特許異議申立
2023-700559
再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法
- 審判番号
- 2023-700559
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-042576外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7181429
- 請求日
- 2023年05月30日
- 審決日
- 2023年09月28日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日清製粉株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アルガ特許事務所
- 【異議申立人】吉田 浩子
- 分類
- P1651.113-Y (A23L) / P1651.121-Y (A23L) / P1651.536-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第2条第3項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7181429号発明「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7181429号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7181429号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年3月17日の出願であって、同年11月21日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和5年5月30日に特許異議申立人 吉田 浩子(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立て(対象となる請求項:請求項1ないし7)がされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、これらの発明を順に「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などという場合があり、また、これらをまとめて「本件特許発明」という場合がある。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法であって、
生麺類を加熱調理する工程と、
該加熱調理した麺類を冷蔵する工程を含み、
該生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、
該A層の生地のpHが7.5~9.4であり、かつ該B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下である、方法。
【請求項2】
前記冷蔵された麺類のpHが7.9~9.5である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記A層及びB層の生地の原料粉が、小麦粉とタピオカ澱粉を、小麦粉:タピオカ澱粉=85:15~50:50の質量比で含有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記A層及びB層の生地の原料粉が、小麦粉とタピオカ澱粉を合計で80質量%以上含有する、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記A層及び前記B層の生地がかんすい原料を含有する、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記冷蔵調理済み麺類が冷やし中華、冷やしラーメン、又は冷やしつけ麺である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記多層麺が三層麺である、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人が申し立てた請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
1 申立理由1-1(甲第1号証を主たる証拠とする新規性)
本件特許の請求項1、2及び4ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
2 申立理由1-2(甲第2号証を主たる証拠とする新規性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
3 申立理由2-1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
4 申立理由2-2(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
5 申立理由3(実施可能要件)
本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
6 申立理由4(サポート要件)
本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
なお、申立理由3及び4の具体的理由は、おおむね次のとおりである。
本件特許発明1、2、6、及び7は、原料の特定がされていないため、あらゆる原料を用いた冷蔵調理済み麺類の製造方法を包含する。
また、本件特許発明3、及び4は、小麦粉とタピオカ澱粉の質量比及び合計含有量は特定されているが、その他の原料の特定がされていないため、小麦粉とタピオカ澱粉以外に、あらゆる原料を用いた冷蔵調理済み麺類の製造方法を包含する。
更に、本件特許発明5では、かんすい原料を用いることは特定されているが、その量は特定されていないため、あらゆる量のかんすいを用いた冷蔵調理済み麺類の製造方法を包含する。
ここで、本件特許の明細書の実施例では、本件特許の明細書の表1や表2に示すように、かんすいの量のみを変化させた製造例及び比較例しか行われていない。即ち、本件特許の明細書では、かんすいの量で各層のpHを調整する方法しか開示されていない。
したがって、本件特許発明の効果を奏するためには、かんすいの量の調整が必須なのか否か、かんすいの量の調整以外の方法で各層のpHを調整した場合も、本件特許発明の課題「かんすい原料の影轡を低減する」を解決することができるのか否かが、当業者であっても理解することは不可能である。
よって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、本件特許発明1ないし7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
また、出願時の技術常識に照らしても、本件特許発明1ないし7の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
7 証拠方法
・甲第1号証:特開平11-151071号公報
・甲第2号証:特開2013-85490号公報
・甲第3号証:食品添加物基礎講座(その8)、2010年4月25日 加筆・改訂、URL:https://www.asama-chemical.co.jp/TENKAB/YUKAWA8.HTM
・甲第4号証:特開2019-58090号公報
・甲第5号証:特開2004-8180号公報
・甲第6号証:中沢製麺 代表取締役 中澤健太氏ブログ、URL:https://note.com/nakazawamen/n/n1b7f421c604d
・甲第7号証:日本食品科学工学会誌、第43巻第5号第598~602頁、1996年5月
・甲第8号証:特開2016-182059号公報
・甲第9号証:特開平10-248510号公報
なお、証拠の表記については、おおむね特許異議申立書における記載にしたがった。
第4 当審の判断
以下のとおり、当審は、特許異議申立理由はいずれもその理由がないものと判断する。
1 申立理由1-1及び2-1(甲第1号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について
(1) 甲第1号証の記載事項等
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、「三層麺類の製造方法」について、次の記載がある。
「【請求項1】 三層押出しによる三層麺類の製造方法であって、粗蛋白含量を6~15重量%に調整した外層用製麺原料を用いて三層押し出しを行って三層麺帯を製造し、前記の三層麺帯を圧延した後に、麺線に切り出すことを特徴とする三層麺類の製造方法。
【請求項2】 内層用製麺原料として、外層用製麺原料との粗蛋白含量の差が0.2重量%以上になるように調整した製麺原料を用いる請求項1に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項3】 三層押出しを減圧下に行う請求項1または2に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項4】 三層麺帯の全体の厚さに対して内層の厚さが30~60%および2つの外層の各々の厚さが20~35%であるようにして三層押出しを行う請求項1~3のいずれか1項に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項5】 外層用製麺原料を、小麦粉、または小麦粉と澱粉、そば粉および蛋白物質の1種または2種以上を用いて調製する請求項1~4のいずれか1項に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項6】 内層用製麺原料を、小麦粉、または小麦粉と澱粉、そば粉および蛋白物質の1種または2種以上を用いて調製する請求項2~5のいずれか1項に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項7】 澱粉が、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチおよび化工澱粉から選ばれる少なくとも1種である請求項5または6に記載の三層麺類の製造方法。
【請求項8】 請求項1~7のいずれか1項に記載の方法により得られる三層麺類。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は三層麺類の製造方法およびそれにより得られる三層麺類に関する。より詳細には、本発明は三層押出法を採用して三層麺類を製造する方法およびそれにより得られる三層麺類に関するものである。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、肌荒れがなくて外観および滑らかさに優れ、弾力性があって良好な食感を有し、茹でたときに茹で濁りの発生が少なく、透明感があり、しかも茹でのびの少ない、高品質の麺類を簡単な工程で、生産性良く製造し得る方法を提供することである。」
「【0024】《実施例1》[茹でうどんの製造]
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「特雀」;粗蛋白含量9.2重量%)85部およびアセチル化タピオカ澱粉(ホーネン株式会社製「A-700」;粗蛋白含量0.1重量%)15部を混合して外層用製麺原料(粗蛋白含量7.8重量%)を調製し、これをミキサーに供給して外層用製麺原料100部に対して食塩0.5部を水34部に溶かした水溶液34.5部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を上記した特願平8-130467号の三層麺帯製造機の外層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-650mmHg)に供給した。
(2) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「特雀」;粗蛋白含量9.2重量%)65部、アセチル化タピオカ澱粉(ホーネン株式会社製「A-700」;粗蛋白含量0.1重量%)35部およびバイタルグルテン(粗蛋白含量75重量%)3部を混合して内層用製麺原料(粗蛋白含量8.0重量%)を調製し、これをミキサーに供給して、内層用製麺原料103部に対して食塩0.5部を水36部に溶かした水溶液36.5部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を上記(1)で用いた三層麺帯製造機の内層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-700mmHg)に供給した。
(3) 上記(1)で得られた外層用麺生地を上下の外層とし、また上記(2)で得られた内層用麺生地を中間層(内層)として押し出して、厚さ45mmの三層麺帯(内層の厚さ40%、個々の外層の厚さ30%)を製造した後、押出された三層麺帯を連続して圧延ロールで圧延して厚さ3mmの麺帯にし、それを#10Mの切刃を用いて麺線に切り出して、三層生うどんを製造した。」
「【0052】《実施例4》[冷やし中華麺の製造]
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「特雀」;粗蛋白含量9.2重量%)95部、酸化タピオカ澱粉(粗蛋白含量0.1重量%)5部および乳清蛋白(粗蛋白含量70重量%)1部およびペクチン(大日本製薬株式会社製「CM201」;粗蛋白含量0重量%)0.3部を混合して外層用製麺原料(粗蛋白含量9.3重量%)を調製し、これをミキサーに供給して外層用製麺原料101.3部に対して、かん粉1部および着色料0.15部を水36部に溶かした水溶液37.15部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を実施例1で用いたのと同じ三層麺帯製造機の外層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-720mmHg)に供給した。
(2) 強力小麦粉(日清製粉株式会社製「オーション」;粗蛋白含量13.0重量%)100部、グルテン(粗蛋白含量75重量%)1部およびペクチン(粗蛋白含量0重量%)0.4部を混合して内層用製麺原料(粗蛋白含量13.6重量%)を調製し、これをミキサーに供給して、内層用製麺原料101.4部に対して、かん粉1.5部および着色料0.15部を水35部に溶かした水溶液36.15部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を上記(1)で用いた三層麺帯製造機の内層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-720mmHg)に供給した。
【0053】(3) 上記(1)で得られた外層用麺生地を上下の外層とし、また上記(2)で得られた内層用麺生地を中間層(内層)として、同三層麺帯製造機で押し出して、厚さ45mmの三層麺帯(内層の厚さ34%、個々の外層の厚さ33%)を製造した後、押出された三層麺帯を連続して圧延ロールで圧延して厚さ1.45mmの麺帯にし、それを#20丸の切刃を用いて麺線に切り出して、三層生冷やし中華麺を製造した。
【0054】(4) 上記(3)で得られた三層生冷やし中華麺を沸騰水中で茹歩留り275%に茹あげ、水洗いを行い、冷却水(5℃)中に60秒間浸漬した後、冷却水から取り出した。冷却水から取り出した茹で中華麺の表面の肌荒れ状態を上記の表1に示す評価基準にしたがって10名のパネラーに目視で観察して評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。得られた茹で中華麺を100gずつトレーに入れて、冷蔵庫(庫内温度5℃)にいれて一昼夜保存した。(5) 1日後に冷蔵庫より取り出し、冷やし中華麺用のつゆにつけて10名のパネラーに食してもらい、上記の表2に示す評価基準にしたがって透明感、滑らかさ、弾力性および茹でのびの状態を評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。」
「【0057】
【表6】
[図:0001402806000001.jpg]
」
イ 甲第1号証に記載された発明
上記アの記載、特に実施例4について整理すると、甲第1号証には次の発明が記載されているものと認める。
「中力小麦粉(日清製粉株式会社製「特雀」;粗蛋白含量9.2重量%)95部、酸化タピオカ澱粉(粗蛋白含量0.1重量%)5部および乳清蛋白(粗蛋白含量70重量%)1部およびペクチン(大日本製薬株式会社製「CM201」;粗蛋白含量0重量%)0.3部を混合して外層用製麺原料(粗蛋白含量9.3重量%)を調製し、これをミキサーに供給して外層用製麺原料101.3部に対して、かん粉1部および着色料0.15部を水36部に溶かした水溶液37.15部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を特願平8-130467号の三層麺帯製造機の外層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-720mmHg)に供給し、外層用麺生地を得、
強力小麦粉(日清製粉株式会社製「オーション」;粗蛋白含量13.0重量%)100部、グルテン(粗蛋白含量75重量%)1部およびペクチン(粗蛋白含量0重量%)0.4部を混合して内層用製麺原料(粗蛋白含量13.6重量%)を調製し、これをミキサーに供給して、内層用製麺原料101.4部に対して、かん粉1.5部および着色料0.15部を水35部に溶かした水溶液36.15部の割合で混合して、加水した生地をつくり、この生地を上記(1)で用いた三層麺帯製造機の内層用スクリュー式押出機(押出機内の真空度-720mmHg)に供給し、内層用麺生地を得、
上記で得られた外層用麺生地を上下の外層とし、また上記で得られた内層用麺生地を中間層(内層)として、同三層麺帯製造機で押し出して、厚さ45mmの三層麺帯(内層の厚さ34%、個々の外層の厚さ33%)を製造した後、押出された三層麺帯を連続して圧延ロールで圧延して厚さ1.45mmの麺帯にし、それを#20丸の切刃を用いて麺線に切り出し、三層生冷やし中華麺を得、
得られた三層生冷やし中華麺を沸騰水中で茹歩留り275%に茹あげ、水洗いを行い、冷却水(5℃)中に60秒間浸漬した後、冷却水から取り出し、得られた茹で中華麺を100gずつトレーに入れて、冷蔵庫(庫内温度5℃)にいれて一昼夜保存する、三層生冷やし中華麺の製造方法。」(以下、「甲1発明」という。)
(2) 対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア) 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「得られた三層生冷やし中華麺を沸騰水中で茹歩留り275%に茹あげ」る工程、「得られた茹で中華麺を100gずつトレーに入れて、冷蔵庫(庫内温度5℃)にいれて一昼夜保存する」工程は、それぞれ、本件特許発明1の「生麺を加熱調理する工程」、「加熱調理した麺類を冷蔵する工程」に相当する。
また、甲1発明の「三層生冷やし中華麺」は、「外層用麺生地を上下の外層とし」、「内層用麺生地を中間層(内層)として」「三層麺帯」としたものであるから、本件特許発明1の「生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺」に相当する。
さらに、甲1発明の「三層生冷やし中華麺」は、1日後に冷蔵庫より取り出し、冷やし中華麺用のつゆにつけて食している(【0054】)ことからみて、本件特許発明1の「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類」にあたることも明らかである。
以上の点をふまえると、両者は、
「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法であって、
生麺類を加熱調理する工程と、
該加熱調理した麺類を冷蔵する工程を含み、
該生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺である方法。」
で一致し、次の点で相違する。
・相違点1
多層麺に関し、本件特許発明1は「該A層の生地のpHが7.5~9.4であり、かつ該B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下である」と特定するのに対し、甲1発明にはそのような特定がない点。
(イ) 判断
上記相違点1について検討する。
甲第1号証には、外層用麺生地及び内層用麺生地のpHについて何ら記載されておらず、また、甲1発明の「三層生冷やし中華麺」の「外層用生地」及び「内層用生地」のpHが、相違点1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものであると推認するべき理由もない。
したがって、相違点1は実質的な相違点であるから、本件特許発明1は甲1発明ではない。
また、甲第1号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲1発明において外層用麺生地及び内層用麺生地のpHを調整し、相違点1に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けもない。
よって、本件特許発明1は甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(ウ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第1号証の実施例4について、検証試験を行い、外層用生地及び内層用生地のpHを測定した旨記載する(特許異議申立書第10頁ないし第12頁)が、当該検証試験に関し、いつ、どこで、誰が行ったのか明らかにされていない。また、その内容について検討するに、特許異議申立人も特許異議申立書において言及するように、中力小麦粉、酸化タピオカ澱粉、乳清蛋白、ペクチン、強力小麦粉について、甲第1号証の実施例4と同一銘柄の製品を用いたものではないし、また、「かんすい」等、他の材料についても、甲第1号証の実施例4と条件が同じであるということもできない。
したがって、特許異議申立書の検証試験の結果を根拠とする特許異議申立人の主張は採用することができない。
また、特許異議申立人は、「かんすいの量を調整することは当業者であれば当たり前に行うことである」(特許異議申立書第19頁及び第20頁)ことに基づく進歩性欠如を主張するが、何れの証拠の記載をみても、甲1発明において、外層用生地と内層用生地のpH条件に着目し、具体的に特定範囲とする動機付けがない以上、特許異議申立人の当該主張についても採用することができない。
イ 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1の全ての特定事項を有するものである。
そして、本件特許発明1は、上記アの検討のとおり、甲1発明ではなく、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2及び4ないし7は、甲1発明ではなく、また、本件特許発明2ないし7は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3) 申立理由1-1及び2-1についてのまとめ
上記(2)のとおりであるから、申立理由1-1及び2-1は、その理由がない。
2 申立理由1-2及び2-2(甲第2号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について
(1) 甲第2号証の記載事項等
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、「麺類」に関し、次の記載がある。
「【請求項1】
ヘミセルラーゼを含有することを特徴とする麺類。
【請求項2】
多層麺であり、かつその最外層の片側または両側を構成する層が、ヘミセルラーゼを含有する麺生地からなる層である請求項1に記載の麺類。
【請求項3】
中華麺である請求項1または2に記載の麺類。」
「【0001】
本発明は、麺のほぐれおよび食感が良好な麺類に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、麺のほぐれが良好であり、かつ食感も向上した麺類、特に多層麺を提供することにある。」
「【0025】
実施例2および比較例2(三層冷やし中華麺)
表3に示す(麺の配合)および下記に示す(麺の作製方法)により、それぞれ三層麺を作製した。
これらの三層麺を用いて、下記の(冷やし中華麺の作製方法)により、それぞれ三層冷やし中華麺を作製し、冷蔵した。各三層冷やし中華麺を1日間冷蔵後、麺のほぐれおよび麺の食感の経時耐性について、実施例1の場合と同様の評価基準でパネラー10名に評価させた。その結果(パネラー10名の平均点)を表4に示す。
【0026】
【表3】
[図:0001402806000002.jpg]
【0027】
(麺の作製方法)
表3に示す配合の原料を用いて、かん水、水および塩を加えて、減圧(-0.093MPa)で混捏し、圧延して、厚さ8mmの内層用および外層用のシート状生地をそれぞれ調製した。
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層の厚み/内層の厚み/外層の厚みの比が、外層/内層/外層=1/1/1の三層麺帯とした後、#20角の切り刃を通して、1.55mm圧の麺線とした。
得られた麺線を茹で歩留が155~160%になるように茹でを行い、水洗冷却した麺線100質量部に、ほぐれ剤(不二製油製「ソヤアップM3000」)3質量部をスプレーにより均一に付着させ、三層麺を得た。
【0028】
(冷やし中華麺の作製方法)
1.釜に麺500gを投入し、歩留160%(対麺)で1分間茹でた。
2.その後、麺を200gずつ計量し、冷蔵した。」
イ 甲第2号証に記載された発明
上記アの記載、特に表3において「実施例2」及び「比較例2」とともに記載されている「対照品」に着目して整理すると、甲第2号証には次の発明が記載されているものと認める。
「下記の表3の「対照品」欄に示す配合の原料を用いて、かん水、水および塩を加えて、減圧(-0.093MPa)で混捏し、圧延して、厚さ8mmの内層用および外層用のシート状生地をそれぞれ調製し、
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層の厚み/内層の厚み/外層の厚みの比が、外層/内層/外層=1/1/1の三層麺帯とした後、#20角の切り刃を通して、1.55mm圧の麺線とし、
得られた麺線を茹で歩留が155~160%になるように茹でを行い、水洗冷却した麺線100質量部に、ほぐれ剤(不二製油製「ソヤアップM3000」)3質量部をスプレーにより均一に付着させ、三層麺を得、
釜に上記三層麺500gを投入し、歩留160%(対麺)で1分間茹で、
その後、茹でた三層麺を200gずつ計量し、冷蔵する、三層冷やし中華麺の作製方法。
【表3】
[図:0001402806000003.jpg]
」(以下、「甲2発明」という。)
(2) 対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア) 対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「三層麺」を「茹で」る工程、「茹でた三層麺」を「冷蔵する」工程は、それぞれ、本件特許発明1の「生麺類を加熱調理する工程」、「加熱調理した麺類を冷蔵する工程」に相当する。
また、甲2発明の「三層冷やし中華麺」は、「外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、・・・三層麺帯とした」ものであるから、本件特許発明1の「生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺」に相当する。
さらに、甲2発明の「三層冷やし中華麺」は、甲第2号証の「これらの三層麺を用いて、下記の(冷やし中華麺の作製方法)により、それぞれ三層冷やし中華麺を作製し、冷蔵した。各三層冷やし中華麺を1日間冷蔵後、麺のほぐれおよび麺の食感の経時耐性について、実施例1の場合と同様の評価基準でパネラー10名に評価させた。」(【0025】)との記載からみて、本件特許発明1の「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類」にあたることも明らかである。
以上の点をふまえると、両者は、
「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法であって、
生麺類を加熱調理する工程と、
該加熱調理した麺類を冷蔵する工程を含み、
該生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺である方法。」
で一致し、次の点で相違する。
・相違点2
多層麺に関し、本件特許発明1は「該A層の生地のpHが7.5~9.4であり、かつ該B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下である」と特定するのに対し、甲2発明にはそのような特定がない点。
(イ) 判断
上記相違点2について検討する。
甲第2号証には、外層用シート状生地及び内層用シート状生地のpHについて何ら記載されておらず、また、甲2発明の「三層生冷やし中華麺」の「外層用シート状生地」及び「内層用シート状生地」のpHが、相違点2に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものであると推認するべき理由もない。
したがって、相違点2は実質的な相違点であるから、本件特許発明1は甲2発明ではない。
また、甲第2号証及び他の全ての証拠の記載をみても、甲2発明において外層用シート状生地及び内層用シート状生地のpHを調整し、相違点2に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けもない。
よって、本件特許発明1は甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(ウ) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第2号証の表3に示される対照品(甲2発明)について、甲第1号証の実施例4(甲1発明)と同等であるものであるから、甲2発明は相違点2に係る本件特許発明1の特定事項を満たす蓋然性が高いものであるから、本件特許発明1は甲2発明である(特許異議申立書第15頁)こと、また、「かんすいの量を調整することは当業者であれば当たり前に行うことである」(特許異議申立書第19頁及び第20頁)ことに基づく進歩性欠如をそれぞれ主張するが、当該主張は何れも上記1(2)ア(ウ)における主張と同旨であり同様に判断されるから、何れの主張も採用することができない。
イ 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1の全ての特定事項を有するものである。
そして、本件特許発明1は、上記アの検討のとおり、甲2発明ではなく、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし7もまた、甲2発明ではなく、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3) 申立理由1-2及び2-2についてのまとめ
上記(2)のとおりであるから、申立理由1-2及び2-2は、その理由がない。
3 申立理由3(実施可能要件)について
(1) 実施可能要件の判断基準
本件特許発明1ないし7は、上記第2のとおり、「物を生産する方法」の発明であるところ、物を生産する方法の発明における実施とは、そのものを生産する方法の使用をする行為のほか、その方法により生産した物の使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第3号)、例えば、明細書等にその物を生産する方法を使用することができることの具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産する方法を使用することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。
(2) 本件特許発明
本件特許発明1ないし7は、上記第2のとおりのものである。
(3) 実施可能要件についての判断
本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「本発明は、再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法に関する」(【0001】)ものであって、「生麺から調理して冷蔵保存し、再加熱せずに喫食したときにも、良好な食感を有することができる中華麺が望まれる」(【0005】)との課題に対し、「特定pHの弱アルカリの外層生地と、該外層生地より高pHの内層生地からなる多層麺から製造した調理済み中華麺が、冷蔵して再加熱せずに喫食したときにも良好な食感を有することを見出した」(【0006】)こと、「本発明は、再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法であって、生麺類を加熱調理する工程と、該加熱調理した麺類を冷蔵する工程を含み、該生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、該A層の生地のpHが7.5~9.4であり、かつ該B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下である、方法を提供する」(【0007】)こと、「本発明の冷蔵調理済み麺類は、生麺を喫食可能に加熱調理し、次いで冷蔵保存することで製造される」(【0009】)こと、「本発明の冷蔵調理済み麺類の製造に用いられる生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺である。当該多層麺は、三層以上の層からなる多層構造を有する」(【0010】)こと、A層及びB層の原料及び調整に関すること(【0011】ないし【0021】)、「本発明で用いられるA層用生地は、pH7.5~9.4、好ましくはpH7.5~9.2・・・(中略)・・・の麺生地である。A層用生地のpHが低すぎると、得られた麺類の弾性が低下し、一方、A層用生地のpHが高すぎると、得られた麺類がぼそついた食感となる」こと(【0022】)、「本発明で用いられるB層用生地は、pHが該A層用生地よりも高く、かつpH10.3以下である。・・・(中略)・・・B層用生地のpHがA層用生地よりも低くなると、得られた麺類がぼそついた食感となり、一方、B層用生地のpHが高すぎると、得られた麺類の弾性が低下する」(【0022】)こと、加熱調理手段及び冷蔵手段に関すること(【0026】及び【0027】)、「本発明の冷蔵調理済み麺類は、冷蔵保存の後、再加熱されることなく喫食される」(【0029】)ことが記載されており、具体的な実施例(【0030】ないし【0037】)の記載もある。
これらの記載によれば、本件特許発明1ないし7に関し、明細書の発明の詳細な説明には過度の試行錯誤を要することなく当業者が実施できる程度に記載されているものといえる。
よって、本件特許発明1ないし7に関する明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合する。
(4) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、本件特許の明細書の実施例では、本件特許の明細書の表1や表2に示すように、特定の原料を用いたものであって、かんすいの量のみを変化させた製造例及び比較例しか行われていない点をあげ、本件特許発明1ないし7の全範囲にわたって実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張する。
しかしながら、特許異議申立人の上記主張は、本件特許発明1ないし7のうち、実施できないものがあるとする具体的な証拠を示すものではなく、上記(3)の判断に何ら影響するものではない。
(5) 申立理由3についてのまとめ
上記(3)及び(4)のとおりであるから、申立理由3は、その理由がない。
4 申立理由4(サポート要件)について
(1) サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2) 本件特許発明
本件特許発明1ないし7は、上記第2のとおりのものである。
(3) サポート要件についての判断
本件特許発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0005】の記載からみて、「生麺から調理して冷蔵保存し、再加熱せずに喫食したときにも、良好な食感を有することができる中華麺の製造方法を提供すること」である。
そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「特定pHの弱アルカリの外層生地と、該外層生地より高pHの内層生地からなる多層麺から製造した調理済み中華麺が、冷蔵して再加熱せずに喫食したときにも良好な食感を有することを見出した」(【0006】)こと、「本発明は、再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法であって、生麺類を加熱調理する工程と、該加熱調理した麺類を冷蔵する工程を含み、該生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、該A層の生地のpHが7.5~9.4であり、かつ該B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下である、方法を提供する」(【0007】)こと、「本発明の冷蔵調理済み麺類は、生麺を喫食可能に加熱調理し、次いで冷蔵保存することで製造される」(【0009】)こと、「本発明の冷蔵調理済み麺類の製造に用いられる生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺である。当該多層麺は、三層以上の層からなる多層構造を有する」(【0010】)こと、「本発明で用いられるB層用生地は、pHが該A層用生地よりも高く、かつpH10.3以下である。・・・(中略)・・・B層用生地のpHがA層用生地よりも低くなると、得られた麺類がぼそついた食感となり、一方、B層用生地のpHが高すぎると、得られた麺類の弾性が低下する」(【0022】)こと、加熱調理手段及び冷蔵手段に関すること(【0026】及び【0027】)、「本発明の冷蔵調理済み麺類は、冷蔵保存の後、再加熱されることなく喫食される」(【0029】)ことが記載されており、具体的な実施例・比較例(【0030】ないし【0037】)の記載もある。
してみると、当業者であれば、「再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法」であって、「生麺類を加熱調理する工程」と、「加熱調理した麺類を冷蔵する工程」を含み、「生麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺」であり、「A層の生地のpHが7.5~9.4」であり、かつ、「B層の生地のpHが該A層の生地のpHよりも高くかつpH10.3以下」である、との事項を満たすことにより、発明の課題を解決できると認識できる。
そして、本件特許発明1ないし7はいずれも、上記の発明の課題を解決できると認識できる特定事項を全て有するものであり、あるいは、さらに限定するものであるから、当然、発明の課題を解決できると認識できる。
よって、本件特許発明1ないし7はいずれも、特許法第36条第6項第1号に規定する要件に適合する。
(4) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、本件特許の明細書の実施例では、本件特許の明細書の表1や表2に示すように、特定の原料を用いたものであって、かんすいの量のみを変化させた製造例及び比較例しか行われていない点をあげ、本件特許発明1ないし7の全範囲にわたって、発明の課題を解決できると認識することができない旨主張する。
しかしながら、特許異議申立人の上記主張は、本件特許発明1ないし7のうち、発明の課題を解決することができないとする具体的な証拠を示すものではなく、上記(3)の判断に何ら影響するものではない。
(5) 申立理由4についてのまとめ
上記(3)及び(4)のとおりであるから、申立理由4は、その理由がない。
第5 結語
以上のとおりであるから、特許異議申立人が提出した特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700559