特許異議申立
2023-700532
関節運動型電気手術用具
- 審判番号
- 2023-700532
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-539236
- 登録番号
- 7179737
- 請求日
- 2023年05月23日
- 審決日
- 2024年03月28日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】エシコン エルエルシー
- 【権利者代理人】加藤 公延
- 【権利者代理人】押野 宏
- 【権利者代理人】永田 豊
- 【権利者代理人】大島 孝文
- 【権利者代理人】福川 晋矢
- 【権利者代理人】太田 司
- 【異議申立人】川嶋 健太
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 栗山 卓也
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P1652.121-YAA(A61B) / P1652.537-YAA(A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7179737号発明「関節運動型電気手術用具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7179737号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7~12〕、6について訂正することを認める。
特許第7179737号の請求項1、4、5、7~12に係る特許を維持する。
特許第7179737号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7179737号(以下「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2018年(平成30年) 1月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年 1月20日 US(アメリカ合衆国))を国際出願日とする出願であって、令和 4年11月18日にその特許権の設定登録がされ、同年11月29日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 5年 5月23日 :特許異議申立人川嶋健太(以下「申立人」と
いう。)による請求項1、2、4、5及び7
~12に係る特許に対する特許異議の申立て
同 年 8月24日付け:取消理由通知
同 年11月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和 5年11月20日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1の対の関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」、「前記第2の対の関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」と記載されているのを、それぞれ、
「前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」、「前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4、5、7~12も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「第2の対の関節運動ケーブルと、を備える」と記載されているのを、
「第2の対の関節運動ケーブルと、
前記細長いシャフトと前記連鎖部との間の近位継手に配置されたケーブル管理ガイドであって、前記ケーブル管理ガイドは、一対の対向するプレートを含み、前記プレートは、前記エンドエフェクタの関節運動中の前記第1の対および第2の対の関節運動ケーブルの緩みを収容するように構成されている、ケーブル管理ガイドと、を備える」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4、5、7~12も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に
「前記切断要素ケーブルが、前記エンドエフェクタの遠位端でプーリーに動作可能に結合されている、請求項4に記載の装置。」と記載されているのを、
「 外科用装置であって、
細長いシャフトと、
組織に係合し、前記組織にエネルギーを適用するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記細長いシャフトの長手方向軸に対してある角度の、第1の平面に沿った関節運動と、前記第1の平面を横断する第2の平面に沿った関節運動とを、選択的に行うように構成されている、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの近位端と前記細長いシャフトの遠位端との間に位置する連鎖部と、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第1の対の関節運動ケーブルであって、前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記連鎖部の枢動を生じさせ、かつそれによって前記第1の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記連鎖部が、前記第1の平面に沿った前記細長いシャフトに対する枢動に制限されている、第1の対の関節運動ケーブルと、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第2の対の関節運動ケーブルであって、前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記第2の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記エンドエフェクタが、前記第2の平面に沿った前記連鎖部に対する枢動に制限されている、第2の対の関節運動ケーブルと、
前記エンドエフェクタによって係合された組織を切断するために、前記エンドエフェクタに沿って長手方向に移動するように構成された切断要素と、
前記連鎖部に沿って延在し、作動されて前記切断要素の移動を生じさせるように構成された切断要素ケーブルと、を備え、
前記切断要素ケーブルが、前記エンドエフェクタの遠位端でプーリーに動作可能に結合されている、外科用装置。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に
「前記閉鎖ケーブルが、遠位方向に押されて前記エンドエフェクタの前記開放及び前記エンドエフェクタの前記閉鎖を生じさせるように構成されている」と記載されているのを、
「前記閉鎖ケーブルが、遠位方向に押されて前記エンドエフェクタの前記開放を生じさせ、近位方向に引かれて前記エンドエフェクタの前記閉鎖を生じさせるように構成されている」に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1~12について、請求項2~12は、本件訂正により訂正される請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1~12について請求されている。
また、訂正後の請求項6については、特許権者は、本件訂正が認められるときには、請求項〔1~5、7~12〕とは別の訂正単位とすることを求めている。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブル」との記載により、「選択的に作動される」のが「前記第1の対の関節運動ケーブル」を構成する2本の関節運動ケーブルのいずれかであることを明確にし、かつ、「前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブル」との記載により、「選択的に作動される」のが「前記第2の対の関節運動ケーブル」を構成する2本の関節運動ケーブルのいずれかであることを明確にする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、発明の詳細な説明の【0042】及び【0060】に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、請求項1を訂正前の請求項3の発明特定事項で限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載に基づくものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項2は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。
(3)訂正事項3、4について
ア 訂正の目的
訂正事項3、4は、それぞれ請求項2、3を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3、4は、それぞれ請求項2、3を削除するものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項3、4は、それぞれ請求項2、3を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。
(4)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1を引用する請求項4を引用するものであるところ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるとともに、「前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブル」との記載により、「選択的に作動される」のが「前記第1の対の関節運動ケーブル」を構成する2本の関節運動ケーブルのいずれかであることを明確にし、かつ、「前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブル」との記載により、「選択的に作動される」のが「前記第2の対の関節運動ケーブル」を構成する2本の関節運動ケーブルのいずれかであることを明確にする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5は、訂正前の請求項1、4の記載並びに発明の詳細な説明の【0042】及び【0060】に基づくものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項5は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。
(5)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、請求項8について、閉鎖ケーブルの、「遠位方向に押され」る作動が「前記エンドエフェクタの前記開放を生じさせ」ることに対応し、「近位方向に引かれ」る作動が「前記エンドエフェクタの前記閉鎖を生じさせ」ることに対応することを明らかにする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項6は、発明の詳細な説明の【0048】に基づくものであるから、本願明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項6は、上記アのとおりであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第6項に適合する。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、7~12〕、6について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記のとおり、本件訂正が認められたから、本件特許の請求項1~12に係る発明(以下「本件発明1~12」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
外科用装置であって、
細長いシャフトと、
組織に係合し、前記組織にエネルギーを適用するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記細長いシャフトの長手方向軸に対してある角度の、第1の平面に沿った関節運動と、前記第1の平面を横断する第2の平面に沿った関節運動とを、選択的に行うように構成されている、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの近位端と前記細長いシャフトの遠位端との間に位置する連鎖部と、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第1の対の関節運動ケーブルであって、前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記連鎖部の枢動を生じさせ、かつそれによって前記第1の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記連鎖部が、前記第1の平面に沿った前記細長いシャフトに対する枢動に制限されている、第1の対の関節運動ケーブルと、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第2の対の関節運動ケーブルであって、前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記第2の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記エンドエフェクタが、前記第2の平面に沿った前記連鎖部に対する枢動に制限されている、第2の対の関節運動ケーブルと、
前記細長いシャフトと前記連鎖部との間の近位継手に配置されたケーブル管理ガイドであって、前記ケーブル管理ガイドは、一対の対向するプレートを含み、前記プレートは、前記エンドエフェクタの関節運動中の前記第1の対および第2の対の関節運動ケーブルの緩みを収容するように構成されている、ケーブル管理ガイドと、を備える、外科用装置。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記エンドエフェクタによって係合された組織を切断するために、前記エンドエフェクタに沿って長手方向に移動するように構成された切断要素と、
前記連鎖部に沿って延在し、作動されて前記切断要素の移動を生じさせるように構成された切断要素ケーブルと、を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記切断要素ケーブルが、遠位方向に押されて前記切断要素の移動を生じさせるように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
外科用装置であって、
細長いシャフトと、
組織に係合し、前記組織にエネルギーを適用するように構成されたエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、前記細長いシャフトの長手方向軸に対してある角度の、第1の平面に沿った関節運動と、前記第1の平面を横断する第2の平面に沿った関節運動とを、選択的に行うように構成されている、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの近位端と前記細長いシャフトの遠位端との間に位置する連鎖部と、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第1の対の関節運動ケーブルであって、前記第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記連鎖部の枢動を生じさせ、かつそれによって前記第1の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記連鎖部が、前記第1の平面に沿った前記細長いシャフトに対する枢動に制限されている、第1の対の関節運動ケーブルと、
各々が前記連鎖部を横切って延在し、遠位端が前記エンドエフェクタに固定的に結合されている第2の対の関節運動ケーブルであって、前記第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが、選択的に作動されて、前記第2の平面に沿って前記エンドエフェクタの前記関節運動を生じさせるように構成されており、前記エンドエフェクタが、前記第2の平面に沿った前記連鎖部に対する枢動に制限されている、第2の対の関節運動ケーブルと、
前記エンドエフェクタによって係合された組織を切断するために、前記エンドエフェクタに沿って長手方向に移動するように構成された切断要素と、
前記連鎖部に沿って延在し、作動されて前記切断要素の移動を生じさせるように構成された切断要素ケーブルと、を備え、
前記切断要素ケーブルが、前記エンドエフェクタの遠位端でプーリーに動作可能に結合されている、外科用装置。
【請求項7】
前記連鎖部に沿って延在し、作動されて前記エンドエフェクタの開放及び前記エンドエフェクタの閉鎖を選択的に生じさせるように構成された閉鎖ケーブルを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記閉鎖ケーブルが、遠位方向に押されて前記エンドエフェクタの前記開放を生じさせ、近位方向に引かれて前記エンドエフェクタの前記閉鎖を生じさせるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記閉鎖ケーブルが、前記細長いシャフトの長手方向軸と同軸状に延在する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記閉鎖ケーブルが、前記細長いシャフトの長手方向軸の周りに半径方向に配列された一対のケーブルを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記エンドエフェクタによって係合された組織を切断するために、前記エンドエフェクタに沿って長手方向に移動するように構成された切断要素と、
前記連鎖部に沿って延在し、作動されて前記切断要素の移動を生じさせるように構成された切断要素ケーブルと、を更に備える、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の対および第2の対の関節運動ケーブルの前記作動が、ロボット手術システムによって制御されるように構成されている、請求項1に記載の装置。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由通知の概要
当審が令和 5年 8月24日付けで特許権者に通知した、令和 5年11月20日付けの訂正請求に係る訂正前の請求項1~12に対する取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(進歩性)
請求項1、2、4、5、7~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~6号証の記載事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1、2、4、5、7~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2(明確性)
請求項1に係る発明及び当該請求項1の記載を引用する請求項2~12に係る発明は、請求項1の「前記第1の対の関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」との記載が意味するものが、第1の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが選択的に作動されるのか、あるいは、第1の対の関節運動ケーブル及び第2の対の関節運動ケーブルのうちの第1の対の関節運動ケーブルが選択的に作動されるのか、明確でなく、同様に、同「前記第2の対の関節運動ケーブルが、選択的に作動されて」との記載が意味するものが、第2の対の関節運動ケーブルのうちのいずれかの関節運動ケーブルが選択的に作動されるのか、あるいは、第1の対の関節運動ケーブル及び第2の対の関節運動ケーブルのうちの第2の対の関節運動ケーブルが選択的に作動されるのか、明確でないから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
[証拠方法]
甲第1号証:米国特許第2015/0202013号明細書
甲第2号証:米国特許第2003/0135204号明細書
甲第3号証:特表2014-513570号公報
甲第4号証:特表2013-514861号公報
甲第5号証:国際公開第2015/127250号
甲第6号証:特表2013-543393号公報
第5 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由についての判断
(1)取消理由1(進歩性)
本件訂正により、訂正前の請求項2は削除され、本件発明1、4、5、7~12は、取消理由を通知していない訂正前の請求項3の発明特定事項をすべて含むものであるから、取消理由1は解消した。
(2)取消理由2(明確性)
本件訂正により、訂正前の請求項1~12に係る特許に対する明確性の取消理由2は解消した。
よって、本件発明1、4、5、7~12は、取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことはできない。
2 取消理由に採用しなかった異議申立理由について
(1)取消理由に採用しなかった異議申立理由は、次のとおりである。
ア 異議申立理由1(新規性)
請求項1、7、10、12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、また、請求項1、7~10、12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、当該請求項1、7~10、12に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 異議申立理由2(進歩性)
請求項1、2、4、5、7~12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と、甲第3~6号証に記載された周知技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、当該請求項1、2、4、5、7~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ウ 異議申立理由3(サポート要件)
請求項8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない請求項に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(2)取消理由に採用しなかった異議申立理由について
ア 異議申立理由1(新規性)及び異議申立理由2(進歩性)
本件訂正により、本件特許の請求項1、4、5、7~12に係る発明は、異議申立理由を申し立てられていない訂正前の請求項3の発明特定事項をすべて含むものとなったから、本件訂正後の請求項1、4、5、7~12に係る特許はいずれも異議申立理由を有していない。
したがって、取消理由に採用しなかった異議申立理由1及び2が、本件特許の請求項1、4、5、7~12に係る発明に妥当しないことは明らかである。
イ 異議申立理由3(サポート要件)
請求項8に係る発明は、本件訂正によりサポート要件を満たすものとなったから、本件発明8は異議申立理由を有していない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1、4、5、7~12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、4、5、7~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正前の請求項2は本件訂正により削除されたため、請求項2についての特許異議の申立ては、不適法なものであり、その補正をすることができないから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700532