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特許異議申立

2023-700797

撥水コーティング組成物

審判番号
2023-700797
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-044423
登録番号
7217481
請求日
2023年08月02日
審決日
2024年12月12日
公報発行日
2025年05月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】サイデン化学株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
  • 【異議申立人】水野 圭助
審判長/審判官
  • 審判長 村守 宏文
  • 審判官 瀬下 浩一
  • 審判官 光本 美奈子
分類
P1651.113-YAA(C09D) / P1651.121-YAA(C09D) / P1651.537-YAA(C09D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7217481号発明「撥水コーティング組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7217481号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第7217481号の請求項1-7、9に係る特許を維持する。 特許第7217481号の請求項8についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許に係る出願は、令和4年3月18日の出願であって、令和5年1月26日に特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年2月3日に特許掲載公報が発行され、その後、同年8月2日に水野 圭助(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、当審は、同年11月7日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年12月21日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったことを、令和6年1月9日付けで申立人に通知し、申立人は、同年2月15日に意見書を提出し、当審は、同年3月26日付けで訂正拒絶理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年4月25日に意見書の提出を行い、当審は、同年6月25日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年8月21日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その内容を「本件訂正」という。)を行い、当審は、特許権者から訂正請求があったことを、同年8月28日付けで申立人に通知し、それに対して、申立人は何ら応答しなかったものである。 なお、本件訂正請求がされたことにより、令和5年12月21日にされた訂正の請求は取り下げたものとみなされる。 第2 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 本件訂正は、以下の訂正事項1~3からなる。下線は、訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子と、分散媒と、を含み、前記ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸、飽和若しくは不飽和脂肪族アルコール、飽和若しくは不飽和脂肪族アミン、飽和若しくは不飽和長鎖アミノ酸、又は、飽和若しくは不飽和脂肪酸アミドの少なくともいずれである、ことを特徴とする撥水コーティング組成物。」と記載されているのを、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子と、分散媒と、を含み、前記ワックス粒子は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である、ことを特徴とする撥水コーティング組成物。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~7,及び9も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9に「壁紙に用いる、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。」と記載されているのを、「壁紙に用いる、ことを特徴とする請求項lから7のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。」と訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る発明では、「ワックス」について「ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。」ことを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明におけるワックスの種類をより具体的に特定し、更に限定するものである。 訂正前の請求項1に係る発明では、「炭化水素化合物」の成分について「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸、飽和若しくは不飽和脂肪族アルコール、飽和若しくは不飽和脂肪族アミン、飽和若しくは不飽和長鎖アミノ酸、又は、飽和若しくは不飽和脂肪酸アミドの少なくともいずれである」ことを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における炭化水素化合物の成分を限定するものである。 すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 前記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、「ワックス」という発明特定事項をより具体的に特定するために概念的により下位の「パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)」を明示し、「炭化水素化合物」として択一的に記載されていた複数の選択肢の一部を削除して「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である」のみにするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであるといえる。 ウ 新規事項の有無 訂正事項1のうち「パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)」は、明細書の段落【0014】【0015】【0016】に基づいて導き出される構成である。段落【0014】には、「天然ワックスは、例えば、蜜蝋、カルナバワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等を含む。」との記載がなされている。段落【0015】には、「合成ワックスは、例えば、アマイドワックス、変性モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等を含む。」との記載がなされている。段落【0016】には、「ワックスは、着色性及び融点の高さの観点から、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスが用いられ得る。なお、ワックスは、上記のうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。」との記載がなされている。 また、訂正事項1のうち、「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である」は、「炭化水素化合物」として択一的に記載されていた複数の選択肢の一部を削除したことで、訂正前の請求項1の記載を減縮するものである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであるといえる。 エ 独立特許要件 本件においては、訂正前の請求項1~9について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1~9に係る訂正事項1に関し特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項8を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、請求項8を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。 ウ 新規事項の有無 訂正事項2は、請求項8を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものであるといえる。 エ 独立特許要件 本件においては、訂正前の請求項1~9について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項8に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項9が請求項1~8の記載を引用する記載であるところ、訂正事項2で請求項8が削除されて請求項8を引用できなくなったことに伴い、訂正前に引用していた請求項8を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるといえる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、引用する請求項の数を減少するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであるといえる。 ウ 新規事項の有無 訂正事項3は、引用する請求項の数を減少するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものであるといえる。 エ 独立特許要件 本件においては、訂正前の請求項1~9について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項9に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項lによって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 よって、本件訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項1~9についてされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 3 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~9に係る発明は、令和6年8月21日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7、9に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件特許発明1」等、まとめて「本件特許発明」ともいう。)である。 「【請求項1】 エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子と、分散媒と、を含み、 前記ワックス粒子は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、 前記炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である、 ことを特徴とする撥水コーティング組成物。 【請求項2】 前記共重合体粒子の平均粒子径は、25~1000nmであり、 前記ワックス粒子の平均粒子径は、380~5000nmである、 ことを特徴とする請求項1に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項3】 前記共重合体粒子100質量部に対して、前記ワックス粒子5~200質量部を含有する、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項4】 前記共重合体粒子の粒子径分布(D90/D10)は、1.01~5.00である、 ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項5】 前記共重合体粒子のガラス転移温度は、0~100℃である、 ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項6】 前記ワックス粒子の融点は、40~150℃である、 ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項7】 前記エチレン性不飽和単量体は、アクリル系単量体、スチレン系単量体、及びアミド系単量体の少なくともいずれかを含み、 前記共重合体粒子は、前記スチレン系単量体を30質量部以上含有しない、 ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。 【請求項8】(削除) 【請求項9】 壁紙に用いる、 ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の撥水コーティング組成物。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 令和5年11月7日付けで通知した取消理由の概要及び令和6年6月25日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、いずれも、次の理由1~3である。 理由1(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、本件特許の請求項1~9に係る発明に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 請求項1~9 本件特許発明1において、「ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)」と規定されており、本件特許明細書においてワックスの明確な定義はなく、本件特許明細書【0014】~【0015】において、「天然ワックスは、・・・等を含む。」「合成ワックスは・・・等を含む。」の記載からも明らかなように、本件発明における「ワックス」には、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックス以外のあらゆる広義のワックス(「常温で固体、加熱すると液体となる有機物」(甲第4号証:日本精蝋株式会社(当審注:「蝋」は旧字体を新字体で記載。)webページ(https://www.seiro.co.jp/wax/))が包含されると理解される。斯かる広義のワックスには、本件特許発明における「炭化水素化合物」が包含されることは明らかである(例えば、本件特許明細書の段落【0020】~【0021】において、炭化水素化合物として例示される脂肪酸や脂肪族アルコールは、植物ワックス及び動物ワックス等の天然ワックス(例えば、蜜蝋)において含まれる典型的なワックスである。)。そうすると、本件特許発明1において、「ワックス」と、「炭化水素化合物」とが明瞭に区別されておらず、「炭化水素化合物を含むワックス粒子」の意味するところや、「ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し」とされる含有量の意味するところが不明確であるし、特に、ワックスと炭化水素が同一物質であるワックス粒子は、「ワックス粒子」におけるその一部が「炭化水素化合物」であると解し、本件特許発明1における「炭化水素化合物を含むワックス粒子」に含まれるのか、あるいは、そのように解することなく、含まれないのか不明である。 したがって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~9は不明確である。 理由2(新規性)本件特許の請求項1~8に係る発明は、特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由3(進歩性)本件特許の請求項1~9に係る発明は、特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証~甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 記 甲第1号証:国際公開2020/158191号 甲第2号証:特開2018-104632号公報 甲第3号証:特表2019-534908号公報 甲第4号証:日本精蝋株式会社(当審注:「蝋」は旧字体を新字体で記載。)webページ(https://www.seiro.co.jp/wax/);出力日令和5年7月21日 第5 前記第4における理由1(明確性要件)についての当審の判断 本件訂正により、本件特許発明1のワックスは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるものに特定され、炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸に特定された。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスと直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸は、互いに異なるものであるから、本件特許発明1において、「ワックス」と、「炭化水素化合物」とが明瞭に区別されることとなり、その結果、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~7、9は明確である。 第6 前記第4における理由2(新規性)及び理由3(進歩性)についての当審の判断 1 甲号証について 前記第4の理由2及び理由3のものと同じ 2 甲号証の記載について (1)甲第1号証(以下、「甲1」という。) 1a「[請求項1] (1)シリコーン重合体、 (2)シリコーン重合体の存在下で重合されており、含フッ素重合体および非フッ素重合体からなる群から選択された少なくとも1種の撥水性重合体、 (3)水または水と有機溶媒の混合物である液状媒体、および (4)乳化剤 を含んでなり、シリコーン重合体の量が、シリコーン重合体と撥水性重合体の合計に対して、20重量%以上である柔軟剤組成物。」 1b「[0004] 従来の柔軟剤では、撥水剤と併用して繊維などの基材を撥水加工した際に撥水性能を低下させていた。さらに、柔軟剤エマルションと撥水剤エマルションは乳化系が異なるので、一般的な混合ではエマルションの安定性が低い。 本開示は、撥水加工時に、良好な撥水性および柔軟性を付与できる柔軟剤組成物を提供することを目的とする。 ・・・ [0014] 本開示によれば、柔軟剤組成物は、含フッ素重合体および非フッ素重合体に関係なく、撥水性を低下させずに良好な柔軟性を付与することができる。 柔軟剤組成物は、従来の大量の乳化剤を使用した柔軟剤エマルションのように撥水性が低下することなく、かつ良好な柔軟性を付与できる。良好な撥水性および撥油性を、良好な柔軟性とともに効率的に付与できる。柔軟剤組成物は、エマルションの安定性が高い。 ・・・ [0016] (1)シリコーン重合体 シリコーン重合体は、柔軟性を主として付与する成分である。一般に、シリコーン重合体は、シロキサン結合を有する直鎖状ポリマーである。 シリコーン重合体は、メルカプト基を有しないことが好ましい。一般に、シリコーン重合体は、撥水性重合体を構成する単量体と反応しない。 シリコーン重合体は、官能性基を有していなくてもよいが、少なくとも1つの官能性基を有することが好ましい。官能性基の例は、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリレート基および長鎖炭化水素基である。 ・・・」 1c「[0090] (4)乳化剤(界面活性剤) 一般に、柔軟剤組成物は水性分散液である。柔軟剤組成物は乳化剤(界面活性剤)を含有する。 柔軟剤組成物を製造する前にシリコーン重合体が水性分散液の形態である場合には、水性分散液は界面活性剤を含有することが好ましい。 柔軟剤組成物において、界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤を含む。さらに、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選択された1種以上の界面活性剤を含んでいてよい。界面活性剤は、ノニオン性界面活のみであってもよいし、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせであってもよい。 [0091] (4A)ノニオン性界面活性剤 ノニオン性界面活性剤の例としては、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドが挙げられる。 エーテルの例は、オキシアルキレン基(好ましくは、ポリオキシエチレン基)を有する化合物である。 [0092] エステルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルである。アルコールの例は、1~6価(特に2~5価)の炭素数1~50(特に炭素数10~30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。 エステルエーテルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルに、アルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)を付加した化合物である。アルコールの例は、1~6価(特に2~5価)の炭素数1~50(特に炭素数3~30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。 [0093] アルカノールアミドの例は、脂肪酸とアルカノールアミンから形成されている。アルカノールアミドは、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドであってよい。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。アルカノールアミンは、1~3のアミノ基および1~5ヒドロキシル基を有する炭素数2~50、特に5~30のアルカノールであってよい。 多価アルコールは、2~5価の炭素数10~30のアルコールであってよい。 アミンオキシドは、アミン(二級アミンまたは好ましくは三級アミン)の酸化物(例えば炭素数5~50)であってよい。 [0094] ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基(好ましくはポリオキシエチレン基)を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。オキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は、2~10であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子におけるオキシアルキレン基の数は、一般に、2~100であることが好ましい。 ノニオン性界面活性剤は、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドからなる群から選択されており、オキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。 [0095] ノニオン性界面活性剤は、直鎖状および/または分岐状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基のアルキレンオキシド付加物、直鎖状および/または分岐状脂肪酸(飽和および/または不飽和)のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)共重合体(ランダム共重合体またはブロック共重合体)、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加物等であってよい。これらの中で、ア ルキレンオキシド付加部分およびポリアルキレングリコール部分の構造がポリオキシエチレン(POE)またはポリオキシプロピレン(POP)またはPOE/POP共重合体(ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってよい)であるものが好ましい。 また、ノニオン性界面活性剤は、環境上の問題(生分解性、環境ホルモンなど)から芳香族基を含まない構造が好ましい。 [0096] ノニオン性界面活性剤は、式: R1O-(CH2CH2O)p-(R2O)q-R3 [式中、R1は炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基またはアシル基であり、 R2のそれぞれは、独立的に同一または異なって、炭素数3以上(例えば、3~10)のアルキレン基であり、 R3は水素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基であり、 pは2以上の数であり、 qは0または1以上の数である。] で示される化合物であってよい。 [0097] R1は、炭素数8~20、特に10~18であることが好ましい。R1の好ましい具体例としては、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基が挙げられる。 R2の例は、プロピレン基、ブチレン基である。 ノニオン性界面活性剤において、pは3以上の数(例えば、5~200)であってよい。qは、2以上の数(例えば5~200)であってよい。すなわち、-(R2O)q-がポリオキシアルキレン鎖を形成してもよい。 ノニオン性界面活性剤は、中央に親水性のポリオキシエチレン鎖と疎水性のオキシアルキレン鎖(特に、ポリオキシアルキレン鎖)を含有したポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテルであってよい。疎水性のオキシアルキレン鎖としては、オキシプロピレン鎖、オキシブチレン鎖、スチレン鎖等が挙げられるが、中でも、オキシプロピレン鎖が好ましい。 [0098] ノニオン性界面活性剤の具体例には、エチレンオキシドとヘキシルフェノール、イソオクタチルフェノール、ヘキサデカノール、オレイン酸、アルカン(C12-C16)チオール、ソルビタンモノ脂肪酸(C7-C19)またはアルキル(C12-C18)アミンなどとの縮合生成物が包含される。 [0099] ポリオキシエチレンブロックの割合がノニオン性界面活性剤(コポリマー)の分子量に対して5~80重量%、例えば30~75重量%、特に40~70重量%であることができる。 ノニオン性界面活性剤の平均分子量は、一般に300~5,000、例えば、500~3,000である。 ノニオン性界面活性剤は、1種単独であってよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。 [0100] (4B)カチオン性界面活性剤 カチオン性界面活性剤は、アミド基を有しない化合物であることが好ましい。 [0101] カチオン性界面活性剤は、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩であってよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチ ルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。 [0102] カチオン性界面活性剤の好ましい例は、 R21-N+(-R22)(-R23)(-R24) X- [式中、R21、R22、R23およびR24は炭素数1~40の炭化水素基、 Xはアニオン性基である。] の化合物である。 R21、R22、R23および-R24の具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ステアリル基、パルミチル基)である。Xの具体例は、ハロゲン(例えば、塩素原子)、酸(例えば、塩酸、酢酸)である。 カチオン性界面活性剤は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキルの炭素数4~40)であることが特に好ましい。 [0103] カチオン性界面活性剤は、アンモニウム塩であることが好ましい。カチオン性界面活性剤は、式: R1p - N+R2qX- [式中、R1はC12以上(例えばC12~C50)の直鎖状および/または分岐状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基、 R2はHまたはC1~4のアルキル基、ベンジル基、ポリオキシエチレン基(オキシエチレン基の数例えば1(特に2、特別には3)~50) (CH3、C2H5が特に好ましい)、 Xはハロゲン原子(例えば、塩素原子)、C1~C4の脂肪酸塩基、 pは1または2、qは2または3で、p+q=4である。] で示されるアンモニウム塩であってよい。R1の炭素数は、12~50、例えば12~30であってよい。 [0104] カチオン性界面活性剤の具体例には、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、(ドデシルメチルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロライド、メチルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]オレアミド塩酸塩が包含される。 [0105] 両性界面活性剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。 ・・・ [0107] (5)他の成分 表面処理剤は、シリコーン重合体、撥水性重合体、液状媒体および界面活性剤以外の他の成分として、添加剤を含有してもよい。 添加剤の例は、含ケイ素化合物、ワックス、アクリルエマルションなどである。添加剤の他の例は、乾燥速度調整剤,架橋剤,造膜助剤,相溶化剤,界面活性剤,凍結防止剤,粘度調整剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,pH調整剤,消泡剤,風合い調整剤,すべり性調整剤,帯電防止剤,親水化剤,抗菌剤,防腐剤,防虫剤,芳香剤,難燃剤等である。 [0108] 一般に、オイル状またはワックス状であることが好ましいシリコーン重合体(シリコーンオイルまたはシリコーンワックス)に、撥水性重合体を構成する単量体、界面活性剤および水、必要により有機溶媒を添加した後に、単量体を重合することによって柔軟剤組成物を製造できる。 ・・・ [0121] あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。柔軟剤組成物を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。 あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。柔軟剤組成物を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。 ・・・ [0123] 「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。」 1d「[0124] 以下、実施例を挙げて本開示を詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。 以下において、部または%または比は、特記しない限り、重量部または重量%または重量比を表す。 試験の手順は次のとおりである。 ・・・ [0133] 実施例4 500ml反応フラスコにステアリルアクリレート43.2g、純水240g、トリプロピレングリコール27.0g、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド4.0g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル 7.0g、酢酸0.23g、長鎖アルキルシリコーン(アルキル化シリコーンワックス、融点47℃、長鎖アルキル基(C22アルキル基)含量60%、分子量8000)72gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。反応フラスコ内を窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.24g、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.48g(以下、V-50と記す)及び水9gの溶液を添加し、60℃で5時間反応させ、重合体の水性分散液(柔軟剤4)を得た。重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。 ・・・ [0135] 参考例2 500ml反応フラスコにステアリルアクリレート115.2g、純水240g、トリプロピレングリコール27.0g、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド4.0g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル 7.0g、酢酸0.23g、を入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。反応フラスコ内を窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.24g、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.48g(以下、V-50と記す)及び水9gの溶液を添加し、60℃で5時間反応させ、重合体の水性分散液(撥水剤2)を得た。重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。 ・・・ [0139] 試験例4 水に、参考例2において製造した撥水剤2を添加し、次いで実施例4において製造した柔軟剤4を添加して、撥水剤有効成分濃度(撥水剤の重合体濃度)4%および柔軟剤有効成分濃度(柔軟剤の重合体とシリコーンの合計濃度)2%である処理液を得た。PET布、綿布、ナイロン布(500mm x 200mm)をこの処理液に連続的に浸し、マングルに通し、170℃で1分間、ピンテンターで処理した。その後撥水試験に付した。結果を表3に示す。 [0140] 試験例5 水に、参考例2において製造した撥水剤2を添加し、次いで実施例4において製造した柔軟剤4を添加して、撥水剤有効成分濃度(撥水剤の重合体濃度)2%および柔軟剤有効成分濃度(柔軟剤の重合体とシリコーンの合計濃度)2%である処理液を得た。PET布、綿布、ナイロン布(500mm x 200mm)をこの処理液に連続的に浸し、マングルに通し、170℃で1分間、ピンテンターで処理した。その後撥水試験に付した。結果を表3に示す。」 (2)甲第2号証(以下、「甲2」という。) 2a「【請求項1】 (A)非フッ素(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有する非フッ素重合体、 (B)融点52~88℃を有するワックス、 (C)水性媒体、および (D)乳化剤 を含んでなる水性分散液である撥水撥油剤であって、 非フッ素(メタ)アクリレートエステル単量体が式: CH2=CA11-C(=O)-O-A12 [式中、A11は、水素原子またはメチル基であり、 A12は、炭素数18~30の直鎖または分岐の炭化水素基である。] で示される化合物であり、 乳化剤がソルビタンエステルおよび他の乳化剤を含んでなり、乳化剤の親水性親油性バランス(HLB)が7.5~13.5である撥水撥油剤。」 2b「【0006】 本発明の1つの目的は繊維などの撥水撥油加工の加工安定性、例えばガムアップ性が改良された表面処理剤(撥水撥油剤、特に撥水剤)を提供することにある。 本発明の別の目的は、化学的安定性(夾雑物安定性)および機械的安定性に優れた表面処理剤を提供することである。 本発明の他の目的は、優れた撥水撥油性を有する表面処理剤を提供することである。」 2c「【0037】 (D)乳化剤 乳化剤は、ソルビタンエステルを含んでなる。乳化剤が、ソルビタンエステルと他の乳化剤との組み合わせである。他の乳化剤が、ポリオキシアルキレン基を有するポリエーテル化合物であることが特に好ましい。 撥水撥油剤におけるノニオン性乳化剤の親水性親油性バランス(特に、重合体の水性分散液とワックスの水性分散体における乳化剤の平均HLB)が7.5~13.5である。撥水撥油剤におけるノニオン性乳化剤のHLBの下限が7.8、例えば8.0であってよい。撥水撥油剤におけるノニオン性乳化剤のHLBの上限が13、例えば12.5、特に12であってよい。 【0038】 本発明において、非フッ素重合体およびワックスを水性媒体に分散させるために乳化剤を使用する。非フッ素重合体(または非フッ素重合体および乳化剤を含んでなる水性分散液)とワックスを混合するか、あるいは非フッ素重合体とワックス(またはワックスおよび乳化剤を含んでなる水性分散液)を混合してよい。しかし、非フッ素重合体および乳化剤を含んでなる非フッ素重合体の水性分散液、ならびにワックスおよび乳化剤を含んでなるワックスの水性分散液を別個に製造し、これらの水性分散液を混合することが好ましい。混合後に、必要により乳化剤および/または水性媒体を加えてもよい。 【0039】 一般に、非フッ素重合体を水性媒体に分散させるために重合体用乳化剤を使用する。重合体用乳化剤の存在下で、単量体を重合させることが好ましい。 一般に、ワックスを水性媒体に分散させるためにワックス用乳化剤を使用する。 本発明において、乳化剤(重合体用乳化剤およびワックス用乳化剤)は、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤の中から選択された少なくとも1種であってよい。乳化剤は、ノニオン性界面活性剤の単独、あるいはノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせであることが好ましい。ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせにおいて、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の重量比は、99.5:0.5~50:50、例えば99:1~90:10であってよい。 【0040】 重合体用乳化剤およびワックス用乳化剤は、ノニオン性界面活性剤単独、またはノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせであってよい。重合体用乳化剤およびワックス用乳化剤の一方または両方は、ノニオン性界面活性剤であるソルビタンエステルを含んでなる。ワックス用乳化剤および重合体用乳化剤はノニオン性界面活性剤であることが好ましい。ワックス用乳化剤および重合体用乳化剤のそれぞれは、ソルビタンエステルと他の乳化剤(特に、ポリオキシアルキレン基を有するポリエーテル化合物)との組み合わせであることが特に好ましい。重合体用乳化剤の親水性親油性バランスは、4~16、例えば6~15、特に8~14、特別に8.5~13であってよい。ワックス用乳化剤の親水性親油性バランスは、4~15、例えば6~14、特に7~13.5、特別に8~12.5であってよい。 非フッ素重合体の水性分散液とワックスの水性分散液を混合する工程の後に加えてもよい追加の乳化剤は、ノニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤であってよい。 【0041】 本明細書において、親水性親油性バランス(HLB)は、 グリフィン法により次式から求めた値か、 HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の分子量)] 文献1(界面活性剤ハンドブック,1998年5月1日 3版)に記載されている値か、 文献2(The HLB SYSTEM, 1989.7 ICI Americas Inc)に記載されている値である。 特定の界面活性剤について、グリフィン法によりHLBの数値を求める。グリフィン法により計算できない場合に、文献1(または文献2)に記載されている数値を採用する。HLBの数値が文献1に記載されていない場合には、文献2に記載されている数値を採用する。 二種類以上の乳化剤を含む混合系においては、混合系のHLBは、それぞれ単独乳化剤のHLBの加重平均で算出できる。 【0042】 (D1)ソルビタンエステル ソルビタンエステルは、ノニオン性界面活性剤である。 ソルビタンエステルは、カルボン酸(炭素数1~30、好ましくは7~19)とソルビタン(アルコール)とのエステルである。ソルビタンエステルにおけるカルボン酸のモル数は、1、2または3である。モノカルボン酸エステルが好ましい。 ソルビタンエステルのアルキレンオキシド付加物(エステル1モル当たり1モル以上、例えば2~100モルのアルキレンオキシドを付加)において、アルキレンオキシドは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドであることが好ましい。アルキレンオキシド付加物において、アルキレンオキシドの付加モル数は、1~50、特に1~30であってよい。 ソルビタンエステル、およびソルビタンエステルのアルキレンオキシド付加物をソルビタンエステル化合物と呼ぶ。 【0043】 ソルビタンエステル化合物は、式: [図:0001422383000001.jpg] 式(11) または [図:0001422383000002.jpg] 式(12) [式中、R1は炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基であり、 R4、R5、R6はH、R1CO-、-(CH2CH2O)p-(R2O)q-R3(R2は炭素数3以上のアルキレン基であり、R3は水素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基、pは2以上の数、qは0または1以上の数である)である。] で示される界面活性剤であってよい。 【0044】 式(11)または(12)で示されるノニオン性界面活性剤の具体例は、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびトリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどである。 【0045】 (D2)ノニオン性界面活性剤(ソルビタンエステル化合物以外の他のノニオン性界面活性剤) ノニオン性界面活性剤の例としては、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドが挙げられる。 【0046】 エーテルの例は、オキシアルキレン基(一般に、ポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基)を有する化合物である。 エステルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルである。アルコールの例は、1~6価(特に2~5価)の炭素数1~50(特に炭素数3~30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。 【0047】 エステルエーテルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルに、アルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)を(エステル1モル当たり1モル以上、例えば2~100モル)付加した化合物である。アルコールの例は、1~6価(特に2~5価)の炭素数1~50(特に炭素数3~30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。 【0048】 アルカノールアミドの例は、脂肪酸とアルカノールアミンから形成されている化合物である。アルカノールアミドは、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドであってよい。脂肪酸の例は、炭素数2~50、特に炭素数5~30の飽和または不飽和の脂肪酸である。アルカノールアミンは、1~3のアミノ基および1~5ヒドロキシル基を有する炭素数2~50、特に5~30のアルカノールであってよい。 【0049】 多価アルコールは、2~5価の炭素数3~30のアルコールを含む化合物(例えば、エステル)であってよい。 アミンオキシドは、アミン(二級アミンまたは好ましくは三級アミン)の酸化物(例えば炭素数5~50)であってよい。 【0050】 ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基(一般に、ポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基)を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。オキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は、2~10であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子におけるオキシアルキレン基の数は、一般に、2~100であることが好ましい。 ノニオン性界面活性剤は、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドからなる群から選択されており、オキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。 【0051】 ノニオン性界面活性剤は、式: R11O-(CH2CH2O)p-(R12O)q-R13 [式中、R11は炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基またはアシル基であり、 R12のそれぞれは、独立的に同一または異なって、炭素数3以上(例えば、3~10)のアルキレン基であり、 R13は水素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数2~22のアルケニル基であり、 pは2以上の数であり、 qは0または1以上の数である。] で示されるポリエーテル化合物(ポリオキシアルキレン基を有するポリエーテル化合物)であってよい。 【0052】 R11は、炭素数8~20、特に10~18であることが好ましい。R11の好ましい具体例としては、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基が挙げられる。 R12の例は、プロピレン基、ブチレン基である。 ポリエーテル化合物において、pは3以上の数(例えば、5~200)であってよい。qは、2以上の数(例えば5~200)であってよい。すなわち、-(R12O)q-がポリオキシアルキレン鎖を形成してもよい。 ポリエーテル化合物は、中央に親水性のポリオキシエチレン鎖と疎水性のオキシアルキレン鎖(特に、ポリオキシアルキレン鎖)を含有したポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテルであってよい。疎水性のオキシアルキレン鎖としては、オキシプロピレン鎖、オキシブチレン鎖、スチレン鎖などが挙げられるが、中でも、オキシプロピレン鎖が好ましい。 【0053】 好ましいノニオン性界面活性剤は、式: R11O-(CH2CH2O)p-H [式中、R11およびpは上記と同意義である。] で示されるポリオキシエチレン化合物である。 【0054】 ノニオン性界面活性剤の具体例は、 C10H21O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C12H25O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C16H31O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C16H33O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C18H35O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C18H37O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C12H25O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-C12H25 C16H31O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-C16H31 C16H33O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-C12H25 iso-C13H27O-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C10H21COO-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-H C16H33COO-(CH2CH2O)p-(C3H6O)q-C12H25 [式中、pおよびqは上記と同意義である。] などである。 【0055】 ノニオン性界面活性剤の具体例には、エチレンオキシドとヘキシルフェノール、イソオクタチルフェノール、ヘキサデカノール、オレイン酸、アルカン(C12-C16)チオール、ソルビタンエステル(ソルビタンモノ脂肪酸(C7-C19))またはアルキル(C12-C18)アミンなどとの縮合生成物が包含される。 【0056】 ノニオン性界面活性剤は、アルコール(好ましくは炭素数3~30)と脂肪酸(好ましくは炭素数5~30)のエステル、または該エステルのアルキレンオキシド付加物であってもよい。 【0057】 ノニオン性界面活性剤は1種単独でも2種以上を併用することもできる。 ノニオン性界面活性剤は2種以上の組み合わせであることが好ましい。2種の組み合わせ(第1ノニオン性界面活性剤および第2ノニオン性界面活性剤)において、第1ノニオン性界面活性剤および第2ノニオン性界面活性剤はポリエーテル化合物、例えば、上記のR11O-(CH2CH2O)p-(R12O)q-R13[特に、R11O-(CH2CH2O)p-H]で示されるポリエーテル化合物であることが好ましい。第1ノニオン性界面活性剤と第2ノニオン性界面活性剤の重量比は、10:90~90:10、例えば 20:80~80:20、特に、 25:75~75:25であってよい。第1ノニオン性界面活性剤および第2ノニオン性界面活性剤のそれぞれは、1種のみまたは2種以上の組み合わせであってよい。 【0058】 (D3)カチオン性界面活性剤 カチオン性界面活性剤は、アミド基を有しない化合物であることが好ましい。 【0059】 カチオン性界面活性剤の例として、アミン、アミン塩、4級アンモニウム塩、イミダゾリンおよびイミダゾリニウム塩が挙げられる。 カチオン性界面活性剤は、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩であることが好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。 【0060】 カチオン性界面活性剤の例は、 R21-N+(-R22)(-R23)(-R24) X- [式中、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立的に同一または異なって、水素原子または炭素数1~50の炭化水素基、 Xはアニオン性基である。] の化合物である。炭化水素基は、酸素原子を有していてもよく、例えば、ポリオキシアルキレン基などのオキシアルキレン(アルキレンの炭素数は例えば2~5である。)であってよい。R21、R22、R23およびR24は炭素数1~30の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素または芳香脂肪族炭化水素)であることが好ましい。 【0061】 R21、R22、R23およびR24の具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ステアリル基、パルミチル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基))である。 Xの具体例は、ハロゲン(例えば、塩素)、酸(例えば、塩酸などの無機酸、酢酸などの有機酸(特に、脂肪酸))である。 ノニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤のそれぞれが1種または2以上の組み合わせであってよい。 ・・・ 【0078】 あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。撥水撥油性重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。 あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。撥水撥油性重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。 【0079】 「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。 2d「【0080】 以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 以下において、部または%または比は、特記しない限り、重量部または重量%または重量比を表す。 試験の手順は次のとおりである。 【0081】 スプレー撥水性試験 処理剤分散液を固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸してからマングルに通し、160℃で2分間、熱処理した試験布で撥水性を評価した。JIS-L-1092(AATCC-22)のスプレー法に準じて処理布の撥水性を評価した。下記に記載する表1に示されるように撥水性No.によって表す。点数が大きいほど撥水性が良好なことを示し、状態によっては中間値(95、85、75)をつける。 ・・・ 【0087】 製造例A1 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 13.2)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0088】 製造例A2 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO2) (HLB 6.4)=7.5g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 12.7)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0089】 製造例A3 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=12.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=7.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 11.1)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した 【0090】 製造例A4 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=4g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=12g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 13.6)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した 【0091】 製造例A5 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 8.6)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した 【0092】 製造例A6 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノパルミテート(HLB 6.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド=1g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 10.0)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0093】 製造例A7 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 8.2)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0094】 製造例A8 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノラウレート(HLB 8.6)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 11.3)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0095】 製造例A9 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 8.6)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0096】 製造例A10 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=190g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=10g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=7g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 10.1)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0097】 製造例A11 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=6g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=13g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 13.7)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0098】 製造例A12 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=19g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 16.5)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0099】 製造例A13 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=3g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=16g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 15.0)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0100】 製造例A14 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 6.5)=14g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=3g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、60℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液(平均HLB 6.8)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した。 【0101】 製造例A15 1Lオートクレーブにステアリルアクリレートの代わりにラウリルアクリレート=150gを用いた以外は、製造例A5と同様の方法にて重合体の水性分散体(平均HLB 8.6)を得た。更に純水で固形分濃度を30%に調整した。生成重合体の単量体組成は、単量体仕込み組成にほぼ一致した 【0102】 製造例A16 1Lオートクレーブにステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=17g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させたが、安定な乳化分散体が得られなかった。 【0103】 製造例B1 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 66℃,針入度 12(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて密封し、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化し、ワックスの水性分散体(平均HLB 8.1)を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0104】 製造例B2 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 68℃,針入度 5(25℃))=150gを使用した以外は、製造例B1と同様の方法にてワックスの水性分散体を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0105】 製造例B3 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150gを使用した以外は、製造例B1と同様の方法にてワックスの水性分散体を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0106】 製造例B4 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 82℃,針入度 5(25℃))=150gを使用した以外は、製造例B1と同様の方法にてワックスの水性分散体を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0107】 製造例B5 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO10) (HLB 12.7)=12g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=3gを入れて密封し、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化し、ワックスの水性分散体(平均HLB 10.9)を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0108】 製造例B6 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO15) (HLB 14.2)=13.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=1.5gを入れて密封し、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化し、ワックスの水性分散体(平均HLB 13.3)を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0109】 製造例B7 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 50℃,針入度 22(25℃))=150gを使用した以外は、製造例B1と同様の方法にてワックスの水性分散体を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0110】 製造例B8 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 90℃,針入度 4(25℃))=150gを使用した以外は、製造例B1と同様の方法にてワックスの水性分散体を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0111】 製造例B9 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポ リオキシエチレンオレイルエーテル(EO20) (HLB 15.3)=13.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=1.5gを入れて密封し、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化し、ワックスの水性分散体(平均HLB 14.3)を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0112】 製造例B10 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO10) (HLB 12.7)=15g、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化し、ワックスの水性分散体(平均HLB 12.7)を得た。更に純水で固形分を30%に調整した。 【0113】 製造例B11 高圧反応容器にパラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=15g、攪拌下に110-120℃に昇温後、高圧下で30分間高圧乳化したが、均一な水性分散体が得られなかった。 【0114】 実施例1~12および比較例1~9 製造例で得られた重合体の水性分散液とワックスの水性分散液を混合して、処理剤水性分散液(撥水撥油剤)を製造し、試験を行った。試験の結果を表2に示す。表2における「平均HLB」は、処理剤水性分散液における乳化剤(すなわち、重合体の水性分散液とワックスの水性分散体における乳化剤)の加重平均HLBである。 【0115】 【表2】 [図:0001422383000003.jpg] 」 (3)甲第3号証(以下、「甲3」という。) 3a「【請求項1】 (A)以下のモノマー a)炭素原子数16乃至18のアルコールの少なくとも1種のフッ素原子を含まない(メタ)アクリル酸エステル b)炭素原子数18乃至22のアルコールの少なくとも1種のフッ素原子を含まない(メタ)アクリル酸エステル c)塩化ビニル及び塩化ビニリデンの群から選択される少なくとも1種のモノマー、及び、任意の d)2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び3-クロロ-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの群から選択される少なくとも1種のモノマー の重合により得られる少なくとも1種のコポリマー、 (B)55℃乃至75℃の融解範囲を有するパラフィンワックス及び25℃乃至55℃の融解範囲を有するシリコンワックスの群から選択される少なくとも1種の成分、 (C)少なくとも1種の界面活性剤、及び (D)水 を含む、フッ素含有化学物質を含まない水性分散液であって、 コポリマー(A)のモノマーa)とb)とは異なるものであり、そして 該コポリマー(A)は、スチレン又はα-メチルスチレンの何れの重合ユニットも含まない、水性分散液。 【請求項2】 前記水性分散液における成分(A)及び成分(B)の総質量に基づいて、 20乃至60質量%の成分(A)、及び 40乃至80質量%の、成分(B)としての55℃乃至75℃の融解範囲を有するパラフィンワックス を含む請求項1記載の水性分散液。 ・・・ 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか1項に記載の水性分散液を、織物布地に適用(塗布)することを含む、織物布地の処理方法。」 3b「【0006】 本発明の目的は、長期間の貯蔵後も高い安定性を有し、如何なるフッ素含有化学物質又はスチレンを含まず、ポリエステル含有布地を含む全ての織物布地に優れた撥水性を与える組成物を提供することである。本発明はまた、前記布地において優れた撥水性を得るための方法も提供する。」 3c「【0023】 少なくとも1種の成分(B)としてパラフィンワックスが使用される場合、本発明に従う水性分散液は、適切には、例えば、 水性分散液中の成分(A)及び成分(B)の総質量に基づいて、 20乃至60質量%、好ましくは、30乃至50質量%、特には、35乃至45質量%の成分(A)、及び 40乃至80質量%、好ましくは、50乃至70質量%、特には、55乃至65質量%の 、成分(B)としての55℃乃至75℃の融解範囲を有するパラフィンワックスを含むが、成分(A)及び(B)の合計は、100質量%である。 ・・・ 【0025】 少なくとも1種の界面活性剤(C)は、分散液の安定性を確実にするための分散剤又は分散剤の混合物である。有用な分散剤は、ノニオン性エトキシル化化合物、例えばエトキシル化アルコール又はエトキシル化カルボン酸、四級アンモニウム塩のようなカチオン性界面活性剤、又は脂肪族アミンのような既知の市販で入手可能な界面活性化合物を含む。適切には、脂肪アミンは適切な酸、例えば酢酸のような有機酸と組み合わせて適用される。 【0026】 好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤(C)は、脂肪アミン、又は脂肪アルコールエトキシレート、又は脂肪アミンと脂肪アルコールエトキシレートの界面活性剤混合物である。適切な脂肪アミンは、例えば、ラウリルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、ジメチルココナッツアミン、オクタデシルジメチルアミン、ドコシルジメチルアミン、特に、オクタデシルジメチルアミンのような炭素原子数12乃至22のアルキルジメチルアミンである。適切な脂肪アミンは市販で入手可能である。適切な脂肪アルコールエトキシレートは、分枝状又は非分枝状である。適切な分岐状の第二級アルコールエトキシレートは、例えば、DowのTergitol TMN-10のような、ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルである。」 3d「【0032】 織物布地の処理は、以下の一般に慣用の方法、例えば、パディング、その後の乾燥及び適切な場合には、例えば、90乃至190℃、好ましくは100乃至180℃の温度での硬化により行われ得る。特定の態様において、低温硬化は100℃で行われる。別の態様において、硬化は150℃で行われる。本発明に従う水性分散液で処理される織物布地は、例えば、綿、ポリエステル又は綿-ポリエステル混紡である。通常、そのような布地は織布、編物又は不織布である。 【0033】 本発明に従う分散液は、天然及び合成の織物布地に撥水性を付与するために特に有用である。驚くべきことに、所望の撥水効果レベルは、ポリエステル布地又は綿とポリエステルの混合布地のような合成織物布地においてさえも達成される。効果レベルは、本発明の水性分散液との組み合わせにおいて、撥油及び撥水製品のための増量剤、例えば、PHOBOL(登録商標)XAN extender(Huntsman Corp)を使用することにより増強し得る。本発明に従う水性分散液で処理された織物布地は、特に上着に適している。 【実施例】 【0034】 以下の実施例は本発明を説明するのに役立つ。特段の指示がない限り、温度は摂氏度であり、部は質量部であり、そして、パーセントは質量パーセントに関する。質量部は、リットルに対するキログラムの比率において体積部に関連する。 【0035】 化学物質: ・オクタデシルジメチルアミン(CAS:124-28-7) ・Tergitol TMN-10:>87% ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル(CAS:60828-78-6) ・ジプロピレングリコール(CAS:25265-71-8) ・酢酸(CAS:64-19-7) ・Paraffin2222又はSasolwax 7040 約70℃で融解(CAS:8002-74-2; 64742-51-4) ・Silwax D222、34乃至42℃の融解範囲(CAS:73891-93-7) ・ベヘニルメタクリレート 1822(BEMA 1822)(CAS:90551-86-3) ・ステアリルメタクリレート(MA 16-18)(CAS:90551-83-0) ・2-ヒドロキシエチルメタクリレート(CAS:868-77-9) ・塩化ビニリデン(CAS:75-35-4) ・Wako V 50:2,2´-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(CAS:2997-92-4) ・撥油及び撥水製品のためのPHOBOL(登録商標)XAN extender 【0036】 実施例1 a)容器に2.2部のオクタデシルジメチルアミン、1.1部のTergitol TMN-10、6.6部のジプロピレングリコール及び2.0部の酢酸(60%)を充填する。この混合物に、15.0部のベヘニルメタクリレート、15.0部のステアリルメタクリレート及び0.7部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート、そして、最後に110部の温水を添加する。混合物を約1分間、Turraxを用いて撹拌し、続いて250barの圧力及び50乃至60℃の温度で高圧分散させて安定なエマルジョンを得る。得られたエマルジョンを約20℃の温度に冷却する。4.6部の水中の0.4部のWako V 50及び12.0部の塩化ビニリデンを添加した後、重合を窒素雰囲気中65℃で約8時間行う。152部の水性コポリマー分散液が得られる(120℃で90分間乾燥した後、40.6部の生成物)。 【0037】 b)容器中で、60.0部のParaffin 2222又はSasolwax 7040を約90℃の温度で融解する。得られたパラフィンワックスのホットメルトに10.0部のジプロピレングリコールを添加する。別の容器に攪拌しながら3.4部のオクタデシルジメチルアミン、1.6部のTergitol TMN-10及び4.0部の酢酸(60%)、そして、最後に200部の温水を充填する。得られた混合物を撹拌しながら融解したワックスに添加する。続いて、結果として生じた混合物を約1分間Turraxを用いて撹拌し、続いて250barの圧力及び85乃至90℃の温度で高圧分散させて、265部の安定な分散液を得る。 【0038】 本発明に従う水性分散液は、工程a)により得られた56.3部の分散液と、工程b)により得られた155.8部の分散液とを混合することにより得られる。 ・・・ 【0040】 以下の実施例は、実施例1及び実施例2に従って調製された分散液を用いた異なる織物布地の処理を記載する。 【0041】 適用例(仕上げ): ポリエステル:られた100%ポリエステルの織布は、1g/Lの60%酢酸、5g/Lの湿潤剤(INVADINE(登録商標)PBN)及び40g/L(80g/L)の、実施例1の分散液又は実施例2の分散液の何れかを含むリカーでパディングされる(リカーピックアップ(liquor pick-up)59%)。 綿-ポリエステル混紡:織布を1g/Lの60%酢酸、5g/Lの湿潤剤(INVADINE(登録商標)PBN)及び40g/L(80g/L)の、実施例1の分散液又は実施例2の分散液の何れかを含有するリカーで、パッド-マングル(pad-mangle)中で処理する(リカーピックアップ(liquor pick-up)51%)。 綿:綿の織布(100%)を1g/Lの60%酢酸、5g/Lの湿潤剤(INVADINE(登録商標)PBN)及び40g/L(80g/L)の、実施例1の分散液又は実施例 2の分散液の何れかを含有するリカーで、パッド-マングル(pad-mangle)中で処理する(リカーピックアップ(liquor pick-up)69%)。 上記の適用例は、上記の成分に加えて、5g/L(10g/L)のPHOBOL(登録商標)XAN extenderを含有する水性処理組成物を使用することにより繰り返される。 パディング後、布地(綿、ポリエステル及び木綿-ポリエステル混紡)を110℃で10分間乾燥させ、次いで150℃で5分間硬化させる。」 3 甲号証に記載された発明 (1)甲1に記載された発明 甲1には、試験例4及び5として、水に、参考例2において製造した撥水剤2を添加し、次いで実施例4において製造した柔軟剤4を添加して、処理液を得て、PET布、綿布、ナイロン布をこの処理液に連続的に浸し、撥水試験に付したことが、記載されているから(摘記1d参照)、柔軟剤4として「ステアリルアクリレート43.2g、純水240g、トリプロピレングリコール27.0g、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド4.0g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル 7.0g、酢酸0.23g、長鎖アルキルシリコーン(アルキル化シリコーンワックス、融点47℃、長鎖アルキル基(C22アルキル基)含量60%、分子量8000)72gを入れ、攪拌下に、超音波で乳化分散させ、窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.24g、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩0.48g及び水9gの溶液を添加し、60℃で5時間反応させ得た、重合体の水性分散液(撥水剤2)とともに添加され、処理液として、布をこの処理液に連続的に浸し、その後撥水試験に付す、重合体の水性分散液(柔軟剤4)」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる(摘記1d参照)。 (2)甲2に記載された発明 甲2には、【表2】のとおり、製造例で得られた重合体の水性分散液とワックスの水性分散液を混合して、処理剤水性分散液(撥水撥油剤)を製造し、試験を行ったことが、記載されているから(摘記2d参照)、以下の発明が記載されているといえる。 ア 甲2発明1 甲2には実施例1として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A1の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 66℃,針入度 12(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B1のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 イ 甲2発明2 甲2には実施例2として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO2) (HLB 6.4)=7.5g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A2の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 68℃,針入度 5(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B2のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ウ 甲2発明3 甲2には実施例3として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た、製造例A1の重合体の水性分散液を50重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を50重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 エ 甲2発明4 甲2には実施例4として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A1の重合体の水性分散液を50重量部と、パラフィンワックス(融点 82℃,針入度 5(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B4のワックスの水性分散体を50重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 オ 甲2発明5 甲2には実施例5として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=12.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=7.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A3の重合体の水性分散液を50重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を50重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 カ 甲2発明6 甲2には実施例6として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=4g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=12g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A4の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 キ 甲2発明7 甲2には実施例7として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A5の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ク 甲2発明8 甲2には実施例8として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノパルミテート(HLB 6.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド=1g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A6の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO10) (HLB 12.7)=12g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=3gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B5のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ケ 甲2発明9 甲2には実施例9として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A7の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 コ 甲2発明10 甲2には実施例10として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノラウレート(HLB 8.6)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A8の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 サ 甲2発明11 甲2には実施例11として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=12g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A9の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO15) (HLB 14.2)=13.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=1.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B6のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 シ 甲2発明12 甲2には実施例12として「ステアリルアクリレート=190g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=10g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO50) (HLB 17.8)=7g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A10の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ス 甲2発明13 甲2には比較例3として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=19g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A12の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 セ 甲2発明14 甲2には比較例4として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=3g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=16g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A13の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ソ 甲2発明15 甲2には比較例5として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A1の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 50℃,針入度 22(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B7のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 タ 甲2発明16 甲2には比較例6として「ステアリルアクリレート=150g、ジアセトンアクリルアミド=4g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ソルビタンモノステアレート(HLB 6.5)=14g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO20) (HLB 16.5)=3g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A14の重合体の水性分散液を70重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B3のワックスの水性分散体を30重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 チ 甲2発明17 甲2には比較例7として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A1の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 90℃,針入度 4(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO7) (HLB 10.7)=8.5g、ソルビタンモノステアレート(HLB 4.7)=6.5gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B8のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 ツ 甲2発明18 甲2には比較例8として「ステアリルアクリレート=150g、純水=360g、トリプロピレングリコール=60g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO3) (HLB 8.0)=7.5g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(EO20) (HLB 16.3)=12.5g、ラウリルメルカプタン=1.0gを入れ、乳化分散させ、窒素置換後、塩化ビニル50gを圧入で仕込み、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩=2.0gを添加し、反応させ、更に純水で固形分濃度を30%に調整して得た製造例A1の重合体の水性分散液を80重量部と、パラフィンワックス(融点 75℃,針入度 6(25℃))=150g、純水=350g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO10) (HLB 12.7)=15gを入れて、乳化し、更に純水で固形分を30%に調整して得た製造例B10のワックスの水性分散体を20重量部混合して製造し、固形分濃度が1.5重量%になるよう水道水により希釈した試験溶液を調製し、綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)。」の発明が記載されているといえる(摘記2d参照)。 (3)甲3に記載された発明 甲3には、適用例(仕上げ)において、織布は、1g/Lの60%酢酸、5g/Lの湿潤剤(INVADINE(登録商標)PBN)及び40g/L(80g/L)の、実施例1の分散液を含むリカーでパディングされることが、記載されて、パディング処理により布地に撥水性を付与するために有用であることが記載されているから(摘記3d参照)、実施例1として「2.2質量部のオクタデシルジメチルアミン、1.1質量部のTergitol TMN-10、6.6質量部のジプロピレングリコール及び2.0質量部の酢酸(60%)の混合物に、15.0部のベヘニルメタクリレート、15.0質量部のステアリルメタクリレート及び0.7質量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート、そして、最後に110質量部の温水を添加した混合物から得られたエマルジョンに、4.6質量部の水中の0.4質量部のWako V 50及び12.0部の塩化ビニリデンを添加した後、重合を行い得られた152質量部の水性コポリマー分散液を56.3質量部と、60.0質量部のParaffin 2222のパラフィンワックスのホットメルトに10.0質量部のジプロピレングリコールを添加した融解したワックスに、3.4質量部のオクタデシルジメチルアミン、1.6質量部のTergitol TMN-10及び4.0部の酢酸(60%)、そして、最後に200質量部の温水を充填し、得られた混合物を添加し、結果として生じた混合物を分散させて得られた265質量部の安定な分散液を155.8質量部とを混合することにより得られ、酢酸及び湿潤剤(INVADINE(登録商標)PBN)とともにリカーとして、織布をパディングして、織布に撥水性を付与する水性分散液。」の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる(摘記3d参照)。 4 対比・判断 (1)甲1発明を主たる引用発明とする場合 ア 本件特許発明1 (ア)甲1発明1との対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「ステアリルアクリレート」は本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体」である。また、甲1発明の「重合体」は、甲1発明の「ステアリルアクリレート」を単量体として重合したものであり、本件特許明細書【0035】によれば、本件特許発明1の「共重合体は1種類のエチレン性不飽和単量体からなる単独重合体も包含し、かつ、甲1発明の「水性分散液」の固形物であり、「分散」とは粒子が液体等に浮遊あるいは懸濁している状態を意味するから、甲1発明の「重合体」は本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」に相当する。 甲1発明の「純水」及び「トリプロピレングリコール」は、いずれも、本件特許発明1の「分散媒」に相当する。 甲1発明の「処理液として、布をこの処理液に連続的に浸し、その後撥水試験に付す」及び「水性分散液(柔軟剤4)」は本件特許発明1の「撥水コーティング組成物」と「撥水」及び「組成物」の限りにおいて一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明は、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、ワックス粒子と、分散媒と、を含む、 ことを特徴とする撥水組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-1> ワックス粒子が、本件特許発明1では、炭素数8~60の直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である炭化水素化合物を含み、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有するものであるのに対し、甲1発明は、長鎖アルキルシリコーン(アルキル化シリコーンワックス、融点47℃、長鎖アルキル基(C22アルキル基)含量60%、分子量8000)である点。 <相違点1-2> 撥水組成物が、本件特許発明1は撥水コーティング組成物であるのに対し、甲1発明は撥水コーティング組成物であることが特定されていない点。 (イ)相違点についての検討 <相違点1-1>について 甲1には柔軟剤組成物の添加剤としてワックスが記載されている(摘記1d参照)。 甲1は、「撥水加工時に、良好な撥水性および柔軟性を付与できる柔軟剤組成物を提供すること」を目的(課題)とするところ(摘記1b、【0004】)、甲1には、「シリコーン重合体は、柔軟性を主として付与する成分である。」との記載がある(摘記1b、【0016】)。 また、甲1の請求項1~13のいずれにおいても、「シリコーン重合体」が含有成分として規定されている。 そうすると、甲1は、上記課題を解決するための手段として「シリコーン重合体」を配合することを開示していると理解できるし、また、パラフィンワックス等は繊維仕上げ剤等として汎用されるものの、柔軟性を付与するために用いることは本願出願日当時の技術常識ともいえないところ、そうであれば、甲1発明の柔軟剤組成物において、シリコーン重合体である長鎖アルキルシリコーン(アルキル化シリコーンワックス、融点47℃、長鎖アルキル基(C22アルキル基)含量60%、分子量8000)に代えて、ワックスとしてパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスを採用して、特定の炭化水素を含むワックス粒子とすることなど動機づけられず、むしろ阻害要因が存在するといえる。 そして、他の証拠をみても、甲1発明の柔軟剤組成物からシリコーン重合体である長鎖アルキルシリコーン(アルキル化シリコーンワックス、融点47℃、長鎖アルキル基(C22アルキル基)含量60%、分子量8000)に代えて、ワックスとしてパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、又はポリエチレンワックスを採用する動機づけとなる記載はない。 また、仮にワックスとしてパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、又はポリエチレンワックスを採用できるとしても、甲1には柔軟剤組成物が含有する界面活性剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸は挙げられていないから(摘記1c参照)、甲1発明の柔軟剤組成物において界面活性剤としてステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドやポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルに代えて、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸を採用する動機付けがあるとはいえない。 そして、他の証拠をみても、甲1発明の柔軟剤組成物において界面活性剤としてステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドやポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルに代えて、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸を採用する動機付けとなる記載はない。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明1は、<相違点1-2>について検討するまでもなく、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 イ 本件特許発明2~7、9 本件特許発明2~7、9は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲1発明との<相違点1-1>と同じ相違点を有するものであり、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 (2)甲2発明1~18を主たる引用発明とする場合 ア 本件特許発明1 (ア)甲2発明1~18との対比 本件特許発明1と甲2発明1~18を対比する。 甲2発明1~18の「ステアリルアクリレート」、「塩化ビニル」及び「ジアセトンアクリルアミド」は、本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体」に相当し、甲2発明1~18の「製造例A1~A14の重合体」は、「ステアリルアクリレート」、「塩化ビニル」又は「ジアセトンアクリルアミド」を反応させたものであり、かつ、甲2発明の「重合体の水性分散液」の固形物であるから、甲2発明1~18の「製造例A1~A14の重合体」は本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」に相当する。 甲2発明1~18の「トリプロピレングリコール」は本件特許発明1の「分散媒」に相当する。 甲2発明1~18の「パラフィンワックス」は、乳化して「水性分散体」を形成しており、「分散」とはワックス粒子が液体等に浮遊あるいは懸濁している状態を意味するから、本件特許発明1の「ワックス粒子」に相当する。 甲2発明1~18の「綿ツイル布をこの試験溶液に浸して、撥水性を評価した処理剤水性分散液(撥水撥油剤)」は本件特許発明1の「撥水コーティング組成物」と「撥水」及び「組成物」の限りにおいて一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲2発明1~18は、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、ワックス粒子と、分散媒と、を含む、 ことを特徴とする撥水組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-1> ワックス粒子が、本件特許発明1では、炭素数8~60の直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である炭化水素化合物を含み、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有するのに対し、甲2発明1~18では、炭素数8~60の直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である炭化水素化合物を含むと特定されていない点。 <相違点2-2> 撥水組成物が、本件特許発明1は撥水コーティング組成物であるのに対し、甲2発明1~18は撥水コーティング組成物であることが特定されていない点。 (イ)相違点についての検討 <相違点2-1>について 甲2発明1~18は、パラフィンワックスを乳化して得たワックスの水性分散体を混合したものである。 そして、甲2には処理剤水性分散液(撥水撥油剤)が含有する乳化剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸は挙げられていないから(摘記2c参照)、甲2発明1~18の処理剤水性分散液(撥水撥油剤)において乳化剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸を採用する動機付けがあるとはいえず、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子を含み、前記ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物が、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸であるものとする動機付けがあるとはいえない。 また、他の証拠をみても、甲2発明1~18の処理剤水性分散液(撥水撥油剤)において乳化剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸を採用する動機付けとなる記載はなく、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子を含み、前記ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物が、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸であるものとする動機付けがあるとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明1は、<相違点2-2>について検討するまでもなく、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1、甲3及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 イ 本件特許発明2~7、9 本件特許発明2~7、9は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲2発明1~18との<相違点2-1>と同じ相違点を有するものであり、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明、並びに、甲1、甲3及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 (3)甲3発明を主たる引用発明とする場合 ア 本件特許発明1 (ア)甲3発明との対比 本件特許発明1と甲3発明を対比する。 甲3発明の「ジプロピレングリコール」は本件特許発明1の「分散媒」に相当する。 甲3発明の「パラフィンワックス」は、「水性分散液」を形成しており、「分散」とはワックス粒子が液体等に浮遊あるいは懸濁している状態を意味するから、本件特許発明1の「ワックス粒子」に相当する。 甲3発明の「ベヘニルメタクリレート」、「ステアリルメタクリレート」、「2-ヒドロキシエチルメタクリレート」及び「塩化ビニリデン」は、本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体」であり、甲3発明の「水性コポリマー分散液」の「コポリマー」は、「ステアリルメタクリレート」、「2-ヒドロキシエチルメタクリレート」及び「塩化ビニリデン」が重合したものであり、甲3発明の「水性分散液」の固形物であるから、本件特許発明1の「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」に相当する。 甲3発明の「織布をパディングして、織布に撥水性を付与する水性分散液」は、本件特許発明1の「撥水コーティング組成物」と「撥水」及び「組成物」の限りにおいて一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲3発明は、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子と、ワックス粒子と、分散媒と、を含む、 ことを特徴とする撥水コーティング組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3-1> ワックス粒子が、本件特許発明1では、炭素数8~60の直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である炭化水素化合物を含み、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びポリエチレンワックスの少なくともいずれかであるワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有するに対し、甲3発明では、炭素数8~60の直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸である炭化水素化合物を含むと特定されていない点。 <相違点3-2> 撥水組成物が、本件特許発明1は撥水コーティング組成物であるのに対し、甲3発明は撥水コーティング組成物であることが特定されていない点。 (イ)相違点についての検討 <相違点3-1>について 甲3発明は、パラフィンワックスの水性分散液を混合したものである。 そして、甲3には織布に撥水性を付与する水性分散液が含有する界面活性剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸は挙げられていないから(摘記3c参照)、甲3発明の織布に撥水性を付与する水性分散液において界面活性剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しく不飽和脂肪酸を採用する動機付けがあるとはいえないから、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子を含み、前記ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物が、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸であるものとする動機付けがあるとはいえない。 また、他の証拠をみても、甲3発明の織布に撥水性を付与する水性分散液において界面活性剤として直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸を採用する動機付けとなる記載はなく、炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子を含み、前記ワックス粒子は、ワックス(ただし、モンタンワックス、アマイドワックス、及び変性モンタンワックスを除く。)100質量部に対して前記炭化水素化合物を1~20質量部で含有し、前記炭化水素化合物が、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸であるものとする動機付けがあるとはいえない。。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明1は、<相違点3-2>について検討するまでもなく、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲2及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 イ 本件特許発明2~7、9 本件特許発明2~7、9は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであり、前記本件特許発明1と甲3発明との<相違点3-1>と同じ相違点を有するものであり、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明、並びに、甲1、甲3及び甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。 第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 明確性要件について 申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1に記載の「炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸、飽和若しくは不飽和脂肪族アルコール、飽和若しくは不飽和脂肪族アミン、飽和若しくは不飽和長鎖アミノ酸、又は、飽和若しくは不飽和脂肪酸アミドの少なくともいずれである」は、本件明細書において、「飽和若しくは不飽和脂肪族アミン」の例として、ジメチルアルキルアミン類が例示されており(本件明細書【0022】)、「飽和若しくは不飽和長鎖アミノ酸」については「アミノ酸は、アミノ基とカルボキシ基を有する有機化合物である。」との説明があるのみであり(本件明細書【0023】)、「飽和若しくは不飽和脂肪酸アミド」の例として「ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジヒ゜ン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、Nーステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、Nーステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、及びメチロールベヘン酸アミド」が例示されている(本件明細書【0024】)ことから、長鎖炭化水素及び所定の官能基を有していればそれ以外に任意の構造を含んでもよいとする広義の解釈が妥当とも思われ、斯かる広義の解釈の場合、「飽和若しくは不飽和脂肪酸」「飽和若しくは不飽和脂肪族アルコール」「飽和若しくは不飽和脂肪族アミン」「飽和若しくは不飽和長鎖アミノ酸」「飽和若しくは不飽和脂肪酸アミド」が如何なる化合物までを包含するのか、その外延が不明確であるであるから、特許を受けようとする発明が不明確である旨を主張する。 しかしながら、本件特許発明1における、「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸」の「直鎖」、「分岐鎖」、「環状」、「飽和」、「不飽和」及び「脂肪酸」は、通常用いられる技術用語であり、「直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸」が如何なる化合物までを包含するのか、その外延が明確であるといえるから、「炭化水素化合物は、直鎖、分岐鎖、環状の飽和若しくは不飽和脂肪酸であり」との特定により、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~7、9は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。その結果、本件特許発明1~7、9は明確である。 また、申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1に記載の「炭化水素化合物を含有するワックス粒子」は、「炭化水素化合物」と「ワックス」が、一体不可分の複合体となっている状況のみを規定しているのか、撥水コーティング組成物中に別々に存在してもいてもよいのかが不明確であるから、特許を受けようとする発明が不明確である旨を主張する。 しかしながら、本件特許発明1において「炭化水素化合物を含むワックス粒子」と規定されており、「炭化水素化合物」と「ワックス」が一体不可分の複合体となっている状況を規定していることは明らかであり、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~7、9は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。その結果、本件特許発明1~7、9は明確である。 したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。 2 サポート要件について (1)申立人の主張 申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1~9に係る特許は、以下の理由から、発明の詳細な説明に記載された発明でない旨を主張する。 ア 本件発明における「ワックス」及び「炭化水素化合物」は極めて広範な化合物を包含するものであり、一般に乳化剤と分類される物質(例えば、甲1~3で記載されるような、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、オクタデシルジメチルアミン等)が包含される。また、本件明細書の段落【0020】において、「炭化水素化合物」として例示される「脂肪酸塩」は典型的な乳化剤であるし、本件明細書の【0019】~【0024】に例示される多数の物質は、乳化剤として一般に利用されているか、利用し得ることは当業者に明らかである。 そうすると、本件発明における「ワックス粒子」は、「ワックス」又は「炭化水素化合物」として、本件発明の撥水性を低下させる(本件明細書【0028】、比較例)乳化剤に相当する化合物を包含してもよいこととなり、本件発明において本件発明の課題が解決されない範囲が包含されることは明らかである。 イ 本件明細書の実施例及び比較例の結果及び技術常識から、本件発明の効果である撥水性には、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」の構造やその成分の配合比率が大きく影響すると理解されるところ、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」がどのような構造を有する成分であっても、本件発明の効果が奏され、本件発明の課題を解決し得ることについて、本願の発明の詳細な説明には、具体的な根拠とともに記載されておらず、当該事項が技術常識であったともいえない。そうすると、本件発明において本件発明の課題が解決されない範囲が包含されることは明らかである。なお、請求項7の「アクリル系単量体、スチレン系単量体、及びアミド系単量体」は極めて広範の単量体を包含するから、実質的な限定となっていない。 (2)検討 本件特許発明1が解決しようとする課題は、本件特許明細書の【0008】からみて、撥水性を向上させる撥水コーティング組成物を提供することにあると認められる。 ここで、本件特許発明1の「炭素数8~60の炭化水素化合物を含むワックス粒子」は、本件特許明細書【0027】~【0030】及び【0101】等の実施例の記載からみて、自己乳化型のワックスと解され、撥水性を低下させる乳化剤を使用しなくてもよいものと解されるところ、本件特許発明1は、炭素数8~60の官能基を有する炭化水素化合物を含む自己乳化型のワックスを含む撥水コーティング組成物であって、前記課題を解決できるものと理解できる。 そうすると、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~7、9は前記課題を解決できるといえ、本件特許発明1~7、9まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないとはいえない。 また、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」は、重合体粒子でありさえすれば、撥水性を向上させることは明らかであるから、撥水性向上との観点では、「エチレン性不飽和単量体の共重合体粒子」の構造やその成分の配合比率が大きく影響するとまではいえず、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2~7、9は前記課題を解決できるといえ、本件特許発明1~7、9まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないとはいえない。 以上のとおりであるから、本件特許発明1~9は発明の詳細な説明に記載された発明であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たす。 したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、令和5年11月7日付けの取消理由通知、令和6年6月25日付けの取消理由通知に記載した取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって、本件請求項1~7、9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~7、9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項8は、本件訂正により削除され、この特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700797

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  • 2024-700901異議申立 / 2026-01-21 / 訂正認容導電性顔料ペースト、合材ペースト、及びリチウムイオン電池用電極
    共通の審決分類: 113・C09D、121・C09D、537・C09D
  • 2025-700554異議申立 / 2025-12-04 / 訂正認容導電性インキおよびその製造方法、導電性印刷物、導電体およびその製造方法、ならびに…
    共通の審決分類: 113・C09D、121・C09D、537・C09D
  • 2025-700801異議申立 / 2025-12-02 / 維持水性塗料組成物および塗装物の製造方法
    共通の審決分類: 113・C09D、121・C09D、537・C09D

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