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特許異議申立

2023-700541

システム、方法、プログラム、およびスタンプ

審判番号
2023-700541
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-027656
登録番号
7178520
請求日
2023年05月25日
審決日
2024年03月21日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】playground株式会社
  • 【権利者代理人】IPTech弁理士法人
  • 【異議申立人】小島 健史
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 相崎 裕恒
  • 審判官 松尾 俊介
分類
P1651.852-YAA(G06Q) / P1651.853-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q) / P1651.121-YAA(G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7178520号発明「システム、方法、プログラム、およびスタンプ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7178520号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-4〕、6、7について訂正することを認める。 特許第7178520号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第7178520号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成26年5月12日の特許出願(特願2014-98242号、国内優先権主張(特願2013-120218号)、平成25年5月22日)を第1世代とした場合の第5世代目の分割出願である特願2020-176330号の一部をさらに令和4年2月25日に新たな特許出願としたものであり、同年11月16日に登録され、同月25日に特許公報が発行され、その後、その特許について、令和5年5月25日に特許異議申立人小島健史(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 当審において同年7月27日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、その指定期間内に提出された同年9月28日付の訂正請求書(以下単に「訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。 なお、申立人に対し、期間を指定して訂正請求書の副本を送付して意見書提出の機会を与えたが、申立人は指定期間内に意見書を提出しなかった。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項 本件訂正請求の訂正事項は、以下のア~オのとおりである。 ア 訂正事項1 訂正前請求項2の「プログラム」の記載を「システム」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3及び請求項4についても同様に訂正する。) イ 訂正事項2 訂正前請求項3の「請求項1又は2に記載のプログラム」の記載を「請求項1又は2に記載のシステム」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4についても同様に訂正する。) ウ 訂正事項3 訂正前請求項4の「請求項3に記載のプログラム」の記載を「請求項3に記載のシステム」に訂正する。 エ 訂正事項4 訂正前請求項6の「前記サーバに向けて、前記配列情報および前記ユーザを識別する情報を送信するステップ」の記載を「前記サーバに向けて、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および、スタンプラリーを識別する情報を送信するステップ」に訂正する。 オ 訂正事項5 訂正前請求項7の「前記サーバに向けて、前記配列情報および前記ユーザを識別する情報を送信するステップ」の記載を「前記サーバに向けて、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および、スタンプラリーを識別する情報を送信するステップ」に訂正する。 なお、訂正事項1~訂正事項3は、一群の請求項〔2-4〕に対して請求されたものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1~訂正事項3について 訂正事項1~訂正事項3は、いずれも、「システム」の発明を記載した請求項1を被引用請求項とする請求項2~4において、請求項1に係る発明が「システム」の発明であることと整合しない「プログラム」の記載をこれと整合する「システム」の記載に訂正しようとするものである。 そして、請求項2~4の被引用請求項である請求項1の記載からみて、請求項2~請求項4の「プログラム」が「システム」の誤記であることは明らかであることから、訂正事項1~訂正事項3は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書き第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正であり、また、同条第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、訂正前請求項2~4の被引用請求項である請求項1の記載からみて、訂正前の請求項2~請求項4は、その末尾の「プログラム」の記載にかかわらずそれぞれの請求項が「システム」の発明を記載したものであることが客観的に明らかであったといえ、このことに照らせば、訂正事項1~訂正事項3による誤記の訂正は、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものではないと認められ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 なお、請求項2~4は、いずれも特許異議の申立ての対象とされていることから、同法第120条の5第9項で読み替えて準用される同法126条第7項の規定は適用されない。 イ 訂正事項4、訂正事項5について 訂正事項4及び訂正事項5は、それぞれ訂正前の請求項6及び請求項7における、「前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合」との記載の前に「ユーザ端末」から「スタンプラリーを識別する情報」を送信する旨の記載がなく、互いに整合しない記載が含まれていたところを、訂正後の請求項6及び請求項7において「ユーザ端末」から「スタンプラリーを識別する情報」を送信する旨を明示して、記載を整合させたものであって、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号の「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であり、また、同条第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、訂正前の請求項6及び請求項7においては、明示されていないものの「前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合」との記載からみて、「ユーザ端末」から「スタンプラリーを識別する情報」を送信することが暗示されていたことから、訂正事項4及び訂正事項5は、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものではないと認められ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 なお、請求項6及び請求項7は、いずれも特許異議の申立ての対象とされていることから、同法第120条の5第9項で読み替えて準用される同法126条第7項の規定は適用されない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-4〕、6、7について訂正することを認める。 3 本件特許発明1~本件特許発明7 本件特許発明1~本件特許発明7は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~請求項7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 複数の電極を有するスタンプによる、ユーザ端末に表示されたチェックポイントに関する入力画面への押印によって、サーバが複数の前記チェックポイントそれぞれへのユーザの到着を検出するスタンプラリーに用いられるシステムであって、 前記ユーザ端末は、 前記入力画面において、複数の前記電極の接触を受け付ける手段と、 押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出し、前記電極の配列を示す配列情報を認識する手段と、 前記サーバに向けて、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および前記スタンプラリーを識別する情報を送信する手段と、を備え、 前記サーバは、 予め記憶された複数の前記チェックポイントに関する情報のうち、前記配列情報と対応付けられた前記チェックポイントに関する情報を特定する手段と、 特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力する手段と、を備え、 前記ユーザ端末に出力する手段は、 前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない、システム。 【請求項2】 前記ユーザ端末における、前記情報を送信する手段は、 前記チェックポイントに関する情報を、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および前記スタンプラリーを識別する情報とともに、前記サーバに向けて送信し、 前記サーバにおける、前記ユーザ端末に出力する手段は、 前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信されたチェックポイントを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない、請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 前記ユーザ端末は、 前記入力画面において、前記スタンプの押印に替えて、暗証番号の入力を受け付ける手段をさらに備える、請求項1又は2に記載のシステム。 【請求項4】 前記ユーザ端末における、前記暗証番号の入力を受け付ける手段は、 前記スタンプの押印に関する操作と、前記暗証番号の入力に関する操作と、の選択の入力を受け付ける、請求項3に記載のシステム。 【請求項5】 チェックポイントに関する入力画面を表示するユーザ端末と、 前記入力画面へのスタンプの押印により、前記チェックポイントへのユーザの到着を記録するサーバと、を備えたスタンプラリーシステムに用いられる前記スタンプであって、 複数の電極が設けられた押印面を有し、 前記押印面には、前記電極の配列情報に対応して、前記サーバに記憶され、前記スタンプが前記入力画面に押印された際に、前記ユーザ端末に表示される画像が描画されている、スタンプ。 【請求項6】 複数の電極を有するスタンプによる、ユーザ端末に表示されたチェックポイントに関する入力画面への押印によって、サーバが複数の前記チェックポイントそれぞれへのユーザの到着を記録するスタンプラリーで用いられる方法であって、 前記ユーザ端末は、 前記入力画面において、複数の前記電極の接触を受け付けるステップと、 押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出し、前記電極の配列を示す配列情報を認識するステップと、 前記サーバに向けて、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および、スタンプラリーを識別する情報を送信するステップと、を実行し、 前記サーバは、 予め記憶された複数の前記チェックポイントに関する情報のうち、前記配列情報と対応付けられた前記チェックポイントに関する情報を特定するステップと、 特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力するステップと、を実行し、 前記ユーザ端末に出力するステップでは、 前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない、方法。 【請求項7】 複数の電極を有するスタンプによる、ユーザ端末に表示されたチェックポイントに関する入力画面への押印によって、サーバが複数の前記チェックポイントそれぞれへのユーザの到着を記録するスタンプラリーに用いられるプログラムであって、 前記ユーザ端末のプロセッサに、 前記入力画面において、複数の前記電極の接触を受け付けるステップと、 押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出し、前記電極の配列を示す配列情報を認識するステップと、 前記サーバに向けて、前記配列情報、前記ユーザを識別する情報、および、スタンプラリーを識別する情報を送信するステップと、を実行させ、 前記サーバのプロセッサに、 予め記憶された複数の前記チェックポイントに関する情報のうち、前記配列情報と対応付けられた前記チェックポイントに関する情報を特定するステップと、 特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力するステップと、を実行させ、 前記ユーザ端末に出力するステップでは、 前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない、プログラム。」 4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項2、3、4、6及び7に係る特許に対して、当審において令和5年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 請求項2、3、4、6及び7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6号第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 なお、この取消理由は、申立人が申立てた申立ての理由2と同じである。 (2)当審の判断 ア 請求項2~4に係る特許について 請求項2~4は、「システム」の発明を記載した請求項1を被引用請求項とするものであるところ、請求項2~4における「プログラム」の記載が請求項1の「システム」の記載と整合しない旨を指摘したところ、上記2(2)アに示した訂正事項1~訂正事項3による訂正によって請求項2~4の記載は請求項1の記載と整合するものとなり、取消理由は解消した。 イ 請求項6、7に係る特許について 請求項6、7における「前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない」の記載の前に「スタンプラリーを識別する情報」が前記されておらず、また、この記載が「スタンプラリーを識別する情報」がユーザ端末から送信されることを前提としているのに対して、「前記サーバに向けて、前記配列情報及び前記ユーザを識別する情報を送信するステップ」の記載はこのことを前提としない記載となっており整合していない旨を指摘したところ、上記2(2)イに示した訂正事項4及び訂正事項5による訂正によって、「スタンプラリーを識別する情報」が前記されて、記載の不整合も解消したことから、取消理由は解消した。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許異議申立理由の概要 請求項1~4、6、7に係る特許は、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証及び周知技術(甲第4号証、甲第5号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5に係る特許は甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることから、請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第2号証:特開2012-256246号公報 甲第3号証:特開2009-266193号公報 甲第4号証:特開2012-118637号公報 甲第5号証:特開2011-134298号公報 (2)各甲号証の記載の概要 ア 甲第2号証 (ア)甲第2号証には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、静電容量方式タッチパネル用の導電式印章とこれを使用するための導電式印章処理システムに関するもので、所定の電子文書や画面上に容易に迅速に電子捺印を行うことが可能な導電式印章処理システムを提供することものである。」 「【0008】 これまで印章を使っていた分野やサービスにおいて、電子化できるものであればどの分野においても使用可能であり、使用用途は無数に存在する。また、位置情報やパスワード等と組み合わせることによりセキュリティを高めることが可能である。さらに、従来使われていた印章のように紙もインクも不要であるため環境にも優れている。 「【0009】 本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。 図1は、本発明の実施の形態に係る導電式印章の構成を示した図で、(a)は導電式印章の概略図(b)は導電式印章の導電式書き込み部の説明図である。 図1の(a)において、Aは、従来の印章と同様の円柱形状の保持部である。Bは、スポンジ等の非導電性の弾性部材により構成された導電式書き込み部で、保持部Aの先端部に取り付けられている。 導電式書き込み部Bの非導電性の表面には、図1の(b)のCに示すように、複数の導電物質1.2・・nが取り付けられている。 【0010】 図2は、導電式書き込み部Bの導電物質の配置位置の一例を示した図である。導電物質の配置位置は図2に示すように、複数の縦列と横列により区分されている。図2では、縦列と横列が夫々5に設定されており導電式書き込み部Bは25の区画に区分されており、夫々の区分には1から25の区分番号が付されている。導電物質はこの25区分の任意の位置に配置され、導電式印章の識別コードを構成する。 例えば、図2の区分番号の1と25をキーナンバーとして設定した場合、区分番号1と25の位置を中心として区分番号10と13と17を判断し、全体では1、10、13、17、25としたコードに置き換え、これを識別コードとしてどの導電式印章でタッチされたのかを判断する。 識別コードの読み取り認証は次のように行われる。例えば、図2の1と25の区分をキーナンバーとして設定した場合、1と25の区分位置を中心として区分10と区分13と区分17を判断し、全体では区分の1、10、13、17、25としたコード0110131725に置き換え、導電式印章のどの区分がタッチされたのかを判断する。 【0011】 図3は、静電容量方式タッチパネルの導電式印章データ読み取り認証部分の説明図である。 図3において、TPは、導電式印章による書き込みと認証処理を行う情報処理端末の静電容量方式タッチパネルである。認証処理を行う情報処理端末には、導電式印章の導電物質の配置個所を読み取るプログラムがセットされている。 TCは静電容量方式タッチパネルの導電式印章の導電物質の配置個所を読み取る認識部分である。 図3のように、導電物質の位置を読み取りできる認証用の画面TCが起動された状態で、認識部分TCに導電式印章の導電式書き込み部Bがセットされると、導電物質の位置を静電容量方式タッチパネル上のタッチされた箇所と判断し認識させることにより導電物質の配置個所を読み取ることにより導電式印章データの読み込みが行われ、どの導電式印章でタッチされたかをシステム側で判断する。 【0012】 本発明の導電式印章システムは、上記に説明した導電式印章と、導電式印章の情報処理を行うサーバーとから構成されている。導電式印章は、図1に示すように、従来の印章と同様の利用者が携帯可能なもので印章と同様の円柱形状を有している。 サーバーの情報処理機能は、図3に示すような静電容量方式タッチパネルの端末から、導電式印章のディジタルデータと使用者のディジタル署名のデータとを読み込むための印章データ手段と、導電式印章のディジタルデータと使用者のディジタル署名のデータとともに蓄積する導電式印章データ蓄積手段と、蓄積された導電式印章のディジタルデータとディジタル署名を用いて導電式印章を表示、印字する手段と、導電式印章を捺印する文書のディジタルデータに対して、導電式印章データ蓄積手段より使用者のデータを抽出し捺印を行う、ディジタル署名・捺印手段とを備えている。 【0013】 図4は、本発明の導電式印章システムのサーバーの導電式印章データを読み取り蓄積するプログラムのフローチャートである。 導電式印章データを読み取り蓄積は次のようなステップで実行される。 静電容量方式タッチパネルの導電式印章の導電物質の配置個所を読み取ることを指示する読取用プログラムが起動される。(ステップ1) 導電式印章を静電容量方式タッチパネルにタッチされる。(ステップ2) 導電式印章どの区分がタッチされたのかを判断され、導電物質の配置個所をデータ化してディジタルデータが生成され、タッチされた点の位置を識別にコードとして読取られる。識別コードの読取と平行して、使用者のディジタル署名データが入力される。(ステップ3) 読取られた導電式印章の識別コードを使用者のディジタル署名データと共にサーバーに蓄積される(ステップ4) 導電式印章データの読み取り次のように行われる。 例えば、図2の1と25をキーナンバーとして設定した場合、1と25の位置を中心として10と13と17を判断し、全体では1、10、13、17、25とした0110131725というようなコードに置き換え、どの導電式印章でタッチされたのかを判断しコードとして登録する。 【0014】 図5は、本発明の導電式印章システムのサーバーの導電式印章の捺印認証を実行するプログラムのフローチャートである。 ステップ1で、電導式読取用プログラムが起動される。 ステップ2で、導電式印章を画面にタッチする。 ステップ3で、プログラムタッチされた点の位置を基準に識別コード読取る。 ステップ4で、読取った導電式印章の識別コードとサーバーに登録された識別コードを照合する。 ステップ5で、サーバーが識別コードの有無を判断し、結果を端末に返し受信結果を表示、印刷する。 表示、印刷については、使用するソフトウエアにより異なる。 例:スタンプカードであれば、スタンプを押した数や来店ポイント等を表示、印刷する。 スタンプラリーであれば、スタンプを押した場所等を表示、印刷する。この結果の表示、印刷については、端末のソフトウエアにスタンプ数などを保管し保存することも可能であるし、又サーバー側に保存し、サーバー側からスタンプ数などを配信し端末の電導式読取装置に表示させることも可能である。 【0015】 図1の導電式印章の導電スポンジ等の部分のそれぞれの高さを変えることで、どの順番に押されたかを図2の静電容量方式タッチパネルを具備した機器に判断させることで、さらに多くの情報をデータ化し、導電式印章の種類を増やすことも可能である。 また、印章という特性上、個人を特定するために本人確認性が必要となる場合は、図2の静電容量方式タッチパネル上に、印章登録時に別途設定した数桁のセキュリティコード入力欄を設け、図1の電導式印章でタッチした後にセキュリティコードを入力させることで、本人確認とすることも可能である。 さらに、スタンプラリー等、決められた場所で使用するような用途の場合は図2の静電容量方式タッチパネルを具備した機器にGPS認証させることにより、特定の場所以外での使用を防ぐことも可能となる。 【0016】 使用用途(例) 1.店舗等のスタンプカードとして使用 顧客のもつ図2の静電容量方式タッチパネルを具備した機器に図1の導電式印章でタッチすることにより、来店ポイント等の付与を行う。 2.スタンプラリー 図1の導電式印章を特定の場所に設置しておき、その場所を訪れた際に図2の静電容量方式タッチパネルを具備した機器に図1の導電式印章をタッチすることで、スタンプをためていく。 3.企業での導電式印章として使用 図2の静電容量方式タッチパネルを具備した端末画面等で社内で発生する決裁や稟議等の内容を確認し、図1の導電式印章でタッチすることにより確認または承認したと判断させることで、社内のペーパーレス化を図る等、これまで印章を使っていた分野やサービスにおいて、電子化できるものであればどの分野においても使用可能であり、使用用途は無数に存在する。 また、位置情報やパスワード等と細み合わせることによりセキュリティを高めることが可能である。 さらに、従来使われていた印章のように紙やインクも不要であるため環境にも優れている。」 (イ)(ア)によれば、甲第2号証には、以下の甲2発明A’及び甲2発明B’が記載されていると認められる。(括弧内に認定の根拠となる甲第2号証の段落番号を示す。) (甲2発明A’) 静電容量方式のタッチパネル用の導電式印章と、静電容量方式タッチパネルを具備した機器と、導電式印章の情報処理を行うサーバーとから構成される、スタンプラリーに用いられる導電式印章システムであって、(【0014】~【0016】) 導電式印章は、保持部と、保持部の先端部に取り付けられた導電式書き込み部からなり、導電式書き込み部の非導電性の表面には、複数の導電物質が取り付けられており、導電物質は導電式印章の識別コードを構成し(【0009】、【0010】)、 静電容量方式タッチパネルを具備した機器は、導電式印章による書き込みと認証処理を行うものであり、導電式印章の導電物質の配置個所を読み取るプログラムがセットされており、導電物質の位置を読み取りできる認証用の画面が起動された状態で、認識部分に導電式印章の導電式書き込み部がセットされると、導電物質の配置個所を読み取ることにより導電式印章データの読み込みが行われるものであり(【0011】)、 どの導電式印章でタッチされたかをシステム側で判断し(【0011】)、サーバーは、導電式印章の捺印認証プログラムを実行し、電導式読取用プログラムが起動されて導電式印章を画面にタッチすると、タッチされた点の位置を基準に識別コードを読み取り、導電式印章の識別コードとサーバーに登録された識別コードを照合し、識別コードの有無を判断し、結果を端末に返し受信結果を表示、印刷するものであり(【0014】)、 その際、スタンプラリーでは、スタンプを押した場所等を表示、印刷し、この結果の表示、印刷については、スタンプ数などをサーバー側に保存し、サーバー側からスタンプ数などを配信し端末の電導式読取装置に表示させることが可能であり(【0014】)、 さらに、静電容量方式タッチパネルを具備した機器にGPS認証させることにより、特定の場所以外での使用を防ぐことができ(【0015】)、 使用用途がスタンプラリーの場合、導電式印章を特定の場所に設置しておき、その場所を訪れた際に、静電容量方式タッチパネルを具備した機器に導電式印章をタッチすることで、スタンプをためていく(【0016】)、 導電式印章システム。 (甲2発明B’) 甲2発明A’のシステムにおける、導電式印章。 イ 甲第3号証 「【0032】 (第一実施形態) 本発明の第一実施形態に係るスタンプシステムは、例えばスタンプラリーに用いられる。」 「【0034】 各拠点A~Cには、夫々、同一の構成及び機能を有するスタンプ装置1がスタンプ台2上に設置されている。各拠点A~Cにおけるスタンプ装置1に備えられるメモリ(記憶部の一例)には、各スタンプ装置1が設置された拠点を示す拠点データ(例えば、各拠点に固有の識別番号からなる)が記憶されており、これらの拠点データは互いに異なる。 【0035】 スタンプラリーを行う利用者Uは、図1に示すように、スタンプ帖3(記録媒体の一例)を持って各拠点A~Cをまわり(回り)、各拠点A~Cにおいてスタンプ装置1を用いてスタンプをスタンプ帖3に押印し、例えば、最終的に景品交換所にスタンプ帖3を持っていき景品と交換する。 【0036】 図2は、本実施形態に係るスタンプ装置1及びスタンプ台2の構成を説明するための断面図である。図2に示すように、スタンプ装置1は、電源プラグ11、筐体グリップ部12、筐体スタンプ部13、化粧・認識用LED(発光ダイオード)14、制御基板15、スピーカ(又はブザー)16、RFID(Radio Frequency Identification System)アンテナ17、RFIDリーダライタ通信スイッチ(以下、「R/W通信スイッチ」という)18、及びスタンプを押印するための印版部としてのゴム印19等を備えて構成されている。 【0037】 制御基板15は、CPU,RAM,ROM,不揮発性メモリ等を備え、RFIDリーダライタの機能及び計時(時計)機能を有する。かかるRFIDリーダライタは、例えば非接触ICカード技術である公知のFeliCa(登録商標)技術を採用しており、当該FeliCa技術を採用したICチップ(以下、「RFIDチップ」という)からのデータの読み取り及び当該RFIDチップへのデータの書き込みを非接触で(非接触通信により)行うことが可能になっている。なお、非接触ICカード技術として上記FeliCa以外の技術を適用しても良く、例えば、MIFARE(R)ウルトラライト(ISO 14443A)の技術を適用しても良い。」 「【0041】 ゴム印19のスタンプ台2側の印面には、所定の文字、図形等のキャラクタの像形状が形成されており、反対の面は図示のように筐体スタンプ部13に接着されている。また、スタンプ装置1がスタンプ台2に置かれている状態では、ゴム印19の印面は、スタンプ台2に設けられた朱肉20に接している。そして、利用者Uがスタンプ装置1を持ち上げ、上記ゴム印19の印面を、スタンプ帖3の印面(紙面)に押し当てると上記像形状のスタンプが押印されることになる。なお、印版部としては、ゴム印の他にも、撓み易い材質の印であっても良い。 【0042】 このスタンプ帖3は、上述したRFIDチップと、スタンプを押印可能な複数の印面とを有しており、当該複数の印面それぞれにスタンプが押印可能になっている。 【0043】 図3は、スタンプ帖3の構成を説明するための図である。図3の例では、スタンプ帖3は複数ページからなり、裏表紙に上述したRFIDチップ31が埋め込まれている。かかるRFIDチップ31には、固有のUID等が予め記憶されている。なお、当該RFIDチップ31が埋め込まれる場所は裏表紙にすることがRFIDの非接触通信上望ましいが、他の場所に埋め込まれるようにしても構わない。また、RFIDチップ31はスタンプ帖3に埋め込まれるのではなく、貼り付けられるようにしても構わない。また、RFIDチップ31が埋め込まれたカードが、スタンプ帖3の裏表紙に埋め込まれ(又は貼り付けられ)る構成としても良い。また、RFIDチップ31又はこれが埋め込まれたカードが、スタンプ帖3の裏表紙に設けられたポケットに挿入されるように構成しても良い。なお、RFIDチップ31のアンテナの中央とスタンプ帖3に印刷された枠印の中央が一致するようになっている。 【0044】 以上のスタンプ装置1とスタンプ帖3の構成において、スタンプ装置1(CPU)は、スタンプ帖3の印面にスタンプが押印される際に、スタンプ帖3のRFIDチップ31を検知し、当該RFIDチップに書き込むべきデータをRFIDアンテナ17を介して非接触通信により当該RFIDチップ31に送信する。一方、スタンプ帖3のRFIDチップ31は、スタンプ装置1から送信されたデータを複数のページを透過して受信しメモリに書き込むようになっている。 【0045】 なお、上記「書き込むべきデータ」には、例えば、スタンプ装置1のROM等の所定の記憶領域に予め記憶されている拠点データ(拠点の通過履歴を構成するデータ)と、スタンプ装置1の計時機能により計時された時刻(当該データが書き込まれる際の時刻)を示す時刻データ(例えば、年月日時を示すタイムスタンプ)が少なくとも含まれる。」 「【0048】 次に、利用者Uがスタンプ装置1をスタンプ台2から持ち上げると、R/W通信スイッチ18はONになり、スタンプ装置1は、これに応じてRFIDチップのUID取得コマンドを発行(これは定期的に行われる)し、RFIDアンテナ17を介して出力する。そして、スタンプ装置1は、RFIDチップ31からのUIDの取得成功(C)により、当該RFIDチップ31を検知する。 【0049】 次に、スタンプ装置1は、RFIDチップ31のメモリに書き込まれている拠点データ(未だ書き込まれていない場合は、例えばNULLデータ)を、非接触通信により当該RFIDチップ31から取得し(読み込み)、自己の拠点データがRFIDチップ31に既に書き込まれているか否かを判別する。そして、当該拠点データが既に書き込まれていない場合には(つまり、当該スタンプ装置1に記憶されている拠点データが、RFIDチップ31から取得されたデータに含まれていない場合にのみ)、スタンプ装置1は、自己の拠点の通過履歴及びタイムスタンプを有するデータを非接触通信で当該RFIDチップ31に送信することにより当該RFIDチップ31のメモリに書き込ませる(D)。」 「【0055】 この応用例の場合、RFIDチップ31には、予め上述したUIDが記憶されているが、さらに、例えばスタンプ帖発行(スタンプラリー開始)時に、スタンプR/W設定機により図5(A)に示す初期設定情報が書き込まれる。ここで、品目IDは、品目(例えば、イベント)毎に固有の識別情報である。また、スタンプ帖発行日時は、例えば、スタンプラリー開始日(基準日の一例)時である。また、認証コードは、例えば、UIDと品目IDに基づきHMAC(Keyed-Hashing for Message Authentication code)により算出される。HMACは、MAC(Message Authentication Code)の一つで、ハッシュ関数を使って秘密鍵と組み合わせて計算するものであり、以下の(1)式のように定義される。」 「【0058】 このような初期設定により、図6(A)に示すように、UID,品目ID,認証コード,スタンプラリー開始日時がRFIDチップ31に記憶されることになる。また、利用者Uが各拠点を回りスタンプ帖3にスタンプを押印することにより、RFIDチップ31には、拠点の通過履歴(拠点データ)及びタイムスタンプに加え、正常終了“1”/エラー終了“0”の別が記憶される。なお、正常終了又はエラー終了の書き込みは、後述する図7に示す処理で行われる。また、抽選回数は、利用者Uが景品交換所で抽選を行った回数を示しており、後述する処理端末6によりRFIDチップ31に書き込まれる。」 「【0060】 そして、図7に示す処理は、スタンプ装置1がRFIDチップ31を検知することで開始される(図4(C))。当該処理が開始されると、スタンプ装置1は、RFIDチップ31のメモリに書き込まれているUID、品目ID、認証コード、スタンプラリー開始日時、獲得スタンプ情報(拠点の通過履歴、タイムスタンプ、正常終了/エラー終了の別)、及び抽選回数等の情報を、非接触通信により当該RFIDチップ31から読み取る(ステップS1)。」 「【0064】 一方、ステップS6では、スタンプ装置1は、上記読み取った品目IDと、初期設定情報として不揮発性メモリに記憶されていた品目IDと、とが一致しているか否かを判別し、一致していない場合には(ステップS6:NO)、ステップS7に進み、一致している場合には(ステップS6:YES)、ステップS10に進む。 【0065】 ステップS7では、スタンプ装置1は、再利用可否が可に設定されているか否かを判別し、再利用可否が否に設定されている場合には(ステップS7:NO)、エラー終了の処理を行う(ステップS8)。一方、再利用可否が可に設定されている場合には(ステップS7:YES)、スタンプ装置1は、RFIDチップ31に書き込まれているデータ部分をリセット(つまり、スタンプラリー開始日時、獲得スタンプ情報、及び抽選回数を消去)し(ステップS9)、ステップS10に進む。再利用可の場合、一度利用されたRFIDチップも、後日、例えば別のスタンプラリーのイベント(例えば、RFIDチップが埋め込まれた会員カードを利用して定期的にスタンプラリーを行うときなど)で再利用できる。」 「【0067】 ステップS12の処理は同一拠点重複可否が否に設定されている場合に行われ、スタンプ装置1は、自己の拠点データがRFIDチップ31に既に書き込まれているか否かを上記読み取った獲得スタンプ情報から判別し(同一拠点重複可否が可に設定されている場合は、そのままステップS15に進む)、当該拠点データが既に書き込まれていない場合には(ステップS12:NO)、ステップS15に進み、当該拠点データが既に書き込まれている場合(重複している)には(ステップS12:YES)、ステップS13に進む。 【0068】 ステップS13では、スタンプ装置1は、一定時間内で前回処理と同一のRFIDチップであるか否かを上記読み取ったUIDから判別する。この処理は、スタンプ(印影)が綺麗に押印されない場合、何度もスタンプを押しなおす利用者がいることを考慮し、一定時間(例えば、3分)内で前回処理と同一のRFIDチップである場合は、エラー終了にしないものである。」 「【0076】 更に、当該エラー終了の処理において、スタンプ帖3の印面にスタンプが押印されると同時に、図8に示すように、当該印面にエラーマークが押印されるように構成すれば効果的である。」 「【0080】 また、別の例として、上記エラー終了の処理において、印面にエラーマークが押印されるのではなく、スタンプ帖3の印面にスタンプさえも押印されないように構成しても効果的である。」 ウ 甲第4号証、甲第5号証(周知技術の周知例) 甲第4号証及び甲第5号証には、電極を有するスタンプ及び電極を有するスタンプを用いて認証や情報処理を実行するシステムの例が記載されている。 また、甲第4号証には、次の記載がある。 「【0108】 (g)前記実施形態では電子印鑑の押圧面は無印の平坦面であったが、印影がプリントされていてもよいし、朱肉を用いて通常の印鑑としても機能する印影が刻印されていてもよい。」 (3)本件特許発明1についての当審の判断 ア 対比 本件特許発明1と甲2発明A’とを対比する。 甲2発明A’の「複数の導電物質」及び「導電式印章」は、それぞれ本件特許発明1の「複数の電極」及び「複数の電極を有するスタンプ」に相当し、甲2発明A’の「静電容量方式のタッチパネル」及び「静電容量方式のタッチパネルを具備した機器」は、それぞれ本件特許発明1の「入力画面」及び「ユーザ端末」に相当し、甲2発明A’の「導電物質の配置個所」は、本件特許発明の「押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を示す」ものである「配列の情報」といえる点で共通する。 また、甲2発明A’の「スタンプラリー」及び「特定の場所」は、それぞれ本件特許発明1の「スタンプラリー」及び「チェックポイント」に相当し、甲2発明A’の「導電式印章の識別コード」のうち「サーバーに登録された識別コード」は、上記配列の情報と対応付けられて前記チェックポイントスタンプラリーのチェックポイントを示すものとしてこれに対応付けられた情報であるといえ、このような情報である点で、本件特許発明1の「前記配列情報と対応付けられた前記チェックポイントに関する情報」と共通するといえる。そして、甲2発明A’のスタンプラリーは、スタンプを押した場所等の結果をサーバー側に保存することが可能であることから、本件特許発明1と甲2発明A’とは、いずれも、複数の電極を有するスタンプによる、入力画面への押印によって、サーバがチェックポイントへのユーザの到着を検出する点で共通するといえる。 そして、甲2発明A’のサーバとユーザ端末(静電容量方式のタッチパネルを具備した機器)との通信の際、ユーザ端末から自身を示す情報としてサーバに送信される情報は、甲2に明示されていないものの自明な構成であり、これが、本件特許発明1のユーザ端末を利用するユーザを示すものであり、本件特許発明1の「ユーザを識別する情報」に相当するといえる。 これらを踏まえれば、本件特許発明1と甲2発明A’との一致点及び相違点は、次のとおりであるといえる。 <一致点> 複数の電極を有するスタンプによる、ユーザ端末の入力画面への押印によって、サーバがチェックポイントへのユーザの到着を検出するスタンプラリーに用いられるシステムであって、 前記ユーザ端末は、 前記入力画面において、複数の前記電極の接触を受け付ける手段と、 押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出する手段と、 前記サーバに向けて、前記配列の情報、前記ユーザを識別する情報を送信する手段と、を備え、 前記サーバは、 前記配列の情報と対応付けられた前記チェックポイントに関する情報を特定する手段と、 特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力する手段と、を備えた、 システム。 <相違点> (相違点1) 本件特許発明1の「押印」がなされる「入力画面」は「ユーザ端末に表示されたチェックポイントに関する」ものであるのに対し、甲2発明A’の「押印」は「ユーザ端末」ではあるものの「ユーザ端末に表示されたチェックポイントに関する」ものでない点 (相違点2) 本件特許発明1の「スタンプラリー」は、ユーザが到着する「チェックポイント」が「複数」のものであり、サーバに「複数」の「チェックポイントに関する情報」が「予め記憶」されているのに対し、甲2発明A’の「スタンプラリー」は、スタンプを押した場所やスタンプ数はあるものの、ユーザが到着する「チェックポイント」が「複数」のものか否か明らかでない点 (相違点3) 本件特許発明1のユーザ端末は、「押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出」して「前記電極の配列を示す配列情報を認識する」のに対し、甲2発明A’のユーザ端末は、導電物質の配置個所を読み取ることにより導電式印章データの読み込みを行うものの、「前記電極の配列を示す配列情報を認識する」処理を行わない点 (相違点4) サーバに向けて電極の配列として送信する「配列の情報」が、本件特許発明1は「前記配列情報」すなわち、「押印された前記スタンプにおける複数の前記電極の配列を検出し、前記電極の配列を示す配列情報を認識」した「配列情報」であるのに対し、甲2発明A’は、「タッチした点の位置」を示す「導電式印章データ」である点 (相違点5) 本件特許発明1は、サーバに向けて「スタンプラリーを識別する情報」を送信し、サーバの「前記ユーザ端末に出力する手段」が配列の情報から「特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない」のに対し、甲2発明A’は、サーバに向けて「スタンプラリーを識別する情報」を送信せず、したがって、サーバにて配列の情報から「特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない」という処理をしない点 イ 相違点の判断 事案に鑑み、相違点5(申立理由における相違点1と相違点2を併せたものに相当する相違点)について検討する。 甲第3号証には、上記(2)イの記載があり、この記載によれば、スタンプ装置とRFIDチップを有するスタンプ帖を備え、このRFIDチップに、固有のUIDとスタンプラリーのイベント毎に固有の識別情報である品目IDが予め記憶されており、スタンプ装置は、このRFIDチップからUIDと品目IDを読み取るものが記載されているといえる。 しかし、そもそも、甲第3号証のスタンプ帖は、甲第3号証の品目IDが本件特許発明1の「スタンプラリーを識別する情報」に対応するものであるとしても、チェックポイントにおいてスタンプ装置が読み取った品目IDをサーバに送信するものでなく、さらに、スタンプ装置1が読み取った品目ID初期設定情報として不揮発性メモリに記憶されていた品目IDが一致していない場合、スタンプ装置においてRFIDチップを有するスタンプ帖の再利用の可否を判定して、再利用が否の場合はエラー処理を行い、再利用が可の場合はRFIDのデータをリセットして、スタンプラリー開始日時、獲得スタンプ情報等を消去するものとなっており、つまり、サーバによらずにエラー処理やRFIDのデータのリセットを行うものであって、サーバによってチェックポイントへのユーザの到着を示す情報をサーバがユーザ端末に出力しないようにするものでないから、甲2発明A’に甲第3号証記載の技術を適用しても、相違点5に係る本件特許発明1の構成である、サーバに向けて「スタンプラリーを識別する情報」を送信し、さらに、サーバの「前記ユーザ端末に出力する手段」が「前記配列情報から特定された前記チェックポイントが、前記ユーザ端末から送信された前記スタンプラリーを識別する情報と対応しない場合に、特定された前記チェックポイントへの前記ユーザの到着を示す情報を、前記ユーザ端末に出力しない」構成に想到することはない。 さらに、甲第4号証及び甲第5号証は、そもそもスタンプラリーについて開示する文献でなく、相違点5に係る本件特許発明1の構成を開示するものでない。 よって、申立人が示した甲3号証~甲第5号証によって相違点5が容易想到であるということはできない。 ウ 小括 以上によれば、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件特許発明2~4についての当審の判断 本件特許発明2~4は、請求項1を直接あるいは間接的に被引用請求項とする請求項2~請求項4に係る発明であり、いずれも、甲2発明A’と対比すると、上記(3)アの相違点1~相違点5の点で甲2発明A’と相違する。 そして、これらの相違点のうち、相違点5については、上記(3)イに示したとおり、申立人が示した甲3号証~甲第5号証によって容易想到であるということはできないから、本件特許発明2~4は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件特許発明5についての当審の判断 ア 対比 本件特許発明5と甲2発明B’とを対比する。 甲2発明B’の「複数の導電物質」及び「導電式印章」は、それぞれ本件特許発明5の「複数の電極」及び「複数の電極を有するスタンプ」に相当し、甲2発明B’の「静電容量方式のタッチパネル」及び「静電容量方式のタッチパネルを具備した機器」は、それぞれ本件特許発明5の「入力画面」及び「ユーザ端末」に相当し、甲2発明B’の「導電物質の配置個所」は、本件特許発明の「配列情報」に相当する。 また、甲2発明B’の「スタンプラリー」及び「特定の場所」は、それぞれ本件特許発明5の「スタンプラリー」及び「チェックポイント」に相当し、甲2発明B’のスタンプラリーは、スタンプを押した場所等の結果をサーバー側に保存することが可能であることから、本件特許発明5と甲2発明B’とは、いずれも、入力画面へのスタンプの押印により、前記チェックポイントへのユーザの到着を記録するサーバ、を備えたスタンプラリーシステムに用いられるスタンプである点で共通するといえる。 これらを踏まえれば、本件特許発明5と甲2発明B’との一致点及び相違点は、次のとおりであるといえる。 <一致点> 入力画面を表示するユーザ端末と、 前記入力画面へのスタンプの押印により、チェックポイントへのユーザの到着を記録するサーバと、を備えたスタンプラリーシステムに用いられる前記スタンプであって、 複数の電極が設けられた押印面を有する、 スタンプ。 (相違点1’) 本件特許発明5では、入力画面が「チェックポイントに関する」ものであるのに対し、甲2発明B’では、「チェックポイントに関する」ものでない点 (相違点2'') 本件特許発明5では、スタンプの「押印面」に「前記電極の配列情報に対応して、前記サーバに記憶され、前記スタンプが前記入力画面に押印された際に、前記ユーザ端末に表示される画像」が「描画されている」のに対し、甲2発明B’では、スタンプの「押印面」に、何らかの画像が描画されている旨が特定されていない点 イ 相違点の判断 相違点1’’と相違点2’’は関連するので、併せて判断する。 本件特許発明5では、スタンプの押印面に「チェックポイントに関する」入力画面を示すとともに、スタンプの押印面に「前記電極の配列情報」に対応する画像を描画することで、「スタンプ」を「ユーザ端末(携帯端末)」に接触させたときに「あたかも描画した画像が携帯端末上に押印されたように見せることができ」(本件明細書段落【0019】)、スタンプラリーにおいて「参加者にゴールまでの達成度を直感的に理解し易く提示」する(本件明細書段落【0049】)ものであるといえる。 これに対し、上記(2)ウのとおり、甲第4号証には、電子印鑑の押圧面に「印影」が「プリント」されていたり「朱肉を用いて通常の印鑑としても機能する印影」が「刻印」されていてもよい旨が記載されているところ、甲第4号証は、そもそもスタンプラリーに関するものでなく、甲第4号証に記載された「印影」は、チェックポイントに関する入力画面への押印によってチェックポイントへのユーザの到着を示すものとして表示される画像でなく、電子印鑑により押印する者による押印がなされたことを示す印影に過ぎず、チェックポイントへのユーザの到着やスタンプラリーにおける参加者のゴールまでの達成度の理解とも関係するといえないものである。さらには、ここでいう「印影」は、それが刻印されることで「通常印鑑として機能」することから、印影そのものではなく印影の鏡像画像のことであることが明らかであり、その点からも「前記スタンプが前記入力画面に押印された際に、前記ユーザ端末に表示される画像」とはいえないものである。 してみると、甲第4号証の記載は、相違点1’’及び相違点2’’について容易想到であるとするための技術を開示するものとはいえない。甲第3号証及び甲第5号証もこのような技術を開示するものでないことが明らかである。 よって、相違点1’’及び相違点2’’について容易想到であるとはいえない。 ウ 小括 以上によれば、本件特許発明5は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件特許発明6、7についての当審の判断 本件特許発明6及び本件特許発明7は、システム発明である本件特許発明1に対応する方法発明及びプログラム発明であり、甲2発明A’と対比すると、上記(3)アの相違点1~相違点5に対応する点で甲2発明A’と相違する。 そして、これらの相違点のうち、相違点5に対応する相違点については、上記(3)イに示したとおり、申立人が示した甲3号証~甲第5号証によって容易想到であるということはできないから、本件特許発明6及び本件特許発明7は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証~甲第5号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)まとめ 以上のとおり、請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでなく、特許異議申立理由は、理由がない。 6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700541

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