特許異議申立
2023-700772
エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品
- 審判番号
- 2023-700772
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-253420
- 登録番号
- 7215818
- 請求日
- 2023年07月26日
- 審決日
- 2023年09月29日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】花王株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アルガ特許事務所
- 【異議申立人】鈴木 里美
- 審判長/審判官
- 審判長 木村 敏康
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 関 美祝
- 分類
- P1651.121-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7215818号発明「エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7215818号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7215818号の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成28年12月27日(優先権主張 平成27年12月28日)に特許出願され、令和5年1月23日に特許権の設定登録がされ、同年同月31日にその特許掲載公報が発行され、その後、令和5年7月26日に、特許異議申立人 鈴木 里美(以下「特許異議申立人」という。)により、請求項1~12に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである。
第2 特許請求の範囲の記載
本件の特許請求の範囲の請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明12」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品であって、
該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤が充填されており、
該第1内容器及び第2内容器の各々が、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成されており、該第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び該第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々が0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下であり、
該第1剤の30℃における粘度V(f)と該第2剤の30℃における粘度V(s)の各々が8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下で、それらの比V(f)/V(s)が0.5以上1.5以下であり、
第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)が0.8以上1.2未満である、
エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項2】
第1内容器及び第2内容器の最内層のポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂である請求項1に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項3】
前記V(f)及び前記V(s)の各々が、8,000mPa・s以上35,000mPa・s以下である請求項1又は2に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項4】
更に、第1剤及び/又は第2剤に界面活性剤を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項5】
第1剤と第2剤の混合物中における界面活性剤の含有量が、0.1質量%以上30質量%以下である請求項4に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項6】
更に、第1剤及び/又は第2剤に高級アルコールを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項7】
高級アルコールが、下記一般式(1)で表されるものである請求項6に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
R-OH (1)
〔式中、Rは炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。〕
【請求項8】
第1剤と第2剤の混合物中における高級アルコールの含有量が、3質量%以上12質量%以下である請求項6又は7に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項9】
E(f)及びE(s)が、0.6gf・cm2/cm以上2.0gf・cm2/cm以下である請求項1~8のいずれか1項に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項10】
30℃における内圧が、0.5MPa以上0.7MPa以下である請求項1~9のいずれか1項に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項11】
前記V(f)と前記V(s)の比V(f)/V(s)が0.7以上1.3以下である請求項1~10のいずれか1項に記載のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項12】
アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性の向上方法であって、
該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤を充填し、
該第1内容器及び第2内容器の各々を、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成したものとし、該第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び該第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)を0.3以上4以下とし、
該第1剤の30℃における粘度V(f)と該第2剤の30℃における粘度V(s)の各々を8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下、それらの比V(f)/V(s)を0.5以上1.5以下とし、
第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)を0.8以上1.2未満とする、
前記方法。」
第3 特許異議申立理由
特許異議申立人は、以下のとおり異議申立理由及び、証拠方法として、甲第1~6号証を提示した。
1 進歩性
異議申立理由1A:請求項1~11に係る発明は、下記の本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証によって示された優先日時点の周知技術に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
異議申立理由1B:請求項12に係る発明は、下記の本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証によって示された優先日時点の周知技術に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:国際公開第2014/208735号
甲第2号証:MINTEL GNPD 記録番号(ID#)2792093のウェブページを印刷した書面、2023年6月27日(出力日)
甲第3号証:風合い測定(受付番号202301046)の成績書、地方独立行政法人京都市産業技術研究所、令和5年7月12日
甲第4号証:MINTEL GNPD 記録番号(ID#)2882155のウェブページを印刷した書面、2023年6月27日(出力日)
甲第5号証:風合い測定(受付番号202301048)の成績書、地方独立行政法人京都市産業技術研究所、令和5年7月12日
甲第6号証:特開2014-237621号公報
第4 当審の判断
異議申立理由1A及び異議申立理由1B(進歩性)について
1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
本件特許の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報である甲第1号証には、以下の記載がある。
(1a)「[0085] 以下に、本願が開示する発明を、その最良の実施形態を含めて説明する。
(第1実施形態)
本願が開示するエアゾール式毛髪化粧料組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含み、酸化染毛剤又は毛髪脱色剤である。当該エアゾール式毛髪化粧料組成物は、後述する二重構造容器に充填して使用される。
・・・
[0087] 〔第1剤〕
第1剤はアルカリ剤を含有する。アルカリ剤として、例えば、アンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、有機アミン類(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)等が挙げられる。
・・・
[0094] 上記した成分の他、第1剤は、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水等の水、水溶性ポリマー、溶剤、炭化水素、ロウ、高級脂肪酸、エステル類、高級アルコール、シリコーン類、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、増粘剤、アミノ酸類、糖類、防腐成分、キレート成分、pH調整成分、無水亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤、植物又は生薬抽出物、アスコルビン酸類を含むビタミン類、香料、セラミド類、紫外線吸収剤、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、浸透促進剤等を配合してもよい。
[0095] 第1剤は乳化物で後述する二重構造容器から吐出されることが好ましい。よって、第1内容器に充填された状態の第1剤は乳化物であることが好ましい。
また、第1剤はクリーム状で後述する二重構造容器から吐出されることが好ましい。クリーム状である第1剤の粘度は5000~50000mPa・sとしてよい。好ましくは、第1剤の粘度は6000~30000mPa・sである。粘度は、B型粘度計を用いて、25℃、1分間、回転速度:12rpm、3号ローター(粘度5000mPa・s以下の場合)、4号ローター(粘度5000mPa・s以上の場合)使用の条件下にて測定する。粘度計については、例えば、VISCOMETER TV-10粘度計を使用してよい。
[0096] 〔第2剤〕
第2剤は酸化剤を含有する。第2剤における酸化剤の含有量は好ましくは0.1~15質量%、好ましくは1.0~9.0質量%、より好ましくは2.0~6.0質量%である。
[0097] 酸化剤として、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。酸化剤は1種又は2種以上を含有してよい。
[0098] 第2剤のpHは、好ましくは2~6、より好ましくは3~5である。
第2剤は、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水等の水、水溶性ポリマー、高級アルコール、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール、炭化水素、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類、アルキルグリセリルエーテル、溶剤、増粘剤、アミノ酸類、シリコーン類、糖類、フェノキシエタノール、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等の過酸化水素安定化成分、キレート成分、pH調整成分、植物又は生薬抽出物、香料等を配合してもよい。
[0099] 第2剤は乳化物で後述する二重構造容器から吐出されることが好ましい。よって、第2内容器に充填された状態の第2剤は乳化物であることが好ましい。
第2剤はクリーム状で後述する二重構造容器から吐出されることが好ましい。クリーム状である第2剤の粘度は5000~50000mPa・sとしてよい。好ましくは、第2剤の粘度は6000~30000mPa・sである。
[0100] 〔二重構造容器〕
二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、前記外容器と前記各内容器との間の空間が噴射剤を充填する噴射剤充填空間となり、前記第1剤及び前記第2剤を同時に吐出する機構を備える。
[0101] 二重構造容器の一具体例を図1を用いて説明する。
二重構造容器1は、第1剤を充填する第1の内容器2と第2剤を充填する第2の内容器3とが各々独立して設けられ、略円柱状である同一の外容器4に収容されている。外容器4と各内容器2,3との間の空間が噴射剤を充填する噴射剤充填空間となる。
・・・
[0107] 図1に示す第1の内容器2及び第2の内容器3は、いずれも、最内層がポリオレフィン樹脂層である弾性変形可能なシート材を貼りあわせて構成したパウチ容器である。当該パウチ容器は、内容物が充填されていない(もしくは、完全に充填物が吐出された後)場合は、シート様の形状となる。ジョイント材が内容器内に挿入されている場合でも同様の現象が起こる。
[0108] パウチ容器を構成する上記シート材は単層構造であっても多層構造であってもよい。また、パウチ容器は複数のシート材を貼りあわせて構成してもよく、一枚のシート材を折り曲げ、貼りあわせて形成してもよい。
[0109] 上記ポリオレフィン樹脂として、PE、PP等がある。第1剤が酸化染料を含有する場合、酸化染料の保存安定性の観点から、第1内容器2は金属箔層を構成に含むことが好ましい。
・・・
[0130] なお、マイクロクリスタリンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸ステアリル、ラノリンは25℃で固形である。ワセリンは、25℃で固形でない。
第1実施形態における実施例1~24及び比較例1,2に係る酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を常法により調製した。各剤はクリーム状の乳化物であり、粘度は5000~50000mPa・sの範囲内であった。なお、実施例14~実施例24及び比較例1~比較例2は実施例1と同じ第2剤を使用した。
[0131] 以下の試験では、図1に示した二重構造容器を使用した。第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器とし、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料はポリエチレンとした。噴射剤として、圧縮窒素を使用した。
[0132] 各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤組成物を二重構造容器に充填し、二重構造容器の内圧が0.5MPaとなるように製品を製造し、以下の試験を行った。
・・・
[0139] 〔等量吐出性評価試験〕
製品を製造してから1ヶ月、25℃下で保存し、その後、第2剤の残量(質量)が充填量の半分になるまで吐出操作を継続した。なお、製品製造後は第1剤と第2剤がほぼ等量吐出されようになっている。
[0140] 第2剤の残量が充填量の半分になった時点(第2剤が半量吐出された時点)における、第1剤の吐出量を測定し、第2剤の吐出量との比を下記の式より求めた。
第1剤と第2剤の吐出量比=(第2剤が半量吐出された時点の第1剤吐出量)/(第2剤の半量)
当該比が1に近いほど、第1剤と第2剤の等量吐出性は良好である。
[0141] 試験は3連行い、その平均値を求め、小数第2位を四捨五入し、下記の基準に基づいて評価した。評価結果は表中の「等量吐出性」欄に記載した。
5:比が0.8以上~1.2以下、
4:比が0.7以上~0.8未満、又は1.2を超え~1.3以下、
3:比が0.6以上~0.7未満、又は、1.3を超え~1.4以下、
2:比が0.5以上~0.6未満、又は、1.4を超え~1.5以下、
1:比が0.5未満、又は、1.5を超える。
[0142] 各実施例は、いずれも良好な評価であった。よって、各実施例は、第1剤と第2剤の吐出比率が保存後でも良好に維持されていた。
実施例14~実施例20より、経時の等量吐出性を良好とする非イオン性界面活性剤/高級アルコール比があることが示された。
[0143] 実施例2及び実施例3の第1剤、及び、実施例11の第2剤は、各剤における全高級アルコールに対して、炭素数12以下、又は、炭素数20以上の高級アルコールを比較的多く含んだために、評価が3~4になったと考えられた。即ち、良好な残量評価を維持しつつ、更に経時の等量吐出性を良好とする観点から、高級アルコールの好ましい含有比があることが示された。
[0144] 実施例13の第2剤は、HLB値が10以上の非イオン性界面活性剤を含んでいないために、評価が4になったと考えられた。即ち、良好な残量評価を維持しつつ、更に経時の等量吐出性を良好とする観点から、好ましい非イオン性界面活性剤があることが示された。
[0145] 実施例8の第1剤は、イオン性界面活性剤としてアニオン性界面活性剤のみを含んでいたために、評価が4となったと考えられた。また、他の実施例の評価を参照すると、良好な残量評価を維持しつつ、更に経時の等量吐出性を良好とする観点から、カチオン性界面活性剤を含有することが好ましいと考えられた。」
(1b)「[0146] 〔明度〕
製品から吐出し、ヒト毛束に対して常法に従って使用した本願各実施例に係る酸化染毛剤組成物は、良好な明度を実現した。
[0147] 本願実施例9の第1剤は高級アルコールを除く25℃で固形の油性成分を含有しない。よって、明度評価は、実施例9よりも他の実施例の方が高かった。
〔表1〕
[図:0001403700000001.jpg]
[0148] 〔表2〕
[図:0001403700000002.jpg]
[0149] 〔表3〕
[図:0001403700000003.jpg]
[0150] 〔表4〕
[図:0001403700000004.jpg]
」
(2)甲第2号証
本件特許の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第2号証には、以下の記載がある。
(2a)「ブランド Hoyu Men’s Bigen Gray Hair」(「製品詳細」の欄)
「掲載時期 11月2014」(「製品詳細」の欄)
「This Product was launched on 1st September,2014. 」(「商品説明」の欄)
以下に印刷物自体を掲載する。
[図:0001403700000005.jpg]
(2-1)甲第2-1号証
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第2-1号証には、以下の記載がある(電子的技術情報としてのアドレスが異なり甲第2号証との一体性が明らかでないので、甲第2-1号証とした。)。
製品箱の各面の写真の記載として、
「メンズビゲン グレーヘア ダークグレー」
「メンズビゲン Nヘアカラー 01」
「1剤:40g 2剤:40g」
「有効成分:・・・、過酸化水素
その他の成分:・・・強アンモニア水、・・・」
「加圧されている製品のため、下記の注意を守ること。」
以下に写真自体を掲載する。
[図:0001403700000006.jpg]
(2-2)甲第2-2号証
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第2-2号証には、以下の記載がある(電子的技術情報としてのアドレスが異なり甲第2号証との一体性が明らかでないので、甲第2-2号証とした。)。
製品ボトルの側面の写真の記載として、
「メンズビゲン グレーヘア ダークグレー」
「メンズビゲン Nヘアカラー 01」
「1剤:40g 2剤:40g」
「加圧されている製品のため、下記の注意を守ること。」
(3)甲第3号証
地方独立行政法人京都市産業技術研究所で作成された風合い測定(受付番号202301046)の成績書である甲第3号証には、以下の記載がある。
(3a)「成績書
・・・
依頼事項 風合い測定
供試品 フィルム2点
完了年月日 令和5年7月11日
本研究所に提出された上記供試品について得られた結果は下記のとおりです。
記
<試験方法>
風合い測定
カトーテック株式会社製 KES-FB2-Aを用いて測定
測定条件 ・・・
<試験結果>
符号 B(+) B(-) 2HB(+) 2HB(-)
gf・cm2/cm gf・cm2/cm gf・cm/cm gf・cm/cm
メンズビゲン Nヘアカラー 1剤 1.28 1.24 0.85 0.96
メンズビゲン Nヘアカラー 2剤 0.99 1.19 0.76 0.78
※符号と測定報告、測定面は依頼者の指示による
以上
・・・」
(4)甲第4号証
本件特許の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第4号証には、以下の記載がある。
(4a)「ブランド Lucido」(決定注:原文では、uの上に「’」)(「製品詳細」の欄)
「掲載時期 1月2015」(「製品詳細」の欄)
「Launched on August 25,2014. 」(「商品説明」の欄)
以下に印刷物自体を掲載する。
[図:0001403700000007.jpg]
(4-1)甲第4-1号証
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第4-1号証には、以下の記載がある(電子的技術情報としてのアドレスが異なり甲第4号証との一体性が明らかでないので、甲第4-1号証とした。)。
製品箱の各面の写真の記載として、
「ルシード ワンプッシュケアカラー ナチュラルブラック」
「DヘアカラーNB」
「1剤:50g 2剤:50g」
「【1剤】・・・、炭酸水素アンモニウム、・・・
【2剤】有効成分:過酸化水素、・・・」
「加圧されている製品のため、下記の注意を守ること。」
「2つのクリームを同時に出せるので 混ぜる手間なく サッと簡単に塗れる」
「同時に出てくる2つのクリームを専用ブラシに出します」
以下に写真自体の一部を掲載する。
[図:0001403700000008.jpg]
(4-2)甲第4-2号証
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的技術情報の印刷物である甲第4-2号証には、以下の記載がある(電子的技術情報としてのアドレスが異なり甲第4号証との一体性が明らかでないので、甲第4-2号証とした。)。
製品ボトルの側面の写真の記載として、
「ルシード ワンプッシュケアカラー ナチュラルブラック」
「販売名:DヘアカラーNB」
「1剤:50g 2剤:50g」
「加圧されている製品のため、下記の注意を守ること。」
(5)甲第5号証
地方独立行政法人京都市産業技術研究所で作成された風合い測定(受付番号202301048)の成績書である甲第5号証には、以下の記載がある。
(5a)「成績書
・・・
依頼事項 風合い測定
供試品 フィルム2点
完了年月日 令和5年7月11日
本研究所に提出された上記供試品について得られた結果は下記のとおりです。
記
<試験方法>
風合い測定
カトーテック株式会社製 KES-FB2-Aを用いて測定
測定条件 ・・・
<試験結果>
符号 B(+) B(-) 2HB(+) 2HB(-)
gf・cm2/cm gf・cm2/cm gf・cm/cm gf・cm/cm
ルシード Dヘアカラー 1剤 1.08 1.02 0.97 0.93
ルシード Dヘアカラー 2剤 0.28 0.31 0.30 0.36
※符号と測定報告、測定面は依頼者の指示による
以上
・・・」
(6)甲第6号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証には、以下の記載がある。
(6a)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤とを所定の吐出量の比率にて同時に吐出することで、毛髪に対し簡便かつムラなく均一に染め上げることが出来る染毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、第一剤と第二剤との粘度が共に50,000mPa・s以下であり、第一剤と第二剤との粘度の比率を、第一剤/第二剤=0.8~1.2にすることにより、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤との吐出量の比率の変化が少なく、安定に所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが出来ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型染毛剤において、使い始めから使い終わるまで第一剤と第二剤との吐出量の比率の変化が少なく、安定に所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが出来るため、毛髪に対し簡便かつムラなく均一に染め上げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にある吐出量とは重量であり、比率とは、特に記載がない限り重量比であり、第一剤と第二剤との所定の吐出量の比率は任意に設定可能である。
【0011】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤は、アルカリ剤を含有する第一剤と酸化剤を含有する第二剤とからなり、第一剤と第二剤との粘度が共に50,000mPa・s以下であることを特徴とする。毛髪への塗布後の伸び、タレ落ちを考慮すると、好ましくは5,000~25,000mPa・sである。50,000mPa・sを超えると圧縮ガス等による容器からの吐出が困難になるため、吐出量にムラが生じ、所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが困難になる。
【0012】
尚、粘度とは、二剤同時吐出型染毛剤の第一剤と第二剤とを別々の容器に吐出した各剤を20度に調温し、TVB-10型粘度計(東機産業株式会社)でSPINDLE NO.M4(CODE NO.23)を使用し、12rpmで回転させてから1分後に測定したものとする。
【0013】
本発明の二剤同時吐出型染毛剤は、アルカリ剤を含有する第一剤と酸化剤を含有する第二剤とからなり、第一剤と第二剤との粘度の比率が、第一剤/第二剤=0.8~1.2であることを特徴とする。好ましくは0.9~1.1である。粘度の比率が0.8未満であると、第二剤に比べ第一剤の粘度が低いため、第一剤が吐出し易くなり、第一剤の吐出量が多くなる。粘度の比率が1.2を超えると、第一剤に比べ第二剤の粘度が低いため、第二剤が吐出し易くなり、第二剤の吐出量が多くなる。このように、第一剤と第二剤との粘度に差が生じると第一剤と第二剤との吐出量に差が生じ、第一剤と第二剤とを所定の吐出量の比率にて同時に吐出することが困難になる。」
(6b)「【0027】
同時吐出性
実施例、比較例記載の処方により染毛剤を調製し、第一剤と第二剤との所定の吐出量の比率を、第一剤/第二剤=1.0とした。調製した原液の第一剤50gを充填した第一内装パウチ及び第二剤50gを充填した第二内装パウチを1つの耐圧容器に収納し、内装パウチと耐圧容器間に窒素ガスを充填した、第一剤と第二剤とを同時に吐出する機構を有する二剤同時吐出型染毛剤の、使い始めから使い終わるまでの第一剤と第二剤との吐出量(g/10秒)を測定し、第一剤と第二剤との吐出量の比率を得た。評価の基準は以下の通りである。」
2 甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証に記載された発明
ア 甲第1号証は、毛髪化粧料組成物に関する文献であって、甲第1号証には、その第1実施形態のエアゾール式毛髪化粧料組成物として、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含み、酸化染毛剤又は毛髪脱色剤であり、当該エアゾール式毛髪化粧料組成物は、二重構造容器に充填して使用されることが示され、第1実施形態における第1剤及び第2剤はクリーム状の乳化物で、粘度が5000~50000mPa・sの範囲で、使用した二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、二重構造容器の内圧が0.5MPaとなるように製品を製造し、第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料がポリエチレンで、噴射剤として圧縮窒素を使用したことが記載され、第1実施形態の実施例1として、第1剤として、ステアリルアルコール3、セタノール4、POE(30)セチルエーテル(HLB16.9)2、POE(2)セチルエーテル(HLB5.4)1、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム1、マイクロクリスタリンワックス3、無水亜硫酸ナトリウム0.1、パラフェニレンジアミン0.5、メタアミノフェノール0.4、レゾルシン0.5、アスコルビン酸0.2、28%アンモニア水4、精製水残量、にノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.43を添加したもの、第2剤として、35%過酸化水素水16、ステアリルアルコール4、セタノール3、ステアリン酸ステアリル2、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.4、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB16.1)1、ミリスチル硫酸ナトリウム1、フェノキシエタノール0.1、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.2、リン酸(pH3に調整)、精製水残量、にノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.14を添加したものからなる酸化染毛剤組成物([0128]の記載から表の各成分の数字は質量%の値であることが明示されている。)が示されている。
したがって、甲第1号証には、「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含むエアゾール式毛髪化粧料組成物製品であって、二重構造容器に充填して使用され、第1剤及び第2剤はクリーム状の乳化物で、粘度が5000~50000mPa・sの範囲で、使用した二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料がポリエチレンで、噴射剤として圧縮窒素を使用し、二重構造容器の内圧が0.5MPaであり、第1剤として、質量%として、ステアリルアルコール3、セタノール4、POE(30)セチルエーテル(HLB16.9)2、POE(2)セチルエーテル(HLB5.4)1、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム1、マイクロクリスタリンワックス3、無水亜硫酸ナトリウム0.1、パラフェニレンジアミン0.5、メタアミノフェノール0.4、レゾルシン0.5、アスコルビン酸0.2、28%アンモニア水4、精製水100%の残量、に質量%としてノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.43を添加したもの、第2剤として、質量%として、35%過酸化水素水16、ステアリルアルコール4、セタノール3、ステアリン酸ステアリル2、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.4、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB16.1)1、ミリスチル硫酸ナトリウム1、フェノキシエタノール0.1、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.2、リン酸(pH3に調整)、精製水100%の残量、に質量%としてノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.14を添加したものからなる酸化染毛剤組成物を用いたエアゾール式毛髪化粧料組成物製品。」に係る発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
イ また、摘記(1a)及び摘記(1b)には、等量吐出性評価試験で、実施例1を含めて第1剤と第2剤の吐出比率が保存後でも良好に維持されていたことが記載されているので、甲第1号証には、上記摘記(1a)及び摘記(1b)も考慮すると、以下の発明も記載されているといえる。
「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含むエアゾール式毛髪化粧料組成物製品であって、二重構造容器に充填して使用され、第1剤及び第2剤はクリーム状の乳化物で、粘度が5000~50000mPa・sの範囲で、使用した二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料がポリエチレンで、噴射剤として圧縮窒素を使用し、二重構造容器の内圧が0.5MPaであり、第1剤として、質量%として、ステアリルアルコール3、セタノール4、POE(30)セチルエーテル(HLB16.9)2、POE(2)セチルエーテル(HLB5.4)1、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム1、マイクロクリスタリンワックス3、無水亜硫酸ナトリウム0.1、パラフェニレンジアミン0.5、メタアミノフェノール0.4、レゾルシン0.5、アスコルビン酸0.2、28%アンモニア水4、精製水100%の残量、に質量%としてノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.43を添加したもの、第2剤として、質量%として、35%過酸化水素水16、ステアリルアルコール4、セタノール3、ステアリン酸ステアリル2、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.4、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB16.1)1、ミリスチル硫酸ナトリウム1、フェノキシエタノール0.1、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.2、リン酸(pH3に調整)、精製水100%の残量、に質量%としてノニオン性界面活性剤/高級アルコール0.14を添加したものからなる酸化染毛剤組成物を用いたエアゾール式毛髪化粧料組成物製品を使用した等量吐出性を保存後良好に維持する方法。」に係る発明(以下「甲1方法発明」という。)
3 対比・判断
異議申立理由1Aに関して
(1)本件特許発明1について
ア 甲1発明との対比・判断
(ア)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含むエアゾール式毛髪化粧料組成物製品であって、二重構造容器に充填して使用され、」「使用した二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、」「第2剤として、35%過酸化水素水」が含まれている「酸化染毛剤組成物を用いたエアゾール式毛髪化粧料組成物製品」であることは、本件特許発明1の「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品」に該当する。
また、甲1発明の「第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料がポリエチレンで、噴射剤として圧縮窒素を使用し、二重構造容器の内圧が0.5MPaであ」ることは、噴射剤は、内容器と外容器の間に圧縮窒素が充填され、標準状態の温度(25℃)における0.5MPaの圧力を形成していることはエアゾール式毛髪化粧料組成物製品の技術常識から明らかであるので、圧力範囲の上下限を考慮すると、本件特許発明1の「該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤が充填されており、」「該第1内容器及び第2内容器の各々が、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成されて」いることに該当するといえる。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明と、「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品であって、
該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤が充填されており、
該第1内容器及び第2内容器の各々が、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成されている、
エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品。」の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-1:本件特許発明1においては、「第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び」「第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々が0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下であ」ると特定されているものの、甲1発明においては、第1内容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び第2内容器の形成材の曲げ剛性E(s)の各々の値及びE(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)の値の範囲がともに明らかでない点。
相違点2-1:本件特許発明1においては、「第1剤の30℃における粘度V(f)と」「第2剤の30℃における粘度V(s)の各々が8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下で、それらの比V(f)/V(s)が0.5以上1.5以下であり、第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)が0.8以上1.2未満である」と特定されているものの、甲1発明においては、「第1剤及び第2剤は」「粘度が5000~50000mPa・sの範囲」であると特定され、第1剤と第2剤の粘度の比の範囲や、第2剤の質量と第1剤の質量の比は明らかではない点。
(イ)判断
a 相違点1-1について
(a)甲第1号証においては、甲1発明の認定の根拠となった実施例1に関する記載以外の他の記載においても、第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々の値に関して記載も示唆もなく、当然E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)の値についても示唆すらない。
そして、優先日時点の技術常識を考慮しても、甲1発明において、「第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び」「第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々が0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下であ」るように、特定の数値範囲に特定することが容易に想到できるとはいえない。
(b)さらに、甲第2号証~甲第5号証について検討する。
甲第2号証は、ブランド名として、「Hoyu Men’s Bigen Gray Hair」(ホーユー メンズビゲン グレイヘアー)との商品の商品情報であり、掲載が2014年11月に行われたことが理解できる(摘記(2a))。
一方で、甲第2-1号証又は甲第2-2号証においては、製品箱の各面又は製品ボトルの側面の写真の記載として、「メンズビゲン グレーヘア ダークグレー」「メンズビゲン Nヘアカラー 01」との商品名の記載や、「1剤:40g 2剤:40g」との2剤式の製品であることに関する記載や、有効成分として過酸化水素、その他の成分として強アンモニア水」が含まれていることの記載や「加圧されている製品」であることが理解できる記載が読みとれるものの、甲第2号証の商品情報とも商品名ですら正確には一致していない上に、商品がどのような製品構造をしているものであるかは、製品箱の各面又は製品ボトル側面の写真の記載からは不明である(摘記(2-1)、摘記(2-2))。
したがって、甲第2号証のホーユー メンズビゲン グレイヘアーの商品内容と、甲第2-1号証の製品箱の各面又は製品ボトル側面の写真の記載の内容が、同じ商品に関するものとして、併せて理解できるものとはいえない。
次に、風合い測定の成績書である甲第3号証に関してみても、分析した供試品がどのような経緯で入手されたもので、どのように依頼者から提供されたものか全く不明であり、「メンズビゲン Nヘアカラー」という符号に記載された記載が甲第2号証の商品情報の製品や甲第2-1号証の製品箱の写真や甲第2-2号証の製品ボトル側面の写真の記載と類似していること以外共通するところはない。
さらに、試験片が製品のどの部材であるのか、B(+)やB(-)、2HB(+)や2HB(-)の値がどのような値であるのか、供試品の具体的測定条件に関しても、測定方向や測定面が依頼者の指示であることが読みとれる記載があるだけで、一部の条件以外不明である。
したがって、甲第3号証で示された、メンズビゲン Nヘアカラー 1剤及び2剤に関して記載されたB(+)やB(-)、2HB(+)や2HB(-)の値が甲第2号証の商品情報の製品や甲第2-1号証の製品箱又は甲第2-2号証の製品ボトル側面の写真の製品のどの部材の測定結果と理解すればよいのかさえ不明である。
以上のとおりであるので、甲第2号証、甲第2-1号証、甲第2-2号証及び甲第3号証を考慮しても、甲1発明のエアゾール式毛髪化粧料組成物製品の特定の部材の特定の性質に関する相違点1-1に関する構成である第1の内容器及び第2の内容器のパウチ容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下とし、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)を0.3以上4以下とすることが周知の技術的事項であるとはいえない。
甲第4号証は、ブランド名として、「Lucido」(ルシード)との商品の商品情報であり、掲載が2015年1月に行われたことが理解できる(摘記(4a))。
一方で、甲第4-1号証においては、製品箱の各面の写真の記載として、「ルシード ワンプッシュケアカラー ナチュラルブラック」「DヘアカラーNB」との商品名の記載や、「1剤:50g 2剤:50g」との2剤式の製品であることに関する記載や、第1剤に「炭酸水素アンモニウム」が含まれていることや、第2剤の有効成分として「過酸化水素」が含まれていることの記載や「加圧されている製品」で、「2つのクリームを同時に出せる」ことが理解できる記載が読みとれ、甲第4-2号証においては、「ルシード ワンプッシュケアカラー ナチュラルブラック」が、販売名として「DヘアカラーNB」であるとの商品名の記載や、「1剤:50g 2剤:50g」との2剤式の製品であることに関する記載や、「加圧されている製品」であることが理解できる記載が読みとれるものの、甲第4号証の商品情報とも商品名ですら正確には一致していない上に、商品がどのような製品構造をしているものであるかは、製品箱又は製品ボトル側面の写真の記載からは不明である(摘記(4-1)摘記(4-2))。
したがって、甲第4号証のルシードの商品内容と、甲第4-1号証の製品箱の各面又は甲第4-2号証の製品ボトル側面の写真の記載の内容が、同じ商品に関するものとして、併せて理解できるものとはいえない。
さらに、風合い測定の成績書である甲第5号証に関してみても、分析した供試品がどのような経緯で入手されたもので、どのように依頼者から提供されたものか全く不明であり、「ルシード Dヘアカラー」という符号に記載された記載が甲第4号証の商品情報の製品や甲第4-1号証の製品箱や甲第4-2号証の製品ボトル側面の写真の記載と類似していること以外共通するところはない。
さらに、試験片が製品のどの部材であるのか、B(+)やB(-)、2HB(+)や2HB(-)の値がどのような値であるのか、供試品の具体的測定条件に関しても、測定方向や測定面が依頼者の指示であることが読みとれる記載があるだけで、一部の条件以外不明である。
したがって、甲第5号証で示された、ルシード Dヘアカラー 1剤及び2剤に関して記載されたB(+)やB(-)、2HB(+)や2HB(-)の値が甲第4号証の商品情報の製品や甲第4-1号証の製品箱又は甲第4-2号証の製品ボトル側面の写真の製品のどの部材の測定結果と理解すればよいのかさえ不明である。
以上のとおりであるので、甲第4号証、甲第4-1号証、甲第4-2号証及び甲第5号証を考慮しても、甲1発明のエアゾール式毛髪化粧料組成物製品の特定の部材の特定の性質に関する相違点1-1に関する構成である第1の内容器及び第2の内容器のパウチ容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下とし、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)を0.3以上4以下とすることが周知の技術的事項であるとはいえない。
(c)さらに、甲第6号証は、二剤同時吐出型染毛剤に関する文献であり、第一剤と第二剤の粘度の値や粘度の比率に関する記載はあるものの、内装パウチの曲げ剛性の値や比率に関する記載はないので、甲第6号証を考慮しても、甲1発明において、相違点1-1の構成を当業者が容易になし得る技術的事項であるということはできない。
したがって、甲第2~5号証を考慮しても、相違点1-1に関する周知の技術的事項が認定できず、甲第6号証の技術的事項を考慮しても、甲1発明において、相違点1-1の第1の内容器及び第2の内容器のパウチ容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下とし、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)を0.3以上4以下とすることは、当業者が容易になし得る技術的事項とはいえない。
b 本件特許発明1の効果について
本件特許発明1は、前記第2の請求項1に特定したように、「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品」において、
「該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤が充填されており、」
「該第1内容器及び第2内容器の各々が、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成されており、該第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び該第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々が0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下であり、」
「該第1剤の30℃における粘度V(f)と該第2剤の30℃における粘度V(s)の各々が8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下で、それらの比V(f)/V(s)が0.5以上1.5以下であり、」
「第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)が0.8以上1.2未満である」との構成を採用することで、本件明細書【0011】に記載される「エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品」として、「分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器による第1剤と第2剤の吐出量を等量に最初から最後まで維持でき、経時的にも等量吐出性を維持させることができる。」という予測できないかつ顕著な効果を奏しているといえる。
c 特許異議申立人の主張の検討
特許異議申立人は、甲第1号証の表1~4より、実施例1~24について、第1剤と第2剤とが正確に質量比1:1で混合された場合を仮定して混合物中の界面活性剤の含有量の範囲を計算できることを前提とすることで、エアゾール式酸化染毛剤又は毛髪脱色剤の甲1-1発明を認定し進歩性の異議申立て理由を主張している。
しかしながら、個別に成分組成が特定されて記載されている実施例1~24をまとめて認定しかつ第1剤と第2剤とが正確に質量比1:1で混合されているという根拠のない仮定を前提とした引用発明を認定している点で、上記特許異議申立人の進歩性の主張を採用することはできない。
また、特許異議申立人は、相違点1-1に関する本件特許発明1の構成を、甲第2号証の商品及び甲第4号証の商品の、それぞれ風合い測定の成績書をそれぞれ、甲第3号証、甲第5号証として提出することで、甲1-1発明において、第1の内容器及び第2の内容器の曲げ剛性の値やそれらの比が本願出願前(本件特許の優先日時点と理解する。)周知であったので採用することは当業者が容易に想到する旨主張している。
しかしながら、上述したとおり、甲第2号証、甲第2-1号証及び甲第2-2号証、又は甲第4号証、甲第4-1号証及び甲第4-2号証から製品の第1の内容器及び第2の内容器等の内部構造は不明であり、依頼したとする甲第3号証及び甲第5号証の供試品との関係や測定内容が不明であるから、甲第2号証、甲第2-1号証及び甲第2-2号証、甲第4号証、甲第4-1号証及び甲第4-2号証、甲第3号証及び甲第5号証から、甲1-1発明との内部構造としての関連性が不明な状態において、甲1-1発明の第1の内容器及び第2の内容器の曲げ剛性の値やそれらの比が本件特許の優先日時点で周知であったとする主張の根拠がない。
よって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明1は、相違点2-1について検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証に基づく技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本件特許発明2~11について
本件特許発明2~11は、いずれも、本件特許発明1において、さらに技術的限定を加えた発明であって、本件特許発明2においては、ポリオレフィン樹脂の種類をポリエチレン樹脂に、本件特許発明3においては、第1剤及び第2剤の粘度の範囲をさらに限定し、本件特許発明4及び5では、界面活性剤を含有すること、本件特許発明6~8においては、高級アルコールを含有すること、本件特許発明9~11においては、曲げ剛性の値の範囲、30℃における内圧、第1剤及び第2剤の粘度比の範囲をさらに特定しているものの、少なくとも上記相違点1-1と同一又は同様の相違点を有する。
したがって、上記(1)で論じたのと同様の理由により、本件特許発明2~11は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証に基づく技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)異議申立理由1Aの判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~11は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証に基づく技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、異議申立理由1Aには、理由がない。
異議申立理由1Bに関して
(1)本件特許発明12について
ア 甲1方法発明との対比・判断
(ア)対比
本件特許発明12と甲1方法発明とを対比すると、甲1方法発明の「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を構成に含むエアゾール式毛髪化粧料組成物製品であって、二重構造容器に充填して使用され、」「使用した二重構造容器は、各々独立に設けた前記第1剤を充填する第1の内容器と前記第2剤を充填する第2の内容器とが同一の外容器に収容されており、第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、」「第2剤として、35%過酸化水素水」が含まれている「酸化染毛剤組成物を用いたエアゾール式毛髪化粧料組成物製品を使用した等量吐出性を保存後良好に維持する方法」であることは、本件特許発明12の「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性の向上方法」と、「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性に関する方法」において共通している。
また、甲1方法発明の「第1の内容器及び第2の内容器はいずれもパウチ容器で、各パウチ容器の最内層を構成する樹脂材料がポリエチレンで、噴射剤として圧縮窒素を使用し、二重構造容器の内圧が0.5MPaであ」ることは、噴射剤は、内容器と外容器の間に圧縮窒素が充填され、標準状態の温度(25℃)における0.5MPaの圧力を形成していることはエアゾール式毛髪化粧料組成物製品の技術常識から明らかであるので、圧力範囲の上下限を考慮すると、本件特許発明12の「該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤を充填し、」「該第1内容器及び第2内容器の各々を、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成したものと」していることに該当するといえる。
したがって、本件特許発明12は、甲1方法発明と、「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性に関する方法であって、
該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤を充填し、
該第1内容器及び第2内容器の各々を、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成したものとした、
エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における前記方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1-12:本件特許発明12においては、「第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び」「第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下と」すると特定されているものの、甲1方法発明においては、第1内容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び第2内容器の形成材の曲げ剛性E(s)の各々の値及びE(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)の値の範囲がともに明らかでない点。
相違点2-12:本件特許発明12においては、「第1剤の30℃における粘度V(f)と」「第2剤の30℃における粘度V(s)の各々が8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下、それらの比V(f)/V(s)が0.5以上1.5以下とし、
第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)を0.8以上1.2未満とする」と特定されているものの、甲1方法発明においては、「第1剤及び第2剤は」「粘度が5000~50000mPa・sの範囲」であると特定され、第1剤と第2剤の粘度の比の範囲や、第2剤の質量と第1剤の質量の比は明らかではない点。
相違点3-12:本件特許発明12は、「等量吐出性の向上方法」であるのに対して、甲1方法発明は、「等量吐出性を保存後良好に維持する方法」である点。
(イ)判断
a 相違点1-12について
本件特許発明12は、本件特許発明1のエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品の発明をエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性の向上方法として記載したものにすぎず、前記異議申立理由1Aの(1)ア(イ)で相違点1-1について検討したのと同様に、甲第2~5号証を考慮しても、相違点1-12に関する周知の技術的事項が認定できず、甲第6号証の技術的事項を考慮しても、甲1方法発明において、相違点1-12の第1の内容器及び第2の内容器のパウチ容器の形成材の曲げ剛性E(f)及び曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下とし、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)を0.3以上4以下とすることは、当業者が容易になし得る技術的事項とはいえない。
b 本件特許発明12の効果について
本件特許発明12は、前記第2の請求項12に特定したように、「アルカリ剤を含有する第1剤が充填された第1内容器、及び過酸化水素を含有する第2剤が充填された第2内容器の両方を収納する外容器を備えたエアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性の向上方法」において、
「該外容器と各内容器との間の空間に、30℃における内圧が0.4MPa以上0.8MPa以下となるように噴射剤を充填し、」
「該第1内容器及び第2内容器の各々を、最内層にポリオレフィン樹脂層を有する多層構造のシート材を貼り合わせて形成したものとし、該第1内容器のシート材の曲げ剛性E(f)及び該第2内容器のシート材の曲げ剛性E(s)の各々を0.3gf・cm2/cm以上2.4gf・cm2/cm以下、E(f)とE(s)の比率E(f)/E(s)が0.3以上4以下とし、」
「該第1剤の30℃における粘度V(f)と該第2剤の30℃における粘度V(s)の各々を8,000mPa・s以上80,000mPa・s以下、それらの比V(f)/V(s)が0.5以上1.5以下とし、」
「第2内容器内の第2剤の質量M(s)と第1内容器内の第1剤の質量M(f)の比M(s)/M(f)が0.8以上1.2未満とする」との構成を採用することで、本件明細書【0011】に記載される「エアゾール型染毛用又は毛髪脱色用化粧品における等量吐出性の向上方法」として、「分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器による第1剤と第2剤の吐出量を等量に最初から最後まで維持でき、経時的にも等量吐出性を維持させることができる。」という予測できないかつ顕著な効果を奏しているといえる。
(ウ)小括
したがって、本件特許発明12は、相違点2-12及び相違点3-12を検討するまでもなく、甲1方法発明及び甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)特許異議申立理由1Bの判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証に記載された技術的事項及び甲第2~5号証に基づく技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、異議申立理由1Bには、理由がない。
4 特許異議申立理由の判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~12は、甲第1号証記載の発明並びに甲第6号証記載の技術的事項及び甲第2号証~甲第5号証に基づく技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、特許異議申立理由には、理由がない。
第5 むすび
したがって、請求項1~12に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、取り消すことができない。
また、ほかに請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700772