特許異議申立
2023-700355
脈波測定装置および脈波測定プログラム
- 審判番号
- 2023-700355
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-029880
- 登録番号
- 7155041
- 請求日
- 2023年04月10日
- 審決日
- 2024年05月29日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日本光電工業株式会社
- 【権利者代理人】IBC一番町弁理士法人
- 【異議申立人】田中 貞嗣
- 【異議申立人】小山 卓志
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 三崎 仁
- 審判官 松本 隆彦
- 分類
- P1651.113-YAA(A61B) / P1651.121-YAA(A61B) / P1651.537-YAA(A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7155041号発明「脈波測定装置および脈波測定プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7155041号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、11、12、13、14について訂正することを認める。
特許第7155041号の請求項1ないし3、6ないし13に係る特許を維持する。
特許第7155041号の請求項4、5、14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7155041号の請求項1~14に係る特許についての出願は、平成31年2月21日の出願であって、令和4年10月7日にその特許権の設定登録がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行されたものである。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 4月10日 :特許異議申立人 田中貞嗣、小山卓志(以下両人を「申立人」という。)による請求項1~14に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 7月12日付け:取消理由通知書
同年 9月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月 5日 :特許権者による意見書及び訂正請求書に対する手続補正書の提出
同年11月13日 :申立人による意見書の提出
同年12月11日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 2月 8日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 3月25日 :特許権者による訂正請求書に対する手続補正書の提出
同年 4月22日 :申立人による意見書の提出
なお、特許権者から令和5年10月5日及び令和6年3月25日に手続補正書が提出されているが、前者は令和5年9月11日に提出された意見書及び訂正請求書における特許権者の住所を変更するための補正であり、後者は令和6年2月8日に提出された訂正請求書における方式上の不備を解消するためのものである。
そして、令和5年9月11日に提出された訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなすから、令和6年3月25日提出の手続補正書によって補正された訂正請求書を以下「本件訂正請求書」といい、それによる訂正を単に「訂正」という。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求書による請求の趣旨は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕、11、12、13、14について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。
なお、以下(1)~(29)において、「訂正事項○-」又は「訂正事項○」における○は、請求項の数字を示す。
(1)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。なお、下線は訂正箇所を示す(以下同様)。
(2)訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1に「前記生体の状態」とあるのを、「、推定された前記生体の状態」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(3)訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1に「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」とあるのを、「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(4)訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項1に「前記出力部は、」とあるのを、「前記出力部は、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(5)訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項2に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(6)訂正事項2-2
特許請求の範囲の請求項2に「前記生体の睡眠状態」とあるのを、「推定された前記生体の睡眠状態」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(7)訂正事項2-3
特許請求の範囲の請求項2に「前記出力部は、」とあるのを、「前記出力部は、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(8)訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項3に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(9)訂正事項3-2
特許請求の範囲の請求項3に「前記生体の睡眠状態」とあるのを、「推定された前記生体の睡眠状態」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(10)訂正事項3-3
特許請求の範囲の請求項3に「異なる色または濃淡で出力する」とあるのを、「覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~10についても同様に訂正する。)。
(11)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(12)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(13)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項」とあるのを、「請求項1~3のいずれか1項」に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~9についても同様に訂正する。)。
(14)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項」とあるのを、「請求項1~3、6のいずれか1項」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8、9についても同様に訂正する。)。
(15)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に「前記生体の前記生体情報の収集に合せて収集した前記生体の動体情報を取得する取得部と、前記動体情報に基づいて、前記生体の状態を推定する状態推定部と、をさらに有する」とあるのを、「前記生体の前記生体情報の収集に合せて収集した前記生体の動体情報を取得する取得部をさらに有する」に訂正する。
(16)訂正事項11-1
特許請求の範囲の請求項11に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(d)」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)」に訂正する。
(17)訂正事項11-2
特許請求の範囲の請求項11に「出力する手順(d)」とあるのを、全て「出力する手順(e)」に訂正する。
(18)訂正事項11-3
特許請求の範囲の請求項11に「前記生体の状態」とあるのを、「、推定された前記生体の状態」に訂正する。
(19)訂正事項11-4
特許請求の範囲の請求項11に「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」とあるのを、「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて」に訂正する。
(20)訂正事項11-5
特許請求の範囲の請求項11に「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(d)であって、」とあるのを、「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)であって、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、」に訂正する。
(21)訂正事項12-1
特許請求の範囲の請求項12に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(d)」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)」に訂正する。
(22)訂正事項12-2
特許請求の範囲の請求項12に「出力する手順(d)」及び「切り替える手順(d)」とあるのを、「出力する手順(e)」及び「切り替える手順(e)」に訂正する。
(23)訂正事項12-3
特許請求の範囲の請求項12に「前記生体の睡眠状態」とあるのを、「、推定された前記生体の睡眠状態」に訂正する。
(24)訂正事項12-4
特許請求の範囲の請求項12に「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(d)であって、」とあるのを、「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)であって、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、」に訂正する。
(25)訂正事項13-1
特許請求の範囲の請求項13に「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(d)」とあるのを、「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)」に訂正する。
(26)訂正事項13-2
特許請求の範囲の請求項13に「出力する手順(d)」とあるのを、全て「出力する手順(e)」に訂正する。
(27)訂正事項13-3
特許請求の範囲の請求項13に「前記生体の睡眠状態」とあるのを、「推定された前記生体の睡眠状態」に訂正する。
(28)訂正事項13-4
特許請求の範囲の請求項13に「異なる色または濃淡で出力する」とあるのを、「覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」に訂正する。
(29)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14を削除する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
(1)訂正事項1-1、2-1、3-1、11-1、12-1、13-1について
ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-1、2-1及び3-1は、脈波測定装置を「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する状態推定部」を有する装置に限定するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、脈波測定装置を「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する状態推定部」を有する装置に限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項11-1、12-1及び13-1は、脈波測定プログラムに「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する手順(d)」を直列的に追加して限定するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、脈波測定プログラムに「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する手順(d)」を直列的に追加して限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 新規事項の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0067】及び【0068】に「状態表示領域330は、脈波測定装置130により自動的に生成することができる。取得部205は、被検者10の生体情報の収集に合せて収集した動体情報をHDD134から取得する。状態推定部206は、被検者10の動体情報に基づいて、生体情報の収集時における被検者10の状態を推定する。状態推定部206は、例えば、動体情報として、被検者10から検出された加速度の大きさ、方向、検出の継続時間等に応じて、被検者10が睡眠状態であるか、あるいは覚醒状態であるかを判断する。」と記載され、ここで「被検者」は【0014】の「被検者(生体)」によれば「生体」であるから、訂正事項1-1、2-1及び3-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
さらに、本件特許明細書等の【0013】には「図1は、一実施形態に係る脈波測定システム100のハードウェア構成を例示するブロック図である。また、図2は、図1に示すCPU131が脈波測定プログラムを実行することにより実現される脈波測定装置130の主要な機能を例示する機能ブロック図である。」と記載されているとおり、「生体の状態を推定する状態推定部」を有する脈波測定装置は、脈波測定プログラムとして「生体の状態を推定する手順(d)」を実行することができることから、訂正事項11-1、12-1及び13-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項1-2、2-2、3-2、11-3、12-3、13-3について
訂正事項1-2、2-2、3-2、11-3、12-3及び13-3は、生体の状態又は睡眠状態を「推定された」ものに限定するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、生体の状態又は睡眠状態を「推定された」ものに限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。さらに、上記(1)イで述べたように、本件特許明細書等には「推定された」生体の状態又は睡眠状態が記載されていることから、訂正事項1-2、2-2、3-2、11-3、12-3及び13-3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)訂正事項1-3、11-4について
訂正事項1-3及び11-4は、「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれか」の3とおりある場合を「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報」の1とおりに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、このように、3とおりある場合を1とおりに限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(4)訂正事項4、5、14について
訂正事項4、5及び14は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(5)訂正事項6、7について
訂正事項6及び7は、訂正事項4及び5により請求項4及び5が削除され、請求項4及び5が存在しないものとなったことにより、引用する請求項から請求項4及び5を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(6)訂正事項10について
訂正事項10は、請求項10が引用する請求項1~3において「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部」が追加されたことにより、請求項10から「前記動体情報に基づいて、前記生体の状態を推定する状態推定部」を削除して記載を整えたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(7)訂正事項11-2、12-2、13-2について
訂正事項11-2、12-2及び13-2は、「・・・解析を行う手順(c)」の後に「前記生体の状態を推定する手順」が「手順(d)」として直列的に追加されたことにより、訂正前の「手順(d)」が繰り下がり「手順(e)」に訂正されるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(8)訂正事項1-4、2-3、11-5、12-4について
ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-4、2-3、11-5及び12-4は、出力部又は出力する手順において「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」することを限定するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、出力部又は出力する手順において「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」することを限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 新規事項の有無
本件特許明細書等の【0057】及び【0058】に「このように、脈波ローレンツプロット320を用いて、脈波間隔の変動を表示することにより、医師は、被検者10に心疾患の疑いがあるか否かを容易に切り分けることができる。したがって、心疾患の潜在的な患者に対して早期の心電図検査を促すことができる。また、覚醒時の脈波ローレンツプロット322と睡眠時の脈波ローレンツプロット323とが別々に出力されるので、医師が、覚醒/睡眠と、心疾患との関連性を把握する上で有効である。」と記載され、脈波ローレンツプロットは脈波間隔の変動に関する情報であることから、訂正事項1-4、2-3、11-5及び12-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(9)訂正事項3-3、13-4について
ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3-3及び13-4は、「異なる色または濃淡で出力する」ことを「覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」ことに限定するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、「異なる色または濃淡で出力する」ことを「覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」ことに限定する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 新規事項の有無
本件特許明細書等の【0073】に「また、出力部204は、パルスレートトレンド310および脈波ローレンツプロット320の各々について、被検者10の状態に応じて異なる形態で出力することもできる。例えば、出力部204は、覚醒時と睡眠時とで色または濃淡を変えて出力することができる。例えば、覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でパルスレートトレンド310および脈波ローレンツプロット320のプロットを出力することにより、両者の識別が容易になる。」と記載されていることから、訂正事項3-3及び13-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項5~10は請求項1~4を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項1~10は一群の請求項であり、訂正前の請求項11~14は、各々独立項である。
そして、上記訂正事項1-1~訂正事項10は、その一群の請求項においてなされたものであり、訂正事項11-1~11-5は訂正前の請求項11において、訂正事項12-1~12-4は訂正前の請求項12において、訂正事項13-1~13-4は訂正前の請求項13において、訂正事項14は訂正前の請求項14において、それぞれなされたものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。
4 独立特許要件について
訂正は、特許異議の申立てがされていない請求項に対するものではないことから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。
5 訂正の適否についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、11、12、13,14について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明13」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項4、5及び14は、訂正により削除されたことから、本件発明4、5及び14は存在しない。
「【請求項1】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、
覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、
前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する、脈波測定装置。
【請求項2】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、
覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、
推定された前記生体の睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える、脈波測定装置。
【請求項3】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、
前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する、脈波測定装置。
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記出力部は、
前記脈拍数に関する情報として、前記脈拍数の時間変化を表すパルスレートトレンドを出力する、請求項1~3のいずれか1項に記載の脈波測定装置。
【請求項7】
前記出力部は、
前記変動に関する情報として、複数の前記脈波の間隔に基づく脈波ローレンツプロットを出力する、請求項1~3、6のいずれか1項に記載の脈波測定装置。
【請求項8】
前記出力部は、
前記脈波ローレンツプロットの原点から引いた45度線の両側に、当該45度線を中心とした正常領域と当該正常領域以外の異常領域とを区分する区分線を出力する、請求項7に記載の脈波測定装置。
【請求項9】
前記出力部は、
前記脈波ローレンツプロットの分布が前記正常領域に収まっていない旨を報知する、請求項8に記載の脈波測定装置。
【請求項10】
前記生体の前記生体情報の収集に合せて収集した前記生体の動体情報を取得する取得部をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の脈波測定装置。
【請求項11】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する手順(a)と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する手順(b)と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)であって、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する手順(e)と、をコンピュータに実行させるための脈波測定プログラム。
【請求項12】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する手順(a)と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する手順(b)と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)であって、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、推定された前記生体の睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える手順(e)と、をコンピュータに実行させるための脈波測定プログラム。
【請求項13】
生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する手順(a)と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する手順(b)と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う手順(c)と、
前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順(d)と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する手順(e)であって前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する手順(e)と、をコンピュータに実行させるための脈波測定プログラム。
【請求項14】(削除)」
なお、明細書には訂正がなかったことから、本件特許明細書を以下「本件明細書」という。
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
令和5年12月11日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由は、取り下げられたものとみなす訂正請求書により訂正された請求項に対するものであり、その概要は次のとおりである。
1 取消理由1(進歩性)
本件特許の請求項1~3及び5~13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3及び5~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
具体的には、甲第1号証を主引用例として、甲第3号証、甲第5号証を副引用例として通知したものであるが、以下の甲号証一覧では、これら甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証以外にも、特許異議申立書で提示されている甲第2号証及び甲第4号証もあわせて記載する。
<甲号証一覧>
甲第1号証:特開2016-202346号公報
甲第2号証:特開2016-202347号公報
甲第3号証:特開2008-237574号公報
甲第4号証:特開2004-113329号公報
甲第5号証:特開2008-36156号公報
(以下、甲第○号証は「甲○」という。)
2 取消理由2(明確性・サポート要件)
本件明細書の記載を参照すると、生体の状態は、検出された加速度に応じた動体情報に基づいて推定されることのみが記載され、脈波形、画像など、その他の手段によって、生体の状態を推定することについては記載されていない。特に、脈波形から動体情報を得て、それにより生体の状態を推定することを含むことになると、請求項1~3及び5~13において、「脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報」と「生体の状態に関する情報」との区別が不明確となる。
そうすると、「生体の状態を推定する状態推定部」及び「生体の状態を推定する手順(d)」において、生体の状態が検出された加速度に応じた動体情報に基づいて推定されることが特定されていない請求項1~3及び5~13に係る発明は、不明確であるとともに、発明の詳細な説明に記載されたものともいえない。
よって、請求項1~3及び5~13に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
上記第4で記載した取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由として、申立人は、特許された請求項に対して、おおむね、以下の申立理由を主張している。
1 申立理由1(新規性:甲1を主)
本件特許の請求項1、5~7、10及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明で特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、5~7、10及び11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2 申立理由2(新規性及び進歩性:甲2を主)
本件特許の請求項1~7及び10~14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲2に記載された発明で特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、甲2に記載された発明、及び甲4、甲5に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7及び10~14に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
3 申立理由3(新規性及び進歩性:甲3を主)
本件特許の請求項1、2、4~6、10~12及び14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲3に記載された発明で特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、甲3に記載された発明、及び甲4、甲5に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4~6、10~12及び14に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
4 申立理由4(明確性)
本件特許の請求項1及び11の「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」との事項は、「脈拍数に関する情報」および「変動に関する情報」のいずれか一方のみを出力すると解釈できるところ、本件明細書の【0062】の「本実施形態の脈波測定装置130は、パルスレートトレンド310および脈波ローレンツプロット320を同時に出力することにより、医療現場において、医師が被検者10の心臓の動きを早期に確認することを可能にするものである。」との記載によれば、両者を同時に出力することになっており、上記「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」との記載の意味するところが明確でない。
よって、請求項1及び11並びにそれらを引用する請求項に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
5 申立理由5(明確性)
本件特許の請求項4及び14の「生体が激しい運動をしている期間に取得された脈波信号の脈波形は滴切ではないと判断して」との事項があるが、「激しい」運動とは、どの程度の運動までを含むのか、不明確である。
よって、請求項4及び14並びにそれらを引用する請求項に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第6 甲号証の記載
1 甲1について
(1)記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、(2)の甲1発明の認定に関連する部分に当審において付与したものである。
(甲1ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1等のように脈波情報を用いることで、長期間(例えば3日~10日程度)に渡って装置を装着することが可能であるため、初期の心房細動等も適切に検出することが可能になる。
【0007】
しかし、特許文献1では脈波情報に基づく心房細動の判定手法は開示されているものの、判定結果を適切に閲覧者に対して提示する手法については十分な説明がない。例えば、脈波情報は心電図を用いた手法に比べてノイズの影響を受けることが知られている。そのため、不整脈の疑いがあることが検出された(脈波異常期間が検出された)場合であっても、それが真に不整脈に起因する異常であるのか、ノイズによる誤検出であるかを慎重に判断しなくてはならない。つまり、脈波情報には体動ノイズ等の影響があり、心電図を用いた場合に比べて精度が劣るため、システムによる脈波異常の検出結果が適切か否かを確認するための画面表示等の必要性が大きいが、従来手法にはそのような表示に関する開示は見られない。
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、脈波情報を用いた解析処理に基づいて、適切な解析結果情報を生成、出力する生体情報処理システム、生体情報処理装置及び解析結果情報の生成方法等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、脈波情報を取得する取得部と、前記脈波情報の解析処理を行い、解析結果情報を生成する処理部と、生成された前記解析結果情報を出力する出力部と、を含み、前記処理部は、前記解析結果情報として、前記脈波情報に基づき求められる脈拍間隔の分布情報と、前記脈波情報の測定の信頼度指標を表示するための情報を生成する生体情報処理システムに関係する。」
(甲1イ)「【0042】
しかし、脈波情報を用いることによる課題も生じる。心電図による測定と比較した場合、脈波情報の測定では体動ノイズ等のノイズの影響が大きい。具体的には、光電脈波信号の解析において、体動ノイズの影響を受けた局面では、さまざまなノイズ除去処理によって脈波解析の補正を行うことができるものの、完全な補正処理はあり得ず、その間の脈波信号の解析結果の信頼性は低下する。また、装着不良局面では、脈波信号の振幅が低下し、同様に信頼性の低下が生じる。
【0043】
そのため、生体情報処理システムにおいて、不整脈の判定等に有用な脈拍間隔の分布情報を生成、表示したとしても、それが誤りである可能性がある。例えば、不整脈発症時には脈拍間隔のばらつきが大きくなることが知られているが、脈拍間隔のばらつきが大きかったとしても、それがユーザーが不整脈を発症した結果であるのか、それともユーザー自身は正常であるのにノイズの影響で現れたのかを慎重に検討する必要があり負担が大きい。」
(甲1ウ)「【0046】
また、脈波情報とはユーザー(被検体、被験者)の脈波を表す情報であり、具体的にはユーザーにより装着される脈波センサー(光電センサー)の出力に基づく情報である。また、脈拍間隔は、脈拍の1拍1拍の間隔を表す時間(例えば単位はmsec)であり、例えば広く用いられる脈拍数(単位はrpm)に対して、脈拍間隔=(1000×60)/脈拍数という関係にある。脈拍間隔の分布情報とは、脈拍間隔の値、或いは脈拍間隔に基づく値のばらつきを表す情報である。具体的には分布情報は、図2や図3を用いて後述するように1タイミング前の脈拍間隔に対する比率等を時系列にプロットした情報であってもよいし、図4(A)~図6(B)を用いて後述するようにローレンツプロットとして知られるプロットや、ローレンツプロットに類するプロットでもよいし、他の情報であってもよい。脈拍間隔の分布情報の詳細については後述する。
【0047】
このようにすれば、脈拍間隔の分布情報が表示されるため、不整脈が疑われるか否かを閲覧者(医師)にわかりやすく提示することが可能になる。さらに、信頼度指標も合わせて表示されるため、脈拍間隔の分布が信頼できるか否かについても、わかりやすく提示することができる。そのため、不整脈等の診断を行う上で有用な情報を適切に提示できる。具体的には、脈拍間隔のばらつきが大きく、且つ信頼度が高い情報を医師は重点的に閲覧すればよく、3~10日といった長期間にわたる脈波情報が取得された場合にも効率的な情報閲覧が容易である。」
(甲1エ)「【0061】
ここで、脈拍間隔の値はユーザー(患者)の状態により変動する性質を有する。例えば、ユーザーが睡眠状態や安静状態にあれば脈拍間隔は長くなるし、運動状態にあれば脈拍間隔は短くなる。睡眠状態から運動状態へ移行したことで脈拍間隔の値が変化したとしても、それは正常な反応であって不整脈によるものではない。つまり、脈拍間隔のばらつきには、ユーザーの状態変動によるもの(不整脈とは無関係のもの)と、不整脈によるものとの両方が含まれうる。脈拍間隔の値そのものをプロットすると、両方の要因によるばらつきまで表示することになるが、1タイミング前に対する比率を表示するものとすれば、より長期的な変動であるユーザーの状態変動によるばらつきの影響を抑止することが可能となる。」
(甲1オ)「【0070】
具体的には、処理部230は、解析結果情報として、脈波異常期間と、脈波異常期間以外の期間とを異なる画像表示態様で表示するための情報を生成する。異なる画像表示態様の具体例は種々考えられるが、例えば図2に示したように、点の形状を異なるものとしてもよい。図2では、脈波異常期間では、十字形状の点を用い、脈波異常期間以外の期間では白抜きの丸形状の点を用いている。このようにすれば、点の形状により、容易に脈波異常期間か否かを区別することができ、医師の負担軽減が可能になる。図2の例であれば、A1のタイミング以降、少なくとも16:00までは心房細動が発症している可能性があるということが容易に理解できるため、医師は当該期間を対象として詳細なデータの閲覧を行うといった判断が可能となる。或いは、脈波異常期間とそれ以外の期間で点の色を変更する、大きさを変更する、背景色を変更するといった変形実施も可能である。また、解析レポートを印刷する場合には実現が難しいが、所与の装置の表示部に表示を行う場合には、点や背景等を点滅表示することで、画像表示態様を変更してもよい。なお、脈波異常期間とは、脈波情報が正常状態とは異なる(異常状態である)ことが検出された期間であり、一例としては上述したように、脈波間隔のばらつきがおおきいことが検出された期間である。脈波異常期間の検出手法の詳細は後述する。
・・・
【0073】
また、図2に示したように、脈拍間隔に関する情報の表示とともに、信頼度指標を表示する。ここでの信頼度指標は、ユーザーの体動情報及びユーザーの装着状態情報の少なくとも一方に基づく情報である。ここで、体動情報に基づく情報とは、体動情報そのものであってもよいし、体動情報に対して何らかの処理を行った結果として得られる情報であってもよい。また、装着状態情報に基づく情報とは、装着状態情報そのものであってもよいし、装着状態情報に対して何らかの処理を行った結果として得られる情報であってもよい。また、装着状態情報とは、ユーザーの体に装着される測定装置の装着状態を表す情報であってもよい。ここでの測定装置は、例えば図19(A)~図20を用いて後述するような脈波測定装置100である。図21(A)~図21(C)等を用いて後述するように、本実施形態に係る生体情報処理システム100は、サーバーシステム等の装置により実現されてもよいし、脈波測定装置100により実現されてもよい。つまり、ここでの測定装置は、生体情報処理システム100が含まれる装置とは異なる装置を表すものであってもよいし、生体情報処理システム100が含まれる装置を表すものであってもよい。
【0074】
図2のA3が体動ノイズに関する信頼度指標の時系列的な変化を表す曲線であり、縦軸は体動ノイズの大きさを表す。ここでは、縦軸の上方向が体動ノイズが大きく、下方向が体動ノイズが小さいことを表す。具体的には、信頼度指標として、体動情報の実効信号量等を用いればよい。
【0075】
これにより、A3の曲線の値が大きい(縦軸上方向に位置する)場合には、体動ノイズが大きく、脈波情報の測定の信頼度が低いということをわかりやすく提示することができる。そのため、A4に示した期間では、生体情報処理システム200では脈波異常期間であるとの判定が行われているが、そこでの脈拍間隔のばらつきは体動ノイズによるものである可能性を否定できない、といった判定を医師に行わせることができる。信頼度指標を表示することで、脈拍間隔の分布情報が大きくばらついている場合に、それが不整脈に起因するのか、ノイズに起因するのかという判定を医師が容易に行うことが可能になる。また、全ての脈波異常期間を同等に扱うのではなく、信頼度に応じて差を持たせることが可能になり、医師の負担をさらに軽減することが可能である。
【0076】
また、図2のA5が装着状態情報に基づく情報であり、具体的には縦軸を脈波信号の実効値(脈波波形の振幅の実効値)を表すものとすればよい。これにより、A5の曲線の値が小さい(縦軸下方向に位置する)場合には、信号レベルが低く装着状態が不良であるため、脈波情報の測定の信頼度が低いということをわかりやすく提示することができる。具体的にはA4と同様に、A6の期間の信頼度が低いことを医師に容易に提示できる。
【0077】
また、A4やA6のような、脈波異常期間と診断されているが信頼度が低い期間については、さらなる強調表示を行うことで、信頼度が高い区間との差別化を行ってもよい。一例としては図3に示したように、信頼度が低下している場面の背景色を変更してもよい。このようにすれば、背景色が変更されている部分については、脈波情報に基づく判定が誤っている可能性があることが視覚的に明らかとなる。よって、医師とすれば背景色が変更されていない部分(或いは、信頼度が高いことを表す背景色となっている部分)を対象として診断を行えばよく、情報の閲覧負担を軽減できる。」
(甲1カ)「【0081】
時系列的に変化する所与の情報について、所与のタイミングでの値をf[i]、その1タイミング前での値をf[i-1]とした場合に、(x,y)=(f[i-1],f[i])となる点を、xy平面上に、種々のタイミングiについてプロットしたものは、ローレンツプロットとして知られている。ローレンツプロットでは、1タイミング前と値が変化しなければ、点は直線y=x上にプロットされ、1タイミング前に比べて値の変動が大きくなるほど、点は直線y=xから離れた位置にプロットされる。つまり、ローレンツプロットでは、プロットされる点がy=xに近い位置に集中しているか、それとも広く分散しているかを見ることで、値のばらつき具合を判定することが可能になる。
【0082】
つまり、脈拍間隔を用いてローレンツプロットを作成した場合、直線y=xに近い位置に点が集中すれば、脈拍間隔にばらつきがない、すなわち不整脈は発症していないと判定できる。一方、直線y=xから離れた位置に点が分散すれば、脈拍間隔にばらつきがある、すなわち不整脈の発症が疑われると判定できる。」
(甲1キ)「【0104】
なお、脈波波形とは、脈波情報の波形であり、例えば脈波情報の時系列的な変化を表す波形である。具体的には、脈波波形とは脈波センサー出力のAC成分を表す波形であってもよい。また、脈拍間隔波形とは、脈拍間隔の時系列的な変化を表す波形である。」
(甲1ク)「【0113】
具体的な画面例を図7に示す。図7の横軸は時間であり、B1の領域に信頼度指標の時系列的な変化、B2の領域に脈拍数の時系列的な変化を表示している。そして、B3の領域において、脈波異常期間と判定された期間に対応する範囲に表示オブジェクト(図7の例ではバー)を表示する。
【0114】
図7の例であれば、表示対象の期間(例えば測定期間のうちの所与の1日)のうち、バーで示したB4~B6の3回の脈波異常期間が検出されていることになり、閲覧者はバーの有無と、バーの横軸での位置により、どの期間で脈波異常期間が検出されたかを容易に理解可能である。
【0115】
なお、図7の例では信頼度指標を表示する際に、縦軸上方向が信頼度が高く、下方向が信頼度が低いものとしている。つまり、体動ノイズに基づく信頼度指標の場合、体動ノイズ量(例えば加速度情報の実効信号量)が大きいほど縦軸下方向に位置する関係になり、その点で図2の信頼度指標の表示とは異なる。このように、信頼度指標の表示手法は種々の変形実施が可能である。」
(甲1ケ)「【0126】
図9及び図10に他の第2の解析結果情報の例を示す。図9では第2の解析結果情報により表示される加速度波形を見れば、値の変動が大きいことがわかるため、体動ノイズによる影響を疑うことができる。また、図10では第2の解析結果情報により表示される装着状態情報(脈波波形)を見れば、信号レベルが非常に小さいため、装着不良の影響を疑うことができる。
【0127】
或いは、図8~図10に示したように、体動情報(加速度情報)、脈波波形、脈拍間隔波形の時間変化と合わせて、図4(A)~図6(B)を用いて上述した解析結果情報を表示してもよい。この場合、図4(A)等の解析結果情報は、第2の解析結果情報の対象区間(例えば20秒)の一部又は全部の情報から作成すればよい。このようにすれば、脈波情報の測定の信頼度指標を、上述したようなわかりやすい形態で表示できる。」
(甲1コ)「【0151】
4.1 生体情報処理システムの構成例
図1に示したように、本実施形態に係る生体情報処理システム200は、取得部210と、処理部230と、出力部250を含む。
【0152】
取得部210は、脈波情報を取得する。例えば、図21(A)を用いて後述するように、本実施形態に係る生体情報処理システム200がサーバーシステムにより実現され、当該サーバーシステムが、ユーザーに装着される脈波測定装置100(生体情報検出装置)から脈波情報を取得する場合であれば、取得部210は、ネットワークを介して脈波測定装置との通信を行う通信部(脈波測定装置からの情報を受信する受信部)であってもよい。
【0153】
この場合、取得部210は、脈波測定装置に含まれる脈波センサーからのセンサー情報を取得する。ここで脈波センサーは、脈波信号を検出するためのセンサーであり、例えば発光部と受光部とを含む光電センサー等が考えられる。光電センサーや、その他の形態のセンサー(例えば超音波センサー)等、脈波センサーは種々のセンサーにより実現できることが知られており、本実施形態の脈波センサーはそれらのセンサーを広く適用可能である。
【0154】
処理部230は、取得部210が取得した脈波情報に基づいて、心房細動の解析処理を行い、解析結果に基づいて解析結果情報を生成する。この処理部230の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0155】
出力部250は、処理部230で生成された解析結果情報を出力する。出力部250の出力形態は種々考えられ、例えばネットワークを介して解析結果情報を他の機器に対して送信してもよい。この場合、出力部250は通信部により実現される。ここでのネットワークは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などにより実現することができ、有線・無線を問わない。或いは、出力部250は解析結果情報を印刷するものであってもよく、この場合、閲覧者は印刷された解析結果情報を紙媒体等で閲覧することになる。」
(甲1サ)「【0161】
検出信号記憶部221は、取得部210が取得した情報を記憶する。ここでは取得部210が脈波情報の他に、ユーザーの体動を表す体動情報(狭義には加速度情報)を取得することを想定しており、検出信号記憶部221は、脈波情報と体動情報を記憶する。例えば、体動情報は脈波測定装置100に含まれる加速度センサーからの情報である。」
(甲1シ)「【0176】
図17に本実施形態の生体情報処理システム200の解析処理部220で行われる処理を説明するフローチャートを示す。この処理が開始されると、まず取得部210が取得したログデータを読み込む(S101)。ここでのログデータとは、例えば3~10日といった1回の測定期間全体における脈波情報や体動情報が蓄積されたデータであり、S101ではそのうちの1データを読み込む処理を行えばよい。」
(甲1ス)「【0184】
図17に示した処理を行うことで、脈拍間隔を1秒に1回求めるとともに、脈波異常期間に関する判定結果、及び区間信頼度を20秒に1回求めることができる。また、脈拍間隔を変換すれば脈拍数を求めることができるため、脈拍数についても1秒に1回のレートで求められる。」
(甲1セ)図2として、以下の図面が記載されている。
「
[図:0001413297000001.jpg]
」
(2)甲1発明について
ア 記載事項の整理
(ア)(甲1コ)の生体情報処理システムの構成の記載から、生体情報処理システムは、ユーザーに装着される生体情報検出装置から脈波情報を取得する取得部、取得部が取得した脈波情報に基づいて、解析処理を行い、解析結果に基づいて解析結果情報を生成する処理部、処理部で生成された解析結果情報を出力する出力部を含むものである。
さらに、(甲1サ)には「取得部210が脈波情報の他に、ユーザーの体動を表す体動情報(狭義には加速度情報)を取得すること」も記載されている。
そうすると、上記取得部は、「ユーザーに装着される生体情報検出装置からの脈波形、及びユーザーの体動を表す体動情報(加速度情報)を取得する」ものである。
(イ)(甲1キ)によれば、上記「脈波情報」とは「脈波形」のことであり、例えば(甲1シ)及び(甲1ス)によれば、「脈波情報」から「脈波間隔」及び「脈拍数」を算出しているといえ、(甲1ウ)によれば、「脈拍間隔」に基づいて「ローレンツプロット」をしている。
そうすると、上記処理部は、「取得部が取得した脈波形に基づいて脈波間隔及び脈拍数を算出し、脈拍間隔に基づいてローレンツプロットする」ものである。
(ウ)(甲1ク)によれば、図面として「脈拍数の時系列的な変化」を表示(出力)することが記載されており、(甲1ウ)に「図4(A)~図6(B)を用いて後述するようにローレンツプロットとして知られるプロットや、ローレンツプロットに類するプロットでもよい」と記載され、(甲1ケ)に「図4(A)~図6(B)を用いて上述した解析結果情報を表示」と記載されていることから、ローレンツプロットを出力しているといえる。
さらに、(甲1ケ)には、「体動情報(加速度情報)、脈波波形、脈拍間隔波形の時間変化と合わせて、図4(A)~図6(B)を用いて上述した解析結果情報を表示してもよい。」との記載があることから、「体動情報(加速度情報)」も出力することが記載されている。
そうすると、上記出力部は、「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力する」ものである。
(エ)(甲1エ)には、「脈拍間隔の値はユーザー(患者)の状態により変動する性質を有する。例えば、ユーザーが睡眠状態や安静状態にあれば脈拍間隔は長くなるし、運動状態にあれば脈拍間隔は短くなる。睡眠状態から運動状態へ移行したことで脈拍間隔の値が変化したとしても、それは正常な反応であって不整脈によるものではない。つまり、脈拍間隔のばらつきには、ユーザーの状態変動によるもの(不整脈とは無関係のもの)と、不整脈によるものとの両方が含まれうる。」と記載されていることから、脈波間隔の値は、ユーザーの睡眠状態、運動状態などの状態により変動する性質を有するものであり、ユーザーの状態変動によるものは不整脈と無関係のものとすることが記載されているといえる。
イ 甲1発明
上記アを踏まえると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「ユーザーに装着される生体情報検出装置から脈波形、及びユーザーの体動を表す体動情報(加速度情報)を取得する取得部、
取得部が取得した脈波形に基づいて脈波間隔及び脈拍数を算出し、脈拍間隔に基づいてローレンツプロットする処理部、
処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力する出力部、
を含む生体情報処理システムにおいて、
脈波間隔の値は、ユーザーの睡眠状態、運動状態などの状態により変動する性質を有するものであり、ユーザーの状態変動によるものは不整脈と無関係のものとする、
生体情報処理システム。」(以下「甲1発明」という。)
2 甲2について
甲2は、以下の事項が記載されている。
なお、甲2は、甲1と同じ出願人による同日に出願された公開公報(公開日も同じ)であり、両者で開示されている技術内容は近接したものであるが、甲2には甲1に記載されているローレンツプロットに関する事項が記載されていない点で、甲1発明に比べて、本件発明からは遠ざかるものである。
(甲2ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1等のように脈波情報を用いることで、長期間(例えば3日~10日程度)に渡って装置を装着することが可能であるため、初期の心房細動等も適切に検出することが可能になる。
【0007】
しかし、特許文献1では脈波情報に基づく心房細動の判定手法は開示されているものの、判定結果を適切に閲覧者に対して提示する手法については十分な説明がない。例えば、ホルター心電計等を用いた測定では、ユーザー(被験者)は、自身の行動履歴を行動メモという形で作成し、医師に提出することが望ましい。不整脈には心房細動以外にも種々の不整脈が知られており、その要因も多様であるところ、ユーザーの行動メモは不整脈の要因を特定する上で有用な情報となるためである。つまり、不整脈の判定に関する情報と、行動メモに類する情報が取得された場合、それらを関連づけてわかりやすい形態で医師に提示することが望まれるが、従来手法ではそのような手法に関する開示は見られなかった。
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、脈波情報を用いた解析処理に基づいて、適切な解析結果情報を生成、出力する生体情報処理システム、生体情報処理装置及び解析結果情報の生成方法等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、脈波情報を取得する取得部と、前記脈波情報の解析処理を行い、解析結果情報を生成する処理部と、生成された前記解析結果情報を出力する出力部と、を含み、前記処理部は、前記解析処理に基づいて検出された脈波異常期間を識別可能に表示するとともに、ユーザーの行動情報、心的状態情報、外部環境情報及び居場所情報の少なくとも1つを表示するための前記解析結果情報を生成する生体情報処理システムに関係する。」
(甲2イ)「【0065】
また、処理部230は、解析結果情報として、測定期間内における脈波波形、脈拍間隔波形、脈拍間隔分布情報の少なくとも1つを表示するための情報を生成してもよい。
【0066】
ここで、脈波波形とは、脈波情報の波形であり、例えば脈波情報の時系列的な変化を表す波形である。具体的には、脈波波形とは脈波センサー出力のAC成分を表す波形であってもよい。また、脈拍間隔波形とは、脈拍間隔の時系列的な変化を表す波形である。脈拍間隔は、脈拍の1拍1拍の間隔を表す時間(例えば単位はmsec)である。例えば広く用いられる脈拍数(単位はrpm)に対して、脈拍間隔=(1000×60)/脈拍数という関係にある。
【0067】
脈拍間隔分布情報とは、脈拍間隔のばらつきを表す情報である。図2を用いて後述するように、脈拍間隔分布情報は、第1の軸が時間軸であり、第2の軸に脈拍間隔に基づく値がプロットされる情報であってもよい。
【0068】
また、処理部230は、解析結果情報として、測定期間内における脈波情報の測定の信頼度指標を表示するための情報を生成してもよい。
【0069】
ここで、信頼度指標とは、脈波測定がどの程度信頼できるものであるかを表す情報である。信頼度指標は、一例としては数値情報であり、数値が大きいほど信頼でき(信頼度が高く)、数値が小さいほど信頼できない(信頼度が低い)ものとしてもよいし、この逆であってもよい。或いは、所与の数値に近いほど信頼度が高いものとしてもよく、信頼度指標の具体的な値と、信頼度の高低との関係は種々の変形実施が可能である。例えば、後述する図2のA3では、加速度情報の実効信号量に基づく情報を信頼度指標としているため、数値が大きいほど体動ノイズが大きく、信頼度は低いものとなる。一方、後述する図7では、数値が大きいほど信頼度が高いものとしている。
【0070】
ここでの信頼度指標は、ユーザーの体動情報及びユーザーの装着状態情報の少なくとも一方に基づく情報であってもよい。体動情報に基づく情報とは、体動情報そのものであってもよいし、体動情報に対して何らかの処理を行った結果として得られる情報であってもよい。また、装着状態情報に基づく情報とは、装着状態情報そのものであってもよいし、装着状態情報に対して何らかの処理を行った結果として得られる情報であってもよい。また、装着状態情報とは、ユーザーの体に装着される測定装置の装着状態を表す情報であってもよい。ここでの測定装置は、例えば図21(A)~図22を用いて後述するような脈波測定装置100である。図23(A)~図23(C)等を用いて後述するように、本実施形態に係る生体情報処理システム100は、サーバーシステム等の装置により実現されてもよいし、脈波測定装置100により実現されてもよい。つまり、ここでの測定装置は、生体情報処理システム100が含まれる装置とは異なる装置を表すものであってもよいし、生体情報処理システム100が含まれる装置を表すものであってもよい。
【0071】
また、処理部230は、解析結果情報として、脈波異常期間を表す表示オブジェクト(アイコン、マーク)を表示するための情報を生成してもよい。
【0072】
また、処理部230は、解析結果情報として、脈波異常期間と、脈波異常期間以外の期間とを異なる画像表示態様で表示するための情報を生成してもよい。
【0073】
異なる画像表示態様の具体例は種々考えられるが、例えば図2を用いて後述するように、点の形状を異なるものとしてもよい。図2では、脈波異常期間では、十字形状の点を用い、脈波異常期間以外の期間では白抜きの丸形状の点を用いている。或いは、脈波異常期間とそれ以外の期間で点の色を変更する、大きさを変更する、背景色を変更するといった変形実施も可能である。また、解析レポートを印刷する場合には実現が難しいが、所与の装置の表示部に表示を行う場合には、点や背景等を点滅表示することで、画像表示態様を変更してもよい。」
(甲2ウ)図2として、以下の図面が記載されている。
「
[図:0001413297000002.jpg]
」
2 甲3について
甲3には、以下の事項が記載されている。
(甲3ア)「【請求項1】
脈拍または心拍の波形の一周期の時間間隔を示す間隔データが予め定められた基準時間内に生成された個数を表す間隔データ数と、前記間隔データ生成時に発生したエラーの内容を表すエラーデータが前記基準時間内に生成された個数を表すエラーデータ数との和に対する前記間隔データ数の割合を表す検出率を算出する検出率算出部と、
前記検出率と予め定められた第1閾値とを比較し、前記検出率が前記第1閾値より大きい場合に、前記基準時間内に生成された前記間隔データに基づいて、自律神経の活動状態を示す自律神経指標を算出する指標算出部と、
を備えたことを特徴とする自律神経指標計測装置。」
(甲3イ)「【0028】
自律神経指標算出部14は、ノイズ除去部15と、補間部16と、周波数解析部17と、自律神経指標抽出部18とを備えている。
【0029】
ノイズ除去部15は、データ抽出部12により抽出された脈波間隔データからノイズデータを除去するものである。補間部16は、不等間隔である脈波間隔データをスプライン補間などの手法を用いて等間隔のデータに再サンプリングするものである。
【0030】
周波数解析部17は、再サンプリングされた脈波間隔データをFFTなどの手法を用いて周波数解析し、周波数領域に変換するものである。自律神経指標抽出部18は、周波数解析部17により得られた周波数領域の情報から、低周波領域(LF成分=0.05?0.15Hzのパワー)および高周波領域(HF成分=0.15?0.4Hzのパワー)を抽出するものである。このようにして算出されたLF成分およびHF成分が、それぞれ交感神経指標および副交感神経指標を表している。なお、自律神経指標算出部14は、このようなLFおよびHFの他、LF/HFを自律神経指標として算出する。
【0031】
表示部19は、算出された自律神経指標を表示するものであり、ディスプレイ装置などの従来から用いられているあらゆる表示装置により構成することができる。」
(甲3ウ)「【0075】
図12は、表示部19に対する解析結果の表示例を示す説明図である。図12に示すように、本実施の形態によれば、計測精度の悪化により検出率が所定の閾値より小さいと判断された時間帯については、自律神経指標が表示されない。」
(甲3エ)図12として、以下の図面が記載されている。
「
[図:0001413297000003.jpg]
」
4 甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。
(甲4ア)「【請求項1】
枕の高さを設定する枕高設定手段と、
生体の信号を検出する生体信号検出手段と、
検出された生体信号に基づき、被験者の睡眠の快適さを判定する判定手段と、判定手段において判定された被験者の睡眠の快適さに基づき、前記枕高設定手段を制御する制御手段からなる枕型睡眠測定装置。」
(甲4イ)「【発明の実施の形態】
【0024】
本発明の睡眠測定装置は枕型のタイプであり、被験者の睡眠をモニタすると共に、測定データに基づいて、被験者の睡眠状態を判断し、被験者が快適な睡眠が得られるように枕を適切な形状に変形させる。また、測定されている生体信号が適切に検出できているかを常に確認する構成とし、高精度に睡眠の判定が行えるようにする。
また被験者の睡眠状態を評価して、リアルタイムに枕の形状を変化させることで快適な睡眠環境を提供する。睡眠状態の評価としては、自律神経に基づく指標を用いることとし、具体的には、交感神経と副交感神経の活動度によって睡眠が快適であるかを判断し、枕の高さを制御する。また、この交感神経と副交感神経の活動度の判断は、被験者の睡眠の深さ(睡眠のステージ)に応じて判断する構成とすれば、より正確な睡眠の快適さの判断が可能となる。」
5 甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
「【0044】
ステップS502において測定が開始されると、ステップS503では、設定データ等の表示を行う。図8は、測定が開始された後のデータ表示部301の一例を示す図である。
【0045】
同図において、801は心拍検出マークであり、心拍検出処理部211において受信された測定データのR波に合わせて点滅する。802は心拍数表示欄(1分間あたりの心拍の数を表示する欄)である。803は、データ表示部301が現在拡大表示されているのか、標準の大きさで表示されているのか、縮小表示されているのかを表示する欄である。804は現在の日時を表示する欄である。更に、807の目標設定欄には設定データ入力画面601において被測定者が選択した被測定者の年齢または年齢と性別が表示される(ただし、年齢、性別は表示されなくても良い)。805は選択された目標設定値に対応する平均的なローレンツプロットの分布領域を示したものである。」
そして、【図8】として、以下の図面が記載されている。
「
[図:0001413297000004.jpg]
」
第7 29条関連の判断
1 甲1を主とする理由
上記取消理由1及び申立理由1が、甲1を主とする理由である。
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)抽出部について
甲1発明の「生体情報検出装置からの脈波形」「を取得する」ことは、「生体情報から脈波形を抽出する」ことといえることから、甲1発明の「ユーザーに装着される生体情報検出装置からの脈波形を取得する取得部」は、本件発明1の「生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部」に相当する。
(イ)算出部について
本件発明1の「抽出された複数の前記脈波形」における「複数」とは、本件明細書の【0036】に「図4に示すように、算出部202は、抽出された複数の脈波形から脈波間隔を算出する。」と記載され、その図4には波が複数ある1本の波線が記載されていることから、複数の脈波形とは波が複数ある1本の波線のことと解される。
そうすると、甲1発明の「取得部が取得した脈波形に基づいて脈波間隔及び脈拍数を算出」する「部」は、本件発明1の「抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部」に相当する。
(ウ)解析部について
本件発明1の「脈波の間隔の変動に関する解析」とは、具体的には、本件明細書の【0044】に「n番目の脈波とその1つ前の脈波との間の間隔をPRn、n番目の脈波とその1つ後の脈波との間の間隔をPRn+1とする。解析部203は、横軸(X軸)にPRnの値を、縦軸(Y軸)にPRn+1の値をとってプロットする処理を、nを1つずつ増加させながらN-1(N:データ数)まで繰り返すことにより、脈波ローレンツプロットを生成する。」と記載されているとおり、「ローレンツプロット」を行うことであるから、甲1発明の「脈拍間隔に基づいてローレンツプロットする処理部」は、本件発明1の「算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部」に相当する。
(エ)出力部について
甲1発明の「体動情報(加速度情報)を出力する」ことと、本件発明1の「睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する」こととは、「体に関する情報を出力する」ことで共通する。
そうすると、甲1発明の「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力する出力部」と、本件発明1の「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、前記出力部は、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する、」「出力部」とは、「前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、前記出力部は、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、」「体に関する情報を出力する」「出力部」の点で共通する。
(オ)装置について
甲1発明の「生体情報処理システム」は、「脈波形」「を取得」していることから、本件発明1の「脈波測定装置」に相当するといえる。
(カ)一致点及び相違点について
本件発明1と甲1発明とは、
(一致点)
「生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、
前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、体に関する情報を出力する、脈波測定装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件発明1の脈波測定装置では、「生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する状態推定部」を有しているのに対し、甲1発明の生体情報処理システムでは、ユーザーの体動を表す体動情報(加速度情報)を取得しているものの、それに基づいて「生体の状態を推定する状態推定部」を有しているか不明である点。
(相違点2)
出力部が、本件発明1では、「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」するのに対し、甲1発明では「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力」する点。
(相違点3)
出力する体に関する情報が、本件発明1では「睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報」であるのに対し、甲1発明では「体動情報(加速度情報)」である点。
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点2について判断する。
(ア)甲1発明では、出力部は「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力する」ものであるところ、上記(甲1オ)の記載によれば、当該体動情報によって体動ノイズを把握でき、脈拍間隔のばらつき等が体動ノイズによるものである可能性を否定できない、といった判定を医師に行わせることができ、さらに、信頼度指標を表示することで、脈拍間隔の分布情報が大きくばらついている場合に、それが不整脈に起因するのか、ノイズに起因するのかという判定を医師が容易に行うことが可能になるというものであるから、上記相違点2に係る「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」する必要もなく、そのようにする動機もない。
(イ)一方、本件発明1では、本件明細書の【0058】に「覚醒時の脈波ローレンツプロット322と睡眠時の脈波ローレンツプロット323とが別々に出力されるので、医師が、覚醒/睡眠と、心疾患との関連性を把握する上で有効である。」と記載されているように、覚醒/睡眠と、心疾患との関連性を把握すべく、下記の図9(抜粋図)に示されているように「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」するものである。
「
[図:0001413297000005.jpg]
」
このような技術的事項は、甲1に記載されていないだけでなく、その他の甲2~5にも記載も示唆もされていない。
また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「覚醒時の前記変動(脈波の間隔の変動)に関する情報と、睡眠時の前記変動(脈波の間隔の変動)に関する情報とを別々に並べて出力」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
(ウ)そうすると、上記相違点2は、甲1発明に対して実質的な相違点であり、甲1発明に基づいて、さらには甲2~5に記載された事項を参照しても、当業者が容易になし得たこととはいえない。
ウ 申立人の主張
(ア)申立人は、令和6年4月22日提出の意見書(以下「意見書」という。)で、上記相違点2について、以下のように主張している。
「甲第1号証(特開2016-202346号公報)の段落0070に、脈波異常期間と、脈波異常期間以外の期間とを異なる画像表示態様で表示するための情報を生成すると説明されているように、画像の出力態様を比較対象間で異ならせるようにすること、すなわち、上記した訂正請求により追加された事項を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。」
(イ)申立人の主張に対する当審の判断
申立人が主張している【0070】の記載は、上記(甲1オ)で摘記したとおりであり、「図2では、脈波異常期間では、十字形状の点を用い、脈波異常期間以外の期間では白抜きの丸形状の点を用いている。このようにすれば、点の形状により、容易に脈波異常期間か否かを区別することができ、医師の負担軽減が可能になる。」ということであり、何ら、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握ために「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」することを示唆するものではない。そもそも、上記図2においては、10:00~16:00の脈拍間隔の変動を示しており、この時間帯は通常人間が睡眠している時間帯ではなく、睡眠時の脈拍間隔の変動について、すなわち上記相違点2に係る睡眠時の脈波の間隔の変動に関する情報については想定すらされていない。
そうすると、申立人の主張する「上記した訂正請求により追加された事項を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。」との主張は何ら根拠のないことであり、受け入れられない。
エ 小括
よって、本件発明1は、相違点1及び3について検討するまでもなく、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の「前記出力部は、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する」との事項が、「前記出力部は、推定された前記生体の睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える」との事項となり、その余の発明特定事項については、両者において共通しているものである。
ア 対比
そうすると、本件発明2と甲1発明とは、上記(1)アを踏まえると、
(一致点)
「生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有する、
脈波測定装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点4)
本件発明1の脈波測定装置では、「生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する状態推定部」を有しているのに対し、甲1発明の生体情報処理システムでは、ユーザーの体動を表す体動情報(加速度情報)を取得しているものの、それに基づいて「生体の状態を推定する状態推定部」を有しているか不明である点。
(相違点5)
出力部が、本件発明1では「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」するのに対し、甲1発明では「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力」する点。
(相違点6)
前記出力部が、本件発明2では「推定された前記生体の睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える」ものであるのに対し、甲1発明では、脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロットの各々について、睡眠状態に応じて出力/非出力を切り替えるものとなっているのか不明である点。
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点5について判断する。
相違点5は、相違点2と同じであることから、それに対する判断は、上記(1)イと同じである。
ウ 申立人の主張
相違点5に対する申立人の主張も上記(1)ウ(ア)と同じであるから、それに対する判断も同イと同じである。
エ 小括
よって、本件発明2は、相違点4及び6について検討するまでもなく、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明2に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の「前記出力部は、覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて、睡眠および/または行動を含む、推定された前記生体の状態に関する情報を出力する」との事項が、「前記出力部は、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」との事項となり、その余の発明特定事項については、両者において共通しているものである。
ア 対比
そうすると、本件発明3と甲1発明とは、上記(1)アを踏まえると、
(一致点)
「生体から収集した生体情報から脈波形を抽出する抽出部と、
抽出された複数の前記脈波形から脈波の間隔および脈拍数を算出する算出部と、
算出された複数の前記脈波の間隔に基づいて、前記脈波の間隔の変動に関する解析を行う解析部と、
前記脈拍数に関する情報と前記変動に関する情報とを出力する出力部と、を有する、
脈波測定装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点7)
本件発明3の脈波測定装置では、「生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて生体の状態を推定する状態推定部」を有しているのに対し、甲1発明の生体情報処理システムでは、ユーザーの体動を表す体動情報(加速度情報)を取得しているものの、それに基づいて「生体の状態を推定する状態推定部」を有しているか不明である点。
(相違点8)
前記出力部が、本件発明3では「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」ものであるのに対し、甲1発明では、「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力」する点
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点8について判断する。
(ア)上記(1)イ(ア)で述べたように、甲1発明では、出力部で「処理部で生成された脈拍数の時系列的な変化とローレンツプロット、及び体動情報(加速度情報)を出力する」ものであるところ、上記(甲1オ)の記載によれば、当該体動情報によって体動ノイズを把握でき、脈拍間隔のばらつき等が体動ノイズによるものである可能性を否定できない、といった判定を医師に行わせることができ、さらに、信頼度指標を表示することで、脈拍間隔の分布情報が大きくばらついている場合に、それが不整脈に起因するのか、ノイズに起因するのかという判定を医師が容易に行うことが可能になるというものであるから、上記相違点8に係る「生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」する必要もなく、そのようにする動機もない。
(イ)一方、本件発明3では、本件明細書の【0073】に「出力部204は、覚醒時と睡眠時とで色または濃淡を変えて出力することができる。例えば、覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でパルスレートトレンド310および脈波ローレンツプロット320のプロットを出力することにより、両者の識別が容易になる。」と記載されており、さらに、【0058】に「覚醒時の脈波ローレンツプロット322と睡眠時の脈波ローレンツプロット323とが別々に出力されるので、医師が、覚醒/睡眠と、心疾患との関連性を把握する上で有効である。」と記載されていることから、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握すべく、脈波ローレンツプロット等の情報について覚醒時と睡眠時との識別が容易になるように「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」といえる。
このような技術的事項は、甲1に記載されていないだけでなく、その他の甲2~5にも記載も示唆もされていない。
また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
(ウ)そうすると、上記相違点8は、甲1発明に対して実質的な相違点であり、甲1発明に基づいて、さらには甲2~5に記載された事項を参照しても、当業者が容易になし得たこととはいえない。
ウ 申立人の主張
相違点8に対する申立人の主張は、上記(1)ウ(ア)と同じである。
そうすると、申立人が主張している【0070】の記載は、上記(甲1オ)で摘記したとおりであり、「図2では、脈波異常期間では、十字形状の点を用い、脈波異常期間以外の期間では白抜きの丸形状の点を用いている。このようにすれば、点の形状により、容易に脈波異常期間か否かを区別することができ、医師の負担軽減が可能になる。」ということであり、何ら、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握ために「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」することを示唆するものではない。そもそも、上記図2においては、10:00~16:00の脈拍間隔の変動を示しており、この時間帯は通常人間が睡眠している時間帯ではなく、睡眠時の脈拍数に関する情報および脈波の間隔の変動に関する情報については想定すらされていない。
そうすると、申立人の主張する「上記した訂正請求により追加された事項を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。」との主張は何ら根拠のないことであり、受け入れられない。
エ 小括
よって、本件発明3は、相違点7について検討するまでもなく、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(4)本件発明6~10について
上記第3で記載したように、本件発明6~10は、本件発明1~3の各々を直接的又は間接的に引用する脈波測定装置の発明であるから、本件発明1~3と同様に、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明6~10に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(5)本件発明11~13について
上記第3で記載したように、本件発明11~13は、各々順に、本件発明1~3に係る「脈波測定装置」の発明について、「脈波測定プログラム」の発明としたものであり、それらの発明特定事項は、装置の発明特定事項である「・・・部」からプログラムの発明特定事項である「・・・手順」に書き替えたものである。
一方、(甲1コ)には、「各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。」ことが記載されていることから、甲1発明の「生体情報処理システム」の発明を、「生体情報処理プログラム」の発明(以下「甲1発明’」という。)にも認定できるものである。
そうすると、本件発明11~13は、上記(1)~(3)で述べたことと同様に、甲1発明’ではなく、甲1発明’及び甲2~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明11~13に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
2 甲2を主とする理由
上記申立理由2が、甲2を主とする理由である。
(1)本件発明1、2、11及び12について
上記甲2には、少なくとも、本件発明1、2、11及び12の発明特定事項である「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」する事項について記載されていないことから、本件発明1、2、11及び12と甲2に記載された発明(以下「甲2発明」という。)とは、少なくとも当該事項が相違点(「相違点9」という。)となる。
相違点9については、上記1(1)イ(イ)及び(ウ)で述べたように、甲1~甲5に記載も示唆もされておらず、また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
そうすると、本件発明1、2、11及び12は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲1及び3~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明1、2、11及び12に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(2)本件発明3及び13について
上記甲2には、少なくとも、本件発明3及び13の発明特定事項である「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」事項について記載されていないことから、本件発明3及び13と甲2発明とは、少なくとも当該事項が相違点(「相違点10」という。)となる。
相違点10については、上記1(3)イ(イ)及び(ウ)で述べたように、甲1~甲5に記載も示唆もされておらず、また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
そうすると、本件発明3及び13は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲1及び3~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明3及び13に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(3)本件発明6~10について
本件発明6~10は、本件発明1~3の各々を直接的又は間接的に引用する脈波測定装置の発明であるから、本件発明1~3と同様に、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲1及び3~5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明6~10に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
3 甲3を主とする理由
上記申立理由3が、甲3を主とする理由である。
(1)本件発明1、2、11及び12について
上記甲3には、少なくとも、本件発明1、2、11及び12の発明特定事項である「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」する事項について記載されていないことから、本件発明1、2、11及び12と甲3に記載された発明(以下「甲3発明」という。)とは、少なくとも当該事項が相違点(「相違点11」という。)となる。
相違点11については、上記1(1)イ(イ)及び(ウ)で述べたように、甲1~甲5に記載も示唆もされておらず、また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
そうすると、本件発明1、2、11及び12は、甲3発明ではなく、甲3発明並びに甲1、2、4及び5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明1、2、11及び12に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(2)本件発明3及び13について
上記甲3には、少なくとも、本件発明3及び13の発明特定事項である「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」事項について記載されていないことから、本件発明3及び13と甲2発明とは、少なくとも当該事項が相違点(「相違点12」という。)となる。
相違点12については、上記1(3)イ(イ)及び(ウ)で述べたように、甲1~甲5に記載も示唆もされておらず、また、患者の心疾患について判断する際に、覚醒/睡眠と心疾患との関連性を把握しなければならないことが本件出願時の技術常識ともいえず、さらに、そのために「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、推定された前記生体の睡眠状態に応じて覚醒時と睡眠時とで異なる色または濃淡でプロットを出力する」することが当業者において、通常に行われていることともいえない。
そうすると、本件発明3及び13は、甲3発明ではなく、甲3発明並びに甲1、2、4及び5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明3及び13に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
(3)本件発明6~10について
本件発明6~10は、本件発明1~3の各々を直接的又は間接的に引用する脈波測定装置の発明であるから、本件発明1~3と同様に、甲3発明ではなく、甲3発明並びに甲1、2、4及び5の記載事項に基づいて、当業者容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明6~10に係る特許は、特許法第29条1項及び第2項の規定に違反してされたものではない。
第8 36条関連の判断
1 取消理由2(明確性・サポート要件)について
上記第4の取消理由2で指摘した内容は、本件明細書の記載を参照すると、生体の状態は、検出された加速度に応じた動体情報に基づいて推定されることのみが記載され、脈波形、画像など、その他の手段によって、生体の状態を推定することについては記載されておらず、特に、脈波形から動体情報を得て、それにより生体の状態を推定することを含むことになると、「脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報」と「生体の状態に関する情報」との区別が不明確となる。そうすると、「生体の状態を推定する状態推定部」及び「生体の状態を推定する手順」において、生体の状態が検出された加速度に応じた動体情報に基づいて推定されることが特定されていない請求項に係る発明は、不明確であるとともに、発明の詳細な説明に記載されたものともいえないということである。
これに対し、上記第2の1で記載したように、本件訂正により上記事項が特定されていない請求項において、「生体の状態を推定する状態推定部」及び「生体の状態を推定する手順」が「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する状態推定部」及び「前記生体から検出された加速度に応じた動体情報に基づいて前記生体の状態を推定する手順」と訂正されたことから、もはや取消理由2は理由のないものとなった。
2 申立理由4(明確性)について
上記第5の申立理由4で指摘した内容は、請求項1及び11の「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」との事項は、「脈拍数に関する情報」および「変動に関する情報」のいずれか一方のみを出力すると解釈できるところ、本件明細書の【0062】の「本実施形態の脈波測定装置130は、パルスレートトレンド310および脈波ローレンツプロット320を同時に出力することにより、医療現場において、医師が被検者10の心臓の動きを早期に確認することを可能にするものである。」との記載によれば、両者を同時に出力することになっており、上記「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の少なくともいずれかと併せて」との記載の意味するところが明確でないということである。
これに対し、上記第2の1で記載したように、本件訂正により本件発明1及び11が「前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報と併せて」と訂正されたことから、もはや申立理由4は理由のないものとなった。
3 申立理由5(明確性)
上記第5の申立理由5で指摘した内容は、請求項4及び14の「生体が激しい運動をしている期間に取得された脈波信号の脈波形は滴切ではないと判断して」との事項があるが、「激しい」運動とは、どの程度の運動までを含むのか、不明確であるということである。
これに対し、上記第2の1で記載したように、本件訂正により請求項4及び14が削除されたことから、もはや申立理由の対象が存在しないものとなった。
4 意見書で追加された理由
(1)申立人は、意見書で以下の新たな取消理由を主張している。
訂正後の請求項2及び12の発明(本件発明2及び12)については、「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力し」としている一方で、「睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える」とある。すなわち、覚醒時と睡眠時の変動に関する情報を別々に並べて出力するといいながら、推定された睡眠状態に応じて、覚醒時と睡眠時の変動に関する状態のいずれかを非出力とすることもあり得ることになるが、そうであれば、覚醒時と睡眠時の変動に関する情報が別々に並べて出力されることにならず、これらの記載は矛盾している。
よって、訂正後の請求項2及び12の発明は不明確である。
(2)新たな取消理由に対する当審の判断
本件発明2及び12において「睡眠状態に応じて、前記脈拍数に関する情報および前記変動に関する情報の各々について、出力/非出力を切り替える」ことができるものであり、「覚醒時の前記変動に関する情報と、睡眠時の前記変動に関する情報とを別々に並べて出力」する際には、「覚醒時の前記変動に関する情報」と「睡眠時の前記変動に関する情報」とを「出力」に「切り替え」て出力状態にするということであり、技術的に想定されないことを特定しておらず、これらの記載が矛盾しているとはいえない。
よって、本件発明2及び12は不明確とはいえず、新たな取消理由は存在しない。
5 まとめ
したがって、本件発明1~3及び6~13に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。
第9 むすび
以上のとおり、本件発明1~3及び6~13に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1~3及び6~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4、5及び14に係る特許は、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4、5及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700355