特許異議申立
2023-700779
照明器具
- 審判番号
- 2023-700779
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-105926
- 登録番号
- 7214982
- 請求日
- 2023年07月27日
- 審決日
- 2024年04月11日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【異議申立人】川▲崎▼ 安代
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 八木 誠
- 審判官 沼生 泰伸
- 分類
- P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.851-YAA(F21S) / P1651.853-YAA(F21S) / P1651.857-YAA(F21S)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7214982号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7214982号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7214982号の請求項1、3~6に係る特許を維持する。
特許第7214982号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7214982号の請求項1~6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年6月1日に出願され、令和5年1月23日にその特許権の設定登録がされ、同年1月31日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人川崎安代(以下「申立人」という。なお、申立人の「崎」は「たつさき」である。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 7月27日 特許異議の申立て
同年10月26日付け 取消理由通知
同年12月21日差出 特許権者より意見書・訂正請求書
なお、訂正請求があった旨の通知に対し、その指定期間内に申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月21日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(5)のとおりである。下線は、訂正箇所を示すため、当審で付与したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射される」との記載を、「前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、前記開口は、四角形状をなし、前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備えた」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、6も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を「天井に取り付けられる照明装置において、各々が、一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入されるとともに、前記開口を前記下方の側に向けた状態で前記天井面よりも上方に配置される2つの灯具と、それぞれの前記灯具に取り付けられる光源部であって、前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に着脱可能に取り付けられた長尺状の前記光源部と、を備え、前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、前記開口は、四角形状をなし、前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、前記灯具は、互いに並列に配設され、前記光源部は、互いの距離が最も離れるように、前記灯具に取り付けられたことを特徴とする照明器具。」と訂正する。
(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~6も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
請求項4に「請求項2または請求項3に記載の照明器具。」と記載されているのを「請求項3に記載の照明器具。」に訂正する。
請求項5に「請求項4に記載の照明器具。」と記載されているのを「請求項1または4に記載の照明器具。」に訂正する。
請求項6に「請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の照明器具。」とあるのを「請求項1、3、4、5のいずれか一項に記載の照明器具。」と訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0005】の「前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射される。」との記載を、「前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、前記開口は、四角形状をなし、前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備える。本発明の照明器具は、天井に取り付けられる照明装置であり、各々が、一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入されるとともに、前記開口を前記下方の側に向けた状態で前記天井面よりも上方に配置される2つの灯具と、それぞれの前記灯具に取り付けられる光源部であって、前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に着脱可能に取り付けられた長尺状の前記光源部と、を備え、前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、前記開口は、四角形状をなし、前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、前記灯具は、互いに並列に配設され、前記光源部は、互いの距離が最も離れるように、前記灯具に取り付けられる。」と訂正する。
(6)一群の請求項
本件訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、本件訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正の請求は、一群の請求項〔1~6〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「開口」との事項に、「四角形状をなし」との事項を付加し、訂正前の請求項1の「光源部」との事項に、「前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し」との事項を付加し、また、訂正前の請求項1に、「前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備えた」との事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1のうち、「開口」と「光源部」に関する事項は、訂正前の請求項2に記載されたものであり、「前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備えた」との事項は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の請求項4、図1、3、9等に記載されていると認められるから、訂正事項1は新規事項を追加するものではない。
そして、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3に、訂正前の請求項1、2の発明特定事項を追加し、訂正前の請求項1、2との引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項2による請求項2の削除に伴って、引用する請求項から請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正事項1による請求項1の訂正及び訂正事項3による請求項3の訂正に合わせて、明細書の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、上記(1)及び(3)で説示したように、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(6)小括
以上によれば、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1、3~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明3」~「本件発明6」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、3~6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
天井に取り付けられる照明装置において、
一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入されるとともに、前記開口を前記下方の側に向けた状態で前記天井面よりも上方に配置される灯具と、
前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に着脱可能に取り付けられた長尺状の光源部と、
を備え、
前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、
前記開口は、四角形状をなし、
前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、
前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備えた照明器具。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
天井に取り付けられる照明装置において、
各々が、一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入されるとともに、前記開口を前記下方の側に向けた状態で前記天井面よりも上方に配置される2つの灯具と、
それぞれの前記灯具に取り付けられる光源部であって、前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に着脱可能に取り付けられた長尺状の前記光源部と、
を備え、
前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、
前記開口は、四角形状をなし、
前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置し、
前記灯具は、互いに並列に配設され、
前記光源部は、互いの距離が最も離れるように、前記灯具に取り付けられたことを特徴とする照明器具。
【請求項4】
前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の一辺側に取り付けられたカバーを備えた請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記カバーと前記開口の一辺側との間が開口した状態である請求項1または4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記光源部は、
長尺状の光源と、
前記光源を覆う光透過性カバーと、
前記光源が取り付けられた光源取付部、及び、前記光源取付部の一辺から折り曲げられて形成され、前記光透過性カバーが係合する係合部を有するフレームと、
を有し、
前記光源部が前記器具本体に取り付けられたとき、前記係合部は前記開口から前記灯具の内側に入り込んだ状態になることを特徴とする請求項1、3、4、5のいずれか一項に記載の照明器具。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1](新規性)
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[取消理由2](進歩性)
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
以下、申立人が提出した「甲第○号証」は、「甲○」といい、本件訂正前の請求項1~6に係る発明を、それぞれ「本件訂正前発明1」~「本件訂正前発明6」ともいう。
記
甲1:特開2017-228420号公報
甲2:特開2010-153048号公報
甲3:特開2014-11055号公報
甲4:特開2013-110078号公報
甲5:特開2012-226879号公報
甲6:特開2013-225451号公報
甲8:特開2012-9274号公報
甲9:特開2014-186966号公報
甲10:特開2016-207621号公報
[取消理由と請求項及び引用文献等の関係]
○取消理由2
請求項 1
引用文献 甲1、4、8
請求項 2
引用文献 甲1、4~6、8
請求項 1
引用文献 甲2、4、8
請求項 2
引用文献 甲2、4~6、8
請求項 1
引用文献 甲3、4、8
請求項 2
引用文献 甲3~6、8
請求項 6
引用文献 甲3~6、8~10
○取消理由1、2
請求項 1、2、4、5
引用文献 甲4
○取消理由2
請求項 6
引用文献 甲4、9、10
第5 取消理由についての判断
1 引用発明
(1)甲1発明
甲1(【0009】、【0014】、【0017】、【0025】、【0032】、図8等参照。)には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、主な参照箇所をかっこ書きで示す。甲2発明、甲3発明についても同様。
「天井Cに取り付けられる照明器具1において、
底部11が開口した直方体状の箱体であり、底部11から両幅方向に延びるフランジ部12を有し、天井Cに形成された穴に挿入される際に、フランジ部12が天井面に当たる器具本体10と、(【0032】、図8。)
器具本体10の開口から挿入され、一部が器具本体10に収容されるとともに、カバー部130が天井面より下方に突出するように、器具本体10に取り付けられた長尺状の光源ユニット100と、
を備え、(【0009】、【0032】、図8。)
光源ユニット100は、器具本体10に取り付けられた状態で、カバー部130の側面部132の出射面132bから出射する光は天井Cに照射され、(【0014】、【0017】、【0025】。)
器具本体10の開口は四角形である照明器具1。(図8)」
(2)甲2発明
甲2(【0015】、【0030】、【0031】、図1、6等参照。)には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「天井埋込み形の器具本体1において、
一面が開口した直方体形状であり、開口縁に形成されたフランジ21を有し、天井Cの埋込み穴に挿入される際に、フランジ21が天井Cの埋込み穴に係止される筐体2と、(【0015】)
筐体2の開口から筐体2の内側に一部が収容されるとともに、カバー10が天井Cの天井面より下方に突出するように、筐体2に取り付けされた長尺状の光源ユニット3と、
を備え、(【0030】、【0031】、図1、6。)
光源ユニット3が筐体2に取り付けられた状態で、カバー10の側方から放射される光は天井面等に照射され、(【0031】、図6。)
筐体2の開口は四角形である器具本体1。(図1)」
(3)甲3発明
甲3(【0011】、【0012】、【0017】、【0019】~【0022】、図1、2等参照。)には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「天井11に取り付けられる照明器具10において、(【0011】)
下方に開口する矩形箱状であり、下端部に枠部26が設けられ、天井11の取付穴12に取り付けられる際に、枠部26が天井11の下面に当接して下方に露出する長尺状の器具本体20と、(【0011】、【0012】、図2。)
器具本体20の開口から器具本体20の内部に一部が収容されるとともに、カバー34が天井11の下面より下方に突出するように、器具本体20に着脱可能に取り付けられた長尺状の灯具本体30と、(【0011】、【0019】~【0022】、図1、2。)
を有し、
灯具本体30は、
長尺状のLEDユニット32と、
LEDユニット32を覆うカバー34と、
LEDユニット32が取り付けられた取付板33と、
を有し、(【0017】、図2。)
LEDユニット32は、カバー34が係合する係合部を有し、
灯具本体30が器具本体20に取り付けられたとき、LEDユニット32の係合部は器具本体20の内側に入り込んだ状態になり、(図2)
器具本体20の開口は四角形である照明器具10。(図1)」
(4)甲4発明
甲4(【0010】、【0014】、【0015】、【0019】、【0036】、【0037】、図1、2、4、5等参照。)には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「システム天井3に取り付けられるシステム天井用器具Aにおいて、(【0010】、図1。)
下部周縁に形成された額縁部11と額縁部11の内側から起立する側面部12を有し、下部に額縁部11によって囲われた開口を有した箱状をなし、システム天井3の天井面より下方から天井面より上方に向かって挿入されるとともに、システム天井3への取り付け状態において、額縁部11は天井面と略面一である器体10と、(【0014】、【0015】、図2、4。)
器体10の開口から器体10の内側に一部が収容されるとともに、透光性カバー18が天井面より下方に突出するように、器体10に締付ねじ16によって固定され、互いに平行に離間された略直方体形状を有する一対の発光体ユニットLと、(【0019】、【0036】、図5。)
一対の発光体ユニットLの間に形成された隙間を覆う設備プレート13と、(【0019】、図1。)
を備え、
発光体ユニットLが器体10に取り付けられた状態で、透光性カバー18の側方からの光は天井面に照射され、(【0037】、図5)
器体10の開口は四角形であり、
一対の発光体ユニットLの間に形成される隙間の底面部を設備プレート13が覆っており、(【0019】)
発光体ユニットLは、設備プレート13との間を開口させた状態で、設備プレート13側にある側面部12と平行な、設備プレート13側とは反対側の側面部12に隣接されており、(図1)
発光体ユニットLは、
長尺状のLEDモジュール17と、
LEDモジュール17を覆う透光性カバー18と、
LEDモジュール17と透光性カバー18を取り付ける取付枠15を有し、
発光体ユニットLが器体10に取り付けられたとき、取付枠15における、透光性カバー18の取り付け箇所は、器体10の開口から器体10の内側に入り込んだ状態であるシステム天井用器具A。(【0036】、図5)」
2 対比・判断
(1)甲1発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「天井C」は、前者の「天井」に相当し、以下同様に、「照明器具1」は「照明装置」及び「照明器具」に、「底部11が開口した直方体状の箱体」は「一面が開口した箱状」に、「器具本体10」は「灯具」に、「カバー部130」は「外殻部」に、「光源ユニット100」は「光源部」に、「外殻部の側方」は「カバー部130の側面部132の出射面132b」に、それぞれ相当する。
b 後者の「天井Cに形成された穴に挿入される」ことは、前者の「前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入される」ことに相当するから、上記aも踏まえると、後者の「底部11が開口した直方体状の箱体であり、底部11から両幅方向に延びるフランジ部12を有し、天井Cに形成された穴に挿入される際に、フランジ部12が天井面に当たる器具本体10」は、前者の「一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入されるとともに、前記開口を前記下方の側に向けた状態で前記天井面よりも上方に配置される灯具」と、「一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入される灯具」という点で共通する。
c 後者の「器具本体10の開口」は、前者の「前記開口」に相当するから、上記aも踏まえると、後者の「器具本体10の開口から挿入され、一部が器具本体10に収容されるとともに、カバー部130が天井面より下方に突出するように、器具本体10に取り付けられた長尺状の光源ユニット100」は、前者の「前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に着脱可能に取り付けられた長尺状の光源部」と、「前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に取り付けられた長尺状の光源部」という点で共通する。
d 上記aを踏まえると、後者の「光源ユニット100は、器具本体10に取り付けられた状態で、カバー部130の側面部132の出射面132bから出射する光は天井Cに照射され」ることは、前者の「前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射される」ことに相当する。
e 後者の「器具本体10の開口は四角形である」ことは、前者の「前記開口は、四角形状をな」すことに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点1>
「天井に取り付けられる照明装置において、
一面が開口した箱状をなし、前記天井の天井面より下方から前記天井面よりも上方に向かって挿入される灯具と、
前記開口から前記灯具の内側に一部が格納されるとともに、外郭部が前記天井面より下方に突出するように、前記灯具に取り付けられた長尺状の光源部と、
を備え、
前記光源部が前記灯具に取り付けられた状態で、前記外郭部の側方から発する光は前記天井面に照射され、
前記開口は、四角形状をなす照明器具。」
<相違点1-1>
灯具について、本件発明1では、前記開口を前記下方の側に向けた状態で「前記天井面よりも上方に」配置されるのに対し、甲1発明では、底部11から両幅方向に延びるフランジ部12が天井面に当たる点。
<相違点1-2>
光源部の灯具への取り付けについて、本件発明1では、「着脱可能」であるのに対し、甲1発明では、着脱可能であるのか不明である点。
<相違点1-3>
本件発明1では、「前記光源部は、前記開口の一辺側を開口させた状態で、前記一辺に並行な他辺に隣接配置した」のに対し、甲1発明では、光源ユニット100を器具本体10の開口に取り付ける場合、光源ユニット100と器具本体10の開口に開口させた箇所はない点。
<相違点1-4>
本件発明1では、「前記光源部に隣接するように前記灯具の前記開口の中心線に対して前記一辺側に偏った位置に取り付けられたカバーを備えた」のに対し、甲1発明では、そのような構成を有しない点。
(イ)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点1-4について検討する。
相違点1-4に係る本件発明1の構成について、甲1だけでなく、申立人が提出したいずれの証拠にも、記載も示唆も見いだせないから、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、相違点1-1~1-3を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)甲2発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、少なくとも、相違点1-4と実質的に同じである相違点があるのは明らかであるから、本件発明1は、上記(1)ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)甲3発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比すると、少なくとも、両者には、相違点1-4と実質的に同じ相違点があるのは明らかであるから、本件発明1は、上記(1)ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明6について
請求項1に従属する本件発明6は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)ア(イ)及び上記アで説示したのと同様の理由により、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)甲4発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
本件発明1と甲4発明とを対比すると、少なくとも、相違点1-4と実質的に同じである相違点があるのは明らかであるから、本件発明1は、甲4発明ではなく、また、上記(1)ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明5、6について
請求項1に従属する本件発明5、6は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(1)ア(イ)及び上記アで説示したのと同様の理由により、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 小括
以上により、取消理由1、2は成り立たない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の内容
申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前発明1~6について、以下の(1)~(5)を主張する。甲1~6、8~10については、上記第4参照。
甲7:特開2004-257701号公報
(1)申立理由1(新規性)
本件訂正前発明1は、甲1、甲2又は甲3に記載された発明であり、本件訂正前発明6は、甲1に記載された発明であり、請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2-1(進歩性)
本件訂正前発明6は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(3)申立理由2-2(進歩性)
本件訂正前発明3~5は、甲1、甲2、甲3又は甲4に記載された発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(4)申立理由2-3(進歩性)
本件訂正前発明3は、甲4に記載された発明及び甲5、6、8に記載された事項、又は、甲1、甲2、甲3又は甲4に記載された発明及び甲7、8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(5)申立理由2-4(進歩性)
本件訂正前発明6は、甲1又は甲2に記載された発明及び甲9、10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
2 申立理由についての判断
(1)申立理由1について
上記「第5 2(1)ア(ア)」、「第5 2(2)ア」又は「第5 2(3)ア」で説示したように、本件発明1と甲1~3発明とには、少なくとも相違点1-4又は相違点1-4と実質的に同じ相違点を有し、これら相違点は実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1~3発明のいずれでもない。
また、本件発明6は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、甲1発明でないことは明らかである。
したがって、申立理由1は成り立たない。
(2)申立理由2-1について
本件発明6は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記「第5 2(1)ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、申立理由2-1も成り立たない。
(3)申立理由2-2について
ア 甲1発明を主引用発明とする場合
(ア)本件発明3について
a 対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明3では、前記灯具は、「2つ」であり、「互いに並列に配設され」、前記光源部は、「互いの距離が最も離れるように、前記灯具に取り付けられた」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有しない点。
b 相違点についての判断
相違点2-1に係る本件発明3の構成については、甲7だけでなく、申立人が提出したいずれの証拠にも、記載も示唆も見いだせない。
よって、本件発明3は、甲1発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明4、5について
本件発明4及び請求項4に従属する本件発明5は、本件発明3の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(ア)bで説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、請求項1に従属する本件発明5は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記「第5 2(1)ア(イ)」で説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 甲2発明、甲3発明又は甲4発明を主引例とする場合
本件発明3と甲2発明、甲3発明又は甲4発明とを対比すると、少なくとも、本件発明3と甲2発明、甲3発明又は甲4発明とには、少なくとも相違点2-1と実質的に同じ相違点があるのは明らかであるから、本件発明3は、上記ア(ア)bで説示したのと同様の理由により、甲2発明、甲3発明又は甲4発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、本件発明4及び請求項4に従属する本件発明5は、本件発明3の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲2発明、甲3発明又は甲4発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、請求項1に従属する本件発明5は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記「第5 2(1)ア(イ)」、「第5 2(2)」、「第5 2(3)」又は「第5 2(4)」で説示したのと同様の理由により、甲2発明、甲3発明又は甲4発明及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 小括
以上により、申立理由2-2も成り立たない。
(4)申立理由2-3について
上記(3)ア(ア)bで説示したとおり、甲7だけでなく、甲5、6、8にも、相違点2-1に係る本件発明3の構成について、記載も示唆も見いだせない。
よって、本件発明3は、上記(3)ア(ア)bで説示したのと同様の理由により、甲4発明及び甲5、6、8に記載された事項、あるいは、甲1発明、甲2発明、甲3発明又は甲4発明及び甲7、8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、申立理由2-3も成り立たない。
(5)申立理由2-4について
上記「第5 2(1)ア(イ)」及び上記(3)ア(ア)bで説示したとおり、甲9、10には、相違点1-4に係る本件発明1の構成及び相違点2-1に係る本件発明3の構成について、記載も示唆も見いだせない。
請求項1に従属する本件発明6は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記「第5 2(1)ア(イ)」又は「第5 2(2)」で説示したのと同様の理由により、甲1発明又は甲2発明及び甲9、10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、請求項3に従属する本件発明6は、本件発明3の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記(3)ア(ア)bで説示したのと同様の理由により、甲1発明又は甲2発明及び甲9、10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、申立理由2-4も成り立たない。
第7 むすび
以上によれば、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1、3~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てにおける請求項2に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700779