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特許拒絶査定不服審判

2022-008363

転写型感光性フィルム、硬化膜パターンの形成方法、硬化膜及びタッチパネル

審判番号
2022-008363
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-508390
請求日
2022年06月01日
審決日
2022年12月13日
公報発行日
2023年01月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】昭和電工マテリアルズ株式会社
  • 【請求人代理人】長谷川 芳樹
  • 【請求人代理人】清水 義憲
  • 【請求人代理人】平野 裕之
  • 【請求人代理人】青木 博昭
  • 【請求人代理人】和田 雄二
  • 【請求人代理人】吉住 和之
審判長/審判官
  • 審判長 稲葉 和生
  • 審判官 中野 裕二
  • 審判官 富澤 哲生
分類
P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-508390「転写型感光性フィルム、硬化膜パターンの形成方法、硬化膜及びタッチパネル」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日国際公開、WO2018/179095、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)3月28日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 1月28日付け:拒絶理由通知書 令和3年 3月15日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 4月 6日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和3年 4月27日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 8月13日付け:拒絶理由通知書 令和3年 9月15日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 2月22日付け:拒絶査定 令和4年 6月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年2月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-3、8、10に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1、3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。さらに、本願請求項5-7、9、11、13に係る発明は、以下の引用文献1、4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2011-248188号公報 2.特開2016-068279号公報 3.特開2013-076821号公報 4.国際公開第2016/031665号 第3 本願発明 本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、令和4年6月1日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層(但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く)と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含み、 前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物である、転写型感光性フィルム。 【化1】 [図:0001393000000001.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」 なお、本願発明2-11の概要は以下のとおりである。 本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明7、8は、それぞれ本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「硬化膜パターンの形成方法」の発明であり、実質的に、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかとカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明9、10は、それぞれ本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「硬化膜」の発明であり、実質的に、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかを減縮した発明である。 本願発明11は、本願発明1-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「タッチパネル」の発明であり、実質的に、本願発明1-5のいずれかを減縮した発明である。 第4 引用文献1、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 「【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明は現像性を損なうことなく、微細配線間でのHAST耐性に優れ、かつ高耐熱性を有するアルカリ現像可能な保管安定性のある感光性樹脂組成物、及びそれを用いた感光性フィルム、永久レジストを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明者らは、 (a)成分:分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する光ラジカル反応性の樹脂、 (b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマー、 (c)成分:光重合開始剤、 (d)成分:エポキシ樹脂、及び (e)成分:シリカフィラー を含有する感光性樹脂組成物であって、上記(e)成分のシリカフィラーの平均粒径が3~300nmであり、かつ、感光性樹脂組成物中に最大粒径が1μm以下で分散されており、その充填量が全質量中の20~70質量%である感光性樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。」 「【発明の効果】 【0025】 本発明によれば、現像性に優れ、かつ十分なHAST耐性を有し、高耐熱性を得るアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプの感光性フィルム、永久レジストを提供することができる。さらに本発明の感光性樹脂組成物は、シリカフィラーの効果により、樹脂の熱膨張係数を大きく低減することが可能で、TCT(テンパラチャーサイクルテスト)に対しての高いクラック耐性を持った信頼性の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。」 「【0057】 (b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマー 本発明で用いる(b)成分は、分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーである。」 「【0070】 (c)成分:光重合開始剤 本発明で用いる(c)光重合開始剤としては、使用する露光機の光波長にあわせたものであれば特に制限はなく、公知のものを利用することができる。具体的には例えば、ベンゾフェノン、N,N’テトラアルキル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、9-フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン等のクマリン系化合物、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物などが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。 【0071】 レジスト形状をより良好にする観点から、フォトブリーチング作用を持つホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることが好ましい。そのような化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイドとしては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドがあり、ビスアシルホスフィンオキサイドとしては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、が挙げられる。それぞれ、IRGACURE-TPO、IRGACURE-819(いずれもチバ・ジャパン社製、商品名)として商業的に入手可能である。 【0072】 また、感度向上を目的にアクリジン環を有する化合物、オキシムエステルを有する化合物をさらに含有することが好ましく、これらは併用することもできる。上記アクリジン環を有する化合物としては、例えば、9-フェニルアクリジン、9-アミノアクリジン、9-ペンチルアミノアクリジン、1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,5-ビス(9-アクリジニル)ペンタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(9-アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,11-ビス(9-アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン等のビス(9-アクリジニル)アルカン、9-フェニルアクリジン、9-ピリジルアクリジン、9-ピラジニルアクリジン、9-モノペンチルアミノアクリジン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-オキサプロパン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタンなどが挙げられ、中でも1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタンがより好ましい。1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタンは、N-1717(株式会社ADEKA製、商品名)として商業的に入手可能である。上記オキシムエステルを有する化合物としては、例えば、(2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン)、(1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム))が挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。」 「【実施例】 【0123】 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。 【0124】 (感光性フィルムの作製) 表1及び表2に示した各成分を、そこに示す配合比(質量基準)で混合することにより実施例1~6、比較例1~6の感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、希釈剤には、メチルエチルケトンを使用した。 【0125】 表1及び表2に示される各成分として下記のものを使用した。 (a)成分 EXP-2811:酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名) ZFR-1158:ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) CCR-1219H:クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) UXE-3024:ウレタン変性エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)樹脂(1):アクリル共重合体(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルの共重合体で重量平均分子量60000、酸価110mgKOH/g、ZP-18、日立化成工業株式会社製) (b)成分 DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名) UX-5002D-M20:トリシクロデカン構造含有ウレタンアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名) (c)成分 TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・ジャパン社製、商品名) OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(イルガキュアOXE-02、チバ・ジャパン社製、商品名) (d)成分 NC-3000H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量286、ジャパンエポキシレジン株式会社製) (その他の成分) BL-3175:ブロック型イソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名) ヒタロイド9082:ウレタンアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名) DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)FA-321M:ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名) ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名) メラミン(日産化学工業株式会社製、商品名) フタロシアニンブルー(東洋インキ製造株式会社製) (e)成分 シリカフィラー成分には、以下の材料を使用した。 シリカA:シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA-EX150」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。 シリカB:シリカフィラーの平均粒径が1μmでメチルエチルケトン中にスラリー状に分散されているシリカフィラー分散体SC2050(株式会社アドマテックス製)使用した。分散状態は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT-3100」(日機装株式会社製)を用いて測定した。最大粒径は約3μmとなっていることを確認した。」 「【0127】 次いで、調整した感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2-16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。 【0128】 続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF-15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、支持層/感光性樹脂組成物層/保護フィルムを有してなる感光性フィルムを得た。」 「【表1】 [図:0001393000000002.jpg] 」 ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。 ア 上記【0013】の「(b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマー、(c)成分:光重合開始剤、(d)成分:エポキシ樹脂、及び(e)成分:シリカフィラー」との記載、上記【0125】の「表1及び表2に示される各成分として下記のものを使用した。・・・(中略)・・・ (b)成分 DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名)・・・(中略)・・・ (c)成分 TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・ジャパン社製、商品名) OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(イルガキュアOXE-02、チバ・ジャパン社製、商品名)・・・(中略)・・・ (e)成分 シリカフィラー成分には、以下の材料を使用した。 シリカA:シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA-EX150」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。」との記載、上記【0127】の「調整した感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2-16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し」との記載及び上記【表1】の特に「実施例1」の記載から、「感光性樹脂組成物層が、(b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーとして、DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートと、(c)成分:光重合開始剤として、TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びOXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)と、(e)成分:シリカフィラーとして、シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散し、分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA-EX150」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認したシリカAを含む実施例1」が記載されていると認められる。 イ 上記【0127】の「調整した感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2-16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し」との記載、上記【0128】の「支持層/感光性樹脂組成物層/保護フィルムを有してなる感光性フィルムを得た。」との記載から、「支持層であるポリエチレンテレフタレートフィルムと、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた感光性樹脂組成物層とを備える感光性フィルム」が記載されていると認められる。 したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「支持層であるポリエチレンテレフタレートフィルムと、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上に設けられた感光性樹脂組成物層とを備え、 感光性樹脂組成物層が、(b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーとして、DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートと、(c)成分:光重合開始剤として、TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びOXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)と、(e)成分:シリカフィラーとして、シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散し、分散状態は、最大粒径が1μm以下となっていることを確認したシリカAを含む、 感光性フィルム。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「ポリエチレンテレフタレートフィルム」は、支持層であるから、本願発明1の「支持フィルム」に相当する。また、引用発明の「感光性樹脂組成物層」は、本願発明1の「第一の樹脂層」に相当する。さらに、引用発明の「感光性フィルム」は、本願発明1の「転写型感光性フィルム」と、「感光性フィルム」である点で共通する。そうすると、本願発明1と引用発明は、「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層」「と、を備え」る「感光性フィルム」である点で共通する。 イ 引用発明の「DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート」は、本願発明1の「トリシクロデカン骨格を有する光重合性化合物」に相当する。そうすると、引用発明の「DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート」は、本願発明1の「トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物」にも相当するといえる。(本願明細書【0061】参照。)。 ウ 引用発明の「TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド」は、本願発明1の「アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤」に相当する(本願明細書【0067】参照。)。 エ 引用発明の「OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)」は、本願発明1の「オキシムエステル系光重合開始剤」に相当する(本願明細書【0069】-【0078】、【0145】参照。)。 オ 引用発明において、「感光性樹脂組成物層が、(b)成分:分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基と、トリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマーとして、DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートと、(c)成分:光重合開始剤として、TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びOXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)と」を含むことから、上記ア-エを踏まえると、本願発明1と引用発明は、「前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含」む点で一致する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層と、を備え、 前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含む感光性フィルム。」 (相違点1) 「支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層と、を備え」、「前記第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤と、オキシムエステル系光重合開始剤とを含む感光性フィルム」において、本願発明1では「但し、平均粒径が3~300nmであり、かつ、第一の樹脂層中に最大粒径が1μm以下で分散されるシリカフィラーを含む第一の樹脂層を除く」のに対し、引用発明では、「感光性樹脂組成物層」が「(e)成分:シリカフィラーとして、シリカフィラーの平均粒径が50nmでシランカップリング剤として、メタクリルシランである3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散し、分散状態は、最大粒径が1μm以下となっていることを確認したシリカAを含む」点。 (相違点2) 本願発明1では「前記オキシムエステル系光重合開始剤が下記一般式(1)で表される化合物」 「【化1】 [図:0001393000000003.jpg] (前記式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、R13は、-H、-OH、-COOH、-O(CH2)OH、-O(CH2)2OH、-COO(CH2)OH又は-COO(CH2)2OHを示す。)」であるのに対し、引用発明では、「OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)」である点。 (2)相違点についての判断 相違点1について検討する。 引用文献2-4には、相違点1に係る本願発明1の構成について記載も示唆もない。 また、相違点1に係る本願発明1の構成が、本願の出願前に周知技術であったとはいえない。 さらに、本願明細書には、次の事項が記載されている。 ア「【0003】 タッチパネルは各種の方式が実用化されているが、近年、投影型静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標を表現するために、複数のX電極と、該X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成している。これらの電極の材料として、ITO(Indium-Tin-Oxide、酸化インジウムスズ)が主流である。 【0004】 ところで、タッチパネルの額縁領域はタッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。一般的に額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために銅等の金属配線が形成されている。タッチパネルにおいては、指先に接触される際に水分又は塩分等の腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、上記金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加、又は断線の恐れがある。 【0005】 金属配線の腐食を防ぐために、タッチパネル用基材上に、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂組成物層を設け、この感光性樹脂組成物層の所定部分を活性光線の照射により硬化させた後に、所定部分以外を除去し、基材の一部又は全部を被覆する感光性樹脂組物の硬化膜を形成する方法が提案されている(下記特許文献1を参照)。この手法によれば、タッチパネル用基材上に充分な低透湿性を有する硬化膜を形成することができる。 【0006】 他方で、投影型静電容量方式のタッチパネルには、透明電極パターンが形成された部分と、形成されていない部分との光学的な反射特性の違いにより色差が大きくなり、モジュール化した際に透明電極パターンが画面上に映りこむ、いわゆる「骨見え現象」の問題がある。また、基材と透明電極との間、又はモジュール化する際に使用するカバーガラスと透明電極パターンとを接着する視認性向上フィルム(OCA:Optical Clear Adhesive)と透明電極パターンとの間で、反射光強度が増加し、画面の透過率を低下させるという問題もある。」 イ「【0010】 本発明者らは、ジシクロペンタニル構造(以下、トリシクロデカン骨格という)又はジシクロペンテニル構造(以下、トリシクロデセン骨格という)を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いた転写型感光性フィルムを検討した。そして、この転写型感光性フィルムによって形成される硬化膜パターンの低透湿性及び密着性の向上を検討するなかで、透明電極パターン上に硬化膜を形成したときに、透明電極パターンがIM層上に設けられていても、電極のパターンがより顕著に見えてしまう(パターン見えが発生する)場合があることを見出した。 【0011】 パターン見えの要因について本発明者らはさらに検討したところ、ITO電極パターン上に設けられた硬化膜の表面には凹み(段差ともいう)が発生しており、これがパターン見えとして視認され得ることを見出した。 【0012】 本発明は、電極パターン上に段差を抑制しつつ充分な低透湿性を有する硬化膜パターンを良好に形成することができる転写型感光性フィルム、並びに、それを用いる硬化膜パターンの形成方法及びタッチパネルを提供することを目的とする。 【0013】 上記課題を解決するために本発明者らは段差の発生の要因について検討したところ、ITO電極上及びIM層上に硬化膜を同条件で形成したときに、IM層上に設けられた感光性樹脂層の反応率がITO電極上よりも小さくなることを確認し、このことに基づき凹みの発生の要因は、1)露光工程において、感光性樹脂層の反応率の低い箇所から高い箇所に未反応の光重合性化合物が移行すること、2)露光・現像後の感光性樹脂層を加熱するアニール工程において、未反応の光重合性化合物が揮発すること及び反応率の高い箇所と低い箇所とで熱収縮差が生じること、にあると仮定した。そして、本発明者らは、上記1)及び2)の事象を抑制する観点から、露光量の差を設けた露光工程と、アニール工程とを有する段差評価試験を用いて感光性樹脂層の組成を検討した結果、特定の光重合性化合物と特定の光重合開始剤とを組み合わせて用いることにより、反応率差を抑制できるとともに、段差を小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、未反応の光重合性化合物を減らすために光重合開始剤を増量するという方法のみでは、現像残渣が生じる場合があり、硬化膜パターンを良好に形成することが困難となる。 【0014】 本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層と、を備え、第一の樹脂層が、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物と、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤とを含む転写型感光性フィルムを提供する。 【0015】 本発明に係る転写型感光性フィルムによれば、上記構成を有することにより、透明電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる。硬化膜パターンは、電極パターンの防錆膜として機能させることができる。 【0016】 なお、上記の効果が得られる理由としては、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤を用いることにより分子量の大きい光重合性化合物であっても充分な重合反応率が得られることで、上記1)及び2)の事象が抑制できたためと考えられる。 【0017】 トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物の配合量を高めると、硬化膜パターンの低透湿化及び密着性向上に有効である一方で、透明電極パターン上に設けられた硬化膜パターンに発生する段差が大きくなる傾向にある。本発明によれば、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する光重合性化合物とアシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤とを組み合わせることにより、段差を抑制しつつ、高水準の低透湿性及び高密着性を有する硬化膜パターンを形成することができる。」 ウ「【発明の効果】 【0028】 本発明によれば、電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる転写型感光性フィルム、並びに、それを用いる硬化膜パターンの形成方法及びタッチパネルを提供することができる。」 上記ア-ウの記載によると、本願発明1は、タッチパネルにおけるITO電極パターン上に設けられた硬化膜の表面には凹み(段差ともいう)が発生しており、これがパターン見えとして視認され得る、という課題を解決するためのもので、タッチパネルにおける電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる、という効果を奏するものであるといえる。 一方、引用発明の解決しようとする課題及び効果は、上記第4の【0012】の「本発明は現像性を損なうことなく、微細配線間でのHAST耐性に優れ、かつ高耐熱性を有するアルカリ現像可能な保管安定性のある感光性樹脂組成物、及びそれを用いた感光性フィルム、永久レジストを提供することを目的とする。」との記載及び【0025】の「本発明によれば、現像性に優れ、かつ十分なHAST耐性を有し、高耐熱性を得るアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、及びドライフィルムタイプの感光性フィルム、永久レジストを提供することができる。さらに本発明の感光性樹脂組成物は、シリカフィラーの効果により、樹脂の熱膨張係数を大きく低減することが可能で、TCT(テンパラチャーサイクルテスト)に対しての高いクラック耐性を持った信頼性の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。」との記載のとおりであるから、本願発明1の解決しようとする課題及び効果とは異なることが明らかである。 また、引用文献1の記載から、引用発明において本願発明1の上記効果が得られることが自明であるともいえない。 そうすると、本願発明1は、電極パターン上に段差を抑制しつつ硬化膜パターンを良好に形成することができる、という格別の効果を奏するものであるといえるから、相違点1に係る構成とすることが単なる設計的事項であるとはいえない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項から、相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。 したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2-6について 本願発明2-6も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明7、8について 本願発明7、8は、それぞれ、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「硬化膜パターンの形成方法」の発明であり、実質的に、相違点1に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかと同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明9、10について 本願発明9、10は、それぞれ、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「硬化膜」の発明であり、実質的に、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1-3のいずれか又は4-5のいずれかと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明11について 本願発明11は、本願発明1-5のいずれかの「転写型感光性フィルム」を引用する「タッチパネル」の発明であり、実質的に、本願発明1-5のいずれかと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1-5のいずれかと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-008363

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