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特許異議申立

2023-700583

立体造形用粒子、立体造形用粉末、立体造形物の製造装置、立体造形物の製造方法、立体造形用粉末の製造方法、及び粒子

審判番号
2023-700583
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-167424
登録番号
7183641
請求日
2023年06月05日
審決日
2024年02月05日
公報発行日
2024年05月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社リコー
  • 【権利者代理人】山口 昭則
  • 【権利者代理人】新川 圭二
  • 【異議申立人】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
  • 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【異議申立人代理人】伊藤 潤
審判長/審判官
  • 審判長 神谷 健一
  • 審判官 井口 猶二
  • 審判官 河原 正
分類
P1651.113-YAA(B29C) / P1651.121-YAA(B29C) / P1651.536-YAA(B29C) / P1651.537-YAA(B29C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の5第3項、特許法第113条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7183641号発明「立体造形用粒子、立体造形用粉末、立体造形物の製造装置、立体造形物の製造方法、立体造形用粉末の製造方法、及び粒子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7183641号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕、13及び14について訂正することを認める。 特許第7183641号の請求項1、3ないし12及び14に係る特許を維持する。 特許第7183641号の請求項2及び13に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7183641号(以下「本件特許」という。)の請求項1~14に係る特許についての出願(特願2018-167424号)は、平成30年9月7日の出願(先の出願に基づく優先権主張 平成29年11月9日)であって、令和4年11月28日にその特許権の設定登録がされ、令和4年12月6日に特許掲載公報が発行された。 本件特許について、特許掲載公報発行の日から6月以内である令和5年6月5日に特許異議申立人 エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー(以下「異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和5年 8月18日付け:取消理由通知書 令和5年10月20日 :意見書の提出(特許権者) 令和5年10月20日 :訂正請求書の提出(この訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。) 令和5年12月21日 :意見書の提出(特許異議申立人) 第2 本件訂正請求について 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 (1)訂正の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、特許第7183641号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを求める、というものである。 (2)訂正の内容 本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。 なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を示す。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「端面および側面を有する柱体形状であって」とあるのを、「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって」に訂正するとともに、「立体造形用粒子」とあるのを、「立体造形用粉末」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項3~12についても、同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「第一の面および第二の面を含み、少なくとも前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である外周領域と、を含み、」とあるのを、「第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項3~12についても、同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、「前記外周領域は、前記側面の一部を被覆している」とあるのを、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された、請求項3~12についても、同様に訂正する。)。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項3に、「請求項2に記載」とあるのを、「請求項1に記載」に訂正する(請求項3の記載を引用して記載された、請求項4~12についても、同様に訂正する。)。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項4に、「請求項2又は3に記載」とあるのを、「請求項1又は3に記載」に訂正する(請求項4の記載を引用して記載された、請求項5~12についても、同様に訂正する。)。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項5に、「請求項2乃至4のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3又は4」に訂正する(請求項5の記載を引用して記載された、請求項6~12についても、同様に訂正する。)。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項6に、「請求項2乃至5のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至5のいずれか一項」に訂正する(請求項6の記載を引用して記載された、請求項7~12についても、同様に訂正する。)。 ケ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項7に、「請求項2乃至6のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至6のいずれか一項」に訂正する(請求項7の記載を引用して記載された、請求項8~12についても、同様に訂正する。)。 コ 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9に、「請求項2乃至8のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至8のいずれか一項」に訂正する(請求項9の記載を引用して記載された、請求項10~12についても、同様に訂正する。)。 サ 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10に、「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」に訂正する。 シ 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項11に、「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」に訂正する。 ス 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項12に、「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」に訂正する。 セ 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 ソ 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項14に、「端面および側面を有する柱体形状であって」あるのを、「端面および側面を有する柱体形状の粒子を含む粉末であって」に訂正するとともに、「粒子」とあるのを、「粉末」に訂正する。 タ 訂正事項16 特許請求の範囲の請求項14に、「第一の面および第二の面を含み、少なくとも前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である外周領域と、を含み、」とあるのを、「第一の面および第二の面を含み、 前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、」に訂正する。 チ 訂正事項17 特許請求の範囲の請求項14に、「前記外周領域は、前記側面の一部を被覆している」とあるのを、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」に訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「端面および側面を有する柱体形状であって」とあるのを、「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって」に限定するとともに、「立体造形用粒子」とあるのを、「立体造形用粉末」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 請求項3~12についてみても、同じである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 請求項3~12についてみても、同じである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項3~12についてみても、同じである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「第一の面および第二の面を含み、少なくとも前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である外周領域と、を含み、」とあるのを、「第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 請求項3~12についてみても、同じである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0011】及び図2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 請求項3~12についてみても、同じである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項2は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項3~12についてみても、同じである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記外周領域は、前記側面の一部を被覆している」とあるのを、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 請求項3~12についてみても、同じである。 イ 新規事項の有無 訂正事項3による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0011】及び図2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 請求項3~12についてみても、同じである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項3は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項3~12についてみても、同じである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、請求項2を削除するものであるから、訂正事項4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項3が引用する「請求項2」を「請求項1」にする訂正であるから、訂正事項5による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項5による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項4~12についてみても、同じである。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項4が引用する「請求項2又は3に記載」とあるのを、「請求項1又は3に記載」にする訂正であるから、訂正事項6による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項6による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項5~12についてみても、同じである。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項5が引用する「請求項2乃至4のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3又は4」にする訂正であるから、訂正事項7による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項7による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項7による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項6~12についてみても、同じである。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項6が引用する「請求項2乃至5のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至5のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項8による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項8による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項8による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項7~12についてみても、同じである。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項7が引用する「請求項2乃至6のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至6のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項9による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項9による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項9による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項8~12についてみても、同じである。 (10)訂正事項10について 訂正事項10は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項9が引用する「請求項2乃至8のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至8のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項10による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項10による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項10による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 請求項10~12についてみても、同じである。 (11)訂正事項11について 訂正事項11は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項10が引用する「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項11による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項11による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項11による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (12)訂正事項12について 訂正事項12は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項11が引用する「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項12による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項12による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項12による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (13)訂正事項13について 訂正事項13は、請求項2に記載された事項を請求項1に記載するとともに請求項2を削除することに伴って請求項12が引用する「請求項2乃至9のいずれか一項」とあるのを、「請求項1、3乃至9のいずれか一項」にする訂正であるから、訂正事項13による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項13による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項13による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (14)訂正事項14について 訂正事項14は、請求項13を削除するものであるから、訂正事項14による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、訂正事項14による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 さらに、訂正事項14による訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないものであることは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (15)訂正事項15について ア 訂正の目的の適否 訂正事項15による訂正は、特許請求の範囲の請求項14に記載された「端面および側面を有する柱体形状であって」とあるのを、「端面および側面を有する柱体形状の粒子を含む粉末であって」に限定するとともに、「粒子」とあるのを、「粉末」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項15による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項15による訂正は、本件特許の願書に添付した、明細書の【0008】及び【0065】並びに特許請求の範囲の請求項2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項15による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項15は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (16)訂正事項16について ア 訂正の目的の適否 訂正事項16による訂正は、特許請求の範囲の請求項14に記載された「第一の面および第二の面を含み、少なくとも前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である外周領域と、を含み、」とあるのを、「第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面と、前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項16による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項16による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0011】及び図2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項16による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項16は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (17)訂正事項17について ア 訂正の目的の適否 訂正事項17による訂正は、特許請求の範囲の請求項14に記載された「前記外周領域は、前記側面の一部を被覆している」とあるのを、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」に限定する訂正である。 したがって、訂正事項17による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項17による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書の【0011】及び図2の記載等に基づくものであるから、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項17による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否 訂正事項17は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (18)一群の請求項 本件訂正前の請求項1~12は一群の請求項に該当するものであり、訂正事項1~13は、一群の請求項1~12に対してされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 また、訂正事項14による請求項13についての訂正は、請求項ごとにされたものであり、特許法120条の5第3項の規定に適合する。 さらに、訂正事項15~17による請求項14についての訂正は、請求項ごとにされたものであり、特許法120条の5第3項の規定に適合する。 (19)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~12〕、13及び14について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。 したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、3~12、14に係る発明(以下、項番に従って「本件特許発明1」などといい、これらの発明を総称して「本件特許発明」という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3~12、14に記載された事項により特定される、次のものである。 「【請求項1】 端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって、 前記端面は、第一の面および第二の面を含み、 前記第一の面は、第一の対向面と、 前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、 該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、 前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、 該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、 前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している立体造形用粒子。」 「【請求項3】 前記立体造形用粒子の前記端面が前記側面を被覆している領域において、前記柱体形状の高さ方向における最も短い部分の長さが1μm以上である請求項1に記載の立体造形用粉末。 【請求項4】 前記立体造形用粒子の含有量(個数基準)は、前記立体造形用粉末に対して50%以上である請求項1又は3に記載の立体造形用粉末。 【請求項5】 前記立体造形用粒子の含有量(個数基準)は、前記立体造形用粉末に対して70%以上である請求項1、3又は4のいずれか一項に記載の立体造形用粉末。 【請求項6】 前記立体造形用粒子の前記端面は、略真円形状、略楕円形状、又は略多角形形状である請求項1、3乃至5のいずれか一項に記載の立体造形用粉末。 【請求項7】 略角柱形状である前記立体造形用粒子を含む請求項1、3乃至6のいずれか一項に記載の立体造形用粉末。 【請求項8】略角柱形状である前記立体造形用粒子の含有量(個数基準)は、前記立体造形用粉末に対して40%以上である請求項7に記載の立体造形用粉末。 【請求項9】 前記立体造形用粒子は、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも一種を含む請求項1、3乃至8のいずれか一項に記載の立体造形用粉末。 【請求項10】 請求項1、3乃至9のいずれか一項に記載の立体造形用粉末が収容されている収容手段と、前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、前記層に電磁照射して溶融させる溶融手段と、を有する立体造形物の製造装置。【請求項11】 請求項1、3乃至9のいずれか一項に記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、前記層に電磁照射して溶融させる溶融工程と、を繰り返す立体造形物の製造方法。 【請求項12】 請求項1、3乃至9のいずれか一項に記載の立体造形用粉末の製造方法であって、 前記立体造形用粉末を構成する材料を線維状材料に形成する線維化工程と、 同方向に配置された複数の前記線維状材料を一体化させて一体化材料を形成する一体化工程と、 前記一体化材料を裁断し裁断物を得る裁断工程と、 前記裁断物を撹拌する撹拌工程と、 を有する立体造形用粉末の製造方法。」 「【請求項14】 端面および側面を有する柱体形状の粒子を含む粉末であって、 前記端面は、 第一の面および第二の面を含み、 前記第一の面は、第一の対向面と、 前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、 該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、 前記第二の面は、第二の対向面と、 前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、 該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み、 前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している粉末。」 第4 取消しの理由及び特許異議の申立ての理由の概要 1 当合議体が通知した取消しの理由 令和5年8月18日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消しの理由は、概略、以下のとおりである。 理由1:(新規性)本件特許の請求項1~7、9~11及び14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができない。 理由2:(進歩性)本件特許の請求項1~14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、令和5年8月18日付け取消理由通知書は、本件訂正請求により訂正する前の本件特許の請求項1~14に係る発明に対してなされたものである。 2 特許異議の申立ての理由 特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由は、概略、以下のとおりである。 (新規性)本件特許の請求項1~7、9~11及び14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができない。 (進歩性)本件特許の請求項1~14に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 (実施可能要件)本件特許の発明の詳細な説明の記載が、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~12及び14の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 (明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~12及び14の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本件特許は、特許法113条2号又は4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由は、本件訂正請求により訂正する前の本件特許の請求項1~14に係る発明に対してなされたものである。 3 特許異議申立人が提示した証拠 甲第1号証:国際公開第2017/112723号(以下「甲1」という。) 甲第2号証:Wulfhorst, J.,"Neue Werkstoffe fuer das Selektive Lasersintern durch Konvertieren von primaergesopnnenen Chemiefasern, Bewilligungszeitraum: 01.06-2009 - 31.05.2011",2011年(以下「甲2」という。)(当合議体注:u及びaのウムラウトは、それぞれue及びaeで代用した。) 甲第3号証:国際公開第2009/135521号(以下「甲3」という。) 甲第4号証:Berretta,S.,et al,"Morpholgy of polymeric powders in Laser Sintering (LS):From Polyamide to new PEEK powders", European Polymer Journal,2014(以下「甲4」という。) 甲第5号証:国際公開第2013/138204号(以下「甲5」という。) 甲第6号証:特表2006-508217号公報(以下「甲6」という。) 甲第7号証:再公表特許第2005/012607号(以下「甲7」という。) 甲第8号証:”リコー3Dプリンター RICOH AM S5500P 粉末焼結積層造形”,[online],2016年10月,株式会社リコー,[令和4年1月12日検索],インターネット<URL:https://www.ricoh.co.jp/-/Media/Ricoh/Sites/co_jp/3dp/support/catalog/ams5500p/dl/pdf/RICOH_AM_S5500P.pdf>(以下「甲8」という。) 甲第9号証:米国特許第2834053号明細書(以下「甲9」という。) 甲第10号証:特表2009-513385号公報(以下「甲10」という。) なお、令和5年8月18日付け取消理由通知書において、甲1、2、5及び10は、主引用例であり、甲6~9は、副引用例、周知技術又は慣用技術を示す文献である。 また、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由において、甲1~5、9及び10は、主引用例であり、甲6~8は、副引用例、周知技術又は慣用技術を示す文献である。 第5 取消しの理由についての当合議体の判断 1 甲1を主引用例とした場合 (1)甲1の記載 取消理由で引用された甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。 ア 「FIELD OF THE DISCLOSURE The present disclosure relates to methods and systems for producing a consumable powder, and more particularly to, consumable powders for additive manufacturing systems, such as, Selective Laser Sintering (SLS), High Speed Sintering, and Selective Inhibition Sintering. BACKGROUND Additive manufacturing systems, such as Selective Laser Sintering (SLS), High Speed Sintering and Selective Inhibition Sintering, transform a consumable powder into a three dimensional article. The system builds the article from a digital representation in a layer-by- layer manner by selectively applying thermal energy to the consumable powder to fuse the powder particles into a monolithic part. Current techniques for manufacturing the consumable powders for such additive manufacturing systems include crushing or grinding large polymer pellets or precipitating polymer particles from a solution. However, these techniques are expensive and do not offer precise control of the particle morphology. Varying particle morphology in a consumable powder alters the melting time and temperature of the particles, which ultimately reduces the uniformity of the fusing process and weakens the monolithic part, formed using the additive manufacturing system. Accordingly, the industry continues to demand improved production techniques for consumable powders that show improved control of particle morphology. SUMMARY According to one aspect, a consumable polymeric based powder mixture may include a plurality of polymeric based particles having a unitary construction. Further, at least about 80% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape. According to yet another aspect, a consumable polymeric based powder mixture may include a plurality of polymeric based particles. Further, at least about 80% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape and the plurality of polymeric based particles may have a particle length distribution span (PLDS) of not greater than about 1.2, where PLDS is equal to (L80-L20)/L50. According to still another aspect, a method of forming a consumable polymeric based powder mixture may include providing a plurality of polymeric based tows that may include a plurality of polymeric based fibers, aggregating the plurality of polymeric based tows into an aggregated polymeric based tow and successively forming a plurality of polymeric based particles from the aggregated polymeric based tow. Further, the average length of the plurality of polymeric based particles may be less than about 250 microns.」(1頁3行~2頁2行) 訳「技術分野 本開示は、消耗品粉末を製造するための方法及びシステムに関し、より詳細には、選択的レーザ焼結(SLS)、高速焼結、及び選択的抑制焼結などの積層造形システムのための消耗性粉末に関する。 背景技術 選択的レーザー焼結(SLS)、高速焼結、および選択的抑制焼結などの積層造形システムは、消耗性粉末を三次元物品に変換する。このシステムは、消耗品の粉末に熱エネルギーを選択的に加えて粉末粒子を融合させてモノリシック部品を形成することにより、デジタル表現から層ごとに物品を構築する。このような積層造形システム用の消耗性粉末を製造するための現在の技術には、大きなポリマーペレットを粉砕または粉砕するか、または溶液からポリマー粒子を沈殿させることが含まれる。しかし、これらの技術は高価であり、粒子形態を正確に制御することはできない。消耗性粉末の粒子形態を変化させることは、粒子の溶融時間および温度が変化し、最終的には溶融プロセスの均一性が低下し、積層造形システムを使用して形成されるモノリシック部品が弱くなる。したがって、当業界は、粒子形態の制御を改善する、消耗性粉末の製造技術の改善を求め続けている。 発明の概要 一態様によれば、消耗性ポリマーベースの粉末混合物は、単一構造を有する複数のポリマーベースの粒子を含むことができる。さらに、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約80%は、ほぼ円筒形の形状を有し得る。 さらに別の態様によれば、消耗性ポリマーベースの粉末混合物は、複数のポリマーベースの粒子を含むことができる。さらに、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約80%は、ほぼ円筒形の形状を有してもよく、複数のポリマーベースの粒子は、約1.2以下の粒子長さ分布幅(PLDS)を有してもよく、ここで、PLDSは(L80-L20)/L50に等しい。 さらに別の態様によれば、消耗性ポリマーベースの粉末混合物を形成する方法は、複数のポリマーベースの繊維を含み得る複数のポリマーベースのトウを提供するステップと、複数のポリマーベースのトウを凝集させて凝集したポリマーベースの繊維にするステップとを含むことができる。トウを形成し、凝集したポリマーベースのトウから複数のポリマーベースの粒子を連続的に形成する。さらに、複数のポリマー系粒子の平均長さは、約250ミクロン未満であってもよい。」 イ 「 Referring now to the plurality of polymeric based particles formed according to embodiments described herein, FIG. 2a includes an image of a polymeric based particle 200. FIG. 2b includes an image of a plurality of polymeric based particles 200 formed according to embodiments described herein.」(8頁5行~8行) 訳「 次に、本明細書に記載の実施形態に従って形成された複数のポリマーベースの粒子を参照する。図2aは、ポリマーベースの粒子200の画像を含む。図2bは、本明細書に記載の実施形態に従って形成された複数のポリマー系粒子200の画像を含む。」 ウ 「 According to yet another embodiment, a polymeric based particle may have a generally cylindrical shape. It will be appreciated that the cylindrical shape may be any three dimensional cut cylinder, for example, a right cylinder or an obliquely cut circular cylinder. It will be further appreciated that the cylindrical shape may have any two-dimensional shaped base. For example, the base of the cylindrical shape may be a polygon, a circle, an ellipse or a triangle.」(9頁18行~23行) 訳「 さらに別の実施形態によれば、ポリマーベースの粒子は、ほぼ円筒形の形状を有し得る。 円筒形は、例えば直円筒または斜めに切られた円筒などの任意の三次元切断円筒であってよいことが理解されるであろう。さらに、円筒形は任意の二次元形状の底部を有してもよいことが理解されるであろう。例えば、円筒形の底辺は、多角形、円形、楕円形、または三角形であってもよい。」 エ 「 According to yet other embodiments, a particular percentage of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape as described herein. For example, at least about 80% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape, such as, at least about 85% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape, at least about 90% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape or even at least about 95% of the plurality of polymeric based particles may have a generally cylindrical shape. It will be appreciated that the percentage of polymeric based particles having a generally cylindrical shape may be any value between any of the values noted above. It will be further appreciated that the percentage of polymeric based particles having a generally cylindrical shape may be within a range between any of the values noted above.」(10頁1行~11行) 訳「 さらに他の実施形態によれば、複数のポリマーベースの粒子の特定の割合が、本明細書に記載されるようなほぼ円筒形の形状を有し得る。例えば、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約80%は概して円筒形の形状を有し得、例えば、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約85%は概して円筒形の形状を有し得、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約90%は概して円筒形の形状を有し得る。複数のポリマー系粒子はほぼ円筒形の形状を有していてもよく、複数のポリマー系粒子の少なくとも約95%がほぼ円筒形の形状を有していてもよい。ほぼ円筒形の形状を有するポリマーベースの粒子のパーセンテージは、上記の任意の値の間の任意の値であり得ることが理解されるであろう。さらに、ほぼ円筒形の形状を有するポリマーベースの粒子のパーセンテージが、上記の値のいずれかの範囲内にあってもよいことが理解されるであろう。」 オ 「 According to yet another embodiment, the polymeric based particles may be described as having a cut artifact. A cut artifact is a discrepancy in the generally cylindrical shaped of the polymeric based particles located on one or both of the two bases of the generally cylindrical shaped particles. It will be appreciated that the cut artifact is indicative of the polymeric based particles being formed using a cutting process. FIG. 2a further illustrates a polymeric based particle having a cut artifact 215 located on a base 210 of a polymeric based particle 200. According to particle embodiments, a particular percentage of the polymeric based particles may have at least one cut artifact. For example, the percentage of polymeric based particles having a cut artifact may be at least about 80%, such as, at least about 85%, at least about 90% or even at least about 95%. It will be appreciated that the percentage of polymeric based particles having at least one cut artifact may be any value between any of the values noted above. It will be further appreciated that the percentage of polymeric based particles having a cut artifact may be within a range between any of the values noted above.」(10頁19行~33行) 訳「 さらに別の実施形態によれば、ポリマーベースの粒子は、切断アーチファクトを有するものとして説明され得る。切断アーチファクトは、略円筒形状の粒子の2つの基部の一方または両方に位置する、ポリマーベースの粒子の略円筒形状の違いである。切断アーチファクトは、切断プロセスを使用して形成されるポリマーベースの粒子を示すことが理解されるであろう。図2aはさらに、ポリマーベースの粒子200のベース210上に位置する切断アーチファクト215を有するポリマーベースの粒子を示す。 粒子の実施形態によれば、ポリマーベースの粒子の特定の割合は、少なくとも1つのカットアーチファクトを有し得る。例えば、切断アーチファクトを有するポリマーベースの粒子のパーセンテージは、少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、少なくとも約90%、さらには少なくとも約95%であり得る。少なくとも1つの切断アーチファクトを有するポリマーベースの粒子のパーセンテージは、上記の任意の値の間の任意の値であり得ることが理解されるであろう。さらに、切断アーチファクトを有するポリマーベースの粒子のパーセンテージは、上記の値のいずれかの範囲内にあり得ることが理解されるであろう。」 カ 図2a [図:0001410213000001.jpg] キ 図2b [図:0001410213000002.jpg] (2)甲1発明 甲1には、ポリマーベースの粒子として、切断アーチファクトを有し、切断アーチファクトは、略円筒形状の粒子の2つの基部の両方に位置する態様が記載されている。 そうすると、甲1には、「消耗性粉末」の発明として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 なお、「消耗性ポリマーベースの粉末混合物」を「消耗性粉末」に用語を統一した。 「 三次元物品に変換する積層造形システムのための消耗性粉末であって、 消耗性粉末は、単一構造を有する複数のポリマーベースの粒子を含み、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約80%は、略円筒形の形状を有し、ポリマーベースの粒子は、切断アーチファクトを有し、切断アーチファクトは、略円筒形状の粒子の2つの基部の両方に位置する、消耗性粉末。」 (3)本件特許発明1 ア 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)立体造形用粉末について 甲1発明は、「三次元物品に変換する積層造形システムのための消耗性粉末であ」る。 上記構成からみて、甲1発明の「消耗性粉末」は、本件特許発明1の「粉末」に相当する。また、甲1発明の「消耗性粉末」は、本件特許発明1の「粉末」の「立体造形用」との要件を満たす。 (イ)立体造形用粒子について 甲1発明の「消耗性粉末」は、単一構造を有する複数のポリマーベースの粒子を含み、複数のポリマーベースの粒子の少なくとも約80%は、略円筒形の形状を有し、ポリマーベースの粒子は、切断アーチファクトを有し、切断アーチファクトは、略円筒形状の粒子の2つの基部の両方に位置する」。 上記構成からみて、甲1発明の「粒子」は、その文言どおり、本件特許発明1の「粒子」に相当する。 また、上記(ア)の構成及び上記構成からみて、甲1発明の「粒子」は、三次元物品に変換する積層造形システムのためのものである。さらに、甲1発明の「粒子」は、略円筒形の形状を有していることから、端面及び側面を有する柱体形状であり、端面は2つの面を有するとともに2つの対向面を有するといえる。ここで、端面の2つの面のいずれを第一とするか第二とするかは任意であるから、甲1発明の「粒子」は、端面を有し、端面は、第一の面及び第二の面を有し、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有するといえる。 そうしてみると、甲1発明の「粒子」は、本件特許発明1の「粒子」の、「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用」との要件、及び「前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面」「を含み、前記第二の面は、第二の対向面」「を含み」との要件を満たす。 また、甲1発明の「消耗性粉末」は、本件特許発明1の「粉末」の「粒子を含む」との要件を満たす。 イ 一致点 上記アによると、本件特許発明1と甲1発明は次の点で一致する。 「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって、前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面を含み、 前記第二の面は、第二の対向面を含む、立体造形用樹脂粉末。」 ウ 相違点 本件特許発明1と甲1発明は次の点で相違する。 <相違点1> 「端面」について、本件特許発明1は、「前記第一の面は」、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、前記第二の面は」、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み」、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」のに対して、甲1発明の「粒子」の端面は、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有することにとどまり、このように特定されていない点。 エ 判断 上記相違点1について検討する。 甲1発明は、「粒子」の端面に切断アーチファクトを有することにとどまり、対向面を側面に沿って延伸した形状であり、対向面と連続する面である外周領域であって、側面の一部でかつ全周を被覆している、外周領域を有するとはいえない。 このことは、甲1の図2a及び図2bに着目したとしても、粒子の端面に切断アーチファクトが広がっていることが看取できることにとどまり、粒子の両端面が、上記相違点1に係る外周領域を有するとはいえない。 そうしてみると、上記相違点1は、実質的な差異である。 そして、甲1の他の箇所にも上記相違点1に係る本件特許発明1の構成が記載されているとはいえない。また、甲1発明において、上記相違点1に係る本件特許発明1の構成を適用することを窺わせる記載は、他の甲号証にもなく、周知技術であるともいえない。 したがって、当業者であっても、甲1発明において上記相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 オ 本件特許発明1についての小括 以上のことから、本件特許発明1は、甲1発明と同一であるとはいえない。また、当業者であっても、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件特許発明3~12 本件特許発明3~12は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明3~12も、本件特許発明1と同じ理由により、甲1発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)本件特許発明14 本件特許発明14と甲1発明とを対比すると、本件特許発明14と甲1発明とは、上記相違点1と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明14も、本件特許発明1と同じ理由により、甲1発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)異議申立人の主張 異議申立人は、令和5年12月21日に提出された意見書において、「「単に端面(基部(210))から端面の外側にめくれている構成」も、訂正発明1および14に記載の「前記第一(第二)の対向面を前記側面に沿って延長した形状」に含まれると考えられる。」(2頁16行~18行)、及び「図2bに示された粒子のうち、ほとんどのものにおいて、アーチファクトが粒子の側面の全周を被覆していると考えるのが自然である。」(4頁2行~3行)と主張している。 しかしながら、上記(3)エで述べたとおりであって、異議申立人の上記主張は、採用できない。 (7)小括 以上のことから、本件特許発明1、3~12及び14は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、当業者であっても、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 2 甲2を主引例とした場合 (1)甲2の記載 甲2には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。 ア 「1 Zusammenfassung Im Projekt 16111N werden neue Werkstoffe fuer das Selektive Lasersintern (SLS) erforscht. Dazu werden Multifilamentgarne schmelzgesponnen, kurzgeschnitten und dem Lasersinterprozess zugefuehrt. Der Schmelzspinnprozess wird am Biopolymer Polylactid (PLA), an preisguenstigem Standardpolymer wie Polypropylen (PP) sowie technischen Polymeren wie Polyamid (PA) und Polyester (PET) durchgefuehrt. Der Spinnprozess wird mit hohen Spinngeschwindigkeiten und grossen Verzuegen so etabliert, dass hoch kristallines und stark orientiertes Fasermaterial mit hoher Kristallitschmelztemperatur entsteht. Dies fuehrt dazu, dass ein erweitertes Temperaturfenster zwischen Aufschmelzen und Kristallisalion vorliegt, in dem die zwingend notwendige isotherme Prozessfuehrung mit Ausbildung eines Zwei-Phasen-Mischgebiets stattfindet. Es kann gezeigt werden, dass durch diese Art der Pulverherstellung neue Materialien verfuegbar werden, die zudem ein deutlich robusteres Prozessverhalten aufweisen koennen (z.B. PP oder PLA), als das momentan kommerziell eingesetzte Lasersinterpulver (z.B. auf Basis von PA12). 」(第4頁1行~第14行)(当合議体注:o及びuのウムラウト並びにエスツェットは、それぞれ、oe及びue並びにssで代用した。) 訳「1 要約 本プロジェクト16111Nでは、選択的レーザー焼結(SLS)用の新材料を研究する。このために、マルチフィラメントヤーンを溶融紡糸し、ショートカットファイバーにしてレーザー焼結工程に供給する。溶融紡糸は、バイオポリマーであるポリラクチド(PLA)、ポリプロピレン(PP)などの安価な標準ポリマー、ポリアミド(PA)やポリエステル(PET)などの工業用ポリマーで実施される。紡糸工程は、高い紡糸速度と大きな歪みで確立され、高い結晶溶融温度を持つ高結晶・高配向の繊維素材を製造することができる。 これにより、溶融および結晶化の間の温度ウインドウが広がり、その中で二相混合領域の形成を伴う等温プロセス制御が行われる。このような粉末製造は、現在商業的に使用されているレーザー焼結用粉末(例:PA12ベース)よりも著しく堅牢なプロセス挙動を示すこともできる新材料(例:PPまたはPLA)を利用可能にすることを示すことができる。」 イ 「In Abbildung 5-40 sind die unterschiedlichen Schnittergebnisse dargestellt. [図:0001410213000003.jpg] Abbildung 5-40:Schnittergebnisse des Projekts」(第62頁) 訳「図5-40には様々な切断結果が示されている。 ・・・当合議体注:図は省略・・・ GTギロチン、MAGカッター、RDKローターノズルコンバーター、RSシリアルカッター横型(TR)、回転型(RT)、PA ポリアミド、PET ポリエステル、PP ポリプロピレン、AR アラミド、PLA ポリラクチド。 図5-40:プロジェクトの裁断結果」 (2)甲2発明 上記(1)アの記載から、選択的レーザー焼結用粉末は、ショートカットファイバーを有するといえる。また、上記(1)イの図5-40から、ショートカットファイバーは、端面及び側面を有する柱体形状であることが看取できる。 そうすると、甲2には、「選択的レーザー焼結用粉末」の発明として、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 「端面および側面を有する柱体形状のショートカットファイバーを有する選択的レーザー焼結用粉末。」 (3)本件特許発明1 ア 対比 本件特許発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)立体造形用粉末について 甲2発明の「粉末」は、その文言どおり、本件特許発明1の「粉末」に相当する。また、甲2発明の「粉末」は、本件特許発明1の「粉末」の「立体造形用」との要件を満たす。 (イ)立体造形用粒子について 甲2発明の「ショートカットファイバー」は、本件特許発明1の「粒子」に相当する。 また、甲2発明の「ショートカットファイバー」は、選択的レーザー焼結用粉末に含まれるものである。さらに、甲2発明の「ショートカットファイバー」は、柱体形状であることから、端面は2つの面を有するとともに2つの対向面を有するといえる。ここで、端面の2つの面のいずれを第一とするか第二とするかは任意であるから、甲2発明の「ショートカットファイバー」は、端面を有し、端面は、第一の面及び第二の面を有し、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有するといえる。 そうしてみると、甲2発明の「ショートカットファイバー」は、本件特許発明1の「粒子」の、「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用」との要件、及び「前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面」「を含み、前記第二の面は、第二の対向面」「を含み」との要件を満たす。 また、甲2発明の「粉末」は、本件特許発明1の「粉末」の「立体造形用粒子を含む」との要件を満たす。 イ 一致点 上記アによると、本件特許発明1と甲2発明は次の点で一致する。 「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって、前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面を含み、 前記第二の面は、第二の対向面を含む、立体造形用樹脂粉末。」 ウ 相違点 本件特許発明1と甲2発明は次の点で相違する。 <相違点2> 「端面」について、本件特許発明1は、「前記第一の面は」、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、前記第二の面は」、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み」、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」のに対して、甲2発明の「ショートカットファイバー」の端面は、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有することにとどまり、このように特定されていない点。 エ 判断 上記相違点2について検討する。 甲2発明の「ショートカットファイバー」の端面には切断された箇所を有することにとどまり、甲2発明は、上記相違点2に係る外周領域を有するとはいえない。 このことは、甲2の図5-40においても、粒子の端面には切断した箇所が膨張していることが看取できることにとどまり、上記相違点2に係る外周領域を有するとはいえない。 そうしてみると、上記相違点2は、実質的な差異である。 そして、甲2の他の箇所にも上記相違点2に係る本件特許発明1の構成が記載されているとはいえない。また、甲2発明において、上記相違点2に係る本件特許発明1の構成を適用することを窺わせる記載は、他の甲号証にもなく、周知技術であるともいえない。 したがって、当業者であっても、甲2発明において上記相違点2に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 オ 本件特許発明1についての小括 以上のことから、本件特許発明1は、甲2発明と同一であるとはいえない。また、当業者であっても、本件特許発明1は、甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件特許発明3~12 本件特許発明3~12は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明3~12も、本件特許発明1と同じ理由により、甲2発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)本件特許発明14 本件特許発明14と甲2発明とを対比すると、本件特許発明14と甲2発明とは、上記相違点2と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明14も、本件特許発明1と同じ理由により、甲2発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)異議申立人の主張 異議申立人は、令和5年12月21日に提出された意見書において、「甲2の図5-40に示される下図(当合議体注:下図は、甲2の図5-40のうちのPP30.04.MAG及びPP RS TRの図である。)の粒子は、「側面に沿って延伸する第一及び第二の外周領域」を有するものと思料する。」(5頁1行~2行)、及び「図5-40に示された粒子には、外周領域が粒子の側面の全周を被覆しているものが含まれると考えるのが自然である。」(6頁6行~8行)と主張している。 しかしながら、上記(3)エで述べたとおりであって、異議申立人の上記主張は、採用できない。 (7)小括 以上のことから、本件特許発明1、3~12及び14は、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、本件特許発明1、3~12及び14は、当業者であっても、甲2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 3 甲5を主引例とした場合 (1)甲5の記載 甲5には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。 ア 「 Description MATERIALS FOR POWDER-BASED ADDITIVE MANUFACTURING PROCESSES Technical Field [1] The present disclosure is directed to materials for use in additive manufacturing processes. In particular, the present disclosure is directed to materials for use in powder-based additive manufacturing processes.」 訳「 詳細な説明 積層造形プロセスで使用するための材料 技術分野 [1] 本開示は、積層造形プロセスで使用するための材料に関する。特に、本開示は、粉末ベースの付加造形プロセスで使用するための材料に関する。」 イ 「[9] The process for manufacturing the powder-based materials of this invention involves forming multi-component fibers from multiple polymer pellets, and then reducing the size of the fibers (e.g., cutting the fibers) to form micro-pellets. In one embodiment, the process includes the steps disclosed in Deckard, U.S. Patent No. 7,794,647, which is incorporated by reference. [10] As shown in FIG. 1 , the process for manufacturing the powder-based materials initially involves converting multiple polymer feed materials, such as feed materials 10 and 12, into one or more fibers having a shell-core arrangement. For example, feed materials 10 and 12, which may be polymer pellets, may be co-extruded to form fiber 14 having shell portion 16 and core portion 18. In the shown example, feed materials 10 and 12 are compositionally different from each other, where feed material 10 is used to form shell portion 16, and feed material 12 is used to form core portion 18. In alternative embodiments, the shell-core fibers may be derived from three or more feed materials. [11] The step of converting feed materials 10 and 12 into fiber 14 include the sub-steps of spinning (i.e., extruding and solidifying the polymers), and optionally, drawing fiber 14, which consists of stretching fiber 14 to orient the polymeric molecular structure. Fiber 14 may also be heat set, which crystallizes the polymers at a controlled temperature while allowing a controlled amount of contraction in the axial dimension. ・・・省略・・・ [13] Suitable average diameters for fiber 14, referred to as diameter 20, range from about 10 microns to about 250 microns. In some embodiments, shell portion 16 at least partially encases core portion 18. In further embodiments, shell portion 16 completely encases core portion 18. In one embodiment, shell portion 16 has an average volume ranging from about 5% to about 50% of an average volume of fiber 14. ・・・省略・・・ [17] After fiber 14 is formed, micro-pellets 22 may then be formed from fiber 14 with a size-reducing process. In one embodiment, fiber may be size reduced by cutting fiber 14 to lengths, as illustrated by cut lines 24 along fiber 14, creating substantially- cylindrical shaped micro-pellets 22, each having a ratio between the length of the micro-pellet 22 (referred to as length 26) and the diameter of the micro-pellet 22 (same as diameter 20). Examples of suitable ratios between length 26 and diameter 20 range from about 1:2 to about 3:1. [18] In some embodiments, micro-pellets 22 may be tumbled as an additional step to round the edges of micro-pellets 22. In other embodiments, rounding may be accomplished by other mechanical means. ・・・省略・・・ [24] Examples of suitable semi-crystalline base polymers for use in each of the core and shell materials include polyamides, polyethylenes, polypropylenes, polyetheretherketones, polyoxymethylene acetals, polytetrafluoroethylenes, polypheneylene sulfides, polybutylene terephthalates, copolymers thereof, and combinations thereof. Suitable polyamides include aliphatic nylon polyamides, such as nylon 6, nylon 6-6, nylon 6-10, nylon 6-12, nylon 10, nylon 10-10, nylon 11, nylon 12, and combinations thereof.」 訳「[9] 本発明の粉末ベース材料を製造するプロセスは、複数のポリマーペレットから多成分繊維を形成し、次いで繊維のサイズを小さくして(例えば、繊維を切断して)、マイクロペレットを形成することを含む。一実施形態では、このプロセスは、米国特許第7,794,647号のDeckardに開示されたステップを含み、これは参照することにより組み込まれる。 [10] 図1に示すように、粉末ベース材料を製造するためのプロセスは、最初に、供給材料10および12のような複数のポリマー供給材料を、シェル-コア配列を有する1つまたは複数の繊維に変換することを含む。例えば、ポリマーペレットであってもよい供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされてもよい。 図に示した例では、供給材料10および12は互いに組成が異なっており、供給材料10はシェル部分16を形成するために使用され、供給材料12はコア部分18を形成するために使用される。代替的な実施形態では、シェル-コア繊維は、3つ以上の供給材料に由来していてもよい。 [11] 供給材料10および12を繊維14に変換するステップは、紡糸(すなわち、ポリマーを押し出し、固化する)のサブステップ、および任意で、繊維14を延伸するステップを含む。これは、ポリマー分子構造を配向させるために繊維14を延伸することからなる。繊維14はまた、ヒートセットされてもよく、これにより軸方向寸法で制御された収縮量を可能にしながら、制御された温度でポリマーが結晶化される。 ・・・省略・・・ [13] 繊維14の適切な平均直径は、 直径20と呼ばれ、約10ミクロンから約250ミクロンまでの範囲にある。いくつかの実施形態では、シェル部分16は、少なくとも部分的にコア部分18を包む。さらなる実施形態では、シェル部分16は、コア部分18を完全に包む。一実施形態では、シェル部分16は、繊維14の平均体積の約5%~約50%の範囲の平均体積を有する。 ・・・省略・・・ [17] 繊維14が形成された後、マイクロペレット22は、次に、サイズ減少プロセスで繊維14から形成されてもよい。一実施形態では、繊維は、繊維14に沿って切断線24によって示されるような長さに繊維14を切断することによってサイズ減少されてもよく、それぞれがマイクロペレット22の長さ(長さ26と呼ばれる)とマイクロペレット22の直径(直径20と同じ)の間の比を有する実質的に円箇形のマイクロペレット22を形成している。長さ26と直径 20との間の好適な比の例は、約1:2から約3:1の範囲である。 [18] いくつかの実施形態では、マイクロペレット22は、マイクロペレット22のエッジを丸めるために追加のステップとしてタンブリングされてもよい。他の実施形態では、丸みは、他の機械的手段によって達成されてもよい。 ・・・省略・・・ [24] コア材料およびシェル材料の各々に使用するのに適した半結晶性ベースポリマーの例には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なポリアミドは、脂肪族ナイロンポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン10、ナイロン10-10、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの組合せが挙げられる。」 ウ 図1 [図:0001410213000004.jpg] (2)甲5発明 上記(1)イの[9]、[10]及び[17]の記載から、甲5において、「マイクロペレット」は「粉末ベース材料」に含まれるといえる。 そうすると、甲5には、「粉末ベース材料」として次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。 なお、「粉末ベース」を「粉末ベース材料」に用語を統一した。 「積層造形プロセスで使用するための粉末ベース材料であって、 粉末ベース材料に含まれるマイクロペレットは、 供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、 繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって、円箇形のマイクロペレット22を形成している、粉末ベース。」 (3)本件特許発明1 ア 対比 本件特許発明1と甲5発明とを対比する。 (ア)立体造形用粉末について 甲5発明は、「積層造形プロセスで使用するための粉末ベース材料」である。 上記構成からみて、甲5発明の「粉末ベース材料」は、本件特許発明1の「粉末」に相当する。また、甲5発明の「粉末ベース材料」は、本件特許発明1の「粉末」の「立体造形用」との要件を満たす。 (イ)立体造形用粒子について 甲5発明の「マイクロペレット」は、「供給材料10および12は、シェル部分16およびコア部分18を有する繊維14を形成するために共押出しされ、繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって、円箇形のマイクロペレット22を形成している」。 上記構成からみて、甲5発明の「マイクロペレット」は、本件特許発明1の「粒子」に相当する。 また、甲5発明の「マイクロペレット」は、円筒形であることから、端面は2つの面を有するとともに2つの対向面を有するといえる。ここで、端面の2つの面のいずれを第一とするか第二とするかは任意であるから、甲5発明の「マイクロペレット」は、端面を有し、端面は、第一の面及び第二の面を有し、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有するといえる。 そうしてみると、甲5発明の「マイクロペレット」は、本件特許発明1の「粒子」の、「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用」との要件、及び「前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面」「を含み、前記第二の面は、第二の対向面」「を含み」との要件を満たす。 また、甲5明の「マイクロペレット」は、本件特許発明1の「粉末」の「立体造形用粒子を含む」との要件を満たす。 イ 一致点 上記アによると、本件特許発明1と甲5発明は次の点で一致する。 「端面および側面を有する柱体形状の立体造形用粒子を含む立体造形用粉末であって、前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面を含み、 前記第二の面は、第二の対向面を含む、立体造形用樹脂粉末。」 ウ 相違点 本件特許発明1と甲5発明は次の点で相違する。 <相違点3> 「端面」について、本件特許発明1は、「前記第一の面は」、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、前記第二の面は」、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み」、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」のに対して、甲5発明の「マイクロペレット」の端面は、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有することにとどまり、このように特定されていない点。 エ 判断 上記相違点3について検討する。 甲5発明は、「繊維14が形成された後、繊維14を切断することによって、円箇形のマイクロペレット22を形成している」だけであるから、切断により、上記相違点3に係る外周形状が形成されるとはいえない。 したがって、上記相違点3は、実質的な差異である。 そして、甲5の[18]には、「いくつかの実施形態では、マイクロペレット22は、マイクロペレット22のエッジを丸めるための追加のステップとしてタンブリングされてもよい。他の実施形態では、丸みづけは、他の機械的手段によって達成されてもよい。」と記載されている。 しかしながら、上記記載は単にタンブリングすることが記載されていることにとどまり、具体的にどのようにタンブリングするかについては記載されていない。そして、タンブリングする条件によって端面の形状が変わることは技術常識である。 また、甲5の[18]の上記記載はあくまでもエッジを丸めるためのステップであるから、甲5には、上記相違点3に係る外周領域を有するように構成する動機付けはない。 そして、甲5の他の箇所にも上記相違点3に係る本件特許発明1の構成が記載されているとはいえない。また、甲5発明において、上記相違点3に係る本件特許発明1の構成を適用することを窺わせる記載は、他の甲号証にもなく、周知技術であるともいえない。 したがって、当業者であっても、甲5発明において上記相違点3に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 オ 本件特許発明1についての小括 以上のことから、本件特許発明1は、甲5発明と同一であるとはいえない。また、当業者であっても、本件特許発明1は、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件特許発明3~12 本件特許発明3~12は、本件特許発明1の構成を全て備えるものであるから、本件特許発明3~12も、本件特許発明1と同じ理由により、甲5発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)本件特許発明14 本件特許発明14と甲5発明とを対比すると、本件特許発明14と甲5発明とは、上記相違点3と同様の点で相違する。そうすると、本件特許発明14も、本件特許発明1と同じ理由により、甲5発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)異議申立人の主張 異議申立人は、令和5年12月21日に提出された意見書において、「タンブリングを行えば、ある粒子に対して全方向から他の粒子が衝突することから、得られる粒子の形状は、外周領域が粒子の側面の全周を被覆したものとなると考えられる。」(7頁22行~24行)と主張している。 しかしながら、上記(3)エで述べたとおりであって、異議申立人の上記主張は、採用できない。 (7)小括 以上のことから、本件特許発明1、3~12及び14は、甲5に記載された発明であるとはいえず、また、本件特許発明1、3~12及び14は、当業者であっても、甲5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 4 甲10を主引例とした場合 (1)甲10の記載 甲10には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体が付したもので発明の認定に用いた。また、当合議体で翻訳した。 ア 「【実施例】 【0013】 実施例1 出願人が連続塊状重合技術を使用して生産したポリスチレンホモポリマーEDISTIR N 2560を、スクリュー底の温度が225℃で動作し、毎分2200回転で回転する二つの切断刃と直径1.8mmのダイ孔が備えられたバンデラ(Bandera)社の二軸スクリュー押出機へ直接供給する。 このポリマーの押出成形および切断は、各孔の流量Qが7kg/h、切断水の温度が40℃およびポリマー温度が225℃で実行される。押出成形および切断が終了すると、以下の特徴を有する円柱状ペレットが得られる。 ペレットの直径(D) 2.8mm ペレットの長さ(L) 4.5mm アスペクト比(L/D) 1.6 1グラム当たりのペレット数 38gr-1 安息角 36度 見掛け密度 650Kg/m3 【0014】 実施例2 出願人が連続塊状重合技術を使用して生産したポリスチレンホモポリマーEDISTIR N 1840を、スクリュー底の温度が205℃で動作し、毎分2250回転で回転する三つの切断刃と直径1.8mmのダイ孔が備えられたバンデラ(Bandera)社の二軸スクリュー押出機へ直接供給する。 このポリマーの押出成形および切断は、各孔の流量Qが11.8kg/h、切断水の温度が40℃およびポリマー温度が205℃で実行される。押出成形および切断が終了すると、以下の特徴を有する図1に図示された円柱状ペレットが得られる。 ペレットの直径(D) 3mm ペレットの長さ(L) 4.2mm アスペクト比(L/D) 1.4 1グラム当たりのペレット数 34gr-1 安息角 37.5度 見掛け密度 640Kg/m3 【0015】 実施例3 出願人が連続塊状重合技術を使用して生産した耐衝撃性ポリスチレンEDISTIR ICE PDR 835 Dを、切断部(cutting group)に供給されるポリマーの温度がおおよそ240℃の重合ラインの下流へ直接供給する。この切断部には、毎分1600回転で回転する四つの切断刃と直径2.8mmのダイ孔が備えられている。 このポリマーの押出成形および切断は、各孔の流量Qが12.8kg/h、切断水の温度が45℃およびポリマー温度が240℃で実行される。押出成形および切断が終了すると、以下の特徴を有する図2に図示された円柱状ペレットが得られる。 ペレットの直径(D) 3.0mm ペレットの長さ(L) 5.3mm アスペクト比(L/D) 1.7 安息角 42.5度 1グラム当たりのペレット数 31gr-1 【0016】 実施例4 出願人が連続塊状重合技術を使用して生産したアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、Sinkral B 432/Eを、切断部(cutting group)に供給されるポリマーの温度がおおよそ250℃の重合ラインの下流へ直接供給する。この切断部には、毎分1500回転で回転する四つの切断刃と直径2.8mmのダイ孔が備えられている。 このポリマーの押出成形および切断は、各孔の流量Qが12kg/h、切断水の温度が45℃およびポリマー温度が250℃で実行される。押出成形および切断が終了すると、以下の特徴を有する円柱状ペレットが得られる。 ペレットの直径(D) 3.1mm ペレットの長さ(L) 4.6mm アスペクト比(L/D) 1.5 1グラム当たりのペレット数 30gr-1」 イ 図1 [図:0001410213000005.jpg] ウ 図2 [図:0001410213000006.jpg] (2)甲10発明 上記(1)のイの図1及びウの図2より、甲10の円柱ペレットは端面及び側面を有するといえる。 そうすると、甲10には、「円柱状ペレット」の次の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されている。 「端面及び側面を有する円柱状ペレット。」 (3)本件特許発明14 ア 対比 本件特許発明14と甲10発明とを対比する。 (ア)粒子について 甲10発明の「円柱状ペレット」は、本件特許発明14の「粒子」に相当する。 また、甲10発明の「円柱状ペレット」は、円柱状であることから、端面は2つの面を有するとともに2つの対向面を有するといえる。ここで、端面の2つの面のいずれを第一とするか第二とするかは任意であるから、甲10発明の「円柱状ペレット」は、端面を有し、端面は、第一の面及び第二の面を有し、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有するといえる。 そうしてみると、甲10発明の「円柱状ペレット」は、本件特許発明14の「粒子」の、「端面および側面を有する柱体形状の」との要件、及び「前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面」「を含み、前記第二の面は、第二の対向面」「を含み」との要件を満たす。 イ 一致点 上記アによると、本件特許発明14と甲10発明は次の点で一致する。 「端面および側面を有する柱体形状の粒子であって、前記端面は、第一の面および第二の面を含み、前記第一の面は、第一の対向面を含み、 前記第二の面は、第二の対向面を含む、粒子。」 ウ 相違点 本件特許発明14と甲10発明は次の点で相違する。 <相違点4> 本件特許発明14は、「粒子を含む粉末」であるのに対して、甲10発明は、「円柱状ペレット」である点。 <相違点5> 「端面」について、本件特許発明14は、「前記第一の面は」、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域と、を含み、前記第二の面は」、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み」、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」のに対して、甲10発明の「円柱状マイクロペレット」の端面は、第一の面は第一の対向面を有し、第二の面は第二の対向面を有することにとどまり、このように特定されていない点。 エ 判断 事案に鑑み、上記相違点5について検討する。 甲10発明の「円柱状ペレット」の端面には切断された箇所を有することにとどまり、上記相違点5に係る外周領域を有するとはいえない。 このことは、甲10の図1及び図2においても、円柱状ペレットの端面には膨張していることが看取できることにとどまり、上記相違点5に係る外周領域を有するとはいえない。 そうしてみると、上記相違点5は、実質的な差異である。 そして、甲10の他の箇所にも上記相違点5に係る本件特許発明14の構成が記載されているとはいえない。また、甲10発明において、上記相違点5に係る本件特許発明14の構成を適用することを窺わせる記載は、他の甲号証にもなく、周知技術であるともいえない。 したがって、当業者であっても、甲10発明において上記相違点5に係る本件特許発明1の構成とすることが容易に想到し得たとはいえない。 オ 本件特許発明14についての小括 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明14は、甲10発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、本件特許発明14は、甲10発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)異議申立人の主張 異議申立人は、令和5年12月21日に提出された意見書において、「例えば、本件特許の図面の図1および図2に示された種々の粒子についても、「端面側に盛り上がった部分」を有するといえる。」(8頁9行~10行)、及び「図1には・・・外周領域が側面を被覆していることが看取される。」(8頁16行~19行)と主張している。 しかしながら、上記(3)エで述べたとおりであって、異議申立人の上記主張は、採用できない。 (7)小括 以上のことから、本件特許発明14は、甲10に記載された発明であるとはいえず、また、本件特許発明14は、当業者であっても、甲10に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 取消しの理由以外の理由についての当合議体の判断 1 新規性及び進歩性 甲2~甲4及び甲9のいずれの証拠にも、少なくとも、「端面」について、「前記第一の面は」、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である外周領域と、を含み、前記第二の面は」、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域と、を含み」、「前記第一及び第二の外周領域は、前記側面の一部でかつ全周を被覆している」ことが、記載されていない。 そうしてみると、上記第5の、「1(3)エ」、「2(3)エ」、「3(3)エ」及び「4(3)エ」で述べた理由と同様の理由により、本件特許発明1、3~12及び14は、甲2~甲4及び甲9のいずれかに記載された発明であるとはいえず、また、当業者であっても、甲2~甲4及び甲9のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 2 実施可能要件 (1)異議申立人の主張の概要 異議申立人は、異議申立書において、「どのようにすれば、第一の面のみが「外周領域」を有し、第二の面が「外周領域」を有しない粒子が得られるのかが不明であり、それを見出すために、当業者に期待し得る程度を越える試行錯誤、複雑高度な実験等が要される。」(以下「主張1」という。)(88頁下から4行~最下行)と主張し、また、令和5年12月21日に提出された意見書において、「仮に、本件特許発明を実施するためにより詳細な条件が求められるのであれば、そのような条件は本件特許明細書に記載されていないため、本件訂正発明は実施可能要件違反となる。」(以下「主張2」という。)(7頁14行~16行)と主張している。 (2)当合議体の判断 上記主張1について、本件特許発明は、「第一の面」及び「第二の面」のいずれも「外周領域」を含むものである。 上記主張2について、本件特許明細書において、立体造形用粒子の組成については、【0044】~【0049】に、粉末の製造方法については、【0058】~【0064】に、実施例及び比較例については、【0085】~【0101】に、それぞれ記載されている。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、実施可能要件を満たしている。 3 サポート要件違反 (1)異議申立人の主張の概要 異議申立人は、異議申立書において、「第一の面のみが「外周領域」を有し、第二の面が「外周領域」を有しない粒子は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」(89頁9行~11行)と主張している。 (2)当合議体の判断 上記主張について、本件特許発明は、「第一の面」及び「第二の面」のいずれも「外周領域」を含むものである。 したがって、本件特許発明は、サポート要件を満たしている。 4 明確性要件 (1)異議申立人の主張の概要 異議申立人は、異議申立書において、「どのような形状であれば「外周領域」を有する粒子に該当し、どのような形状であれば「外周領域」を有する粒子に該当しないのか、発明の外延が不明確である。」(90頁13行~15行)と主張している。 (2)当合議体の判断 上記主張について、本件特許発明の「外周領域」は、「前記第一の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第一の対向面と連続する面である第一の外周領域」と、「前記第二の対向面を前記側面に沿って延伸した形状であり、該第二の対向面と連続する面である第二の外周領域」であって、さらに、「第一及び第二の外周領域」は、「前記側面の一部でかつ全周を被覆している」ものである。 上記構成からみて、本件特許発明の「外周領域」は、明確である。 したがって、本件特許発明は、明確性要件を満たしている。 第7 むすび 本件特許発明1、3~12及び14は、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許発明1、3~12及び14を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正請求により、請求項2及び13は削除されたから、本件特許2及び13についての特許異議の申立ての対象は存在しないこととなった。 したがって、本件特許発明2及び13についての特許異議の申立ては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700583

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