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特許異議申立

2022-700379

調剤情報管理システム

審判番号
2022-700379
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-055449
登録番号
6969582
請求日
2022年04月28日
審決日
2023年10月19日
公報発行日
2024年01月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社湯山製作所
  • 【権利者代理人】種村 一幸
  • 【権利者代理人】華山 浩伸
  • 【異議申立人】松本 征二
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 松田 直也
  • 審判官 古川 哲也
分類
P1651.121-YAA(G16H) / P1651.537-YAA(G16H) / P1651.55 -YAA(G16H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6969582号発明「調剤情報管理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6969582号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~2〕について訂正することを認める。 特許第6969582号の請求項1~2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)7月3日(優先権主張 平成24年7月6日)を国際出願日とする特願2014-523773号の一部を、平成27年4月1日に新たな特許出願とした特願2015-74766号の一部を、平成29年10月17日に新たな特許出願とした、特願2017-201086号の一部を、さらに、平成31年3月22日に新たな特許出願とした出願であって、令和3年11月1日にその特許権の設定登録がされ、同年11月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和4年4月28日に特許異議申立人松本征二(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。 本件特許異議申立て以後の経緯は、次のとおりである。 令和4年 8月25日 取消理由通知書(起案日) 令和4年10月27日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和4年11月17日 通知書(訂正があった旨の通知、起案日) 令和4年12月14日 意見書の提出(申立人) 令和5年 1月 5日 取消理由通知書(決定の予告)(起案日) 令和5年 3月10日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和5年 4月13日 審尋(特許権者宛て、起案日) 令和5年 5月24日 回答書の提出(特許権者) 令和5年 6月 1日 取消理由通知書(起案日) 令和5年 7月26日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和5年 8月 7日 通知書(訂正があった旨の通知、起案日) 令和5年 9月 7日 意見書の提出(申立人) なお、令和4年10月27日付け訂正請求及び令和5年3月10日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げたものとみなされる。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の趣旨 特許第6969582号の特許請求の範囲を、令和5年7月26日に提出された本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~2について訂正することを求める。 なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 特許請求の範囲の請求項1に「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況を表示する」と記載されているのを、「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況を表示する」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項1」という。)。 3 訂正事項についての当審の判断 (1)一群の請求項1~2についての説明 訂正前の請求項1~2について、請求項2は請求項1を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~2に対応する訂正後の請求項1~2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」を、本件訂正により、「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」とすることで具体的に限定し、これを踏まえて、「調剤機器の稼働状況」を、本件訂正により、「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」とすることで具体的に限定し、明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」又は、同ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」を「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」とし、これを踏まえて、「調剤機器の稼働状況」を「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」とすることで、具体的に限定し、明確化するものであってカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1に関して、本件特許明細書等には次の記載がある。なお、下線は、当審で付与した。 「【0103】 また、前記サーバ装置10では、前記クライアント端末20各々が設置された薬局等各々をその薬局等に設置されている前記調剤機器の種別ごとにグループ分けして前記調剤作業における各工程の所要時間を管理することが考えられる。・・・(以下省略) 【0104】 (前略)・・・また、前記CPU11は、前記時間T10が前記平均値以上である薬局等に設置された前記クライアント端末20から前記調剤機器各々の稼働状況を取得して前記表示装置16に表示させることが考えられる。これにより、前記サーバ装置10を使用する管理者は、前記調剤機器の稼働率が高いことが原因で前記時間T10が前記平均値以上となっており、前記薬局等に新たに前記調剤機器を設置することが望ましいこと等を把握することができる。」 このように、本件特許明細書等には、「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」が「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器」であること、及び、「調剤機器の稼働状況」が、「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」であることが記載されているから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件が課されないこと 本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 小括 上記のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第3号を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されないので、本件特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~2について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の請求項1~2に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明2」といい、これらをまとめて「本件訂正発明」という。)のうち、本件訂正発明1~2は、訂正特許請求の範囲の請求項1~2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は、訂正請求人(特許権者)が付与した。 「【請求項1】 薬局における調剤作業の各工程の所要時間を取得又は算出して記憶部に記憶する手段と、 前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間、及び、複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況を表示する手段と、 を備える、調剤情報管理システム。 【請求項2】 前記調剤作業に対応する薬剤師の情報を前記記憶部に記憶する手段と、 前記記憶部に記憶された前記調剤作業に対応する前記薬剤師の情報に基づいて、前記薬剤師ごとに対応する処方数を含む統計情報を表示する手段と、 を備える請求項1に記載の調剤情報管理システム。」 第4 取消理由の概要 1 令和4年8月25日付け取消理由通知の概要 理由1.本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、2の記載の不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由2.本件特許は、令和3年4月28日に提出した手続補正書でした補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 理由3.本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由4.請求項1、2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2005-141370号公報(甲第1号証) 2.特開平10-198736号公報(甲第2号証) 3.特開2004-157579号公報(甲第3号証) 4.特開2001-187114号公報(甲第4号証) 2 令和5年1月5日付け取消理由通知(決定の予告)の概要 理由1.本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、2の記載の不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由2.本件特許は、令和3年4月28日に提出した手続補正書でした補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 理由4.請求項1、2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2005-141370号公報(甲第1号証) 2.特開平10-198736号公報(甲第2号証) 3.特開2004-157579号公報(甲第3号証) 上記の理由1、2、4は、前記1の理由1、2、4にそれぞれ対応している。 なお、前記1の理由3は、この取消理由通知(決定の予告)時において、令和4年10月27日付け訂正請求によって解消したと判断した。 3 令和5年6月1日付け取消理由通知の概要 理由1.令和5年3月10日提出の訂正請求書で訂正された特許請求の範囲の請求項1、2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 なお、当該理由を、以下、「理由5」という。 第5 取消理由に対する当審の判断 1 理由1(サポート要件)、理由2(新規事項の追加)について (1)理由1は、請求項1の「表示する手段」が「所要時間」及び「調剤機器各々の・・・稼働状況」を表示することは、本件特許明細書でサポートされていない、すなわち、本件特許明細書には、「所要時間」は、クライアント端末20の表示装置27で表示され、「調剤機器各々の・・・稼働状況」は、サーバ装置10の表示装置17で表示されるものであって、「所要時間」と「調剤機器各々の・・・稼働状況」とは、異なる「表示する手段」で表示されることが記載されるのみである、ことを指摘するものである。 また、理由2は、令和3年4月28日提出の手続補正書で補正された請求項1の「表示する手段」が「所要時間」及び「調剤機器各々の・・・稼働状況」を表示することは、以下、当初明細書等に記載されていない、本件特許明細書でサポートされていない、すなわち、当初明細書等には、「所要時間」は、クライアント端末20の表示装置27で表示され、「調剤機器各々の・・・稼働状況」は、サーバ装置10の表示装置17で表示されるものであって、「所要時間」と「調剤機器各々の・・・稼働状況」とは、異なる「表示する手段」で表示されることが記載されるのみである、ことを指摘するものである。 他方、令和5年4月13日付け審尋で 「「【0101】 以上説明したように、前記クライアント端末20に、前記受付端末51における処方箋の受付が行われてから患者に医薬品が引き渡されるまでの調剤作業の各工程における所要時間として前記時間T11~前記時間T17が入力されると、前記CPU21は前記時間T11~前記時間T17を前記データ記憶部24に記憶させる。これにより、その後、前記CPU21は、前記時間T11~前記時間T17に基づいて全行程の所要時間、即ち患者の待ち時間T10を算出することができる。さらに、前記CPU21は、前記調剤作業の各工程における所要時間である前記時間T11~前記時間T17を個別に参照することができるため、前記調剤作業における任意の期間の所要時間を算出することが可能である。例えば、前記時間T11~前記時間T12までの所要時間、即ち前記受付端末51における受付から前記調剤機器への調剤データまでの所要時間を算出することが可能である。従って、ユーザーは、前記時間T10~前記時間T17を用いて、例えば前記調剤機器を新たに導入することや、薬局等における人員の増加などの各種の対応を取ることにより患者の待ち時間を短縮することが可能となる。なお、前記CPU21は、前記操作入力部26に対するユーザー操作に応じて、前記調剤作業の任意の期間における所要時間の算出処理や、その所要時間の前記表示装置27への表示処理などを実行する。 【0102】 さらに、前記CPU21は、前記時間T10~前記時間T17を前記サーバ装置10に送信する。これにより、前記サーバ装置10においても前記時間T10又は前記調剤作業の任意の期間における所要時間などを管理することができる。例えば、前記サーバ装置10では、前記クライアント端末20各々における前記時間T10や前記所要時間を比べることが可能となる。従って、前記サーバ装置10により前記時間T10や前記所要時間を参照することにより、前記調剤情報管理システム1の管理者は、特定の薬局等における患者の待ち時間の適正化を図るように指導することが可能となる。」 上記記載から、本件特許明細書には、サーバ装置10において、管理者が所要時間を参照すること(管理者が、所要時間を参照するためには、その表示が必要であることは明らか。)で、特定の薬局等における患者の待ち時間の適正化を図るように指導することが可能となることが記載されているといえる。」 「 このように、請求項1の「表示する手段」が、本件特許明細書の「サーバ装置10」の「表示手段17」に対応するものであるとすると、当該サポート要件は解消するものとも考えられるが、請求項1の当該「表示する手段」を、本件特許明細書の「サーバ装置10」の「表示手段17」に対応するものと解釈してよいか。」 としたところ、特許権者は、令和5年5月24日提出の回答書で、「「請求項1の「表示する手段」を、本件特許明細書の「サーバ装置10」の「表示手段17」に対応するものと解釈してもよいか」との審尋事項につきまして、その通りに解釈することについて同意いたします。」と回答した。 よって、請求項1の「表示する手段」は、本件特許明細書に記載されている事項であるから、サポート要件を満たし(理由1)、請求項1の「表示する手段」は、本件特許明細書に記載されたものであって、当初明細書等にも記載された事項であるから、新規事項の追加にも該当しない(理由2)。 (2)なお、申立人は、請求項1は、「表示する手段」が表示する対象として、「前記調剤作業の各工程の所要時間」と、「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況」との2つを規定しており、「前記調剤作業の各工程の所要時間」に加えて、「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況」を表示する態様も包含しており、これは、本件特許明細書に記載されていない旨主張する(特許異議申立書50~51頁)が、上述したとおりであるから、申立人の当該主張に理由はない。 (3)また、申立人は、請求項1の「及び前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況」という記載は、令和3年4月28日提出の手続補正書により、請求項1に追加されている。これにより、補正前の「前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間を表示する手段」が補正され、「表示する手段」は、「前記調剤作業の各工程の所要時間」を表示対象とする手段から、「前記調剤作業の各工程の所要時間」と、「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況」との2つを表示する構成になり、「工程の所要時間」を表示し、さらに、「調剤機器の稼働状況」を表示する態様も包含することになるものの、本件特許明細書には記載されていない旨主張する(特許異議申立書54頁)が、上記理由2のとおり、「表示する手段」は、本件特許明細書に記載されたものであって、当初明細書等にも記載された事項であるから、申立人の当該主張に理由はない。 2 理由3について 令和4年8月25日付け取消理由通知における理由3は、請求項1の「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況」との記載の「稼働状況」とは、どのようなものであるのか明確でない、というものである。 これに対して、本件訂正により、「稼働状況」が「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」であることが明確になった。 3 理由4(進歩性)について (1)引用文献について ア 引用文献1記載事項、引用文献1に記載された発明 (ア)引用文献1には次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。 「【0001】 本発明は、調剤工程案内システム及び調剤工程案内プログラムに関する。」 「【0003】 患者が自分の調剤の終了を待つ負担を軽減するため、患者に受付番号を付与し、調剤処理の受付番号の順番と、調剤が完了した受付番号とを、患者の待合室に設置される待合室表示部に表示させる構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 調剤薬局における調剤の処理工程は、例えば、順に、調剤の受付工程、調剤工程、調剤した薬剤の服薬指導工程、調剤した薬剤の会計工程がある。しかし、上記の調剤処理中の受付番号の順番と調剤が完了した受付番号とを表示させる構成では、患者が自分の処方箋の調剤がどの処理工程にあるかを把握することができず、調剤終了までの待ち時間の予想をすることが困難となり、調剤待ちの負担の軽減が十分でないおそれがあった。」 「【0014】 本実施の形態の調剤工程案内システムとしての調剤システム100は、表示手段としてのサーバ10と、関連付け手段としての受付端末20と、調剤端末30と、服薬指導端末40と、会計端末50と、電波受信手段としての電波受信装置20A,30A,40A,50Aと、表示手段としての案内表示器60とを備え、サーバ10、受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50及び案内表示器60が通信ネットワークNにより通信接続される。」 「【0016】 調剤システムは100は、調剤薬局に設けられる。また、病院などの医療機関において診察を終えた患者は、電波発信機70が取り付けられた処方箋Pが医者などから手渡される。そして、処方箋Pを持参する患者は調剤薬局に来訪し、当該患者に対して調剤薬局側で調剤を行う。」(原文ママ) 「【0018】 調剤薬局における調剤の処理工程は、順に、患者が持参した処方箋Pを受け取り調剤依頼の受付を行う受付工程と、処方箋Pに基づいて調剤を行う調剤工程と、調剤した薬剤の薬剤情報箋を発行して服薬の仕方などを患者に指導する服薬指導工程と、患者に対して調剤の会計を行い会計のレシートを発行する会計工程とを含む。しかし、この処理工程は一例であり、この各処理工程に限るものではない。受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50は、順に、上記受付工程、調剤工程、服薬指導工程、会計工程に対応し、各処理工程に対応する操作者が操作する。」 「【0020】 次に、図2を参照して、サーバ10の内部構成を説明する。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶手段としての記憶部15と、通信部16と、を備えて構成され、各部は、バス17に接続される。」 「【0031】 次に、図5~図7を参照して、サーバ10の記憶部15に記憶される情報と、受付端末20の記憶部25に記憶される情報と、を説明する。図5に、サーバ10の記憶部15に記憶される管理情報ファイル151の構成を示す。図6に、サーバ10の記憶部15に記憶される関連付けファイル152の構成を示す。図7に、受付端末20の記憶部25に記憶される感知時間ファイル251の構成を示す。 【0032】 図5に、サーバ10において各端末から受信した情報を格納する管理情報ファイル151を示す。管理情報ファイル151は、サーバ10の記憶部15に記憶される。管理情報ファイル151は、調剤の各処理工程名としての工程名1511と、受け付けた各処方箋を識別するための受付番号1512と、工程名1511に対応する各端末の感知エリア内の電波発信機70(処方箋P)を感知し続けた時間を示す感知時間1513と、調剤した薬剤の数量としての調剤件数1514との項目を有する。」 「【0034】 図7に、受付端末20において感知エリア内の感知時間を格納する感知時間ファイル251を示す。感知時間ファイル251は、受付端末20の記憶部25に記憶される。感知時間ファイル251は、受付番号2511と、受付番号2511に対応する電波発信機70の感知時間2512との項目を有する。なお、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50、においても受付端末20と同様にして感知時間ファイル251が記憶部に記憶される。 【0035】 次に、図8~図12を参照して、調剤システム100の動作を説明する。図8に、各端末において実行される感知エリア設定処理を示す。図9に、受付端末20において実行される受付処理を示す。図10に、各端末において実行される感知時間管理処理を示す。図11に、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50において実行される工程関連処理を示す。図12に、サーバ10において実行される情報管理処理を示す。」 「【0046】 次いで、図10を参照して、各端末において、自機の感知エリアに対応する各電波発信機(各処方箋P)の感知時間を管理する感知時間管理処理を説明する。電波発信機70が処方箋Pに貼り付けられ、その処方箋Pが受付工程、調剤工程、服薬指導工程、会計工程で順に使われる。その過程で処方箋Pは、受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50の各感知エリアを順に通過していく。」 「【0050】 そして、ステップS31における電波発信機70の感知信号の受信の有無に基づいて、設定周波数の電波が感知されたか否かが判別される(ステップS32)。設定周波数の電波が感知された場合(ステップS32;YES)、記憶部25に記憶された関連付け情報が参照され、設定周波数に関連付けられる受付番号が認識される(ステップS33)。そして、ステップS33において認識された受付番号に対応する電波発信機70が既に感知済みであるか否かが判別される(ステップS34)。 【0051】 既に感知済みでない場合(ステップS34;NO)、現在の感知数が+1されてRAM23に格納される(ステップS35)。感知数とは、自工程の感知エリア内に同時に存在する電波発信機70の数を示し、初期値は0である。 【0052】 そして、ステップS33において特定された受付番号が記憶部25内の感知時間ファイル251に記憶されて、設定周波数に対応する感知時間のカウントがスタートされる(ステップS36)。具体的には、特定された受付番号が感知時間ファイル251の受付番号2511に記憶され、計時部27により現在時刻が取得され、当該現在時刻が設定周波数に対応する感知時間のスタート時刻に設定されてRAM23に格納される。」 「【0057】 前回のサイクルに現在の設定周波数で電波が感知されていた場合(ステップS40;YES)、設定周波数の電波発信機70が自工程の感知エリア内に入っていたが新たに当該感知エリア外から出て行ったことを意味し、RAM23内の感知時間のスタート時刻に基づいて、設定周波数に対応する感知時間が算出されて記憶部25の感知時間ファイル251に記憶される(ステップS41)。具体的には、現在の設定周波数に対応する感知時間のスタート時刻がRAM23から読み出され、計時部27により現在時刻が取得され、現在時刻とスタート時刻との差が感知時間として算出され、当該感知時間が感知時間ファイル251の設定周波数に対応する受付番号5211の感知時間2512に記憶される。 【0058】 そして、自工程名と、ステップS41において取得された受付番号及び感知時間とが、通信部26及び通信ネットワークNを介してサーバ10に送信される(ステップS42)。そして、現在の感知数が-1されてRAM13に格納され(ステップS43)、ステップS38に移行される。」 「【0064】 調剤端末30において、処方箋関連処理は、例えば、調剤者が処方箋Pを参照して調剤をして、操作部32を介して調剤者による調剤に関するデータの入力が受け付けられる。このデータは、例えば、調剤録の作成に用いられる。また、調剤に関するデータとして、薬剤の調剤件数が入力され、調剤件数及び受付番号が通信部36及び通信ネットワークNを介してサーバ10に送信される。」 「【0069】 先ず、通信ネットワークN及び通信部26を介して各端末から情報が受信される(ステップS61)。受信される情報は、受付処理のステップS25に対応する関連付け情報と、感知時間管理処理のステップS37に対応する工程名及び受付番号と、感知時間管理処理のステップS42に対応する工程名、受付番号及び感知時間と、工程関連処理のステップS56に対応する調剤端末30からの受付番号及び調剤件数と、のいずれか1つである。 【0070】 そして、ステップS61において受信された情報が記憶部15に記憶される(ステップS62)。具体的には、受信された情報が関連付け情報である場合に、受信した関連付け情報の受付番号、周波数及び処方箋番号が、順に、関連付け情報ファイル152の受付番号1521、周波数1522及び処方箋番号1523に記憶される。受信された情報が工程名及び受付番号である場合に、受信した工程名、受付番号が、順に、管理情報ファイル151の工程名1511、受付番号1512に記憶される。受信された情報が工程名、受付番号及び感知時間である場合に、受信した工程名、受付番号、感知時間が、順に、管理情報ファイル151の工程名1511、受付番号1512、感知時間1513に記憶される。受信された情報が受付番号及び調剤件数である場合に、受信した受付番号、調剤件数が、順に、管理情報ファイル151の受付番号1512、調剤件数1514に記憶される。ただし、既に記憶されている情報で重複する情報は上書きされる。」 「【0076】 また、各端末において感知された各電波発信機の感知時間を算出し、サーバ10の記憶部15の管理情報ファイル151に記憶するので、管理情報ファイル151内の各処理工程の感知時間を参照して、各処理工程の感知時間1513を各処理工程に要した時間とみなして、各処理工程にかかる処理時間を管理することができる。例えば、特定の処理工程に処理時間がかかっているようであれば、その原因を追求して処理時間を短縮するように改善することができる。また、同様に、調剤の調剤件数を取得し、サーバ10の記憶部15の管理情報ファイル151に記憶するので、管理情報ファイル151内の各処理工程の調剤件数1514を管理することができる。」 (イ)引用文献1の記載から把握できる事項 A 上記【0014】【0016】【0020】から、引用文献1には、「調剤薬局に設けられた調剤システム100であって、調剤システム100は、表示手段としてのサーバ10と、関連付け手段としての受付端末20と、調剤端末30と、服薬指導端末40と、会計端末50とを備え、サーバ10は、表示部14と、記憶手段としての記憶部15とを備え」ることが記載されているといえる。 B 上記【0004】【0018】から、引用文献1には、「調剤薬局における調剤の処理工程には、調剤の受付工程、調剤工程、調剤した薬剤の服薬指導工程、調剤した薬剤の会計工程があ」ることが記載されているといえる。 C 上記【0031】【0032】から、引用文献1には、「サーバ10の記憶部15には、各端末から受信した情報を格納する管理情報ファイル151が記憶され、管理情報ファイル151は、調剤の各処理工程名としての工程名1511と、工程名1511に対応する各端末の感知エリア内の電波発信機70(処方箋P)を感知し続けた時間を示す感知時間1513との項目を有し」ていることが記載されているといえる。 D 上記【0034】から、引用文献1には、「受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50において、感知エリア内の感知時間を格納する感知時間ファイル251が記憶部に記憶され」ることが記載されているといえる。 E 上記【0035】【0046】【0050】【0052】【0057】【0058】【0076】から、引用文献1には、「電波発信機70が処方箋Pに貼り付けられ、その処方箋Pが受付工程、調剤工程、服薬指導工程、会計工程で順に使われる過程で処方箋Pは、受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50の各感知エリアを順に通過していくとき、各端末において感知時間管理処理が実行されるものであって、電波発信機70の電波が感知されると、感知時間のカウントがスタートし、電波発信機70が当該感知エリアから出ていくと、各端末において感知時間が算出されて感知時間ファイル251に記憶され、自工程名と、取得された感知時間とがサーバ10に送信され」ることが記載されているといえる。 F 上記【0069】【0070】から、引用文献1には、「サーバ10は、各端末から情報が受信され、受信される情報は、工程名及び感知時間であり、受信された情報が記憶部15に記憶されるものであって、受信した工程名及び感知時間を、管理情報ファイル151の工程名1511、感知時間1513に記憶させ」ることが記載されているといえる。 G 上記【0076】から、引用文献1には、「管理情報ファイル151内の各処理工程の感知時間を参照して、各処理工程の感知時間1513を各処理工程に要した時間とみなして、各処理工程にかかる処理時間を管理する」ことが記載されている。 (ウ)引用文献1に記載された発明 上記(イ)A~Gから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 調剤薬局に設けられた、調剤システム100であって、 調剤システム100は、表示手段としてのサーバ10と、関連付け手段としての受付端末20と、調剤端末30と、服薬指導端末40と、会計端末50とを備え、 サーバ10は、表示部14と、記憶手段としての記憶部15とを備え、 サーバ10の記憶部15には、各端末から受信した情報を格納する管理情報ファイル151が記憶され、管理情報ファイル151は、調剤の各処理工程名としての工程名1511と、工程名1511に対応する各端末の感知エリア内の電波発信機70(処方箋P)を感知し続けた時間を示す感知時間1513との項目を有し、 受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50において、感知エリア内の感知時間を格納する感知時間ファイル251が記憶部に記憶され、 調剤薬局における調剤の処理工程には、調剤の受付工程、調剤工程、調剤した薬剤の服薬指導工程、調剤した薬剤の会計工程があり、 電波発信機70が処方箋Pに貼り付けられ、その処方箋Pが受付工程、調剤工程、服薬指導工程、会計工程で順に使われる過程で処方箋Pは、受付端末20、調剤端末30、服薬指導端末40、会計端末50の各感知エリアを順に通過していくとき、各端末において感知時間管理処理が実行されるものであって、電波発信機70の電波が感知されると、感知時間のカウントがスタートし、電波発信機70が当該感知エリアから出ていくと、各端末において感知時間が算出されて感知時間ファイル251に記憶され、自工程名と、取得された感知時間とがサーバ10に送信され、 サーバ10は、各端末から情報が受信され、受信される情報は、工程名及び感知時間であり、受信された情報が記憶部15に記憶されるものであって、受信した工程名及び感知時間を、管理情報ファイル151の工程名1511、感知時間1513に記憶させ、 管理情報ファイル151内の各処理工程の感知時間を参照して、各処理工程の感知時間1513を各処理工程に要した時間とみなして、各処理工程にかかる処理時間を管理する、 調剤システム100。 イ 引用文献2記載事項 引用文献2には次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。 「【請求項1】 処方箋による医薬品種類、数量、患者名又はコード記号などの患者データを入力されるとその指示に従って医薬品を調剤又は準備する複数の医薬品処理ユニットを搬器を一時的に滞留させるための搬器滞留場を中心として配置し、各患者に必要な医薬品が上記処理ユニットから搬器に集められ監査位置で監査されて投薬窓口へ移るまでの各処理ユニットや監査位置における処理時刻、処理時間のデータを記憶、集計、演算する演算制御部を上記処理ユニットに組合わせて備え、上記演算制御部が一定の時間帯ごとに処理作業種類ごと及び全作業種類での処理時間を集計するようにして成る医薬品処理システム。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、病院などの薬局内で処方箋に従って薬剤を調剤、監査処理して各薬剤ごと及びその処理位置ごとの作業処理時間などを集計、演算処理する医薬品処理システムに関する。」 「【0010】 【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を解決する手段として、処方箋による医薬品種類、数量、患者名又はコード記号などの患者データを入力されるとその指示に従って医薬品を調剤又は準備する複数の医薬品処理ユニットを搬器を一時的に滞留させるための搬器滞留場を中心として配置し、各患者に必要な医薬品が上記処理ユニットから搬器に集められ監査位置で監査されて投薬窓口へ移るまでの各処理ユニットや監査位置における処理時刻、処理時間のデータを記憶、集計、演算する演算制御部を上記処理ユニットに組合わせて備え、上記演算制御部が一定の時間帯ごとに処理作業種類ごと及び全作業種類での処理時間を集計するようにして成る医薬品処理システムの構成としたのである。」 「【0014】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1はこの発明の医薬品処理システムの外観斜視図である。図示のシステムは、調剤又は準備された医薬品をその処理内容及び時間データを記憶するデータ記憶形のトレイ内に収納して集め、その内容物を監査処理後患者に渡す方式のものである。 【0015】医薬品処理ユニット10として、例えば図示の例では散剤処理ユニット10A、水剤処理ユニット10B、散ヒ処理ユニット10C、錠剤処理ユニット10D、外用薬処理ユニット10Eなどが備えられており、図示していないがこの他にも錠ヒ処理ユニット、薬袋処理ユニットなどを設けてもよい。なお、各処理ユニットには図示しない表示器CRTがそれぞれ設けられ、各処理ユニットで処理すべき患者の医薬品名又はコード記号などが表示される。 【0016】上記医薬品処理ユニット10は、例えば錠剤処理ユニット10Dでは複数種類の錠剤を自動的に選別しそれらを1つの分包紙に分包する機能のもの、あるいは散剤処理ユニット10Aでは異なる種類の散剤を薬剤師により調剤され、一定量ずつ分包するという機能のものなど種々のものがあり、具体的に図示はしないが多くの病院薬局で設置されているものである。」 「【0019】監査台Gで薬剤師により、内容物の監査が終了したトレイT1、T2のデータは、投薬台Jに設けられた非接触の受信器13で読取られ、その信号はデータ集計及び分析するためパーソナルコンピュータを用いたデータ処理ユニット14へ送られ、集計結果あるいは分析結果が表示器15(CRT)に表示される。なお、監査台Gから投薬台JへのトレイTの移動は薬剤師又は作業員が持運びするものとする。 【0020】図2は医薬品処理システムの全体概略ブロック図である。処方箋の受付窓口で処方箋を受付けると、その処方箋で指示された患者データ(薬剤データ)が受付番号や患者名又はコード記号と共に入力装置1から入力され、ホストコンピュータ2へ送られる。ホストコンピュータ2からは上記薬剤データが医薬品処理ユニット10の該当するユニットへ送信され、調剤又は準備を各処理ユニットで行なうように指示される。この指示は上記送信情報を各処理ユニットの表示器(図示省略)に表示することにより行なわれる。」 「【0026】図4(c)にデータ記録部11内の制御回路のブロック図を示す。制御部3は、記憶メモリ3a、表示駆動部3bなどを備えている。電源4は、電池4aを備えかつソーラ電池4bを接続されている。電池4aのみ又はソーラ電池4aのみでもよい。入力部5は、信号送受信部5a、薬種スイッチ5S、タイマー5T、リセットキー5Rなどを有する。表示部6は液晶表示部が用いられている。」 「【0028】薬種スイッチ5Sは、薬種の調剤処理確認用のスイッチである。錠剤、散薬などの調剤が終ると確認のためそれぞれのスイッチを投入する。なお、液晶表示器6aは処方箋による指示データの全てを表示できる表示器である。」 「【0030】医者の処方箋によって指示される各患者に必要な薬品はそれぞれ多種多様であり、錠剤、散薬、水薬、外用薬などに分けられるから、例えば錠剤が具体的にどのような内容のものであれ、調剤が揃ったらスイッチ5Sの対応するスイッチを投入することによってその患者に対して調剤が終了したかどうかの信号を入力することができる。この時完了時刻も記憶される。 【0031】調剤作業そのものも多種多様である。例えば、散薬を調合する場合、その調合作業から分包、薬袋挿入までを全て自動化した設備を備えているところや、あるいは全て人手で分包、薬袋挿入などを行なう場合もある。 【0032】いずれにしても、それぞれの調剤作業場所で作業が患者毎に終了した際に調剤された薬品は集められる。このとき、この実施形態の調剤トレイはそれぞれの調剤作業位置で必要な薬種が収納され、それによって例えば錠剤が全て揃うと錠剤に関するスイッチが投入される。こうして全てのスイッチが投入されるとトレイ中にその患者に必要な薬種が揃えられ、最終的な監査作業へと移動される。 【0033】監査台Hは単なるテーブルであり、調剤トレイTを乗せて薬剤師による監査が行なわれる。投薬窓口Gも単なるテーブルとして示しているが、一般には受付窓口を兼用し入力装置1(図示省略)が置かれている。この投薬窓口Gのテーブル上には受信器13が設けられ、この受信器13は送信器12と同様な光信号により調剤トレイTのデータ記録部11からデータを読取る装置である。 【0034】データ処理ユニット14は、ホストコンピュータ2と同様なパーソナルコンピュータを用いており、上記データ記録部11から読取ったデータを一時的に記憶し、後述するデータの集計、演算を実行する。このデータ処理ユニット14で処理されたデータは表示器15(CRT)に表示される。なお、ホストコンピュータ2から通信により患者データが送られてくるが、これは調剤トレイTのデータ記録部11から読取られたデータと照合してその患者データが正しいかをチェックするため図2に示すように通信線で結ばれている。」 「【0036】図4の(a)に示すように、処理作業の大まかな流れとして、まずステップS1で患者番号、名前等の患者データが入力装置1によりホストコンピュータ2へ入力される。この入力装置1は処方箋の受付窓口に設けられ処方箋を受付けると上記データに入力が行なわれる。 【0037】次にステップS2で患者データの送信が行なわれる。このデータ送信により各医薬品処理ユニット10のうちその患者に必要な薬種を調剤又は準備する処理ユニットへ送る(S3’)と共に、前述したデータ記憶形トレイのデータ記録部11へ非接触でデータを書込む(S3)。 【0038】上記データ記録部11へのデータ書込みは、患者に対し予定されたトレイTが貯留場Fの送信器12の位置に置かれていることを前提とする。このデータ書込みは、引換え券番号や調剤データと共に書込み時間が記録される。 【0039】上記トレイTへのデータ書込みと共に並行して又は少し時間が遅れて所定の薬剤処理ユニット10のいくつかにおいて必要な薬剤の調剤又は準備が行なわれ、薬剤種別毎に調剤が完了するとステップS4でその都度完了時刻がトレイTへ記録され、かつ1処方の調剤が完了するとその全調剤の完了時刻が記録される。 【0040】次に、ステップS5で監査作業が行なわれ、その後S6で投薬窓口へトレイTが渡されて患者へ投薬されると共に、S7でデータの集計や表示が行なわれる。このデータの集計、表示のために、投薬窓口ではトレイTから受信器13によりデータを受信するが、その際受取るデータとして次のものが含まれる。 1 引換え券番号 2 書込み時刻(発生時刻) 3 現在時刻(投薬時刻) 4 薬剤毎の調剤完了時刻 5 1処方の調剤完了時刻 6 薬剤データ 。 【0041】以上のデータを含むデータ信号は受信器13からデータ処理ユニット14へ送られ、集計、分析が行なわれた後表示器15に表示される。以上がこの薬品処理システムの作業の概略の流れであるが、このシステムではデータ処理ユニット14において上記処理作業の各個々の作業に要した時間が1日の30分毎の単位で作業種類(薬種+監査)ごとに集計され、待ち時間などと共に表示器15に表示される。図4(b)はそのデータ処理の大略のフローチャート、図5は詳細なフローチャートである。なお、図4の(b)及び図5のフローはコンピュータにより論理制御されるものである。 【0042】図4の(b)に示すように、ステップSS1で各単位時間ごとに複数の患者分の処方完了データや作業時間データが該当するトレイTから受信器13により読取られた後、データ処理ユニット14に送られ、そのユニットの記憶部(図示省略)に記憶される。そして改めてステップSS2で記憶されているデータのうち作業種別、即ち監査作業を除いた薬種別の単位時間(例えば30分)ごとのデータが読み出される。 【0043】ステップSS3では単位時間内で処理された薬種別の作業件数(処方数)、作業時間のそれぞれの集計が行なわれ、ステップSS4では単位時間ごとの監査時間及び全患者の作業時間の集計が行なわれる。この監査時間の集計は、各患者ごとに薬種別の作業時間の合計を全作業時間の合計から減算することにより得る。」(原文ママ) 「【0047】DS2では作業種類、即ち薬剤種別ごとのデータが各医薬品処理ユニットで処理された際にその作業の開始時刻、処理完了時刻データが患者データに対応してトレイに記録されるから、データを集計する際にまず作業種類と期間の区分を判断するのである。作業種類は例えば医薬品処理ユニットA~DをN=1~6に対応させてN=1であればさらに期間の区分が1日当りのデータ区分であればその作業時間等を集計する。」 「【0051】上述した集計データ、演算データの表示については、図6に示す集計データ表示と図7に示すグラフ表示の2通りを表示画面の選択により切換えて表示される。図6の表示は受付数、作業処理時間の最大、平均、最小の時間数、交付数、滞留数などの集計、演算データを各時間帯毎の数字として示す。しかし、図7のグラフ表示では、各時間帯毎の薬種別の作業件数と、各作業時間の合計と、全作業時間の合計が棒グラフの形で表示されている。 【0052】上記図7のグラフを作成することにより各薬種別作業時間のピークを知ることができる。図7のグラフは各薬種別の作業時間を棒グラフとして積み上げたものであるが、これを仮りにある一定期間(例えば数週間分、あるいは数ヶ月分)内での平均として各薬種別作業時間(及び件数)を各時間帯毎に示した標準(又は基準)パターンとする。 【0053】実際の1日毎の各薬種別作業時間の分布形状では、例えば図8のように、医薬品処理ユニットのいずれか、あるいは監査作業のどこかに特定の薬剤処理などが一定時間集中して発生することがある。例えば図8では、9:30~9:59(T=4)の時間帯で散剤件数5件、処理時間10分標準パターンより増加しており、同時に10:00~10:29(T=5)では散ヒ件数8件、10分、12:00~12:29(T=9)では錠ヒ件数7件、15分、12:30~12:59(T=10)では散剤件数6件、16分それぞれ増加しているのが標準パターンと比較すると分る。」 「【0059】なお、上記第1及び第2の実施形態のいずれの場合も作業の完了時刻データの入力は、データ記憶形トレイ又は各医薬品処理ユニットに設けられたスイッチを介して手作業で入力するとしているが、例えば錠剤処理ユニットの場合のように処理ユニットでの処理作業を完全自動化し得る形式の処理ユニットでは手作業による入力でなく処理作業が完了した時点で処理作業完了信号を自動で内部発生させ、その完了信号をデータ通信によりデータ処理ユニット14へ自動送信するようにしてもよい。 【0060】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の医薬品処理システムは複数の医薬品処理ユニットを演算制御部に組み合わせて備え、調剤作業の時間データや患者データを集計、演算して一定時間帯ごとに処理作業毎の処理時間を集計し、必要なデータを演算により得るようにしたから、上記集計、演算によって得られるデータを表示することにより、各時間帯ごとの作業時間が標準データとの比較により判断でき、作業時間のピークがどの作業に生じているかを知ることによって調剤、監査作業を効率よく合理的な人員配置により処理できるようになるという利点が得られる。」 [図:0001405778000001.jpg] 【図6】 [図:0001405778000002.jpg] 【図8】 ウ 引用文献3記載事項 引用文献3には次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。 「【請求項1】 処方箋に記載されたデータを処方データとして記憶し、データ処理する電子処理装置と、通信可能な情報端末と、前記電子処理装置と情報端末との間の双方向情報通信網とを備え、前記情報端末は、少なくとも薬剤のバーコードを読取り、且つ当該情報端末を使用する作業者のIDデータ、薬剤入庫データ等の各種データが入力可能であり、表示部を備えたものであって、前記読み取られた薬剤のバーコードと照合して調剤検品するためのプログラムソフトと、薬剤に関するデータが格納されたデータベースとを備えた記憶装置を有し、前記電子処理装置と前記情報端末と前記双方向情報通信網と前記記憶装置とにより調剤業務の人的過誤の防止を目的とする調剤作業支援を実行し、前記処方データに基づく作業者の行為、対象薬剤名、対象薬剤数量がデータとして前記情報端末から送信され、前記送信されるデータには、当該データを入力する時点の時刻データを含み、前記電子処理装置は、前記情報端末から送信されるデータに基づいて、当該情報端末を使用する作業者の作業内容、所要時間等の業務実行履歴データを作成することを特徴とする調剤薬局の業務管理システム。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、調剤薬局、病院、診療所等において、患者に渡す薬剤の調剤業務を管理するシステムに関するものである。」 「【0010】 【課題を解決するための手段及び作用・効果】 前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の調剤薬局の業務管理システムは、処方箋に記載されたデータを処方データとして記憶し、データ処理する電子処理装置と、通信可能な情報端末と、前記電子処理装置と情報端末との間の双方向情報通信網とを備え、前記情報端末は、少なくとも薬剤のバーコードを読取り、且つ当該情報端末を使用する作業者のIDデータ、薬剤入庫データ等の各種データが入力可能であり、表示部を備えたものであって、前記読み取られた薬剤のバーコードと照合して調剤検品するためのプログラムソフトと、薬剤に関するデータが格納されたデータベースとを備えた記憶装置を有し前記電子処理装置と前記情報端末と前記双方向情報通信網と前記記憶装置とにより調剤業務の人的過誤の防止を目的とする調剤作業支援を実行し、前記処方データに基づく作業者の行為、対象薬剤名、対象薬剤数量がデータとして前記情報端末から送信され、前記送信されるデータには、当該データを入力する時点の時刻データを含み、前記電子処理装置は、前記情報端末から送信されるデータに基づいて、当該情報端末を使用する作業者の作業内容、所要時間等の業務実行履歴データを作成することを特徴とするものである。」 「【0041】 処方箋入力作業の開始に当たって、まず、コンピュータ1(レセプト用コンピュータ1a、専用コンピュータ1b)を立ち上げる(S10)。次いで、処方箋入力作業開始の画面(図示せず)を開いて、前記画面上の作業開始ボタンを押して入力し(S11)、入力作業者の氏名またはID(識別)コードを入力する(S12)。前記画面において、入力作業者の氏名またはID(識別)コードを入力することで、作業開始を判断するようにしても良い。これらの場合、作業者の名札等に付随させて印刷されたバーコードをバーコードリーダーにて読み取って入力しても良い。なお、担当者(作業者)を特定し、後の業務管理に提供するため、前記レセプト用コンピュータ1a及び専用コンピュータ1bのメモリ(ハードディスク)内には、1乃至複数の担当者名とその担当者を特定するためのIDコード(バーコード形式を含む)を予め記憶させておく。そして、以下の各作業でも作業者を特定するための入力操作も上記と同じようにする。」 「【0045】 前記処方箋入力作業を終了すると、コンピュータ1の画面にて作業終了のボタンをタッチする等して、終了信号を入力する(S14)。次いで、図6のフローチャートに示すような、処方箋入力鑑査を実行する。処方箋入力鑑査は、前記レセプト用コンピュータ1aまたは調剤業務に関するプログラム(調剤過誤防止のためのピッキング作業プログラムを含む)が記憶された記憶装置を有する専用コンピュータ1bのいずれで実行しても良い。」 「【0101】 上述のように、調剤業務(ピッキング検品ソフトを含む)のプログラムソフトは、調剤過誤防止の観点からの作業追跡を可能とするように、各コンピュータ(ハンディターミナル)による入力時の各作業内容とその時刻データとを対にして記憶される時間軸添付型データとしての業務履歴データが記憶されているから、このプログラムソフトを利用すると、時間軸を1患者(1処方箋)毎について、 (a).処方箋受付担当者の処方箋受付時刻とその所要時間 (b).処方箋入力担当者の処方箋入力開始時刻と所要時間及び入力データ (c).処方箋入力鑑査担当者の鑑査開始時刻と所要時間及び入力データ (d).ピッキング作業担当者のピッキング作業開始時刻と、ピッキング作業内容(薬剤毎のピッキング所要時間、調剤過誤の有無、内容を含む) (e).ピッキング鑑査担当者の鑑査開始時刻とピッキング鑑査内容(ピッキングもれ、ピッキング数量ミスの発見等)と所要時間 (f).投薬・服薬指導担当者の指導開始時刻と所要時間等のデータが得られる。 【0102】 他方、調剤薬局における安全性確保と、作業の効率化の観点から、複数の作業区分に分業化が進んでいる。そして、1作業者が1日のうちに作業の評価の異なる複数種類の作業を実行しているから、1作業者が1日に処理した処方箋数等を単純に計算するだけでは、各作業者の作業処理能力、技能力、作業効率等は測れない。 【0103】 そこで、本実施形態では、1作業者が1日あたり処理可能な平均処方箋数を、図23に示すような作業区分ごとに設定し、その1枚の処方箋に対する基礎評価点を設定する。処方入力鑑査の作業は他の作業に比べて困難性が少ないので、仮に0.3と設定した。」 「【0105】 これらの図表のように設定した値と、前記(a)~(f)のデータとから、例えば、任意の年月日の1日における各作業者毎の作業内容と処理数、労働評価点が算出できる。図25は例としてA作業者の評価点等を示し、図26はA~F作業者(6人)のある日の労働評価点を棒グラフで示したものである。図26から理解できるように、各作業者毎の労働評価点(調剤労働評価)の高低の比較が直ちに演算され、表示することができる。 【0106】 また、前述のように、業務履歴データは時間軸が添付されたものであるから、例えば、任意のある日の就業時間帯毎の各作業者の作業内容とその能力評価(調剤労働評価)を簡単に求めることができる。図27は、A作業者についての時間帯ごとの作業内容とその労働評価点を演算したものである。例えば、午前八時から10時までの間に、A作業者は、処方箋入力を2枚、処方箋鑑査を5枚、錠剤のピッキング作業を7枚、投薬・服薬指導を3枚実行したことを示し、従ってその間の労働評価点は7.5点となる。図28は図27の内容を折れ線グラフにて示したものであり、各作業者毎の細作業区分別の日内変動を知ることができる。」 [図:0001405778000003.jpg] 【図27】 エ 引用文献4記載事項 引用文献4には次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、病院や調剤薬局等の医療施設で使用される薬袋印刷機や薬剤分包機等の調剤業務に用いる各調剤機器を、処方データに基づいて動作させて制御する調剤制御装置、特に、処方データを外部装置に送信するホストコンピュータとの接続が可能な調剤制御装置に関するものである。」 「【0017】そこで、本発明は、処方データに基づいて複数の調剤機器を同一方法で簡単に集中管理して駆動制御することができる調剤制御装置を提供することを課題とする。」 「【0024】また、前記中央処理装置により、前記調剤実行管理対象設定ファイルに記憶した各管理対象について実行状況をモニタ画面に表示させるのが好ましい。これにより、各管理対象、すなわち処方受信、処方監査入力、各調剤機器における実行状況を集中管理することが可能となる。ここで、実行状況とは、処方データの未処理/終了の状況、処方データにおける各調剤機器での動作の待ち/実行中/終了の状況、各調剤機器での動作の待ち件数、稼働中/停止中の状況、エラーの状況を意味する。 【0025】また、前記中央処理装置により、前記調剤実行管理対象設定ファイルに記憶した各管理対象、すなわち処方受信、処方監査入力、各調剤機器について実行時間を監視して、所定時間を超過することにより報知させると、不注意等で患者の待ち時間が長くなることを防止できる点で好ましい。」 「【0031】調剤制御装置1は、中央処理装置3(CPU)、ハードディスク装置4、多チャンネル通信部5、及び端末装置6を備える。」 「【0034】端末装置6は、ディスプレイ、キーボード、マウス、及び報知ブザーからなる処方監査入力端末装置6aと調剤実行管理端末装置6bとを備える。これら端末装置6は、「処方監査入力」と「調剤実行管理」という特定用途の他、各種ファイルのデータ入力等にも使用する。なお、端末装置6の2台は1台に集約してもよい。この場合、各種画面はマルチウインドウで表示する。」 「【0036】調剤実行管理対象設定ファイル10は、図2に示すように、処方受信、処方監査入力のほか、各調剤機器2を管理対象として記憶したものである。各管理対象は機種で表され、各機種毎にID番号を付している。ここでは、「処方受信」を1、「処方監査入力」を2、「薬袋印刷機」を3、「錠剤分包機」を4、「散剤分包機」を5としている。新たに管理対象が追加される場合はID番号を追加して対応する。管理対象に同一機種のものが複数含まれる場合には、号機番号を付すことにより対象を特定している。なお、パラメータは、管理対象毎に固有の各種情報であり、「処方監査入力」では、1は「監査結果の送信・要」を意味している。」 「【0041】調剤機器2は、主に薬袋印刷機や薬剤分包機であり、この他には、散剤の調剤における薬瓶の取り出しや秤量の正常性を確認しながら記録する散剤調剤監査機、水剤の調剤を監査する水剤調剤監査機、水剤を分割包装する水剤分包機等の機器が含まれる。各調剤機器2の台数も施設毎に様々であり、調剤制御装置1に1機種以上・1台以上接続されている。調剤機器2の各機種にはID番号が付与され、機種毎の各号機には号機番号が付与されている。これらは識別と制御とに用いられる。新機種が追加になる場合はID番号を追加し、号機が増える場合は号機番号を増やして対応する。調剤制御装置1と調剤機器2の間は高速シリアル通信で接続するが、汎用バス接続やネットワーク(LAN)接続等、どのような接続・通信方式でもよい。」 「【0049】続いて、設定された管理対象を列項目として、調剤実行管理端末装置6bに、図6に示す「調剤実行状況モニタ」画面を表示する(ステップS2)。「調剤実行状況モニタ」画面は、調剤実行管理対象設定ファイル(図2)に基づいて、設定された管理対象である「処方受信」、「処方監査入力」、及び調剤機器2の各号機を列項目とし、処方データを行項目として、列項目における各調剤の実行状況として「待ち」「実行中」「HH:MM(終了時刻)」等を表示したものである。「処方受信」には「待ち」と「実行中」の状態はない。図6中、処方データ欄の「処方データNo.」「患者番号」「患者名」「ホスト指令(処方データ区分)」「処方箋(区分)」「診療科」「引/棟(引換番号/病棟)」には、処方箋ファイル(図4)内の処方データから読み出して表示する。診療科名等の名称は各種マスタファイルから読み出す。「引/棟」欄は、処方箋区分が外来の場合は引換番号(「おくすり引換券」の番号)を表示し、入院の場合は病棟名を表示する。処方データNo.は、処方データを識別するための連続番号を示す。ホスト指令は、ホストコンピュータ12からの処方データに対する指令を示し、「通常」「削除」「修正」の区分がある。ここでは、「通常」を0、「削除」を1、「修正」を2としている。なお、管理対象が多くて画面の横幅内に収まらない場合、横スクロールバーを表示し、列項目を横スクロール表示することができる。また、画面の表示直後は行項目である処方データが無い空の状態である。このステップS2以後は「調剤実行状況モニタ」画面(図6)での表示・操作で処理が進み、調剤機器2等を集中して監視操作する。 【0050】次いで、「調剤実行状況モニタ」画面(図6)での表示範囲における内容を最新のデータ内容に更新し(ステップS3)、列項目である処方受信、処方監査入力、各調剤機器の各管理データ(図7,図8,図9,図10,図11,図12)の内容を画面に表示する。」 「【0054】なお、各管理データに処方データ(行データ)が追加されたり、実行状況が変わると、即座にその内容が「調剤実行状況モニタ」画面(図6)に表示され、件数表示、エラー表示等も最新の状態に更新する。縦・横スクロールバーが操作されて表示範囲が変わった場合もそれに応じて内容を表示する。新たな処方データは、操作者による何らかの選択の操作中でない限り、次々に最下行からスクロールアップして表示する。 【0055】このとき、処方データ(行データ)の中で何らかの調剤処理が残っている未処理の処方データには「未」印を表示し、任意に設定できる監視時間を超過した処方データには「★」印を表示する。この時間超過の場合には報知ブザーも鳴らす。なお、監視を開始する時刻は、調剤実行管理対象設定ファイル(図2)の最初に設定された管理対象である「処方受信」又は「処方監査入力」の終了時刻であり、その監視開始時刻と現在時刻を比較して時間監視を行う。」 「【0101】処方受信、処方監査入力、各調剤機器における調剤実行状況をモニタ画面に表示させるようにしたので、全調剤機器を同一方法で集中監視し、エラー発生等で各調剤が滞留することを防止することができる。」 [図:0001405778000004.jpg] 【図6】 (2)当審の判断 ア 本件訂正発明1について (ア)本件訂正発明1と引用発明との対比 A 引用発明の「表示手段としてのサーバ10と、関連付け手段としての受付端末20と、調剤端末30と、服薬指導端末40と、会計端末50とを備え」る「調剤システム100」は、後述する相違点は別にして、本件訂正発明1の「調剤情報管理システム」に相当する。 B 引用発明の「調剤薬局」は、本件訂正発明1の「薬局」に相当する。引用発明の「調剤薬局における調剤の処理工程」は、本件訂正発明1の「調剤作業」に相当する。そして、引用発明の「調剤薬局における調剤の処理工程」の「調剤の受付工程、調剤工程、調剤した薬剤の服薬指導工程、調剤した薬剤の会計工程」は、本件訂正発明1の「調剤作業の各工程」に相当する。 引用発明の「各処理工程の感知時間1513」との項目に記憶されている「感知時間」は、本件訂正発明1の「各工程の所要時間」に相当し、引用発明は、「サーバ10は、各端末から情報が受信され、受信される情報は、工程名及び感知時間」であることから、引用発明のサーバ10が感知時間を取得することは、本件訂正発明1の「各工程の所要時間を取得」することに相当し、引用発明の「感知時間1513」は、管理情報ファイル151の項目の1つであり、記憶部15に記憶されることから、引用発明の「記憶部15」は、本件訂正発明1の「記憶部」に相当する。 そして、引用発明において、調剤システム100のサーバ10は、取得した感知時間を記憶部15に記憶するものであるから、調剤システム100は、感知時間を記憶部15に記憶させる手段を備えることは明らかである。また、引用発明の調剤システム100の各端末は、感知時間を算出することを踏まえると、当該調剤システム100は、感知時間を取得すること、算出すること、そして、感知時間を記憶部15に記憶する手段を備えているといえるから、引用発明の当該手段は、本件訂正発明1の「薬局における調剤作業の各工程の所要時間を取得又は算出して記憶部に記憶する手段」に相当する。 C そうすると本件訂正発明1と引用発明とは、次の点で、一致又は相違する。 <一致点> 薬局における調剤作業の各工程の所要時間を取得又は算出して記憶部に記憶する手段、 を備える、調剤情報管理システム。 <相違点> (相違点1) 本件訂正発明1は、「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」という概念のものを構成に含んでいるのに対し、引用発明には、そのような概念のものはない点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間」及び「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」を「表示する手段」を備えているのに対し、引用発明は、表示をする手段を備えているか定かではない点。 (イ)相違点の判断 事案に鑑み、相違点1及び相違点2をまとめて判断する。 引用発明は、引用文献1【0003】【0004】に記載されているとおり、患者に対して、調剤が完了したときに、患者の受付番号を表示する構成では、患者の調剤がどの処理工程にあるか把握することができず、調剤終了までの待ち時間の予想が困難となり、調剤待ちの負担の軽減が十分でないとの課題を解決するものである。他方、引用文献1には、複数の薬局に設置された複数の端末から調剤機器各々の稼働状況を取得することは記載されておらず、示唆もされていない。このため、引用発明において、調剤システム100が備える端末を、複数の薬局に設置して、それらの端末から調剤機器各々の稼働状況を取得する構成としようとする動機はない。 また、引用文献2~4についても、それぞれ、上記(1)イ~エのとおりの事項が記載されるのみであって、「複数の端末」が「複数の薬局」に「設置」され、複数の端末から「調剤機器各々」の「稼働状況」を取得することは記載されておらず、示唆もされていない。 このため、引用発明に引用文献2~4に記載された技術的事項を適用しても、上記相違点1、2の構成に至らないことは明らかである。 なお、上記のとおりであるから、引用文献2~4のいずれかを主引用発明としても、上記相違点1、2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。 そして、相違点1、2の構成とすることで、「これにより、前記サーバ装置10を使用する管理者は、前記調剤機器の稼働率が高いことが原因で前記時間T10が前記平均値以上となっており、前記薬局等に新たに前記調剤機器を設置することが望ましいこと等を把握することができる。」(【0104】)という、格別顕著な作用効果を奏するものである。 よって、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基づいて、上記相違点1及び2の構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。 (ウ)申立人の主張について A 申立人の主張の概要 申立人は、「令和5年9月7日提出の意見書で、「(「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され」について)」として、次のように主張する。 (A)第1の主張(意見書4~6頁) 本件特許異議申立において、証拠物件の1つとして甲第6号証には、「複数のユーザー先に設置された複数の調剤装置(薬剤分包装置10)とサポートセンターコンピュータ20とが接続され、サポートセンターコンピュータ20は、調剤装置から調剤部11の調剤動作情報を取得し、調剤動作情報の集計結果を表示装置22に表示し、これにより、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案すること」が記載されており、「ユーザー」は薬局で勤務する薬剤師あるいは管理者などが想定され、図2に示されるように、サポートセンター20と接続される複数の調剤装置(薬剤分包装置10)は、サポートセンター20と通信する中央処理装置12と、調剤動作を行う調剤部11とを有しており、各々の調剤装置は、調剤動作情報をサポートセンター20に出力し、サポートセンター20は、表示装置22に調剤動作情報の集計結果を表示装置22に表示することで、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案可能にするものである。 (B)第2の主張(意見書6~7頁) 複数の薬局に設置された複数の端末から取得された情報を表示することは、出願時の技術常識に基づき当業者が容易に想到できる。本件特許明細書の背景技術の欄にも記載されている。 なお、本件特許明細書の背景技術の欄には、調剤機器とクライアント端末とが接続されることは記載されていないかもしれないが、本件訂正発明1においても、調剤機器と端末とが接続されることは特定されていない。このような本件訂正発明1は、調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況を、ユーザが端末に入力し、その稼働状況を端末から取得して表示することも含んでいる。そうすると、情報の内容(稼働状況か、ヒューマンインシデントの情報か)に相違はあるものの、情報を端末からサーバ装置に集約する点では、本件特許明細書の背景技術の欄に記載されている事項と本件訂正発明1との間に差異はない。 B 主張の検討 (A)主張1について 甲第6号証(以下、「甲6」という。)には、次の記載がある。なお、下線は、当審で付与した。 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】 このような調剤装置においては、既述したように、薬剤の分配や包装といった調剤動作を行う機能を有しているものの、過去の調剤情報について、どのような調剤動作を行ったのか、例えば、同時分包、交互分包、錠剤分包及び散薬分包をそれぞれどれぐらいの頻度で行っているのか等については分からず、従って、ユーザーに対して、適切な種類や性能等の調剤装置が提供されているのかが分からないのが実情である。 【0004】(省略) 【0005】 本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、過去の調剤情報を知得でき、これにより、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案することができる調剤装置を提供することを課題とする。」 「【0009】 (1)調剤装置薬剤を分配及び/又は包装する調剤動作を行う調剤装置において、前記調剤動作に関する調剤動作情報を記録するログ記録手段と、前記ログ記録手段にて記録された前記調剤動作情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする調剤装置。 【0010】 (2)調剤情報取得システム前記本発明に係る調剤装置と、前記調剤装置に所定の通信手段を介して接続されるサポートセンターコンピュータとを具備し、前記サポートセンターコンピュータは、前記調剤装置から前記調剤動作情報を取得することを特徴とする調剤情報取得システム。」 「【0017】 本発明に係る調剤情報取得システムにおいて、前記サポートセンターコンピュータは、前記調剤装置の前記ログ記録手段にて記録された前記調剤動作情報を集計し、該集計された集計結果を出力してもよい。こうすることで、前記本発明の調剤装置と同様、過去の調剤情報を知得でき、これにより、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案することができる。」 「【0027】 図1に示す薬剤分包装置10は、調剤部11、CPU(中央処理装置)12、記憶装置13、入力装置14及び表示装置15を備えている。 【0028】 調剤部11は、散薬及び錠剤のうち少なくとも一方を分配及び包装する調剤動作を行うものであり、散薬及び錠剤を処方箋に対応して分配し、分配された薬剤を1分包ずつ自動的に包装することができるものである。この調剤部11では、処方箋によっては、1分包において、散薬と錠剤とを1分包内で同時的に分包する同時分包、散薬と錠剤とを交互に分包する交互分包、錠剤のみを分包する錠剤分包、及び散薬のみを分包する散薬分包を行うことができる。また、標準の速度やそれより遅い低速度で分包を行うこともできる。 【0029】 CPU12は、既述の調剤部11、記憶装置13、入力装置14及び表示装置15に接続されており、図示を省略したRAMやROM等の記録手段に記録された処理プログラムが実行される。この処理プログラムは、CPU12を、調剤部12全体の動作を制御する制御手段として機能させ、且つ、前記調剤動作に関する調剤動作情報を記憶装置13に記録するログ記録手段と、このログ記録手段にて記録された前記調剤動作情報を表示装置15に出力する出力手段とを含む手段として機能させるとともに、前記ログ記録手段にて記録された前記調剤動作情報を集計する集計手段と、この集計手段にて集計された集計結果を表示装置15に出力する出力手段とを含む手段としても機能させるものである。 【0030】 前記調剤動作情報は、本例では、前記同時分包の回数、前記交互分包の回数、前記錠剤分包の回数及び前記散薬分包の回数、並びに標準速度分包の回数及び低速度分包の回数等であり、また、薬剤分包装置10のトラブルの内容に対応するエラーコードを含む。この薬剤分包装置10のトラブルは、例えば、錠剤分包の際のトラブル、散薬分包の際のトラブル、同時分包の際のトラブル、交互分包の際のトラブル、標準速度分包の際のトラブルや低速度分包の際のトラブル等である。」 「【0033】 サポートセンターコンピュータ20は、入力装置21、表示装置22及び印刷装置23を接続している。 【0034】 サポートセンターコンピュータ20は、図示を省略したRAMやROM等の記録手段に記録された処理プログラムが実行される。この処理プログラムは、コンピュータ20を、前記薬剤分包装置10から前記調剤動作情報を取得する取得手段を含む手段として機能させるとともに、薬剤分包装置10のログ記録手段にて記録された前記調剤動作情報を集計する集計手段と、この集計手段にて集計された集計結果を表示装置15及び印刷装置23に出力する出力手段とを含む手段としても機能させるものである。」 「【0039】 このように、図1に示す薬剤分包装置10によると、前記調剤動作情報を前記ログ記録手段にて記録し、該記録された前記調剤動作情報を前記出力手段にて出力するので、過去の調剤情報を知得でき、これにより、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案することができる。」 上記記載から、甲6には、複数のユーザー先に設置された複数の調剤装置(薬剤分包装置10)とサポートセンターコンピュータ20とが接続されており、薬剤分包装置10によると、調剤動作情報をログ記録手段にて記録し、記録された調剤動作情報を出力手段にて出力し、サポートセンターコンピュータ20は、調剤装置から調剤部11の調剤動作情報を取得し、調剤動作情報の集計結果を表示装置22に表示するものであって、これにより、過去の調剤情報を知得でき、適切な種類や性能等の調剤装置の導入をユーザーに提案することが記載されているといえるものの、集計結果は、複数の薬局に設置された複数の端末から取得された調剤動作情報に基づいて得られるものであることは記載されておらず、「集計結果」は過去の調剤情報に関するものであって、本件訂正発明1の「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」とは異なるものであることは明らかである。 そして、引用発明に甲6に記載された上記技術的事項を適用しても、上記相違点1、2の構成には至らず、甲6の記載された事項を主引用発明として、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項を適用しても、上記相違点1、2の構成に至らないことも明らかである。 よって、申立人の主張する上記主張1に理由はない。 (B)主張2について 本件特許明細書の従来技術に記載されている事項及びその解釈は、引用文献の認定、引用文献2~4及び甲6に記載されている技術的事項の認定に影響しない。そして、引用文献1~4及び甲6には、複数の薬局に設置して、それらの端末から調剤機器各々の稼働状況を取得することは記載されていないことから、申立人の主張する上記主張2に理由はない。 (エ)小括 よって、本件訂正発明1は、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用する発明であって、本件訂正発明1の「前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間、及び、複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況を表示する手段」と同一の構成を備えるものである。このため、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項のいずれかを主引用発明であるとしても、本件訂正発明1と同じ理由により、本件訂正発明2は、引用発明、引用文献2~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 理由5について 理由5は、令和5年3月10日提出の訂正請求書で訂正された請求項1の「自システムに通信可能に接続され複数の薬局に設置された複数の端末から取得され」との構成は、本件特許明細書に記載したものではないというものである。 しかしながら、上記「第2」のとおり令和5年7月26日付け訂正請求によって、当該理由は解消した。 第6 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人の主張の概要 申立人が特許異議申立書で主張する理由のうち、取消理由通知で採用しなかった理由は次のとおりである。 (1)理由A(進歩性) 請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明との相違点は、甲第5号証から容易に想到し得る(特許異議申立書42~44頁)。 (2)理由B(明確性) 請求項1の「前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間、及び前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況を表示する手段」との記載について、「調剤機器の稼働状況」のみを表示する被疑侵害品があった場合、その被疑侵害品は、「調剤機器の稼働状況」に加えて、「工程の所要時間」をも表示していることになるのか否かとの疑義が生じ、さらに、本件特許の親出願である特許第6500962号の異議決定の解釈に準じても、「工程の所要時間」に「調剤機器の稼働時間」が含まれるものと理解されるべきであるから、「前記調剤作業の各工程の所要時間」と「調剤機器の稼働状況」を「及び」で結んで並列的に記載している、請求項1の上記記載の「前記調剤作業の各工程の所要時間」の外延と「調剤機器の稼働状況」の外延が明確ではない(特許異議申立書47~50頁)。 (3)理由C(サポート要件) 請求項1の「前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器の稼働状況を表示する」の「調剤機器の稼働状況を表示する」ことは、「複数台の調剤機器を対象とし、それら複数の調剤機器を順に動作させて調剤を行う場合において、先頭の調剤機器での調剤開始から最後の調剤機器での調剤終了までのトータル時間」を表示する態様を包含するものと理解される。 しかしながら、本件特許明細書【0104】の「前記調剤機器各々の稼働状況を取得して前記表示装置16に表示させること」以外に、「調剤機器の稼働状況を表示する手段」をサポートする記載が存在せず、また、稼働状況の具体例が何であるのか、本件特許明細書には一切、開示が存在しない(特許異議申立書51~54頁)。 2 申立人の主張に対する当審の判断 (1)理由A(進歩性)について ア 甲第5号証(特開平11-259583号公報。以下、「甲5」という。)に記載されている事項 甲5には、次の事項が記載されている。 「【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 [第1の実施の形態]図1は本発明の第1の実施の形態に係る調剤診療ケア情報の空間伝送ネットワークシステムの概略構成を表すもので、病院薬局の調剤部門で用いられる調剤システムとして構成されている。この調剤システムは、このシステムに対するデータ入力端末およびデータサーバとして機能する操作卓ユニット10と、情報を蓄積可能な情報キャリア21を備えると共に調剤された薬剤(後述する分包袋)を収容して搬送路1上を移動するトレイ20と、操作卓ユニット10から入力された処方データをトレイ20の情報キャリア21に書き込む処理を行う処方指示ユニット30と、多種類の錠剤を格納すると共に処方指示ユニット30により指示された処方データに基づいて必要な錠剤を自動的に分包して分包袋の形でトレイ20中に投入する錠剤分包ユニット40と、多種類の散剤を格納すると共に上記の処方データに基づいて必要な散剤を自動的に分包して分包袋の形でトレイ20中に投入する散剤分包ユニット50と、多種類の水剤を格納すると共に上記の処方データに基づいて必要な水剤を自動的に分包して分包袋の形でトレイ20中に投入する水剤分包ユニット60と、トレイ20内に投入された各種類の分包袋を患者に手渡す際に用いられる収容袋である薬袋に必要な情報を印字してトレイ20中に投入する薬袋供給ユニット70と、患者に手渡される薬剤が処方データ通りのものか否かを薬剤師が確認する監査作業を支援するための監査支援ユニット80とを備えている。これらの各ユニットは搬送路駆動ユニット90によって駆動される搬送路1に沿って配置されている。 【0014】これらの各ユニット間は通信路3によって相互接続されているが、各ユニットは操作卓ユニット10によって統括制御されるのではない。各ユニットは、後述するように、個別にCPUおよび制御プログラムを保有しており、それぞれ自律的に動作し、必要に応じて他のユニットとの間で相互にデータ通信を行うことによって、全体として秩序ある動作を行うようになっている。ここで、自律的に動作する、とは、少なくとも、必要な処理内容を表す処理プログラムを保有し、かつ、この処理プログラムを実行する手段(例えば、マイクロプロセッサ等)を備えていることを意味する。ここで、通信路3が本発明における「通信網」に対応し、情報キャリア21が本発明における「情報キャリア」に対応する。」 「【0027】図8は、情報キャリア21におけるE2PROM216のデータ領域216bに格納されたデータの一例を表すもので、操作卓ユニット10から入力された調剤データのうちの必要なものが処方指示ユニット30によって書き込まれたものである。この図に示したように、情報キャリア21には、患者コードおよび処方コードのほか、薬袋供給工程、錠剤、散剤および水剤の各調剤工程、および監査工程のそれぞれにおいて必要となる処方データが記録されるようになっている。これらの工程のうち、錠剤、散剤および水剤の各調剤工程については、それぞれ分包数、薬品コードが記録されるようになっている。また、これらの5工程のそれぞれに対して、工程順序情報、予定所要時間情報、処理状況情報が記録され、さらに最終的な監査結果も記録されるようになっている。 【0028】ここで、工程順序情報とは、上記の5工程がどのような順序で実行されるべきかを表す情報であり、本例では、薬袋、錠剤、散剤、水剤、監査の順で工程が実行されるように設定されている。予定所要時間情報とは、処方指示ユニット30によって情報キャリア21へのデータ書き込みが行われた時点を起算点としたときの各工程の終了時点までの予定所要時間を表す情報であり、本例では、各工程に対してそれぞれa分,b分,c分,d分,e分という設定がなされている。 【0029】また、処理状況情報とは、各工程の処理状況を表すもので、例えば、“0”は未処理の状態(すなわち、分包処理やトレイ20中への投入等が未だ行われていない状態)を表し、“1”および“2”は処理済の状態(すなわち、分包処理やトレイ20中への投入等が済んでいる状態)を表す。但し、“1”は、その工程での処理が正常に行われた場合、すなわち、工程順序情報により指示された正しい工程順序に従って予定所要時間情報により指示された時間内にその工程での処理が終了した場合を表し、“2”は、その工程がタイムオーバして行われた場合、すなわち、工程順序情報により指示された正しい工程順序に従ってはいるが予定所要時間情報により指示された時間内に処理が終了しなかった場合を表す。また、“3”は、当該薬剤が処方されておらず、その工程を行う必要がないこと、すなわち、処理不要を表す。“4”は、処理不能であることを表し、例えば、薬剤切れ、薬袋切れ、薬袋印字用プリンタのインク切れ、あるいはその他の装置トラブル等により、その工程で行うべき処理ができなかった場合が該当する。また、“5”および“6”は、監査工程の処理状況情報としてのみ使用されるものであり、このうち、“5”は前工程のいずれかで工程所要時間異常が発生していることを示し、“6”は前工程のいずれかで工程抜け異常が発生していることを示す。これらの各工程ごとの処理状況情報は、トレイ20が搬送路1上を搬送されて各ユニットの固定ポートに対向して停止したときに書き込まれるようになっている。ここで、図8に示したデータのうち、患者コード、処方コード、分包数、薬品コードが本発明における「処方データを含む調剤情報」に対応し、工程順序情報、予定所要時間情報および処理状況情報が本発明における「調剤診療管理情報」に対応する。」 「【0079】薬剤師は、表示装置82の表示を見ながら、トレイ20内の分包袋をチェックし、各薬剤ごとに数や種類等を監査する。このとき、監査支援ユニット80における固定ポート81のCPU815は、トレイ20の情報キャリア21から読み出した処理状況フラグ(図18)をチェックする。この結果、薬袋供給工程から水剤分包工程までの処理状況フラグが“1”または“3”になっていたときは、工程抜け異常およびタイムオーバー異常がなかったことを表示装置82に表示する。一方、薬袋供給工程から水剤分包工程までの処理状況フラグに“0”が含まれていたときは、工程抜け異常、すなわち、処理状況フラグが“0”となっている工程が未処理である旨を表示装置82に表示する。処理状況フラグに“2”が含まれていたときには、その該当工程にタイムオーバー異常が発生したことを表示する。また、処理状況フラグに“4”が含まれていたときは、その項目に該当するユニットに何らかの障害(薬剤切れ、薬袋切れ、印字インク切れ等)が発生している旨を表示する。」 [図:0001405778000005.jpg] 【図8】 (2)相違点の判断 ア 本件訂正発明1と引用発明との相違点は、上記「第5」3(2)ア(ア)Cのとおりであって、次のものである。 (相違点1) 本件訂正発明1は、「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」という概念のものを構成に含んでいるのに対し、引用発明には、そのような概念のものはない点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「前記記憶部に記憶された前記調剤作業の各工程の所要時間」及び「複数の薬局に設置された複数の端末から取得され当該薬局における前記調剤作業に含まれるいずれかの工程で用いられる調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」を「表示する手段」を備えているのに対し、引用発明は、表示をする手段を備えているか定かではない点。 イ 上記相違点について検討をするに、甲5には、上記(1)のとおりの記載はあるものの、複数の薬局に設置された複数の端末から調剤機器各々の稼働状況を取得することは記載されておらず、示唆もされていない。このため、引用発明に甲5に記載された技術的事項を適用しても、上記相違点1、2の構成に至らないことは明らかである。 よって、引用発明及び甲5に記載された技術的事項に基づいて、上記相違点1及び2の構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。 ウ 以上のとおりであるから、申立人が主張する上記理由Aに理由はない。 (2)理由B(明確性)、理由C(サポート要件)について 本件訂正によって、「調剤機器の稼働状況」を、「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」であることが明確になった。これにより、「前記調剤作業の各工程の所要時間」と「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」との関係も明確になった。 また、「調剤機器各々の稼働率の高低を判断するための稼働状況」は、本件明細書の【0104】に記載されたものであるから、サポート要件を満たす。 よって、申立人の主張する理由B、Cは、本件訂正により解消した。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~2について訂正することを認める。 また、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~2に係る特許を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700379

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