特許異議申立
2023-700980
遊技機
- 審判番号
- 2023-700980
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-033569
- 登録番号
- 7242731
- 請求日
- 2023年09月15日
- 審決日
- 2024年05月14日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 渋谷 知子
- 審判官 ▲吉▼川 康史
- 審判官 北川 創
- 分類
- P1651.14 -YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第2条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7242731号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7242731号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7242731号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7242731号(以下「本件特許」という。)は、令和3年3月3日に出願されたものであって(特願2021-33569)、令和5年3月10日に特許権の設定登録がなされ、同月20日にその特許掲載公報が発行された。
その後、同年9月15日に、特許異議申立人である日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年11月21日付けで取消理由が通知され、特許権者からその指定期間内である令和6年1月22日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その後、同年3月7日に申立人による意見書の提出がされたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。
請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「表示手段と、」とあるのを、
「画像を表示する表示手段と、」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、」とあるのを、
「前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を表示することが可能であり、」とあるのを、
「前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を前記表示手段に表示することが可能であり、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる、」とあるのを、
「前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる、」に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の【0006】に、
「(A) 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
表示手段と、
特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、
前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を表示することが可能であり、
前記特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み、
前記第1特殊表示は、第1表示と、第2表示とを含んで構成される表示であり、
前記第2特殊表示は、第3表示と、第4表示と、第5表示と、を含んで構成される表示であり、
前記第1表示および前記第3表示の各々は、レインボー色の表示が用いられずに構成され、
前記第2表示および前記第4表示および前記第5表示の各々は、レインボー色の表示が用いられて構成され、
前記第2表示と前記第4表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、
前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる、
遊技機。
・・・」とあるのを、
「(A) 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、
前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を前記表示手段に表示することが可能であり、
前記特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み、
前記第1特殊表示は、第1表示と、第2表示とを含んで構成される表示であり、
前記第2特殊表示は、第3表示と、第4表示と、第5表示と、を含んで構成される表示であり、
前記第1表示および前記第3表示の各々は、レインボー色の表示が用いられずに構成され、
前記第2表示および前記第4表示および前記第5表示の各々は、レインボー色の表示が用いられて構成され、
前記第2表示と前記第4表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、
前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる、
遊技機。
・・・」に訂正する。
2 訂正の目的、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「表示手段と、」を、「画像を表示する表示手段と、」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「表示手段」が、「画像を表示する表示手段」であることを限定する訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の【0011】には、「遊技盤2における遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、たとえばLCD(液晶表示装置)や有機EL(Electro Luminescence)などから構成され、各種の演出画像を表示する。画像表示装置5は、プロジェクタおよびスクリーンから構成されていてもよい。画像表示装置5には、各種の演出画像が表示される。」と記載されているから、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「表示手段」が、「画像を表示する表示手段」であることを限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、」を、「前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「特定演出」が、「前記表示手段を用いて」実行される演出であることを限定する訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0062】には、「画像表示装置5の画面の下端部には、第1保留記憶数を保留表示(可変対応表示)の数によって表示可能な第1保留記憶表示エリア5Dと、第2保留記憶数を保留表示(可変対応表示)の数によって表示可能な第2保留記憶表示エリア5Uと、実行中の可変表示に対応する保留表示(可変対応表示)をアクティブ保留表示として表示するためのアクティブ保留表示エリア5Aとが設けられている。画像表示装置5は、少なくとも可変表示が行われる間において、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5U、およびアクティブ保留表示エリア5Aを常に表示し、遊技者によって可変対応表示(保留表示,アクティブ保留表示)を視認可能にしている。」と記載され、【0166】には、「詳しくは後述するが、特定演出は、保留変化予告と、ステップアップ予告と、擬似連演出とを含む。保留変化予告は、可変対応表示(保留表示,アクティブ保留表示)の表示態様(色,形,大きさ,模様など)の態様を段階的に変化させることによって有利状態(たとえば、大当り遊技状態,時短状態,確変状態など)に状態が制御される期待度を示唆(予告)する演出である。」と記載されているから、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「特定演出」が、「前記表示手段を用いて」実行される演出であることを限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を表示することが可能であり、」を、「前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を前記表示手段に表示することが可能であり、」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「特殊表示」を、「前記表示手段に」表示することが可能であることを限定する訂正である。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(2)イで摘記した明細書等の【0062】及び【0166】の記載に加え、【0238】には、「以上のように、保留変化予告においては、大当りの期待度が低い表示態様から大当りの期待度が高い表示態様へと可変対応表示が段階的に変化する。さらに、最終的に可変対応表示がレインボー保留表示に変化した場合は、大当りが確定し、レインボー保留表示にまで変化しなくても、紫保留表示にまで変化した場合は、赤保留表示や緑保留表示で留まった場合よりも高い確率で大当りが発生する。」と記載されているから、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「特殊表示」を、「前記表示手段に」表示することが可能であることを限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる、」を、「前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる、」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「レインボー色の画像の動き」が、「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」と、「前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」とであることを限定する訂正である。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書等の【0463】には、「さらに、背景表示531と文字表示506とで、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる。たとえば、前述したように、背景表示531は、左右方向において段階的に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。一方、文字表示506は、複数の色が互いに異なる場所で表示されることで、まだら模様に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。」と記載されていることに加え、以下に要部を抜粋した図44(b24)の記載から、訂正事項4は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとともに、上記アのとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「レインボー色の画像の動き」が、「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」と、「前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」とであることを限定する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
・図44(b24)の要部抜粋
[図:0001413333000001.jpg]
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1~訂正事項4に係る訂正により、明細書等の【0006】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、上記(1)~(4)で検討した訂正事項1~訂正事項4と同様に、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)小括
上記(1)~(5)で検討したとおり、本件訂正請求による訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の特許請求の範囲の請求項1について訂正することを認める。
第3 本件発明について
1 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の特許請求の範囲の請求項1について本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。また、符号A等は分説のため合議体が付し、符号A等により分説された発明特定事項を、以下「特定事項A」等という。)。
本件発明
「【請求項1】
A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 画像を表示する表示手段と、
C 前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え、
D 前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を前記表示手段に表示することが可能であり、
E 前記特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み、
F 前記第1特殊表示は、第1表示と、第2表示とを含んで構成される表示であり、
G 前記第2特殊表示は、第3表示と、第4表示と、第5表示と、を含んで構成される表示であり、
H 前記第1表示および前記第3表示の各々は、レインボー色の表示が用いられずに構成され、
I 前記第2表示および前記第4表示および前記第5表示の各々は、レインボー色の表示が用いられて構成され、
J 前記第2表示と前記第4表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、
K 前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる、
遊技機。」
2 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、合議体が令和5年11月21日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(明確性)本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 「表示手段と、」という記載について
請求項1において、「特定演出を実行する特定演出手段」が、「有利状態に制御されることが確定する特殊表示を表示することが可能であ」ることの特定はあるものの、「表示手段」との関わりの有無については特定されておらず、「表示手段」の技術的意味を理解することができない。
イ 「レインボー色の画像の動きが異なる」という記載について
請求項1において、「第4表示」と「第5表示」について、「レインボー色の画像の動きが異なる」と特定されているところ、「第4表示」と「第5表示」における「画像」が動くことを前提として、「(レインボー色の)画像」の「動きが異なる」ことを特定しているとも、あるいは、「第4表示」と「第5表示」における「画像」の「レインボー色」を構成する各色の切り替えの「動きが異なる」ことを特定している等種々の意味に理解される。
(2)取消理由についての当審の判断
上記取消理由は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における、「表示手段と、」という記載、及び、「レインボー色の画像の動きが異なる」という記載に関する指摘である。
ア 上記(1)アの点について、本件訂正請求により、「表示手段」が、「画像を表示する表示手段」であることを限定し(訂正事項1)、「特定演出」が、「前記表示手段を用いて」実行される演出であることを限定し(訂正事項2)、「特殊表示」を、「前記表示手段に」表示することが可能であることを限定する(訂正事項3)ことにより、「表示手段」が、「画像を表示する表示手段」であって、「特定演出」が、「前記表示手段を用いて」実行される演出であるとともに、「特殊表示」を、「前記表示手段に」表示することが可能であることが特定され、本件発明において、「表示手段」と、「特定演出」及び「特殊表示」との関わりが明確になるとともに、本件発明における「表示手段」の技術的意味が明らかになった。
イ 上記(1)イの点について、本件訂正請求により、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「レインボー色の画像の動き」が、「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」と、「前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」とであることを限定する(訂正事項4)ことにより、訂正前の「レインボー色の画像の動き」が、「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」と、「前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動き」とであることが明確になった。
ウ してみれば、本件発明は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。
(3)申立人の意見について
ア 申立人は、本件訂正請求について、概略次の理由1、2に基づき、本件訂正発明(本異議決定における「本件発明」を意味する。以下同様。)は、サポート要件を満たさないという新たな取消理由を有するものとなった旨主張する(令和6年3月7日に申立人が提出した意見書の「5 意見の内容」参照。)。
(ア)理由1(同意見書の第4頁下から5行目~第5頁下から9行目)
本件訂正発明に係る遊技機がパチンコ遊技機であるとの前提に立てば、本件訂正発明の構成Gは、本件特許明細書に記載されていることは明らかであるが、本件訂正発明に係る遊技機が、保留表示という概念のないスロットマシンをも含む概念であると解釈した場合、スロットマシンにおいて、構成Gに対応する具体的な表示態様の記載が本件特許明細書には見当たらない。
また、「サポート要件」に係る審査基準に照らせば、スロットマシンにおいて保留変化の表示を行うことは一般的ではないため、出願時の技術常識に垂らしても、本件訂正発明の範囲を、パチンコ遊技機だけでなく、スロットマシンを含む一般的な遊技機にまで拡張ないし一般化できるとはいえない。
このように、本件訂正発明は、文言上あらゆる遊技機を含み得るが、保留変化の表示機能を備えていないスロットマシンにおいて、どのような第2特殊表示を行うのか具体的な記載が本件特許明細書には一切ないため、サポート要件を満たさないことは明らかである。
(イ)理由2(同意見書の第5頁下から8行目~第6頁7行目)
構成Kは 特許権者が訂正の根拠として主張する段落0463、図44(b24)から読み取れることを上位概念化したものであって、本件特許明細書に記載されていない構成をも含むものとなっている。
構成Kのうち、「左右方向に段階的に色が切り替わる」構成と、「複数の色が互いに異なる場所で表示されることで、まだら模様に色が切り替わる」構成との他にレインボー色を構成する各色の切り替えの動きの具体的な構成がサポートされていない。
イ 合議体の判断
(ア)理由1について
本件発明は、「画像を表示する表示手段」(特定事項B)に、「特定演出において、」「有利状態に制御されることが確定する特殊表示を」「表示することが可能であり」(特定事項D)、「特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み」(特定事項E)、「第1特殊表示」及び「第2特殊表示」について、特定事項G~Kでその表示態様が特定された「遊技機」に関する発明である。
そして、本件発明においては、「有利状態に制御されることが確定する特殊表示を」「表示することが可能な」「特定演出」が保留変化予告であるとも、また、「第1特殊表示」及び「第2特殊表示」を含む「特殊表示」が、保留表示であるとも特定されるものではなく、また、特定事項G~Kで特定された表示態様は、保留変化予告または保留表示に特有の態様であるという事情も見出せない。
また、請求項は、発明の詳細な説明に記載された一又は複数の具体例に対して拡張ないし一般化した記載とすることができる(審査基準第II部第2章第2節2.2(3)参照)。そうすると、本件発明は、明細書等に記載された、パチンコ遊技機についての「保留変化予告」に関する一の実施例に基づいて、拡張ないし一般化した記載としたものであって、各種の演出を表示するパチンコ遊技機、スロット機を含めた遊技機において、特許請求の範囲の請求項1により特定された上記の、「画像を表示する表示手段」(特定事項B)に、「特定演出において、」「有利状態に制御されることが確定する特殊表示を」「表示することが可能であり」(特定事項D)、「特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み」(特定事項E)、「第1特殊表示」及び「第2特殊表示」について、特定事項G~Kで特定される表示態様での表示が可能な「遊技機」は、当業者であれば想定することができる程度に、発明の詳細な説明に記載されているといえる。
したがって、理由1により、本件特許の請求項1の記載はサポート要件を満たしていないということはできない。
(イ)理由2について
本件発明の特定事項Kの「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる」ことに対応する実施例として、明細書等の【0463】には、「さらに、背景表示531と文字表示506とで、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる。たとえば、前述したように、背景表示531は、左右方向において段階的に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。一方、文字表示506は、複数の色が互いに異なる場所で表示されることで、まだら模様に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。」と記載されている。
本件発明の特定事項Kの「前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる」ことの実施例として、本件特許の発明の詳細な説明の【0463】に、「背景表示531」についての「左右方向において段階的に色が切り替わる」こと、及び、「文字表示506」についての「複数の色が互いに異なる場所で表示されること」という表示態様の具体例が示されており、他の具体例の記載がなくても、発明の詳細な説明に記載された具体例のほかに、種々の表示態様があることが当業者であれば想定できるから、一の実施例に基づいて請求項1の記載まで拡張ないし一般化することができる。
したがって、理由2により、本件特許の請求項1の記載はサポート要件を満たしていないということはできない。
(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1の記載はサポート要件を満たしており、本件特許は、サポート要件を満たさないという新たな取消理由を有するものではない。
したがって、申立人のかかる主張は、採用することができない。
3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下の主張をしている。
ア 主張1(特許異議申立書の「(4-1)理由1(発明該当性要件)について」における「(イ)『自然法則を利用した技術的思想の創作』の観点について)」参照。)
訂正前の請求項1に係る発明(以下「訂正前発明」という。)の主要部は、キャラクタの画像やレインボー色の背景や文字などの画像による大当り確定演出の表示内容を単に人為的に取り決めたものにすぎないから、訂正前発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
イ 主張2(特許異議申立書の「(4-1)理由1(発明該当性要件)について」における「(ウ)『コンピュータソフトウェア関連発明の』の観点について」参照。)
また、コンピュータソフトウェア関連発明の観点から検討しても、訂正前発明は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、課題解決に向けた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されているといえる事項が記載されているとはいえず、自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえないから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
(2)合議体の判断
ア 申立人は、訂正前発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえないことを理由に、特許法第29条第1項柱書にいう「発明」に該当しない旨申し立てているから、以下、この点について検討する。
(ア)請求項に記載された特許を受けようとする発明が、特許法第2条第1項に規定する「発明」といえるか否かは、それが、特許請求の範囲の記載や願書に添付した明細書の記載及び図面に開示された、「特許を受けようとする発明」が前提とする技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか否かによって判断すべきものである(知財高裁令和2年6月18日判決、令和元年(行ケ)第10110号参照)。
そして、本件発明が、画像を表示する表示手段と、前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備える遊技機に関するものであることからみて、そこにおいて生じる一定の技術的課題を解決しようとしたものであり、それが全体として一定の技術的意義を有するのであれば、同発明は自然法則を利用した発明であり、かつ技術的思想の創作となる発明であると解することができる(知財高裁平成21年6月16日判決、平成20年(行ケ)第10279号参照)。
(イ)そこで、以下において、本件発明の技術的課題及び技術的意義の観点から、本件発明の発明該当性について検討する。
a 本件発明の技術的課題について
本件発明が解決しようとする技術的課題は、本件特許の明細書に以下のとおり記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャラクタの背景にレインボーの画像を用いる遊技機が開示されている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した遊技機によれば、キャラクタの背景にレインボーの画像を用いることにより、遊技者の興趣を高めることができるが、このような演出に関してはまだまだ改良の余地があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、レインボーの画像を用いた演出の興趣を高めることができる遊技機を提供することである。」
以上によれば、本件発明は、遊技機において「キャラクタの背景にレインボーの画像を用いる」(【0004】)という背景技術を前提として、「このような演出に関してはまだまだ改良の余地があった」(【0004】)ことから、「レインボーの画像を用いた演出の興趣を高める」(【0005】)という技術的課題を解決しようとするものであるといえる。
b 本件発明の技術的意義について
本件特許発明の技術的意義について、本件特許の明細書において、以下の事項が記載されている。
「【0462】
可変対応表示505は、キャラクタ(たとえば、夢夢ちゃん)の顔のみで構成され、レインボー色の表示が用いられずに構成されている。一方、背景表示531は、レインボー色の表示が用いられて構成され、可変対応表示505の外側において当該可変対応表示505の背景画像となるレインボー色のエフェクト画像を含む。背景表示531においては、第1態様で色を切り替えることで、レインボー色を遊技者に強調して見せるようになっている。具体的には、背景表示531は、左右方向において段階的に色が切り替わる。たとえば、画面の左方向から画面の右方向まで順に異なる色で画像が表示される。
【0463】
さらに、背景表示531と文字表示506とで、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、レインボー色の画像の動きが異なる。たとえば、前述したように、背景表示531は、左右方向において段階的に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。一方、文字表示506は、複数の色が互いに異なる場所で表示されることで、まだら模様に色が切り替わるようにしてレインボー色を遊技者に見せるように構成されている。
【0464】
このように、保留変化予告においては、背景表示531や文字表示506といったような複数の表示においてレインボー色が用いられることで、大当り遊技状態に制御されることが確定するレインボー保留表示におけるプレミア感を出すことができ、遊技者に豪華さをアピールすることができる。」
「【0534】
このように、図47に示すように、保留変化予告においては大当り遊技状態に制御されることが確定するレインボー保留表示を含む対応表示500が最終的に表示されるのに対して、図59に示すように、ステップアップ予告においては大当り遊技状態に制御されることが確定する最高表示を含む対応表示500が最終的に表示される。保留変化予告においては、背景表示531として、可変対応表示505の背景画像となるレインボー色のエフェクト画像が表示されるのに対して、ステップアップ予告においては、エフェクト表示541として、示唆表示515の外側において当該示唆表示515における背景画像の一部を織りなすようにしてレインボー色の画像が表示される。このように、保留変化予告とステップアップ予告とで、レインボー色の表示が用いられて構成された表示におけるレインボー色の表示態様が異なる。これにより、大当り遊技状態に制御されることが確定するプレミア態様のレインボー色について、様々な表示態様を遊技者に見せることができ、特定演出における表示に対して遊技者に注目させることができる。」
以上によれば、本件発明は、
「D 前記特定演出手段は、前記特定演出において、前記有利状態に制御されることが確定する特殊表示を前記表示手段に表示することが可能であり、
E 前記特殊表示は、第1特殊表示と、第2特殊表示と、を含み、
F 前記第1特殊表示は、第1表示と、第2表示とを含んで構成される表示であり、
G 前記第2特殊表示は、第3表示と、第4表示と、第5表示と、を含んで構成される表示であ」るという構成を前提として、
「H 前記第1表示および前記第3表示の各々は、レインボー色の表示が用いられずに構成され、
I 前記第2表示および前記第4表示および前記第5表示の各々は、レインボー色の表示が用いられて構成され」るという構成を採用することにより、「背景表示531においては、第1態様で色を切り替えることで、レインボー色を遊技者に強調して見せる」(【0462】)という効果が得られ、
また、本件発明は、
「J 前記第2表示と前記第4表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、
K 前記第4表示と前記第5表示とは、レインボー色の表示態様が異なり、かつ、前記第4表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、前記第5表示における画像のレインボー色を構成する各色の切り替えの動きと、が異なる」という構成を採用することにより、
「大当り遊技状態に制御されることが確定するレインボー保留表示におけるプレミア感を出すことができ、遊技者に豪華さをアピールすることができる」(【0464】)という効果、及び、
「大当り遊技状態に制御されることが確定するプレミア態様のレインボー色について、様々な表示態様を遊技者に見せることができ、特定演出における表示に対して遊技者に注目させることができる」(【0534】)という効果が得られるという技術的意義を有するといえる。
c 本件特許発明の「発明」該当性について
本件発明は、上記第3の1に記載したとおり、「遊技機」という機器に関する発明であり、「画像を表示する表示手段と、前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え」(特定事項B、C)るものである。
そして、上記aで検討したとおり、本件発明は、遊技機において「キャラクタの背景にレインボーの画像を用いる」(【0004】)という背景技術を前提として、「このような演出に関してはまだまだ改良の余地があった」(【0004】)ことから、「レインボーの画像を用いた演出の興趣を高める」(【0005】)という技術的課題を解決しようとするものであるものであって、上記cで検討したとおり、特定事項D~Kに係る技術的手段を採用することで、全体として、
「背景表示531においては、第1態様で色を切り替えることで、レインボー色を遊技者に強調して見せる」(【0462】)という効果、
「大当り遊技状態に制御されることが確定するレインボー保留表示におけるプレミア感を出すことができ、遊技者に豪華さをアピールすることができる」(【0464】)という効果、及び、
「大当り遊技状態に制御されることが確定するプレミア態様のレインボー色について、様々な表示態様を遊技者に見せることができ、特定演出における表示に対して遊技者に注目させることができる」(【0534】)という効果が得られるという技術的意義を有するものである。
したがって、本件発明は特許法第2条第1項でいう「発明」に該当し、本件特許は同法第29条第1項柱書に違反してなされたものとはいえない。
(3)申立人の主張
ア 申立人は、特許異議申立書の「(4-1)理由1(発明該当性要件)について」において、次の、主張1「(イ)『自然法則を利用した技術的思想の創作』の観点について」、及び、主張2「(ウ)『コンピュータソフトウェア関連発明の』の観点について」という主張をしている。
(ア)主張1「(イ)『自然法則を利用した技術的思想の創作』の観点について」
申立人は、いくつかの論文及び裁判例を提示し、特に、以下の主張をしている。
「(i)「発明を全体としてとらえる」ということ(過去の多くの判例のスタンス)は、発明の前提たる構成に技術的要素があれば、その他の部分に非技術的要素があっても、全体として「技術的」発明としてとらえることができるということではなく、発明の主要部が技術的であるかどうかで判断することを規範として掲げているものと解すべきである。
(ii)発明の主要部とは、先行技術従来技術において克服できなかった課題を解決するために初めて発明者によって提示された新たな発明の特徴的部分をいうと解すべきである。
(iii)本件特許発明において、発明の主要部は、構成E~Kにある。しかし、かかる構成から生じる効果(結果)は、「レインボーの画像を用いた演出の興趣を高めることができる」という点において、ユーザの主観・感情・属性等によって左右されるものであって、なんら客観的技術的なものではなく、技術的意義があるとはいえない。
(iv)よって、本件特許発明は、「全体としてとらえた際」においても、発明の主要部が人為的に取り決めたものである以上、自然法則を利用した技術的思想の創作とは言えない。・・・」
上記主張1について検討する。
特許法第2条第1項が「「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定め、同法第29条第1項柱書において、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」とした上で、「次に掲げる発明」として、1~3号に公知発明等を挙げている。このような特許法の規定の仕方からすると、特許法は、特許を受けようとする発明が自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものであり、かつ産業上利用することができるものであるかをまず検討した上で、これらの要件を満たす発明であっても公知発明等に当たる場合には特許を受けることができないものと定めていると解すべきである。そうすると、特許法第29条第1項柱書該当性の判断に当たっては、特許法第29条第1項及び第2項のように、2つの発明を対比することにより特許要件の有無を判断する場合とは異なり、特許請求の範囲によって特定された発明全体が自然法則を利用した技術的思想の創作に当たるかどうかを全体的に検討すべきであって、公知発明等に当たらない新規な部分だけを取り出して判断すべきではない(知財高裁平成21年6月16日判決、平成20年(行ケ)第10279号参照)。
してみれば、特許請求の範囲に記載された発明を、「先行技術従来技術において克服できなかった課題を解決するために初めて発明者によって提示された新たな発明の特徴的部分」である「発明の主要部」と称する部分と、その余の部分とに分けて、専ら、「主要部」と称する部分について、その技術的意義を評価することを前提とする主張1は失当である。
そして、上記(2)で検討したとおり、本件発明は、「遊技機」という機器に関する発明であり、「画像を表示する表示手段と、前記表示手段を用いて特定演出を実行する特定演出手段と、を備え」(特定事項B、C)、た「遊技機」という機器により、特定事項D~Kに係る技術的手段を採用したものであるところ、そこにおいて生じる一定の技術的課題を解決するものであり、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らすと、全体として一定の技術的意義を有するものといえるから、単に人である遊技者の五感を通じて遊技の興趣という精神活動への作用を期待するものや、専ら特殊表示等の態様についての人為的取り決めそのものに向けられたものということはできず、本件発明は自然法則を利用した発明であり、かつ技術的思想の創作となる発明であるといえる。
したがって、申立人の主張1を採用することができない。
(イ)主張2「(ウ)『コンピュータソフトウェア関連発明の』の観点について」について
上記(ア)の検討を踏まえると、コンピュータソフトウェア関連発明の観点、すなわち、特許・実用新案審査ハンドブック「付属書B」「「特許・実用新案審査基準」の特定技術分野への適用例」「第1章 コンピュータソフトウエア関連発明」に照らすまでもなく、本件発明は自然法則を利用した発明であり、かつ技術的思想の創作となる発明である。
したがって、申立人の主張2を採用することができない。
4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700980