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特許異議申立

2023-700753

窒化珪素基板

審判番号
2023-700753
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-128550
登録番号
7211549
請求日
2023年07月20日
審決日
2023年11月21日
公報発行日
2023年12月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社プロテリアル
  • 【異議申立人】小松 茂夫
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 尚之
  • 審判官 後藤 政博
  • 審判官 増山 淳子
分類
P1651.121-Y (C04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
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特許第7211549号発明「窒化珪素基板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7211549号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7211549号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和3年3月19日に出願された特願2021-202124号の一部を、令和4年8月11日に新たな特許出願(特願2022-128550号)としたものであって、令和5年1月16日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月24日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~5に係る特許について、令和5年7月20日に特許異議申立人 小松茂夫(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 窒化珪素粒子と、前記窒化珪素粒子の粒界を形成する粒界相とを有し、 前記窒化珪素粒子内の酸素量は0.05質量%以下であり、 150mm×150mm以上のサイズであり、 基板の中心部の熱伝導率λcと、基板の端部の熱伝導率λeとの比率であるλe/λcが0.85~1.15である、窒化珪素基板(ただし、前記窒化珪素粒子が所定方向に配向しているものを除く)。 【請求項2】 請求項1に記載の窒化珪素基板であって、前記λc及び前記λeが100W/m・K以上である、窒化珪素基板。 【請求項3】 請求項1または2に記載の窒化珪素基板であって、曲げ強度が600MPa以上である、窒化珪素基板。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化珪素基板であって、厚さが0.2~0.6mmである、窒化珪素基板。 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化珪素基板であって、前記λe/λcが0.99~1.03である、窒化珪素基板。」 第3 特許異議の申立ての理由について 異議申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第4号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲4」という。)を提出し、次の申立理由を主張している。 1 申立理由(進歩性欠如) (1) 申立理由の概要 本件発明1~5は、甲1~甲3に記載された発明及び甲4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由の詳細 本件発明1について、異議申立人の具体的な主張の内容をまとめると、次のとおりである。 本件発明1と甲1に記載された発明とを対比すると、本件発明1は、150mm×150mm以上のサイズである窒化珪素基板であるのに対して、甲1に記載された発明は、45mm×45mmのシート状成形体を焼成してなる窒化珪素基板である点でのみ相違するが、下記 ア~ウ のとおりであるから、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ア 甲2には、150mm×150mm以上のサイズのグリーンシートを焼結してなる窒化珪素基板の発明が記載され、甲1及び甲2に記載された発明は技術分野が共通しているから、甲2に記載された発明を、甲1に記載された発明に適用することは当業者であれば容易になし得ることである。 したがって、本件発明1は、甲1及び甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 甲3には、円板の直径が190mmを超え、熱伝導率のばらつきが、-10~10%である窒化珪素基板の発明が記載され、直径が大きい窒化珪素基板の熱伝導率のばらつきを抑えることは一般的な課題であるから、甲2及び甲3に記載された発明を、甲1に記載された発明に適用することは当業者であれば容易になし得ることである。 したがって、本件発明1は、甲1~甲3に記載された発明に基づいて、当 業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 甲2に記載された発明は、基板の中心部のボイド率と基板の端部のボイド率との比率が0.93(0.76%/0.82%)である窒化珪素基板であり、また、甲4には、点状欠陥を除去することにより熱伝導率を向上させる技術が記載されているから、甲2に記載された発明のボイド率の比率は、本件発明1の熱伝導率の比率の特定事項を示唆している。 したがって、本件発明1は、甲1~甲3に記載された発明及び甲4に記載 された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである 。 2 証拠方法 甲1:特開2018-184333号公報 甲2:国際公開第2017/170247号 甲3:特開2002-8826号公報 甲4:Koji WATARI,“High Thermal Conductivity Non-Oxide Ceramics” ,Journal of the Ceramic Society of Japan, 109, S7-S16, 2001 第4 甲1~甲4の記載事項及び甲1~甲3に記載された発明 1 甲1の記載事項及び甲1に記載された発明 (1) 甲1の記載事項 甲1には、次の記載がある。 「【請求項1】 珪素、希土類元素酸化物及びマグネシウム化合物を含有する原料粉末を粉砕しスラリーを作製する工程、前記スラリーをシート状に成形し成形体を得る工程、及び前記成形体を窒素雰囲気中で焼結して前記珪素を窒化し窒化珪素焼結体とする工程を有する窒化珪素基板の製造方法であって、 前記珪素が全て窒化したときに得られる窒化珪素(Si3N4)のモル数xと、前記希土類元素酸化物を三価の酸化物RE2O3(REは希土類元素)に換算したときのモル数yと、前記マグネシウム化合物をMgOに換算したときのモル数zとの合計(x+y+z)を100 mol%としたとき、前記原料粉末は、前記希土類元素酸化物(三価の酸化物RE2O3換算(REは希土類元素))の含有量[y/(x+y+z)]が0.5 mol%以上2 mol%未満、及び前記マグネシウム化合物(MgO換算)の含有量[z/(x+y+z)]が8 mol%以上15 mol%未満であり、 前記マグネシウム化合物が、前記マグネシウム化合物の合計に対して87質量%以上のMgSiN2を含み、 前記スラリー中の珪素粒子のBET比表面積(m2/g)及びメジアン径D50(μm)が、 式: 1.5≦BET≦4.5、 2.5≦D50≦6、及び 13≦BET×D50≦18 (なおBETとはBET比表面積を表す。)を満たすことを特徴とする窒化珪素基板の製造方法。」 「【請求項5】 窒化珪素粒子と前記窒化珪素粒子の粒界を形成する粒界相とを有する窒化珪素焼結体からなる窒化珪素基板であって、 前記粒界相が、希土類元素及びマグネシウムを含み、 断面写真において、面方向に引いた直線(10μm当たり)と交差する粒界の数nsと厚み方向に引いた直線(10μm当たり)と交差する粒界の数ntとの比:ns/ntが、 1<ns/nt≦1.3 を満たすような断面組織を有し、 前記窒化珪素粒子の平均長軸径が3~15μm、及び粒子内の酸素量が0.05質量%以下であり、 相対密度が98%以上であることを特徴とする窒化珪素基板。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0021】 従って、本発明の目的は、希土類元素の添加量を低減した場合でも緻密な焼結体を得ることができ、その結果、粒界相を低減し、もって熱伝導率の向上及びコストダウンが可能な窒化珪素基板の製造方法を提供することである。 【0022】 本発明のもう一つの目的は、高い機械的特性を維持しながら、厚み方向の熱伝導率の高い窒化珪素基板を量産に適した条件で提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0023】 上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、珪素粉末に焼結助剤として希土類元素酸化物及びマグネシウム化合物を添加してなる原料粉末を粉砕してなるスラリーを成形し窒素雰囲気下で焼結して窒化珪素基板を製造する方法において、マグネシウム化合物としてMgSiN2を使用し、BET比表面積(m2/g)(単に「BET」と記載する場合もある。)及びメジアン径D50(μm)が特定の条件を満たすような条件で粉砕することにより、希土類元素酸化物の含有量が2 mol%未満であっても、高熱伝導率、高強度、高密度の窒化珪素基板(板状の窒化珪素焼結体)を得ることができることを見出し、本発明に想到した。 【0024】 さらに上記のようにして作製した窒化珪素焼結体からなる窒化珪素基板は、厚み方向の単位長さあたりの粒界相の数が、面方向の単位長さ当たりの粒界相の数よりも少ない断面組織を有しているため、機械的特性を維持しながら、厚み方向の熱伝導率が向上することを見出し、本発明に想到した。」 「【実施例】 ・・・ 【0078】 (1)試料No.1(実施例)の窒化珪素基板の作製 (スラリー作製工程) 表1に示すように、BET比表面積が2.1 m2/g、メジアン径D50が8.2 μm、酸素量が0.3質量%の珪素粉末に、珪素(窒化珪素換算)、希土類元素酸化物(三価の酸化物換算)及びマグネシウム化合物(MgO換算)の合計に対して、1.2 mol%のY2O3の粉末及び9.8 mol%のマグネシウム化合物の粉末を焼結助剤として添加し、原料粉末を得た。この原料粉末に、表2に示すように、分散媒(トルエン)及び原料粉末の合計に対して0.5質量%の分散剤(ソルビタン酸トリオレート)を添加して、42質量%の濃度のスラリーとし、ボールミルを用いて、メディアとして窒化珪素製5φボールを使用し、24時間粉砕を行った。マグネシウム化合物は、酸化マグネシウム(MgO)と窒化珪素マグネシウム(MgSiN2)との10:90(質量比)の混合物を使用した。なおマグネシウム化合物の添加量は、マグネシウム化合物を全てMgOに換算したときのmol%で示した。 ・・・ ・・・ 【0083】 (シート成形工程) 得られたスラリーは、分散媒及び有機系バインダー(アクリル系樹脂)を加えて濃度調製し、脱泡処理を施してスラリー状の塗工液とした。この塗工用スラリーをドクターブレード法により、キャリアフィルムに塗工し、厚さ0.4 mmのシート状に成形し、45 mm×45 mmの大きさに切断し成形体を得た。なお、塗工時にキャリアフィルムを送る速度が成形速度に相当し、この成形速度を600 mm/min.以下とした。 【0084】 (焼結工程) 得られたシート状成形体をBN粉末層(厚さ4.5μm)を挟んで複数枚積層し、BN板上に設置し、カーボン製ルツボ中、窒素雰囲気下(窒素分圧0.1 MPa)及び750℃で5時間脱脂し、BN製ルツボ中、真空下及び1000℃で1時間脱炭素し、BN製ルツボ中、窒素雰囲気下(窒素分圧0.1 MPa)及び1450℃で10時間窒化し、引き続きBN製ルツボ中、窒素雰囲気下(窒素分圧0.9 MPa)及び1900℃で12時間焼結し、窒化珪素焼結体からなる本発明の基板を得た。 【0085】 窒化珪素基板の表面を清浄化と適度な粗さとすることを目的に液体ホーニング処理した。ホーニング処理は水中にアルミナ砥粒を適量添加し、0.5 MPaの圧力で焼結体表裏に吹き付けて行うことができる。 【0086】 清浄化と液体ホーニング処理の後、窒化珪素基板の相対密度、曲げ強度及び熱伝導率を測定した。相対密度は、水中置換法(アルキメデス法)により測定した焼結体密度と、窒化珪素の真密度とから、焼結体密度/真密度として算出した。各々の試料の真密度はSi3N4,Y2O3, MgO及びMgSiN2の真密度と配合割合から計算して求めた値とした。曲げ強度の測定は得られた窒化珪素基板から幅4 mm及び長さ10 mmの試験片を作製し3点曲げ試験(スパン7 mm、クロスヘッド速度 0.5 mm/min.)で行い、熱伝導率(厚み方向)の測定は同様に10 mm角に切り出した試験片を使いフラッシュ法で行った。結果を表4に示す。 【0087】 【表4】 [図:0001404828000001.jpg] 【0088】 (2)試料No.2~20の窒化珪素基板の作製 珪素粉末、焼結助剤及び粉砕条件を表1及び表2に示すように変更した以外は試料No.1と同様にして原料粉末を粉砕し、分散媒及び有機系バインダー(アクリル系樹脂)を加えて濃度調製し、脱泡処理を施して塗工用スラリーを得た。粉砕後の珪素粒子の性状を表3に示す。この塗工用スラリーをドクターブレード法により試料No.1と同様にして塗工し、厚さ0.4 mmのシート状に成形した。得られたシートを45 mm×45 mmの大きさに切断しシート状成形体を得た。 【0089】 得られたシート状成形体を用いて、試料No.1と同様にして焼結を行い、窒化珪素焼結体からなる基板を得た。これらの窒化珪素基板に、清浄化処理と液体ホーニング処理とを施し、試料No.1と同様にして相対密度、曲げ強度及び熱伝導率を測定した。これらの試料が本発明例に含まれるか比較例かは表1及び表2の右端欄に実施例及び比較例と記載して示した。結果を表4に示す。」 (2) 甲1に記載された発明 上記(1)の請求項5によると、甲1には、窒化珪素粒子と前記窒化珪素粒子の粒界を形成する粒界相とを有する窒化珪素焼結体からなる窒化珪素基板であって、前記窒化珪素粒子内の酸素量が0.05質量%以下である、窒化珪素基板が記載されている。 また、同じく請求項1及び【0078】~【0089】によると、原料スラリーの塗工液をキャリアフィルムに塗工し、シート状に成形して45mm×45mmの大きさの成形体を得て、これを窒素雰囲気下で焼結する工程を経て窒化珪素焼結体からなる基板を得たことが記載されている。 これらのことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「窒化珪素粒子と、前記窒化珪素粒子の粒界を形成する粒界相とを有する窒化珪素基板であって、 窒化珪素粒子内の酸素量が0.05質量%以下であり、 原料スラリーの塗工液をキャリアフィルムに塗工してシート状に成形した45mm×45mmの大きさの成形体を、窒素雰囲気下で焼結して窒化珪素焼結体とすることにより得られる、 窒化珪素基板。」 2 甲2の記載事項及び甲2に記載された発明 (1) 甲2の記載事項 甲2には、次の記載がある。 「[0022] 本願発明者の詳細な検討によれば、窒化ケイ素焼結基板のサイズを大きくすると、基板の中央付近と端部とで種々の物性に差が生じ、基板面内での物性の均一性が低下する。特に、基板の中央付近では、焼結時にグリーンシートが収縮しにくいため、基板中央付近において、密度が小さくなることおよびボイド率が大きくなることが分かった。 ・・・ [0024] さらに、密度およびボイド率の面内均一性が高く、外形の大きな窒化ケイ素焼結基板を作製するためには、窒化ケイ素焼結基板の製造時にグリーンシートとともに積層される窒化ホウ素粉末層の厚さを制御すること、および、焼結時の炭素含有量を制御することが重要であることが分かった。これらの検討結果に基づき、本願発明者は、大きなサイズを有し、高耐圧および高絶縁信頼性を有し、これらの面内ばらつきが小さい窒化ケイ素焼結基板およびその製造方法を想到した。 ・・・」 「[0050] (窒化ケイ素焼結基板の製造方法) [1] 原料粉末 本実施形態の窒化ケイ素焼結基板を製造するための原料粉末は窒化ケイ素(Si3N4)を主成分として含み、焼結助剤をさらに含む。具体的な原料粉末の配合成分は、80質量%以上98.3質量%以下のSi3N4粉末、酸化物換算で0.7質量%以上10質量%以下のMg化合物粉末および酸化物換算で1質量%以上10質量%以下の少なくとも1種の希土類元素の化合物粉末を含む。窒化ケイ素焼結体の密度、曲げ強度および熱伝導率の観点から、窒化ケイ素粉末のα化率は20%以上100%以下であることが好ましい。 [0051] Si3N4の添加量が80質量%未満であると、得られる窒化ケイ素焼結基板の曲げ強度および熱伝導率が低すぎる。一方、Si3N4が98.3質量%を超えると、焼結助剤が不足し、緻密な窒化ケイ素焼結基板を得られない。また、Mgが酸化物換算で0.7質量%未満であると、低温で生成する液相が不十分である。一方、Mgが酸化物換算で10質量%を超えると、Mgの揮発量が多くなり、窒化ケイ素焼結基板に空孔が生じやすくなる。さらに、希土類元素が酸化物換算で1質量%未満であると、窒化ケイ素粒子間の結合が弱くなり、クラックが粒界を容易に伸展することから曲げ強度が低くなる。一方、希土類元素が酸化物換算で10質量%を超えると、粒界相の割合が多くなり、熱伝導率が低下する。」 「[0085] (実施例) 以下、種々の条件で窒化ケイ素焼結基板を作製し、特性を調べた結果を説明する。 [0086] 1.窒化ケイ素焼結基板の製造 [実施例1~28] MgO粉末が3.0質量%、Y2O3粉末が2.0質量%、残部がSi3N4粉末および不可避的不純物である原料粉末のスラリー(固形分濃度:60質量%)からドクターブレード法によりグリーンシート1を形成し、窒化ホウ素粉末層を介して20枚重ねて積層組立体10を形成した。グリーンシート1の大きさは、表1に示すように、実施例に応じて変化させた。また、窒化ホウ素粉末層の厚さを表1に示すように、実施例に応じて変化させた。 [0087] 各積層組立体10の上に重し板11を配置して載置板21の上に載置し、図8に示す容器20(二重の容器)に設置した。重し板11による最上層のグリーンシート1aへの荷重は40Paであった。最上段の載置板21aの上面に、15質量%のマグネシア粉末、55質量%の窒化ケイ素粉末、および30質量%の窒化ホウ素粉末からなる詰め粉を配置した。 [0088] 容器20を焼結炉に入れ、焼結炉を、10-1Paの圧力になるまで真空引きした。表1に示すように、実施例に応じて脱炭素域Pcにおける保持温度を変化させた。各実施例の保持時間tcは1時間に設定した。 [0089] その後、焼結炉内の雰囲気を例えば7気圧の窒素に替え、徐熱域P0、の温度プロファイルとして、10℃/hr(0.166℃/min)の昇温速度で10時間加熱した。続いて、第1の温度保持域P1の温度プロファイルとして、1850℃の温度T1で5時間保持し、第2の温度保持域P2の温度プロファイルとして、1600℃の温度T2で1.5時間保持した。その後、冷却域P3の温度プロファイルとして、600℃/hrの冷却速度で雰囲気温度を低下させた。得られた、窒化ケイ素焼結基板から、予肉部分を切除し、表1に示す1辺の長さを有する正方形の窒化ケイ素焼結基板101を得た。窒化ケイ素焼結基板101の厚さは0.32mmであった。 ・・・ [0094][表1] [図:0001404828000002.jpg] ・・・ 」 「[請求項1] 1辺が120mmの正方形よりも大きい形状の主面を有し、前記主面における中央部の密度dcと端部の密度deの比dc/deが0.98以上であり、前記主面における中央部のボイド率vcが1.80%以下であり、端部のボイド率veが1.00%以下である、窒化ケイ素焼結基板。 [請求項2] 前記中央部の密度dcが3.120g/cm3以上であり、前記端部の密度deが3.160g/cm3以上であり、前記中央部のボイド率vcと前記端部のボイド率veとの比ve/vcが0.50以上である、請求項1に記載の窒化ケイ素焼結基板。 [請求項3] 前記中央部の密度dcが3.140g/cm3以上であり、前記端部の密度deが3.160g/cm3以上であり、前記中央部のボイド率vcが1.3%以下である、請求項1に記載の窒化ケイ素焼結基板。 ・・・ [請求項7] 0.15mm以上2.0mm以下の厚さを有する請求項1から6のいずれかに記載の窒化ケイ素焼結基板。 [請求項8] 前記主面は、150mm×170mmの長方形よりも大きい形状を有する請求項1から7のいずれかに記載の窒化ケイ素焼結基板。 [請求項9] 前記主面は、1辺が250mmの正方形またはこれよりも小さい形状を有する請求項1から8のいずれかに記載の窒化ケイ素焼結基板。 ・・・ [請求項13] 80質量%以上98.3質量%以下のSi3N4粉末、酸化物換算で0.7質量%以上10質量%以下のMg化合物粉末および酸化物換算で1質量%以上10質量%以下の少なくとも1種の希土類元素の化合物粉末を混合し、混合粉末を得る工程(a)と、 前記混合粉末をスラリーにして複数のグリーンシートに成形する工程(b)と、 前記複数のグリーンシートを、窒化ホウ素粉末層を介して積層し、積層組立体を得る工程(c)と、 前記積層組立体を焼結炉内に配置し、前記積層組立体を焼結する工程(d)と を包含し、 前記工程(c)において、前記窒化ホウ素粉末層の厚さは3μm以上20μm以下であり、 前記工程(d)は、 80Pa以下の真空雰囲気下、900℃以上1300℃以下の雰囲気温度を保持し、前記グリーンシートから炭素を除去する工程(d1)と、 前記工程(d1)の後、窒素雰囲気下、1600℃以上2000℃以下の雰囲気温度で前記グリーンシートを焼結させる工程(d2)と 含む窒化ケイ素焼結基板の製造方法。」 (2) 甲2に記載された発明 上記(1)の[請求項1]、[0050]、[0051]などから、甲2には、窒化ケイ素粒子と、窒化ケイ素粒子の粒界を形成する粒界相とを有する窒化ケイ素焼結基板が記載されている。 同じく[0085]~[0089]、[0094]に記載の実施例のうち、実施例11に着目すると、中央部と端部とのボイド率比(端部/中央部)が0.93であって、基板外形寸法(1辺の長さ)が200mmの正方形の窒化ケイ素焼結基板が得られたことが記載されている。 これらのことから、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「窒化ケイ素粒子と前記窒化ケイ素粒子の粒界を形成する粒界相とを有する窒化ケイ素焼結基板であって、 基板外形寸法(1辺の長さ)が200mmであり、 基板の中央部と端部とのボイド率比(端部/中央部)が0.93である、 窒化ケイ素焼結基板。」 3 甲3の記載事項及び甲3に記載された発明 (1) 甲3の記載事項 甲3には、次の記載がある。 「【請求項1】 抵抗発熱体がセラミック基板の内部または表面に形成されたセラミックヒータであって、前記セラミック基板の熱伝導率のばらつきが、-10~10%であることを特徴とするセラミックヒータ。 【請求項2】 前記セラミック基板の厚さが20mm以下である請求項1に記載のセラミックヒータ。 【請求項3】 前記セラミック基板は円板であり、その直径は190mmを超える請求項1または2に記載のセラミックヒータ。」 「【0019】本発明のセラミックヒータ10において、セラミック基板11は、加熱面11aを均一な温度に制御するするため、その熱伝導率のばらつきが、-10~10%になるように調整されている。 【0020】ここで、「熱伝導率のばらつき」とは、セラミック基板の熱伝導率が場所によって異なる場合に、熱伝導率の平均値と熱伝導率が最も大きい部分または熱伝導率が最も小さい部分との差のうちの絶対値の大きい方の値で定義される。この「熱伝導率のばらつき」はセラミック基板を製造する際の焼成温度およびセラミック基板の厚さ等に起因して発生する。」 「【0041】上記セラミックとしては特に限定されず、例えば、窒化物セラミック、炭化物セラミックおよび酸化物セラミック等を挙げることができる。セラミック基板11の材料として、これらのなかでは、窒化物セラミックを用いる場合に、特に、セラミックヒータが上記特性に優れる。 【0042】上記窒化物セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。また、上記炭化物セラミックとしては、炭化珪素、炭化チタン、炭化硼素等が挙げられる。さらに、上記酸化物セラミックとしては、アルミナ、コージェライト、ムライト、シリカ、ベリリア等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、窒化アルミニウムが最も好ましい。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いからである。」 「【0096】 【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (実施例1)外部に抵抗発熱体を有するセラミックヒータの製造(図4参照) (1) 窒化アルミニウム粉末(平均粒径:1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリルバインダ12重量部およびアルコールからなる組成物のスプレードライを行い、顆粒状の粉末を作製した。 【0097】(2) 次に、この顆粒状の粉末を金型に入れ、平板状に成形して成形体(グリーン)を得た。さらに神戸製鋼社製の冷間静水圧プレス(CIP)を用い、3t/cm2 の圧力で圧縮し、この後、表面を研磨した。 【0098】(3) 加工処理の終った生成形体を1800℃、圧力:20MPaでホットプレスし、厚さがほぼ20mmの窒化アルミニウム板状体を得た。次に、この板状体から直径210mmの円板体を切り出し、セラミック製の板状体(セラミック基板11)とした。この成形体にドリル加工を施し、シリコンウエハのリフターピン16を挿入する貫通孔15となる部分、熱電対を埋め込むための有底孔14となる部分(直径:1.1mm、深さ:2mm)を形成した(図4(a))。 ・・・ 【0104】(実施例2)焼成されたセラミック基板の厚さが10mmとなるように、生成形体の厚さを調整したほかは実施例1と同様にしてセラミックヒータを製造した。 【0105】(実施例3)内部に抵抗発熱体を有するセラミックヒータの製造(図5参照) (1) 窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製 平均粒径:1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリルバインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部および1-ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法により成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。 【0106】(2) 次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにより直径1.8mm、3.0mm、5.0mmの端子ピンと接続するためのスルーホールとなる部分を設けた。 ・・・ 【0109】上記処理の終わったグリーンシートに、さらに、タングステンペーストを印刷しないグリーンシートを上側(加熱面)に37枚、下側に13枚、130℃、8MPa(80kgf/cm2 )の圧力で積層した。 【0110】(4) 次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、さらに神戸製鋼社製の冷間静水圧プレス(CIP)を用い、3t/cm2 の圧力で圧縮し、ついで、1850℃、圧力15MPa(150kgf/cm2 )で3時間ホットプレスし、厚さがほぼ5mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを215mmの円板状に切り出し、内部に厚さ6μm、幅10mmの導体層を有するセラミック基板を得た。 ・・・ 【0113】評価方法 上記実施例1~3および比較例1で得られたセラミックヒータのセラミック基板の熱伝導率のばらつき、加熱面の温度のばらつき、および、耐電圧を以下の方法で測定し、結果を下記の表1に示した。 【0114】(1)熱伝導率のばらつきの測定 a.使用機器 リガクレーザーフラッシュ法熱定数測定装置 LF/TCF-FA8510B b.試験条件 温度・・・常温 雰囲気・・・真空 c.測定方法 ・各セラミック基板から試料を均等に20個切り出し、各試料について熱伝導率を測定し、これらの値から各セラミック基板の熱伝導率の平均値、最大値および最小値を計算した。 ・・・ 【0119】 【表1】 [図:0001404828000003.jpg] 【0120】実施例1~3で得られたセラミックヒータのセラミック基板では、その熱伝導率のばらつきは-1~+8%であり、その加熱面の最高温度と最低温度との差は8℃と小さなものであったため、その上に載置または離間して支持したシリコンウエハをほぼ均一に加熱することができ、また、その耐電圧も15kv/mmと充分に大きなものであった。 ・・・ 」 「【図4】 [図:0001404828000004.jpg] 」 「【図5】 [図:0001404828000005.jpg] 」 (2) 甲3に記載された発明 上記(1)の請求項1~3によると、熱伝導率のばらつきが-10%~10%であり、直径が190mmを超える円板からなるセラミック基板が記載されている。 同じく【0041】、【0042】などによると、上記セラミックとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物セラミックが挙げられている。 これらのことから、甲3には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 「窒化物セラミックからなるセラミック基板であって、 直径が190mmを超える円板からなり、 熱伝導率のばらつきが-10%~10%である、 セラミック基板。」 4 甲4の記載事項及び甲4に記載された技術的事項 (1) 甲4の記載事項 甲4は、高熱伝導非酸化物セラミックスに関する文献であり、非酸化物セラミックスの熱伝導率について、次の記載がある。 「It is, therefore, essential to remove the point defects in the grains, in order to improve the conductivity at present level of non-oxide ceramics.」 (S13左欄11~14行) (それゆえ、現状では非酸化物セラミックスの熱伝導率を向上させるために、結晶粒内の点状欠陥を除去することが不可欠である。)(当審による仮訳) (2) 甲4に記載された技術的事項 上記(1)の記載から、非酸化物セラミックスの熱伝導率を向上させるためには、非酸化物セラミックスの結晶粒内の点状欠陥を除去する必要があるといえる。 第5 当審の判断 1 本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、 「窒化珪素粒子と、前記窒化珪素粒子の粒界を形成する粒界相とを有し、前記窒化珪素粒子内の酸素量は0.05質量%以下であ」る「窒化珪素基板」である点で共通する。 そうすると、両者は、少なくとも次の点で相違しているといえる。 (相違点) 本件発明1に係る窒化珪素基板は、「150mm×150mm以上のサイズであり、基板の中心部の熱伝導率λcと、基板の端部の熱伝導率λeとの比率であるλe/λcが0.85~1.15である」ことが特定されているのに対して、甲1発明に係る窒化珪素基板は、「原料スラリーの塗工液をキャリアフィルムに塗工してシート状に成形した45mm×45mmの大きさの成形体を、窒素雰囲気下で焼結して窒化珪素焼結体」としたものであって基板の大きさが本件発明1とは異なり、また、基板の中心部と端部との熱伝導率の比率が不明である点。 イ 相違点の検討 上記アに示した「相違点」の容易想到性について、異議申立人の上記第3の「1(2)」の主張に沿って検討する。 (ア)甲1及び甲2による容易想到性(上記「第3の1(2)ア」) a 甲1発明は、厚み方向の熱伝導率が高い窒化珪素基板を得ることを課題とするものであって、窒化珪素基板を製造するにあたって、原料粉末の材料組成や、スラリー中の珪素粒子の比表面積及びメジアン径を調整して、基板の面方向と厚み方向の粒界相の数を制御しようとするものである(甲1:請求項1、5、【0023】、【0024】、実施例)。 一方、甲2発明は、窒化ケイ素焼結基板のサイズを大きくすると、基板面内での物性の均一性が低下するところ、外形の大きいものであってもボイド率などの面内均一性が高い窒化ケイ素基板を提供しようとするものであって、基板の製造時にグリーンシートとともに積層される窒化ホウ素粉末層の厚さ、及び焼結時の基板の炭素含有量を制御するものである(甲2:[0022]、[0024]、実施例、請求項1、13)。 そうすると、甲1発明と甲2発明とは、解決しようとする課題が異なり、また、当該課題を解決するための解決手段も異なるから、甲1発明に甲2発明を適用するという動機付けは存在しない。 b また、異議申立人は、甲1に記載された窒化珪素基板は、その端部と中央部の熱伝導率の比率はλe/λc=1であるとして、本件発明1との一致点であるとしているが、本件発明1は、150mm×150mm以上のサイズの基板における熱伝導率の比率を特定するものであって、甲1に記載された基板とは、前提となる基板のサイズが異なるから、熱伝導率のみを切り離して同一視することはできない。 そして、45mm×45mmのシートを焼成して得られた甲1発明に係る窒化珪素基板は、当該シートよりも小さなサイズとなるから、中央部と端部の熱伝導率の比率が本件発明1と同じ範囲にあるといえたとしても、甲1発明を基に基板の大きさを本件発明1のような大きさの基板に拡大した場合は、基板が大きくなるほど中央部と端部とでは熱電度率のばらつきが出やすいことは技術常識であり、甲1発明に係る基板の製造工程は、本件発明1の製造工程と同じであるとはいえないことなどから、甲1発明に係る基板の熱伝導率分布が一定のままで維持されて、本件発明1の熱伝導率の比率と同じ範囲になるとはいえない。 c 上記a、bの事項を踏まえると、甲1発明において、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易想到の事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明に甲2発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)甲1~甲3による容易想到性(上記「第3の1(2)イ」) a 甲3発明は、セラミックヒータに用いるセラミック基板の加熱面の温度のばらつきを一定範囲に収めるために、熱伝導率のばらつきが一体範囲にあるセラミック基板を提供しようとするものであり、セラミック基板の熱伝導率のばらつきが-10~10%であることを規定するものである(甲3:請求項1、【0009】~【0012】)。 しかし、甲3でいう「熱伝導率のばらつき」とは、「熱伝導率の平均値と熱伝導率が最も大きい部分または熱伝導率が最も小さい部分との差のうちの絶対値の大きい方の値」(甲3:【0020】)というものであり、甲3には、直径が210mm又は215mmであり熱伝導率のばらつきが-1~+8%の範囲である窒化アルミニウム基板の具体例は記載されているものの(実施例、表1(実施例1~3))、窒化珪素基板の具体例はなく、本件発明1の熱伝導率の比率を充足する窒化珪素基板が記載されているとは言い難い。 b 加えて、甲1発明と甲3発明とは、熱伝導率の偏りを抑制するという課題の面で共通する点はあるかもしれないが、甲1発明に係るセラミック基板は、BN製ルツボ中で窒素雰囲気下(窒素分圧0.1MPa及び0.9MPa)で焼結して製造するものであるのに対して(甲1:【0084】)、甲3発明に係るセラミック基板の製造工程は、20MPa、15MPaで加圧しながら焼成してセラミック基板を製造するものであって(甲3:【0098】、【0110】)、両者の製造工程も異なるから、甲1発明に甲3発明を適用するという動機付けは存在しない。 c また、甲3の他の記載を検討しても、甲1発明に係る窒化珪素基板を150mm×150mmのサイズにした場合に、本件発明1で特定した熱伝導率の比率に調整可能であるとはいえないし、また、異議申立人は、窒化焼結基板が当該比率に調整可能であるという根拠を示していない。 d そして、甲2の検討については、上記(ア)に記載したとおりである。 e 前記a~dの事項を踏まえると、甲1発明において相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易想到の事項とはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明に甲2発明及び甲3発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)甲1~甲4による容易想到性(上記「第3の1(2)ウ」) a 甲4は、単に非酸化物セラミックスの結晶粒内の点状欠陥を除去することで熱伝導率が向上するという技術常識を示しているにすぎず、甲1発明において、本件発明1のように基板のサイズを大きくした場合に、熱伝導率をどの程度まで均一にできるのかを何ら明らかにするものではないし、本件発明1のような熱伝導率の比率を得るための具体的手段を明らかにするものではない。 そして、甲2、甲3の検討については、上記(ア)、(イ)に記載したとおりである。 b そうすると、甲2発明、甲3発明及び甲4に記載された技術的事項を踏まえても、甲1発明において、相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易想到の事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明に甲2発明及び甲3発明並びに甲4に記載された技術的事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (エ)小括 以上のとおり、本件発明1は、甲1~甲3に記載された発明及び甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 2 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1を直接又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2~5についても、甲1~甲3発明及び甲4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 3 まとめ 以上で検討したとおり、上記異議申立人が主張する申立理由には理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700753

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