特許異議申立
2023-700306
飛行体、情報記録方法、飛行体の制御方法、および制御プログラム
- 審判番号
- 2023-700306
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-068485
- 登録番号
- 7173746
- 請求日
- 2023年03月22日
- 審決日
- 2024年01月10日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日立造船株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 【異議申立人】中村 篤司
- 審判長/審判官
- 審判長 渋谷 善弘
- 審判官 刈間 宏信
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P1651.113-YAA(G05D) / P1651.121-YAA(G05D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7173746号発明「飛行体、情報記録方法、飛行体の制御方法、および制御プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7173746号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、9〕、7について訂正することを認める。
特許第7173746号の請求項2~6、8及び10に係る特許を維持する。
特許第7173746号の請求項1、7及び9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7173746号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成30年3月30日に出願され、令和4年11月8日にその特許権の設定登録がされ、同年11月16日に特許掲載公報が発行された。
その後の本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。
令和5年 3月22日 :特許異議申立人 中村篤司(以下「申立人」
という。)による請求項1~10に係る
特許に対する特許異議の申立て
同 年10月 5日付け:取消理由通知
同 年11月20~
27日 :特許権者日立造船株式会社(以下「特許権者
」という。)と審判官との電話による応対
同 年12月 8日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、令和5年12月8日にされた訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、以下の第2に示すとおり、特許異議申立てがされた請求項のうちの一部の請求項の削除のみを行うものであり、特許法120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるとき」に該当するので、申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、7及び9について訂正することを求めるものであって、その内容は、請求項1、7及び9を削除するというものである。
なお、訂正前の請求項1及び9について、請求項9は請求項1を引用しているものであって、請求項1が訂正されることに連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1及び9に対応する訂正後の請求項1及び9は、一群の請求項である。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更
の存否
本件訂正は、請求項1、7及び9を削除するものであるから、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、請求項1、7及び9を削除する訂正は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるから、本件訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に適合するものである。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1、9〕、7について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~10に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特許異議申立書の分説符号(B1~J2)に合わせて記載すると、以下のとおりである。
「 【請求項1】
(削除)
【請求項2】
B1 駆動制御に従って飛行する飛行体であって、
B2 飛行経路を学習するために当該飛行経路に沿って飛行する場合において、当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に上記飛行体から撮像された経路画像を取得する経路画像取得部と、
B3 上記経路画像と、上記駆動制御の内容を示す制御情報とを対応付けた制御対応情報を記録する経路学習部と、
B4 上記飛行経路に沿って移動する追尾対象を追尾するように上記飛行体を飛行させる追尾制御部と、を備え、
B5 上記経路画像取得部は、上記追尾制御部が、上記追尾対象を追尾するように上記飛行体を飛行させているときに上記経路画像を取得する、ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
C1 飛行経路に沿って自律飛行する飛行体であって、
C2 上記飛行体から撮像された撮像画像を取得する撮像制御部と、
C3 上記飛行体が上記飛行経路に沿って飛行するにおいて、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行った際に当該飛行体から過去に撮像された経路画像と、上記撮像画像とが一致したと判定したときに、上記駆動制御を行う飛行制御部と、を備え、
C4 上記経路画像は、過去に上記飛行体が上記飛行経路に沿って自律飛行できるように学習するために当該飛行経路に沿って飛行したときに、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行うたびに取得された画像であり、
C5 上記飛行制御部は、複数の上記経路画像のうち、上記撮像画像と一致した経路画像に対応する上記駆動制御を行う、ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
D1 上記飛行制御部は、上記撮像画像における所定の検出対象物の写り方と、上記経路画像における上記所定の検出対象物の写り方の相違に基づいて、上記経路画像が撮像された位置まで上記飛行体を飛行させることを特徴とする請求項3に記載の飛行体。
【請求項5】
E1 駆動制御に従って飛行する飛行体であって、
E2 飛行経路を学習するために当該飛行経路に沿って飛行する場合において、当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に上記飛行体から撮像された経路画像を取得する経路画像取得部と、
E3 上記経路画像と、上記駆動制御の内容を示す制御情報とを対応付けた制御対応情報を記録する経路学習部と、
E4 上記飛行経路に沿って飛行中の上記飛行体からの撮像画像から所定の指示体を検出すると共に、該指示体が指し示す指示対象物について所定の処理を行う処理実行部と、を備えていることを特徴とする飛行体。
【請求項6】
F1 駆動制御に従って飛行する飛行体であって、
F2 飛行経路を学習するために当該飛行経路に沿って飛行する場合において、当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に上記飛行体から撮像された経路画像を取得する経路画像取得部と、
F3 上記経路画像と、上記駆動制御の内容を示す制御情報とを対応付けた制御対応情報を記録する経路学習部と、
F4 上記飛行経路に沿って飛行中の上記飛行体からの撮像画像に写っている被写体の中からユーザが指定した指示対象物について所定の処理を行う処理実行部と、を備えていることを特徴とする飛行体。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
H1 飛行体を飛行経路に沿って自律飛行させるコンピュータによる飛行体の制御方法であって、
H2 上記飛行体から撮像された撮像画像を取得する撮像ステップと、
H3 上記飛行体が上記飛行経路に沿って飛行するにおいて、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行った際に当該飛行体から過去に撮像された経路画像と、上記撮像画像とが一致したと判定したときに、上記駆動制御を行う飛行制御ステップと、を含み、
H4 上記経路画像は、過去に上記飛行体が上記飛行経路に沿って自律飛行できるように学習するために当該飛行経路に沿って飛行したときに、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行うたびに取得された画像であり、
H5 上記飛行制御ステップでは、複数の上記経路画像のうち、上記撮像画像と一致した経路画像に対応する上記駆動制御を行う、ことを特徴とする飛行体の制御方法。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
J1 請求項3に記載の飛行体を動作させるための制御プログラムであって、
J2 上記飛行体が備えるコンピュータを、上記撮像制御部および上記飛行制御部として機能させる制御プログラム。」
(以下、本件特許の各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい、分説符号に対応する発明特定事項を「構成要件B1」などという。)
第4 当審で通知した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の本件発明1、7及び9は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2017-228111号公報)に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、訂正前の請求項1、7及び9に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
2 取消理由についての判断
上記第3のとおり、請求項1、7及び9は削除されているから、取消理由の対象は存在しない。
第5 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由について
本件発明2~6、8及び10に係る特許が、取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由によって取り消されるべきものであるか検討する。
1 特許異議申立理由の概要
本件特許異議の申立てにおいて、申立人が主張した特許異議申立理由のうち、令和5年10月5日付け取消理由通知に採用しなかった理由の概要は、次のとおりである。
ア 請求項2の特許異議申立理由
本件発明2は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証又は甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 請求項3、4、8及び10の特許異議申立理由
本件発明3、4、8及び10は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3、4、8及び10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
ウ 請求項5及び6の特許異議申立理由
本件発明5及び6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5及び6に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 申立人が提出した証拠
申立人が、特許異議申立書に添付して提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証:特開2017-228111号公報
甲第2号証:「DJI GS PRO 運用ガイドブック」、
株式会社セキド、2017年3月21日発行、
1~42ページ
甲第3号証:「SPARK ユーザーマニュアル V1.2」、
DJI JAPAN 株式会社、2017年6月発行、
1~56ページ
甲第4号証:特開2016-138854号公報
(以下、各甲号証を「甲1」などという。)
3 各甲号証の記載事項や各甲号証に記載された技術的事項等
(1)甲1の技術的事項
甲1の記載から、以下の技術的事項を理解できる。
事項1:甲1には、UAV(無人航空機)を目的地まで自動飛行させる技術が記載されている(【0001】)。
事項2:UAVの目的地には、荷物の配達先(【0002】)だけでなく、構造物やトンネルの内部などの検査目的の地点(【0104】)を選択できる。
事項3:甲1の自動飛行の技術は、第1の飛行シーケンス(【0033】)と第2の飛行シーケンス(【0035】)に分かれている。
事項4:第1の飛行シーケンスでは、操作者がリモートコントローラを操作して、UAV101を起点102から目的地103までマニュアル飛行させ、UAV101は、マニュアル飛行におけるUAV101の動き情報と、UAV101に搭載されている撮像装置によって撮像された画像から得られる画像特徴量とを対応付けてUAV101に記憶する(【0033】)。
また、上記の第1の飛行シーケンスで撮像された画像のデータを第1の飛行シーケンスの画像データということができる。
事項5:上記事項4の動き情報と画像特徴量のペアは、飛行情報として、UAV101の飛行情報記憶部460に記憶される(【0058】)。
事項6:飛行情報記憶部460は、画像特徴量の代わりに、画像データそのものを記憶することができる(【0062】)。
事項7:上記事項4の動き情報には、UAV101の進行方向や速度を選択できる(【0055】)。
事項8:UAV101の飛行制御部430は、UAV101の飛行を制御するが、リモートコントローラからの指示に基づいて飛行を制御することと、動き情報設定部480が決定する経路に沿った飛行を制御することができる(【0054】)。
事項9:UAV101の撮像制御部410は、所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させて画像を取得する(【0050】)。
事項10:第2の飛行シーケンスでは、第1の飛行シーケンスにおいて記憶された情報を用いて起点102から目的地103までUAV101を自動飛行させる制御が行われ(【0035】)、当該自動飛行は、動き情報設定部480が決定する経路に沿った飛行である(上記事項8)から、第1の飛行シーケンスは、動き情報設定部480が決定する経路に沿って第2の飛行シーケンスで自動飛行するためのものということができる。
事項11:第2の飛行シーケンスでは、UAV制御部310が、目的地103に到着したかを判定する(【0101】)から、UAV制御部310には、目的地103が記録されているといえる。
事項12:第2の飛行シーケンスで、撮像制御部410は、飛行情報記憶部460に記憶された撮像条件に一致するように撮像装置240を制御して撮像する(【0080】)から、その撮像による画像データを第2の飛行シーケンスの画像データということができる。
事項13:第2の飛行シーケンスで、動き情報設定部480は、飛行情報読み出し部470が飛行情報記憶部460から読み出した動き情報を補正ベクトルを用いて補正(【0087】)して、飛行制御部430は補正された動き情報に基づいてUAV101の飛行制御を行うところ、当該補正ベクトルは、第1の飛行シーケンスの画像(上記事項4)と第2の飛行シーケンスの画像(上記事項12)の差分から算出される(【0099】)。
(2)甲2の記載事項
甲2には以下の事項が記載されている。
ア 記載事項1
「自律飛行の発展
ドローンの飛行には「遠隔操作」と「自律飛行」があります。
・・・そして自律飛行は自動航行という事前プログラミングされたコースを飛行し様々な業務を行うことが可能になりました。」(2ページ1~8行)
イ 記載事項2
「ウェイポイント-航路指定とは?
複数指定した各ポイントを順に飛行し、ポイントごとに高度、機首方向、回転方向、ジンバル角度、アクションを設定可能です。A地点でビデオ撮影開始し、B地点では北を向きジンバル角度を下に向けC地点に向かい撮影終了など複雑なミッションを作成出来ます。
建設中の工事現場を複数地点で定点観測するミッションを作成し毎日記録していく事も容易になります。」(26ページ1~7行)
ウ 記載事項3
「設定ウィンドウ
ウェイポイント機能では全体設定と各ウェイポイント毎の詳細な設定が可能なため設定箇所は多くなっています。
各ウェイポイントでは更に15個までのアクションを設定できます。」(26ページ下から4~1行)
エ 記載事項4
「全体設定
飛行速度
各ウェイポイント間の移動速度を設定します。
手動を選択した場合は、スティックを前に倒した時のみ前進となりますので最高速度を指定します。
・・・
機首方向
機首(カメラ)方向を指定します。
・・・
手動制御
送信機で機首方向を飛行中に変更します。
この際、機体の進行方向は関係なく機首を制御出来ます。
ジンバルピッチ制御方法
カメラ角度の制御方法を選択します。
手動制御:飛行中に送信機のジンバル操作ダイヤルを使い制御します。
ウェイポイント毎に設定:各ウェイポイントでジンバル角度を設定します。」(27ページ1~23行)
(3)甲3の記載事項
甲3には以下の事項が記載されている。
ア 記載事項1
「ActiveTrack(アクティブトラック)
ActiveTrack(アクティブトラック)を使用すると、モバイルデバイスの画面で動く被写体をマークして追尾できます。追加の追尾デバイスは不要です。」(17ページ下から5~3行)
イ 記載事項2
「3.追尾したい被写体をタップした後、もう一度タップして選択を確定します。・・・追尾中はボックスが緑色に変わります。・・・
4.機体は飛行経路上の障害物を自動的に回避します。」(18ページ下から5~2行)
ウ 記載事項3
「トレース
機体は一定の距離を保って被写体を追尾します。」(19ページ左上欄1~2行)
(4)甲4の記載事項
甲4には以下の事項が記載されている。
「【0001】
この発明は、例えば、主に徒歩により移動する使用者によって利用されるナビゲーションシステム、当該ナビゲーションシステムで用いられる装置、方法、プログラムに関する。」
「【0007】
以上の点に鑑み、この発明は、ナビゲーション装置と、このナビゲーション装置の近傍の上空を飛行する飛行体とを連携させることによって、従来にない新たな機能を実現することを目的とする。」
「【0015】
[ナビゲーションシステムの全体構成]
図1は、この実施形態のナビゲーションシステムの全体構成を説明するための図である。この実施形態のナビゲーションシステムは、図1に示すように、歩行者である使用者(ユーザ)によって使用される歩行者用ナビゲーション装置(以下、単にナビゲーション装置と記載する。)1と飛行体2とにより構成される。この実施形態において、ナビゲーション装置1と飛行体2とは近距離無線通信により相互に通信を行うことができるようになっている。」
「【0018】
飛行体2は、ナビゲーション装置1と連携(協働)して機能するものである。飛行体2は、後述もするが、飛行機構部、GPS部、カメラ部等を備えたものである。そして、飛行体2は、ナビゲーション装置1からの指示に応じて飛行し、必要に応じてGPS部で取得した現在位置を示す情報やカメラ部を通じて撮影して得た撮影映像を、あるいは、画像認識処理を行ってその結果を、ナビゲーション装置1に提供できるものである。」
「【0023】
また、目的地までの経路において、先の状態を飛行体2のカメラ部を通じて撮影し、経路と対応付けてナビゲーション装置1の表示部に表示させることができる。このように、ナビゲーションを行っている経路と対応付けて、当該経路上の様子を示す飛行体2からの映像を、ナビゲーション装置1の表示部に表示させる機能を、この明細書では「画像連携」という。
【0024】
このように、この実施形態のナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と飛行体2とが連携して、従来にない新たな機能を実現する。そして、飛行体2は、ナビゲーション装置1を通じて遠隔制御できると共に、飛行体2は、ナビゲーション装置1との距離が予め定められた距離以上に離れないように、自動制御できるようになっている。」
「【0086】
そして、制御部102は、連携情報提供部121を制御し、図11(B)に示すように、例えば表示画面の上端側に、飛行体2から送信されてくる撮影映像を表示する。これにより、ナビゲーション装置1の使用者は、自分が辿るルートの状況を、飛行体2からの撮影映像により確認しながら目的地に向かうことができる。また、「画像連携」時においては、ナビゲーション装置1を通じて、例えば、進行方向右側、進行歩行左側、後方方向(進行方向とは逆の方向)の撮影映像の提供を飛行体2に要求することもできる。すなわち、ナビゲーション装置1を通じて、「画像連携」時の飛行体2の遠隔制御も可能である。これにより、障害物や通行混雑により、ルートの状況が確認できない場合に、飛行体2からの撮影映像により確認し、ルートの変更や休憩のタイミングなどを決めるのに役立たせることができる。」
4 請求項2の特許異議申立理由について
(1)甲1発明2
上記3(1)の甲1の技術的事項を、本件発明2の記載に合わせて整理すると、甲1には、本件発明2に対応する、次の発明が記載されているということができる。(なお、上記第3の分説符号に対応して、b1~b5の符号を付記する。)
「b1 飛行制御部430の制御に従って飛行するUAV101(上記事項8)であって、
b2 動き情報設定部480が決定する経路に沿って第2の飛行シーケンスで自動飛行するため(上記事項10)に当該経路に沿って第1の飛行シーケンスで飛行する場合において、当該経路に沿って飛行するための飛行制御部430の制御が行われる際に(上記事項8)所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた画像データ(上記事項6)を取得する撮像制御部410(上記事項9)と、
b3 上記画像データと、当該飛行制御部430の制御(上記事項8)の内容を示すUAV101の進行方向や速度(上記事項7)とをペアとした飛行情報を記憶する飛行情報記憶部460(上記事項5)と、を備えるUAV101。」
(以下「甲1発明2」という。)
(2)甲1発明2と本件発明2の対比
ア 構成要件b1及びB1について
甲1発明2の「UAV101」が、本件発明2の「飛行体」に相当することは明らかであり、甲1発明2の「飛行制御部430の制御」は、飛行体に相当するUAV101の飛行を制御することであるから、本件発明2の「駆動制御」に相当する。
イ 構成要件b2及びB2について
(ア)甲1発明2の「動き情報設定部480が決定する経路」は、UAV101が飛行する経路であるから、本件発明2の「飛行経路」に相当し、以下同様に、「動き情報設定部480が決定する経路に沿って第2の飛行シーケンスで自動飛行するため」は、「飛行経路を学習するため」に相当し、「当該経路に沿って第1の飛行シーケンスで飛行する場合」が「当該飛行経路に沿って飛行する場合」に相当する。
(イ)また、甲1発明2の「当該経路に沿って飛行するための飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた」ことは、所定の時間又は距離ごとに撮像することを意味するが、その撮像の際には、飛行制御部430の制御が行われているから、飛行制御部430の制御が行われる際に撮像することも意味するということができ、本件発明2の「当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に」「撮像された」ことに包含される。
(ウ)そして、甲1発明2の「被写体」は、UAV101が経路に沿って飛行する際の周囲の対象物であるから、甲1発明2の「被写体を撮像させた画像データ」は、本件発明2の「上記飛行体から撮像された経路画像」に相当する。
(エ)以上から、甲1発明2の「当該経路に沿って飛行するための飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた画像データ」は、本件発明2の「当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に上記飛行体から撮像された経路画像」に相当し、同様に、「撮像制御部410」が「経路画像取得部」に相当する。
ウ 構成要件b3及びB3について
甲1発明2の「上記画像データ」が、本件発明2の「上記経路画像」に相当することは、上記イ(エ)のとおりである。
また、甲1発明2の「当該飛行制御部430の制御の内容を示すUAV101の進行方向や速度」は、飛行制御部430がUAV101の進行方向や速度を制御することを意味するから、本件発明2の「上記駆動制御の内容を示す制御情報」に相当する。
そして、甲1発明の「ペアとした飛行情報」が、本件発明1の「対応付けた制御対応情報」に相当し、同様に、「記憶する飛行情報記憶部460」が「記録する経路学習部」に相当する。
エ 一致点及び相違点
したがって、本件発明2と甲1発明2は、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]
両発明は、
「駆動制御に従って飛行する飛行体であって、
飛行経路を学習するために当該飛行経路に沿って飛行する場合において、当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御が行われる際に上記飛行体から撮像された経路画像を取得する経路画像取得部と、
上記経路画像と、上記駆動制御の内容を示す制御情報とを対応付けた制御対応情報を記録する経路学習部を備える飛行体。」
である点(構成要件B1~B3)で一致する。
[相違点B]
本件発明2は、「上記飛行経路に沿って移動する追尾対象を追尾するように上記飛行体を飛行させる追尾制御部と、を備え」(構成要件B4)、「上記経路画像取得部は、上記追尾制御部が、上記追尾対象を追尾するように上記飛行体を飛行させているときに上記経路画像を取得する」(構成要件B5)ものであるのに対して、甲1発明2は、追尾制御部を備えておらず、経路画像取得部に相当する「撮像制御部410」は、追尾制御部が追尾対象を追尾するように飛行体を飛行させているときに経路画像を取得するものではない点。
(3)相違点Bの判断
甲3には、「アクティブトラック」、すなわち、モバイルデバイスの画面で被写体をマークすると、機体が一定の距離を保って被写体を追尾することが記載されている(上記3(3)ア~ウ)。
また、甲4には、歩行者用ナビゲーション装置1と飛行体2(甲4の【0015】)が連携して、飛行体2が、ナビゲーション装置1との距離が予め定められた距離以上に離れないように、自動制御できる(同【0024】)ことが記載されている。
しかし、甲1発明2には、UAV101が追尾する対象が存在しないから、甲1発明2に、甲3や甲4に記載された事項を適用する動機があるとはいえない。
すなわち、甲1発明2は、第2の飛行シーケンスで自動飛行するための経路に関する飛行情報を、第1の飛行シーケンスにおいて飛行情報記憶部に記憶させるものである(上記3(1)の事項4)ところ、第1の飛行シーケンスの飛行は、操作者がリモートコントローラで操作するものであって、甲1には、何らかの対象を追尾するように飛行することは記載も示唆もない。
また、甲3の「アクティブトラック」に係る追尾飛行や、甲4のナビゲーション装置1との距離が離れないような飛行は、甲1発明2の第1の飛行シーケンスのような、自動飛行の経路を記憶させるための飛行ではない。
したがって、甲1発明2に甲3又は甲4に記載された事項を適用する動機がないから、上記相違点Bは、甲1発明2、並びに甲3又は甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
また、甲2には、構成要件B4~B5に係る構成は示されておらず、上記相違点Bは、甲1発明2及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
(4)小括
以上から、本件発明2は、甲1発明2、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
5 請求項3の特許異議申立理由について
(1)甲1発明3
上記3(1)の甲1の技術的事項を、本件発明3の記載に合わせて整理すると、甲1には、本件発明3に対応する、次の発明が記載されているということができる。(なお、上記第3の分説符号に対応して、c1~c5の符号を付記する。)
「c1 動き情報設定部480が決定する経路に沿って第2の飛行シーケンスで自動飛行するUAV101であって、
c2 第2の飛行シーケンスで所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた第2の飛行シーケンスの画像データ(上記事項12)を取得する撮像制御部410(上記事項9)と、
c3 上記UAV101が上記経路に沿って飛行する第2の飛行シーケンスにおいて、当該経路に沿って飛行する第1の飛行シーケンスで飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた第1の飛行シーケンスの画像データ(上記事項4)と、上記第2の飛行シーケンスの画像データの差分から補正ベクトルを算出して動き情報を補正して飛行制御を行う飛行制御部430(上記事項13)と、を備え、
c4 上記第1の飛行シーケンスの画像データは、第1の飛行シーケンスで飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた画像データ(上記事項4)であり、
c5 上記飛行制御部430は、複数の上記第1の飛行シーケンスの画像データのうち、上記第2の飛行シーケンスの画像データとの差分から補正ベクトルを算出して動き情報を補正して飛行制御を行うUAV101。」
(以下「甲1発明3」という。)
(2)甲1発明3と本件発明3の対比
甲1発明3と本件発明3を対比すると、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]
両発明は、
「飛行経路に沿って自律飛行する飛行体であって、
上記飛行体から撮像された撮像画像を取得する撮像制御部と、を備える飛行体。」
である点(構成要件C1~C2)で一致する。
[相違点C1]
本件発明3は、「上記飛行体が上記飛行経路に沿って飛行するにおいて、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行った際に当該飛行体から過去に撮像された経路画像と、上記撮像画像とが一致したと判定したときに、上記駆動制御を行う飛行制御部と、を備え」(構成要件C3)、「上記飛行制御部は、複数の上記経路画像のうち、上記撮像画像と一致した経路画像に対応する上記駆動制御を行う」(構成要件C5)ものであるのに対して、甲1発明3は、「上記UAV101が上記経路に沿って飛行する第2の飛行シーケンスにおいて、当該経路に沿って飛行する第1の飛行シーケンスで飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた第1の飛行シーケンスの画像データと、上記第2の飛行シーケンスの画像データの差分から補正ベクトルを算出して動き情報を補正して飛行制御を行う飛行制御部430と、を備え」、「上記飛行制御部430は、複数の上記第1の飛行シーケンスの画像データのうち、上記第2の飛行シーケンスの画像データとの差分から補正ベクトルを算出して動き情報を補正して飛行制御を行う」ものである点。
[相違点C2]
本件発明3は、「上記経路画像は、過去に上記飛行体が上記飛行経路に沿って自律飛行できるように学習するために当該飛行経路に沿って飛行したときに、当該飛行体が当該飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行うたびに取得された画像」(構成要件C4)であるのに対して、甲1発明3は、「上記第1の飛行シーケンスの画像データは、第1の飛行シーケンスで飛行制御部430の制御が行われる際に所定の時間単位又は距離単位で撮像装置240に被写体を撮像させた画像データ」である点。
(3)相違点C1の判断
本件発明3は、構成要件C3及びC5に係る構成により、「過去に撮像された経路画像」と「撮像画像」(飛行経路に沿って自律飛行する飛行体から撮像された撮像画像)とが一致したと判定したときに、飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行うものであり、「過去に撮像された経路画像」と「撮像画像」が一致しない場合は、駆動制御を行わないものといえる。
これに対して、甲1発明3は、「過去に撮像された経路画像」に相当する「第1の飛行シーケンスの画像データ」と、「撮像画像」に相当する「第2の飛行シーケンスの画像データ」が一致するかどうかの判定は行っておらず、第1の飛行シーケンスの画像データと第2の飛行シーケンスの画像データの差分から補正ベクトルを算出して、動き情報を補正して飛行制御を行うものであるから、第1の飛行シーケンスの画像データと第2の飛行シーケンスの画像データが一致しない場合でも飛行制御が行われる。
そして、甲2~甲4には、本件発明3の構成要件C3及びC5に係る構成は示されておらず、甲1発明3において、構成要件c3及びc5に係る構成に換えて、本件発明3の構成要件C3及びC5に係る構成を採用する動機はないから、上記相違点C1は、甲1発明3、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
(4)相違点C2の判断
本件発明3は、「経路画像」(過去に撮像された経路画像)が「飛行経路に沿って飛行するための駆動制御を行うたびに取得された」もの、すなわち、過去に飛行体が飛行経路に沿って駆動制御を行うたびに、当該駆動制御を契機として経路画像が取得されるものである。
これに対して、甲1発明3は、「経路画像」に相当する「第1の飛行シーケンスの画像データ」が「所定の時間単位又は距離単位」で取得されるもの、すなわち、所定の時間が到来することや所定の距離を飛行することを契機として画像データが取得されるものであって、駆動制御を契機としてはいない。
そして、甲2~甲4には、駆動制御を契機として経路画像を取得することは示されておらず、甲1発明3において、構成要件c4に係る構成に換えて、本件発明3の構成要件C4に係る構成を採用する動機はないから、上記相違点C2は、甲1発明3、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
(5)小括
以上から、本件発明3は、甲1発明3、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項3に係る特許を取り消すことはできない。
6 請求項4の特許異議申立理由について
本件発明4は本件発明3を引用するものであり、甲1発明3と本件発明4を対比すると、少なくとも上記相違点C1及びC2の点で相違するから、本件発明3と同様に、本件発明4は、甲1発明3、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4に係る特許を取り消すことはできない。
7 請求項5の特許異議申立理由について
(1)甲1発明2と本件発明5の対比
本件発明5の構成要件E1~E3は、本件発明2の構成要件B1~B3と一致するから、甲1発明2と本件発明5を対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
[相違点E]
本件発明5は、「上記飛行経路に沿って飛行中の上記飛行体からの撮像画像から所定の指示体を検出すると共に、該指示体が指し示す指示対象物について所定の処理を行う処理実行部」(構成要件E4)を備えているのに対して、甲1発明2は、撮像画像に相当する「画像データ」から所定の指示体を検出すると共に、該指示体が指し示す指示対象物について所定の処理を行うような処理実行部を備えていない点。
(2)相違点Eの判断
甲2には、カメラ角度を制御する方法として、カメラのジンバル角度をウェイポイント毎に設定することが示されている(上記3(2)エ)。
しかし、甲2のカメラ角度の設定は、自律飛行の前に事前にプログラミングないし設定すること(上記3(2)ア~ウ)であって、本件発明5の構成要件E4に係る構成のように、「処理実行部」が「撮像画像から所定の指示体を検出する」ことにより行うものではない。
また、甲3~甲4には、本件発明5の構成要件E4に係る構成は示されておらず、甲1発明2において、本件発明5の構成要件E4に係る構成を採用する動機はないから、上記相違点Eは、甲1発明2、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
(3)小括
以上から、本件発明5は、甲1発明2、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項5に係る特許を取り消すことはできない。
8 請求項6の特許異議申立理由について
(1)甲1発明2と本件発明6の対比
本件発明6の構成要件F1~F3に係る構成は、本件発明2の構成要件B1~B3に係る構成と一致するから、甲1発明2と本件発明6を対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
[相違点F]
本件発明6は、「上記飛行経路に沿って飛行中の上記飛行体からの撮像画像に写っている被写体の中からユーザが指定した指示対象物について所定の処理を行う処理実行部」(構成要件F4)を備えているのに対して、甲1発明2は、撮像画像に相当する「画像データ」に写っている被写体の中からユーザが指定した指示対象物について所定の処理を行う処理実行部を備えていない点。
(2)相違点Fの判断
甲2には、カメラ角度を制御する方法として、カメラのジンバル角度をウェイポイント毎に設定することが示されている(上記3(2)エ)。
しかし、甲2のカメラ角度の設定は、自律飛行の前に事前にプログラミングないし設定すること(上記3(2)ア~ウ)であって、本件発明6の構成要件F4に係る構成のように、「撮像画像に写っている被写体の中から」ユーザが「指示対象物」を指定して行われるものではない。
また、甲3~甲4には、本件発明6の構成要件F4に係る構成は示されておらず、甲1発明2において、本件発明6の構成要件F4に係る構成を採用する動機はないから、上記相違点Fは、甲1発明2、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
(4)小括
以上から、本件発明6は、甲1発明2、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項6に係る特許を取り消すことはできない。
9 請求項8の特許異議申立理由について
本件発明8は、「飛行体」という物の発明である本件発明3に対応する「飛行体の制御方法」の発明であり、本件発明8の構成要件H1~H5に係る構成は、本件発明3の構成要件C1~C5に係る構成と、発明のカテゴリーが相違することに基づく表現上の相違を除けば一致する。
そして、甲1には、「UAV101」という物の発明である甲1発明3に対応する「UAV101の制御方法」の発明(以下「甲1の制御方法発明」という。)が実質的に記載されているといえる。
そして、甲1の制御方法発明と本件発明8を対比すると、上記相違点C1及びC2と同様の点で相違するといえるところ、当該相違点C1及びC2は、本件発明3について説示した理由(上記5(3))と同様の理由により、いずれも、甲1の制御方法発明、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものとはいえない。
したがって、本件発明8は、甲1の制御方法発明、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項8に係る特許を取り消すことはできない。
10 請求項10の特許異議申立理由について
本件発明10は、「飛行体」という物の発明である本件発明3を引用する「飛行体を動作させるための制御プログラム」に係る発明であるところ、甲1には、甲1発明3に係る「UAV101」を動作させるための制御プログラムの発明(以下「甲1の制御プログラム発明」という。)についても実質的に記載されているといえる。
そして、甲1の制御プログラム発明と本件発明10を対比すると、少なくとも上記相違点C1及びC2の点で相違するから、本件発明3と同様に、本件発明10は、甲1の制御プログラム発明、及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項10に係る特許を取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2~6、8及び10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件請求項2~6、8及び10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1、7及び9に係る特許は、訂正により削除された。これにより、特許異議の申立てについて、請求項1、7及び9に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700306