特許異議申立
2023-700856
部品供給装置
- 審判番号
- 2023-700856
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-234078
- 登録番号
- 7227461
- 請求日
- 2023年08月18日
- 審決日
- 2024年05月27日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】シンフォニアテクノロジー株式会社
- 【権利者代理人】大西 雅直
- 【異議申立人】今吉 未穗子
- 審判長/審判官
- 審判長 平城 俊雅
- 審判官 中屋 裕一郎
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P1651.121-YAA(B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7227461号発明「部品供給装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7227461号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7227461号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7227461号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年12月14日に出願され、令和5年2月14日にその特許権の設定登録がされ、同年2月22日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して、特許異議申立人 今吉 未穗子 (以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続が行われた。
令和 5年 8月18日 特許異議の申立て(異議申立人)
同年11月22日付け 取消理由通知
令和 6年 1月26日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 3月12日 意見書の提出(異議申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)、(2)のとおりである(下線は、訂正箇所を表す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記入力装置は、表示部と、該表示部に入力された設定情報を通信手段を介して前記制御部へ提供する処理部を有し、」と記載されているのを、「前記入力装置は、前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部と、該表示部に入力された設定情報を、前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有し、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
明細書の段落【0015】に「前記入力装置は、表示部と、該表示部に入力された設定情報を通信手段を介して前記制御部へ提供する処理部を有し、」と記載されているのを、「前記入力装置は、前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部と、該表示部に入力された設定情報を、前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有し、」に訂正する。
2.一群の請求項について
訂正前の請求項1~6において、請求項2~6はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に掲げる一群の請求項である。
3.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
本件訂正について、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否を検討する。
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1における入力装置の「表示部」を、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」と限定し、訂正前の請求項1における入力装置の処理部が設定情報を制御部へ提供する際の「通信手段」を、「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」と限定し、訂正前の請求項1における入力装置の処理部が設定情報を提供する「制御部」を、「ユニット内の制御部」と限定するものであるが、これらは発明を特定するための事項の直列的付加に該当するから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記ア.のとおり、発明を特定するための事項の直列的付加に該当するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ.新規事項の有無
入力装置の「表示部」を、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」と限定する点に関し、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の段落【0052】には、「図3に示す入力装置7は、設定入力表示部71と、信号処理部72と、シリアル通信回路73とを有している。設定入力表示部71は、タッチパネルタイプのもので、振動式駆動部A(L、B、R、H)に供給される電力における周波数および振幅に関わる設定入力をオペレータから受け付けると共に、現在の設定状態を表示する。」(下線は、当審にて付したもの。)との記載がある。したがって、入力装置の「表示部」を「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」と限定することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
次に、入力装置の処理部が設定情報を制御部へ提供する際の「通信手段」を、「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」と限定する点に関し、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の段落【0055】には、「そして、部品供給装置1の供給口1xを供給先設備TEに接続し、制御上の連携を図るべく、供給先設備TEの運転指令部OC(図3参照)から部品供給装置1の制御部63に開始/停止信号を入力して同期をとるように構成される。」との記載がある。異議申立人は、令和6年3月12日に提出した意見書において、「運転指令」の語や「前記制御部との制御上の連携を図るべく」の旨について明示がない上、書かれているも同然とも考えられないというが、運転指令部OCから制御部63に入力される開始/停止信号が「運転指令」といえるし、供給先設備TEの運転指令部OCと部品供給装置1の制御部63とが制御上の連携をとっていることは、上記段落【0055】の載及び本件特許に係る出願の願書に添付した図面の図3から明らかである。
また、異議申立人は、同意見書において、「前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」の旨についても明示がない上、書かれているも同然とも考えられないというが、本件特許に係る出願の願書に添付した図面の図3から、入力装置の処理部が設定情報を制御部63へ提供する際の「通信手段」である「配線8」と、「運転指令部OC」から制御部63への通信手段とが、それぞれ別々の通信手段であることが看て取れる。そして、訂正前の請求項1の「基台上にユニットとして組み付けられた部品供給装置であって」との記載に照らせば、「ユニット」に含まれるものは少なくとも「基台上」に組み付けられていることとなるが、同図3からは、「運転指令部OC」は基台10の外部にある点が看て取れるし、本件特許に係る出願の願書に添付した図面の図2からは、供給先設備TEが基台ではないところに取り付けられている点が看て取れるところ、これらを踏まえれば、供給先設備TEの運転指令部OCは、「ユニット外」であると認められる。
したがって、入力装置の処理部が設定情報を制御部へ提供する際の「通信手段」を、「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」と限定することは、願書に添付した明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
さらに、入力装置の処理部が設定情報を提供する「制御部」を、「ユニット内の制御部」と限定することに関し、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の段落【0040】に「振動式駆動部A(L、B、R、H)と駆動部制御装置6は基台10上にユニットUとして一体化され」との記載、段落【0042】に「図3に示す駆動部制御装置6は、本発明の電力供給部たる交流出力の駆動回路61と、この駆動回路61を駆動する駆動部たるブリッジドライバ62と、制御部63と、シリアル通信回路64と、振幅センサフィードバック回路65とを有している。」との記載があり。「制御部」は、ユニットUとして一体化された駆動部制御装置6が備えているものであるから、「制御部」はユニットU内といえる。したがって、入力装置の処理部が設定情報を提供する「制御部」を、「前記ユニット内の制御部」と限定することは、願書に添付した明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項1による特許請求の範囲の訂正に伴い、それとの整合をとるための明細書の訂正である。そうすると、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
その他、上記(1)と同様に、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
4.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、請求項の番号とともに「本件発明1」などという。また、これらの発明を総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりの、以下のものである。
【請求項1】
部品を搬送する搬送部と、この搬送部を振動させる振動式駆動部とを具備する1又は2以上の振動機を、基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置であって、
前記振動式駆動部への電力を制御する制御部を有し、前記振動式駆動部に駆動信号を入力する駆動部制御装置と、前記ユニットとは独立して構成されて、前記駆動部制御装置に対して通信可能な入力装置と、を備えており、前記駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込むとともに、前記振動式駆動部と前記駆動部制御装置の間を前記ユニット内で結線し、
前記入力装置は、前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部と、該表示部に入力された設定情報を、前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有し、前記表示部及び処理部は前記駆動部制御装置とは独立した単一の筐体内に収容されたことを特徴とする、部品供給装置。
【請求項2】
前記駆動部制御装置は、表示部及び操作部を備えず、ユニット外からの前記設定情報を受け付けて前記振動式駆動部に駆動信号を入力する、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記駆動部制御装置は、前記振動式駆動部に電力を供給する電力供給部と、この電力供給部を駆動する駆動部と、前記制御部に入力する設定情報を受け付ける設定情報受付部とを具備する、請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記入力装置は、前記駆動部制御装置に対して通信可能な操作部を有する、請求項1~3の何れかに記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記駆動部制御装置と前記入力装置の間を、少なくとも通信線を含むシリアル線によって接続している、請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
複数の振動式駆動部を、共通の駆動部制御装置に接続している、請求項1~5の何れかに記載の部品供給装置。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和5年11月22日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由の要旨]
請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:特開2010-272684号公報(主引例その1)
甲第2号証:特開2000-97752号公報(主引例その2)
甲第3号証:特開平6-219529号公報
甲第5号証:特開2005-162439号公報
甲第7号証:特開2017-126241号公報
なお、上記は、異議申立人が提出した第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証及び甲第7号証であり、以下、甲各号証をその番号とともに、それぞれ、「甲1」、「甲2」、「甲3」、「甲5」及び「甲7」という。
2.甲各号証の記載事項
(1)甲1について
甲1には、図面とともに次の記載がある(下線は、当審において付したものである。以下同様。)。
「【0029】
表面実装機では、上述の部品搬送手段によって、電子部品ECを部品供給部Supからプリント基板Pへ搬送・実装する作業が繰り返し行われる。そして、プリント基板Pへの実装作業が終わると、プリント基板Pはコンベア11によって基台10上から搬出される。
【0030】
また、表面実装機の基台10には、本体側コントローラ5(図6参照)が設けられている。本体側コントローラ5は、表面実装機を統括的に制御する主制御部51と、各種プログラム、実装順序、部品情報、後に詳述する複数の振動パターンなどを記憶する記憶部52と、サーボモータ12a、13aの駆動を制御するモータ制御部53と、各種カメラで撮像した画像を処理する画像処理部54と、表面実装機の各部との情報のやり取りを担う通信制御部55と、実装機本体側と各種入出力装置との間の制御を行うI/O制御部56とを含む。
【0031】
ここで、部品供給部Supについて説明する。部品供給部Supには、長手方向に沿って電子部品が収納されたテープを巻き取りながら、IC、トランジスタ、コンデンサなどの比較的小さな電子部品ECを順次部品供給位置に供給する複数のテープフィーダ2と、中空長尺状のスティック(容器)4内に収容された電子部品ECを、振動により、順次部品供給位置に移動させるマルチスティックフィーダ3とが備えられている。そして、マルチスティックフィーダ3およびテープフィーダ2は、部品供給部Sup全体として、各種フィーダの部品供給位置がX方向の一直線上に並ぶように、基台10に対して取り付けられている。
【0032】
各テープフィーダ2は、長手方向に沿って多数の電子部品ECを収容したテープと、テープが巻き付けられたリールと、リールを回転させることでテープを間欠的に送り出す送り出し機構とを備えている。各テープフィーダ2は、基台10に備えられたフィーダベースに対して組み付けられる。
【0033】
図2は、マルチスティックフィーダ3を説明するための側面図である。図3は、マルチスティックフィーダ3の部分拡大図である。図4は、マルチスティックフィーダ3の一部の背面図である。
【0034】
マルチスティックフィーダ3は、図2に示されるように、複数のスティック(容器)4を保持する容器保持部37と、容器保持部37を振動させる振動の発生源となる振動発生装置39と、容器保持部37の下面の4箇所にそれぞれ上端部が固定された4枚の振動板36と、振動板36の下端部を支持する振動板支持用部材35と、振動板支持用部材35に、防振部材34を介して連結される基部材33と、基部材33に固定され、表面実装機本体に装着される装着部材31と、装着部材31に固定され、振動発生装置39の駆動を制御するコントローラ32とを備えている。」
「【0038】
図5は、マルチスティックフィーダ3の振動発生装置39を説明するための概念図であり、図2のV-V線断面図である。本実施の形態の振動発生装置39は、振動の周波数と、各周波数での振動の継続時間とを任意に設定可能に構成されている。
【0039】
振動発生装置39は、図5に示されるように、モータ39aと、モータ39aの回転運動を電子部品ECの供給方向の往復運動に変換する偏芯軸39bを備えたクランク機構と、偏芯軸39bに一端部が回転自在に連結され、他端部が容器保持部37の底板37aの下面に回動自在に連結されるコンロッド(連結部材)39cと、モータ39aおよびクランク機構を振動板支持用部材35に吊り下げるようにして所定の高さに支持する吊設板39dとを含む。」
「【0050】
コントローラ32は、図6に示されるように、主制御部32Aと、各種プログラム、振動発生装置39のモータ39aの駆動状態を制御するための振動パターンを記憶する記憶部32Bと、モータ39aを駆動するモータ駆動部32Cと、モータ駆動部32Cに流れる電流を検出する電流検出部32Dと、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32と実装機本体側の本体側コントローラ5との間で情報のやり取りを担う通信制御部32Fとを含む。振動発生装置39は、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいてコントローラ32によって制御される。
【0051】
たとえば、コントローラ32は、電子部品ECが部品供給位置まで移動したのち、振動発生装置39の駆動を停止させる。具体的には、コントローラ32内のタイマに設定された所定の時間(電子部品ECが部品供給位置まで移動するのに要する時間)が経過したタイミングで、振動発生装置39の振動を停止させる。」
「【0057】
このように、モータ39aの回転数を増減させて振動の周波数を変化させることで、容器保持部37は、図8(a)および図8(b)に示されるように、上下方向および前後方向(Y方向)に振動する。すなわち、容器保持部37の振幅の大きさは、周波数の変化に対応して変化し、起動区間Aでは、振幅が増幅して他の2区間B、Cより大きな振幅で振動し、移動区間Bでは、起動区間Aより小さく一定の振幅で振動し、停止区間Cでは、時間の経過に伴って振幅が減衰する。
【0058】
そして、振動パターンの各区間A、B、Cの長さ(振動継続時間)や、周波数などは、供給される電子部品ECの種類(重さ、移動方向の長さなど)に基づいて決定される。そして、これらの振動パターンは、電子部品ECの種類と対応づけられて、実装機本体側の本体側コントローラ5の記憶部52に記憶されている。」
「【0060】
図9は、振動発生装置39を駆動させる際のフローチャートである。
【0061】
振動発生装置39を駆動させる際には、図9に示されるように、実装機本体側の本体側コントローラ5およびマルチスティックフィーダ3側のコントローラ32は、それぞれに設けられた通信制御部55、32Fを介して情報をやり取りしながら、振動発生装置39の駆動を制御する。
【0062】
具体的には、まず、実装機本体側の本体側コントローラ5では、主制御部51が記憶部52に保存された実装プログラム内の部品情報から振動パターン(周波数、振動継続時間等)を選択的に取得する(ステップS1)。記憶部52には、図10~図12に示されるような、モータ39aの回転数や振動継続時間が異なる振動パターンが複数種類保存されている。そして、本体側コントローラ5の主制御部51は、複数種類の振動パターンから、電子部品ECの種類に対応した振動パターンを選択する。したがって、供給動作を、電子部品ECの違いに応じて微妙に調整することができ、電子部品ECの形態や重さに応じて異なる供給動作を実現することができる。」
「【0065】
つぎに、主制御部51は、通信制御部32Fを介して実装機本体側からマルチスティックフィーダ3側へ駆動命令および振動パターンを送信する(ステップS2)。
【0066】
そして、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、通信制御部32Fを介して実装機本体側から送信された駆動命令および振動パターンを主制御部32Aが受信して取得する(ステップS3)。そして、主制御部32Aは、取得した駆動パターンを記憶部32Bに記憶させる。
【0067】
つぎに、主制御部32Aは、ステップS3で取得した振動パターンにて振動発生装置39を駆動する(ステップS4)。具体的には、周波数を増加させる起動区間A、所定の周波数を維持する移動区間B、周波数を減少させる停止区間Cを経て、振動発生装置39の駆動を完了する(ステップS5)。
【0068】
振動発生装置39の駆動が完了すると、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、主制御部32Aが通信制御部32Fを介して駆動完了を通知する信号を実装機本体側の本体側コントローラ5に送信する(ステップS6)。」
上記記載から、甲1には次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア.段落【0031】の記載から、“マルチスティックフィーダ3”は、“電子部品ECを順次部品供給位置に移動させるスティック4”を備えているといえる。また、段落【0034】の記載から、“マルチスティックフィーダ3”は“スティック4を保持する容器保持部37を振動させる振動発生装置39”を備えているといえる。そして、段落【0031】の記載から、“表面実装機”において、“マルチスティックフィーダ3”は“基台10”に取り付けられているといえる。
イ.段落【0050】、【0067】の記載及び図6からみて、“コントローラ32”は“主制御部32A”を有しており、この“主制御部32A”は、“振動発生装置39のモータ39a”の駆動状態を“モータ駆動部32Cを介して制御する”ものといえる。そして、段落【0057】の記載によれば、制御されるモータの駆動状態とは“回転数”である。つまり、“コントローラ32”は、“振動発生装置39のモータ39aの回転数をモータ駆動部32Cを介して制御する主制御部32A”を有しているといえる。
また、“コントローラ32”が“振動発生装置39のモータ39aの回転数をモータ駆動部32Cを介して制御する主制御部32A”を有しているということは、このコントローラ32は、“振動発生装置39の前記モータ39aを制御するコントローラ32”であるということもできる。
ウ.段落【0030】及び【0034】の記載からは、“本体側コントローラ5”が“コントローラ32”及び“マルチスティックフィーダ3”に対してどのような位置に設けられるかは必ずしも明らかではないが、図6や技術常識を踏まえれば、“本体側コントローラ5”は“マルチスティックフィーダ3とは別の構成として”、基台10、すなわち“実装機本体側に”設けられているといえる。また、段落【0061】の記載から、“本体側コントローラ5”は、“コントローラ32に対して通信可能”になっているといえる。
エ.段落【0034】の記載及び図2、3から、“コントローラ32”は“振動発生装置39に固定”されているといえる。そして、段落【0050】、【0057】の記載及び上記イ.のとおり、コントローラ32は、振動発生装置39のモータ39aを制御するように構成されているのであるから、技術常識にかんがみれば、“振動発生装置39のモータ39aとコントローラ32と”は何らかの手段により“結線”されていると認められる。
オ.段落【0062】、【0065】~【0067】の記載から、“本体側コントローラ5”は“主制御部51”を有し、この“主制御部51”が“振動発生装置を駆動する振動パターンを主制御部32Aへ送信”しているといえる。そして、本体側コントローラ5の通信制御部55とコントロ-ラ32の通信制御部32F(段落【0061】及び図6参照。)とは通信可能になっているのであるから、それらの間には何らかの“通信手段”が当然介在している。そうすると、“主制御部51”は“振動発生装置39を駆動する振動パターンを通信手段を介して主制御部32Aへ送信”するものといえる。
以上を総合すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
電子部品ECを順次部品供給位置に移動させるスティック4と、前記スティック4を保持する容器保持部37を振動させる振動発生装置39を備えたマルチスティックフィーダ3を基台10に対して取り付けた表面実装機であって、
前記振動発生装置39のモータ39aの回転数をモータ駆動部32Cを介して制御する主制御部32Aを有し、前記振動発生装置39の前記モータ39aを制御するコントローラ32と、前記マルチスティックフィーダ3とは別の構成として実装機本体側に設けられ、前記コントローラ32に対して通信可能な本体側コントローラ5と、を備えており、前記コントローラ32を前記振動発生装置39に固定し、前記振動発生装置39の前記モータ39aと前記コントローラ32とを結線し、
前記本体側コントローラ5は、前記振動発生装置39を駆動する振動パターンを通信手段を介して前記主制御部32Aへ送信する主制御部51を有する、表面実装機。
(2)甲2について
甲2には、図面とともに次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉状、粒状または塊状の物品を定量ずつ切り出す組合せ計量計数装置および振動式搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に、組合せ計量計数装置の機構部の概略側面図を示す。物品Mは、供給シュート1を介して背の低い円錐形分散フィーダ2の中央に供給される。物品Mは、分散フィーダ2の振動により放射状に配置された複数の振動フィーダ3に分散供給され、各振動フィーダ3の振動により搬送されて、円周上に複数配置されたプールホッパ4に送られ、計量動作に合わせて一時的にプールされた後、プールホッパ4の排出ゲート5が開放されて計量ホッパ6に投入される。
【0003】
ロードセルのような計量手段7は、それぞれ各計量ホッパ6にプールされている物品Mの重量Wを計量して計量信号を出力する。重量Wを示す計量信号は組合せ演算されて、組合せ目標値に近い許容範囲内の重量または個数を与える1つ以上の計量ホッパ6が選択され、その計量ホッパ6の排出ゲート8が開放されて、物品Mが集合シュート9で集合され、排出シュート10に排出される。この排出された物品Mは、タイミングゲート11から図示しない包装機に供給され、包装されて目標重量の袋詰め商品となる。各計量ホッパ6には投入目標値が設定されており、実際の計量値の投入目標値に対する大小に応じて、振動フィーダ3の振幅または振動時間を調節して、計量値が投入目標値に合致するように制御している。
【0004】
図5に組合せ計量計数装置の振動フィーダの平面配置を示す。この例では、14台の振動フィーダ3-1~3-nが分散フィーダ2を中心にして本体ベース12の上面に放射状に取り付けられており、図4に示す中央コントローラ13から与えられる制御信号で駆動されて、1回の計量期間ごとに、指令された量の物品を空のプールホッパ4に搬送する。」
「【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に、本実施形態の制御系と駆動電力供給系のブロック図を示す。本実施形態の計量計数装置は、各振動フィーダ3-1~3-nのそれぞれのベース35の側面に、個別制御器21-1~21-nが一体に設けられている。1番目の個別制御器21-1は1本の制御信号線22で中央コントローラ13に接続され、2番目の個別制御器21-2からn番目の個別制御器21-nまで、それぞれ制御信号線22で並列に接続されている。
【0024】
各振動フィーダ3-1~3-nの駆動回路は、枝分かれした1本の給電ケーブル23で、装置外部の電源、例えば商用電源24に並列に接続されて、商用電源が供給されている。また、中央コントローラ13、本体ベース12の径方向外方に配置された各計量手段7-1~7-nとは、それぞれ1本の信号線18で接続されており、さらに、中央コントローラ13と、各計量ホッパ6-1~6-nの開閉駆動機49-1~49-nは、信号線19で接続されている。
【0025】
中央コントローラ13には、各計量手段7-1~7-nから計量信号W1~Wnが信号線18を介して入力される。中央コントローラ13は、目標重量に基づいて定められた許容範囲内となる計量ホッパ6の組合せを選択し、信号線19を介して、選択された計量ホッパ6の開閉駆動機49に一定時間幅の開信号を出力することにより、ゲート8を一定時間開いて、その計量ホッパ6から物品を排出させたのち、ゲート8を閉じ、つぎに、図示していない信号線を介して、図4のプールホッパ4のゲートを一定時間開いて、空になった計量ホッパ6内に物品を供給したのち、ゲートを閉じる。
【0026】
中央コントローラ13は、つぎに、空になったプールホッパ4に物品を供給する振動フィーダ3に、識別コードrcを付したスタート指令信号ONおよび搬送量指示信号Wiを出力する。これらスタート指令信号ONおよび搬送量指示信号Wiは、振動フィーダ3に動作指令を与えるための動作条件信号である。各振動フィーダ3-1~3-nの個別制御器21-1~21-nは、識別コードrcから、スタート指令信号ONおよび搬送量指示信号Wiが自己宛であるか否かを識別し、自己宛であるときは、指示された搬送重量の物品を1搬送時間内にプールホッパ4に供給する制御信号を作成して、振動フィーダ3を作動させる。
【0027】
つぎに、本実施形態の振動フィーダと個別制御器の構成と動作を説明する。図2に、本実施形態の振動フィーダの概略側面図と個別制御器のブロック図を示す。この振動フィーダ3は、電磁振動装置としての加振器30と、この加振器30にブラケット31を介して取り付けられているトラフ32とを有している。前記加振器30は、当該振動フィーダ3が取り付けられる架台33に複数のゴムまたはコイルばねのような防振用の弾性体34を介して取り付けられたベース35と、このベース35に取り付けられた電磁石36と、ベース35の前部と後部にボルトB1によりそれぞれ一端部37aが取り付けられ、他端部37bがボルトB2によりそれぞれ前記ブラケット31に取り付けられて平行に配置されている一対の板ばね37と、前記ブラケット31に固着されて前記電磁石36に対向する可動鉄心38とを備えている。前記可動鉄心38は一方の板ばね37の他端部37bに対応した位置でブラケット31に固定されている。前記電磁石36には、前記商用電源24から駆動回路25を介して給電されている。
【0028】
前記駆動回路25は、後述する制御信号生成手段42からの制御信号dを受けて、中央コントローラ13から出力される搬送量指示信号Wiに基づく電流量idの交流駆動電流を電磁石36に給電し、電磁石36の可動鉄心38の吸引力と板ばね37のばね定数kによって定まる振幅Aでもって、トラフ32を水平姿勢のままで矢印V方向に振動させ、トラフ32上の物品Mを矢印P方向(水平方向)に搬送する。
【0029】
搬送方向前側の板ばね37の端部のブラケット31の固定部の近傍には、1つの歪ゲージ40が装着されている。この装着部は、振動時に板ばね37の弾性歪が大きい部分である。つまり、一対の板ばね37,37とブラケット31とベース35とにより、平行四辺形の形状を保って変形する一種のロバーバル機構が構成されているので、板ばね37は、一端部37aを支点として他端部37bが移動する際に、ボルトB1,B2の近傍、つまり固定部の近傍が屈曲し、この部分に大きな弾性歪が発生する。
【0030】
個別制御器21はベース35の側面に取り付けられている。図2には、1番目の振動フィーダ3-1の個別制御器21-1について、その回路を示している。この個別制御器21-1は、駆動回路25、受信手段41、制御信号生成手段42、記憶手段43および搬送量算出手段44を備えている。前記受信手段41は、中央コントローラ13から制御信号線22を介して入力される制御信号を受信し、自己の振動フィーダ3に与えられた識別コード(rc)を弁別して、自己宛のスタート指令信号ONと自己宛の搬送量指示信号Wiを、制御信号生成手段42に出力する。
【0031】
2番目~n-1番目の振動フィーダ3-2~3-n-1の個別制御器21-2~21-n-1は、前記中央コントローラ13から送出される制御信号(識別コードrc、スタート指令信号ON、および搬送指示信号Wiを含む)を受信する受信手段41を有している。
【0032】
制御信号生成手段42は、搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pと必要な動作時間Tのデータを記憶手段43から読み出し、駆動回路25に駆動電力Pと動作時間Tを与えるための制御信号dを出力する。振動フィーダ3の動作時間T内、つまり1搬送時間T内の搬送量ΣSwは、
搬送量ΣSw=(トラフ上の物品の重量W)×(トラフの振幅A)×(振動時間T)×(係数)
で定まり、トラフの振幅Aは、振動周波数と駆動電力によって定まる。
【0033】
記憶手段43は、当該振動フィーダ3の固有振動周波数fn、駆動周波数およびその駆動電力Pとトラフ32の振幅Aとの関係を記憶している。前記駆動周波数は前記固有振動周波数fnに基づいて効率の良い周波数に定められており、制御信号生成手段42はこれらのデータから所望の搬送量ΣSwが得られる駆動電力Pと動作時間Tとを算出する。駆動回路25は、加振器30に1搬送時間Tの間、駆動電力Pを供給して振動フィーダ3を動作させる。これによって振動フィーダ3は、搬送量指示信号Wiに対応した重量の物品をプールホッパ4(図3)に切り出すことができる。
【0034】
中央コントローラ13は各計量ホッパ6での実測計量値を監視しており、実測計量値の平均値が各計量ホッパ6の目標とする計量値に合致するように、Wiを調整して振動フィーダ3を制御する。つまり、振動フィーダ3をフィードバック制御する。但し、このフィードバック制御はなくてもよい。」
「【0036】
本実施形態によれば、図1の中央コントローラ13から1本の制御信号線22を介して各振動フィーダ3-1~3-nに識別コードrcを付したスタート指令信号ONおよび搬送量指示信号Wiを出力し、図2に示す各振動フィーダ3-1~3-nに設けた個別制御器21-1~21-nの受信手段41で自己への指示信号であるか否かを識別し、制御信号生成手段42で指示された搬送量が得られる制御信号dを作成して加振器30を所定時間駆動する、一種のインテリジェント振動フィーダ3が得られる。
【0037】
このように、各振動フィーダ3-1~3-nに個別制御器21-1~21-nが設けられているから、中央コントローラ13に、各振動3-1~3-nの固有振動周波数fnなど、制御に必要なデータを記憶させておく必要がなくなる。したがって、振動フィーダ3を故障などの原因で取り替えたとき、中央コントローラ13に、交換した振動フィーダ3の固有振動周波数fnなどのデータを新たに記憶させる必要がなく、メンテナンス作業が容易になる。」
「【0039】
なお、前記実施形態では、1個の重量が不定の物品を定量ずつ切り出す組合せ計量装置について説明したが、飴や小粒のチョコレートのような1個の重量のばらつきの小さい物品のように、重量を単品重量で除して個数を求め、所定の個数となる計量ホッパの組合せを選択し、それらの計量ホッパから物品を排出させる組合せ計数装置にも、同様に適用することができる。」
上記記載から、甲2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア.段落【0027】、【0028】の記載並びに図1及び図2から、“振動フィーダ3”は、“物品を搬送するトラフ32”と、“トラフ32を振動させる加振器30”とを備えているといえる。そして、段落【0023】の記載及び図1から、組合せ計量計数装置には“複数の振動フィーダ3”が取り付けられているといえる。また。この組合せ計量計数装置は、図1中にも示されるように“本体ベース12”を備えているところ、技術常識や、従来技術に関する段落【0002】~【0004】の記載並びに図4及び図5を踏まえれば、直接的ではないにせよ、少なくとも間接的には、“複数の振動フィーダ3”が“本体ベース12”に取り付けられているものと認められる。
イ.段落【0028】の記載及び図2からみて、“個別制御器21”は“制御信号生成手段42”を有しており、段落【0028】、【0032】の記載及び図2からみて、この“制御信号生成手段42”は、“加振器30の電磁石36に対し駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pを与える”ものといえる。
また、“個別制御器21”が“加振器30の電磁石36に対して駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pを与える制御信号生成手段42”を有しているということは、この個別制御器21は、“加振器30の電磁石36を制御する個別制御器21”であるということもできる。
ウ.段落【0023】の記載並びに図1及び図2から、“中央コントローラ13”は“個別制御器21に対して制御信号線22を介して接続”されているといえ、段落【0030】の記載のように、この制御信号線22を介した接続を通じて受信手段41に対して制御信号を送信するのであるから、この“接続”は、“通信可能な接続”といえる。すなわち、中央コントローラ13は、“個別制御器21に対して制御信号線22を介して通信可能に接続された中央コントローラ13”であるといえる。
エ.段落【0030】の記載及び図1から、“個別制御器21”は“振動フィーダ3に取り付け”られているといえる。そして、段落【0028】の記載のとおり、個別制御器21は、(駆動電力Pを与えるために)交流駆動電流を加振器30の電磁石36に給電するのであるから、技術常識にかんがみれば、“加振器30の電磁石36と個別制御器21と”は何らかの手段により“結線”されているものと認められる。
オ.段落【0028】、【0032】の記載並びに図1及び図2から、“中央コントローラ13”は“搬送量指示信号Wiを制御信号線22を介して制御信号生成手段42へ送信する”ものといえるところ、そのような“送信する機能を果たす部分”を当然に有しているといえる。
以上を総合すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明]
物品を搬送するトラフ32と、前記トラフ32を振動させる加振器30とを具備する複数の振動フィーダ3を、本体ベース12上に取り付けた組合せ計量計数装置であって、
前記加振器30の電磁石36に対し駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pを与える制御信号生成手段42を有し、前記加振器30の前記電磁石36を制御する個別制御器21と、前記個別制御器21に対して制御信号線22を介して通信可能に接続された中央コントローラ13と、を備えており、前記個別制御器21を前記振動フィーダ3に設け、前記加振器30の電磁石36と前記個別制御器21とを結線し、
前記中央コントローラ13は前記搬送量指示信号Wiを前記制御信号線22を介して前記制御信号生成手段42へ送信する機能を果たす部分を有する、組合せ計量計数装置。
(3)甲3についいて
甲3には、図面とともに次の記載がある。
「【0012】
【実施例】図1および図2は、この発明の一実施例であるパーツフィーダ1の概略構成を示す。このパーツフィーダ1は、例えばボルトのような機械部品をマシン2まで搬送して次々に供給するもので、ボールフィーダ3,直線フィーダ4,コントローラ5,4個のセンサS1 ~S4 などで構成される。
【0013】
前記ボールフィーダ3は、上面開口の部品貯留部6の外周に螺旋状をなす物体搬送路7を備えると共に、その下方位置に加振器8が配備されたものである。前記部品貯留部6は上面開口より投入された多数個の部品Pを貯留するためのもので、これら部品Pは部品貯留部6より物体搬送路7へ導かれ、物体搬送路7にて姿勢を整えつつ整列状態で搬送される。加振器8は各部品Pの推進力となる振動を発生して部品貯留部6および物体搬送路7へ作用させる。
【0014】
前記直線フィーダ4は、前記ボールフィーダ3の物体搬送路7の終端に接続される物体搬送路9を有し、この物体搬送路9の下方位置に加振器10が配備されたものである。前記物体搬送路9はボールフィーダ3より連続的に搬送されてくる部品Pをマシン2の位置まで搬送するためのもので、この物体搬送路9の終端をマシン2のテーブル17に接近して位置させてある。加振器10は各部品Pの推進力となる振動を発生して物体搬送路9へ作用させる。」
「【0019】つぎにコントローラ5は、ボールフィーダ3の加振器8を駆動するドライバ12と、直線フィーダ4の加振器10を駆動するドライバ13と、各ドライバ12,13の動作を制御する制御部11とで構成され、前記制御部11には図示しない電源装置の他、表示装置14や入力装置15などが接続される。」
上記記載から、甲3には次の技術的事項が記載されていると認められる。
[甲3記載の技術的事項]
複数の加振器8及び10を共通のコントローラ5に接続すること。
(4)甲5について
甲5には、次の記載がある。
「【0004】
近年、製造業ではコストダウンのために、少ないマンパワーで生産効率を高めることが進められている。しかしながら、上述した従来の振動式部品供給機の制御装置は、操作パネル等の入力手段を用いて運転条件を個別に設定し、表示器等の出力手段を用いて運転状態等を個別に表示しているので、組立ラインや検査ライン等のように、多くの振動式部品供給機を配設した現場では、作業者による運転条件の設定変更や運転状況の監視に非常に手間がかかり、マンパワーの削減が難しい問題があった。
【0005】
また、従来の振動式部品供給機の制御装置は、生産管理コンピュータ等の上位コンピュータから運転指令を受けたり、運転異常等が発生したときに、警報を発したりする程度の単純なインターフェイスしか持っていなかったので、例えば警報が発せられたときは、作業者が現場に行かないと異常内容が分からず、運転復帰までのロスタイムが長くなって生産効率が低下する問題もあった。
【0006】
そこで、この発明の課題は、振動式部品供給機を少ないマンパワーで効率よく運転できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、振動機構により部品を搬送供給する振動式部品供給機をコントローラで制御する振動式部品供給機の制御装置において、前記コントローラとしてマイクロプロセッサを用い、外部の制御装置類との相互通信機能を付加した構成を採用した。
【0008】
すなわち、振動式部品供給機のコントローラにマイクロプロセッサを用いて、外部の制御装置類との相互通信機能を付加することにより、振動式部品供給機を他の機器と一緒に集中制御、集中監視して、振動式部品供給機を少ないマンパワーで効率よく運転できるようにした。外部の制御装置類としては、他の機器の制御装置のほかに、ラインを監視するモニタ装置や、ラインの稼動実績等を解析するパソコン等のコンピュータが含まれる。
【0009】
前記相互通信機能を介して外部の制御装置類と送受信されるデータは、前記振動式部品供給機の運転実績データおよび運転条件設定データの少なくともいずれかを含むものとするとよい。運転実績データを含むものとすれば、板ばね疲労等の部品劣化による僅かな能力低下を早期に検知でき、運転異常に陥る前にメンテナンスを実施することができる。運転実績データを統計処理するなど外部のパソコン等で解析して、個々の振動式部品供給機の稼動状況からライン全体の稼動のネックとなる部位を推定すること等にも利用できる。また、運転条件設定データを含むものとすれば、ラインのサイクルタイム変更や稼動状況に応じて、振動式部品供給機の能力を迅速に変えることができ、生産管理コンピュータ等からの運転指令もこのデータの中に含めれば、端子台数や配線本数を減らすこともできる。
【0010】
前記相互通信機能の通信方式をシリアル通信方式とすることにより、多量のデータを高速で送受信することができ、通信回線を用いる場合は、その配線本数を少なくすることができる。なお、通信の方式は無線方式としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の振動式部品供給機の制御装置は、振動式部品供給機のコントローラにマイクロプロセッサを用いて、外部の制御装置類との相互通信機能を付加したので、振動式部品供給機を他の機器と一緒に集中制御、集中監視して、振動式部品供給機を少ないマンパワーで効率よく運転することができる。」
「【0014】
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。この振動式部品供給機の制御装置は、図1に示すように、交流電源1で交流/直流変換回路2と直流/交流変換回路3を介して駆動される振動式ボウルフィーダ4を、相互通信機能を有するマイクロプロセッサ5で制御するものであり、マイクロプロセッサ5はメタルケーブルの通信回線6で外部の制御装置類と生産管理用コンピュータ(図示省略)とに繋がっている。マイクロプロセッサ5には直流/交流変換回路3が接続されるとともに、表示部と操作部を有する操作パネル7も接続されている。」
ウ.「
[図:0001413324000001.jpg]
」
上記記載から、甲5記載の「外部の制御装置類」は、“モニタ装置”を有している(段落【0008】参照)といえる。そして、段落【0009】の「運転条件設定データを含むものとすれば、ラインのサイクルタイム変更や稼動状況に応じて、振動式部品供給機の能力を迅速に変えることができ」との記載を踏まえれば、甲5記載の「外部の制御装置類」は、ラインのサイクルタイム変更や稼動状況に応じた運転条件設定データの設定を可能するための何らかの“入力部”を有するものとすることができると認められる。
以上を踏まえれば、甲5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
[甲5記載の技術的事項]
振動式部品供給機を他の機器と一緒に集中制御、集中監視することを可能とするために、振動式部品供給機の制御装置に対して通信回路6を介して通信可能な「外部の制御装置類」を設け、この外部の制御装置類を、「モニタ装置」と、運転条件設定データを設定するための「入力部」とを有するものとすること。
(4)甲7の記載
甲7には、図面とともに次の記載がある。
「【0019】
前記操作補助端末30は、図3に示すように、一般にタブレットと称される、入力方式がタッチスクリーン方式の携帯可能な小型PCであって、タッチ操作スクリーンとなる画面31とカメラ(撮像装置)32を備えたものであるが、キーボードやマウス又はこれに代わる操作面を入力機器とする、入力方式の異なる携帯可能な小型PCであっても良い。この操作補助端末30は、各機械設備1,13に併設のアクセスポイント33を含む無線通信手段34を介して、各機械設備1,13の前記制御装置28と接続されるもので、制御装置28の切換え手段29を切り換える制御対象・制御内容切換え信号35や、制御装置28に対する接続確認信号36a又は接続終了信号36bを送信することが出来る。又、前記制御装置28には、表示画像生成装置37が併設されている。この表示画像生成装置37は、制御装置28が備える各制御部a1~anに対する手動操作を行うために、操作補助端末30の画面31に、必要な情報を開示するための画像を表示させる画像信号38を生成するものである。39は、操作補助端末30と制御装置28との間の通信系に介装された通信路接続・遮断手段であって、操作補助端末30から送信される接続確認信号36a又は接続終了信号36bや、手動操作手段5,25からの操作信号が一定時間継続して制御装置28に入力されなかったときに当該制御装置28から出力される手動操作解除信号40を受けて、通信路の接続又は遮断を実行する。」
「【0021】
上記のようにして操作補助端末30の画面31には、図4に示すように、機械設備1に関する種々の参考情報、例えば各種図面や撮影画像などをタブ切換えで表示する参考情報表示画面42、機械設備状態表示画面43、及び手動操作補助画面44が表示される。機械設備状態表示画面43は、機械設備1内の全ての制御対象機器である搬送台車走行ラインL1~L4(実際の制御対象は台車駆動手段L1d~L4d)ごとに手動操作の可否状態を表示する複数の機器表示部43a1~43d1と、各制御対象機器の状態を表示する機器状態表示部43a2~43d2から成るものである。手動操作補助画面44は、機械設備状態表示画面43で表示される手動操作可能な機器を抜粋表示すると共に、この手動操作可能な機器の内の手動操作を実行する対象の機器を選択するための手動操作対象機器選択釦44a,44bと、各手動操作対象機器選択釦44a,44bで選択した手動操作対象機器を前記手動操作手段5の各操作スイッチ6,7によって手動操作するときの、各操作スイッチ6,7に割り当てられた制御内容を表示する制御内容表示部44a1,44a2及び44b1,44b2とを有する。尚、図4では、2つの手動操作対象機器選択釦44a,44bを例示しているが、これは、その時点で2つの搬送台車走行ラインL2,L4が手動操作対象であることを示しているに過ぎず、1つ又は3つ以上もあり得る。
【0022】
上記のように、機械設備1の手動操作手段5から二次元コード12を撮影し且つ接続確認釦41を操作した結果、作業者が携帯する操作補助端末30の画面31上に、図4に示す参考情報表示画面42、機械設備状態表示画面43、及び手動操作補助画面44が表示されたとすると、作業者は、その機械設備状態表示画面43の表示状態から、全ての搬送台車走行ラインL1~L4の状態が判ると同時に、各搬送台車走行ラインL1~L4に対応する機器表示部43a1~43d1において、搬送台車走行ラインL2,L4の表示状態が他の搬送台車走行ラインL1,L3の表示状態と異なっている(例えば、表示色が異なる、点滅表示となっているなど)ことから、搬送台車走行ラインL2,L4(台車駆動手段L2d,L4d)が手動操作可能であることが判る。一方、手動操作補助画面44では、そのとき手動操作可能な機器(搬送台車走行ラインL2,L4)が手動操作対象機器選択釦44a,44bとして表示されると共に、選択した手動操作対象機器を手動操作手段5で手動操作するとき、当該手動操作手段5の積極(ポジティブ)操作のための操作スイッチ6に搬出操作が割り当てられ、手動操作手段5の消極(ネガティブ)操作のための操作スイッチ7には搬入操作が割り当てられていることが、制御内容表示部44a1,44a2及び44b1,44b2の表示から知ることが出来る。
【0023】
従って作業者は、手動操作対象機器選択釦44a,44bの何れか、例えば選択釦44aをタッチ操作して、今から行う手動操作の対象が搬送台車走行ラインL2であることを決定することが出来る。この決定に基づいて、操作補助端末30から機械設備1の制御装置28に制御対象・制御内容切換え信号35が送信され、当該制御装置28の切換え手段29が、手動操作手段5と、制御部a1~anの内、手動操作対象である搬送台車走行ラインL2(台車駆動手段L2d)の制御部(例えば、制御部a2)とを、手動操作手段5の2つの操作スイッチ6,7に予め割り当てられている制御内容が当該操作スイッチ6,7の操作によって実行されるように、接続することになる。この後、作業者は、手動操作手段5の位置から機械設備1の搬送台車走行ラインL2を目視により確認しながら、制御内容表示部44a1,44a2及び44b1,44b2が示すところに従って、手動操作手段5の操作スイッチ6を操作して、退出路4の台車駆動手段と搬送台車走行ラインL2の台車駆動手段L2dを稼働させると共に、出口側経路切換え手段P4を制御し、搬送台車走行ラインL2内にある搬送台車2を当該搬送台車走行ラインL2から退出路4に搬出させるか又は、手動操作手段5の操作スイッチ7を操作して、進入路3の台車駆動手段と搬送台車走行ラインL2の台車駆動手段L2dを稼働させると共に、入り口側経路切換え手段P2を制御し、進入路3から搬送台車走行ラインL2内に搬送台車2を搬入させることが出来る。」
そして、甲7の図3や技術常識を踏まえれば、タッチスクリーン方式の携帯可能な小型PCは、単一の筐体を有し、その単一の筐体内に、画面31やそのほかの構成要素が収容されているものと認められる。
また、段落【0023】の記載から、補助操作端末30は、画面31の選択ボタンをタッチ操作して決定した情報を機械設備1の制御装置28に送信するものであるから、補助操作端末30は、このような情報を送信する機能を果たす部分を当然に有しているものと認められ、図3や技術常識を踏まえれば、その送信する機能を果たす部分も、上記で言及した“単一の筐体内”に、収容されているものと認められる。
以上のことから、甲7には次の技術的事項が記載されているといえる。
[甲7記載の技術的事項]
機械設備1を外部から操作する補助操作端末30をタッチスクリーン方式の携帯可能な小型PCとして構成し、画面31と、前記画面31の選択ボタンをタッチ操作して決定した情報を前記機械設備1の制御装置28に送信する機能を果たす部分を有し、前記画面31及び前記送信する機能を果たす部分を単一の筐体内に収容すること。
3.当審の判断
(1)甲1発明を主引例とした場合について
(1-1)本件発明1について
ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「電子部品ECを順次部品供給位置に移動させるスティック4」ないし「スティック4」は、本件発明1の「部品を搬送する搬送部」ないし「搬送部」に相当する。甲1発明の「前記スティック4を保持する容器保持部37を振動させる振動発生装置39」ないし「振動発生装置39」は、本件発明1の「この搬送部を振動させる振動式駆動部」ないし「振動式駆動部」に相当する。
そして、甲1発明の「マルチスティックフィーダ3」、「基台10」、及び「表面実装機」は、それぞれ本件発明1の「振動機」、「基台」及び「部品供給装置」に相当し、甲1発明の「マルチスティックフィーダ3を基台10に対して取り付けた表面実装機」は、本件発明1の「1又は2以上の振動機を、基台上に」「組み付けた部品供給装置」に相当する。また、「ユニット」とは「全体を構成する一つ一つの要素」(デジタル大辞泉)という意味であるところ、甲1発明における「マルチスティックフィーダ3」は、「表面実装機」を構成する上での一つの要素、すなわち「ユニット」と捉えることができる。そうすると、「マルチスティックフィーダ3」は表面実装機の基台10に一つの「ユニット」として取り付けられるといえるから、甲1発明の「マルチスティックフィーダ3を基台10に対して取り付けた表面実装機」は、本件発明1の「1又は2以上の振動機を、基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置」に相当する。
(イ)甲1発明において、「振動発生装置39のモータ39aの回転数」の制御について、技術常識にかんがみれば、その制御は、モータを駆動する電圧や電流を制御することで行われるところ、これらを制御すると、結果的にモータに供給される“電力”が制御される。そうすると、甲1発明において「前記振動発生装置39のモータ39aの回転数」を「制御する」ことは、本件発明1における「前記振動式駆動部への電力を制御する」ことに相当する。よって、甲1発明の「前記振動発生装置39のモータ39aの回転数をモータ駆動部32Cを介して制御する主制御部32A」ないし「主制御部32A」は、本件発明1の「前記振動式駆動部への電力を制御する制御部」ないし「制御部」に相当する。
また、技術常識を踏まえれば、甲1発明における「コントローラ32」は「前記振動発生装置39の前記モータ39a」の制御する際、モータの所望の回転数を得るために、(モータ駆動部32Cを介して)前記振動発生装置39の前記モータ39aに、所定の電圧をかけたり、所定の電流を流したりするものと認められるが、この所定の電圧をかけたり、所定の電流を流したりすることが、本件発明1でいう「駆動信号を入力する」ことに相当する。そうすると、甲1発明の「前記振動発生装置39の前記モータ39aを制御するコントローラ32」ないし「コントローラ32」は、本件発明1の「前記振動式駆動部に駆動信号を入力する駆動部制御装置」ないし「駆動部制御装置」に相当する。
(ウ)甲1発明の「本体側コントローラ5」は、本件発明1の「入力装置」との対比において、「上位の制御装置」という限りで一致する。そして、甲1発明において、「前記マルチスティックフィーダ3とは別の構成として実装機本体側に設け」ることは、上記(ア)でも言及したとおり「マルチスティックフィーダ3」を「ユニット」と考えると、本件発明1における「前記ユニットとは独立して構成」することに相当する。さらに、甲1発明の「前記コントローラ32に対して通信可能な」点は、本件発明1の「前記駆動部制御装置に対して通信可能な」点に相当する。
(エ)甲1発明において、前記コントローラ32は「前記振動発生装置39に固定」される。そして、そのコントローラ32が固定された振動発生装置39を備えた「マルチスティックフィーダ3」を、上記(ア)でも言及したとおり、「ユニット」と考えると、「コントローラ32」は「マルチスティックフィーダ3」というユニットの一部として組み込まれているといえる。そうすると、甲1発明における「前記コントローラ32を前記振動発生装置39に固定し」という構成は、本件発明1の「前記駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込む」という構成に相当する。
また、甲1発明における、振動発生装置39のモータ39aとコントローラ32との「結線」は、技術常識にかんがみれば、マルチスティックフィーダ3内での結線といえ、それは「ユニット」内での結線ともいえる。そうすると、本件発明1の「前記振動発生装置39の前記モータ39aと前記コントローラ32とを結線」する点は、本件発明1の「前記振動式駆動部と前記駆動部制御装置の間を前記ユニット内で結線」する点に相当する。
(オ)甲1発明の「前記振動発生装置39を駆動する振動パターン」は、本件発明1の「該表示部に入力された設定情報」との対比において、「設定情報」という限りにおいて一致する。そして、甲1発明の「主制御部32A」は、「マルチスティックフィーダ3」を「ユニット」と考えると、その「マルチスティックフィーダ3」の「コントローラ32」内にあるから、本件発明1の「ユニット内の制御部」に相当する。そうすると、甲1発明の「前記振動発生装置39を駆動する振動パターンを通信手段を介して前記主制御部32Aへ送信する主制御部51」ないし「主制御部51」は、本件発明1の「設定情報を通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」ないし「処理部」に相当する。
以上を総合すると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で一致し、以下の点で相違する。
[一致点]
部品を搬送する搬送部と、この搬送部を振動させる振動式駆動部とを具備する1又は2以上の振動機を、基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置であって、
前記振動式駆動部への電力を制御する制御部を有し、前記振動式駆動部に駆動信号を入力する駆動部制御装置と、前記ユニットとは独立して構成されて、前記駆動部制御装置に対して通信可能な上位の制御装置と、を備えており、前記駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込むとともに、前記振動式駆動部と前記駆動部制御装置の間を前記ユニット内で結線し、
前記上位の制御装置は、設定情報を通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有する、部品供給装置。
[相違点1]
「上位の制御装置」に関し、本件発明1は、「上位の制御装置」が「入力装置」であり、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部と、該表示部に入力された設定情報を、前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有」するのに対して、甲1発明は、「上位の制御装置」が「本体側コントローラ5」であり、「振動発生装置39を駆動する振動パターンを通信手段を介して主制御部32Aへ送信する主制御部51を有する」ものである点。
[相違点2]
「上位の制御装置」に関し、本件発明1は、「入力装置」が、「表示部及び処理部は前記駆動部制御装置とは独立した単一の筐体内に収容され」ているのに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
イ.判断
まず、上記相違点1について、検討する。
甲1発明の「本体側コントローラ5」は、「マルチスティックフィーダ3とは別の構成」であるから、マルチスティックフィーダ3を「ユニット」と考えると、ユニットとは独立して構成されており、「ユニット外」にあるといえるが、オペレータ等による入力を受ける「入力装置」として構成されておらず、マルチスティックフィーダ3内の振動発生装置39を駆動する振動パターンの「設定入力を受けて表示する表示部」も有していない。すなわち、甲1発明は、「上位の制御装置」を本件発明1のように「入力装置」とし、その「入力装置」が「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」を有する点を開示していない。そして、主制御部32Aへ送信される振動発生装置39を駆動する振動パターンも、本件発明1のような「表示部に入力された設定情報」とはいえない。
さらに、甲1発明においては、本体側コントローラ5は、振動発生装置39を駆動する振動パターンを通信手段を介してコントローラ32の主制御部32Aに提供する「主制御部51」を有するが、この通信手段以外に、主制御部32Aに対してマルチスティックフィーダ3の“外から接続”する通信手段を備えていない。そうすると、甲1発明の本体側コントローラ5の主制御部51と主制御部32Aとの間の通信手段は、マルチスティックフィーダ3を「ユニット」と考えると、主制御部32Aとの「制御上の連携を図るべくユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」であるとはいえない。すなわち、甲1発明は、「上位の制御装置」を本件発明1のように「入力装置」とし、その「入力装置」が「設置情報」(すなわち「当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力」による「設定情報」)を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有する点を開示していない。
この点に関し、甲5には、振動式部品供給機の制御装置に対して「通信回路6」を介して通信可能な「外部の制御装置類」を設け、この外部の制御装置類を、「モニタ装置」と振動式部品供給機の運転条件設定データを設定するための「入力部」とを有するものとする技術術的事項が記載されている。甲5記載の技術的事項の「振動式部品供給機」を「ユニット」と考えると、甲5記載の技術的事項の「外部の制御装置類」は“ユニットとは独立して構成”されたものといえ、本件発明1の「入力装置」に相当し、その「外部の制御装置類」の「モニタ装置」が本件発明1の「表示部」に相当する。そして、その「外部の制御装置類」は、「ユニット外」において振動式部品供給機の運転条件設定データに入力を受け付けるものといえる。
しかし、甲5記載の技術的事項は、「通信回路6」以外に、振動式部品供給機の制御装置に対して振動式部品供給機の“外から接続する”通信手段を備えていない。(なお、甲5の図1や段落【0014】から、「操作パネル7」と振動式部品供給機の制御装置とが接続されているといえるが、「操作パネル7」が振動式部品供給機に対してどのように構成されているかは、甲5の記載から明らかでなく、「操作パネル7」が振動式部品供給機から独立して構成されており、その“外”にあるとはいえない。)そうすると、甲5記載の技術的事項における「通信回路6」も、「振動式部品供給機」を「ユニット」と考えると、振動式部品供給機の制御装置と「制御上の連携を図るべくユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」であるとはいえない。
すなわち、甲5記載の「外部の制御装置類」は、本件発明1の「入力装置」のように、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部」「に関わる設定入力を受け付け」るものであり、「表示部」を有するものということはできるが、ユニット外で受け付けた「設置情報」を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有するものではない。
そして、甲1発明に甲5記載の技術的事項を適用したとしても、その適用により、甲1発明の「本体側コントローラ5」を本件発明1のような「入力装置」とし、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」を有するもとすることには想到し得るかもしれないが、本件発明1の「入力装置」のように、そのユニット外において受け付けた「当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力」による「設定情報」を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有するものとすることには想到し得ない。
さらに、甲3及び甲7にも、本件発明1のユニット外において受け付けたユニット内の機器に係る設定情報を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有する「入力装置」に相当する構成について、記載も示唆もない。
以上によれば、甲1発明並びに甲3、5及び7記載の技術的事項に基いて、上記相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たこととは認められない。
そうすると、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明並びに甲3、5及び7に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとは認められない。
よって、本件発明1は、甲1発明並びに甲3、5及び7記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.異議申立人の意見について
異議申立人が令和6年3月12日に提出した意見書において、本件発明1の「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」及び「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」に関して異議申立人が主張するところは、概ね以下のとおりである。
なお、以下でいう「甲4」、「甲6」は、特許異議申立人が提出した「甲第4号証」、「甲第6号証」であり、それぞれ次の刊行物である。
甲第4号証:取扱説明書[No.PMPC034-d」(小型周波数可変コントローラ 基本タイプK-ECF25、K-ECH45)5版、NTNテクニカルサービス株式会社、2013年7月1日
甲第6号証:特開2009-8400号公報
「表示部」について:
(ア)甲6の段落【0037】及び図2、段落【0048】の記載から、当業者であれば、甲6の「操作設定表示器19」に接して、本件発明1の表示部と同一と認識する、または、同表示部を周知慣用技術と認識する。
「通信手段」について:
(イ)甲4のP.13の「(4)外部制御入力の配線」の項目で図示された外部からのパーツフィーダのON/OFFを制御する制御線とP.6の「(2)端子台部分」の項目における端子台レイアウトの図に示された「外部制御入力」と書かれた端子部分が、本件発明1の「ユニット外から入力される運転指令」が存在していることを示し、甲4のP18の「(6)多段速機能」の項目で図示された入力装置からの線(「青」、「茶」と書かれた線)とP6の「(2)端子台部分」の項目における端子台レイアウトの図に示された「アナログ入力」と書かれた端子部分が本件発明1の「通信手段」を示している。
(ウ)甲6の図2では「レベル検出器18」が制御装置21のI/O回路へ信号が入力されており、「レベル検出機18」を外部機器と捉えた場合、「操作設定表示器19」を当然に内部機器に相当すると認識すると考えられる。この「レベル検出機18」と「操作設定表示器19」とは別々に制御装置21に接続されている。したがって、甲6の図2にも本件発明1の「通信手段」が示されている。
(エ)上記(イ)及び(ウ)から、本件発明1の「通信手段」は、当業者であれば容易に想到する。
(オ)部品供給装置の構成である入力装置と駆動制御装置との間の通信手段と、該部品供給装置内の制御部と、サードベンダ又は他ユニット等の供給先設備との間の通信手段とは、通常、別々なものであるので、本件発明1の「通信手段」は、当業者であれば周知慣用技術と認識するか容易に想到するものである。
(カ)本件発明1においては、「ユニット外」、「ユニット内」の語が登場するが、「ユニット外」/「ユニット内」とするかは、例えば、甲6の図2における「レベル検出機18」及び「操作設定表示19」の少なくとも一つを自由に選択して「制御装置21」と同じ基台やユニットに組み込むこと、又は、パーツフィーダやリニアフィーダ、制御ユニット等を購入した者が自社工場内のスペースやレイアウトに合わせて、これのうちのどれを同一ユニットにするか(同一基台上に載せるか)を自由に決定して使用することのように、設計的事項と同様である。
(キ)「運転指令」の語、「前記制御部との制御上の連携を図るべく」の旨、「ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」の旨は、新規事項の追加に当たる。
上記各主張について検討する。
[(ア)について]
本件発明1は「基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置」に係るものであり、本件発明1の「表示部」は「入力装置」が有するものであって、その「入力装置」は「ユニットとは独立して構成され」たものである。ゆえに、「表示部」は、「前記ユニット外において」「設定入力を受け付けて表示する表示部」となる。しかし、甲6には、本件発明1の「基台」に相当し得るものが明示されていないし、甲6の組合せ秤において何をもって「ユニット」とするかについての記載も示唆もない。そうすると、甲6の「操作設定表示器19」がユニットとは独立したものかが明らかでなく、甲6の「操作設定表示器19」がユニット外において設定入力を受け付けて表示する表示部を有するかも明らかでない。
したがって、甲6の「操作設定表示器19」を本件発明1の表示部と同一と認識できないし、かかる表示部が周知願用技術であると認識することもできない。
よって、異議申立人の主張(ア)は採用できない。
[(イ)及び(エ)について]
本件発明1の「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」に関し、まず、その通信手段の通信相手先となる「制御部」は、「ユニット内の制御部」であり、「ユニットの一部に一体的に組み込」まれた「駆動部制御装置」の「制御部」である。
これに対して、甲4において示される各端子を有するコントローラについて、P7の「5.取付け方法」における同頁右下の図や、P9の「7.入出力の接続方法」における同頁上側の図に照らして考えると、このコントローラはパーツフィーダとは独立して取り付けられるものと認められ、パーツフィーダの側に取り付けられるものとはいえないので、本件発明1でいうところの「ユニット内の制御部」、あるいは「ユニットの一部に一体的に組み込」まれた「駆動部制御装置」の「制御部」に相当するものとは認められない。
そうすると、甲4のP18の「(6)多段速機能」の項目で図示された入力装置からの線(「青」、「茶」と書かれた線)とP6の「(2)端子台部分」の項目における端子台レイアウトの図に示された「アナログ入力」と書かれた端子部分は、本件発明1の「ユニット内の制御部」、あるいは「ユニットの一部に一体的に組み込」まれた「駆動部制御装置」の「制御部」に対する「通信手段」に相当するものとはいえない。
よって、異議申立人の主張(イ)は採用できないし、主張(エ)も採用できない。
[(ウ)及び(エ)について]
甲6における「レベル検出器18」から制御装置21への信号は、開始/停止信号(本件特許明細書の段落【0055】参照)のようなものとは認められないから、本件発明1の「運転指令」に相当するとはいえない。
また、本件発明1は「基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置」に係るものであり、本件発明1の「運転指令」は「ユニット外から入力される」ものである。しかし、甲6には、本件発明1の「基台」に相当し得るものが明示されていないし、甲6の組合せ秤において何をもって「ユニット」とするかについての記載も示唆もない。そうすると、「レベル検出器18」がユニット内なのか、ユニット外なのかも明らかではないので、「レベル検出器18」から制御装置21への信号が、本件発明1の「ユニット外から入力される」ものに相当するともいえない。
さらに、本件発明1の「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」に関し、この通信手段の通信元となるのは「入力装置」が有する「処理部」であり、その「入力装置」は「ユニットとは独立して構成され」たものである。しかし、既に述べたとおり、甲6には、本件発明1の「基台」に相当し得るものが明示されていないし、甲6の組合せ秤において何をもって「ユニット」とするかについての記載も示唆もない。そうすると、甲6の「操作設定表示器19」がユニットとは独立したものか、ユニットに組み込まれたものなのか明らかでないので、甲6の「操作設定表示器19」と「制御装置21」の間の通信手段が、本件発明1の「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」の「処理部」からの「通信手段」に相当するとはいえない。
よって、異議申立人の主張(ウ)は採用できないし、主張(エ)も採用できない。
[(オ)について]
異議申立人は「部品供給装置の構成である入力装置と駆動制御装置との間の通信手段と、該部品供給装置内の制御部と、サードベンダ又は他ユニット等の供給先設備との間の通信手段とは、通常、別々なものである」と主張するが、この主張は、「部品供給装置の構成である入力装置」と部品供給装置の駆動制御装置との通信手段について述べているに過ぎず、“部品供給装置とは独立して構成された入力装置”と部品供給装置の駆動制御装置との間の通信手段ついて述べたものでない。よって、異議申立人の上記主張から直ちに、本件発明1のようなユニットとは独立して構成された入力装置とユニット内の制御部との間の「通信手段」が、周知慣用技術ないし容易想到であるとはいえない。
さらに、上記の[(イ)及び(エ)について]及び[(ウ)及び(エ)について]において述べたとおり、甲4及び甲6も、本件発明1の「通信手段」を示すものでなく、甲4及び甲6から、本件発明1の「通信手段」が周知慣用技術ないし容易想到であるとはえいない。
よって、異議申立人の主張(オ)は採用できない。
[(カ)について]
本件発明1は、「振動機を、基台上にユニットとして組み付けた」ことを前提とし、「制御部」を有する「駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込」み、「駆動部制御装置に対して通信可能な入力装置」を「ユニットとは独立して構成」した部品供給装置である。そして、本件発明1はかかる発明特定事項によって、振動機の振動、周波数の再調整を行う入力装置をオペレータがアクセスし易い場所に設置し(本件特許明細の段落【0057】参照)、引き回しが必要な配線数を低減する(本件特許明細書【0022】参照)という効果を奏するものである。
このような効果を踏まえれば、「ユニット」に関する示唆もない状況で、甲6の図2や自社工場内において、新たに「ユニット」を観念し、その上で、制御装置をユニットの一部に一体的に組み込み、入力装置をユニットとは独立して設けることが、単なる設計的事項と同様であるとはいえない。
よって、異議申立人の主張(カ)は採用できない。
[(キ)について]
上記「第2」の3.(1)ウ.で述べたとおり、新規事項にはあたらない。
よって、異議申立人の主張(キ)は採用できない。
以上のとおり、異議申立人の上記主張は、いずれも採用できない。
(1-2)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て有し、さらに発明特定事項を付加して減縮したものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明並びに甲3、5及び7記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)甲2発明を主引例とした場合について
(2-1)本件発明1について
ア.対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「トラフ32」は、本件発明1の「搬送部」に相当する。甲2発明の「物品」は、本件発明1の「部品」との対比において、「被搬送物」という限りにおいて一致し、甲2発明の「物品を搬送するトラフ32」は、本件発明1の「部品を搬送する搬送部」との対比において、「被搬送物を搬送する搬送部」という限りにおいて一致する。甲2発明の「前記トラフ32を振動させる加振器30」ないし「加振器30」は、本件発明1の「この搬送部を振動させる振動式駆動部」ないし「振動式駆動部」に相当する。
そして、甲2発明の「振動フィーダ3」、「本体ベース12」、及び「組合せ計量計数装置」は、それぞれ本件発明1の「振動機」、「基台」及び「部品供給装置」に相当し、甲2発明の「複数の振動フィーダ3を、本体ベース12上に取り付けた組合せ計量計数装置」は、本件発明の「1又は2以上の振動機を、基台上に」「組み付けた部品供給装置」に相当する。また、「ユニット」とは「全体を構成する一つ一つの要素」(デジタル大辞泉)という意味であるところ、甲2発明において、「組合せ計量計数装置」全体を構成する上で、「複数の振動フィーダ3」から構成される部分を一つの要素、すなわち「ユニット」として捉えることができる。そうすると、「複数の振動フィーダ3」は、組合せ計量計数装置の本体ベース12に、それを構成する一つの「ユニット」として取り付けられるといえるから、甲2発明の「複数の振動フィーダ3を、本体ベース12上に取り付けた組合せ計量計数装置」は、本件発明1の「1又は2以上の振動機を、基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置」に相当する。
(イ)甲2発明において、「前記加振器30の電磁石36に対し駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pを与える」ことは、本件発明1発明における「前記振動式駆動部への電力を制御する」ことに相当し、甲2発明の「前記加振器30の電磁石36に対し駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力Pを与える制御信号生成手段42」ないし「制御信号生成手段42」は、本件発明1の「前記振動式駆動部への電力を制御する制御部」ないし「制御部」に相当する。
また、甲2発明における「個別制御器21」による「前記加振器30の前記電磁石36を制御」は、その「個別制御器21」が有する「制御信号生成手段42」が「駆動回路25を介して搬送量指示信号Wiを達成するのに必要な駆動電力P」を「電磁石36」に与えることで実現される。このとき、電磁石36に、電磁石搬送量指示信号Wiに基づく電流量idの交流駆動電流を給電する(甲2の段落【0028】参照)が、この電流量id の交流駆動電流を給電することが、本件発明1でいう「駆動信号を入力する」ことに相当する。そうすると、甲2発明の「前記加振器30の前記電磁石36を制御する個別制御器21」ないし「個別制御器21」は、本件発明1の「前記振動式駆動部に駆動信号を入力する駆動部制御装置」ないし「駆動部制御装置」に相当する。
(ウ)甲2発明の「前記個別制御器21に対して制御信号線22を介して通信可能に接続された中央コントローラ13」は、本件発明1の「前記駆動部制御装置に対して通信可能な入力装置」との対比において、「前記駆動部制御装置に対して通信可能な上位の制御装置」という限りにおいて一致する。
(エ)甲2発明において、個別制御装置21は「前記振動フィーダ3に設け」られる。そして、その個別制御装置21が設けられた振動フィーダ3は、上記(ア)でも言及したとおり、「複数の振動フィーダ3」から構成される部分を「ユニット」いうことができるから、個別制御装置21も「ユニット」に組み込まれているといえる。そうすると、甲2発明における「前記個別制御器21を前記振動フィーダ3に設け」るという構成は、本件発明1の「前記駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込む」という構成に相当する。
また、甲2発明における、加振器30の電磁石36と個別制御器21との「結線」は、技術常識にかんがみれば、振動フィーダ3内で結線されているといえ、それは、「複数の振動フィーダ3」から構成される部分、すなわち「ユニット」内での結線といえる。そうすると、甲2発明の「前記加振器30の電磁石36と前記個別制御器21とを結線」する点は、本件発明1の「前記振動式駆動部と前記駆動部制御装置の間を前記ユニット内で結線」する点に相当する。
(オ)甲2発明の「前記搬送量指示信号Wi」は、本件発明1の「該表示部に入力された設定情報」との対比において、「設定情報」という限りにおいて一致する。そして、甲2発明の「制御信号線22」は本件発明1の「通信手段」に相当し、「制御信号生成手段42」は、「本体ベース12」に取り付けた「複数の振動フィーダ3」の「個別制御器21」内にあるから、本件発明1の「ユニット内の制御部」に相当するといえる。そうすると、甲2発明の「前記搬送量指示信号Wiを前記制御信号線22を介して前記制御信号生成手段42へ送信する機能を果たす部分」ないし「送信する機能を果たす部分」は、本件発明1の「設定情報を通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」ないし「処理部」に相当する。
以上を総合すると、本件発明1と甲2発明とは以下の点で一致し、以下の点で相違する。
[一致点]
被搬送物を搬送する搬送部と、この搬送部を振動させる振動式駆動部とを具備する1又は2以上の振動機を、基台上にユニットとして組み付けた部品供給装置であって、
前記振動式駆動部への電力を制御する制御部を有し、前記振動式駆動部に駆動信号を入力する駆動部制御装置と、前記駆動部制御装置に対して通信可能な上位の制御装置と、を備えており、前記駆動部制御装置を、前記ユニットの一部に一体的に組み込むとともに、前記振動式駆動部と前記駆動部制御装置の間を前記ユニット内で結線し、
前記上位の制御装置は、設定情報を通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有し、前記表示部及び処理部は前記駆動部制御装置とは独立した単一の筐体内に収容されたことを特徴とする、部品供給装置。
[相違点3]
「被搬送物」に関し、本件発明1においては「被搬送物」が「部品」であるのに対して、甲2発明においては、「被搬送物」が「物品」とされており、これに「部品」が含まれるか否かが、明らかでない点。
[相違点4]
「上位の制御装置」に関し、本件発明1は、「上位の制御装置」が「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」であって、その「入力装置」が、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部と、該表示部に入力された設定情報を、前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部を有」するのに対して、甲2発明は、「上位の制御装置」が「中央コントーラ13」であり、「前記搬送量指示信号Wiを前記制御信号線22を介して前記制御信号生成手段42へ送信する機能を果たす部分を有する」ものである点。
[相違点5]
「上位の制御装置」に関し、本件発明1は、「入力装置」が、「表示部及び処理部は前記駆動部制御装置とは独立した単一の筐体内に収容され」ているのに対して、甲2発明は、「本体側コントローラ」が、そのように特定されていない点。
イ.判断
事案にかんがみ、まず、相違点4について検討する。
甲2発明の「中央コントローラ13」は、「複数のフィーダ3」とは「独立して構成された」たものか、明らかではない。また、甲2発明の「中央コントローラ13」は、オペレータ等による入力を受ける「入力装置」として構成されていなし、搬送量指示信号Wiの「設定入力を受けて表示する表示部」を有していない。すなわち、甲2発明は「上位の制御装置」を、本件発明1のような「ユニットとは独立して構成」された「入力装置」とし、その「入力装置」が「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」を有する点を開示していない。そして、制御信号生成手段42へ送信される搬送量指示信号Wiも本件発明1のような「表示部に入力された設定情報」とはいえない。
さらに、甲2発明においては、中央コントローラ13は、搬送量指示信号Wiを制御信号線22を介して駆動部制御装置の制御信号生成手段42に提供する送信する機能を果たす部分を有するが、この制御信号線22以外に制御信号生成手段42に対して複数のフィーダ3の“外から接続する”通信手段を備えていない。そうすると、甲2発明の中央コントローラ13の送信する機能を果たす部分と制御信号生成手段42との間の制御信号線22は、複数のフィーダ3を「ユニット」と考えると、制御信号生成手段42との「制御上の連携を図るべくユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」であるとはいえない。すなわち、甲2発明は、「上位の制御装置」を本件発明1のように「入力装置」とし、その「入力装置」が「設置情報」(すなわち、「当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力」による「設定情報」)を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有する点を開示していない。
この点に関し、甲5には、振動式部品供給機の制御装置に対して「通信回路6」を介して通信可能な「外部の制御装置類」を設け、この外部の制御装置類を、「モニタ装置」と振動式部品供給機の運転条件設定データを設定するための「入力部」とを有するものとする技術術的事項が記載されている。甲5記載の技術的事項の「振動式部品供給機」を「ユニット」と考えると、甲5記載の技術的事項の「外部の制御装置類」は、“ユニットとは独立して構成”されたものといえ、本件発明1の「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」に相当し、その「外部の制御装置類」の「モニタ装置」が本件発明1の「表示部」に相当する。そして、その「外部の制御装置類」は、「ユニット外」において振動式部品供給機の運転条件設定データに入力を受け付けるものといえる。
しかし、甲5記載の技術的事項は、「通信回路6」以外に、振動式部品供給機の制御装置に対して振動式部品供給機の“外から接続する”通信手段を備えていない。そうすると、甲5記載の技術的事項における「通信回路6」も、「振動式部品供給機」を「ユニット」と考えると、振動式部品供給機の制御装置と「制御上の連携を図るべくユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」であるとはいえない。
すなわち、甲5記載の「外部の制御装置類」は、本件発明1の「入力装置」のように「ユニットとは独立して構成」され、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部」「に関わる設定入力を受け付け」るものであり、「表示部」を有するものということはできるが、ユニット外で受け付けた「設置情報」を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有するものではない。
そして、甲2発明に甲5記載の技術的事項を適用したとしても、その適用により、甲2発明の「中央コントローラ13」を本件発明1のように「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」とし、「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」を有するものとすることに想到し得るかもしれないが、本件発明1の「入力装置」のように、そのユニット外において受け付けた「当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力」による「設定情報」を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有するものとすることには想到し得ない。
さらに、甲3及び甲7にも、本件発明1のユニット外において受け付けたユニット内の機器に係る設定情報を「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して前記ユニット内の制御部へ提供する処理部」を有する「入力装置」に相当する構成について、記載も示唆もない。
以上によれば、甲2発明並びに甲3、5及び7記載の技術的事項に基いて、上記相違点4に係る本件発明1の構成に想到することは、当業者が容易になし得たこととは認められない。
そうすると、相違点3及び5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明並びに甲3、5及び7に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとは認められない。
よって、本件発明1は、甲2発明並びに甲3、5及び7記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.異議申立人の意見について
異議申立人が令和6年3月12日に提出した意見書において、本件発明1の「前記ユニット外において当該ユニット内の振動式駆動部に供給される電力に関わる設定入力を受け付けて表示する表示部」及び「前記制御部との制御上の連携を図るべく前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段」に関して異議申立人がする主張については、上記(1-1)ウ.で検討したとおり、いずれも採用できない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明1に関し、次の異議申立理由を主張している。
1.本件発明1は、甲6に記載された発明に基いて新規性を有さない。
2.本件発明1は、甲1発明に、甲4、甲6、又は甲7に記載された技術的事項を組み合わせたものから、容易想到であり、進歩性を有さない。
3.本件発明1は、甲2発明に、甲4、甲6、又は甲7に記載された技術的事項を組み合わせたものから、容易想到であり、進歩性を有さない。
1.上記理由1について
上記「第4」3.(1)(1-1)の「ウ.異議申立人の意見について」で述べたとおり、甲6における「レベル検出器18」から制御装置21への信号は、開始/停止信号(本件特許明細書の段落【0055】参照)のようなものということはでないから、本件発明1の「運転指令」に相当するとはいえない。また、甲6には、「レベル検出器18」から制御装置21への信号が、「ユニット外から入力される」ものともいえない。さらに、甲6には、甲6の「操作設定表示器19」がユニットとは独立したものか、ユニットに組み込まれたものなのか明らかではないため、甲6の「操作設定表示器19」と「制御装置21」の間の通信手段が、本件発明1の「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」の「処理部」からの「通信手段」に相当するとはいえない
そうすると、甲6には、本件発明1の「前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して」、設定情報を「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」の「処理部」から「ユニット内の制御部へ提供する」ことついて記載ないし示唆がされているとは認められない。したがって、本件発明1と甲6記載の発明とは同一であるとはいえない。
よって、上記理由1は採用できない。
2.上記理由2について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記「第4」3.(1)(1-1)「ア.対比」であげた相違点1及び2で相違する。
上記「第4」3.(1)(1-1)の「ウ.異議申立人の意見について」で述べたとおり、甲4において示される各端子を有するコントローラは、パーツフィーダとは独立して取り付けられるものであるため、本件発明1でいうところの「ユニットの一部に一体的に組み込」まれた「駆動部制御装置」の「制御部」に相当するものとは認められない。したがって、甲4のP18の「(6)多段速機能」の項目で図示された入力装置からの線(「青」、「茶」と書かれた線)とP6の「(2)端子台部分」の項目における端子台レイアウトの図に示された「アナログ入力」と書かれた端子部分は、本件発明1の「ユニット内の制御部」、あるいは「ユニットの一部に一体的に組み込」まれた「駆動部制御装置」の「制御部」に対する「通信手段」に相当するものとはいえない。そうすると、仮に甲1に甲4に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項には想到し得ない。
また、既に述べたとおり、甲6には、本件発明1の「前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して」、設定情報を「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」の「処理部」から「ユニット内の制御部へ提供する」ことついて記載ないし示唆がされているとは認められない。そうすると、仮に甲1発明に甲6に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項には想到し得ない。
甲7についても、本件発明1の「前記ユニット外から入力される運転指令とは別に接続する通信手段を介して」、設定情報を「ユニットとは独立して構成され」た「入力装置」の「処理部」から「ユニット内の制御部へ提供する」ことついて記載ないし示唆がされているとは認められない。
よって、上記理由2は採用できない。
3.上記理由3について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、上記「第4」3.(2)(2-1)「ア.対比」であげた相違点3~5で相違する。相違点4に係る本件発明1の発明特定事項は、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項と同じである。
したがって、「2.上記理由2について」と同様に、甲2発明に、甲4、甲6、又は甲7に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項には想到し得ない。
よって、上記理由3は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700856