるカセット21」は、本件発明1の「散薬を収容し散薬を排出する薬剤排出部を有する薬剤容器」に相当し、以下同様に、 「散薬を、」「カセット21に収容して、多数具えた」「散薬収納庫20」は「薬剤容器を保管する容器保管装置」に、 「すべてのカセット21を移動させることのできる移動機構41」は「保管された薬剤容器を移動する容器移動手段」に、 「配分/分割装置3」の「断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体」は「分配皿」に、それぞれ相当する。 イ 甲7発明の「移動機構41」により「供給位置40a、40b」に「移動させ」た「カセット21」「を作動して散薬を排出させる作動装置51」を有する「散薬フィーダ50a、50b」と、本件発明1の「容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する容器載置装置」とは、「容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する装置」である限りで一致する。 ウ 甲7発明の「配分/分割装置3は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させ、また、散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させるようになった駆動装置7とを具えるとともに、回転体の内側から凹溝6上へ突き出して設けられた切出装置8を具え、切出装置8は、凹溝6の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成され、配分/分割装置3の凹溝6を、所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回動させながら、仕切板が凹溝6の円弧状内側面に沿って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められ1包相当分とされた散薬を切り出」す動作は、本件発明1の「分配皿に排出された散薬が掻き出され」る動作に相当する。 そして、甲7発明の「切り出し」た「散薬」「を受けて、その散薬を1包分ずつ分包する」「包装装置5」は、本件発明1の「掻き出された散薬を包装する薬剤包装装置」に相当する。 エ 甲7発明の「分割包装機2と、散薬収納庫20とから構成され、」「散薬収納庫20は、」「移動機構41を具えており、」「配分/分割装置3は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体」「を具え」、さらに「散薬を分配皿に排出する装置」を具える「散薬分包機1」は、本件発明1の「薬剤容器と、」「容器保管装置と、」「容器移動手段と、分配皿と、」「散薬を分配皿に排出する装置と、」「薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置」に相当する。 オ 甲7発明の「左右の供給位置40a、40bの中間には、収容してある散薬が不足したカセット21に散薬を補充するために、そのようなカセット21を散薬収納庫20から取り出すようになった取出位置90が設けられ、取出位置90に対応して取出装置91が」「取出位置90にあるカセット21を」「移動させ」る先である「補充位置」は、本件発明1の「薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により」「薬剤容器を移動させ」る先である「薬剤容器仮置部」に相当する。 そうすると、両者は、 「散薬を収容し散薬を排出する薬剤排出部を有する薬剤容器と、薬剤容器を保管する容器保管装置と、保管された薬剤容器を移動する容器移動手段と、分配皿と、容器移動手段により移動させた薬剤容器から散薬を分配皿に排出する装置と、分配皿に排出された散薬が掻き出され、掻き出された散薬を包装する薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置であって、 薬剤払出し装置は筐体で覆われており、 薬剤容器仮置部を有し、 薬剤容器内の散薬が不足している場合は、容器移動手段により薬剤容器仮置部に薬剤容器を移動させる薬剤払出し装置。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 [相違点3] 「散薬を分配皿に排出する装置」に関して、本件発明1は、「散薬を分配皿に排出する容器載置装置」であるのに対し、甲7発明は、「「移動機構41」により「供給位置40a、40b」に「移動させ」た「カセット21」「を作動して散薬を排出させる作動装置51」を有する「散薬フィーダ50a、50b」である点。 [相違点4] 本件発明1は、「薬剤払出し装置内の薬剤容器を出し入れする出入り口を設け、」「筐体には扉部が設けられており、」「出入り口は、扉部のことであり、出入り口の近傍に」薬剤容器仮置部を有し、「使用者が出入り口から薬剤容器を取り出せる状態とする」のに対し、甲7発明は、「散薬分包機1は筐体で覆われ、当該筐体を境にして散薬収納庫20からみた外方に補充位置が設けられて」いる点。 (2)判断 事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。 甲7発明の「補充位置」は、散薬分包機1の散薬収納庫20を覆う筐体の外方に設けられており、「その位置でカセット21を取出装置91から離脱させて、作業者が散薬の補充作業を行う」ものであるところ、散薬分包機1の筐体の外方である補充位置を覆う筐体を設け、当該筐体に設けた出入り口から使用者が薬剤容器を取り出すような構造とすることを当業者が容易に想到し得たとする理由はない。 一方、甲2~7の記載をみても、散薬分包機1の筐体の外方である補充位置を覆う筐体を設け、当該筐体に設けた出入り口から使用者が薬剤容器を取り出すことは記載も示唆もない。また、そのような構造とすることは本願出願前の技術常識でもない。 そうすると、甲7発明及び甲2~7の記載事項に基いて上記相違点4に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。 (3)小活 よって、本件発明1は、甲7発明及び甲2~7の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項に違反してされたものとすることはできない。 3 本件発明2の進歩性について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて備え、さらに発明特定事項を付加したものである。 よって、本件発明2は、上記1及び2の理由と同じ理由により、甲1発明又は甲7発明と、甲1~7の記載事項とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 申立理由2について 本願明細書の【0028】、【0031】及び【0042】を参照すると、本件発明1及び2は、薬剤容器仮置部に置かれた薬剤容器を使用者が出入り口から取り出すものであるから、出入り口と薬剤容器仮置部とは、薬剤容器仮置部に置かれた薬剤容器を使用者が出入り口から取り出せる位置関係にある。 そうすると、本件発明1及び2の「出入り口の近傍に薬剤容器仮置部を有し」とは、当該位置関係を意味すると解するのが相当である。 してみると、請求項1の記載における「近傍」の定義がなされていないからといって、その意味するところが不明確になるとは認められず、この記載により、第三者に不測の不利益をもたらす程の不明確が生じるとはいえない。 したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、及び当該請求項1を引用する請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であり、本件発明1及び2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものとすることはできない。 5 まとめ 本件発明1及び2は、甲1発明又は甲7発明、並びに甲1~7の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項に違反してされたものとすることはできない。 また、請求項1及び2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であって、本件発明1及び2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701086

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