審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2023-700756

転写型感光性フィルム、硬化膜パターンの形成方法、硬化膜及びタッチパネル

審判番号
2023-700756
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-508390
登録番号
7210091
請求日
2023年07月21日
審決日
2024年07月05日
公報発行日
2024年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社レゾナック
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】清水 義憲
  • 【権利者代理人】平野 裕之
  • 【権利者代理人】青木 博昭
  • 【権利者代理人】和田 雄二
  • 【権利者代理人】吉住 和之
  • 【異議申立人】平位 和也
審判長/審判官
  • 審判長 山澤 宏
  • 審判官 篠塚 隆
  • 審判官 野崎 大進
分類
P1651.121-YAA(G06F) / P1651.113-YAA(G06F) / P1651.537-YAA(G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7210091号発明「転写型感光性フィルム、硬化膜パターンの形成方法、硬化膜及びタッチパネル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7210091号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2、7、9〕、〔3-6、8、10-11〕について訂正することを認める。 特許第7210091号の請求項1-11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7210091号の請求項1-11に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)3月28日を国際出願日とする特許出願であって、令和5年1月13日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月23日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての本件特許異議の申し立ての経緯は、次のとおりである。 令和 5年 7月21日 :特許異議申立人 平位 和也(以下、「申立人」という。) による全請求項に係る特許に対する特許異議申立書の提出 令和 5年10月24日付け:取消理由通知書 令和 5年12月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 6年 3月15日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 令和5年12月28日にされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、特許第7210091号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-11について訂正することを求める、というものであり、訂正の内容は、以下の(1)-(5)からなる訂正事項のとおりである(なお、下線は訂正部分を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000001.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」とあるのを、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000002.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 と訂正する(請求項1を引用する請求項2、7及び9も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3の 「前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、請求項1又は2に記載の転写型感光性フィルム。」 とあるのを、独立形式に改め、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え、 前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであり、 前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000003.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」と訂正する(請求項3を引用する請求項7及び9も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4の 「前記第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルム。」 とあるのを、独立形式に改め、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を更に備える、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000004.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」と訂正する(請求項4を引用する請求項5、8、10及び11も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6の 「ITO電極パターン及びインデックスマッチング層を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルム。」 とあるのを独立形式に改め、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 ITO電極パターン及びインデックスマッチング層を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000005.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11の 「請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層の硬化膜、又は、請求項4又は5に記載の転写型感光性フィルムの前記第二の樹脂層の硬化膜及び前記第一の樹脂層の硬化膜、からなる硬化膜パターンを備える、タッチパネル。」 とあるのを、請求項1を引用する部分を独立形式に改め、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層の硬化膜、又は、請求項4又は5に記載の転写型感光性フィルムの前記第二の樹脂層の硬化膜及び前記第一の樹脂層の硬化膜、からなる硬化膜パターンを備える、タッチパネル。 【化1】 [図:0001415275000006.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 と訂正する。 2.別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項3~6、8及び10~11については、当該請求項について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めるものである。 3.訂正要件についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1-11について、請求項2-11は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1-11に対応する訂正後の請求項〔1-2、7、9〕、〔3-6、8、10-11〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無等 ア 訂正事項1について (ア)訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明は、「第一の樹脂層」について「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含」むことを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は、「前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含み」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における第一の樹脂層の構成をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項2、7及び9は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2、7及び9に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項1は、「第一の樹脂層」という発明特定事項を概念的により下位の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含」む第一の樹脂層にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 同様に、訂正後の請求項2、7及び9は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2、7及び9に係る発明において、「第一の樹脂層」という発明特定事項を概念的により下位の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含」む第一の樹脂層にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)新規事項の追加の有無について 訂正事項1は、明細書記載の第一の樹脂層の説明に基づいて導き出される構成である。この第一の樹脂層に係る説明として、段落【0039】には、「第一の樹脂層20は、バインダーポリマー(以下、(A)成分ともいう)と、光重合性化合物(以下、(B)成分ともいう)と、光重合開始剤(以下、(C)成分ともいう)と、を含有する感光性樹脂組成物から形成されることが好ましい。」と記載され、段落【0044】には、「本実施形態においては、硬化膜の透湿度を低減する観点から、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを用いることができる。」との記載がなされていることから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (エ)独立特許要件について 本件においては訂正前の請求項全部について異議の申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項3において「前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、請求項1又は2に記載の転写型感光性フィルム。」 と記載されているのを、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え、 前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであり、 前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000007.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 へと訂正するものである。 この訂正は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項3に係る発明では、転写型感光性フィルムについて、「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え」ることのみを特定していた。 これに対して、訂正後の請求項3に係る発明では、転写型感光性フィルムが、「前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え」、「前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであ」ることを特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項2における訂正前の請求項3に「前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、請求項1又は2に記載の転写型感光性フィルム。」と記載されているのを、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え、 前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであり、 前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000008.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 へと訂正したことは、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正前の請求項3に係る発明では、転写型感光性フィルムについて、「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え」ることが記載されているのを、転写型感光性フィルムが「前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え」、さらに「前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであ」ることへと訂正したことは、「転写型感光性フィルム」を概念的により下位の転写型感光性フィルムにするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)新規事項の追加の有無について 訂正事項2において、転写型感光性フィルムが「前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え」、さらに「前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであ」ることへと訂正したことは、明細書の段落【0034】に「これらの転写型感光性フィルムは、感光性樹脂層上又は第二の樹脂層上に設けられた保護フィルムを更に備えていてもよい。」と記載され、段落【0104】に「保護フィルム40としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン一酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン一酢酸ビニル共重合体のフィルム、及び、これらのフィルムとポリエチレンの積層フィルム等が挙げられる。」と記載されていることから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (エ)独立特許要件について 本件においては訂正前の請求項全部について異議の申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項4に記載された「を、を更に備え」は、「を更に備え」の明らかな誤記であり、明細書の段落【0020】に「上記本発明に係る転写型感光性フィルムは、第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を更に備えることができる。」と記載されていることから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とする訂正である。 同様に、訂正後の請求項5、8、10及び11は、訂正後の請求項4の記載を引用することから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項3は、単に請求項中の誤記を訂正するためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)新規事項の追加の有無について 訂正事項3は、明細書の段落【0020】に記載されている「上記本発明に係る転写型感光性フィルムは、第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を更に備えることができる。」という正しい記載に基づいて誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (エ)独立特許要件について 本件においては訂正前の請求項全部について異議の申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項6の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更、及び新規事項の追加の有無について 訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (ウ)独立特許要件について 本件においては訂正前の請求項全部について異議の申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項5について (ア)訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、請求項1の記載を引用していた部分について独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更、及び新規事項の追加の有無について 訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (ウ)独立特許要件について 本件においては訂正前の請求項全部について異議の申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4.小括 以上のとおりであるから、訂正事項1-5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、特許権者から訂正後の請求項3-6、8及び10-11については、当該請求項について訂正が認められた場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われる求めがあったことから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2、7、9〕、〔3-6、8、10-11〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件特許発明 本件訂正請求により訂正された請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」-「本件訂正発明11」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000009.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) 【請求項2】 前記アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤が、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドを含む、請求項1に記載の転写型感光性フィルム。 【請求項3】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層の上に設けられる保護フィルムをさらに備え、 前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであり、 前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000010.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) 【請求項4】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 前記第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を更に備える、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000011.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) 【請求項5】 前記第二の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物を含む、請求項4に記載の転写型感光性フィルム。 【請求項6】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルムであって、 ITO電極パターン及びインデックスマッチング層を有する基材上に硬化膜を形成するために用いられる、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000012.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) 【請求項7】 電極パターンを有する基材上に、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムの前記第一の樹脂層を、前記基材の前記電極パターンが設けられている側と前記第一の樹脂層とが密着するようにラミネートする工程と、 前記基材上の前記第一の樹脂層の所定部分を露光後、前記所定部分以外を除去し、前記電極パターンの一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する工程と、 を備える、硬化膜パターンの形成方法。 【請求項8】 電極パターンを有する基材上に、請求項4又は5に記載の転写型感光性フィルムの前記第二の樹脂層及び前記第一の樹脂層を、前記基材の前記電極パターンが設けられている側と前記第二の樹脂層とが密着するようにラミネートする工程と、 前記基材上の前記第二の樹脂層及び前記第一の樹脂層の所定部分を露光後、前記所定部分以外を除去し、前記電極パターンの一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する工程と、 を備える、硬化膜パターンの形成方法。 【請求項9】 請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層を硬化してなる、硬化膜。 【請求項10】 請求項4又は5に記載の転写型感光性フィルムの前記第一の樹脂層のみ、又は、前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層の両方を硬化してなる、硬化膜。 【請求項11】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層の硬化膜、又は、請求項4又は5に記載の転写型感光性フィルムの前記第二の樹脂層の硬化膜及び前記第一の樹脂層の硬化膜、からなる硬化膜パターンを備える、タッチパネル。 【化1】 [図:0001415275000013.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1-3、7及び9に係る特許に対して、令和5年10月24日に特許権者に通知した取消理由は、次のとおりである。 請求項1-3、7及び9に係る発明は、甲第1号証(以下「甲1」という。)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1-3、7及び9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 甲1:特開2012-255925号公報 (2)請求項1について ア 請求項1に係る発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」という。)は、以下のとおりのものである。 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000014.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) イ 甲1、甲1発明1 (ア)甲1 甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 a.「【請求項6】 支持体と、該支持体上に形成された請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備える感光性エレメント。」 b.「【0098】 感光性エレメントが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。」 c.「【請求項1】 (a)分子内に1個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂と、(b)分子内に1個以上のエチレン性不飽和基とトリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーと、(c)光重合開始剤と、(d)エポキシ樹脂を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(a)成分が、重量平均分子量の異なる2種以上の化合物を含む感光性樹脂組成物。」 d.「【0082】 本発明の感光性樹脂組成物は、特に銅等の金属との密着が必要とされる場合、密着性向上剤として、メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物及びその誘導体、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の添加剤類を用いることができる。例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン-フェノール-ホルマリン樹脂、ジシアンジアミド、四国化成工業株式会社製;2MZ-AZINE、2E4MZ-AZINE、C11Z-AZINE、2MA-OK等が挙げられる。あるいはエチルジアミノ-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-s-トリアジン等のトリアジン誘導体類が挙げられる。これらの化合物は銅回路との密着性を上げ耐PCT性を向上させ、HAST耐性にも効果がある。これらは(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して0.1~10質量%で使用されるのが好ましい。 【0083】 また、本発明では、密着性、硬度等の特性を向上する目的で必要に応じて無機フィラーを用いることが好ましい。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤が使用できる。その使用量は、好ましくは0~70質量%である。」 e.「【0051】 <(b)成分> 本発明の(b)成分は、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーである。 【0052】 (b)成分としては、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジオールジアクリレート及びトリシクロデカンジオールジメタクリレートからなる群から選択される1種以上であると好ましい。これらは商業的には、NKエステルDCP、NKエステルA-DCP(いずれも新中村化学工業株式会社製)として入手可能である。 【0053】 さらに、上記(b)成分としてウレタン結合を有するものを使用する場合は、下記の一般式(1)又は一般式(2)で示される部分構造を有する(b)成分を使用することも好ましい。 【0054】 【化4】 [図:0001415275000015.jpg] 【0055】 【化5】 [図:0001415275000016.jpg] 【0056】 「一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2は、直接結合、アルキレン、又はアリーレン基を示す」 上記アルキレン基としては、炭素数2~20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2~6のアルキレン基であることがさらに好ましい。 【0057】 炭素数2~6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられるが、解像度、耐めっき性の点からエチレン基又はイソプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。 【0058】 上記アリーレン基としては、炭素数は6~14のアリーレン基であることが好ましく、炭素数6~10のアリーレン基であることがより好ましい。このようなアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。 【0059】 上記(b)成分として、上記の一般式(1)又は一般式(2)で示される部分構造を有する化合物を使用する場合、(b1)トリシクロデカン構造を含むジオール化合物と、(b2)ジイソシアネート化合物と、(b3)分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と1個のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン化合物であることが好ましい。」 f.「【0066】 <(c)成分:光重合開始剤> 本発明で用いる(c)光重合開始剤としては、使用する露光機の光波長にあわせたものであれば特に制限はなく、公知のものを利用することができる。具体的には例えば、ベンゾフェノン、N,N′-テトラアルキル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、9-フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン等のクマリン系化合物、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物などが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。 【0067】 レジスト形状をより良好にする観点から、ホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることが好ましい。そのような化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイドのものとしては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドがあり、ビスアシルホスフィンオキサイドのものとしては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、が挙げられる。それぞれ、DAROCURE-TPO、IRGACURE-819(いずれもチバ・ジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能である。 【0068】 また、感度向上を目的にオキシムエステルを有する化合物をさらに含有することが好ましい。上記オキシムエステルを有する化合物としては、例えば、(2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン)、(1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム))が挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。」 g.「【0101】 本発明の感光性樹脂組成物又は感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、初めに、其々、公知のスクリーン印刷、ロールコータにより塗布する工程、又はラミネート等により貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層する。次いで、必要に応じて上述した感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を行い、活性光線を、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される。なお、レジストを形成する基板とは、プリント配線板、半導体パッケージ用基板、フレキシブル配線板を指す。」 (イ)甲1発明1 上記(ア)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 「支持体と、該支持体上に形成された感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備え、 支持体としては、重合体フィルムが挙げられ、 必要に応じて無機フィラーを用いることが好ましく、無定形シリカが使用でき、その使用量は、好ましくは0~70質量%であり、 感光性樹脂組成物は、(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂と、(b)トリシクロデカン構造を有する光重合性モノマーと、(c)光重合開始剤と、を含有し、 (c)光重合開始剤としては、ホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることが好ましく、そのような化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドが挙げられ、それぞれ、DAROCURE-TPO、IRGACURE-819(いずれもチバ・ジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能であり、 オキシムエステルを有する化合物をさらに含有することが好ましく、上記オキシムエステルを有する化合物の市販品としては、IRGACURE-OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられ、 感光性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成方法は、初めに、ラミネートにより貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層し、次いで、必要に応じて感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を行う、重合体フィルム。」 ウ 対比・判断 本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)甲1発明1の「支持体」は、「重合体フィルムが挙げられ」るから、本件特許発明1の「支持フィルム」に相当する。 (イ)甲1発明1の「感光性樹脂組成物層」は、本件特許発明1の「第一の樹脂層」に相当する。 (ウ)甲1発明1の「感光性樹脂組成物」には、「必要に応じて無機フィラーを用いることが好ましく、無定形シリカが使用でき、その使用量は、好ましくは0~70質量%であ」る。使用量として、「0質量%」も選択し得るから、甲1発明1の「感光性樹脂組成物」は、シリカフィラーを含まない「感光性樹脂組成物」も開示されているといえ、本件特許発明1の「第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)」に一致する。 (エ)甲1発明1の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(b)トリシクロデカン構造を有する光重合性モノマー」は、「トリシクロデカン骨格を有する光重合性化合物」であることは明らかであって、本件特許発明1の「第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物」と、「第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格を有する光重合性化合物」「を含」む限度において一致する。 (オ)甲1発明1の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(c)光重合開始剤」は、「2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドが挙げられ、それぞれ、DAROCURE-TPO、IRGACURE-819(いずれもチバ・ジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能であ」るところ、本件特許明細書の【0067】に「アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ホスフィネートが挙げられる。アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤は、IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE TPO-L(以上、BASF株式会社製、製品名)として入手可能である。」と記載されるように、甲1発明1の「2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド」、「ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド」、「商業的に入手可能であ」る「IRGACURE-819(」「チバ・ジャパン社製、商品名)」が本件特許発明1の「アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤であることは、当業者ならば明らかである。 (カ)甲1発明1の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(c)光重合開始剤」として、「さらに含有」される「オキシムエステルを有する化合物」は、「市販品としては、IRGACURE-OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられ」るところ、本件特許明細書の【0070】-【0071】、【0076】に、 「【0070】 【化3】 [図:0001415275000017.jpg] 【0071】 式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることがより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基であることがさらに好ましい。R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示し、-H、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH、又は-COO(CH2)2OHであることが好ましく、-H、-O(CH2)2OH、又は-COO(CH2)2OHであることがより好ましい。」、 「【0076】 上記一般式(1)で表される化合物は、IRGACURE OXE 01(BASF株式会社製、製品名)として入手可能である。」と記載されるように、甲1発明1の「オキシムエステルを有する化合物の市販品として」の「IRGACURE-OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」が本件特許発明1の「オキシムエステル系光重合開始剤」であって、下記一般式(1)で表される化合物であることは、当業者ならば明らかである。 【化1】 [図:0001415275000018.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) (キ)甲1発明1の「重合体フィルム」は、「感光性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成」のために、「初めに、ラミネートにより貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層し、次いで、必要に応じて感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を行」うものであるから、転写型のフィルムであって、さらに、「感光性樹脂組成物」が積層されているから、「転写型感光性フィルム」といえる。 したがって、本件特許発明1と甲1発明1とは、 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000019.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 で一致し、相違点は存在しない。 よって、本件特許発明1は、甲1発明1である。 (3)請求項2について ア 請求項2に係る発明 本件特許の請求項2に係る発明(以下「本件特許発明2」という。)は、以下のとおりである。 「前記アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤が、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドを含む、請求項1に記載の転写型感光性フィルム。」 イ 甲1発明2 (ア)甲1発明2 甲1発明1の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(c)光重合開始剤としては、ホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることが好ましく、そのような化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド」「が挙げられ」ることも記載されている(以下「甲1発明2」という。)。 ウ 対比・判断 本件特許発明2と甲1発明2とは、 「前記アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤が、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドを含む」 でも一致し、相違点は存在しない。 よって、本件特許発明2は、甲1発明2である。 (4)請求項3について ア 請求項3に係る発明 本件特許の請求項3に係る発明(以下「本件特許発明3」という。)は、以下のとおりである。 「前記第一の樹脂層が、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含む、請求項1又は2に記載の転写型感光性フィルム。」 イ 甲1、甲1発明3 (ア)甲1 甲1発明1の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂」として、甲1には、次の事項も記載されている。 h.「【0033】 また、本発明の(a)成分である分子内に1個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂は、分子内に2つ以上の水酸基及びエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物を用いることも好ましい。」 i.「【0040】 このようなポリウレタン化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が例示できる。 【0041】 【化3】 [図:0001415275000020.jpg] 【0042】ここで、一般式(3)中、R7はエポキシアクリレートの残基、R8はジイソシアネートの残基、R9は炭素数1~5のアルキル基、R10は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なってもいてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。」 (イ)甲1発明3 上記(ア)から、甲1には、甲1発明1、2に加え、次の発明(以下「甲1発明3」という。)も記載されていると認められる。 「(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂は、ポリウレタン化合物を用いることも好ましく、下記一般式(3)で表される化合物が例示できる。 【化3】 [図:0001415275000021.jpg] ここで、一般式(3)中、R7はエポキシアクリレートの残基、R8はジイソシアネートの残基、R9は炭素数1~5のアルキル基、R10は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なってもいてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。」 ウ 対比・判断 本件特許発明3と甲1発明3とを対比すると、次のことがいえる。 甲1発明3の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂は、」「下記一般式(3)で表される化合物」が含まれる。 「【化3】 [図:0001415275000022.jpg] ここで、一般式(3)中、R7はエポキシアクリレートの残基、R8はジイソシアネートの残基、R9は炭素数1~5のアルキル基、R10は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なってもいてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。」 上記一般式(3)は、「側鎖に分岐構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有することが読み取れる。また、上記化合物が、バインダーポリマーであることは、明らかである。 そうすると、甲1発明3の「感光性樹脂組成物」に「含有」される「上記一般式(3)で表される」「(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂」「化合物」は、本件特許発明3の「側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマー」と、「側鎖に分岐構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有する」「バインダーポリマー」を含む限度において一致するから、本件特許発明3と甲1発明3とに相違点は存在しない。 よって、本件特許発明3は、甲1発明3である。 (5)請求項7について ア 請求項7に係る発明 本件特許の請求項7に係る発明(以下「本件特許発明7」という。)は、以下のとおりである。 「電極パターンを有する基材上に、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムの前記第一の樹脂層を、前記基材の前記電極パターンが設けられている側と前記第一の樹脂層とが密着するようにラミネートする工程と、 前記基材上の前記第一の樹脂層の所定部分を露光後、前記所定部分以外を除去し、前記電極パターンの一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する工程と、 を備える、硬化膜パターンの形成方法。」 イ 甲1、甲1発明7 (ア)甲1 甲1には、次の事項も記載されている。 g.(新たな下線を付し、再掲) 「【0101】 本発明の感光性樹脂組成物又は感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、初めに、其々、公知のスクリーン印刷、ロールコータにより塗布する工程、又はラミネート等により貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層する。次いで、必要に応じて上述した感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を行い、活性光線を、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される。なお、レジストを形成する基板とは、プリント配線板、半導体パッケージ用基板、フレキシブル配線板を指す。」 j.「【0105】 この感光性樹脂組成物層は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、良好なラミネート温度安定性、優れた解像性、優れた平坦性、耐クラック性、HAST耐性、金めっき性を有するので、プリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用のソルダーレジスト(永久レジスト)として有効である。」 (イ)甲1発明7 上記(ア)から、甲1には、甲1発明1-3に加え、次の発明(甲1発明7)も記載されていると認められる。 「感光性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成方法は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、初めに、ラミネートにより貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層し、次いで、必要に応じて感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程を行い、 活性光線を、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行い、照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される、保護膜を兼ねるレジストパターンの形成方法。」 ウ 対比・判断 本件特許発明7と甲1発明7とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)甲1発明7の「基板」は、本件特許発明7の「基材」に相当する。 (イ)甲1発明7では、「感光性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成方法は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、初めに、ラミネートにより貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に積層」するが、甲1発明7において、電極パターンを有する基板上に、重合体フィルムの感光性樹脂組成物層を、前記基板の前記電極パターンが設けられている側と感光性樹脂組成物層とが密着するようにラミネートすることは明らかである。 (ウ)甲1発明7の「光硬化され」た「保護膜」は、「硬化膜」といえる。 (エ)甲1発明7では、「活性光線を、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射して、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行い、照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される」から、本件特許発明7と、「基材上の前記第一の樹脂層の所定部分を露光後、前記所定部分以外を除去し、前記電極パターンの一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する工程」を有する点で一致する。 したがって、本件特許発明7と甲1発明7とは、 「電極パターンを有する基材上に、転写型感光性フィルムの前記第一の樹脂層を、前記基材の前記電極パターンが設けられている側と前記第一の樹脂層とが密着するようにラミネートする工程と、前記基材上の前記第一の樹脂層の所定部分を露光後、前記所定部分以外を除去し、前記電極パターンの一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する工程と、 を備える、硬化膜パターンの形成方法」 でも一致し、相違点は存在しない。 よって、本件特許発明7は、甲1発明7である。 (6)請求項9について ア 請求項9に係る発明 本件特許の請求項9に係る発明(以下「本件特許発明9」という。)は、以下のとおりである。 「請求項1~3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層を硬化してなる、硬化膜。」 イ 甲1、甲1発明9 上記(5)イ(イ)を踏まえれば、甲1には、次の発明(甲1発明9)も記載されていると認められる。 「甲1発明7の保護膜を兼ねるレジストパターンの形成方法で形成された保護膜。」 ウ 対比・判断 上記(5)ウcで述べたように、甲1発明9の「保護膜」は、「硬化膜」といえる。甲1発明9は、本件特許発明9と、「転写型感光性フィルムにおける前記第一の樹脂層を硬化してなる、硬化膜」の点でも一致しているから、本件特許発明9と甲1発明9とに相違点は存在しない。 よって、本件特許発明9は、甲1発明9である。 第5 取消理由についての当審の判断 1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について (1)本件訂正発明1について 甲1発明3は、上記第4(2)イ(イ)で認定した甲1発明1の構成に加え、上記第4(4)イ(イ)で認定した構成とからなる。本件訂正発明1と甲1発明3を対比すると、本件訂正発明1と甲1発明3とは以下の点で相違する。 <相違点1> 本件訂正発明1は、第一の樹脂層に含まれるバインダーポリマーが、側鎖に脂環構造を有する基を含有するのに対して、甲1発明3は、感光性樹脂組成物層に含まれる樹脂として式(3)で示されるポリウレタン化合物が、側鎖に脂環構造を有する基を含有することについては特定していない点。 【化3】 [図:0001415275000023.jpg] ここで、一般式(3)中、R7はエポキシアクリレートの残基、R8はジイソシアネートの残基、R9は炭素数1~5のアルキル基、R10は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なってもいてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。 本件訂正発明1と甲1発明3とは上記相違点1で相違するから、本件訂正発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなくなった。 (2)本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を減縮した発明であって、本件訂正発明1が甲1発明3と相違するから、本件訂正発明2も、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (3)本件訂正発明3について 甲1には、下記の事項も記載されている。 ア 「【0096】 次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。 本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。」 イ 「【0118】 続いて、感光性樹脂組成物層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF-15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性エレメント(感光性フィルム)を得た。」 甲1には、甲1発明3の構成に加え、以下の構成からなる発明(以下「甲1発明4」という。)が記載されている。 「感光性樹脂組成物層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF-15、タマポリ株式会社製、商品名)が保護フィルムとして貼り合わされている」 本件訂正発明3と甲1発明4を対比すると、本件訂正発明3と甲1発明4とは以下の点で相違する。 <相違点2> 本件訂正発明3は、「前記第一の樹脂の上に設けられる保護フィルムをさらに備え、前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムであ」るのに対して、甲1発明4は、感光性樹脂組成物の支持体と接している側とは反対側の表面上に張り合わされる保護フィルムをさらに備え、保護フィルムがポリエチレンである点。 本件訂正発明3と甲1発明4とは上記相違点2で相違するから、本件訂正発明3は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなくなった。 (4)本件訂正発明7及び9について 本件訂正発明7及び9は、本件訂正発明1又は3を減縮した発明であって、本件訂正発明1及び3が、甲1発明3、甲1発明4と相違するから、本件訂正発明7及び9も、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1-3、7及び9は、甲1発明3、甲1発明4と相違するから、本件訂正発明1-3、7及び9は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 第6 取消理由において、採用しなかった特許異議申立理由について 1.申立理由の概要 (1)理由1(特許法第29条第1項第3号) ・訂正前の請求項11 甲1に記載された発明である。 ・訂正前の請求項1-4、7、9 甲3に記載された発明である。 (2)理由2(特許法第29条第2項) ・訂正前の請求項1、2、7、9 甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項3、8 甲1、甲2-4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項4、5、11 甲1、甲2-5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項6 甲1-3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項10 甲1、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項11 甲1、甲2-4、6、又は、甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項1-4 甲2、甲1又は甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項5 甲2、甲1、甲4、甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項6-11 甲2、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項1-2、7、9、11 甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項3 甲3、甲1、2、4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項4 甲3、甲1、2、甲4、5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項5、8、10 甲3、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項6 甲3、甲2、4、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 ・訂正前の請求項11 甲3、甲1、2、4-6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができた発明である。 (3)理由3(特許法第36条第6項第1号) ・訂正前の請求項1-11について 訂正前の請求項1-11の記載は、本件特許発明に係る課題を解決することについて、発明の詳細な説明によって十分には裏付けられていないため、請求項1-11の記載は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 (4)理由4(特許法第36条第6項第2号) ・訂正前の請求項4-11について 訂正前の請求項4-11の記載は不明瞭であり、請求項4-11に係る発明が不明確である。 2.証拠一覧 甲第1号証:特開2012―255925号公報 甲第2号証:特開2016-051470号公報 甲第3号証:特開2011-248188号公報 甲第4号証:特開2015-121929号公報 甲第5号証:特開2017-156590号公報 甲第6号証:特願2016-192182号公報 第7 当審の判断 1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について (1)甲1発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明11の新規性について検討する。 本件訂正発明11は、本件訂正発明1-3、又は、本件訂正発明4又は5を、さらに減縮し、タッチパネルの発明としたものある。 本件訂正発明11と甲1発明4を対比すると、本件訂正発明11と甲1発明4とは少なくとも以下の点で相違する。 <相違点3> 本件訂正発明11は、「タッチパネル」であるのに対して、甲1発明4は、このような構成について特定されていない点。 本件訂正発明11と甲1発明4とは上記相違点3で少なくとも相違し、当該相違点3は実質的なものであるから、本件訂正発明11は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (2)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明1の新規性について検討する。 ア 甲3には次の事項が記載されている。 (ア)「【0124】 (感光性フィルムの作製) 表1及び表2に示した各成分を、そこに示す配合比(質量基準)で混合することにより実施例1~6、比較例1~6の感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、希釈剤には、メチルエチルケトンを使用した。 【0125】 表1及び表2に示される各成分として下記のものを使用した。 (a)成分 EXP-2811:酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名) ZFR-1158:ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) CCR-1219H:クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) UXE-3024:ウレタン変性エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)樹脂(1):アクリル共重合体(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの共重合体で重量平均分子量60000、酸価110mgKOH/g、ZP-18、日立化成工業株式会社製) (b)成分 DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名) UX-5002D-M20:トリシクロデカン構造含有ウレタンアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) (c)成分 TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・ジャパン社製、商品名) OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(イルガキュアOXE-02、チバ・ジャパン社製、商品名) (d)成分 NC-3000H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量286、ジャパンエポキシレジン株式会社製) (その他の成分) BL-3175:ブロック型イソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名) ヒタロイド9082:ウレタンアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名) DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)FA-321M:ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名) ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名) メラミン(日産化学工業株式会社製、商品名) フタロシアニンブルー(東洋インキ製造株式会社製) (e)成分 シリカフィラー成分には、以下の材料を使用した。 シリカA:シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA-EX150」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。 シリカB:シリカフィラーの平均粒径が1μmでメチルエチルケトン中にスラリー状に分散されているシリカフィラー分散体SC2050(株式会社アドマテックス製)使用した。分散状態は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT-3100」(日機装株式会社製)を用いて測定した。最大粒径は約3μmとなっていることを確認した。 【0126】 フィラーとしての硫酸バリウム分散液の調整を以下の方法で調整した。上記(b)成分又は(b)成分とは異なる、分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、硫酸バリウム50質量部、メラミン2.0質量部、メチルエチルケトン50質量部をスターミルLMZ(アシザワファインテック株式会社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速12m/sにて3時間分散して硫酸バリウム分散液を調整した。 【0127】 次いで、調整した感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2-16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。 【0128】 続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF-15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、支持層/感光性樹脂組成物層/保護フィルムを有してなる感光性フィルムを得た。 【0130】 【表2】 [図:0001415275000024.jpg] 」 (イ)上記【表2】の比較例2には、シリカフィラーは含まれないことが記載されている。 イ 上記アから、甲3には、次の発明(以下「甲3発明1」という。)が記載されている。 「シリカフィラーは含まれず、 DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名)と、 TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・ジャパン社製、商品名)とから感光性樹脂組成物液を得て、 感光性樹脂組成物溶液を支持層であるフィルム上に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成した、感光性フィルム。」 ウ 本件訂正発明1と甲3発明1とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)甲3発明1の「支持層であるフィルム」は、本件訂正発明1の「支持フィルム」に相当する。 (イ)甲3発明1の「シリカフィラーは含まれず、」「感光性樹脂組成物溶液を支持層であるフィルム上に塗布することにより」「形成した」感光性樹脂組成物層は、後記の除き、本件訂正発明1の「第一樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)」に一致する。 (ウ)甲3発明1の「DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名)」は、本件訂正発明1の「トリシクロデカン骨格を有する光重合性化合物」に相当し、本件訂正発明1の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物」と、「トリシクロデカン骨格を有する光重合性化合物」を含む限度において一致する。 (エ)甲3発明1の「TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・ジャパン社製、商品名)」は、本件訂正発明1の「アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤」に相当する。 (オ)甲3発明1の「感光性フィルム」は、本件訂正発明1の「転写型感光性フィルム」に相当する。 したがって、本件訂正発明1と甲3発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤とを含む、転写型感光性フィルム。」 <相違点4> 本件訂正発明1では、「第一の樹脂層が、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含」むのに対して、甲3発明1の第一の樹脂層は、このような構成について特定されていない点。 <相違点5> 本件訂正発明1の第一の樹脂層に含まれる「オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である」のに対して、甲3発明1の第一の樹脂層に含まれる光重合開始剤が、下記式(1)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤であるのかどうか不明である点。 【化1】 [図:0001415275000025.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) 本件訂正発明1と甲3発明1とは上記相違点4、5の点で相違し、これらは実質的なものであるから、本件訂正発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (3)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明2の新規性について検討する。 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を減縮した発明である。上記(2)で検討したように、本件訂正発明1と甲3発明1とは上記相違点4、5の点で相違するから、本件訂正発明2も、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (4)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明3の新規性について検討する。 本件訂正発明3は、訂正前の本件特許発明1を引用する訂正前の本件特許発明3をさらに減縮した発明である。 上記(2)を踏まえると、本件訂正発明3と甲3発明1との間には、少なくとも、上記相違点5の点で相違し、上述したように、これは実質的なものであるから、本件訂正発明3も、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (5)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明4の新規性について検討する。 本件訂正発明4は、訂正前の本件特許発明1を引用する訂正前の本件特許発明4である。 上記(2)を踏まえると、本件訂正発明4と甲3発明1との間には、少なくとも、上記相違点5の点で相違し、上述したように、これは実質的なものであるから、本件訂正発明4も、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 (6)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明7、9の新規性について検討する。 本件訂正発明7、9は、本件訂正発明1、2又は3を減縮した発明である。 上記(2)を踏まえると、本件訂正発明1と甲3発明1とは少なくとも、上記相違点5の点で相違する以上、本件訂正発明7、9も、甲3発明1との間も、少なくとも、上記相違点5の点で相違するから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。 2.本件特許の明細書並びに甲第1号証-甲第4号証及び甲第6号証のそれぞれに記載された発明の解決しようとする課題について ア 本件特許の明細書には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0003】 タッチパネルは各種の方式が実用化されているが、近年、投影型静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標を表現するために、複数のX電極と、該X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成している。これらの電極の材料として、ITO(Indium-Tin-Oxide、酸化インジウムスズ)が主流である。 【0004】 ところで、タッチパネルの額縁領域はタッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。一般的に額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために銅等の金属配線が形成されている。タッチパネルにおいては、指先に接触される際に水分又は塩分等の腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、上記金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加、又は断線の恐れがある。 【0005】 金属配線の腐食を防ぐために、タッチパネル用基材上に、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂組成物層を設け、この感光性樹脂組成物層の所定部分を活性光線の照射により硬化させた後に、所定部分以外を除去し、基材の一部又は全部を被覆する感光性樹脂組物の硬化膜を形成する方法が提案されている(下記特許文献1を参照)。この手法によれば、タッチパネル用基材上に充分な低透湿性を有する硬化膜を形成することができる。 【0006】 他方で、投影型静電容量方式のタッチパネルには、透明電極パターンが形成された部分と、形成されていない部分との光学的な反射特性の違いにより色差が大きくなり、モジュール化した際に透明電極パターンが画面上に映りこむ、いわゆる「骨見え現象」の問題がある。また、基材と透明電極との間、又はモジュール化する際に使用するカバーガラスと透明電極パターンとを接着する視認性向上フィルム(OCA:Optical Clear Adhesive)と透明電極パターンとの間で、反射光強度が増加し、画面の透過率を低下させるという問題もある。」 (イ)「【0010】 本発明者らは、ジシクロペンタニル構造(以下、トリシクロデカン骨格という)又はジシクロペンテニル構造(以下、トリシクロデセン骨格という)を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いた転写型感光性フィルムを検討した。そして、この転写型感光性フィルムによって形成される硬化膜パターンの低透湿性及び密着性の向上を検討するなかで、透明電極パターン上に硬化膜を形成したときに、透明電極パターンがIM層上に設けられていても、電極のパターンがより顕著に見えてしまう(パターン見えが発生する)場合があることを見出した。 【0011】 パターン見えの要因について本発明者らはさらに検討したところ、ITO電極パターン上に設けられた硬化膜の表面には凹み(段差ともいう)が発生しており、これがパターン見えとして視認され得ることを見出した。 【0012】 本発明は、電極パターン上に段差を抑制しつつ充分な低透湿性を有する硬化膜パターンを良好に形成することができる転写型感光性フィルム、並びに、それを用いる硬化膜パターンの形成方法及びタッチパネルを提供することを目的とする。 【0013】 上記課題を解決するために本発明者らは段差の発生の要因について検討したところ、ITO電極上及びIM層上に硬化膜を同条件で形成したときに、IM層上に設けられた感光性樹脂層の反応率がITO電極上よりも小さくなることを確認し、このことに基づき凹みの発生の要因は、1)露光工程において、感光性樹脂層の反応率の低い箇所から高い箇所に未反応の光重合性化合物が移行すること、2)露光・現像後の感光性樹脂層を加熱するアニール工程において、未反応の光重合性化合物が揮発すること及び反応率の高い箇所と低い箇所とで熱収縮差が生じること、にあると仮定した。そして、本発明者らは、上記1)及び2)の事象を抑制する観点から、露光量の差を設けた露光工程と、アニール工程とを有する段差評価試験を用いて感光性樹脂層の組成を検討した結果、特定の光重合性化合物と特定の光重合開始剤とを組み合わせて用いることにより、反応率差を抑制できるとともに、段差を小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、未反応の光重合性化合物を減らすために光重合開始剤を増量するという方法のみでは、現像残渣が生じる場合があり、硬化膜パターンを良好に形成することが困難となる。 【0014】 本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層と、を備え、第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤とを含む転写型感光性フィルムを提供する。 【0015】 本発明に係る転写型感光性フィルムによれば、上記構成を有することにより、透明電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる。硬化膜パターンは、電極パターンの防錆膜として機能させることができる。 【0016】 なお、上記の効果が得られる理由としては、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤を用いることにより分子量の大きい光重合性化合物であっても充分な重合反応率が得られることで、上記1)及び2)の事象が抑制できたためと考えられる。 【0017】 トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物の配合量を高めると、硬化膜パターンの低透湿化及び密着性向上に有効である一方で、透明電極パターン上に設けられた硬化膜パターンに発生する段差が大きくなる傾向にある。本発明によれば、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物とアシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤とを組み合わせることにより、段差を抑制しつつ、高水準の低透湿性及び高密着性を有する硬化膜パターンを形成することができる。」 (ウ)「【発明の効果】 【0028】 本発明によれば、電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる転写型感光性フィルム、並びに、それを用いる硬化膜パターンの形成方法及びタッチパネルを提供することができる。」 上記(ア)-(ウ)の記載によると、本件訂正発明1は、タッチパネルにおけるITO電極パターン上に設けられた硬化膜の表面には凹み(段差ともいう)が発生しており、これがパターン見えとして視認され得る、という課題を解決するためのもので、タッチパネルにおける電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる、という効果を奏するものであるといえる。 ところで、申立人が特許異議申立書で提示した甲第1号証-甲第4号証、甲第6号証(以下「甲1」等という。)には、それぞれ、次の事項が記載されている。なお、甲5は、本件特許の出願後に公開された文献であるので検討をしないこととする。 イ 甲1には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0007】 一方で配線の狭ピッチ化に伴って、回路間のソルダーレジスト埋め込み性が非常に重要な項目となっている。この埋め込み性が不十分であると、回路間に気泡が入り絶縁信頼性や熱衝撃信頼性といった各種信頼性の低下を招く可能性がある。半導体パッケージの薄肉化に伴って、接続端子間も狭ピッチ化し、ソルダーレジストの薄膜化、及び接続信頼性確保の為にソルダーレジストの表面平滑性が求められている。この表面平滑性を満足し、気泡無く微細配線間やスルーホール部分にソルダーレジストを埋め込む為には、ラミネート時に樹脂成分が十分に流動する必要がある。つまり、樹脂成分の分子量やラミネート温度の制御が重要である。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は感光層のベタツキを抑え、埋め込み性、表面平坦性に優れた感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプのアルカリ現像可能な感光性エレメント、永久レジストを提供することを目的とする。」 (ウ)「【発明の効果】 【0015】 本発明の感光性樹脂組成物によれば、感光性ソルダーレジスト(永久レジスト)のベタツキ、解像性、めっき耐性、表面平滑性、埋め込み性に優れた、プリント配線板、半導体パッケージ基板、フレキシブル配線板に最適なソルダーレジストを形成できる感光性エレメント、それらを用いた永久レジストを提供することができる。」 ウ 甲2には、次の事項が記載されている。 (ア)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 タッチパネル用電極パターンの保護層の形成においては、銅配線の腐食抑制等のため、塩水付与後の湿熱耐性(耐汗性)を良化する方法が種々検討されている。これまでに重合性官能基や重合開始剤についての検討がなされてきたが、十分な効果は得られていない。 特許文献1及び2は、転写フィルムや感光性シートを用いて絶縁層や保護層等を形成する方法について開示しているが、塩水付与後の湿熱耐性に関しては不十分である。 本発明が解決しようとする課題は、塩水付与後の湿熱耐性に優れたタッチパネル電極の保護膜が得られる、タッチパネル電極保護膜形成用組成物、転写フィルム、積層体、及び、タッチパネル用電極の保護膜の形成方法を提供することである。 更に、本発明が解決しようとする課題は、上記タッチパネル電極保護膜形成用組成物、転写フィルム、及び、タッチパネル用電極の保護膜の形成方法を用いて作製されてなるタッチパネル用電極の保護膜、静電容量型入力装置、及び、それらの静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置を提供することである。」 (イ)「【発明の効果】 【0006】 本発明によれば、塩水付与後の湿熱耐性に優れたタッチパネル電極の保護膜が得られる、タッチパネル電極保護膜形成用組成物、転写フィルム、積層体、及び、タッチパネル用電極の保護膜の形成方法を提供することができる。 更に、本発明によれば、上記タッチパネル電極保護膜形成用組成物、転写フィルム、及び、タッチパネル用電極の保護膜の形成方法を用いて作製されてなるタッチパネル用電極の保護膜、静電容量型入力装置、及び、それらの静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置を提供することができる。」 エ 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0009】 ところで、ネガ型の感光性樹脂組成物は露光により硬化させて現像するが、現像性を向上(高解像度)するためには、未露光部の現像液に対する溶解性を高めることが有効である。未露光部の溶解性を高めるためには、感光性樹脂組成物中に親水基を導入する方法が有り、このような親水基としてカルボキシル基を使用した場合は、親水性の高さは酸価によって表され、高酸価の樹脂であるほど溶解性が高くなる。 【0010】 しかし、ソルダーレジストのような永久レジストの場合、高酸価のポリマーであるほど吸水率が高くなるために、高温高湿条件下での絶縁抵抗(HAST耐性)、耐熱性の低下が起こりやすい。上記のように、現像性、高耐熱性及びHAST性を同時に満たす感光性樹脂組成物の開発には困難が伴う。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明は現像性を損なうことなく、微細配線間でのHAST耐性に優れ、かつ高耐熱性を有するアルカリ現像可能な保管安定性のある感光性樹脂組成物、及びそれを用いた感光性フィルム、永久レジストを提供することを目的とする。」 (ウ)「【発明の効果】 【0025】 本発明によれば、現像性に優れ、かつ十分なHAST耐性を有し、高耐熱性を得るアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプの感光性フィルム、永久レジストを提供することができる。さらに本発明の感光性樹脂組成物は、シリカフィラーの効果により、樹脂の熱膨張係数を大きく低減することが可能で、TCT(テンパラチャーサイクルテスト)に対しての高いクラック耐性を持った信頼性の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。」 オ 甲4には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0007】 しかしながら、上述のようなタッチパネルは、指先に接触される際に水分や塩分などの腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加や、断線の恐れがあった。 【0008】 金属配線の腐食を防ぐために、必要な箇所にレジスト膜を設ける方法として、所定の基材上に感光性樹脂組成物からなる感光層を設けてこの感光層を露光、現像する方法が知られている(例えば、特許文献1~3)。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0010】 しかし、上記特許文献に記載の手法では、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を使用することにより、高い透明性と防錆性の両立を実現しているが、上記光重合性化合物を用いた組成物では防錆性と透湿性を両立する上で改善の余地があった。 【0011】 本発明は、所望の形状を有し、透明性に優れるとともに、薄膜であっても充分な低透湿性と防錆性を有することができる硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法、それに用いる感光性樹脂組成物、感光性エレメントと、硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法により得られるタッチパネルを提供することを目的とする。」 (ウ)「【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、所定のタッチパネル用基材上に、薄膜であっても充分な低透湿性及び高い防錆性を有する硬化膜を有する硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法、そのような硬化膜を形成できる感光性樹脂組成物及び感光性エレメント、並びに硬化膜付きタッチパネル用基材を備えるタッチパネルを提供することができる。」 カ 甲6には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0002】 タッチパネル等の表示装置は、通常、ガラス基板および透明樹脂製基板等の透明基板上に、パターン状の透明電極層が設けられた積層体を有する。前記積層体では、透明基板上の、透明電極層を有する部分(図1中のA部分)と透明電極層を有さない部分(図1中のB部分)との光学特性の差が大きい。このため、タッチパネル等の表示装置が、その前面部分に前記積層体を有すると、表示装置の視認性が低下するという問題、例えば透明電極層(パターン)の骨見えという問題がある。 【0003】 上記問題を解決するために、透明基板と透明電極層との間に屈折率の異なる層(インデックスマッチング層)を設けることで、透明電極層を有する部分と有さない部分との光学特性の差を小さくし、視認性を向上させることが行われている(特許文献1~3参照)。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 インデックスマッチング層(IM層)は、通常、透明基板上にIM層の前駆体である塗膜を形成し、この塗膜に紫外線(UV)等の活性エネルギー線を照射して形成されている。しかしながら、この場合、透明基板とIM層との密着性が低く、透明基板からIM層の剥離が生じることがある。 【0006】 本発明の課題は、インデックスマッチング層を有する積層体において、上記剥離が防止された積層体、およびその製造方法を提供することにあり、また、インデックスマッチング層を形成するための硬化性組成物を提供することにある。」 (ウ)「【発明の効果】 【0019】 本発明によれば、インデックスマッチング層を有する積層体において、上記剥離が防止された積層体、およびその製造方法を提供することができる。また、インデックスマッチング層を形成するための硬化性組成物を提供することができる。」 キ 甲1-4及び甲6それぞれの解決しようとする課題のまとめ 上記イの記載によると、甲1発明は、気泡無く微細配線間やスルーホール部分にソルダーレジストを埋め込む為には、ラミネート時に樹脂成分が十分に流動する必要がある、という課題を解決するためのもので、感光性ソルダーレジスト(永久レジスト)のベタツキ、解像性、めっき耐性、表面平滑性、埋め込み性に優れた、プリント配線板、半導体パッケージ基板、フレキシブル配線板に最適なソルダーレジストを形成できる、という効果を奏するものであるといえる。 上記ウの記載によると、甲2発明は、塩水付与後の湿熱耐性を良化する、という課題を解決するためのもので、塩水付与後の湿熱耐性に優れたタッチパネル電極の保護膜が得られる、という効果を奏するものであるといえる。 上記エの記載によると、甲3発明は、現像性、HAST耐性及び高耐熱性を同時に満たす、という課題を解決するためのもので、現像性に優れ、かつ十分なHAST耐性を有し、高耐熱性を得るアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプの感光性フィルム、永久レジストを提供することができる、という効果を奏するものであるといえる。 上記オの記載によると、甲4発明は、透明性に優れるとともに、防錆性と透湿性を両立する、という課題を解決するためのもので、所定のタッチパネル用基材上に、薄膜であっても充分な低透湿性及び高い防錆性を有する硬化膜を有する硬化膜付きタッチパネル用基材を提供することができる、という効果を奏するものであるといえる。 上記カの記載によると、甲6発明は、透明電極層(パターン)の骨見えという問題に対応するために設けたインデックスマッチング層(IM層)を有する積層体において、透明基板からのIM層の剥離を防止する、という課題を解決するためのもので、インデックスマッチング層を有する積層体において、透明基板からのIM層の剥離が防止された積層体を提供することができる、という効果を奏するものであるといえる。 3.理由2(特許法第29条第2項)について (1)甲1発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明1の進歩性について検討する。 上記第5 1(1)で検討したとおり、本件訂正発明1と甲1発明3を対比すると、上記相違点1の点で相違する。 甲1発明の解決しようとする課題と、甲2発明-甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、上記2 キで検討したように、異なっているから、上記相違点1に係る事項が、仮に、甲2-甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲1発明3に、甲2-甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲1発明3、並びに甲2-甲4及び甲6に記載された事項から、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成を容易に想到することはできない。 (2)甲1発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明2、3、7、9の進歩性について検討する。 上記第5 1(2)-(4)で検討したとおり、本件訂正発明2、3、7、9と甲1発明3又は4とは、相違点が存在する。 甲1発明の解決しようとする課題と、甲2発明-甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、相違点に係る事項が、仮に、甲2-甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲1発明3又は4に、甲2-甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲1発明3又は4、並びに甲2-甲4及び甲6に記載された事項から、相違点に係る本件訂正発明2、3、7、9の構成を容易に想到することはできない。 (3)甲1発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明4、6、11の進歩性について検討する。 本件訂正発明4、6、11と甲1発明4を対比すると、本件訂正発明4、6、11と甲1発明4とは少なくとも上記第5 1(3)の相違点2の点で相違する。 そうすると、甲1発明の解決しようとする課題と、甲2発明-甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、相違点2に係る事項が、仮に、甲2-甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲1発明4に、甲2-甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲1発明4、並びに甲2-甲4及び甲6に記載された事項から、上記相違点2に係る本件訂正発明4、6の構成を容易に想到することはできない。 (4)甲1発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明5、8、10の進歩性について検討する。 本件訂正発明5、8、10は、本件訂正発明4を減縮した発明である。本件訂正発明4が甲1発明4を主引用発明とした場合に進歩性を有するから、本件訂正発明5、8、10も進歩性を有する。 (5)甲2発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明1の進歩性について検討する。 ア 甲2には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 成分Aとして、式1で表される化合物と、 成分Bとして、バインダーポリマーと、 成分Cとして、光重合開始剤と、を含有することを特徴とする タッチパネル電極保護膜形成用組成物。 Q2-R1-Q1 (1) 式1中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、R1は二価の炭化水素基を表す。」 (イ)「【0149】 (実施例1~31及び比較例1~5) 1.転写フィルムに用いる材料の調製 <タッチパネル電極保護膜形成用組成物の調製> 以下の表1~3に記載の各成分を用い、タッチパネル電極保護膜形成用組成物の組成物1~組成物28を調製した。 なお、表1~表3中、各組成物の欄に記載の数値は、該当する化合物の含有量(質量部)を表し、「-」の記載は、該当する成分を含有していないことを表している。 【0150】 【表1】 [図:0001415275000026.jpg] 【0151】 【表2】 [図:0001415275000027.jpg] 【0152】 【表3】 [図:0001415275000028.jpg] 【0153】 表中の記号が表す化合物は以下の通りである。 〔成分A〕 A-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(2官能、A-DCP、新中村化学工業(株)製) A-2:1,9-デカンジオールジアクリレート(2官能、A-DOD-N、新中村化学工業(株)製) A-3:1,9-ノナンジオールジメタアクリレート(2官能、NOD-N、新中村化学工業(株)製) A-4:ネオペンチルグリコールジメタクリレート(2官能、NPG、新中村化学工業(株)製) A-5:ジプロピレングリコールジアクリレート(2官能、APG-100、新中村化学工業(株)製) A-6:ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート(2官能、9PG、新中村化学工業(株)製) A-7:ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物のテトラアクリレート(4官能、カヤラッドRP-1040、日本化薬(株)製) A-8:DPHA液(6官能、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート:38%、ジペンタエリスルトールペンタアクリレート:38%、1-メトキシ-2-プロピルアセテート:24%) 〔成分D〕 D-1:多塩基酸変性アクリルオリゴマーM-520 (5~6官能、東亞合成(株)製) D-2:ウレタンアクリレート8UX-015A (15官能、大成ファインケミカル(株)製) D-3:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート (3官能、A-9300S、新中村化学工業(株)製) D-4:多塩基酸変性アクリルオリゴマーTO-2349 (5~6官能、東亞合成(株)製) 〔成分B〕 B-1:ポリマー溶液1(特開2008-146018号公報の段落番号<0058>に記載の構造式P-25:重量平均分子量=35,000、酸価56mgKOH/g) B-2:ポリマー溶液2(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチルの共重合体:分子量60,000、組成比=30/30/40、酸価106mgKOH) B-3:ポリマー溶液3(下記式Bで表される化合物を含有するポリマー溶液。式中、x、l、y及びzは各モノマー単位の含有率(モル%)を表し、x:l:y:z=51.5:2:26.5:20である。重量平均分子量=30000、PGMEA溶液 固形分36%) B-4:ポリマー溶液4(下記式Bで表される化合物を含有するポリマー溶液。式中、x、l、y及びzは各モノマー単位の含有率(モル%)を表し、x:l:y:z=43:2:20:35。重量平均分子量=40000、PGMEA溶液 固形分36%) 〔成分C〕 C-1:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン(Irgacure379、BASF社製) C-2:カヤキュアーDETX-S(日本化薬(株)製、アルキルチオキサントン) C-3:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](Irgacure OXE-01、BASF社製) C-4:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Irgacure907、BASF社製) C-5:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム) (Irgacure OXE-02、BASF社製) 〔添加剤〕 F-1:フェノチアジン(和光純薬工業(株)製) F-2:デュラネートTPA-B80E(旭化成ケミカルズ(株)製) F-3:メガファックF780(DIC(株)製) F-4:下記合成例による合成品 F-5:メガファックF551(DIC(株)製) 〔成分E〕 E-1:1-メトキシ-2-プロピルアセテート E-2:メチルエチルケトン」 (ウ)「【0158】 2.転写フィルムの作製 表1~表3に記載の保護膜形成用組成物(組成物1~28)を、厚み16(μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムである仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記表6又は表7に記す膜厚になるように塗布量を変更しながら、塗布した。なお、表1~表3中、各組成物の欄に記載の数値は、該当する化合物の含有量(質量部)を表し、「-」の記載は、該当する成分を含有していないことを表している。 120℃の乾燥ゾーンで溶媒を揮発させた後、スリット状ノズルを用いて第二の透明樹脂層用の組成物B-1~B-7を0.1μmの膜厚になるように、塗布量を変更しながら塗布、乾燥させた。乾燥後、第二の透明樹脂層上に保護フィルムとして、16(μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを圧着した。得られた仮支持体、感光性透明樹脂層及び第二の透明樹脂層がこの層構成で形成された積層体を、各実施例及び比較例の転写フィルムとした。なお、表4中、各組成物の欄に記載の数値は、該当する化合物の含有量(質量部)を表し、「-」の記載は、該当する成分を含有していないことを表している。」 イ 上記アより、甲2には、次の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されている。 「成分Aとして、A-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(2官能、A-DCP、新中村化学工業(株)製)を成分とする化合物と、 成分Bとして、バインダーポリマーと、 成分Cとして、C-3:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](Irgacure OXE-01、BASF社製)を成分とする光重合開始剤と、を含有するタッチパネル電極保護膜形成用組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルムである仮支持体の上に塗布した、ポリエチレンテレフタレートフィルム。」 ウ 本件訂正発明1と甲2発明1とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)甲2発明1の「ポリエチレンテレフタレートフィルムである仮支持体」は、本件訂正発明1の「支持フィルム」に相当する。 (イ)甲2発明1の「タッチパネル電極保護膜形成用組成物」は、「成分Aとして、A-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(2官能、A-DCP、新中村化学工業(株)製)を成分とする化合物と、成分Bとして、バインダーポリマーと、成分Cとして、C-3:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](Irgacure OXE-01、BASF社製)を成分とする光重合開始剤と、を含有する」から、本件訂正発明1の「第一の樹脂層」に相当することは明らかである。 (ウ)甲2発明1の「A-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(2官能、A-DCP、新中村化学工業(株)製)を成分とする化合物」は、本件明細書【0061】の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物としては、得られる硬化膜パターンの低透湿性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのトリシクロデカン骨格を有する化合物が好ましい。これらは、DCP及びA-DCP(いずれも新中村化学工業株式会社製)として入手可能である。」との記載から、本件訂正発明1の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物」に相当することは明らかである。 (エ)甲2発明1の「C-3:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](Irgacure OXE-01、BASF社製)を成分とする光重合開始剤」は、本件明細書の 「【0069】 オキシムエステル系光重合開始剤は、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、又は下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。 【0070】 【化3】 [図:0001415275000029.jpg] 【0071】 式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることがより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基であることがさらに好ましい。R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示し、-H、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH、又は-COO(CH2)2OHであることが好ましく、-H、-O(CH2)2OH、又は-COO(CH2)2OHであることがより好ましい。」 「【0076】 上記一般式(1)で表される化合物は、IRGACURE OXE 01(BASF株式会社製、製品名)として入手可能である。」 との記載から、本件訂正発明1の「オキシムエステル系光重合開始剤」であって「下記一般式(1)で表される化合物」に相当することは明らかである。 【化1】 [図:0001415275000030.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。) (オ)甲2発明1の「ポリエチレンテレフタレートフィルム」は、上記cで述べたように成分Aとして光重合性化合物と、成分Cとして光重合開始剤と、を含有するタッチパネル電極保護膜形成用組成物が塗布されたフィルムであるから、本件訂正発明1の「転写型感光フィルム」に相当することは明らかである。 したがって、本件訂正発明1と甲2発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001415275000031.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 <相違点6> 本件訂正発明1の第一樹脂層がアシスフォスフィンオキシド系光重合開始剤を含むのに対して、甲2発明1の第一の樹脂層は、このような構成について特定されていない点。 <相違点7> 本件訂正発明1の第一の樹脂層が側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを含むのに対して、甲2発明1の第一の樹脂層がバインダーポリマーを含むものの、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーであるのかどうか不明である点。 甲2発明の解決しようとする課題と、甲1発明、甲3発明、甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、上記相違点6、7に係る事項が、仮に、甲1、甲3、甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲2発明1に、甲1、甲3、甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲2発明1、並びに甲1、甲3、甲4及び甲6に記載された事項から、上記相違点6、7に係る本件訂正発明1の構成を容易に想到することはできない。 (6)甲2発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明2の進歩性について検討する。 本件訂正発明2は本件訂正発明1を減縮した発明である。本件訂正発明1が甲2発明1を主引用発明とした場合に進歩性を有するから、本件訂正発明2も進歩性を有する。 (7)甲2発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明3、4、6の進歩性について検討する。 本件訂正発明3、4、6、7、9、11と甲2発明1とを対比すると、本件訂正発明3、4、6、7、9、11と甲2発明1とは少なくとも上記(5)の相違点6の点で相違する。 そうすると、甲2発明の解決しようとする課題と、甲1発明、甲3発明、甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、相違点6に係る事項が、仮に、甲1、甲3、甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲2発明1に、甲1、甲3、甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲2発明1、並びに甲1、甲3、甲4及び甲6に記載された事項から、上記相違点6に係る本件訂正発明3、4、6、7、9、11の構成を容易に想到することはできない。 (8)甲2発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明5、8、10の進歩性について検討する。 本件訂正発明5、8、10は、本件訂正発明4を減縮した発明である。本件訂正発明4が甲2発明1を主引用発明とした場合に進歩性を有するから、本件訂正発明5、8、10も進歩性を有する。 (9)甲3発明を主引用発明とした場合の本件訂正発明1-11の進歩性について検討する。 上記1(2)で検討したとおり、本件訂正発明1-11と甲3発明1を対比すると、少なくとも、上記相違点5の点で相違する。 甲3発明の解決しようとする課題と、甲1発明、甲2発明、甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、上記相違点5に係る事項が、仮に、甲1、甲2、甲4及び甲6に記載されていたとしても、甲3発明1に、甲1、甲2、甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲3発明1、並びに甲1、甲2、甲4及び甲6に記載された事項から、上記相違点5に係る本件訂正発明1-11の構成を容易に想到することはできない。 (10)なお、主引用発明を、甲1-3発明以外の甲4発明又は甲6発明のいずれかにしても、当業者が、本件訂正発明1-11の構成を容易に想到することはできないという結論が変わることはない。 (11)申立人の意見について 申立人は、本件訂正発明1-11について、甲1発明に甲2等に記載された技術事項を適用して容易に想到し得た旨主張しているが、上記(1)-(4)で述べたように、甲1発明の解決しようとする課題と、甲2発明-甲4発明及び甲6発明それぞれの解決しようとする課題とは、異なっているから、甲1発明に、甲2-甲4又は甲6に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。したがって、当業者といえども、甲1発明、並びに甲2-甲4及び甲6に記載された事項から、本件訂正発明1-11を容易に発明することができたとはいえない。 4.理由3(特許法第36条第6項第1号)について 申立人は、サポート要件違反を主張しているので、以下検討する。 (1)サポート要件違反の判断の枠組み 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)サポート要件違反とされた特許請求の範囲の記載 申立人がサポート要件違反であると主張した特許請求の範囲の各記載について上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。 ア バインダポリマー、支持フィルムの厚さについて 本件特許明細書には、下記の記載がある。 (ア)「【0013】 上記課題を解決するために本発明者らは段差の発生の要因について検討したところ、ITO電極上及びIM層上に硬化膜を同条件で形成したときに、IM層上に設けられた感光性樹脂層の反応率がITO電極上よりも小さくなることを確認し、このことに基づき凹みの発生の要因は、1)露光工程において、感光性樹脂層の反応率の低い箇所から高い箇所に未反応の光重合性化合物が移行すること、2)露光・現像後の感光性樹脂層を加熱するアニール工程において、未反応の光重合性化合物が揮発すること及び反応率の高い箇所と低い箇所とで熱収縮差が生じること、にあると仮定した。そして、本発明者らは、上記1)及び2)の事象を抑制する観点から、露光量の差を設けた露光工程と、アニール工程とを有する段差評価試験を用いて感光性樹脂層の組成を検討した結果、特定の光重合性化合物と特定の光重合開始剤とを組み合わせて用いることにより、反応率差を抑制できるとともに、段差を小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、未反応の光重合性化合物を減らすために光重合開始剤を増量するという方法のみでは、現像残渣が生じる場合があり、硬化膜パターンを良好に形成することが困難となる。」 そうすると、本件特許請求の範囲において、「第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤と、側鎖に脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーとを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である 【化1】 [図:0001415275000032.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」ことを含む本件訂正発明1-11は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。 よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。 イ トリシクロデセン骨格について 本件特許明細書の【0137】-【0146】には、(B)成分として、A-DCP又はDPHAを採用した実施例について開示されている。そして、本件特許明細書の【0056】には、「(B)成分としては、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物が挙げられる。」との記載もある。そうすると、評価したのは、(B)成分として、A-DCP、すなわち、トリシクロデカン骨格のものだったとしても、本件特許明細書に接した当業者であれば、(B)成分として、トリシクロデカン骨格のみならず、トリシクロデセン骨格のものも本件訂正発明の成分として拡張可能であることを認識されることは明らかであるから、本件訂正発明1-11は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。 よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。 ウ 金属酸化物粒子について 本件特許明細書の【0137】-【0146】には、(E)成分として、E1、すなわち、酸化ジルコニウムナノ粒子を採用した実施例について開示されている。そして、本件特許明細書には、下記の記載がされている。 (ア)「【0094】 金属酸化物粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミウム、酸化イットリウム等の金属酸化物からなる粒子が挙げられる。これらの中でも、骨見え現象抑制の観点から、酸化ジルコニウム又は酸化チタンの粒子が好ましい。」 (イ)「【0098】 第二の樹脂層30は、金属酸化物粒子(以下、(E)成分ともいう)を含有する。(E)成分として、上記金属酸化物粒子のほかに、例えばMg、Al、Si、Ca、Cr、Cu、Zn、Ba等の原子を含む酸化物粒子または硫化物粒子を用いることもできる。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。」 そうすると、評価したのは、(E)成分として、酸化ジルコニウムナノ粒子のものだったとしても、本件特許明細書に接した当業者であれば、(E)成分として、酸化ジルコニウムナノ分散液のみならず、金属酸化物粒子のものまで拡張可能であることを認識されることは明らかであるから、本件特許請求の範囲において、金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層を更に備える、本件訂正発明4、5、8、10、11は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるといえる。 よって、特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反であるとはいえない。 5.理由4(特許法第36条第6項第2号)について 申立人は、明確性要件違反を主張しているので、以下検討する。 (1)明確性要件違反の判断の枠組み 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)不明確とされた特許請求の範囲の記載 申立人が不明確であると主張した特許請求の範囲の記載について上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。 ア 本件明細書の記載 申立人が不明確であると主張した特許請求の範囲の「前記第一の樹脂層上に設けられた金属酸化物粒子を含有する第二の樹脂層」という記載について、本件明細書には以下の記載がある。 (ア)「【0088】 (第二の樹脂層) 第二の樹脂層30は、金属酸化物粒子を含有する層である。第二の樹脂層30は、金属酸化物粒子を含有することにより、第一の樹脂層20よりも相対的に高い屈折率を有することができる。第二の樹脂層30は、633nmにおける屈折率が1.40~1.90の範囲内であることが好ましく、1.50~1.90であることがより好ましく、1.53~1.85であることが更に好ましく、1.55~1.75であることが特に好ましい。また、第二の樹脂層が硬化性成分を含む場合、硬化後における第二の樹脂層の633nmにおける屈折率も上記範囲内であることが好ましい。 【0089】 第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率が上記範囲内であると、硬化膜パターンをITO等の透明電極パターン上に設けた場合に、硬化膜パターン上に使用される各種部材(例えば、モジュール化する際に使用するカバーガラスと透明電極パターンとを接着するOCA)との屈折率の中間値となり、ITO等の透明電極パターンが形成されている部分と形成されていない部分での光学的な反射による色差を小さくすることが可能となり、骨見え現象を防止できる。また、画面全体の反射光強度を低減することが可能となり、画面上の透過率低下を抑制することが可能となる。 【0090】 ITO等の透明電極の屈折率は、1.80~2.10であることが好ましく、1.85~2.05であることがより好ましく、1.90~2.00であることがさらに好ましい。また、OCA等の部材の屈折率は1.45~1.55であることが好ましく、1.47~1.53であることがより好ましく、1.48~1.51であることがさらに好ましい。 【0091】 第二の樹脂層30は、450~650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。また、第二の樹脂層が硬化性成分を含む場合、硬化後における第二の樹脂層の450~650nmの波長域における最小光透過率も上記範囲内であることが好ましい。 【0092】 第二の樹脂層30は、上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有することができ、必要に応じて、上記(D)成分を更に含有することができる。第二の樹脂層30は(B)成分、(C)成分等の光重合成分を必ずしも含有する必要はなく、層形成により隣接する樹脂層から移行する光重合成分を利用して第二の樹脂層を光硬化させることもできる。 【0093】 第二の樹脂層30は、金属酸化物粒子(以下、(E)成分ともいう)を含有する。金属酸化物粒子としては、特に波長633nmにおける屈折率が1.50以上である、金属酸化物粒子を含有することが好ましい。これにより、転写型感光性フィルムを調製した際、第二の樹脂層の透明性及び波長633nmにおける屈折率を向上させることが可能となる。また基材への吸着を抑制しつつ、現像性を向上させることができる。 【0094】 金属酸化物粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミウム、酸化イットリウム等の金属酸化物からなる粒子が挙げられる。これらの中でも、骨見え現象抑制の観点から、酸化ジルコニウム又は酸化チタンの粒子が好ましい。 【0095】 酸化ジルコニウム粒子としては、透明電極の材料がITOの場合、屈折率向上と、ITO及び透明基材との密着性の観点から、酸化ジルコニウムナノ粒子を用いることが好ましい。酸化ジルコニウムナノ粒子の中でも、粒度分布Dmaxが40nm以下であることが好ましい。 【0096】 酸化ジルコニウムナノ粒子は、OZ-S30K(日産化学工業株式会社製、製品名)、OZ-S40K-AC(日産化学工業株式会社製、製品名)、SZR-K(酸化ジルコニウムメチルエチルケトン分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)、SZR-M(酸化ジルコニウムメタノール分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。 【0097】 第二の樹脂層30には、(E)成分として酸化チタンナノ粒子を含有させることも可能である。また、酸化チタンナノ粒子の中でも、粒度分布Dmaxが50nm以下であることが好ましく、10~50nmがより好ましい。 【0098】 (E)成分として、上記金属酸化物粒子のほかに、例えばMg、Al、Si、Ca、Cr、Cu、Zn、Ba等の原子を含む酸化物粒子または硫化物粒子を用いることもできる。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。 【0099】 また上記金属酸化物粒子の他に、例えばトリアジン環を有する化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、フルオレン骨格を有する化合物等の有機化合物を用いることも可能である。これにより波長633nmにおける屈折率を向上させることができる。 【0100】 上記第二の樹脂層30の厚みは、0.01~1μmであってもよく、0.03~0.5μmであることが好ましく、0.04~0.3μmであることがより好ましく、0.07~0.25μmであることがさらに好ましく、0.05~0.2μmであることが特に好ましい。厚みが0.01~1μmであることにより、上述の画面全体の反射光強度をより低減することが可能となる。また、硬化後における第二の樹脂層の厚みも上記範囲内であることが好ましい。 【0101】 第二の樹脂層30の屈折率は、第二の樹脂層が単層で、膜厚が膜厚方向で均一な場合、ETA-TCM(AudioDevGmbH株式会社製、製品名)を用いて以下のように求めることができる。また、以下の測定は、25℃の条件下で行う。 (1)第二の樹脂層を形成するための塗布液を、厚み0.7mm、縦10cm×横10cmのガラス基材上にスピンコーターで均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、第二の樹脂層を形成する。 (2)次いで、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50-CA)内に30分間静置し、第二の樹脂層を有する屈折率測定用試料を得る。 (3)次いで、得られた屈折率測定用試料について、ETA-TCM(AudioDevGmbH株式会社製、製品名)にて波長633nmにおける屈折率を測定する。 【0102】 単層の第一の樹脂層における屈折率も同様の方法で測定することができる。なお、転写型感光性フィルムの形態では、第二の樹脂層単層の屈折率を測定することは難しいため、第二の樹脂層の保護フィルム側の最表面層の値とする。 【0103】 (他の層) 本発明の転写型感光性フィルムは、本発明の効果が得られる範囲で、適宜選択した他の層を設けてもよい。前記他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮蔽層、剥離層、接着層等が挙げられる。転写型感光性フィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有してもよい。また、同種の層を2以上有していてもよい。」 (3)判断 上記(ア)の本件特許明細書の記載から、特許請求の範囲の「第二の樹脂層」は、第一の樹脂層上に設けられ、金属酸化物粒子を含有している樹脂層であることが特定されていると認められる。 したがって、本件特許請求の範囲の「第二の樹脂層」に関して、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件訂正発明1-11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件訂正発明1-11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700756

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ出願・登録の審決1件(出願 特願2019-508390)
  • 2022-008363拒絶査定不服審判 / 2022-12-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)転写型感光性フィルム、硬化膜パターンの形成方法、硬化膜及びタッチパネル
    同じ出願番号
同じ当事者の審決157件(平位 和也、株式会社レゾナック)
  • 2026-700624異議申立
    同じ当事者: 平位 和也、株式会社レゾナック
  • 2026-700320異議申立 / 2026-08-14 / 維持酸化チタン粒子及びその製造方法
    同じ当事者: 株式会社レゾナック
  • 2026-700310異議申立 / 2026-06-29 / 維持磁性粉末、圧粉磁心及び圧粉磁心のリサイクル方法
    同じ当事者: 株式会社レゾナック
  • 2026-700007異議申立 / 2026-06-26 / 維持酸化チタン粒子及びその製造方法
    同じ当事者: 株式会社レゾナック
  • 2026-700186異議申立 / 2026-06-23 / 維持酸化チタン粒子及びその製造方法
    同じ当事者: 株式会社レゾナック
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,800件(113・G06F、121・G06F、537・G06F)
  • 2025-700783異議申立 / 2026-06-04 / 訂正認容情報処理システム、情報処理処理方法及びプログラム
    共通の審決分類: 113・G06F、121・G06F、537・G06F
  • 2025-701031異議申立 / 2026-02-10 / 維持性能予測装置、性能予測方法及び性能予測プログラム
    共通の審決分類: 113・G06F、121・G06F、537・G06F
  • 2024-700548異議申立 / 2025-12-11 / 訂正認容分析プログラム、情報処理装置、および分析方法
    共通の審決分類: 113・G06F、121・G06F、537・G06F
  • 2024-700734異議申立 / 2025-03-25 / 訂正認容印刷物に印刷された文字情報を収集する方法、プログラム及び情報処理装置
    共通の審決分類: 113・G06F、121・G06F、537・G06F
  • 2023-700436異議申立 / 2023-11-14 / 訂正認容曲げ加工時間算出装置、曲げ加工時間算出システムおよびプログラム
    共通の審決分類: 113・G06F、121・G06F、537・G06F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存