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商標異議申立

2024-900106

ホテル

審判番号
2024-900106
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-056320
登録番号
6785812
請求日
2024年05月16日
審決日
2025年04月02日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社ジュン
  • 【異議申立人】水野 圭助
審判長/審判官
  • 審判長 大島 勉
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 大島 康浩
分類
T1652.13 -ZC (W35) / T1652.16 -ZC (W35) / T1652.272-ZC (W35)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6785812号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6785812号商標の指定役務中、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6785812号商標(以下「本件商標」という。)は、「HOTEL」の文字を標準文字で表してなり、令和5年5月24日に登録出願、第35類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、同6年2月16日に登録査定、同年3月8日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第103号証を提出した。 1 商標法第3条第1項第3号該当性について 本件商標は、「HOTEL」の文字を標準文字で書した構成からなる。「HOTEL」の語は、「ホテル、旅館、特に西洋風の宿泊施設」等を意味する平易な英単語として広く一般的に知られているため(甲2、甲3)、本件商標からは、容易に「ホテル」等の意味合いが認識される。 ところで、ホテル等の宿泊施設における設備や備品については、例えば、家具であれば快適性や高級感を感じさせるだけでなく、長期間の頻繁な使用への耐久性があるといった特徴を備えていたり、寝具であれば衛生的で取り換えがしやすいといった特徴を備えていたりする等、ホテル等での使用に適した設計がされた種々の商品が広く取引されている実情がある。 このような商品は、家庭用や他の業種・用途向けの商品とは差別化して取引されていて、「ホテル用」、「ホテル向け」であることを明示して販売や展示がされることが一般的に行われている。ホテル用商品が一つの市場を形成しているといえるほど一般的であることは、実際に、ホテル業界向けにホテル用商品を集めた展示会や商談会が複数開催されていることからもわかる(甲4~甲8)。 そして、こういったホテル用商品を取り扱う役務において、「HOTEL(ホテル)」の文字は、取り扱う商品の用途が「ホテル用」、「ホテル向け」であることを示すために広く一般的に使用されている。 (1)「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について ホテル用家具については、非日常性や快適性を追求した高級感のある商品であるとともに、多数の利用者によって長期間頻繁に使用されるものであるため、耐久性も備えた商品である場合が多く、家庭用、オフィス用、病院用、飲食店用など他の用途とは異なる特徴を有する商品として、差別化されて販売されている。ホテル用家具の市場調査も行われており(甲9~甲11)、ホテル用家具が商品分野として一般的で、一つの市場を構成していることは明らかである。 実際に、家具の小売りの分野においては、ホテル、オフィス、病院など、業種別にカテゴリ分けされて家具が販売されていたり、ホテル用の家具を専門に取り扱う事業者が存在する。そして、役務の提供にあたり、「HOTEL(ホテル)」の語は、家具がホテル用、ホテル向けであること、すなわち、取り扱う商品の用途を表すものとして広く一般に使用されている(甲12~甲32)。 (2)「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について ホテル用寝具については、多数の利用者の肌に直接触れるものであるため、快適性だけではなく、衛生面での管理しやすさが重視されていて、厚生労働省の「旅館業における衛生等管理要領」にて、「敷布又はシーツ、カバーその他これに類するものは、汚れが分かりやすいよう明るい色彩のものであること」、「布団、枕等のカバーは、取り外しが容易にできる構造のものであること」、「布団、枕、マットレスその他これに類するものは、適当な大きさを有し、容易に破れない材質の布で覆われていること」などが定められている(甲33)。そのため、ホテル用寝具は、これらの要件を満たすような、家庭用等とは異なる特徴を有する商品として、差別化されて販売されている(甲34~甲37)。 実際に、寝具類の小売の分野においては、ホテル用と表示して寝具類が販売されていたり、ホテル用の寝具類を専門に取り扱う事業者も存在したりする。そして、役務の提供にあたり、「HOTEL(ホテル)」の語は、寝具類がホテル用、ホテル向けであること、すなわち、取り扱う商品の用途を表すものとして広く一般に使用されている(甲13、甲26、甲38~甲50)。 (3)「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について 宿泊客がホテルで快適に過ごすことができるように備え付けられている備品は一般的に「アメニティ」と呼ばれ、具体的には、化粧品・シャンプー・コンディショナー・石けん・歯ブラシ・歯磨き・くし・綿棒などの消耗品を指す場合が多い(甲51~甲53)。ホテル等の宿泊施設では、こうした商品は日々大量に消費されるため商品の販売単位数が大きく、また、1回分がパックに小分けなっていたり、誰でも分かりやすく使いやすいデザインになっていたりするなど、一般に小売りされる商品とは全く異なる特徴を備えた商品が取引されている。さらに、これらの商品は不特定多数の宿泊客によって使用されるものであるため、特に化粧品・シャンプー・コンディショナー・石けん等は、年齢・性別・肌質などを問わず誰もが安心して使え、かつ、非日常性を追求した高級感のある商品である場合が多く、他の業務用とは異なる特徴を有する商品として、差別化されて販売されている(甲54~甲58)。 実際に、これらの商品の小売りの分野においては、ホテル用のアメニティ商品を専門に取り扱う事業者が存在したり、ホテル用、ホテルアメニティと表示してアメニティ商品が販売されていたりする(甲54~甲57、甲59~甲75)。そして、役務の提供にあたり、「HOTEL(ホテル)」の語は、商品がホテル用、ホテル向けであること、すなわち、取り扱う商品の用途を表すものとして広く一般に使用されている(甲54~甲57、甲59~甲73)。 (4)「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のうち、「タオルの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について 業務用のタオルは、耐久性、吸水性、洗浄性などを追求し、一般的な家庭用タオルよりも高品質な商品である場合が多く(甲76、甲77)、さらに、業務用の中でも、業種によって求められる重さや厚みが異なるため、ホテル用、病院用、美容院用など業種によって異なる特徴を有する商品が製造されており、厚手で肌触りの良いタオルがホテル用の商品として、他の用途とは差別化されて販売されている(甲78~甲81)。 実際に、タオルの小売りの分野においては、ホテル、病院、美容院など、業種別にカテゴリ分けされてタオルが販売されていたり、ホテル用、ホテル仕様等と表示してタオルが販売されていたりする。そして、役務の提供にあたり、「HOTEL(ホテル)」の語は、タオルがホテル用、ホテル向けであること、すなわち、取り扱う商品の用途を表すものとして広く一般に使用されている(甲82~甲86)。 (5)「商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理」について 上述のとおり、様々な商品分野で他の用途とは差別化されたホテル用商品が取引されていて、それらの販売を促進するために展示会や商談会が開催されたり(甲4~甲8)、市場調査など商品に関する情報提供がされていたり(甲9~甲11、甲87~甲89)、ホテル用商品の選び方の提案がなされていたり(甲90~甲96)している。また、ホテル向けの家具の輸入を専門に手掛ける事業者もいる(甲97~甲103)。そして、「HOTEL(ホテル)」の語は、そうした役務がホテル用商品に関するものであることを表すものとして、一般的に使用されている。 このような実情をかんがみれば、本件商標「HOTEL」が指定役務に使用された場合、これに接する需要者・取引者は、「ホテル用」、「ホテル向け」の商品に関する役務であると理解するに過ぎず、自他役務識別標識としての機能を果し得ないといえる。また、多数の事業者によって「ホテル用」、「ホテル向け」の商品が取り扱われているという実情の中で、「ホテル用」、「ホテル向け」であることを表す「HOTEL」の文字は、役務の質や特徴を表すものとして、誰もが使用を欲する語であり、これを特定人に独占的に使用させることは、公益上適当ではない。 よって、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 2 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標を「ホテル用」、「ホテル向け」以外の商品に関する役務に使用された場合、役務の質を誤認させるため、商標法第4条第1項第16号に該当し、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 3 商標法第3条第1項第6号該当性について さらに、前述のとおり、「HOTEL(ホテル)」の文字は、本件商標の指定役務の分野において、多数の事業者によって一般的に使用されているため、特定の出所を表す識別標識として機能し得ない語である。 したがって、本件商標は、需要者・取引者が何人かの業務にかかる役務であることを認識することができない商標であるため、商標法第3条第1項第6号に該当し、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 第3 当審による取消理由通知 当審において、本件商標権者に対して、本件商標は、その指定役務中、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供, 家具の小売又は卸売の業務のおいて行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消対象役務」という。)について、商標法第3条第1項第6号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、その登録を取り消すべき旨の取消理由を、令和6年12月24日付けの取消理由通知書で通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第4 本件商標権者の意見 本件商標権者は、上記第3の取消理由に対して、何ら意見を述べていない。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第6号該当性について (1)本件商標は、「HOTEL」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「旅館。特に、西洋風の宿泊施設。」の意味を有し(甲3)、我が国において広く一般に使用されている。 (2)申立人の提出した証拠及び職権調査によれば、以下のとおりである。 ア ホテル用の商品を集めた展示会及びフェア等が開催されている(別掲2)。 イ 枕、シーツ、マットレスを取り扱う分野において、家庭用とは仕様や品質の異なるホテル用の商品が製造、販売され、これら商品に「ホテル仕様」、「ホテル品質」の文字が商品の特徴を表すものとして使用されている(別掲3)。 ウ ホテルで使用される歯ブラシ及びクシ等の消耗品を取り扱う分野においては、宿泊者向けに家庭用とは異なる商品が製造、販売されている(別掲4の(1)、(2))。また、タオルを取り扱う分野においては、家庭用の商品とは異なる糸、厚み、肌触り等のホテル用の商品が製造、販売されており、そのような商品に「ホテルタイプ」「ホテル仕様」のように「ホテル」の文字が使用されている(別掲4の(3)~(7))。 エ ベッド、ソファ等の家具を取り扱う分野において、ホテル用の商品について、家具店では商品を使用する施設名として「ホテル」の文字が使用されていること、「ホテル客室向けの商品」が製造販売されていること、ホテル用に販売されている家具は「ホテル家具」などと称されていること、また、「ベッド」を取り扱う分野においても、家庭用とは異なる耐久性のある商品や高級感のある商品が製造、販売され、当該商品について「ホテル」「ホテル用」の文字が使用されている(別掲5)。 オ 化粧水、ハンドソープ、シャンプー、リンス、石けん及び歯みがき粉を取り扱う分野において、一泊又は二泊程度の滞在期間に合わせて使うための個包装の商品又は小型の包装容器の商品や、宿泊客向けの、一般消費者向けとは異なる高級感をうたった商品が「ホテル用の商品」として製造、販売されている(別掲6)。 (3)上記(2)によれば、「HOTEL」の文字を片仮名で表した「ホテル」の文字は、枕、シーツ、マットレス等の寝具類、タオル、歯ブラシ及びクシといった身の回り品、ベッドやソファ等の家具、化粧品及びハンドソープ等のせっけん類などの商品を取り扱う分野において、「ホテル用に製造された商品」といった商品の用途、品質を表すものとして広く一般に使用されている事実が認められる。 そうすると、「HOTEL」の文字からなる本件商標をその指定役務中、枕、シーツ、マットレス等の寝具類、ソファ、ベッド等の家具類、タオル、歯ブラシ、クシといった身の回り品、化粧品、ハンドソープ等のせっけん類を取扱商品とする「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供, 家具の小売又は卸売の業務のおいて行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(取消対象役務)に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、上記小売等役務で取り扱われる商品が「ホテル用に製造された商品」であることを容易に理解するにとどまるというのが相当であるから、本件商標は、単に小売等役務の取扱商品の用途、品質を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 なお、申立人は、「HOTEL(ホテル)」の語は、本件商標の指定役務の分野において、多数の事業者によって一般的に使用されているため、特定の出所を表す識別標識として機能し得ない旨主張する。 しかしながら、本件商標は、取消対象役務に使用した場合には、前記のとおり自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないが、本件商標を取消対象役務以外の役務に使用した場合には、それが例えば小売等役務の取扱商品の品質や用途等、又は役務の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表すものと認識させるなど、自他役務の識別標識としての機能が弱いというべき事情は見いだせないから、本件商標は、取消対象役務以外の役務については、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 したがって、取消対象役務以外の指定役務については、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とは認められないため、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1(1)のとおり、「HOTEL」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「旅館。特に、西洋風の宿泊施設。」の意味を有し、我が国において広く一般に使用されている。 しかしながら、上記意味を有する「HOTEL」の文字を、本件商標の指定役務について使用しても、該文字が役務の質、特徴等を表示するものと一般に認識し得ない。 そうすると、本件商標をその指定役務について使用しても、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他役務の識別標識として機能を有するものと判断するのが相当である。 さらに、本件商標を、その指定役務について使用しても、役務の質の誤認を生ずるおそれはない。 したがって、本件商標は、その指定役務について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、取消対象役務について、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録は取り消されるべきである。 他方、本件商標のその余の指定役務については、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきでものである。 よって、結論のとおり決定する。

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