2023-700624
電池用包装材料
- 審判番号
- 2023-700624
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-076996外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7188490
- 請求日
- 2023年06月13日
- 審決日
- 2024年02月07日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.536-YAA(H01M) / P1651.537-YAA(H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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特許第7188490号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成26年9月30日に出願した特願2014-202463号の一部を平成31年3月6日に新たな特許出願とした特願2019-40122号の一部を令和3年4月30日に新たな特許出願としたものであって、令和4年12月5日にその特許権の設定登録がされ、令和4年12月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし8に係る特許に対し、令和5年6月13日に特許異議申立人加藤三千代(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和5年8月31日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和5年11月1日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、特許異議申立人は、令和5年12月13日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、請求項1に係る「前記基材層は、ポリエステルフィルムのみにより形成されており、」との記載を「前記基材層は、ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されており、」に訂正する、というもの、及び請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~8も同様に訂正する、というものである。
また、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~8〕に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的の適否について
請求項1に係る「ポリエステルフィルム」は、「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」であるフィルムを含むものであるところ、請求項1に係る「前記基材層は、ポリエステルフィルムのみにより形成されており、」との記載を「前記基材層は、ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されており、」に変更する訂正は、「ポリエステルフィルム」から「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」であるフィルムを除外するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
よって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)新規事項の有無について
本件訂正請求による訂正は、特許権者に通知した取消理由において甲第1号証から認定された発明を除くことを意図していることが明らかであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全てを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
本件訂正請求による訂正は、「前記基材層」を形成する「ポリエステルフィルム」から「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」のフィルムを除外して、「前記基材層」を形成する「ポリエステルフィルム」を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし8に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記接着剤層は、前記基材層に直接接着しており、前記基材層は、ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されており、続きを表示(全22行)前記接着層は、酸変性ポリオレフィンによって形成されており、前記接着層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。【請求項2】前記積層体の厚みが、160μm以下である、請求項1に記載の電池用包装材料。【請求項3】前記基材層が、延伸ポリエステルフィルムにより形成されており、前記シーラント層が、未延伸樹脂フィルムにより形成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。【請求項4】前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートの少なくとも一方により形成されている、請求項1~3のいずれかに記載の電池用包装材料。【請求項5】前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の電池用包装材料。【請求項6】前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、請求項1~5のいずれかに記載の電池用包装材料。【請求項7】二次電池用の包装材料である、請求項1~6のいずれかに記載の電池用包装材料。【請求項8】少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1~7のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし8に係る発明に対して、当審が令和5年8月31日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)引用文献1(甲第1号証)に基づく新規性について
請求項1ないし8に係る発明は、引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1ないし8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)引用文献2(甲第2号証)に基づく進歩性について
請求項1ないし5に係る発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、請求項6ないし8に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献3に記載された事項、及び引用文献1記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)引用文献3(甲第3号証)に基づく進歩性について
請求項1ないし8に係る発明は、引用文献3に記載された発明、及び引用文献1、2記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献一覧>
引用文献1(甲第1号証) 特開2014-22080号公報
引用文献2(甲第2号証) 特開2008-130436号公報
引用文献3(甲第3号証) 特開2013-214459号公報
2 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、「電池用包装材料」について、以下の各記載がある(下線は当審で追加した。以下同様。)。
「【0094】4.電池用包装材料の用途本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。【0095】具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。【0096】本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。」
「【0098】実施例1基材層1として2軸延伸ポリアミド(ナイロン6、厚さ25μm)を用い、当該2軸延伸ポリアミドの一方面に対して、ポリエーテルポリオールからなるプレポリマーを脂肪族ポリイソシアネートで反応させて得られたポリウレタン樹脂100重量部と、硬化剤としてトリメチロールメラミン樹脂5重量部とを混合した樹脂組成物をグラビアコート法により塗布し、40℃で5日間エージング処理することにより、ポリウレタン樹脂を架橋させた易接着層2(厚さ0.05μm)を形成させ、基材層1/易接着層2からなる積層体を得た。また、金属層として両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)を用い、当該アルミニウム箔の一方面に対して、接着層3としてマレイン酸変性ポリプロピレン(熱溶融型接着樹脂)を厚さ10μmとなるように溶融押出しを行い、前記で調製した基材層1/易接着層2の積層体の易接着層2と、当該接着層3をサンドラミネート法により積層させ、基材層1/易接着層2/接着層3/化成処理された金属層4からなる積層体を得た。【0099】次いで、当該積層体の金属層4に対して、シーラント層5として、マレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層させた。この時、マレイン酸変性ポリプロピレンが金属層4側になるように配置した。斯して、基材層1/易接着層2/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体を形成した。その後、得られた積層体を一旦冷却した後に、積層体中のアルミニウム箔(金属層4)が190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施すことにより、電池用包装材料を得た。」
「【0111】比較例2基材層1として2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)を使用したこと、易接着層2の形成を行わなかったこと、ポリエステルポリオール(主剤)とトルエンジイソシアネート(硬化剤)の2液型ウレタン接着剤を用いて厚さ4μmの接着樹脂層3を形成したこと、並びに基材層1と金属層4との積層を接着層3を介したドライラミネート法により行ったこと以外は、実施例1と同条件で電池用包装材料を製造した。」
イ 甲第1号証に記載された技術的事項
上記アの記載から以下のことがいえる。
(ア)段落【0099】によれば、実施例1の電池用包装材料は「基材層1/易接着層2/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体」を「一旦冷却した後に、積層体中のアルミニウム箔(金属層4)が190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施すことにより」得たものである。
また、段落【0111】によれば、比較例2の「電池用包装材料」は基材層1と接着層3の間に「易接着層2の形成を行わなかった」ものであり、易接着層2以外に基材層1と接着層3の間に層の挿入又は削除は行われていない。
そうすると、比較例2の電池用包装材料は、基材層1/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体を、一旦冷却した後に、金属層4が190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施すことにより得られたものといえる。
(イ)段落【0111】によれば、比較例2の電池用包装材料は「基材層1と金属層4との積層を接着層3を介したドライラミネート法により行った」ものであり、接着層3は基材層1に直接接着しているといえる。
(ウ)段落【0111】によれば、比較例2の電池用包装材料は「基材層1として2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)を使用した」ものである。
(エ)段落【0099】によれば、実施例1のシーラント層5は「金属層4に対して、」「マレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)」が「共押出しして積層」されてなるものである。
そして、段落【0111】によれば、比較例2のシーラント層5は「実施例1と同条件」で製造されたものであるから、比較例2のシーラント層5も、金属層4に対して、マレイン酸変性ポリプロピレンの層(厚さ25μm)とポリプロピレンの層(厚さ25μm)が共押出しして積層されてなるものといえる。
(オ)段落【0111】によれば、比較例2は「厚さ4μmの接着樹脂層3を形成し」ており、また「接着樹脂層3」は「接着層3」であるといえるから、接着層3は厚さ4μmであるといえる。
(カ)段落【0098】、【0111】によれば、実施例1の金属層4は「両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)」であり、比較例2の金属層4は「実施例1と同条件」で製造されたものであるから、比較例2の金属層4は両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)であるといえる。
(キ)段落【0096】には「本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である」と記載され、比較例2の電池用包装材料も二次電池への使用を想定していることは明らかであるから、二次電池に使用してもよいといえる。
(ク)段落【0095】によれば、電池用包装材料で、「少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を」「被覆し、」「密封させることによって」「電池が提供される」。
ウ 甲第1号証に記載された発明
したがって、甲第1号証には、比較例2として次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「基材層1/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体を、一旦冷却した後に、金属層4が190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施すことにより得られ、(上記イ(ア))接着層3は基材層1に直接接着しており、(上記イ(イ))基材層1として2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)を使用した、(上記イ(ウ))電池用包装材料であって、シーラント層5は、金属層4に対して、マレイン酸変性ポリプロピレンの層(厚さ25μm)とポリプロピレンの層(厚さ25μm)が共押出しして積層されてなり、(上記イ(エ))接着層3は厚さ4μmであり、(上記イ(オ))金属層4は両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)であり、(上記イ(カ))二次電池に使用してもよく、(上記イ(キ))少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を被覆し、密封させることによって電池が提供される、(上記イ(ク))電池用包装材料。」
(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証には、「電池ケース用包材」について、図面とともに以下の各記載がある。
「【0001】この発明は、例えばリチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材に関する。」
「【0017】この発明に係る電池ケース用包材(1)の一実施形態を図1に示す。この包材は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられるものである。前記電池ケース用包材(1)は、アルミニウム箔層(4)の上面に第1接着剤層(5)を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)が積層一体化されると共に、前記アルミニウム箔層(4)の下面に第2接着剤層(6)を介して熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)が積層一体化された構成からなる。【0018】前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時のアルミニウム箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。この発明において、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(2)として、屈折率が1.40~1.70の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いる必要がある。屈折率が1.40未満では、フィルムの収縮性が高くなり成形後に耐熱性樹脂延伸フィルム層(2)とアルミニウム箔層(4)の間で剥離が生じる。一方、屈折率が1.70を超えると、深絞り成形や張り出し成形等の成形を行った際に包材に破断やひび割れを生じる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、屈折率が1.50~1.60の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが好ましい。【0019】更に、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(2)として、屈折率が1.40~1.70の2軸延伸ポリアミドフィルム、屈折率が1.40~1.70の2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム又は屈折率が1.40~1.70の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。この場合には、深絞り成形や張り出し成形等の成形性をさらに向上させることができ、よりシャープでかつ成形高さの深い形状の成形が可能となる。」
「【0023】前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、包材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。【0024】前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。」
「【0026】なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(2)、前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は、いずれも単層であっても良いし、複層であっても良い。」
「【0029】前記第2接着剤層(6)としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンの他、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂等により形成された接着剤層が挙げられる。これら第2接着剤層(6)は、例えば、前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)の片面に接着樹脂フィルム(例えば酸変性ポリオレフィンフィルム等)がラミネートされて形成される。」
「【0034】<実施例1>図2に示すように、厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)を共押出する一方、図面左側から厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079-O材)(4)を供給しつつ、図面右側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートした。【0035】次に、得られた積層フィルムのアルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面にナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルム(2)をラミネートして、電池ケース用包材を得た。」
「【0045】<実施例4>ナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μm、屈折率1.62の2軸延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして電池ケース用包材を得た。」
「【0049】<実施例6>ナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μm、屈折率1.52の2軸延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして電池ケース用包材を得た。」
「【図2】[図:0001410215000001.jpg]」
イ 甲第2号証に記載された技術的事項
上記アの記載から以下のことがいえる。
(ア)段落【0001】、【0017】によれば、「電池ケース用包材(1)」は、「リチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材」「として用いられ」、「アルミニウム箔層(4)の上面に第1接着剤層(5)を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)が積層一体化されると共に、前記アルミニウム箔層(4)の下面に第2接着剤層(6)を介して熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)が積層一体化された構成からなる」。
(イ)段落【0018】によれば、「前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である」。
(ウ)段落【0023】によれば、「前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)は、」「包材にヒートシール性を付与する役割を担うものである」。
(エ)上記【0034】、【0035】によれば、実施例1の「電池ケース用包材」は、「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)を共押出する一方、図面左側から厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079-O材)(4)を供給しつつ、図面右側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートし」、「得られた積層フィルムのアルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面にナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルム(2)をラミネートして」「得た」ものである。
ここで、図2を参照すると、「図面左側から厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079-O材)(4)を供給」するとは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から厚さ40μmのアルミニウム箔(4)を供給することであり、「図面右側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給」するとは、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給することである。
そうすると、実施例1の電池ケース用包材は、厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)を共押出する一方、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から厚さ40μmのアルミニウム箔(4)を供給しつつ、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートし、得られた積層フィルムのアルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面にナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルム(2)をラミネートして得たものといえる。
(オ)段落【0045】によれば、実施例4の「電池ケース用包材」は、「ナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μm、屈折率1.62の2軸延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして」「得た」ものである。
また、段落【0049】によれば、実施例6の「電池ケース用包材」は、「ナイロンからなる厚さ25μm、屈折率1.55の2軸延伸フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μm、屈折率1.52の2軸延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして」「得た」ものである。
そうすると、上記(エ)の検討を考慮すれば、実施例4又は実施例6の「電池ケース用包材」は、厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)を共押出する一方、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から厚さ40μmのアルミニウム箔(4)を供給しつつ、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートし、得られた積層フィルムのアルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μmの2軸延伸フィルム(2)をラミネートして得たものといえる。
ウ 甲第2号証に記載された発明
したがって、甲第2号証には、実施例4又は実施例6として次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「リチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材として用いられ、アルミニウム箔層(4)の上面に第1接着剤層(5)を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)が積層一体化されると共に、前記アルミニウム箔層(4)の下面に第2接着剤層(6)を介して熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)が積層一体化された構成からなる、電池ケース用包材であって、(上記イ(ア))前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材であり、(上記イ(イ))前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)は、包材にヒートシール性を付与する役割を担うものであり、(上記イ(ウ))厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)を共押出する一方、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から厚さ40μmのアルミニウム箔(4)を供給しつつ、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートし、得られた積層フィルムのアルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μmの2軸延伸フィルム(2)をラミネートして得た、(上記イ(オ))電池ケース用包材。」
(3)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証には、「電気化学セル用包装材料」について、以下の各記載がある。
「【0017】リチウムイオン電池121は包装体120内部に電解液を含むリチウムイオン電池本体122を収納して構成される。包装体120はリチウムイオン電池本体122を収納する収納部120aと収納部120aを覆うシート状の蓋部120bにより構成される。」
「【0019】リチウムイオン電池本体122は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解液とを含むセルにより構成される。セルは正極集電体が延出する正極板と負極集電体が延出する負極板を複数積層して構成される。正極板と負極板はセパレータを介して交互に複数積層される。積層された複数の正極集電体、負極集電体は重畳してそれぞれ一枚の正極タブ123a、負極タブ123bに連結している。【0020】図3は収納部120aと蓋部120bを形成する包装材料110の層構成を示す概略断面図であり、包装材料110は基材層112とバリア層114と熱接着層116とが順次積層して構成される。基材層112とバリア層114は接着層113を介して接着され、バリア層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されている。バリア層114の両面には化成処理が施され、バリア層114と酸変性ポリオレフィン層115及びバリア層114と接着層113との層間ラミネーション強度が高められている。」
「【0022】基材層112は透過性を有する樹脂フィルムからなり、包装体120に高い耐突き刺し(耐ピンホール)性、絶縁性、作業性等を付与する。また、エンボス成型する際のプレスに耐え得る展延性を有する必要がある。」
「【0026】バリア層114は金属箔からなり、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止する。また、バリア層114単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成型性)を安定化し、耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウムを用いる。」
「【0045】熱接着層116は包装材料110の最内層に配され、熱によって溶融して対向する包装材料110を相互に融着する熱接着性樹脂からなる。また、熱接着層116と正極タブ123a又は負極タブ123bとの間にタブフィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なる。タブフィルムを介在させる場合には、オレフィン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いればよい。また、タブフィルムを介在させない場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィンを用いればよい。【0046】また、熱接着層116としてはポリプロピレンが好適に用いられる。その他にも線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層からなるフィルムも使用できる。また、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの混合樹脂からなる単層または多層からなるフィルムも使用できる。【0047】また、熱接着層116に各タイプのポリプロピレンを用いる場合、例えば、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等の各タイプを用いることができる。また、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマーを添加してもよい。また、これらの樹脂にシリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤を添加してもよい。【0048】酸変性ポリオレフィン層115はバリア層114と熱接着層116とを安定して接着する樹脂層であり、酸変性ポリプロピレンが好適に用いられる。また、酸変性ポリオレフィン層115は熱接着層116に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。このため、酸変性ポリプロピレン以外の酸変性ポリオレフィンを用いる場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン、不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレンとアクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したプロピレンとアクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレンとメタクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したプロピレンとメタクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性した金属架橋ポリオレフィン等がある。また、これらの樹脂に必要に応じてブテン成分、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、非晶質のエチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよい。」
「【0058】次に本発明の作用及び効果について、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。本実施例では、電気化学セル用包装材料を構成する基材層をサーマルラミネート法、サンドラミネート法、ドライラミネート法のいずれかの方法によりバリア層の上面に積層し、これらの耐久性、成型性についての評価を行った。【0059】[電気化学セル用包装材料のサンプル作製]続きを表示(全14行)実施例1~7に係る電気化学セル用包装材料110はアルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に基材層112(厚さ15μm)と接着層113とが積層された多層フィルムをサーマルラミネート法により積層した。【0060】実施例8~11に係る電気化学セル用包装材料110はアルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に接着層113を構成する樹脂を溶融押出しして基材層112と接着層113とが積層された多層フィルムをサンドラミネート法により積層した。これにより、接着層113は2層化される。【0061】また、実施例1~11、比較例1~3に係る電気化学セル用包装材料はアルミニウムの他方の化成処理面は酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層した。【0062】なお、化成処理は、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる処理液をロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。ここで、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。また、実施例1~10、比較例1、3に係る電気化学セル用包装材料は一旦冷却した後にアルミニウムを190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施した。【0063】[実施例1]実施例1に係る電気化学セル用包装材料110は基材層112に2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)、接着層113にナイロン6とテレフタル酸の共重合ポリアミド(以下、ナイロン6Tと略す、厚さ10μm)を用いた。」
イ 甲第3号証に記載された技術的事項
上記アの記載から以下のことがいえる。
(ア)段落【0017】によれば、「包装体120はリチウムイオン電池本体122を収納する収納部120aと」「蓋部120bにより構成され」る。
(イ)段落【0020】によれば、「収納部120aと蓋部120bを形成する包装材料110」「は基材層112とバリア層114と熱接着層116とが順次積層して構成され」、「基材層112とバリア層114は接着層113を介して接着され、バリア層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されている」。
(ウ)段落【0017】によれば、「リチウムイオン電池121は包装体120内部に電解液を含むリチウムイオン電池本体122を収納して構成され」、段落【0019】によれば、「リチウムイオン電池本体122は、」「正極と、」「負極と、」「電解液とを含むセルにより構成される」。
(エ)段落【0022】によれば、「基材層112は」「樹脂フィルムからなり、包装体120に高い耐突き刺し(耐ピンホール)性、絶縁性、作業性等を付与する」。
(オ)段落【0026】によれば、「バリア層114は金属箔からなり、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止する」。
(カ)段落【0045】によれば、「熱接着層116は包装材料110の最内層に配され、熱によって溶融して対向する包装材料110を相互に融着する熱接着性樹脂からなる」。
(キ)段落【0059】によれば、「実施例1」「に係る電気化学セル用包装材料110はアルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に基材層112」「と接着層113とが積層された多層フィルムをサーマルラミネート法により積層した」ものである。
また、段落【0061】によれば、「実施例1」「に係る電気化学セル用包装材料はアルミニウムの他方の化成処理面は酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層した」ものである。
さらに、段落【0063】によれば、「実施例1に係る電気化学セル用包装材料110は基材層112に2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)、接着層113にナイロン6とテレフタル酸の共重合ポリアミド(」「厚さ10μm)を用いた」ものである。
ここで上記記載を考慮すると、実施例1に係る電気化学セル用包装材料110は、基材層112とアルミニウムとポリプロピレンが積層され、基材層112とアルミニウムは接着層113を介して積層され、アルミニウムとポリプロピレンは酸変性ポリプロピレンを介して積層された構造を有するから、上記(イ)を考慮すれば、実施例1に係る電位化学セル用包装材料110は、バリア層114であるアルミニウムを有する。
そうすると、実施例1に係る電気化学セル用包装材料110は、バリア層114であるアルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に基材層112と接着層113とが積層された多層フィルムをサーマルラミネート法により積層し、アルミニウムの他方の化成処理面は酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層し、基材層112に2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)、接着層113にナイロン6とテレフタル酸の共重合ポリアミド(厚さ10μm)を用いたものである。
ウ 甲第3号証に記載された発明
したがって、甲第3号証には、実施例1として次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
「包装体120はリチウムイオン電池本体122を収納する収納部120aと蓋部120bにより構成され、(上記イ(ア))収納部120aと蓋部120bを形成する包装材料110は、基材層112とバリア層114と熱接着層116とが順次積層して構成され、基材層112とバリア層114は接着層113を介して接着され、バリア層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されており、(上記イ(イ))リチウムイオン電池121は包装体120内部に電解液を含むリチウムイオン電池本体122を収納して構成され、リチウムイオン電池本体122は、正極と、負極と、電解液とを含むセルにより構成され、(上記イ(ウ))基材層112は、樹脂フィルムからなり、包装体120に高い耐突き刺し(耐ピンホール)性、絶縁性、作業性等を付与し、(上記イ(エ))バリア層114は金属箔からなり、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止し、(上記イ(オ))熱接着層116は、包装材料110の最内層に配され、熱によって溶融して対向する包装材料110を相互に融着する熱接着性樹脂からなり、(上記イ(カ))バリア層114であるアルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に基材層112と接着層113とが積層された多層フィルムをサーマルラミネート法により積層し、アルミニウムの他方の化成処理面は酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層し、基材層112に2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)、接着層113にナイロン6とテレフタル酸の共重合ポリアミド(厚さ10μm)を用いている、(上記イ(キ))電気化学セル用包装材料。」
3 当審の判断
(1)甲第1号証に基づく新規性について
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「基材層1」、「接着層3」、「金属層4」は、それぞれ本件発明1の「基材層」、「接着剤層」、「金属層」に相当する。
b 甲1発明において、「シーラント層5は、金属層4に対して、マレイン酸変性ポリプロピレンの層(厚さ25μm)とポリプロピレンの層(厚さ25μm)が共押出しして積層されてなる」ものであり、ここで「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」は、金属層4とポリプロピレンの層との間に位置し、両者を接着して積層させているといえる。
そうすると、引用発明1のシーラント層5をなす「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」及び「ポリプロピレンの層」は、それぞれ本件発明1の「接着層」及び「シーラント層」に相当する。
c 甲1発明の「基材層1/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体を、一旦冷却した後に、金属層4が190℃になるまで加熱し、5秒間その温度を保持して熱処理を施すことにより得られ」る「電池用包装材料」は、基材層1、接着層3、金属層4、マレイン酸変性ポリプロピレンの層及びポリプロピレンの層が順次積層されているといえ、上記a、bの対比を考慮すると、このことは、本件発明1の「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からな」る「電池用包装材料」に相当する。
d 上記aの対比を考慮すると、甲1発明の「接着層3は基材層1に直接接着しており」は、本件発明1の「前記接着剤層は、前記基材層に直接接着しており」に相当する。
e 甲1発明は、「基材層1として2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)を使用し」ている。ここで、技術常識によればポリエチレンテレフタレートはポリエステルの一種であり、また上記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートはその厚さが15μmであることからフィルム形状であることは明らかである。
そうすると、甲1発明の「基材層1として2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)を使用し」ていることは、基材層がポリエステルフィルムのみにより形成されている点で、本件発明1の「前記基材層は、ポリエステルフィルム」「のみにより形成されて」いることと一致する。
ただし、基材層を形成するポリエステルフィルムが、本件発明1では、「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く」ものであるのに対し、甲1発明は「2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)」である点で相違する。
f 甲1発明の「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」は、マレイン酸ポリプロピレンからなる層であり、技術常識によればマレイン酸変性ポリプロピレンは酸変性ポリオレフィンの一種であるところ、上記bの対比を考慮すると、甲1発明の「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」は、本件発明1の「酸変性ポリオレフィンによって形成されて」いる「接着層」に相当する。
g 上記bの対比を考慮すると、甲1発明の「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」が「厚さ25μm」であることは、本件発明1の「前記接着層は、厚みが15μm以上50μm以下であ」ることに含まれる。
h 上記bの対比を考慮すると、甲1発明の「ポリプロピレンの層」が「厚さ25μm」であることは、本件発明1の「前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であ」ることに含まれる。
i 甲1発明は、「基材層1/接着層3/化成処理された金属層4/シーラント層5が積層された積層体」における「マレイン酸変性ポリプロピレンの層(厚さ25μm)」と「ポリプロピレンの層(厚さ25μm)」の合計厚さは50μm、「基材層1として・・・(厚さ15μm)」の厚さは15μmであるから、「マレイン酸変性ポリプロピレンの層」と「ポリプロピレンの層」の合計厚さは「基材層1」の厚さの3.33倍であり、上記a、bの対比を考慮すると、このことは、本件発明1の「前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である」ことに含まれる。
j したがって、上記aないしiによれば、本件発明1と甲1発明とは、
「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記接着剤層は、前記基材層に直接接着しており、前記基材層は、ポリエステルフィルムのみにより形成されており、前記接着層は、酸変性ポリオレフィンによって形成されており、前記接着層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
基材層を形成するポリエステルフィルムが、本件発明1では、「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く」ものであるのに対し、甲1発明は「2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(厚さ15μm)」である点。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。
イ 本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明2ないし8と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも上記相違点1を有する。
したがって、本件発明2ないし8は、甲第1号証に記載された発明ではない。
ウ 甲第1号証に基づく新規性についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、甲第1号証に記載された発明ではない。
(2)甲第2号証に基づく進歩性について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
a 甲2発明の「ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」「2軸延伸フィルム(2)」が「耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)(2)」であることは明らかであり、「包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材であ」るから、本件発明1の「基材層」に相当する。
そして、甲2発明の「2軸延伸フィルム(2)」は、「厚さ12μm」であり、「ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」ところ、技術常識によればポリエチレンテレフタレートはポリエステルの一種であるから、甲2発明の「2軸延伸フィルム(2)」は、本件発明1の「ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されて」いる「基材層」に相当する。
b 甲2発明の「アルミニウム箔(4)」は、本件発明1の「金属層」に相当する。
c 甲2発明の「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)」は、「包材にヒートシール性を付与する役割を担うものであ」るから、本件発明1の「シーラント層」に相当する。
また、甲第2号証の段落【0024】に「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は・・・ポリプロピレン・・からなる未延伸フィルムにより構成される」、段落【0026】に「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は・・・複層であっても良い」と記載されているから、「未変性ポリプロピレン層(22)」と「ポリプロピレンからなる」「未延伸フィルム(3)」とは、「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)」に対応し、本件発明1の「シーラント層」に相当するといえる。
また、甲2発明の「未変性ポリプロピレン層(22)」及び「ポリプロピレンからなる」「未延伸フィルム(3)」の合計厚みは42μmであり、本件発明1の「前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であ」るという数値範囲に含まれる。
d 甲2発明は、「アルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)を」「塗布し」「その接着剤面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」「2軸延伸フィルム(2)をラミネート」するものであるから、甲2発明の「ウレタン系樹脂接着剤(5)」は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる2軸延伸フィルム(2)とアルミニウム箔(4)を接着するものと認められる。そして、上記a、bを考慮すると、甲2発明の「ウレタン系樹脂接着剤(5)」は、本件発明1の「接着剤層」に相当する。
また、甲2発明の「ウレタン系樹脂接着剤(5)」は、「その接着剤面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」「2軸延伸フィルム(2)をラミネート」するものであり、このことは、本件発明1の「前記接着剤層は、前記基材層に直接接着して」いることに相当する。
e 甲2発明は、「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から」「アルミニウム箔(4)を供給しつつ、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる」「未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を」「挟み込んでヒートラミネート」するものであるから、甲2発明の「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)」は、アルミニウム箔(4)と、未変性ポリプロピレン層(22)及びポリプロピレンからなる未延伸フィルム(3)とをヒートラミネートして接着するものと認められる。
したがって、上記b、cを考慮すると、甲2発明の「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)」は、本件発明1の酸変性ポリオレフィンによって形成されて」いる「接着層」に相当する。
ただし、接着層が、本件発明1では「厚みが15μm以上50μm以下であ」るのに対し、甲2発明は「厚さ3μm」である点で相違する。
f 甲2発明の「無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)側から」「アルミニウム箔(4)を供給しつつ、未変性ポリプロピレン層(22)側からポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)を供給して、これら(3)(4)の間に共押出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)を」「挟み込んでヒートラミネートし、得られた積層フィルム」は、アルミニウム箔(4)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)、未変性ポリプロピレン層(22)及びポリプロピレンからなる未延伸フィルム(3)を順に積層したものといえる。
さらに、甲2発明は、当該「積層フィルム」の「アルミニウム箔(4)の表面にウレタン系樹脂接着剤(5)を」「塗布し」「その接着剤面にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」「2軸延伸フィルム(2)をラミネートして得た」ものであるから、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる2軸延伸フィルム(2)、ウレタン系樹脂接着剤(5)、アルミニウム箔(4)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)、未変性ポリプロピレン層(22)及びポリプロピレンからなる未延伸フィルム(3)を順に積層した構造を有するといえ、このことは上記aないしeを考慮すると、本件発明1の「電池用包装材料」が「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からな」ることに相当する。
g 甲2発明の「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)」、「厚さ12μmの未変性ポリプロピレン層(22)」及び「ポリプロピレンからなる厚さ30μmの未延伸フィルム(3)」の合計厚みは45μmであり、「ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ12μmの2軸延伸フィルム(2)」の厚みは12μmであるから、「無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)」、「未変性ポリプロピレン層(22)」及び「ポリプロピレンからなる」「未延伸フィルム(3)」の合計厚みは、「ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる」「2軸延伸フィルム(2)」の厚みの3.75倍である。
そして、上記a、c、eを考慮すると、このことは、本件発明1の「前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である」ことに含まれる。
h したがって、上記aないしgによれば、本件発明1と甲2発明とは、
「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記接着剤層は、前記基材層に直接接着しており、前記基材層は、ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されており、前記接着層は、酸変性ポリオレフィンによって形成されており、前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点2)
接着層が、本件発明1では「厚みが15μm以上50μm以下であ」るのに対し、甲2発明は「厚さ3μm」である点。
(イ)甲2発明との相違点の判断
甲第2号証の段落【0007】によれば、甲2発明が解決しようとする課題は「滑り性付与成分をコーティングしなくても優れた成形性を確保できると共に、十分な体積容積率を得ることのできる電池ケース用包材」を提供することと認められるところ、甲2発明は「厚さ3μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)」を含む電池ケース用包材により上記課題を既に解決しており、また無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)を「厚みが15μm以上50μm以下であ」る構成にすると、電池ケース用包材が厚くなり、体積容積率が低下する虞があるから、甲2発明において、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)を「厚みが15μm以上50μm以下であ」る構成とする動機はない。
そうすると、甲第1、3に記載された事項を考慮したとしても、甲2発明において相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
イ 本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明2ないし8と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも上記相違点2を有する。
そして、上記ア(イ)で検討したとおり、相違点2に係る構成は、甲2発明及び甲第1、3号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2ないし8は、甲2発明及び甲第1、3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において「金属層とシーラント層との間に設けられる接着層に関して、本件明細書の段落【0051】には・・・と記載され、本件明細書の段落【0026】には・・・と記載されていることから、甲第2号証に記載された電池ケース用包材を構成する積層体中の「無水マレイン酸変性ポリプロピレン層(21)及び未変性ポリプロピレン層(22)」は本件発明における「接着層」に相当する」(第29頁第17~27行)旨主張する。
しかしながら、上記ア(ア)のcで述べたとおり、甲第2号証の段落【0024】に「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は・・・ポリプロピレン・・からなる未延伸フィルムにより構成される」、段落【0026】に「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(3)は・・・複層であっても良い」と記載されているから、「未変性ポリプロピレン層(22)」は「熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)(3)」に含まれる構成であると認められる。
また、このことは、甲第2号証の段落【0029】に「前記第2接着剤層(6)としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンの他、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂等により形成された接着剤層が挙げられる」と記載されていること、及び甲第2号証に「前記第2接着剤層(6)」を複層とすることは記載されていないこととも整合している。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
エ 甲第2号証に基づく進歩性についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)甲第3号証に基づく進歩性について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
a 甲3発明の「基材層112」は、「樹脂フィルムからなり、包装体120に高い耐突き刺し(耐ピンホール)性、絶縁性、作業性等を付与」するものであり、本件発明1の「基材層」に相当する。
また、甲3発明の「基材層112」は、「2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)」からなるものであり、このことは、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂フィルムのみからなるといえ、本件発明1と「前記基材層は、樹脂フィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されて」いる点で一致する。
ただし、基材層を形成する樹脂フィルムが、本件発明1では「ポリエステルフィルム」であるのに対し、甲3発明は「2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)」である点で相違する。
b 甲3発明は「バリア層114は金属箔からな」るから、甲3発明の「バリア層114」は、本件発明1の「金属層」に相当する。
c 甲3発明において、「バリア層114」は「アルミニウム(厚さ40μm)」であり、「バリア層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されて」いるところ、「アルミニウムの他方の化成処理面は酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)とポリプロピレン(厚さ25μm)を溶融した状態で共押出しして積層し」て構成されるから、甲3発明の「酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)」、「ポリプロピレン(厚さ25μm)」は、それぞれ「酸変性ポリオレフィン層115」、「熱接着層116」であることは明らかである。
そして、甲3発明の「ポリプロピレン(厚さ25μm)」からなる「熱接着層116」は、「包装材料110の最内層に配され、熱によって溶融して対向する包装材料110を相互に融着する熱接着性樹脂からな」るから、本件発明1の「シーラント層」に相当する。
また、甲3発明の「ポリプロピレン」が「厚さ25μm」であることは、本件発明1の「前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下」であることに含まれる。
d 甲3発明において「基材層112とバリア層114は接着層113を介して接着され」るから、上記a、bを考慮すると、甲3発明の「接着層113」は本件発明1の「接着剤層」に相当する。
また、甲3発明は「アルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に基材層112と接着層113とが積層された多層フィルムをサーマルラミネート法により積層し」ているから、接着層113は、基材層112に直接接着しているといえる。このことは、本件発明1の「前記接着剤層は、前記基材層に直接接着して」いることに相当する。
e 上記cを考慮すると、甲3発明の「酸変性ポリプロピレン(厚さ2
5μm)」からなる「酸変性ポリオレフィン層115」は、本件発明1の「酸変性ポリオレフィンによって形成されて」いる「接着層」に相当する。
また、甲3発明の「酸変性ポリプロピレン」が「厚さ25μm」であることは、本件発明1の「前記接着層は、厚みが15μm以上50μm以下」であることに含まれる。
f 甲3発明の「電気化学セル用包装材料」は、「リチウムイオン電池本体122を収納する収納部120aと蓋部120b」「を形成する」ものであるから、本件発明1の「電池用包装材料」に相当する。
g 甲3発明の「電気化学セル用包装材料」は、「基材層112とバリア層114と熱接着層116とが順次積層して構成され、基材層112とバリア層114は接着層113を介して接着され、バリア層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されており」、基材層112、接着層113、バリア層114、酸変性ポリオレフィン層115、熱接着層116を順に積層した構造を有するといえ、このことは、上記aないしfを考慮すると、本件発明1の「電池用包装材料」が「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からな」ることに相当する。
h 甲3発明の「酸変性ポリオレフィン層115」である「酸変性ポリプロピレン(厚さ25μm)」と「熱接着層116」である「ポリプロピレン(厚さ25μm)」との合計厚みは50μmであり、「基材層12」である「2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)」の厚みは12μmであるから、「酸変性ポリオレフィン層115」と「熱接着層116」の合計厚みは、「基材層12」の厚みの4.16倍であり、上記a、c、eの対比を考慮すると、このことは、本件発明1の「前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である」ことに含まれる。
i したがって、上記aないしhによれば、本件発明1と甲3発明とは、
とは、
「少なくとも、基材層、接着剤層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、前記接着剤層は、前記基材層に直接接着しており、前記基材層は、樹脂フィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)のみにより形成されており、前記接着層は、酸変性ポリオレフィンによって形成されており、前記接着層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記シーラント層は、厚みが15μm以上50μm以下であり、前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点3)
基材層を形成する樹脂フィルムが、本件発明1では「ポリエステルフィルム」であるのに対し、甲3発明は「2軸延伸のナイロン6(厚さ12μm)」である点。
(イ)甲3発明との相違点の判断
甲第3号証の記載によれば、甲3発明が解決しようとする課題は、「プレス成型時に基材層の延びに追従できず、基材層とバリア層との間でラミネーション強度が低下してピンホールが発生したり、基材層とバリア層との間でデラミネーションが発生する問題」や「接着剤が黄変したり、ヒートシール時の熱により熱劣化してラミネーション強度が低下する問題」に鑑み、「耐久性に優れ、デラミネーションが発生し難い電気化学セル用包装材料を提供すること」(段落【0005】~【0006】)であると認められる。また、甲第3号証には、基材層には、ポリアミドの樹脂フィルムを使用することが記載されている(段落【0023】)ものの、基材層にポリエステルフィルムを用いることも、基材層にポリエステルフィルムを用いた場合に上記課題が解決できることも記載されていない。
ここで、甲第1号証の段落【0017】~【0018】、【0020】、甲第2号証の段落【0017】~【0019】、又は甲第4号証(特開2012-146636号公報)の段落【0022】に例示されるように、電池用包装材料の基材層にポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いることが周知技術であるとしても、接着剤を用いて基材層をバリア層に積層した場合のラミネーション強度は、基材層にどのような材料を用いるかにより異なることが技術常識である。してみると、甲3発明において相違点3に係る構成を採用することは、上記課題が解決されなくなる虞があり、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲第1、2、4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明2ないし8と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも上記相違点3を有する。
そして、上記ア(イ)で検討したとおり、相違点3に係る構成は、甲3発明及び甲第1、2、4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2ないし8は、甲3発明及び甲第1、2、4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において「本件出願の出願日[平成26年(2014年)9月30日]当時、基材層/接着層/金属層/接着層/シーラント層が積層された積層体からなる電池用包装材料において、該基材層として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸PBTフィルムなどのポリエステルフィルムを用いることは当業者にとって技術常識であり、ゆえに基材層としてポリエステルフィルムを採用することは当業者にとって周知技術であると認められる。したがって、本件発明1は、甲第3号証に記載の発明並びに甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証に示された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、発明の進歩性を有しない。」(第43頁第10~18行)と主張する。
また、特許異議申立人は、令和5年12月13日提出の意見書において「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートが除かれたポリエステルフィルムそれ自体が発明の進歩性有りの根拠となる程度の格別な技術的意義を有するものではない」(第6頁22~24行)旨主張する。
しかしながら、上記ア(イ)で述べたとおり、甲3発明において基材層にポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート)を用いることは、甲3発明が解決しようとする課題が解決されなくなる虞があり、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
また、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートが除かれたポリエステルフィルムそれ自体が発明の進歩性有りの根拠となる程度の格別な技術的意義を有するものではないとしても、このことは、進歩性についての上記判断を左右するものではない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
エ 甲第3号証に基づく進歩性についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1、2、4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 甲第1号証に基づく進歩性について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、「本件発明1乃至本件発明8は、甲第1号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨の異議申立理由(同法第113条第2号)を有するものである。」(第33頁第22~25行)と主張する。当該主張について、検討する。
(1)本件発明1について
上記第4の3(1)アで述べたとおり、本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は相違点1を有する。
相違点1について検討する。
甲第1号証には「耐久性に優れ、デラミネーションやピンホールが発生し難い電池用包装材料を提供する」(段落【0009】)との課題を解決すべく、「基材層、接着層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、(i)前記基材層と前記接着層との間に・・・易接着層を設け」(段落【0010】)たことが記載されているところ、甲1発明は、甲第1号証における比較例2であり、段落【0117】に「比較例2・・・の電池用包装材料では、ラミネーション強度の減少率及びデラミネーションの発生率が高いことに加え、他の電池用包装材料と比較してシワの発生率が高かった。更に、比較例2・・・の電池用包装材料では、シワが起因となるピンホールが発生していた。」と記載されるように、比較例2は、甲第1号証における課題を解決しないものである。
そして、甲第1号証における課題を解決しない比較例2である甲1発明の構成を変更する動機はなく、相違点1に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明2ないし8と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも上記相違点1を有する。
そして、上記(1)で検討したとおり、相違点1に係る構成は、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2ないし8は、甲1発明に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)甲第1号証に基づく進歩性についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 甲第2号証に基づく新規性について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、「本件発明1、本件発明3乃至本件発明5及び本件発明7は、いずれも甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない旨の異議申立理由(同法第113条第2号)を有するものである」(第32頁22~25行)と主張する。当該主張について、検討する。
(1)本件発明1について
上記第4の3(2)ア(ア)で述べたとおり、本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は相違点2を有する。
したがって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明ではない。
(2)本件発明3ないし5、7について
本件発明3ないし5、7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、本件発明3ないし5、7と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも上記相違点2を有する。
したがって、本件発明3ないし5、7は、甲第2号証に記載された発明ではない。
(3)甲第2号証に基づく新規性についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、3ないし5、7は、甲第2号証に記載された発明ではない。
3 サポート要件の欠如について
特許異議申立人は、特許異議申立書において「本件明細書の実施例の記載において、本件発明の効果が具体的に示されているのは、基材層としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた態様のみである・・・ポリエステル樹脂はその種類が異なれば、当然、樹脂骨格や官能基など、ポリエステル樹脂を構成する要素によって、物理的性質、機械的性質、熱的性質などが異なるものであるから、本件発明1の効果がPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム以外のすべてのポリエステルフィルムについても得ることができるとは、本件明細書の【発明の詳細な説明】の記載から当業者が理解できるとは云えない」(第47ページ第9~21行)旨主張する。
しかしながら、本件発明が解決しようとする課題は「少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、成形後のカールを抑制する」(段落【0006】)ことであると認められるところ、当該課題を解決するための手段及び作用機序について、本件明細書には「シーラント層4の厚み(接着層5とシーラント層4との合計厚み)が基材層1の厚みの3倍以上に設定されていることにより、成形時において、基材層1の形状変化が電池用包装材料全体に与える影響が小さくなり、成形によって形成された凹部周辺の基材層1の形状変化(収縮)に伴う電池用包装材料のカール(湾曲)が抑制される」(段落【0016】)との記載がある。
そうすると、本件明細書に、基材層に厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた電池用包装材料である実施例1~3(段落【0068】~【0074】)が記載され、「カールが効果的に抑制されていた」(段落【0075】)という実験結果が実施例1~3に関して示されているのみだとしても、本件発明の課題を解決するための手段及び作用機序に関する上記記載より、当業者であれば、基材層に厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)以外のポリエステルフィルムを用いた電池用包装材料も、接着層とシーラント層との合計厚みが、基材層の厚みの3倍以上であれば、本件発明の課題を解決できると認識できるものと認められる。
してみれば、本件特許1ないし8の記載は、発明の詳細な説明の記載により当業者が本件特許1ないし8に係る発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
4 実施可能要件の欠如について
特許異議申立人は、特許異議申立書において「ポリエステル樹脂には数多くの種類が存在し、ポリエステル樹脂はその種類が異なれば、当然、樹脂骨格や官能基など、ポリエステル樹脂を構成する要素によって、物理的性質、機械的性質、熱的性質などが異なるものである。一方、上述したように、本件明細書の実施例で使用されているポリエステルフィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのみである。そうすると、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム以外の、多種多様なポリエステルフィルムのすべてについてまで、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムと同様の作業効果を奏するポリエステルフィルムを使用できるとは認められない。」(第48頁第3~12行)と主張し、本件出願は、本件特許1ないし8について「当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない」(第48頁第13~17行)旨主張する。
しかしながら、本件明細書の段落【0069】~【0072】には、実施例1ないし3として、基材層1に厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いた電池用包装材料が記載されており、実施例1ないし3は本件特許1の範囲に含まれる電池用包装材料であるところ、段落【0058】~【0063】、【0069】~【0072】には、製造のための材料、手順及び条件が具体的に記載されているから、当業者は過度の試行錯誤を要することなく本件特許1に係る電池用包装材料を製造することができると認められる。また、本件特許2ないし8に係る電池用包装材料についても、当業者は本件明細書の記載に基づいて過度の試行錯誤を要することなく製造することができると認められる。
してみれば、本件明細書は、本件特許1ないし8について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
5 明確性要件の欠如について
特許異議申立人は、令和5年12月13日提出の意見書において「通常、ポリエチレンテレフタレートは化合物の名称を意味するので、ポリエチレンテレフタレートを2軸延伸して厚み15μmとしたものが何を意味するのか認識することができず、本件訂正発明1の範囲から除かれる「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」は不明確である」(第7頁第24行~第8頁第2行)、「通常、ポリエチレンテレフタレートは化合物の名称を意味するので、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートという化合物を除外したポリエステルフィルムが何を意味するのか不明瞭であ」る(第8頁第9~11行)旨主張する。
しかしながら、本件発明1に係る「ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)」との記載から、「厚さ15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」なるものは、「ポリエステルフィルム」に包含される事項であると解され、また「厚み15μm」との記載は「フィルム」であることと矛盾がないから、「厚さ15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート」なるものは、「厚さ15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルム」を意味すると解するのが相当である。
してみれば、本件発明1に係る「ポリエステルフィルム(但し、厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを除く。)」との記載は、「厚み15μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルムを除くポリエステルフィルム」を意味すると解されるから、本件特許1ないし8は、第三者に不測の不利益を与える程に不明確ではない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700624