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特許異議申立

2022-700418

飛行体

審判番号
2022-700418
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-129679
登録番号
6970479
請求日
2022年05月13日
審決日
2023年02月21日
公報発行日
2023年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社エアロネクスト
  • 【異議申立人】藤松 正雄
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 昇
  • 審判官 筑波 茂樹
  • 審判官 三宅 龍平
分類
P1651.113-YAA(B64C) / P1651.121-YAA(B64C) / P1651.537-YAA(B64C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
データ出所
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特許第6970479号発明「飛行体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6970479号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 特許第6970479号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6970479号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年9月7日に出願した特願2021-513484号の一部を令和3年8月6日に新たな特許出願としたものであって、令和3年11月2日にその特許権の設定登録がされ、令和3年11月24日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 5月13日 :特許異議申立人藤松正雄(以下「申立人」と いう。)による請求項1~7に係る特許に対 する特許異議の申立て 同年 8月 2日付け:取消理由通知書 同年10月 6日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年11月15日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知) なお、当審が、上記通知書(訂正請求があった旨の通知)において、申立人に期間を指定して意見を求めたところ、申立人から意見書等の提出はなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体であって、前記主翼は、機体に対して前傾して固定されており」 と記載されているのを、 「複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体であって、 前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」 に訂正する(請求項1を引用する請求項2~6も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に 「複数の回転翼と、主翼と、備える飛行体の着陸方法であって、 前記主翼は、機体に対して前傾して固定されており」 と記載されているのを、 「複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体の着陸方法であって、 前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡行時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」 に訂正する。 2 一群の請求項 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 (ア) 訂正事項1のうち、「複数の回転翼」を「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、/前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、/前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており」(なお、「/」は改行を示す。以下同じ。)と特定することは、訂正前の「複数の回転翼」の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) また、訂正事項1のうち、「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」と特定することは、訂正前の「前傾」の基準を明確にするとともに、「主翼」の固定の態様を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア) 訂正事項1のうち、「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、」との特定に関し、願書に添付された明細書及び図面(以下「明細書等」という。)の段落【0018】には「飛行体100は、図の矢印Dの方向(-Y方向)を前進方向、矢印Eを下降方向(-Z方向)としている(詳しくは後述する)。」(下線部は当審が付与した。以下、同じ。)と、【0019】には「なお、以下の説明において、以下の定義に従って用語を使い分けることがある。前後方向:+Y方向及び-Y方向、・・・、進行方向(前方):-Y方向、後退方向(後方):+Y方向、・・・」と記載され、矢印Dの方向又はY方向は前後方向であることを踏まえると、図1及び4等から、複数の回転翼が、主翼よりも前側に設けられる前側回転翼と、主翼より後側に設けられる後側回転翼を含むことは明らかである。よって、上記特定は、明細書等に記載されたものである。 (イ) 訂正事項1のうち、「前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ」、「前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ」との特定に関し、明細書等の段落【0039】には「・・・巡航モード時と着陸モード時のプロペラ10がフレームやアーム、主翼等に干渉する可能性がある。これを避けるために、例えばフレームやアームが曲がった形状(屈曲や湾曲等)にしてもよく、例えば図9及び図10に示されるように、プロペラ10の設置側にフレームやアームの一部をずらした形状にしてもよい。・・・」と記載され、図9及び10や図3及び4等の図示から、主翼の前側に延伸する前側アームが設けられ、前側アームに前側回転翼が設けられること、また、主翼の後側に延伸する後側アームが設けられ、後側アームに後側回転翼は設けられること、すなわち、前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられることは明らかである。よって、上記特定は、明細書等に記載されたものである。 (ウ) 訂正事項1のうち、「巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており」、「巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており」との特定に関し、明細書等の段落【0015】には「回転翼部12は、飛行体100に、ティルト可能に接続されており、・・・」と記載されている。また、図1や図5等で示される巡行時には、図3や図6等で示される着陸時より、前側回転翼が前方を向き、後側回転翼が後方を向くことが看取できるから、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されていることは明らかである。よって、上記特定は、明細書等に記載されたものである。 (エ) 訂正事項1のうち、「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」との特定に関し、明細書等の段落【0017】には「着陸脚30は、地面と接触する接地部を備えており」と記載され、図3や図6に示される着陸脚30の接地部と主翼20の関係に着目すると、主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾していることは明らかである。よって、上記特定は、明細書等に記載されたものである。 (オ) したがって、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、また、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 (ア) 訂正事項2のうち、「複数の回転翼」を、「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、/前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、/前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており」と特定することは、訂正前の「複数の回転翼」の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) また、訂正事項2のうち、「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」と特定することは、訂正前の「前傾」の基準を明確にするとともに、「主翼」の固定の態様を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ウ) また、訂正事項2のうち、「複数の回転翼と、主軸と、を備える飛行体の着陸方法であって」と特定することは、訂正前の記載に助詞を補って日本語として明瞭にするものであるところ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア) 訂正事項2のうち、「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、」との特定、「前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ」、「前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ」との特定、「巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており」、「巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており」との特定、「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」との特定が、明細書等に記載されたものであることは、上記(1)イ(ア)~(エ)で検討したとおりである。 (イ) 訂正事項2のうち、「複数の回転翼と、主軸と、を備える飛行体の着陸方法であって」との特定は、上記ア(ウ)で示したように訂正前の記載を日本語として明瞭にしたにすぎないから、明細書等に記載されたものである。 (ウ) したがって、訂正事項2は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を伴うものであり、また、明瞭でない記載を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記「第2」で説示したように本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」・・・「本件発明7」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体であって、 前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており、 着陸時に、前記回転翼は、当該回転翼の回転軸を上方に向けて駆動され、前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される、 ことを特徴とする飛行体。 【請求項2】 前記回転翼は、着陸時に巡行時よりも前記主翼が前傾するように回転軸の角度が制御される、 ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。 【請求項3】 前記回転翼は、巡行時に推進力及び揚力を発生する角度で接続されるものを少なくとも含む、 ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の飛行体。 【請求項4】 前記回転翼は、巡行時に回転軸が水平となるように接続されるものを少なくとも含む、 ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の飛行体。 【請求項5】 前記主翼は、着陸時に前記主翼の上方に展開する動翼をさらに備える、 ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の飛行体。 【請求項6】 着陸時に上方へ後流を生むファンをさらに備える、 ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の飛行体。 【請求項7】 複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体の着陸方法であって、 前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡行時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており、 前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており、 着陸時に、前記回転翼は、当該回転翼の回転軸を上方に向けて駆動され、前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される、 ことを特徴とする飛行体の着陸方法。 第4 取消理由通知で通知した取消理由について 1 取消理由の概要 取消理由通知で通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 理由1:(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件の原出願の出願前(以下「原出願前」という)に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由3:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、原出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、原出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 ・理由1 ・請求項1~7 ・理由2、3 ・請求項1、4、7について、甲第1号証 ・理由3 ・請求項3について、甲第1号証 ・請求項1~4、7について、甲第2号証及び甲第1号証 2 各甲号証及び各甲号証に記載された発明 (1)各甲号証 申立人の提出した甲第1号証~甲第5号証(以下「甲1」~「甲5」という。)は以下のとおり。 甲1:米国特許出願公開第2018/0370629号明細書 甲2:「平成29年度 次世代VTOL型ドローンの高性能機体設計に関する研究補助事業」の資料、URL: https://hojo.keirin-autorace.or.jp/shinsei/document/list/kikai/h29/pdf/29-145koho.pdf、2019年10月18日 甲2-1:甲2公開ページの上位ディレクトリの表示画面、URL: https://hojo.keirin-autorace.or.jp/shinsei/document/list/kikai/h29/pdf/ 甲3:特開2018-20742号公報 甲4:特開2007-261527号公報 甲5:河野大輔他4名、「ティルトロータUAVに加わる空気力に関する考察」、第55回飛行機シンポジウム講演集、2017年11月20日~11月22日 (2)各甲号証の記載 ア 甲1 本件特許の原出願前に外国で頒布された甲1には、図面とともに、以下の記載がある。括弧内に当審の作成した翻訳を示した。以下同じ。 (ア) 甲1の記載事項 a 「[0027] The present aircraft system 10 can be a VTOL blended wing-body UAV (drone) with four independent tilt rotors 12, 14 (the aircraft). A system and method are provided to control stability of quad tilt-rotors in a vertical takeoff and landing (VTOL) unmanned aerial vehicle (UAV) by independently controlling the rotational speed of propellers at each rotor while simultaneously controlling the tilt angle of each of the rotors.」 (翻訳:[0027]この航空機システム10は4つの独立した傾斜ロータ12、14(航空機)を有する、翼胴一体型VTOLであり得る。各ロータの傾斜角度を同時に制御しつつ各ロータのプロペラの回転速度を独立して制御することにより、垂直離着陸(VTOL)無人機(UAV)の4つの傾斜ロータの安定性を制御するシステムと方法が提供される。) b 「[0028] The aircraft 10 can include a central fuselage 16. The fuselage 16 may be any shape. In an example, the fuselage includes a fuselage longitudinal central axis A, with a front end 20 of the fuselage and a back end 22 of the fuselage 16. The aircraft 10 can include a pair of wings 18 (or one continuous wing), with fuselage 16 and wings 18 integrated such that there is no clear dividing line between the two (i.e. a blended wing-body configuration).・・・」 (翻訳:[0028]航空機10は中央胴体16を含み得る。胴体16は任意の形状で良い。一例として、胴体は胴体の長手方向の中心軸Aと、胴体前部20及び胴体後部22を含む。航空機10は一対の翼18(又は連続した一つの翼)を含み、胴体16と翼18は、両者の間に明確な分割線がない形で一体化される(すなわち、翼胴一体化構成)。・・・) c 「[0029] The four tilting rotors 12, 14 can be located on the aircraft in such an arrangement as to surround the center of gravity of the aircraft, e.g. two front rotors 12 in front of the wings 18 and two rotors 14 behind the wing 18 on both left and right side of the fuselage. ・・・」 (翻訳:[0029]4つの傾斜ロータ12、14は航空機の重心を取り囲むように、例えば、2つの前方ロータ12は翼18の前方、2つのロータ14は翼18の後方の胴体の左右両側に配置され得る。・・・) d 「[0030] As shown in FIG. 2, the tilting rotors 12, 14 include a rotatable axis 30 that is attached to a tilting mechanism 32 configured to have independently controllable tilt angles 40. The rotatable axis 30 is perpendicular to the geometric plane containing the propellers of the rotor. The tilting range can be greater than 0° to 180° (e.g. 80° to 210°, -50° to 50°) relative to a vertical axis. For example, for the rotors connected to the fuselage 16 via the horizontal booms 50, 0° refers to the rotatable axis 30 pointing downward (perpendicular to a geometric horizontal plane containing the fuselage body 16 and wings 18), 90° refers to when the rotatable axis 30 is pointed forward (parallel to the longitudinal fuselage axis A), and 180° refers to the rotational axis 30 pointing directly upward (perpendicular to a geometric horizontal plane containing the fuselage body).」 (翻訳:[0030]図2に示されるように、傾斜ロータ12、14は、独立して傾斜角40を制御可能に構成された傾斜機構32に取り付けられた回転軸30を含む。回転軸30は、ロータのプロペラを含む幾何学的平面に直角である。傾斜範囲は垂直軸に対して0°から180°より大きい(例えば、80°から210°、-50°から50°)。例えば、胴体16に水平ブーム50を介して連結されたロータにとって、0°は回転軸30が下方(胴体16及び翼18を含む幾何学的水平面に対して直角)を向くこと意味し、90°は回転軸30が前方(長手方向胴体軸Aに平行)を向くことを意味し、180°は回転軸30が直接上方(胴体を含む幾何学的水平面に対して直角)を向くことを意味する。 e 「[0031] As shown in FIG. 1A, the front rotors 12 and back rotors 14 can be attached to the fuselage 16 through two horizontal booms 50 located in front and/or behind the wing and attached to the fuselage 16, wherein horizontal booms 50 extend substantially perpendicular to the fuselage longitudinal axis A, and/or substantially parallel with the horizontal axis B of the wings 18. In such configuration, the rotatable axis 30 of each rotor can rotate about a horizontal axis C, wherein horizontal axis C is perpendicular to the fuselage longitudinal axis A.」 (翻訳:[0031]図1Aに示すように、前方ロータ12及び後方ロータ14は、翼の前方及び/又は後方に位置して胴体16に接続される2つの水平ブーム50によって、胴体16に接続され得る。ここで、水平ブーム50は胴体の長手軸Aと実質的に直角に、及び/又は、翼18の水平軸Bと実質的に平行に、延在する。この構成において、ロータの回転軸30は、水平軸Cの周りに回転し、ここで、水平軸Cは、胴体の長手軸Aと直角である。) f 「[0032] As shown in FIG. 1B, the tilting rotors 12, 14 can additionally or alternatively be attached to longitudinal booms 52 attached to the front edge and/or back edge of the wings wherein longitudinal booms 52 extend substantially parallel to the fuselage longitudinal axis A of the fuselage 16, and/or substantially perpendicular with the horizontal axis B of the wings 18. ・・・ For example, as shown in FIGS. 3-6, the two front rotors 12 can extend from longitudinal booms 52 attached to the front edge of the wing 18, whereas the back two rotors 14 can extend from horizontal booms 50 attached to the fuselage 16.・・・」 (翻訳:[0032]図1Bに示すように、傾斜ロータ12、14は、追加的に又は代替的に、翼の前端及び/又は後端に接続され、胴体16の長手軸Aに実質的に平行である長手方向ブーム52に設けられ得る。長手方向ブーム52は、胴体16近傍の翼18に接続され得る。・・・例えば、図3~6に示すように、2つの前方ロータ12は、翼18の前端に接続された長手方向ブーム52から延び、一方、2つの後方ロータ14は胴体16に接続された水平ブーム50から延び得る。・・・) g 「[0033] In the example where the two front rotors 12 and/or back two rotors 14 extend from longitudinal booms 52, the tilting mechanism rotates the rotatable axis 30 about a rotor longitudinal axis D, wherein rotor longitudinal axis D is parallel to the fuselage longitudinal axis A. For example, when the rotors connected to the fuselage 16 via the longitudinal booms 52, 0° refers to the rotatable axis 30 pointing downward (perpendicular to a geometric horizontal plane containing the fuselage body 16 and wings 18), 90° refers to when the rotatable axis 30 is pointed outward (away from the fuselage body; substantially parallel to the horizontal wing axis B), and 180° refers to the rotational axis 30 pointing directly upward (perpendicular to a geometric horizontal plane containing the fuselage body).」 (翻訳:[0033]一例として、2つの前方ロータ12及び/又は2つの後方ロータ14が長手方向ブーム52から延びる際、傾斜機構は、ロータ長手軸Dの周りに回転軸30を回転し、ここでロータ長手軸Dは胴体の長手軸Aと平行である。例えば、長手方向ブーム52を介して、ロータが胴体16に接続される場合、回転軸30の0°は下方(胴体16及び翼18を含む幾何学的水平面に対して直角)を向くことを意味し、回転軸30の90°は外方(胴体から遠ざかる;実質的に水平な翼軸Bと平行)を向くことを意味し、180°は回転軸30が直接上方(胴体を含む幾何学的水平面に対して直角)を向くことを意味する。) h 「[0036] The configuration shown in FIG. 1B the aircraft can achieve lateral motion without rolling of the aircraft frame during hover mode, which allows it to benefit in the lateral direction from the same advantages as in the longitudinal direction (as in the configuration in FIG. 1A). The present system enables control of the translational motion without changes in aircraft altitude, which is critical for stable hover modes of a fixed wing VTOL aircraft, especially in windy conditions. The controller enables the tilt and throttle of each rotor to achieve net thrust in the desired direction and cancel out any undesired force or moments in other directions.」 (翻訳:[0036]図1Bに示す構成では、ホバーモード中に航空機の機体をローリングすることなく、航空機は横方向の動きを実現でき、(図1Aの構成のように)長手方向と同じ利点から横方向に恩恵を与える。このシステムは航空機の高度を変えることなく並進動作の制御を可能とし、これは、特に強風下における固定翼VTOL航空機の安定的なホバーモードにとって重要である。制御器は、所望の方向への正味の推力を達成し、それ以外の方向への不要な力やモーメントを相殺するための、各ロータの傾動とスロットルを可能にしている。) i 「[0038] The aircraft 10 can start in a vertical mode, wherein lift is generated by each rotor 30 that permits the aircraft to take off from the ground similar to a helicopter. Once the aircraft 10 is airborne, the rotors 30 can be rotated via the pivotable mechanism 32 to provide a horizontal thrust to move the aircraft 10 horizontally.」 (翻訳:[0038]航空機10は、垂直モードでスタートし、航空機を地面からヘリコプターのように離陸させるように揚力が各ロータ30から生成される。航空機10が空中に浮かぶと、ロータ30は枢動機構32によって回動し、航空機10が水平方向に移動するための水平推力を提供し得る。) (イ) 甲1の図示事項 a 図1A [図:0001397189000001.jpg] b 図1B [図:0001397189000002.jpg] c 図4 [図:0001397189000003.jpg] d 図6 [図:0001397189000004.jpg] (ウ) 甲1の認定事項 a 図1B及び図4を参照すると、長手方向ブーム52は前側に延伸すること、水平方向ブーム50は横方向に延伸することが看取できる。 b 図4及び図6から、胴体の下部に(前部に1つ、後部に2つの)脚部を有することが看取でき、図6から、翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾していることが看取できる。 そして、段落[0028]の「胴体16と翼18は、・・・一体化される」との記載も踏まえると、翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾して、胴体16と一体化されており、垂直着陸時に翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾しているものと認められる。 c 段落[0027]の「垂直離着陸(VTOL)」との記載から、垂直着陸を行うものと認められる。また、垂直着陸時に、傾斜ロータ12、14は、回転軸を上方に向けて駆動されることは明らかである。 d 上記cで説示したとおり、垂直着陸を行うものであるから、甲1には、航空機10の垂直着陸方法も記載されているといえる。 (エ) 甲1発明 上記(ア)~(ウ)を踏まえると、甲1には、次の発明(それぞれ、「甲1発明1」及び「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 a 甲1発明1 「4つの傾斜ロータ12、14と、翼18とを備える航空機10であって、 2つの前方ロータ12は翼18の前方、2つの後方ロータ14は翼18の後方に配置され、 2つの前方ロータ12は、翼18の前端に接続され前側に延伸する長手方向ブーム52から延び、2つの後方ロータ14は、胴体16に接続され横方向に延伸する水平ブーム50から延び、 2つの前方ロータ12が長手方向ブーム52から延びる際、傾斜機構は、胴体の長手軸Aと平行であるロータ長手軸Dの周りにロータの回転軸30を回転し、 水平ブーム50は胴体の長手軸Aと実質的に直角に延在し、ロータの回転軸30は、胴体の長手軸Aと直角である水平軸Cの周りに回転し、 翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾して、胴体16と一体化されており、 垂直着陸時に傾斜ロータ12、14は、回転軸を上方に向けて駆動され、翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾している、 航空機10。」 b 甲1発明2 「4つの傾斜ロータ12、14と、翼18とを備える航空機10の垂直着陸方法であって、 2つの前方ロータ12は翼18の前方、2つの後方ロータ14は翼18の後方に配置され、 2つの前方ロータ12は、翼18の前端に接続された長手方向ブーム52から延び、2つの後方ロータ14は胴体16に接続された水平ブーム50から延び、 2つの前方ロータ12が長手方向ブーム52から延びる際、傾斜機構は、胴体の長手軸Aと平行であるロータ長手軸Dの周りにロータの回転軸30を回転し、 水平ブーム50は胴体の長手軸Aと実質的に直角に延在し、ロータの回転軸30は、胴体の長手軸Aと直角である水平軸Cの周りに回転し、 翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾して、胴体16と一体化されており、 垂直着陸時に傾斜ロータ12、14は、回転軸を上方に向けて駆動され、翼18は、脚部の接地部を結ぶ線に対して前傾している、 航空機10の垂直着陸方法。」 イ 甲2 本件特許の原出願前に電気通信回線を通じて利用可能となった甲2には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア) 甲2の記載事項 a 1ページ 「2 研究の目的と背景 配送・輸送へのドローン応用を考えると,より長距離をより速く飛行できることが求められます.マルチコプタのような垂直離着陸性能を保ちながら,飛行機のような長距離高速飛行性能を実現するため,回転翼機モードと固定翼機モードを切り替え可能なVTOL型ドローンの研究開発が世界中で進んでいます.私たちは,2015年にロータの一部をティルトすることで飛行モードを切り替え可能なVTOL型ドローンの試作機を開発し,その飛行に成功しています. 本研究では,この機体の飛行性能を実用レベルまで引き上げるため,開発機体の飛行特性を飛行実験データや数値流体力学計算をもとに解析し,機体改良を行うことを目的としています.」 b 1ページ 「3 研究内容 ・・・ 飛行特性の解析: 開発した図1の機体を用いて低速から高速までの様々な飛行条件での飛行実験を行いました(図2).」 c 2ページ 「また,解析結果や実験結果より,開発機体が回転翼機モードでホバリング(定点滞空)飛行を行っているときの耐風性能について調べました.姿勢制御用ミニファンの改良や制御方法の見直しによって,機体前方から風を受けるように機体姿勢を取れば,5m/s以上の強風でもホバリング可能であることが確認されました(図5および図6).」 (イ) 甲2の図示事項 a 図1には、「VTOL型ドローン」との記載とともに、以下の写真が示されている。 [図:0001397189000005.jpg] b 図2には「飛行試験の様子(固定翼機モード)」との記載とともに、以下の写真が示されている。 [図:0001397189000006.jpg] c 図5には、「強風下でのホバリング飛行の様子」との記載とともに、以下の写真が示されている。 [図:0001397189000007.jpg] (ウ) 甲2の認定事項 a 図1及び図2から、VTOL型ドローンは、主翼を備えることが看取できる。また、主翼が機体に対して固定されることは明らかである。 b 上記(ア)aに「ロータの一部をティルトすることで飛行モードを切り替え可能なVTOL型ドローンの試作機を開発」と記載され、図1から、主翼の間に大きなロータが設けられ、主翼より前方の機首に1つ、主翼に2つの小さなロータが設けられることが看取できるから、甲2のVTOL型ドローンは、4つのロータを備え、4つのロータは主翼の間に設けられる大きなロータと、主翼より前方の機首に1つ及び主翼に2つ設けられる小さなロータであるものと認められる。 c 上記(ア)aの「垂直離着陸性能を保ちながら」及び「VTOL型ドローン」との記載から、垂直着陸を行うものと認められる。垂直着陸時に、ロータは、回転軸を上方に向けて駆動されることは明らかである。 d 上記(ア)cの「機体前方から風を受けるように機体姿勢を取れば,5m/s以上の強風でもホバリング可能であることが確認されました(図5および図6).」との記載、及び上記(イ)cの「強風下でのホバリング飛行の様子」との記載から、図5は、機体前方から風を受けるように機体姿勢を取った状態であり、図5から、この機体姿勢において、主翼は水平に対して前傾した状態であることが看取できる。 e 上記cで説示したとおり、垂直着陸を行うものであるから、甲2には、VTOL型ドローンの垂直着陸方法も記載されているといえる。 (エ) 甲2発明 上記(ア)~(ウ)を踏まえると、甲2には次の発明(それぞれ、「甲2発明1」、「甲2発明2」という。)が記載されている。 a 甲2発明1 「4つのロータと、主翼とを備えるVTOL型ドローンであって、 4つのロータは、主翼の間に設けられる大きなロータと、主翼より前方の機首に1つ及び主翼に2つ設けられる小さなロータであり、ロータの一部をティルトすることで飛行モードを切り替え可能であり、 主翼は機体に対して固定されており、 垂直着陸時に、ロータは回転軸を上方に向けて駆動され、 機体前方から風を受けるように機体姿勢を取れば、強風でもホバリング可能であり、この機体姿勢において、主翼は水平に対して前傾した状態である、 VTOL型ドローン。」 b 甲2発明2 「4つのロータと、主翼とを備えるVTOL型ドローンの垂直着陸方法であって、 4つのロータは、主翼の間に設けられる大きなロータと、主翼より前方の機首に1つ及び主翼に2つ設けられる小さなロータであり、ロータの一部をティルトすることで飛行モードを切り替え可能であり、 主翼は機体に対して固定されており、 垂直着陸時に、ロータは回転軸を上方に向けて駆動され、 機体前方から風を受けるように機体姿勢を取れば、強風でもホバリング可能であり、この機体姿勢において、主翼は水平に対して前傾した状態である、 VTOL型ドローンの垂直着陸方法。」 ウ 甲3 本件特許の原出願前に国内で頒布された甲3には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア) 甲3の記載事項 a 「【0035】 (A)第1の実施形態: 図1~図3は本実施形態に係る飛行体100の外観を示す図であり、図1は斜視図、図2は正面図、図3が前方斜視図である。図1~図3には、3つの回転翼を有するいわゆるトライコプターに主翼及び主翼傾角の制御部材を追加したタイプの飛行体100を示してある・・・」 b 「【0043】 重心GCより前方に配設される回転翼20a,20bは、対称面Mを挟んで左右に離間させて対称配置されている。このように左右に離間して対称配置された回転翼20a,20bは、その回転方向を互いに逆方向にしてある。一方、重心GCよりも後方に配設される回転翼20cは、左右方向の略中央(対称面Mが横切る位置)に配設されている。左右方向略中央に配設された回転翼20cは、図4に示すような、回転翼20cの傾きを自動調整するチルト機構12を介して機体10に取り付けられている。チルト機構12は、後述するサーボSv1を有し、制御部50の制御により、回転翼20cの回転の反作用として回転速度に応じて発生する捩れ力を相殺する方向に自動的に角度を調整される。」 (イ) 甲3の図示事項 a 図1 [図:0001397189000008.jpg] b 図4 [図:0001397189000009.jpg] c 図5 [図:0001397189000010.jpg] エ 甲4 本件特許の原出願前に国内で頒布された甲4には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア) 甲4の記載事項 a 「【0022】 本願発明の実施例を説明する。図1は表面効果飛行体(以下単に飛行体という。)の平面図、図2は側面図、図3は背面図である。 平面において飛行体(1)は、胴体(2)の左右両側部に、略三角形にした先尖多角形の、前後に長い翼体(3)が配設されている。胴体(2)は略正方形で示されているが、前後に長い長方形でもかまわない。」 b 「【0024】 胴体(2)の後上部で幅中央部には、垂直翼(4)が配設されている。符号(5)は方向舵である。また垂直翼(4)の上端部には、水平尾翼(6)が配設されている。符号(7)はフラップである。前記垂直翼(4)の前方に位置して、推進器(8)が配設されている。該推進器(8)はプロペラが示されているが、ジェットエンジンでもかまわない。また推進器(8)は、垂直翼(4)の前縁部に一体に固定することができる。胴体(2)の下部には、必要に応じて車輪(9)が配設される。」 (イ) 甲4の図示事項 a 図1 [図:0001397189000011.jpg] b 図2 [図:0001397189000012.jpg] オ 甲5 本件特許の原出願前に国内で頒布された甲5には、図面とともに、以下の記載がある。 (ア) 甲5の記載事項 第1ページ左欄第17~20行 「我々も2015年に図1に示すティルトロータUAVを開発し,そのVTOL機としての飛行を実現している」 (イ) 甲5の図示事項 図1 [図:0001397189000013.jpg] 3 当審の判断 (1)取消理由通知で通知した理由1(特許法第36条第6項第2号)について 主翼が機体の何に対して前傾しているかについて、訂正後の請求項1及び7では、「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」と訂正されることにより、主翼が着陸時の機体の接地面に対して前傾していることが明確となった。 よって、請求項1及び7に係る発明は明確である。 (2)取消理由通知で通知した理由2、3(特許法第29条第1項第3号及び同法第29条第2項)について ア 甲1を主引例とした場合 (ア) 本件発明1との対比 本件発明1と甲1発明1とを対比する。 a 後者の「4つの」及び「傾斜ロータ12、14」は前者の「複数の」及び「回転翼」にそれぞれ相当し、以下同様に、「前方ロータ12」は「前側回転翼」に、「後方ロータ16」は「後側回転翼」に、「長手方向ブーム52」は「前側アーム」に、「水平ブーム50」は「後側アーム」に、「翼18」は「主翼」に、「航空機10」は「飛行体」に、「垂直着陸時」は「着陸時」に、それぞれ相当する。 b 後者の「2つの前方ロータ12は翼18の前方、2つの後方ロータ14は翼18の後方に配置され」る構成は、前者の「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み」との構成に相当する。 c 後者の「2つの前方ロータ12は」「前側に延伸する長手方向ブーム52から延び」る構成は、前者の「前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ」る構成に相当する。また、後者の「傾斜機構は、胴体の長手軸Aと平行であるロータ長手軸Dの周りにロータの回転軸30を回転し」との構成と、前者の「巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており」との構成とは、「前記前側回転翼がティルト可能に構成されており」との点で共通する。 d 後者の「2つの後方ロータ14は」「横方向に延伸する水平ブーム50から延び」る構成は、前者の「前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ」る構成と、「前記後側回転翼は後側アームに設けられ」る点で共通する。また、後者の「水平ブーム50は胴体の長手軸Aと実質的に直角に延在し、ロータの回転軸30は、胴体の長手軸Aと直角である水平軸Cの周りに回転し」との構成と、前者の「巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されており」との構成は、「後側回転翼が前後方向にティルト可能に構成されており」との点で共通する。 e 後者の翼18が胴体16と「一体化されて」いる構成は、前者の主翼は「固定されて」いる構成に相当し、後者の「翼18は、脚部の接地を結ぶ線に対して前傾して、胴体16と一体化されており」との構成は、前者の「前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており」との構成に相当する。 f そうすると、本件発明1と甲1発明1とは以下の点で一致する。 [一致点] 「複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体であって、 前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、前記前側回転翼がティルト可能に構成されており、 前記後側回転翼は後側アームに設けられ、後側回転翼が前後方向にティルト可能に構成されており、 前記主翼は、着陸時の機体の接地面に対して前傾して固定されており、 着陸時に、前記回転翼は、当該回転翼の回転軸を上方に向けて駆動される 飛行体。」 そして、本件発明1と甲1発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1は、「前記前側回転翼は」「巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており」、「前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されて」いるのに対し、甲1発明1では、前方ロータ12は、巡行時に着陸時より前方を向くようにティルト可能に構成されておらず、後方ロータ14の設けられる水平ブーム50は横方向に延伸しており、後側に延伸するものではなく、後方ロータ14は、巡行時に着陸時より後方を向くようにティルト可能に構成されるか特定されていない点。 [相違点2] 着陸時について、本件発明1では「前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される」のに対し、甲1発明1では、その特定がない点。 (イ) 相違点についての検討 相違点1について、検討する。 相違点1に係る本件発明1の構成のうち、前側回転翼が、「巡航時に着陸時より」「前方を向くように」ティルト可能に構成されるとともに、後側回転翼が「巡航時に着陸時より」「後方を向くように」ティルト可能に構成される点(以下「相違点1に係る前側回転翼及び後側回転翼のティルト構成」という。)については、いずれの証拠にも記載も示唆もされていない。 これに関して、甲1には、段落[0030]、[0031]及び図1Aを参照すると、前方ロータ12及び後方ロータ14が胴体の長手軸Aと直角である水平軸Cの周りにロータの回転軸30が回転する構成(以下「図1A構成」という。)が記載されている。しかしながら、図1A構成は、着陸時には図1Aに示されるように前方ロータ12及び後方ロータ14は上方を向くものと認められる一方、ロータの推力の方向を考えれば、巡行時には前方ロータ12も後方ロータ14も前方を向くことが明らかであって、後方ロータ14が巡行時に着陸時より後方を向くとはいえない。すなわち、相違点1に係る前側回転翼及び後側回転翼のティルト構成を示唆するものではない。 また、甲2には、上記甲2発明1のように「ロータの一部をティルトすることで飛行モードを切り替え可能」とすることが記載され、甲3には段落【0043】及び図1、5から、機体の後方に延伸するアームに配設される回転翼20cの傾きを自動調整するチルト機構12が記載され、甲4には、プロペラを備える飛行体が、甲5には、ティルトロータUAVが記載されている。しかしながら、甲2~甲5のいずれにも、相違点1に係る前側回転翼及び後側回転翼のティルト構成は記載も示唆もない。 そうすると、相違点1のうち、少なくとも相違点1に係る前側回転翼及び後側回転翼のティルト構成は、容易想到とはいえないから、甲1発明1において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ) 本件発明2~6 本件発明2~6は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1が、甲1発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない以上、本件発明2~6についても、甲1発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (エ) 本件発明7 本件発明7及び甲1発明2は、それぞれ、本件発明1及び甲1発明1のカテゴリを方法としたものである。そうすると、本件発明1及び甲1発明1について検討したのと同様の理由により、本件発明7は、甲1発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 甲2を主引例とした場合 (ア) 本件発明1との対比 本件発明1と甲2発明1とを対比する。 a 後者の「4つの」及び「ロータ」は前者の「複数の」及び「回転翼」にそれぞれ相当し、以下同様に、「VTOL型ドローン」は「飛行体」に、「垂直着陸時」は「着陸時」に、相当する。 b 後者の「主翼より前方の機首に1つ」「設けられる小さなロータ」は、前者の「主翼より前側に設けられる前側回転翼」に相当する。また、後者の「主翼の間に設けられる大きなロータ」及び「主翼に2つ設けられる小さなロータ」は、機首に設けられる小さなロータよりは後側にあるから、前者の「前記主翼より後側に設けられる後側回転翼」と「前側回転翼より後側に設けられる後側回転翼」の点で共通する。そうすると、後者の「主翼より前方の機首に1つ」「設けられる小さなロータ」、「主翼の間に設けられる大きなロータ」及び「主翼に2つ設けられる小さなロータ」の構成は、前者の「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前記主翼より後側に設けられる後側回転翼を含」む構成と、「前記複数の回転翼は、前記主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前側回転翼より後側に設けられる後側回転翼を含」む構成で共通する。 c ホバリングとは回転翼の揚力で空中に静止している状態であるので、後者の「ホバリング」は前者の「着陸時」と、「回転翼の揚力で空中に浮いている時」の点で共通する。 また、ホバリングは空中で静止している状態であるから、甲2発明1において、強風でのホバリングの際に、その機体姿勢、すなわち、水平に対して前傾した状態を維持することは明らかである。 そうすると、後者の「機体前方から風を受けるように機体姿勢を取れば、強風でもホバリング可能であり、この機体姿勢において、主翼は水平に対して前傾した状態である」構成は、前者の「着陸時に」「前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される」構成と、「回転翼の揚力で空中に浮いているとき、前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される」点で共通する。 d そうすると、本件発明1と甲2発明1とは以下の点で一致する。 [一致点] 「複数の回転翼と、主翼と、を備える飛行体であって、 前記複数の回転翼は、主翼より前側に設けられる前側回転翼と、前側回転翼より後側に設けられる後側回転翼とを含み、 前記主翼は、機体に対して固定されており、 着陸時に、前記回転翼は、当該回転翼の回転軸を上方に向けて駆動され、 回転翼の揚力で空中に浮いているとき、前記主翼は、水平に対して前傾した状態に維持される 飛行体。」 また、本件発明1と甲2発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点3] 後側回転翼について、本件発明1は「主翼より後側に設けられる」ものであるのに対し、甲2発明1では、主翼より後側に設けられるものではない点。 [相違点4] 本件発明1は、「前記前側回転翼は前側に延伸する前側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記前側回転翼が前方を向くようにティルト可能に構成されており、前記後側回転翼は後側に延伸する後側アームに設けられ、巡航時に着陸時より前記後側回転翼が後方を向くようにティルト可能に構成されて」いるのに対し、甲2発明1の4つのロータは、前側アームや後側アームに設けられるものではなく、また、一部のロータがティルト可能であるものの、機首に設けられる小さなロータが巡行時に着陸時よりも前方を向くようにされているとも、主翼の間の大きなロータ又は主翼に設けられる小さなロータが巡行時に着陸時より後側を向くようにされているとも特定されていない点。 [相違点5] 主翼の固定について、本件発明1では、着陸時の機体の接地面に対し「前傾して」固定されているのに対し、甲2発明1では、着陸時の機体の接地面に対する主翼の取り付け角度は、不明である点。 [相違点6] 主翼が水平に対して前傾した状態に維持されるのが、本件発明1では「着陸時」であるのに対し、甲2発明1では「強風」での「ホバリング」のときである点。 (イ) 相違点についての検討 事案に鑑み、まず、相違点4について、検討する。 相違点4に係る本件発明1の構成のうち、前側回転翼が、「巡航時に着陸時より」「前方を向くように」ティルト可能に構成されるとともに、後側回転翼が「巡航時に着陸時より」「後方を向くように」ティルト可能に構成される点については、いずれの証拠にも記載も示唆もされていない(上記「ア(イ)」相違点1についての検討を参照)。 そうすると、相違点4のうち、少なくとも、前側回転翼が、「巡航時に着陸時より」「前方を向くように」ティルト可能に構成されるとともに、後側回転翼が「巡航時に着陸時より」「後方を向くように」ティルト可能に構成されることは、容易想到とはいえないから、甲2発明1において、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 よって、相違点3、5、6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (ウ) 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1が、甲2発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない以上、本件発明2~6についても、甲2発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 (エ) 本件発明7について 本件発明7及び甲2発明2は、それぞれ、本件発明1及び甲2発明1のカテゴリを方法としたものである。そうすると、本件発明1及び甲2発明1について検討したのと同様の理由により、本件発明7は、甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 取消理由通知において採用しなかった異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1及び7に関し、「前記主翼は、機体に対して前傾して固定されており」との記載は、主翼が機体に対してティルトして前傾になった位置で固定されるものを含むのか否かが明確でないと主張する。 しかしながら、請求項1及び7では、主翼がティルトすることは特定されておらず、ティルトするかしないかに関わらず、請求項1及び7に記載された発明は、「前記主翼は、・・・前傾して固定されて」いるものとして明確であるから、特許請求の範囲の記載の請求項1、7及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~6は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。 したがって、申立人のかかる主張は、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700418

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同じ当事者の審決12件(株式会社エアロネクスト、藤松 正雄)
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    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
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    同じ当事者: 藤松 正雄
  • 2023-700122異議申立 / 2023-10-23 / 訂正認容冷凍麺類の製造方法
    同じ当事者: 藤松 正雄
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    同じ当事者: 藤松 正雄
  • 2019-700726異議申立 / 2020-09-07 / 請求成立(取消)診断支援装置、機械学習装置、診断支援方法、機械学習方法および機械学習プログラム
    同じ当事者: 藤松 正雄
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    共通の審決分類: 113・B64C、121・B64C、537・B64C
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    共通の審決分類: 113・B64C、121・B64C、537・B64C
  • 2022-700481異議申立 / 2022-12-27 / 訂正認容飛行装置
    共通の審決分類: 113・B64C、121・B64C、537・B64C
  • 2024-014220拒絶査定不服審判 / 2026-01-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)標的航空機を無力化するための対抗手段を有する航空機
    共通の審決分類: 113・B64C、121・B64C、537・B64C
  • 2024-018527拒絶査定不服審判 / 2025-12-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)飛行体
    共通の審決分類: 113・B64C、121・B64C、537・B64C

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