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特許異議申立

2023-700292

波長変換素子、波長変換素子の製造方法、光源装置及びプロジェクター

審判番号
2023-700292
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-220158
登録番号
7167906
請求日
2023年03月16日
審決日
2024年07月10日
公報発行日
2024年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】セイコーエプソン株式会社
  • 【権利者代理人】松沼 泰史
  • 【権利者代理人】大浪 一徳
  • 【権利者代理人】松本 裕幸
  • 【権利者代理人】佐藤 彰雄
  • 【権利者代理人】仲井 智至
  • 【権利者代理人】松岡 宏紀
  • 【権利者代理人】今村 真之
  • 【異議申立人】柴田 都
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 小島 寛史
  • 審判官 中塚 直樹
分類
P1652.113-YAA(G03B) / P1652.121-YAA(G03B) / P1652.537-YAA(G03B) / P1652.851-YAA(G03B) / P1652.853-YAA(G03B) / P1652.856-YAA(G03B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第44条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
データ出所
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特許第7167906号発明「波長変換素子、波長変換素子の製造方法、光源装置及びプロジェクター」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7167906号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14、16~17〕について訂正することを認める。 特許第7167906号の請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17に係る特許を維持する。 特許第7167906号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7167906号の請求項1~20に係る特許についての出願は、平成29年12月25日に出願された特願2017-247872号の一部を令和元年12月5日に特許法44条1項の規定に基づいて新たな特許出願とした特許出願であって(優先権主張 平成29年8月3日)、令和4年10月31日にその特許権の設定登録がされ、同年11月9日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和5年3月16日に、特許異議申立人柴田都(以下「申立人」という。)による請求項1~3、5、6、8~10、12、13、16、17に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和5年 3月16日 : 申立人による特許異議の申立て 同年 8月16日付け: 取消理由通知書 同年10月20日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書(以 下「先の訂正請求書」という。)の提出 同年11月 9日付け: 手続補正指令書(方式) 同年12月 8日 : 特許権者による手続補正書の提出 令和6年 2月 9日 : 申立人による意見書の提出 同年 3月27日付け: 取消理由通知書(決定の予告) 同年 5月29日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書(以 下「本件訂正請求書」という。)の提出 <補足> 1 補足1 本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求により、先の訂正請求書による訂正(以下「先の訂正」という。)の請求は取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。 2 補足2 本件訂正に係る請求について「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」(特許法120条の5第5項ただし書参照)がある場合に該当すると判断し、改めて申立人に意見書を提出する機会を与えないこととしたところ、その理由は次のとおりである。 本件訂正後の特許請求の範囲の記載を、先の訂正時の同記載と比較すると、本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、先の訂正時の請求項2において特定した事項を本件訂正後の請求項1に組み入れるとともに請求項2を削除し、そのほかの請求項において、他の請求項の引用関係を整合させたものである。そうすると、本件訂正の内容は、外形的には、特許請求の範囲の減縮及び請求項2の削除に伴う明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるが、実質的には、先の訂正請求時の請求項1の削除及び当該請求項の削除に伴う明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、先の訂正の請求に対して特許異議申立人は意見書を提出する機会が既に与えられているから、本件訂正の請求に対しては、実質的に意見書を提出する機会が与えられているといえる。 第2 本件訂正について 1 請求の趣旨 本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14、16~17について訂正することを求めるものである。 2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~14、16~17の記載(登録時における特許請求の範囲の記載)は、次のとおりである。 「【請求項1】 励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 を備え、 前記波長変換層は、内部に気孔を含み、 前記第2面は、凹部を有し、 前記第1層の一部は、前記凹部に設けられることを特徴とする波長変換素子。 【請求項2】 請求項1に記載の波長変換素子であって、 前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層と、 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、 をさらに備えることを特徴とする波長変換素子。 【請求項3】 請求項1または2に記載の波長変換素子であって、 基材をさらに備え、 前記第3層と前記基材との間に設けられる接合材により、前記波長変換層、前記第1層、前記第2層および前記第3層の積層体と前記基材とが固定されることを特徴とする波長変換素子。 【請求項4】 請求項1から3のいずれか一項に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第2の無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項5】 請求項2に記載の波長変換素子であって、 前記第3層と前記第4層との間に、金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備えることを特徴とする波長変換素子。 【請求項6】 請求項5に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項7】 請求項5に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項8】 励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、第1の金属または前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 前記第3層に対向して設けられ、前記第1の金属または前記第1の金属とは異なる第2の金属を含有する第4層と、 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、 を備え、 前記波長変換層は、内部に気孔を含み、 前記第2面は、凹部を有し、 前記第1層の一部は、前記凹部に設けられることを特徴とする波長変換素子。 【請求項9】 請求項8に記載の波長変換素子であって、 基材をさらに備え、 前記第3層と前記基材との間に設けられる接合材により、前記波長変換層、前記第1層、前記第2層および前記第3層の積層体と前記基材とが固定されることを特徴とする波長変換素子。 【請求項10】 請求項8または9に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第1の金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項11】 請求項8または9に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第2の無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項12】 請求項8から11のいずれか一項に記載の波長変換素子であって、 前記第3層と前記第4層との間に、前記第1の金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備えることを特徴とする波長変換素子。 【請求項13】 請求項12に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記第1の金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項14】 請求項12に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項16】 請求項1から15のいずれか一項に記載の波長変換素子と、 前記励起光を射出する光源と、 を備えることを特徴とする光源装置。 【請求項17】 請求項16に記載の光源装置と、 前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、 前記画像光を投写する投写光学系と、 を備えることを特徴とするプロジェクター。」 3 本件訂正後の特許請求の範囲の記載 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~14、16~17の記載は、次のとおりである。下線は訂正箇所である。 「【請求項1】 励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層と、 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、 を備え、 前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であって、 前記波長変換層は、内部に気孔を含み、 前記第2面は、凹部を有し、 前記第1層の一部は、前記凹部に設けられることを特徴とする波長変換素子。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 請求項1に記載の波長変換素子であって、 基材をさらに備え、 前記第3層と前記基材との間に設けられる接合材により、前記波長変換層、前記第1層、前記第2層および前記第3層の積層体と前記基材とが固定されることを特徴とする波長変換素子。 【請求項4】 請求項1または3に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第2の無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項5】 請求項1に記載の波長変換素子であって、 前記第3層と前記第4層との間に、金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備え、前記第6層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項6】 請求項5に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項7】 請求項5に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項8】 励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、第1の金属または前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 前記第3層に対向して設けられ、前記第1の金属または前記第1の金属とは異なる第2の金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層と、 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、 を備え、 前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であって、 前記波長変換層は、内部に気孔を含み、 前記第2面は、凹部を有し、 前記第1層の一部は、前記凹部に設けられることを特徴とする波長変換素子。 【請求項9】 請求項8に記載の波長変換素子であって、 基材をさらに備え、 前記第3層と前記基材との間に設けられる接合材により、前記波長変換層、前記第1層、前記第2層および前記第3層の積層体と前記基材とが固定されることを特徴とする波長変換素子。 【請求項10】 請求項8または9に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第1の金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項11】 請求項8または9に記載の波長変換素子であって、 前記第2層の前記第2の無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項12】 請求項8から11のいずれか一項に記載の波長変換素子であって、 前記第3層と前記第4層との間に、前記第1の金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備え、前記第6層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項13】 請求項12に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記第1の金属は、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする波長変換素子。 【請求項14】 請求項12に記載の波長変換素子であって、 前記第6層の前記無機酸化物は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物であることを特徴とする波長変換素子。 【請求項16】 請求項1または3から15のいずれか一項に記載の波長変換素子と、 前記励起光を射出する光源と、 を備えることを特徴とする光源装置。 【請求項17】 請求項16に記載の光源装置と、 前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、 前記画像光を投写する投写光学系と、 を備えることを特徴とするプロジェクター。」 4 本件訂正の内容 本件訂正は、一群の請求項〔1~14、16~17〕について特許請求の範囲の記載を訂正するものであって、以下に示す訂正事項1から訂正事項8までからなる。なお、訂正事項1、訂正事項5及び訂正事項6については、訂正事項1-1、1-2などのように、細分化した。 (1) 訂正事項1 訂正事項1は、請求項1の記載の訂正をするものであり、次の訂正事項1-1から訂正事項1-4までからなる(請求項1の記載を引用する請求項3~7、16、17も同様に訂正する。)。 ア 訂正事項1-1 請求項1における「前記第2面に対向して設けられ、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、」との記載を、「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、」と訂正する。 イ 訂正事項1-2 請求項1における「前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、」との記載の後に、改行した上で、次の記載を挿入する。 「 前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層と、」 ウ 訂正事項1-3 請求項1において、前記訂正事項1-2による挿入の訂正をした後で、改行をするとともに、次の記載を挿入する。 「 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、」 エ 訂正事項1-4 請求項1における「を備え、」との記載の後に、改行した上で、次の記載を挿入する。 「 前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であって、」 (2) 訂正事項2 請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 請求項3における「請求項1または2に記載の波長変換素子であって、」との記載を、「請求項1に記載の波長変換素子であって、」と訂正する。 (請求項3の記載を引用する請求項4、16、17も同様に訂正する。) (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4における「請求項1から3のいずれか一項に記載の波長変換素子であって、」との記載を、「請求項1または3に記載の波長変換素子であって、」と訂正する。 (請求項4の記載を引用する請求項16、17も同様に訂正する。) (5) 訂正事項5 訂正事項5は、請求項5の記載の訂正をするもので、次の訂正事項5-1及び訂正事項5-2からなる(請求項5の記載を引用する請求項6~7、16、17も同様に訂正する。) ア 訂正事項5-1 請求項5における「請求項2に記載の波長変換素子であって、」と記載されているのを、「請求項1に記載の波長変換素子であって、」と訂正する。 イ 訂正事項5-2 請求項5における「前記第3層と前記第4層との間に、金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備えることを特徴とする波長変換素子」との記載を、「前記第3層と前記第4層との間に、金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備え、前記第6層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であることを特徴とする波長変換素子」と訂正する。 (6) 訂正事項6 訂正事項6は、請求項8の記載の訂正をするもので、次の訂正事項6-1から訂正事項6-3までからなる(請求項8の記載を引用する請求項9~14、16、17も同様に訂正する。)。 ア 訂正事項6-1 請求項8における「前記第2面に対向して設けられ、第1の無機酸化物を含有する第1層と、」との記載を、「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、第1の無機酸化物を含有する第1層と、」と訂正する。 イ 訂正事項6-2 請求項8における「前記第3層に対向して設けられ、前記第1の金属または前記第1の金属とは異なる第2の金属を含有する第4層と、」との記載を、「前記第3層に対向して設けられ、前記第1の金属または前記第1の金属とは異なる第2の金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層と、」と訂正する。 ウ 訂正事項6-3 請求項8における「を備え、」との記載の後に、改行した上で、次の記載を挿入する。 「 前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であって、」 (7) 訂正事項7 請求項12における「前記第3層と前記第4層との間に、前記第1の金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備えることを特徴とする波長変換素子」との記載を、「前記第3層と前記第4層との間に、前記第1の金属または無機酸化物を含有する第6層をさらに備え、前記第6層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であることを特徴とする波長変換素子」と訂正する。 (請求項12の記載を引用する請求項13、14、16、17も同様に訂正する。) (8) 訂正事項8 請求項16における「請求項1から15のいずれか一項に記載の波長変換素子と、」との記載を、「請求項1または3から15のいずれか一項に記載の波長変換素子と、」と訂正する。 (請求項16の記載を引用する請求項17も同様に訂正する。) 第3 本件訂正の適否についての合議体の判断 1 訂正の目的 (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1-1 訂正事項1-1は、請求項1の「第1層」について「前記第2面に隣接する」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項1-2 訂正事項1-2は、「波長変換素子」が「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層」を備えることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項1-3 訂正事項1-3は、「波長変換素子」が「前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層」を備えることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項1-4 訂正事項1-4は、「第2層」について「前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 オ 訂正事項1の訂正の目的のまとめ 前記アからエのとおりであるから、訂正事項1は、全体として、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (2) 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (3) 訂正事項3 訂正事項3は、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項3が引用する請求項から請求項2を削除して「請求項1」とし、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (4) 訂正事項4 訂正事項4は、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項4が引用する請求項から請求項2を削除して「請求項1または3」とし、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (5) 訂正事項5 ア 訂正事項5-1 訂正事項5-1は、訂正事項1により、請求項1に訂正前の請求項2の発明特定事項を追加する訂正がされ、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項5が引用する請求項を「請求項2」から「請求項1」に改めて、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項5-2 訂正事項5-2は、「第6層」について、「前記第6層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜である」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項5の訂正の目的のまとめ 前記ア及びイのとおりであるから、訂正事項5は、全体として、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (6) 訂正事項6 ア 訂正事項6-1 訂正事項6-1は、「第1層」について、「前記第2面に隣接する」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項6-2 訂正事項6-2は、「第4層」について、「前記第3層の結晶化を促進する」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項6-3 訂正事項6-3は、「第2層」について、「前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項6の訂正の目的のまとめ 前記アからウまでのとおりであるから、訂正事項6は、全体として、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (7) 訂正事項7 訂正事項7は、「第6層」について、「前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜である」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (8) 訂正事項8 訂正事項8は、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項16が引用する請求項から請求項2を削除して「請求項1または3から15のいずれか一項」とし、引用関係を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 2 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更 訂正事項1~8の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、特許権の設定の登録がされた時点の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「登録時明細書」などといい、まとめて「登録時明細書等」という。)である。 (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1-1 訂正事項1-1は、次の(ア)及び(イ)に示す、登録時明細書の段落【0071】、【0076】の記載に基づくものであるから、訂正事項1-1は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 (ア) 段落【0071】 「【0071】 図3に示すように、蛍光体層42は、励起光BLsが入射されるとともに、蛍光YLが射出される光入射面42Aと、当該光入射面42Aに対向する面、すなわち、反射部材43が設けられる底面42Bとを備える。本実施形態において、蛍光体層42は特許請求の範囲に記載の「波長変換層」に相当し、光入射面42Aは特許請求の範囲に記載の「第1面」に相当し、底面42Bは特許請求の範囲に記載の「第2面」に相当する。」 (イ) 段落【0076】 「【0076】 多層膜50は、無機酸化物(第1の無機酸化物)を含有する層であり、蛍光体層42で生成された蛍光YLの臨界角以上の角度の光を全反射する全反射層50aと、増反射層50b、50c、50dとを含む。増反射層50b、50c、50dは、増反射効果を奏するためのものであり、蛍光YLの取り出し効率を向上させる。多層膜50は特許請求の範囲に記載の「第1層」に相当する。多層膜50(全反射層50a)は、蛍光体層42の底面42Bに当接または積層して設けられる。」 イ 訂正事項1-2及び訂正事項1-3 訂正事項1-2及び訂正事項1-3は、次の(ア)に示す、登録時特許請求の範囲の【請求項2】の記載、及び、後記の(イ)及び(ウ)に示す、登録時明細書の段落【0085】等の記載に基づくものであるから、訂正事項1-2及び訂正事項1-3は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 (ア) 【請求項2】 「請求項1に記載の波長変換素子であって、 前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層と、 前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、 をさらに備えることを特徴とする波長変換素子。」 (イ) 段落【0081】 「【0081】 反射層52は、蛍光体層42で生成され、底面42B側に向かう蛍光YLの一部を光入射面42A側に向けて反射する。また、反射層52は、蛍光体層42に入射し蛍光YLに変換されずに反射部材43に入射した励起光BLsを反射して蛍光体層42内に戻す。これにより、蛍光YLを効率良く生成できる。反射層52は特許請求の範囲に記載の「第3層」に相当する。」 (ウ) 段落【0085】~【0086】 「【0085】 第1保護層53a及び第2保護層53bは反射層52の保護機能を有する。第1保護層53aは、金属を含有する膜からなる。第1保護層53aは、例えば、Ni膜からなり、反射層52(Ag膜)の結晶化を促進し、耐久性を向上させることができる。 なお、第1保護層53aは、劣化防止膜51と同じ金属を含有する膜から形成されていても良い。すなわち、劣化防止膜51の材料としてTiを用いる場合、第1保護層53aの材料としてTiを用いていてもよい。 【0086】 また、第2保護層53bは、無機酸化物を含有する層からなる。第2保護層53bは、例えば、Al2O3からなり、反射層52(Ag膜)の酸化抑制と後述する接合補助層54との密着性を向上させることができる。 なお、第2保護層53bは、多層膜50の材料として、SiO2、TiO2、Al2O3を用いた場合に、これらの材料とは異なる材料を用いて構成してもよい。 本実施形態において、第1保護層53aは特許請求の範囲に記載の「第4層」に相当し、第2保護層53bは特許請求の範囲に記載の「第5層」に相当する。」 ウ 訂正事項1-4 訂正事項1-4は、次の(ア)~(ウ)に示す、登録時明細書の段落【0131】、【0133】等の記載に基づくものであるから、訂正事項1-4は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 (ア) 段落【0081】 「【0081】 反射層52は、蛍光体層42で生成され、底面42B側に向かう蛍光YLの一部を光入射面42A側に向けて反射する。また、反射層52は、蛍光体層42に入射し蛍光YLに変換されずに反射部材43に入射した励起光BLsを反射して蛍光体層42内に戻す。これにより、蛍光YLを効率良く生成できる。反射層52は特許請求の範囲に記載の「第3層」に相当する。」 (イ) 段落【0128】 「【0128】 (第二実施形態) 続いて、本発明の第二実施形態に係る波長変換素子について説明する。上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。」 (ウ) 段落【0131】~【0133】 「【0131】 本実施形態において、劣化防止膜151は透光性を有する無機酸化物(第2の無機酸化物)として、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物を含有する層からなる。劣化防止膜151は、後述するように反射層52の劣化を抑制するためのものである。劣化防止膜151は特許請求の範囲に記載の「第2層」に相当する。 【0132】 本実施形態において、劣化防止膜151は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物として、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ;SnO2:F)、ATO(アンチモンドープ酸化錫;SnO2:Sb)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛;ZnO:Al)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛;ZnO:Ga)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)から選択される少なくとも1種の金属を含有する。本実施形態では、劣化防止膜151の材料としてITOを用いた。ITOの膜厚としては、例えば1nm~20nm程度、より好ましくは3~15nm程度に設定される。膜厚が1nmより薄いと、反射層52の劣化抑制効果が低下し、膜厚が20nmより厚くなると透過率が低下するためである。 【0133】 すなわち、本実施形態によれば、劣化防止膜151の光透過性を確保した範囲内で厚さの大きい劣化防止膜151を反射層52上に形成することができる。反射層52は、劣化防止膜151に覆われるため、熱によるAg原子のマイグレーションが起こり難くなる。」 エ 訂正事項1全体として 前記ア~ウの検討結果を踏まえると、訂正事項1の訂正は、全体として、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項1の訂正は、全体として、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、訂正事項2の訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項3、4及び8 訂正事項3、4及び8は、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項3、4及び16が引用する請求項から請求項2を削除するものであるから、訂正事項3、4及び8の訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項3、4及び8の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (4) 訂正事項5 ア 訂正事項5-1 訂正事項5-1は、訂正事項1により、請求項1に訂正前の請求項2の発明特定事項を追加する訂正がされ、訂正事項2により請求項2を削除する訂正がされたことに伴い、請求項5が引用する請求項を「請求項2」から「請求項1」に改めるものであるから、訂正事項5の上記訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかである。 イ 訂正事項5-2 訂正事項5-2は、次の(ア)~(ウ)に示す、登録時明細書の段落【0140】~【0143】、【0148】~【0150】等の記載に基づくものであるから、訂正事項5の上記訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 (ア) 段落【0081】 「【0081】 反射層52は、蛍光体層42で生成され、底面42B側に向かう蛍光YLの一部を光入射面42A側に向けて反射する。また、反射層52は、蛍光体層42に入射し蛍光YLに変換されずに反射部材43に入射した励起光BLsを反射して蛍光体層42内に戻す。これにより、蛍光YLを効率良く生成できる。反射層52は特許請求の範囲に記載の「第3層」に相当する。」 (イ) 段落【0137】~【0143】 「【0137】 (第三実施形態) 続いて、本発明の第三実施形態に係る波長変換素子について説明する。第一実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。 【0138】 図7は本実施形態の波長変換素子240の要部構成を示す断面図である。具体的に、図7は反射部材243の断面を示す図である。 図7に示すように、波長変換素子240は、基材41の第1面41aと蛍光体層42との間に設けられた反射部材243を備えている。 【0139】 本実施形態の反射部材243は、蛍光体層42の底面42B側から順に、多層膜50と、第1劣化防止膜251と、反射層52と、第2劣化防止膜252と、第1保護層53aと、第2保護層53bと、接合補助層54とを積層して構成される。 【0140】 本実施形態において、第1劣化防止膜251および第2劣化防止膜252はそれぞれ金属を含有する層からなる。第1劣化防止膜251は特許請求の範囲に記載の「第2層」に相当し、第2劣化防止膜252は特許請求の範囲に記載の「第6層」に相当する。 【0141】 本実施形態において、第1劣化防止膜251および第2劣化防止膜252は、例えば、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有する。本実施形態では、第1劣化防止膜251および第2劣化防止膜252の材料としてそれぞれTiを用いた。なお、第1劣化防止膜251および第2劣化防止膜252としての材料は互いに異なっていてもよい。 【0142】 本実施形態において、第1劣化防止膜251および第2劣化防止膜252各々を構成する元素(Ti)の凝集エネルギーは、反射層52を構成する元素(Ag)の凝集エネルギーよりも大きくなっている。 【0143】 本実施形態において、反射層52は、光入射側および光射出側に凝集エネルギーの大きいTiが設けられるため、Ag原子のマイグレーションがより起こり難くなる。したがって、第一実施形態の構成に比べて、マイグレーションによる凝集の発生がより低減される。」 (ウ) 段落【0145】~【0150】 「【0145】 (第四実施形態) 続いて、本発明の第四実施形態に係る波長変換素子について説明する。第二実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。 【0146】 図8は本実施形態の波長変換素子340の要部構成を示す断面図である。具体的に、図8は反射部材343の断面を示す図である。 図8に示すように、波長変換素子340は、基材41の第1面41aと蛍光体層42との間に設けられた反射部材343を備えている。 【0147】 本実施形態の反射部材343は、蛍光体層42の底面42B側から順に、多層膜50と、第1劣化防止膜351と、反射層52と、第2劣化防止膜352と、第1保護層53aと、第2保護層53bと、接合補助層54とを積層して構成される。 【0148】 本実施形態において、第1劣化防止膜351および第2劣化防止膜352はそれぞれ金属を含有する層からなる。第1劣化防止膜351は特許請求の範囲に記載の「第2層」に相当し、第2劣化防止膜352は特許請求の範囲に記載の「第6層」に相当する。 【0149】 本実施形態において、第1劣化防止膜351および第2劣化防止膜352は、酸化物導電体材料またはアモルファス導電性酸化物として、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ;SnO2:F)、ATO(アンチモンドープ酸化錫;SnO2:Sb)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛;ZnO:Al)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛;ZnO:Ga)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)から選択される少なくとも1種の金属を含有する。 本実施形態では、第1劣化防止膜351および第2劣化防止膜352の材料としてそれぞれITOを用いた。なお、第1劣化防止膜351および第2劣化防止膜352としての材料は互いに異なっていてもよい。 【0150】 本実施形態において、反射層52は、光入射側および光射出側にITO膜が設けられるため、Ag原子のマイグレーションがより起こり難くなる。したがって、第二実施形態の構成に比べて、マイグレーションによる凝集の発生がより低減される。」 ウ 訂正事項5全体として 前記ア及びイに検討したとおりであるから、訂正事項5の訂正は、全体として、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項5の訂正は、全体として、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (5) 訂正事項6 ア 訂正事項6-1 訂正事項6-1は、前記(1)アにおいて検討したのと同様に、登録時明細書の段落【0071】、【0076】の記載に基づくものであるから、訂正事項6-1は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 イ 訂正事項6-2 訂正事項6-2は、前記(1)イにおいて検討したのと同様に、登録時明細書の段落【0085】等の記載に基づくものであるから、訂正事項6-2は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 ウ 訂正事項6-3 訂正事項6-3は、前記(1)ウにおいて検討したことに加え、次に示すとおり、登録時明細書の段落【0084】等の記載に基づくものであるから、訂正事項6-3は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 「【0079】 本実施形態において、劣化防止膜51は金属を含有する層からなる。劣化防止膜51は、後述するように反射層52の劣化を抑制するためのものである。劣化防止膜51は特許請求の範囲に記載の「第2層」に相当する。 【0080】 本実施形態において、劣化防止膜51は、例えば、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属(第1の金属)を含有する。本実施形態では、劣化防止膜51の材料としてTiを用いた。膜厚としては、例えば0.1nm~5nm程度に設定される。膜厚が0.1nmより薄いと、反射層52の劣化抑制効果が低下し、膜厚が5nmより厚くなると透過率が低下するためである。 【0081】 反射層52は、蛍光体層42で生成され、底面42B側に向かう蛍光YLの一部を光入射面42A側に向けて反射する。また、反射層52は、蛍光体層42に入射し蛍光YLに変換されずに反射部材43に入射した励起光BLsを反射して蛍光体層42内に戻す。これにより、蛍光YLを効率良く生成できる。反射層52は特許請求の範囲に記載の「第3層」に相当する。 【0082】 反射層52の材料としては、AgまたはAlを用いた。本実施形態では、より高い反射率を得るAgを反射層52の材料として用いた。なお、反射層52にAgを用いる場合には、劣化防止膜51は、例えば、Al、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有する。また、反射層52にAlを用いる場合には、劣化防止膜51は、例えば、Ni、Ti、W、Nbから選択される少なくとも1種の金属を含有する。 【0083】 本実施形態において、劣化防止膜51を構成する元素(Ti)の凝集エネルギーは、反射層52を構成する元素(Ag)の凝集エネルギーよりも大きくなっている。ここで、凝集エネルギーが大きいとは、凝集を生じさせるためにより大きなエネルギーが必要になることを意味する。 【0084】 凝集エネルギーの大きいTiが光入射側に形成された反射層52は、Tiの作用によって熱によるAg原子のマイグレーションが起こり難くなるので、マイグレーションによる凝集の発生が低減される。すなわち、反射層52は、凝集の発生に伴う反射率の低下及び耐久性の低下が抑制されたものとなる。本実施形態の反射部材43によれば、劣化防止膜51を備えるので、反射層52の劣化を低減することができる。」 エ 訂正事項6全体として 前記ア~ウに検討したとおりであるから、訂正事項6の訂正は、全体として、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項6の訂正は、全体として、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 (6) 訂正事項7 訂正事項7は、前記(4)イにおいて検討したのと同様に、登録時明細書の段落【0140】~【0143】、【0148】~【0150】等の記載に基づくものであるから、訂正事項7の上記訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。 そうすると、訂正事項7の訂正は、登録時明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項7の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。 3 独立特許要件 (1) この特許異議の申立てにおいては、請求項1~3、5、6、8~10、12、13、16、17について特許異議の申立てがされているところ、本件訂正により削除された請求項2を除く、訂正後の請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16、17については、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。 (2)ア 一方、請求項4、7、11及び14については、特許異議の申立てがされていないところ、次の(ア)から(エ)に示すとおり、訂正事項1、5~7により訂正される請求項であり、これらの訂正事項は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件が課される。 (ア) 訂正事項1により訂正される訂正後の請求項 4、7 (イ) 訂正事項5により訂正される訂正後の請求項 7 (ウ) 訂正事項6により訂正される訂正後の請求項 11、14 (エ) 訂正事項7により訂正される訂正後の請求項 14 イ そこで、訂正後の請求項4、7、11及び14について、独立特許要件を検討すると、訂正後の請求項4及び7は訂正後の請求項1の発明特定事項を全て含み、訂正後の請求項11及び請求項14は訂正後の請求項8の発明特定事項を全て含むところ、後記第5において検討するとおり、訂正後の請求項1及び訂正後の請求項8は、申立人の提出した甲1号証~甲4号証の文献、並びに、取消理由通知(決定の予告)で引用した引用文献1及び2に基づいては、新規性・進歩性が欠如するとはいえず、また、ほかにこれらの特許を取り消すべき理由を発見しないから、訂正後の請求項4、7、11及び14は独立特許要件を満たすものと認める。 4 訂正の適否についての判断のまとめ 前記1及び2において検討したとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 そして、前記3において検討したとおり、特許異議の申立てがされた請求項1~3、5、6、8~10、12、13、16、17のうち、本件訂正により削除された請求項2を除く訂正後の請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16、17については、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は課されず、特許異議の申し立ての対象でない、訂正後の請求項4、7、11及び14については、同項の規定する要件を満たすものと認められる。 よって、前記結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14、16~17〕について訂正することを認める。 第4 取消理由の概要 令和6年3月27日付けの取消理由通知書(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1 (新規性の欠如)請求項1及び3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において発行された下記の甲2文献に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1及び3に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 2 (進歩性の欠如)請求項1、3、16及び17に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3、16及び17に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである(甲2文献又は甲1文献が主たる引用文献である。)。 記 甲1文献:国際公開第2016/161557号 甲2文献:国際公開第2016/158089号 引用文献1:特開2016-58638号公報 引用文献2:国際公開第2012/141031号 第5 当合議体の判断 1 本件発明について 前記第3のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1、3~14、16~17に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件発明1」などという。)は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3~14、16~17に記載された事項により特定されるとおりのものである(請求項1、3~14、16~17の記載は、前記第2の3を参照)。 以下、特許異議の申立ての対象となった請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17について取消理由の有無を検討する。 2 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について (1) 引用文献に記載された発明等 ア 甲2文献 (ア) 甲2文献の記載事項 甲2文献(国際公開第2016/158089号)には、次の記載がある。なお、下線は合議体が付した。以下ほかの文献についても同様である。 a [0012]~[0020]、[図1]、[図2] 「[0012] 以下、本発明の蛍光光源装置の実施の形態について説明する。 図1は、本発明の蛍光光源装置の構成の一例の概略を示す説明図であり、図2は、図1の蛍光光源装置における蛍光発光部材および放熱基板の具体的な構成を示す説明用分解図である。 この蛍光光源装置10は、図1に示すように、例えば半導体レーザよりなる励起光源11と、励起光源11からの励起光によって蛍光を出射する蛍光板21を有する蛍光発光部材20とを備え、これらが互いに離間して配設されたものである。また、蛍光光源装置10には、蛍光発光部材20の裏面側(図1および図2における下面側)に、放熱基板22が設けられている。 この図の例において、蛍光発光部材20は、励起光源11に対向するよう、当該励起光源11の光軸に対して傾斜した姿勢で配置されている。」 「 [図:0001415263000001.jpg] [図:0001415263000002.jpg] 」 「[0013] 蛍光発光部材20は、平板状の蛍光板21の表面(図1および図2における上面)が、励起光入射面とされていると共に蛍光出射面とされたものである。 この蛍光発光部材20は、平板状の放熱基板22の表面(図1および図2における上面)に、蛍光板21の裏面(図1および図2における下面)が、当該放熱基板22の表面に対向した状態で配置されて接合されている。そして、放熱基板22と蛍光発光部材20との間には、矩形平板状の接合部材層26が形成されている。すなわち、蛍光発光部材20と放熱基板22とは、接合部材層26によって接合されている。 また、蛍光発光部材20は、蛍光板21の表面が、励起光源11に対向するように配置されている。 [0014] 蛍光板21は、励起光によって励起されて蛍光を放射する蛍光体を含有する板状体である。 また、蛍光板21は、蛍光体と金属酸化物とからなる板状体、具体的には、蛍光体と金属酸化物との混合物の焼結体であって、金属酸化物の粒子からなる部分(以下、「金属酸化物部分」ともいう。)と蛍光体の粒子からなる部分(以下、「蛍光体部分」ともいう。)とが混在し、表面に金属酸化物部分が露出した状態の板状体であることが好ましい。 [0015] 蛍光板21が、蛍光体と金属酸化物とからなるもの、すなわち金属酸化物部分と蛍光体部分とが混在し、表面に金属酸化物部分が露出したものであることにより、当該蛍光板21に接触した状態で積層される蛍光発光部材20の構成部材(この図の例においては、後述する反射積層体30および接着層38)との間に高い密着性が得られる。 また、蛍光板21が蛍光体と金属酸化物とからなるものであることによれば、蛍光板21の内部に入射した励起光および蛍光の導光が制御されることから、蛍光出射面における発光領域が小さくなり発光輝度が向上する。また、蛍光板21の内部において、或る蛍光体部分に入射したものの吸収されることのなかった励起光の進行方向が当該蛍光体部分と金属酸化物部分との界面において変更される。そして、その或る蛍光体部分に入射したものの吸収されることのなかった励起光の一部は、他の蛍光体部分に向かって進行する。そのため、励起光を蛍光に変換するための光路長が長くなり、励起光が蛍光体部分に吸収される確率が高くなる。その結果、蛍光板21の内部に入射した励起光を有効に利用して、高い効率で蛍光に変換することができる。また、或る蛍光体部分から放射された蛍光の進行方向が他の蛍光体部分と金属酸化物部分との界面において変更されることから、蛍光が蛍光板21の内部に閉じ込められることが抑制される。その結果、蛍光発光部材20においては、蛍光板21の内部において生じた蛍光を有効に利用して、高い効率で外部に出射することができる。 [0016] 蛍光板21において、蛍光体としては、多結晶の蛍光体が用いられる。 蛍光板21を構成する蛍光体が多結晶の蛍光体であることにより、蛍光板21が高い熱伝導性を有するものとなる。そのため、蛍光板21においては励起光の照射によって発生した熱が効率よく排熱されることから、蛍光板21が高温となることが抑制される。その結果、蛍光板21においては、蛍光体において温度消光が生じることに起因する蛍光光量の低減を抑制することができる。 ここに、蛍光板21を構成する多結晶の蛍光体は、例えば以下のようにして得ることができる。先ず、母材、賦活材、金属酸化物および焼成助剤などの原材料をボールミルなどによって粉砕処理することによって、サブミクロン以下の原材料微粒子を得る。次いで、この原材料微粒子を用い、例えばスリップキャスト法によって成形体を形成して焼結する。その後、得られた焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施すことによって、気孔率が例えば0.5%以下の多結晶の蛍光体が得られる。 [0017] 蛍光板21を構成する蛍光体は、無機蛍光体、具体的には希土類元素を発光イオン(賦活材)としてドープした複合酸化物よりなるものであることが好ましい。 [0018] 蛍光板21において、蛍光体の含有割合は、例えば20~80質量%である。 また、蛍光体の粒子の粒径(平均粒径)は、例えば1~10μmである。 [0019] 蛍光板21において、金属酸化物としては、排熱性(熱伝導性)および蛍光体との密着性などの観点から、酸化アルミニウム(Al2O3)などが用いられる。 [0020] このような構成の蛍光板21は、例えば、適宜の粒径を有する蛍光体の粒子と、酸化アルミニウム(Al2O3)の粒子とを混合し、その混合物をプレスした後、焼成することによって製造することができる。 蛍光板21の材質の具体例としては、Al2O3/YAG:Ce、Al2O3/YAG:Pr、Al2O3/YAG:Sm、Al2O3/LuAG:Ceなどが挙げられる。このような蛍光板21の蛍光体において、希土類元素(賦活材)のドープ量は、0.5mol%程度である。」 b [0025]~[0047] 「[0025] 放熱基板22は、蛍光発光部材20(具体的には、蛍光板21)において発生した熱を排熱するものである。 この放熱基板22は、高熱伝導性を有すると共に、蛍光板21との熱膨張係数の差が小さい材料よりなるものであることが好ましい。 具体的には、放熱基板22の構成材料の熱膨張係数は蛍光板21の構成材料の熱膨張係数以上であり、その熱膨張率の差は9×10-6〔1/K〕以下であることが好ましい。 放熱基板22の構成材料と蛍光板21の構成材料との熱膨張係数の差が9×10-6〔1/K〕以下であることによれば、蛍光板21の動作時温度を150℃以下に設定することにより、蛍光光源装置10の製造工程において、蛍光発光部材20と放熱基板22との接合部材(具体的には、スズを含有する半田)による接合温度が100℃程度となる。そのため、蛍光光源装置10の動作時においては、蛍光板21に圧縮応力が発生した状態となることから、蛍光板21と放熱基板22との間に、熱膨張に起因する剥離が生じることがない。 [0026] 放熱基板22の構成材料としては、銅(Cu)およびモリブデンと銅との合金(Mo-Cu)などの金属が用いられる。 ここに、放熱基板22の構成材料として用いられる銅の熱膨張係数は16.5×10-6〔1/K〕であり、モリブデンと銅との合金(銅(Cu)の含有割合30質量%)の熱膨張係数は8.6×10-6〔1/K〕である。一方、蛍光板21の構成材料として用いられるYAGの熱膨張係数は8.6×10-6〔1/K〕である。 図の例において、放熱基板22は、銅よりなるものである。 [0027] 放熱基板22において、厚みは、放熱特性を考慮して適宜に定めればよく、例えば0.5~5.0mmである。 また、放熱基板22の表面の面積は、図1および図2に示されているように、排熱性などの観点から、蛍光板21の裏面の面積よりも大きいことが好ましい。 また、放熱基板22は、放熱フィンの機能を兼ね備えたものであってもよい。 この図の例において、放熱基板22の厚みは2mmである。 [0028] また、放熱基板22には、接合部材層26との接合性の観点から、図2に示されているように、当該放熱基板22の表面に、保護膜層23および半田濡れ膜層24がこの順に積層された金属膜が形成されていることが好ましい。 この金属膜において、保護膜層23は、例えばワット浴によるめっき法によって形成されたニッケル(Ni)膜よりなり、半田濡れ膜層24は、例えばワット浴によるめっき法によって形成された金(Au)膜よりなる。 この図の例において、放熱基板22は、外表面全面(表面、裏面および周側面)が、保護膜層23および半田濡れ膜層24よりなる金属膜で覆われてなるものである。この金属膜を構成する各層の厚みは、保護膜層23が2.5μm、半田濡れ膜層24が0.03μmである。 [0029] 蛍光板21の裏面側、具体的には蛍光板21と放熱基板22との間には、蛍光板21の裏面に沿って延びるように、銀反射膜または銀を主体とする銀合金反射膜よりなる平板状の反射層31が設けられている。すなわち、蛍光板21の裏面には、反射層31が対向配置されている。このように、蛍光板21は、裏面側に高反射特性を有する銀または銀合金よりなる反射層31が設けられることにより、裏面に高反射機能を有するものとされている。 この図の例において、反射層31と蛍光板21との間には、金属酸化物多層膜よりなる増反射部32が、蛍光板21の裏面に密着した状態で設けられている。すなわち、蛍光板21の裏面には、増反射部32と反射層31とがこの順に設けられている。この増反射部32を構成する金属酸化物多層膜は、二酸化ケイ素(SiO2)層32Aと酸化チタン(TiO2)層32Bとを有するものである。ここに、増反射部32を構成する金属酸化物多層膜の厚みは、350nmである。この金属酸化物多層膜を構成する二酸化ケイ素層32Aおよび酸化チタン層32Bを含む積層膜(具体的には、二酸化ケイ素層32A、酸化チタン層32B、反射層31および後述する、反射層31の表面および裏面の各々に密着した状態の接着性改善層35A,35Bよりなる積層膜)は、電子ビーム蒸着法によって作製される。具体的には、露光によってパターニングしたレジストが配設された蛍光板21の面上に、電子ビーム蒸着法によって積層膜を成膜する。その後、レジストをリフトオフによって取り除き作製されたものである。また、増反射部32の表面(図2における上面)は、その全面が蛍光板21の裏面の中央部に対向接触している。 [0030] 反射層31は、その厚みが例えば110~350nmのものである。 また、反射層31の表面(図1および図2における上面)の面積は、励起光および蛍光の有効利用性の観点から、蛍光板21の裏面の面積以下であることが好ましい。 この図の例において、反射層31の表面は、蛍光板21の裏面の寸法よりも僅かに小さな寸法を有しており、その全面が蛍光板21の裏面の中央部に対向している。 [0031] また、反射層31において、当該反射層31の表面には、接着性改善層(以下、「上面側接着性改善層」ともいう。)35Aが、当該表面に密着した状態でその全面を覆うように設けられている。また、反射層31の裏面(図2における下面)には、接着性改善層(以下、「下面側接着性改善層」ともいう。)35Bが、当該裏面に密着した状態でその全面を覆うように設けられている。 反射層31の表裏面の各々に接着性改善層35A,35Bが設けられていることにより、反射層31と、当該接着性改善層35A,35Bを介して反射層31に積層される蛍光発光部材20の構成部材との間に高い密着性が得られる。 この図の例において、上面側接着性改善層35Aの上面(図2における上面)には、増反射部32が密着した状態で配設されている。すなわち、上面側接着性改善層35Aと蛍光板21との間においては、増反射部32が、上面側接着性改善層35Aおよび蛍光板21の各々に密着した状態とされている。そして、反射層31と接着性改善層35A,35Bと増反射部32とによって反射積層体30が構成されている。 [0032] 接着性改善層35A,35Bは、酸化アルミニウム(Al2O3)よりなるものである。 [0033] また、接着性改善層35A,35Bは、その厚みが1μm以下のものであることが好ましい。 接着性改善層35A,35Bの厚みが1μmを超える場合には、接着性改善層35A,35Bが熱伝導性の低いものとなり、蛍光光源装置10の動作時における蛍光板21の温度が高くなる。そのため、蛍光体において温度消光が生じることに起因して十分な蛍光光量を得ることができなくなる。 この図の例において、上面側接着性改善層35Aの厚みは50nmであり、下面側接着性改善層35Bの厚みは50nmである。 [0034] そして、反射積層体30には、反射層31における裏面および周側面を覆うように封止層37が設けられている。 また、反射積層体30と封止層37との間、および蛍光板21の裏面の周縁と封止層37との間には、封止層37を、反射積層体30および蛍光板21に接着するための接着層38が設けられている。すなわち、接着層38は、反射積層体30における裏面および周側面と、蛍光板21の裏面の周縁と、封止層37とに密着した状態で設けられている。 このようにして、蛍光板21の裏面において、封止層37が接着層38を介して反射積層体30に密着して設けられており、この封止層37と接着層38と蛍光板21とにより、反射積層体30の封止構造が形成されている。 [0035] 蛍光板21と封止層37と接着層38とによって反射積層体30の封止構造が形成されていることにより、反射積層体30における構成層の剥がれが防止され、また、蛍光光源装置10の動作時において、反射積層体30が動作環境雰囲気にさらされることを防止できることから、蛍光発光部材20が優れた耐候性および耐湿性を有するものとなる。その結果、反射層31の蛍光板21からの剥離、並びに反射層31の酸化および硫化による表面劣化を防止することができる。 また、反射積層体30の封止構造が形成されていることによれば、反射積層体30が、蛍光発光部材20の形成過程(具体的には、反射積層体30の封止構造を形成した後における蛍光発光部材20の構成層の形成過程)、および蛍光発光部材20と放熱基板22との接合過程などの蛍光光源装置10の製造工程における製造環境雰囲気にさらされることを防止できる。そのため、蛍光光源装置10において、反射積層体30が所期の反射機能を有するものとなる。 [0036] 封止層37は、ニッケルまたはインジウムからなるものであり、耐候性の観点からはニッケルからなるものであることが好ましい。 また、封止層37は、その厚みが、例えば0.5μm以下とされる。 この封止層37は、スパッタ蒸着法などによって形成される。 この図の例において、封止層37は、ニッケルからなるものであり、当該封止層37の厚みは110nmである。 [0037] 接着層38は、クロム、クロム合金またはチタンからなるものであり、特に封止層37がニッケルからなるものである場合には、当該封止層37との密着性の観点からクロムからなるものであることが好ましい。 この接着層38は、反射積層体30と封止層37との間および蛍光板21と封止層37との間の各々において、例えば50nmの厚みを有するものである。 また、接着層38は、スパッタ蒸着法などによって形成される。 この図の例において、接着層38は、クロムよりなるものである。また、蛍光板21の裏面における接着層38が密着した領域、すなわち蛍光板21の裏面の周縁は、金属よりなる接着層38が密着して設けられることにより、反射機能を有するものとされている。 すなわち、蛍光板21の裏面は、中央が高反射機能を有し、周縁が反射機能を有するものとされている。このことによって、蛍光板21の裏面の周縁における蛍光の吸収が少なくなる。そのため、蛍光発光部材20においては、蛍光板21で発生した蛍光を効率よく取り出すことができる。 …(中略)… [0047] このような構成の蛍光光源装置10においては、励起光源11から出射された励起光は、蛍光板21の表面(励起光入射面)に照射され、当該蛍光板21に入射する。そして、蛍光板21においては、当該蛍光板21を構成する蛍光体が励起される。これにより、蛍光板21において蛍光体から蛍光が放射される。この蛍光は、蛍光体に吸収されずに蛍光板21の裏面において反射層31によって反射された励起光と共に蛍光板21の表面(蛍光出射面)から外部に出射され、蛍光光源装置10の外部に出射される。」 (イ) 甲2文献に記載された発明の認定 a 甲2文献の[0029]の記載を参酌すると、[図2]から、次の事項が見て取れる。 「増反射部32は、蛍光板21の裏面から、二酸化ケイ素(SiO2)層32A、酸化チタン(TiO2)層32B、二酸化ケイ素(SiO2)層32Aの順に積層されてなること。」 b 前記(ア)の記載事項及び前記aの認定事項を総合すると、甲2文献には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 <甲2発明> 「蛍光発光部材20であって、([0012]) 励起光によって蛍光を出射する蛍光板21を有し、([0012]) 平板状の蛍光板21の表面が、励起光入射面とされているとともに蛍光出射面とされたものであり、 蛍光発光部材20は、平板状の放熱基板22の表面に、蛍光板21の裏面が、当該放熱基板22の表面に対向した状態で配置されて接合されており、 放熱基板22と蛍光発光部材20との間には、矩形平板状の接合部材層26が形成され、蛍光発光部材20と放熱基板22とは、接合部材層26によって接合されており、([0013]) 蛍光板21の裏面側、具体的には蛍光板21と放熱基板22との間には、蛍光板21の裏面に沿って延びるように、銀反射膜または銀を主体とする銀合金反射膜よりなる平板状の反射層31が設けられており、 反射層31と蛍光板21との間には、金属酸化物多層膜よりなる増反射部32が、蛍光板21の裏面に密着した状態で設けられており、 蛍光板21の裏面には、増反射部32と反射層31とがこの順に設けられており、 増反射部32を構成する金属酸化物多層膜は、二酸化ケイ素(SiO2)層32Aと酸化チタン(TiO2)層32Bとを有するものであり、 増反射部32を構成する金属酸化物多層膜の厚みは、350nmであり、 金属酸化物多層膜を構成する二酸化ケイ素層32Aおよび酸化チタン層32Bを含む積層膜は、電子ビーム蒸着法によって作製されたものであり、([0029]) 増反射部32は、蛍光板21の裏面から、二酸化ケイ素(SiO2)層32A、酸化チタン(TiO2)層32B、二酸化ケイ素(SiO2)層32Aの順に積層されてなり、(前記(ア)の認定事項、[0029]) 反射層31の表面には、上面側接着性改善層35Aが、当該表面に密着した状態でその全面を覆うように設けられており、 反射層31の裏面には、下面側接着性改善層35Bが、当該裏面に密着した状態でその全面を覆うように設けられており、 反射層31と接着性改善層35A,35Bと増反射部32とによって反射積層体30が構成され、([0031]) 接着性改善層35A,35Bは、酸化アルミニウム(Al2O3)よりなり、([0032]) 反射積層体30には、反射層31における裏面および周側面を覆うように封止層37が設けられており、 反射積層体30と封止層37との間、および蛍光板21の裏面の周縁と封止層37との間には、封止層37を、反射積層体30および蛍光板21に接着するための接着層38が設けられており、すなわち、接着層38は、反射積層体30における裏面および周側面と、蛍光板21の裏面の周縁と、封止層37とに密着した状態で設けられており、([0034]) 封止層37は、ニッケルからなり、([0036]) 接着層38は、クロム、クロム合金またはチタンからなるものであり、([0037]) 蛍光板21において、気孔率が0.5%以下の多結晶の蛍光体が用いられ、([0016]) 励起光源11から出射された励起光は、蛍光板21の表面(励起光入射面)に照射され、当該蛍光板21に入射し、蛍光板21においては、当該蛍光板21を構成する蛍光体が励起され、これにより、蛍光板21において蛍光体から蛍光が放射され、この蛍光は、蛍光体に吸収されずに蛍光板21の裏面において反射層31によって反射された励起光と共に蛍光板21の表面(蛍光出射面)から外部に出射され、蛍光光源装置10の外部に出射される、([0047]) 蛍光発光部材20。([0012])」 イ 甲1文献 (ア) 甲1文献の記載事項 甲1文献(国際公開第2016/161557号)には、次の記載がある。括弧内に翻訳文を示した。当該翻訳文は、甲1文献に対応する日本出願の公表特許公報(特表2018-512617号公報)を元にしており、一部合議体により修正した。そして、参照の便宜に供するため、前記公表特許公報の段落番号も示した。 a 1頁3~6行(翻訳文【0001】) 「Technical Field of the Invention The present invention relates to a light converter comprising a solid-state light conversion material, which may form part of an optical device such as a phosphor wheel. A method of manufacturing a light converter is also provided.」 (【0001】 (発明の技術分野) 本発明は、蛍光体ホイールなどの光学デバイスの一部を形成し得る、固体状態の光変換材料を備える光変換器に関連する。光変換器を製造する方法もまた、提供される。) b 1頁8行~2頁12行、Fig. 1(翻訳文【0002】~【0005】) 「Background to the Invention Light conversion (or wavelength conversion) materials such as phosphors are used in a variety of applications, especially in optical devices. One such application is a phosphor wheel, which is an optical device for generating emission light of one or typically multiple different wavelengths from excitation light of a single light source (typically of a narrow range of wavelengths). An example phosphor wheel is described in WO-2014/016574, having common inventorship. An example, known phosphor wheel structure is shown in Figure 1. A light converter 101 is provided on a disc substrate 102. Excitation light 103a (source light) causes the generation of emission light 103b, when it is incident on the light converter 101. The light converter 101 converts the light spectrum from excitation light of a first range of spectral wavelength to emission (or re- emission) light of a second, different range of spectral wavelengths Typically, the disc substrate 102 is rotated during use, although this device can be used in a static (non-rotating) configuration, in which case it may not be known as a phosphor wheel. The light converter 101 is conventionally formed as a coating, comprising phosphor particles in a polymer binder (such as a silicone). Optical devices, especially phosphor wheels, that can cope with higher power incident light are being developed, for example for use in high-power laser projectors where the laser power may be greater than 50W/mm2. To cope with this high power light, a solid- state light conversion material is being considered, such as a ceramic converter. In addition to wavelength conversion, the ceramic converter can be coated (normally directly) with thin-films for improved optical performance. This is a significant advantage over the previous light converters made of a phosphor in a polymer binder. However, there are challenges in using such ceramic materials. Firstly, it is desirable to optimise the optical coating so as to enhance the transmission of the excitation light and/or emission light. Anti-reflective coatings are typically used dealing with excitation light, whereas high-reflective coatings can improve emission light output. The ceramic material should be able to handle both, as well as other types of coating, such as metallic coating, which may be used to create a reflective surface. Also, the thermal dissipation of the ceramic material should be considered, to avoid over-heating. Adapting the ceramic coating to all of these issues, so as to enhance the performance of the ceramic light converter, is a significant concern.」 (【0002】 (発明の背景) 蛍光体などの光変換(又は波長変換)材料は、様々な適用(特に光学デバイス)に使われる。一つのそのような適用が、蛍光体ホイールであり、一つ又は典型的には複数の異なる波長の放出光を(典型的には、狭い範囲の波長の)単一の光源の励起光から発生させるための光学デバイスである。例の蛍光体ホイールは、共通の発明者要件を有するWO2014/016574(特許文献1)に記載される。 【0003】 知られている蛍光体ホイール構造の例が、図1に示されている。光変換器101は、ディスク基板102上に提供される。励起光103a(源の光)は、それが光変換器101に入射する場合、放出光103bの発生を引き起こす。光変換器101は、光スペクトルを第1の範囲のスペクトル波長の励起光から第2の異なる範囲のスペクトル波長の放出(又は再放出)光に変換する。典型的には、ディスク基板102は、使用中回転させられるが、このデバイスは、静的な(非回転の)構成で使われ得、その場合、それは蛍光体ホイールとして知られなくあり得る。光変換器101は、従来、(シリコーンなどの)ポリマーバインダーにおいて蛍光体粒子を備えるコーティングとして形成される。 【0004】 より高出力の入射光に対処し得る、光学デバイス、特に蛍光体ホイールが、例えば、レーザー出力が50W/mm2より大きくあり得る高出力レーザープロジェクターにおける使用のために開発されている。この高出力光に対処するために、セラミック変換器などの固体状態の光変換材料が考慮されている。波長変換に加えて、セラミック変換器が、改善された光学性能のための薄フィルムで(通常は、直接)コーティングされ得る。これは、ポリマーバインダーにおいて蛍光体から作られる以前の光変換器に対する顕著な利点である。 【0005】 しかし、そのようなセラミック材料を使うことには課題がある。第1に、励起光及び/又は放出光の伝送を向上させるために、光学コーティングを最適化することが望ましい。反射防止コーティングは、典型的には、励起光を処理することに使われる一方、高反射コーティングは、放出光出力を改善し得る。セラミック材料は、反射表面を生成するために使われ得る、金属性コーティングなどの他のタイプのコーティングとともに、両方を取り扱うことができるべきである。また、セラミック材料の熱放散は、過熱を避けるために、考慮されるべきである。セラミック光変換器の性能を向上させるために、セラミックコーティングをこれらの事項の全てに適合させることは、顕著な関心事である。) 「 [図:0001415263000003.jpg] 」 c 2頁14行~3頁27行(翻訳文【0007】~【0010】) 「Summary of the Invention Against this background, there is provided a light converter in accordance with claim 1. There is also provided a method of manufacturing a light converter in line with claim 14. Other preferred features are disclosed with reference to the claims and in the description below. A filler layer is provided between the surface of a solid- state light conversion material, such as a ceramic or opto-ceramic material (a ceramic phosphor), and an optical coating (which may be part of the filler layer). During manufacture, the filler layer may be deposited before the coating. It has been recognised that solid- state light conversion material, especially ceramic converters do not necessarily have an optical surface. Rather, they may be porous and polishing does not help. Such porosity may partially or fully disable the function of any optical coatings, particularly (interference) thin-film coatings. The filler layer, especially its thickness, may be configured to be optically smooth in microscopic dimensions. Typically the filler layer has a low optical refractive index, especially low in comparison with the solid-state light conversion material. Less preferably, an optical coating having a low optical refractive index may be alternatively applied to the filler layer. The optical coating may comprise one or more of: an anti- reflective coating; a high-reflective coating; a metallic coating. The optical coating may be applied by deposition. A single or multilayer anti-reflective (AR) coating may be applied for low reflection loss and/or high extraction of converted light. It may difficult to apply this coating directly to the solid-state light conversion material. Providing the filler layer between the solid- state light conversion material and the AR coating may mitigate such issues and allow large extraction of converted light. Additionally or alternatively, it is desirable to collect and utilise the converted light (in the incident light direction) for better efficacy. One or multiple high-reflective (HR) coating (also called mirror coatings) may be used to achieve this by reflecting converted light. However, it has further been appreciated that since such converted light is generally isotropic and random polarized, this may present challenges for the design of the HR thin-film coating, which may be very close to the emitted light. Providing the filler layer between the solid-state light conversion material and the HR coating may further alleviate these problems. The HR coating may have a wide-angle of incidence, because of the close proximity between the light emission center and the reflective surface, which may typically be only around 100 pm or less. This may be termed a near-field coating. The combination of the low refractive index layer (preferably the filler layer) and HR coating may reflect light of large angles of incidence (at least 30, 40 or 45 degrees relative a normal to the surface) by Total Internal Reflection (TIR). Additionally or alternatively, a metallic mirror coating can be used (Ag-based such as SilFlex (TM), Al-based such as AlFlex (TM) ) to allow collection of emission light at large angles. The HR coating is advantageously broad-band. The HR and AR coatings may be applied to opposite surfaces of the solid-state light conversion material.」 (【0007】 (発明の概要) この背景に対して、光変換器が請求項1に従って提供される。光変換器を製造する方法もまた、請求項14に則して提供される。他の好ましい特徴は、請求項に関して及び以下の記載において開示される。 【0008】 充填材層が、セラミック又は光セラミック材料(セラミック蛍光体)などの固体状態の光変換材料の表面と(充填材層の一部であり得る)光学コーティングとの間に提供される。製造中、充填材層は、コーティングの前に堆積させられ得る。固体状態の光変換材料、特にセラミック変換器が、必ずしも光学表面を有さないことは、認識されてきた。むしろ、それらは有孔性であり得、研磨は役に立たない。そのような有孔性は、任意の光学コーティング、特に(干渉の)薄フィルムコーティングの機能を部分的に又は完全に無効にし得る。充填材層、特にその厚さは、微小寸法において光学的に平滑であるように構成され得る。典型的には、充填材層は、低光学的屈折率を有し、固体状態の光変換材料と比較して特に低い。あまり好ましくないが、低光学的屈折率を有する光学コーティングは、代替的に充填材層に付与され得る。 【0009】 光学コーティングは、反射防止コーティング、高反射コーティング及び金属性コーティングのうちの一つ又はより多くを備え得る。光学コーティングは、堆積によって付与され得る。単一又は複数層の反射防止(AR)コーティングは、変換された光の低反射損失及び/又は高抽出のために付与され得る。このコーティングを直接固体状態の光変換材料に付与することは、難しくあり得る。充填材層を固体状態の光変換材料とARコーティングとの間に提供することは、そのような事項を軽減し得、変換された光の大抽出を可能にし得る。 【0010】 それに加えて、又は代わりに、よりよい有効性のために(入射光方向で)変換された光を収集及び利用することが望ましい。一つ又は複数の高反射(HR)コーティング(ミラーコーティングとも呼ばれる)が、変換された光を反射することによって、これを達成するために使われ得る。しかし、そのように変換された光は概して等方性でランダム偏光されるので、これが、放出された光と非常に近くあり得る、HRの薄フィルムコーティングの設計に対して課題を提示し得ることが、さらに理解されている。充填材層を固体状態の光変換材料とHRコーティングとの間に提供することは、これらの問題をさらに緩和し得る。HRコーティングは、典型的には約100μm又はそれより少なくしかなくあり得る、光放出中心と反射表面との間の近い近接のために、広角度の入射を有し得る。これは、近接場コーティングと呼ばれ得る。低屈折率層(好ましくは充填材層)とHRコーティングとの組み合わせは、全内部反射(TIR)によって、大角度の入射の光(表面に対する法線に対して少なくとも30、40又は45度)を反射し得る。それに加えて、又は代わりに、金属性ミラーコーティングが、使われ得(SilFlex(TM)などのAgベース、AlFlex(TM)などのAlベース)、大角度での放出光の収集を可能にする。HRコーティングは、有利に広帯域である。HR及びARコーティングは、固体状態の光変換材料の対向表面に付与され得る。) d 4頁21行~6頁30行、Fig. 2(翻訳文【0015】~【0022】) 「Detailed Description of Preferred Embodiments Referring first to Figure 2, there is schematically illustrated a cross-section view of a first embodiment of a light converter 200. There is shown: a ceramic light conversion material 201; a first filler layer 230; a first optical coating 220; a second filler layer 240; and a second optical coating 250. The ceramic light conversion material 201 is typically a porous material which contains voids 210. The ceramic light conversion material 201 beneficially handles high temperature, high power of incident light and thermal quenching can advantageously be used. The thickness of the ceramic light conversion material 201 may affects its efficacy. A thickness of between 200 pm and 250 pm is currently preferred, due to the process capability of the material, but this can vary to optimize its properties, taking into account processing considerations and performance efficacy. On the side of the ceramic light conversion material 201 facing incident excitation light 103a, the filler layer 230 is deposited on the surface, followed by a first, anti-reflective coating 230 designed for the excitation light 103a. To allow converted light to be collected from all possible directions, a second, high-reflective coating 250 for emission light 103b is additionally applied. Large angle light collection(at least 30 degrees relative a normal to the surface) is highly desirable. To minimize the porosity effect, a second filler layer 240 is coated prior to the deposition of the second, high-reflective coating 250. This second filler layer 240 has a low optical refractive index. This may allow reflection of light at large angles to the surface, particularly plus or minus 30 degrees relative a normal to the surface. This design may provide high-temperature resistance and/or improved optical performance, with at least 10% more light conversion as compared to the uncoated ceramic light conversion material 201. The material for the filler layer 230 and/or the second filler layer 240 may depend on the material used for the light conversion material underneath, especially its refractive index. Low absorption and low refractive index are desirable properties. In particular, the refractive index of the filler material is less than that of the ceramic light conversion material 201 and preferably it is as low as possible (less than 1.3, 1.25, 1.2, 1.1 or 1.05), whilst still allowing a reliable optical film. A low refractive index may improve the TIR angle. The use of a low refractive index coating and the filler layer coating in one material, that is. unified in both functions of TIR and filler coating for achieving optical surface provides a significant advantage. For the ceramic light conversion material 201, the filler layer 230 and the second filler layer 240 comprise SiO2 and/or Al203. The thickness of the filler layer (or layers) is made sufficient to make the filler layer or layers optically smooth, typically 400 nm to 1000 nm. The anti-reflective coating 230 and the high-reflective coating 250 are deposited using PVD. The thickness of these coatings is based on the design performance, the thin-film materials used and the properties of the adjacent materials, such as the filler layer. The high-reflective coating 250 works very close (typically 0-100 μm) to the light emission centers. Moreover, it desirably has a broad-band spectrum. With these issues in mind, the high-reflective coating 250 may be termed a near-field (or near-source) broad-band high-reflective coating. As the high-reflective coating 250 reflects light emitted very closed to its reflective surface, it operates in a very different from the way a normal reflector is used. Therefore, the design and the working principles of this high-reflective coating 250 are quite different too in a number of respects. Firstly, it is configured to use internal refection rather than external reflection, which may improve performance at large angles. Secondly, broad angle of reflection is provided (since the emitter is near- field to the reflection). Thirdly, the high-reflective coating 250 has a broad-band reflection spectrum (since the light converter incorporates phosphors which have broad emission spectrum). In general terms, there is provided a light converter, comprising: a solid-state light conversion material, for generating emission light from excitation light incident on a surface of the solid-state light conversion material; a filler layer on the surface of the solid-state light conversion material; and at least one optical coating on the filler layer. Additionally or alternatively, a method of manufacturing a light converter may comprise: depositing a filler layer on a surface of a solid-state light conversion material, the solid-state light conversion material generating emission light from excitation light incident on the surface: and applying at least one optical coating to the filler layer. This method may have any optional features corresponding with those of the light converter. There are no specific dimensions for the solid-state light conversion material, although typically it will have at least two (distinct) surfaces. The filler layer and/or optical coating may be one or multiple surfaces of the solid-state light conversion material. Excitation light from a light source may be incident on the light converter, specifically on the optical coating. Excitation light, generated by the solid-state light conversion material may then emerge from the light converter.」 (【0015】 (好ましい実施形態の詳細な説明) まず図2を参照すると、光変換器200の第1の実施形態の断面図が概略的に示されている。セラミック光変換材料201、第1の充填材層230、第1の光学コーティング220、第2の充填材層240及び第2の光学コーティング250が示されている。 【0016】 セラミック光変換材料201は、典型的には、空隙210を含む有孔材料である。セラミック光変換材料201は、高温、高出力の入射光を有益に取り扱い、熱消失が有利に使われ得る。セラミック光変換材料201の厚さは、その有効性に影響し得る。200μmと250μmとの間の厚さが、材料の工程能力により、現在好ましいが、これは、処理の考慮点及び性能有効性を考慮して、自身の特性を最適化するために変わり得る。 【0017】 セラミック光変換材料201のうちの入射励起光103aに面している側で、充填材層230が表面に堆積され、励起光103aのために設計された第1の反射防止コーティング230が後に続く。変換された光が全ての可能な方向から収集されることを可能にするために、放出光103bのための第2の高反射コーティング250が、追加的に付与される。大角度の光収集(表面に対する法線に対して少なくとも30度)は、非常に望ましい。有孔効果を最小限にするために、第2の充填材層240が、第2の高反射コーティング250の堆積の前に、コーティングされる。この第2の充填材層240は、低光学的屈折率を有する。これは、表面に対して大角度での、特に表面に対する法線に対してプラス又はマイナス30度での、光の反射を可能にし得る。この設計は、コーティングされていないセラミック光変換材料201と比べて、少なくとも10%多い光変換で、高温抵抗及び/又は改善された光学性能を提供し得る。 【0018】 充填材層230及び/又は第2の充填材層240のための材料は、下にある光変換材料のために使われる材料に依存し得、特にそれの屈折率に依存し得る。低吸収及び低屈折率は、望ましい特性である。特に、充填材材料の屈折率は、セラミック光変換材料201の屈折率より低く、好ましくはできる限り低く(1.3、1.25、1.2、1.1又は1.05より低い。)、同時に依然として信頼できる光学フィルムを可能にする。低屈折率は、TIR角度を改善し得る。一つの材料における低屈折率コーティング及び充填材層コーティングの使用、すなわち、光学表面を達成するためにTIR及び充填材コーティングの両方の機能を統合することは、顕著な利点を提供する。セラミック光変換材料201に対して、充填材層230及び第2の充填材層240は、SiO2及び/又はAl2O3を含む。充填材層(単数又は複数の層)の厚さは、単数又は複数の充填材層を光学的に平滑にするのに十分にされ、典型的には400nmから1000nmである。 【0019】 反射防止コーティング230及び高反射コーティング250は、PVDを使って堆積される。これらのコーティングの厚さは、設計性能、使われる薄フィルム材料、及び、充填材層などの隣接した材料の特性に基づいている。 【0020】 高反射コーティング250は、光放出中心の非常に近く(典型的には0-100μm)で機能する。さらに、これは、望ましくは広帯域スペクトルを有する。これらの事項を念頭に置いて、高反射コーティング250は、近接場(又は近接源)広帯域高反射コーティングと呼ばれ得る。高反射コーティング250はその反射表面の非常に近くで放出される光を反射するため、それは、通常の反射体が使われる態様とは非常に異なって作用する。したがって、この高反射コーティング250の設計及び機能原理も、多くの点で全く異なる。第1に、それは外部反射というよりも内部反射を使うように構成され、大角度で性能を改善し得る。第2に、(放出体が反射の近接場であるから)広角度の反射が提供される。第3に、高反射コーティング250は、(光変換器が、広い放出スペクトルを有する蛍光体を組み入れるため)広帯域反射スペクトルを有する。 【0021】 概括的な言い方では、光変換器が提供され、該光変換器は、固体状態の光変換材料の表面に入射する励起光から放出光を発生させるための固体状態の光変換材料と、該固体状態の光変換材料の該表面上の充填材層と、該充填材層上の少なくとも一つの光学コーティングとを備える。それに加えて、又は代わりに、光変換器を製造する方法は、固体状態の光変換材料の表面上に充填材層を堆積することであって、該固体状態の光変換材料は、該表面に入射する励起光から放出光を発生させる、ことと、少なくとも一つの光学コーティングを該充填材層に付与することとを含み得る。この方法は、光変換器の特徴に対応する任意のオプショナルな特徴を有し得る。 【0022】 典型的には、固体状態の光変換材料は、少なくとも二つの(別個の)表面を有するが、固体状態の光変換材料のための特定の寸法はない。充填材層及び/又は光学コーティングは、固体状態の光変換材料の一つ又は複数の表面であり得る。光源からの励起光は、光変換器に入射し得、特に、光学コーティングに入射し得る。固体状態の光変換材料によって発生させられた励起光は、その後、光変換器から出てき得る。) 「 [図:0001415263000004.jpg] 」 e 6頁31行~7頁16行、Fig. 3(翻訳文【0023】~【0024】) 「Referring next to Figure 3, there is depicted a schematic of a cross-section view of a second embodiment of a light converter 300. The light converter 300 is similar to the embodiment of Figure 2 and where the same features are shown, identical reference numerals have been employed. For the sake of brevity, the features common to Figure 2 will not be described. In this embodiment a metallic coating 260, such as AlFlex (TM) or SilFlex (TM) is additionally deposited on top of the high- reflective coating 250. The metallic coating 260 may be reflective, to act as a mirror. The metallic coating 260 typically reduces leak of emission light at large angle to the converter surface. In this case, the second filler layer 240 need not have a low optical refractive index. The metallic coating 260 may improve thermal management and in particular, increase the thermal dissipation from the excitation light spot to an attached heat sink, as will be explained below. In general terms, it may be seen that the metallic mirror coating 260, on the reverse side of the light convertor opposite to the incident excitation light, can provide a thermal dissipation function (as it is, by itself, a metal-based coating which has relatively high thermal conductivity) and/or a reflective function. The combination of the two is highly advantageous.」 (【0023】 次に図3を参照すると、光変換器300の第2の実施形態の断面図の概略が示されている。光変換器300は図2の実施形態と類似しており、同じ特徴が示されるところでは、同一の参照番号が採用されている。簡潔さのために、図2と共通した特徴は、記載されない。 【0024】 この実施形態では、AlFlex(TM)又はSilFlex(TM)などの金属性コーティング260が、高反射コーティング250の上に追加的に堆積される。金属性コーティング260は、反射性であり得、ミラーとして振舞う。金属性コーティング260は、典型的には、変換器表面への大角度での放出光の漏れを減らす。この場合、第2の充填材層240は、低光学的屈折率を有する必要はない。金属性コーティング260は、熱管理を改善し得、特に、以下に説明されるように、励起光スポットからの取り付けられたヒートシンクへの熱放散を増加させ得る。概括的な言い方では、光変換器のうちの入射励起光とは反対の裏側にある金属性ミラーコーティング260が、熱放散機能(金属性ミラーコーティング260は、それ自体比較的高い熱伝導性を有する金属ベースのコーティングであるため)及び/又は反射機能を提供し得ることが見てとられ得る。この2つの組み合わせは、非常に有利である。」 「 [図:0001415263000005.jpg] 」 f 7頁17行~8頁29行、Fig. 4(翻訳文【0025】~【0029】) 「Referring now to Figure 4, there is shown a light converter bonded to a disc or wheel substrate. This may be considered a phosphor wheel embodiment. There is shown: a light converter 410; and a disc or wheel substrate 420. Not all of the details of the light converter 410 are shown, but the design of the light converter 410 is closer to that of the light converter 300 detailed in Figure 3 (or an alternative based on the structure proposed in the drawing may be used). A metallic mirror coating (not shown) integrated on the light converter 410 is bonded to the wheel substrate 420, which serves also as a heat sink. The heat dissipation from the incident spot of the excitation light 403 is increased and the temperature of a light spot area 430 on the light converter 410 is thereby decreased. Improved converted emission light 402 is provided as a result. Although specific embodiments have been described, the skilled person will understand that variations and modifications are possible. For example, the designs may be applicable to all solid- state light converters and not necessarily only those using a ceramic material, for example a glass-based or plastics-based material may be used. The glass-based or plastics-based material may act as a substrate that is coated with a phosphor. The benefits may be more pronounced for more porous materials. Beneficially, solid- state light converters do not require a polymer binder, which can improve the working temperature and eliminate degradation. Different configurations of coatings may be applied to the solid-state light cnverter from those described above, especially in terms of their type, number and order. Also, only one side or surface of the solid-state light converter may be coated. Alternatively, a plurality of different surfaces from those shown herein may be coated. The filler material may not have a low refractive index and instead, a low refractive index may be applied to it, to effect TIR. Different manufacturing processes may be used, for example without cleaning the ceramic light conversion material 201 surfaces or surfaces, especially when the surfaces are fresh. The high- reflective coating 250 may have only some or none of the specific differentiating properties identified above. The material and manufacturing process for the filler layer or layers may be changed. For example, other materials may be used in line with the considerations identified above. Additionally or alternatively, Sol-gel/dip coating, CVD, magneto sputtering PVD (which may provide good film density) or other techniques may be used for depositing the filler layer or layers. In some embodiments, an additional broad- band reflector, such an Ag, Al or Au coating may be provided. Other techniques may be used for depositing the anti-reflective coating 230 and/or high-reflective coating 250, for example dip coating for the anti-reflective coating 230. Whilst Figure 4 relates specifically to a design based on the embodiment of Figure 3, the skilled person will understand that the design of Figure 2 (or any other design based on that proposed herein) may also be attached to a substrate. Figure 4 shows a disc substrate, but it will be appreciated that other types, shapes and sizes of substrate may be used, especially for different applications. Possible applications may include: a colour wheel; a phosphor wheel (for use in a projection display, for instance); and an automotive headlight.」 (【0025】 次に図4を参照すると、ディスク又はホイール基板に結合された光変換器が示されている。これは、蛍光体ホイール実施形態であると考えられ得る。光変換器410、及び、ディスク又はホイール基板420が示されている。光変換器410の詳細の全てが示されているわけではないが、光変換器410の設計は、図3で詳細に述べられている光変換器300の設計により近い(又は、図面で提案された構造に基づく代替物が使われ得る)。 【0026】 光変換器410上に統合された(示されていない)金属性ミラーコーティングは、ホイール基板420に結合され、ヒートシンクとしても働く。励起光403の入射スポットからの熱放散は、増加させられ、光変換器410上の光スポット領域430の温度は、それによって下がる。改善された変換された放出光402が、結果として提供される。 【0027】 特定の実施形態が記載されているが、当業者は、変形及び修正が可能であることを理解する。例えば、設計は、全ての固体状態の光変換器に適用可能であり得、必ずしもセラミック材料を使ったものだけではなく、例えば、ガラスベース又はプラスチックベースの材料が使われ得る。ガラスベース又はプラスチックベースの材料は、蛍光体でコーティングされた基板として振舞い得る。利点は、より有孔な材料に対してより顕著であり得る。有益に、固体状態の光変換器は、ポリマーバインダーを必要とせず、運転温度を改善し、劣化を除去し得る。特に自身のタイプ、数及び順序という点で、上記に記載されたものとは異なる構成のコーティングが、固体状態の光変換器に付与され得る。また、固体状態の光変換器の一つの側面又は表面のみが、コーティングされ得る。その代わりに、本明細書中で示されているものと異なる複数の表面が、コーティングされ得る。充填材材料は低屈折率を有さなくあり得、その代わりに、低屈折率がそれに付与され得、TIRをもたらす。 【0028】 例えば、特に表面が新しい場合、セラミック光変換材料201の表面又は表面を清掃することなく、異なる製造方法が使われ得る。高反射コーティング250は、上記で特定された特定の区別する特性のうちのいくつかのみを有し得るか、その特性を何も有さなくあり得る。充填材層(単数又は複数)のための材料及び製造方法は、変更され得る。例えば、他の材料が、上記で特定された考慮点に則して使われ得る。それに加えて、又は代わりに、ゾル-ゲル/ディップコーティング、CVD、マグネトスパッタリングPVD(よいフィルム密度を提供し得る)又は他の技術が、充填材層(単数又は複数)を堆積するために使われ得る。いくつかの実施形態では、Ag、Al又はAuコーティングなどの追加的な広帯域反射体が、提供され得る。他の技術が、反射防止コーティング230及び/又は高反射コーティング250を堆積するために使われ得る(例えば、反射防止コーティング230のためのディップコーティング)。 【0029】 図4は、具体的には、図3の実施形態に基づく設計に関連している一方で、当業者は、図2の設計(又は、本明細書中で提案されている設計に基づく任意の他の設計)もまた、基板に取り付けられ得ることを理解する。図4は、ディスク基板を示すが、基板の他のタイプ、形状及び大きさが、特に異なる適用のために、使われ得ることを理解されたい。可能な適用は、カラーホイール、(例えば、投影ディスプレイにおける使用のための)蛍光体ホイール及び自動車のヘッドライトを含み得る。) 「 [図:0001415263000006.jpg] 」 (イ) 甲1文献の図面から看取できる事項の認定 Fig.1を参酌しつつFig.2を見ると、「セラミック光変換材料201」が、「励起光103aが入射する第1面と、前記第1面の反対側に、第2の充填材層240が設けられる第2面を有する」ことが看取できる。 (ウ) 甲1文献に記載された発明の認定 前記(ア)に摘記した甲1文献の記載事項、及び前記(イ)の甲1文献の図面から看取できる事項を総合すると、甲1文献には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲1発明> 「セラミック光変換材料201、第1の充填材層230、第1の光学コーティング220、第2の充填材層240及び第2の光学コーティング250を備えた光変換器200であって、(【0015】) セラミック光変換材料201は、空隙210を含む有孔材料であり、(【0016】) セラミック光変換材料201は、励起光103aが入射する第1面と、前記第1面の反対側に、第2の充填材層240が設けられる第2面を有し、(前記イの甲1文献の図面から看取できる事項) セラミック光変換材料201のうちの入射励起光103aに面している側で、充填材層230が表面に堆積され、励起光103aのために設計された第1の反射防止コーティング230が後に続き、 変換された光が全ての可能な方向から収集されることを可能にするために、放出光103bのための第2の高反射コーティング250が、追加的に付与され、 有孔効果を最小限にするために、第2の充填材層240が、第2の高反射コーティング250の堆積の前に、コーティングされ、 この第2の充填材層240は、低光学的屈折率を有し、表面に対して大角度での、特に表面に対する法線に対してプラス又はマイナス30度での、光の反射を可能にするものであり、(【0017】) 第2の充填材層240のための材料については、低屈折率は望ましい特性であり、充填材材料の屈折率はセラミック光変換材料201の屈折率より低く、好ましくはできる限り低く、第2の充填材層240は、SiO2及びAl2O3を含む複数の層からなり、(【0018】) 高反射コーティング250は、外部反射というよりも内部反射を使うように構成され、大角度で性能を改善し得るものであり、(放出体が反射の近接場であるから)広角度の反射が提供されるものであり、(光変換器が、広い放出スペクトルを有する蛍光体を組み入れるため)広帯域反射スペクトルを有する、(【0020】) 光変換器200。」 ウ 引用文献1 (ア) 引用文献1の記載事項 引用文献1(特開2016-58638号公報)には、次の記載がある。 a 【0066】~【0079】 「【0066】 (実施の形態3) [構成] 本発明は、上記実施の形態の波長変換部材を使用したプロジェクタとして実現されてもよい。以下、実施の形態3に係るプロジェクタについて、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態3に係るプロジェクタの構成を示す図である。 【0067】 なお、実施の形態3では、波長変換部材10のダイクロイックミラー層12が、蛍光体16が発する黄色光を反射し、かつ、青色光を透過させる特性を有し、基板11は、サファイアなどの透明基板であるものとして説明を行う。 【0068】 図6に示されるように、プロジェクタ20は、発光装置200と、光学ユニット300と、制御部400とを備える。 【0069】 発光装置200は、プロジェクタ20の光源として動作する装置である。発光装置200は、波長変換部材10と、照射部100とを備える。また、発光装置200は、ダイクロイックミラー220と、反射ミラー231と、反射ミラー232と、反射ミラー233とを備える。 【0070】 波長変換部材10は、モータ213に取り付けられて回転される。モータ213は、制御部400からの駆動制御信号に基づいて駆動される。 【0071】 照射部100は、蛍光体16を励起するための光を蛍光体層15側から波長変換部材10に照射する。照射部100は、より具体的には、複数の半導体発光素子111(励起光源)と、半導体発光素子111から出射した光をコリメートするコリメートレンズ120と、ヒートシンク130とを備える。 【0072】 半導体発光素子111は、例えば半導体レーザ又はLEDであり、駆動電流によって駆動されて所定の色(波長)の光を発する。実施の形態3では、半導体発光素子111として、360nm以上480nm以下の波長の青色光を発する半導体レーザが用いられる。半導体発光素子111の発光制御は、制御部400によって行われる。なお、半導体発光素子111は、複数個設けられているが、1個であってもよい。 【0073】 ダイクロイックミラー220は、照射部100から出射される青色光(励起光)を透過するとともに、この青色光よりも長い波長の光を反射する特性を有する。つまり、ダイクロイックミラー220は、波長変換部材10からの黄色光を反射する。 【0074】 光学ユニット300は、集光レンズ310と、ロッドインテグレータ320と、レンズ群330と、投射レンズ340と、表示素子350とを備える。 【0075】 集光レンズ310は、発光装置200からの光をロッドインテグレータ320の入射端面に集光させる。 【0076】 ロッドインテグレータ320は、集光レンズ310によって集光された光を入射端面で受けて輝度分布を均一にして出射する。ロッドインテグレータ320は、例えば四角柱であり、ロッドインテグレータ320に入射した光は、媒体内で全反射を繰り返して均一な輝度分布となって出射される。 【0077】 レンズ群330は、ロッドインテグレータ320から出射される光を表示素子350に入射させる。レンズ群330は、複数のレンズからなるレンズユニットであり、例えばコンデンサレンズ及びリレーレンズ等を備える。 【0078】 投射レンズ340は、表示素子350から出力される光をプロジェクタ20の外部に投射するレンズである。投射レンズ340は、1つ又は複数のレンズからなる投射レンズ群(投射ユニット)であり、例えば、両凸レンズ、絞り及び平凹レンズ等によって構成される。 【0079】 表示素子350は、レンズ群330から出射される光を制御して、映像として出力する。表示素子350は、具体的には、映像素子として用いられるDMD(デジタルミラーデバイス)である。」 b 【図6】 「 [図:0001415263000007.jpg] 」 (イ) 前記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には次の事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されている。 <引用文献1技術事項> 「波長変換部材10と、照射部100とからなる発光装置200と、(【0069】) 表示素子350から出力される光をプロジェクタ20の外部に投射するレンズである投射レンズ340と、(【0078】) 発光装置200からの光を制御して、映像として出力する表示素子350とを備える(【0075】、【0079】) プロジェクタ20。(【0068】)」 エ 引用文献2 (ア) 引用文献2の記載事項 引用文献2(国際公開第2012/141031号)には、次の記載がある。 a [0016] 「[0016] 図1A及び1Bに示すように、本発明の半導体発光素子10は、基板11上に、任意にバッファ層等の1層又は複数層(図示せず)を介して、第1導電型(以下「n型」と記載することがある)半導体層12、発光層13及び第2導電型(以下「p型」と記載することがある)半導体層14をこの順に積層した半導体層15が形成されている。半導体層15は、第2導電型半導体層14側から厚み方向に部分的に除去され、そこから第1導電n型半導体層12を露出させて、露出部16が形成されている。この露出部16は、任意の位置に任意の数/大きさで形成することができるが、ここでは、発光素子10の対向する縁部を連結するように、3つの露出部16が形成されている。」 b [0018] 「[0018] (電極20) 半導体発光素子10の第2導電型半導体層14の上面には、銀含有層を含む電極20が形成されている。この電極20は、第2導電型半導体層14上に直接接触しており、オーミック接続されていることが好ましい。ここでオーミック接続とは、当該分野で通常用いられている意味であり、例えば、その電流-電圧特性が直線又は略直線となる接続を指す。また、デバイス動作時の接合部での電圧降下及び電力損失が無視できるほど小さいことを意味する。」 c [0034]~[0037] 「[0034] (絶縁膜) 半導体層15、特に、第2導電型半導体層14の上面から少なくとも銀含有層の側面にわたって絶縁膜22が被覆されている。 [0035] この絶縁膜22は、電極20を構成する銀含有層の全ての露出表面(他の電極材料から露出している表面、通常、銀含有層の側面)に密着して被覆している限り、(i)電極20から露出している第2導電型半導体層14の上面、(ii)銀含有層以外の電極20の側面、(iii)上述した第2電極21と接触していない電極20の上面、(iv)第2電極21の側面、(v)第2電極21の上面の一部の1以上又は全てを被覆していてもよい。 [0036] 絶縁膜22は、発光層から出射される光の波長にも依存するが、この光を比較的吸収しない材料によって形成されていることが好ましい。例えば、酸化物膜、窒化物膜等を用いることが好ましく、酸化物膜がより好ましい。酸化物膜としては、Al2O3、SiO2、SiN、HfO、TiO2、SiOxNy等が挙げられ、窒化物膜としては、SiN、TiN等が挙げられ、これらの単層膜又は積層膜であってもよい。なかでも、Al2O3の単層膜又はAl2O3とSiO2等との積層膜が好ましく、Al2O3が電極20を被覆するように配置されていることがより好ましい。 [0037] このようにAl2O3等の絶縁膜22を、銀含有層の露出表面に密着して被覆することにより、銀のマイグレーションを有効に防止することができる。また、光を吸収しにくい絶縁膜22を用いることにより、発光層13からの光の吸収を最小限に留めて、光の取出効率を向上させることができる。」 d [図1]、[図2] [図1] 「 [図:0001415263000008.jpg] 」 [図2] 「 [図:0001415263000009.jpg] 」 (イ) 前記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されている。 <引用文献2技術事項> 「半導体発光素子10として、基板11上に、第1導電型半導体層12、発光層13及び第2導電型半導体層14をこの順に積層した半導体層15が形成され、([0016]) 第2導電型半導体層14の上面には、銀含有層を含む電極20が形成され、([0018]) 第2導電型半導体層14の上面から少なくとも銀含有層の側面にわたって絶縁膜22が被覆されており、([0034]) 絶縁膜22は、Al2O3、SiO2、SiN、HfO、TiO2、SiOxNy等の酸化物膜を用いることが好ましく、([0036]) Al2O3等の絶縁膜22を、銀含有層の露出表面に密着して被覆することにより、銀のマイグレーションを有効に防止することができること。([0037])」 (2) 甲2文献を主たる引用文献とした場合の判断について ア 本件発明1について (ア) 本件発明1と甲2発明の対比 a 「波長変換素子」の発明である本件発明1と「蛍光発光部材20」の発明である甲2発明は、「波長変換素子」の発明である点において一致する。 b 甲2発明における「蛍光板21」は、本件発明1における「波長変換層」に相当する。 甲2発明における「蛍光板21」において、「蛍光板21の表面が励起光入射面とされ」ており、蛍光板21は「平板状」であるから、蛍光板21の「裏面」は、「表面」に対向している。そうすると、甲2発明の、「蛍光板21の表面」及び「裏面」は、それぞれ本件発明1の「第1面」及び「第2面」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明は、次の点において一致する。 「励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層」を備える点。 c 甲2発明における、「蛍光板21の裏面に密着した状態で設けられ[た]」「二酸化ケイ素(SiO2)層32Aを有する」「金属酸化物多層膜よりなる増反射部32」は、全体として、本件発明1における、「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層」に相当する。 そして、甲2発明における、「反射層31の表面に」「当該表面に密着した状態でその全面を覆うように設けられており」、「酸化アルミニウム(Al2O3)よりな[る]」「上面側接着性改善層35A」が、本件発明1における「前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明は、次の点において一致する。 「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と」を備える点。 d 甲2発明の「銀反射膜または銀を主体とする銀合金反射膜よりなる平板状の反射層31」に関し、「反射層31の表面には、上面側接着性改善層35Aが、当該表面に密着した状態でその全面を覆うように設けられて」いるものであるから、「反射層31」は、「酸化アルミニウム(Al2O3)よりな[る]」「上面側接着性改善層35A」と対向するものである。 そうすると、甲2発明の「反射層31」は、本件発明1の「前記第2層に対向して設けられ」る「第3層」に相当する。 そして、甲2発明においては、「蛍光板21においては、当該蛍光板21を構成する蛍光体が励起され、これにより、蛍光板21において蛍光体から蛍光が放射され、この蛍光は、蛍光体に吸収されずに蛍光板21の裏面において反射層31によって反射された励起光と共に蛍光板21の表面(蛍光出射面)から外部に出射され、蛍光光源装置10の外部に出射される」から、反射層31は、励起光を反射するものであり、また、蛍光板21において放射された蛍光を反射するものであることも明らかである。 そうすると、本件発明1と甲2発明は、次の点において一致する。 「前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層」を備える点。 e 甲2発明の「接着層38」は、「反射積層体30における裏面」「に密着した状態で設けられて」いるものであり、「反射積層体30」は「反射層31と接着性改善層35A,35Bと増反射部32」とによって構成されているから、甲2発明の「接着層38」は「反射層31」(「第3層」に相当する。)に対向して設けられている。 また、甲2発明の「接着層38」は、「クロム、クロム合金またはチタンからなるもの」である。 そうすると、甲2発明の「接着層38」は、本件発明1の「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明は、次の点において共通する。 「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層」を備える点。 f 甲2発明においては、「反射積層体30と封止層37との間」には、「封止層37を、反射積層体30および蛍光板21に接着するための接着層38が設けられて[いる]」から、「封止層37」は、「接着層38」(「第4層」に相当する。)に対向して設けられている。 そうすると、甲2発明における「封止層37」は、本件発明1における「第5層」に対応する。 したがって、本件発明1と甲2発明は、次の点において共通する。 「前記第4層に対向して設けられた第5層」を備える点。 g 甲2発明の「蛍光板21」は「気孔率が0.5%以下の多結晶の蛍光体が用いられ」るものであり、甲2文献には、このような蛍光体を得るために、「ここに、蛍光板21を構成する多結晶の蛍光体は、例えば以下のようにして得ることができる。先ず、母材、賦活材、金属酸化物および焼成助剤などの原材料をボールミルなどによって粉砕処理することによって、サブミクロン以下の原材料微粒子を得る。次いで、この原材料微粒子を用い、例えばスリップキャスト法によって成形体を形成して焼結する。その後、得られた焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施すことによって、気孔率が例えば0.5%以下の多結晶の蛍光体が得られる。」([0016])ことが記載されており、このような焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施したものにおいて、気孔率が0%となることは通常あり得ないから、甲2発明の「蛍光板21」は、気孔を有するものである。 そうすると、甲2発明と本件発明1は、「前記波長変換層は、内部に気孔を含」む点で一致する。 (イ) 一致点及び相違点の認定 前記(ア)の対比の結果をまとめると、本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 a 一致点 「励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層と、 前記第4層に対向して設けられた第5層と、 を備え、 前記波長変換層は、内部に気孔を含む、 波長変換素子。」 b 相違点 (a) 相違点2-1a 本件発明1においては、「前記第2面は、凹部を有し、前記第1層の一部は、前記凹部に設けられる」のに対して、 甲2発明においてはこのような構成を有しているのか、必ずしも明確でない点。 (b) 相違点2-1b 本件発明1においては、「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」のに対して、 甲2発明においてはこのような構成を有しているのか、必ずしも明確でない点。 (c) 相違点2-1c 「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層」と「前記第4層に対向して設けられた第5層」について、 本件発明1においては、「第4層」が「前記第3層の結晶化を促進する」機能を有し、「第5層」は、「無機酸化物を含有する」のに対して、 甲2発明においては、「第4層」が「前記第3層の結晶化を促進する」機能を有しているのか明らかでなく、「第5層」はニッケルである点。 (ウ) 相違点についての判断 a 相違点2-1aについて 前記(ア)gで示したように、甲2発明の「蛍光板21」は、気孔を有するものであり、この「気孔」は、蛍光板21の裏面においては、凹部となるものである。 そして、甲2発明においては、「増反射部32を構成する金属酸化物多層膜の厚みは、350nmであり」、「金属酸化物多層膜を構成する二酸化ケイ素層32Aおよび酸化チタン層32Bを含む積層膜は、電子ビーム蒸着法によって作製されたものであ[る]」ところ、電子ビーム蒸着法を用いて二酸化ケイ素(SiO2)層32Aを設けると、蛍光板21の凹部にも二酸化ケイ素(SiO2)が設けられるといえる。 そうすると、前記相違点2-1aは、実質的な相違点ではない。 b 相違点2-1bについて (a) 前記(ア)cで示したとおり、甲2発明の「酸化アルミニウム(Al2O3)よりな[る]」「上面側接着性改善層35A」が、本件発明1の「第2層」に対応するものである。 (b) ここで、次に再掲する前記引用文献2技術事項に例示されるとおり、「Al2O3」等の酸化物膜を用いた絶縁膜を、銀含有層の露出表面に密着して被覆することにより、銀のマイグレーションを有効に防止することは、従来知られている。 <引用文献2技術事項> 「半導体発光素子10として、基板11上に、第1導電型半導体層12、発光層13及び第2導電型半導体層14をこの順に積層した半導体層15が形成され、 第2導電型半導体層14の上面には、銀含有層を含む電極20が形成され、 第2導電型半導体層14の上面から少なくとも銀含有層の側面にわたって絶縁膜22が被覆されており、 絶縁膜22は、Al2O3、SiO2、SiN、HfO、TiO2、SiOxNy等の酸化物膜を用いることが好ましく、 Al2O3等の絶縁膜22を、銀含有層の露出表面に密着して被覆することにより、銀のマイグレーションを有効に防止することができること。」 (c) そうすると、甲2発明の「酸化アルミニウム(Al2O3)よりな[る]」「上面側接着性改善層35A」は、銀のマイグレーションを有効に防止するものであるといえ、当該技術事項は本件発明1の「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」ことに相当することとなるから、前記相違点2-1bは、実質的な相違点ではない。 c 相違点2-1cについて (a) 甲2発明においては、「前記第4層に対向して設けられた第5層」に対応する「封止層37」は「ニッケルからな[る]」層であるところ、甲2文献の[0036]には、「封止層37は、ニッケルまたはインジウムからなるものであり、耐候性の観点からはニッケルからなるものであることが好ましい。」と記載されている。 (b) そして、甲2発明においては、「反射積層体30と封止層37との間、および蛍光板21の裏面の周縁と封止層37との間には、封止層37を、反射積層体30および蛍光板21に接着するための接着層38が設けられており、すなわち、接着層38は、反射積層体30における裏面および周側面と、蛍光板21の裏面の周縁と、封止層37とに密着した状態で設けられて[いる]」。 (c) これらの甲2号証の開示を踏まえると、甲2発明においては、「第5層」と「第4層」は、封止を目的として特に選択されたものであるところ、いずれの甲号証の文献や引用文献にも、「無機酸化物」を含む層を甲2発明の「封止層37」として用いることができることを示す技術事項の開示はなく、甲2発明の「第5層」(ニッケル(又はインジウム))を「無機酸化物」にして相違点2-1cに係る構成を備えるようにするための契機となる知見は見当たらない。 (d) したがって、本件発明1は甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 d まとめ 以上のとおり、本件発明1は、甲2発明と同一ではなく、また、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (エ) 申立人の意見について 令和6年2月9日に提出した意見書(以下、単に「意見書」という。)において、申立人は、「Al2O3」が「第3層のマイグレーションを起こし難くする膜」といえることについての意見を述べているが、相違点2-1cに相当する「先の訂正時の請求項2において特定した事項」については、申立人は何ら意見を述べていない。 もっとも、申立人は、審判請求書において、甲2発明の酸化アルミニウムからなる「接着性改善層35B」が「無機酸化物を含有する第5層」に相当する旨主張しているので、この点について検討する。 本件発明1においては、第1層から第5層については、「…層に対向して設けられ」との記載ぶり、及び、第6層が登場する請求項6においては「前記第3層と前記第4層との間に」「備える」と規定していることなどに鑑みるに、第1層から第5層はこの順番の積層関係であると解釈するのが相当である。 そうすると、「接着性改善層35B」は、「第3層」に相当する「反射層31」と「第4層」に相当する「接着層38」の間に存在するから、「第5層」に相当するとはいえない。 イ 本件発明3、5、6、8~10、12、13、16、17について 本件発明3、5、6、8~10、12、13、16、17は、少なくとも前記相違点2-1cに係る本件発明1と同一の構成を備えるから、前記ア(ウ)cにおいて検討したのと同様の理由により、甲2発明と同一ではなく、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3) 甲1文献を主たる引用文献とした場合の判断について ア 本件発明1について (ア) 本件発明1と甲1発明の対比 a 「波長変換素子」の発明である本件発明1と「光変換器200」の発明である甲1発明は、「波長変換素子」の発明である点において一致する。 b 甲1発明の「セラミック光変換材料201」は、本件発明1の「波長変換層」に相当する。 そして、甲1発明において「セラミック光変換材料201は、励起光103aが入射する第1面と、前記第1面の反対側に、第2の充填材層240が設けられる第2面を有[する]」ことは、本件発明1において「励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層」を備えることに相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明は、「励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層」を有する点において一致する。 c 甲1発明における「第2面」に設けられた「第2の充填材層240」は、本件発明1における「前記第2面に対向して設けられ[た]」「第1層」に相当する。 ここで、「第2の充填材層240」は、「SiO2及びAl2O3を含む複数の層」であり、SiO2の層、又は、Al2O3の層のいずれかが、「セラミック光変換材料201の第2面」に隣接して「コーティング」されることとなる。 甲1発明においては、「第2の充填材層240のための材料については、低屈折率は望ましい特性であり、充填材材料の屈折率はセラミック光変換材料201の屈折率より低く、好ましくはできる限り低[い]」ところ、SiO2の屈折率(1.5程度)がAl2O3の屈折率(1.7程度)に比べて低いことは技術常識であるから、第2の充填材層240を構成する層のうちセラミック光変換材料201の第2面に隣接してコーティングされるべきものが「SiO2の層」であることは、明らかである。 そうすると、甲1発明の「第2の充填材層240」は、「セラミック光変換材料201の第2面」に、「SiO2の層」、「Al2O3の層」の順にコーティングされるものである。 したがって、甲1発明の「第2の充填材層240」の「SiO2の層」及び「Al2O3の層」は、それぞれ本件発明1の「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層」及び「前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層」に相当する。 すなわち、本件発明1と甲1発明は、次の点において一致する。 「前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と」を有する点。 d 甲1発明における「高反射コーティング250」は、「第2の充填材層240が、第2の高反射コーティング250の堆積の前に、コーティングされ」ているから、本件発明1における「前記第2層に対向して設けられ[た]」「第3層」に相当する。 また、甲1発明における「高反射コーティング250」は「変換された光が全ての可能な方向から収集されることを可能にするために、放出光103bのため」に「追加的に付与され」たものであるから、「セラミック光変換材料201」により「変換された光」である「放出光103b」を反射するものである。 したがって、甲1発明における「高反射コーティング250」は、本件発明1の「前記第2層に対向して設けられ、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有し、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層」と、「前記第2層に対向して設けられ、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層」である点で共通する。 e 甲1発明の「セラミック光変換材料201」は、「内部に空隙210を含む有孔材料であ」るから、甲1発明と本件発明1は、「前記波長変換層は、内部に気孔を含」む点で一致する。 f 甲1発明においては、「有孔効果を最小限にするために、第2の充填材層240が、第2の高反射コーティング250の堆積の前に、コーティングされ[る]」のであるから、第2の充填材層240が形成されるセラミック光変換材料201の表面に孔(凹部)が形成されていることは、明らかである。 したがって、前記bも踏まえると、甲1発明と本件発明1は、「前記第2面は、凹部を有」する点において一致する。 g 前記cで示したとおり、甲1発明の「第2の充填材層240」は、「セラミック光変換材料201の第2面」に、「SiO2の層」、「Al2O3の層」の順にコーティングされるものであるから、甲1発明における「セラミック光変換材料201の第2面にコーティングされる第2の充填材層240」は、「SiO2の層」がコーティングされて、前記fで示した、甲1発明の「第2面の表面に形成された空隙210」に「SiO2」が入り込むことで、「有孔効果を最小限にする」ものである。 そうすると、甲1発明と本件発明1は、「前記第1層の一部は、前記凹部に設けられる」点において一致する。 (イ) 一致点及び相違点の認定 前記(ア)の対比の結果をまとめると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 a 一致点 「励起光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面を有する波長変換層と、 前記第2面に対向して設けられ、前記第2面に隣接する、少なくともSiO2を含む第1の無機酸化物を含有する第1層と、 前記第1層に対向して設けられ、前記第1の無機酸化物とは異なる第2の無機酸化物を含有する第2層と、 前記第2層に対向して設けられ、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層と、 を備え、 前記波長変換層は、内部に気孔を含み、 前記第2面は、凹部を有し、 前記第1層の一部は、前記凹部に設けられる波長変換素子」である点。 b 相違点 <相違点1-1a> 前記第2層に対向して設けられ、前記励起光が前記波長変換層により波長変換された光または前記励起光を反射する第3層が、 本件発明1においては、銀またはアルミニウムのいずれか一方を含有するのに対して、 甲1発明においては、外部反射というよりも内部反射を使うように構成され、大角度で性能を改善し得るものであり、(放出体が反射の近接場であるから)広角度の反射が提供されるものであり、(光変換器が、広い放出スペクトルを有する蛍光体を組み入れるため)広帯域反射スペクトルを有する、高反射コーティング250である点。 <相違点1-1b> 本件発明1においては、「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」のに対して、 甲1発明においてはこのような構成を有しているのか、必ずしも明確でない点。 <相違点1-1c> 本件発明1においては、「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層」と、「前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層」を備えるのに対して、 甲1発明においては、そのような層を有しない点。 (ウ) 相違点についての判断 a 相違点1-1aについて 甲1文献には、「それに加えて、又は代わりに、よりよい有効性のために(入射光方向で)変換された光を収集及び利用することが望ましい。一つ又は複数の高反射(HR)コーティング(ミラーコーティングとも呼ばれる)が、変換された光を反射することによって、これを達成するために使われ得る。…(中略)…低屈折率層(好ましくは充填材層)とHRコーティングとの組み合わせは、全内部反射(TIR)によって、大角度の入射の光(表面に対する法線に対して少なくとも30、40または45度)を反射し得る。それに加えて、又は代わりに、金属性ミラーコーティングが、使われ得(SilFlex(TM)などのAgベース、AlFlex(TM)などのAlベース)、大角度での放出光の収集を可能にする。」(翻訳文の【0010】参照。下線は合議体が付した。)と記載されており、高反射(HR)コーティングの代わりに金属性ミラーコーティングが使われ得るものであることが示唆されている。さらに、「金属性ミラーコーティング」としては、「SilFlex(TM)などのAgベース、AlFlex(TM)などのAlベース」のもの、すなわち、銀又はアルミニウムを含むものが示されている。 また、銀又はアルミニウムは、可視光の全領域を含む広帯域の反射材料として、技術常識でもある。 そうすると、甲1発明の高反射コーティング250に代えて、銀又はアルミニウムのいずれか一方を含有する層を用いることにより、前記相違点1-1aに係る本件発明1の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 b 相違点1-1bについて 前記(ア)cで示したとおり、甲1発明の「第2の充填材層240」の「Al2O3の層」が、本件発明1の「第2層」に対応するものである。 そして、前記(2)ア(ウ)bで示したとおり、「Al2O3」等の酸化物膜を用いた絶縁膜を、銀含有層の露出表面に密着して被覆することにより、銀のマイグレーションを有効に防止することは、従来知られている。 そうすると、甲1発明の「第2の充填材層240」の「Al2O3の層」は、銀のマイグレーションを有効に防止するものであるといえ、当該技術事項は本願発明1の「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」ことに相当することとなるから、前記相違点1-1bは、実質的な相違点ではない。 c 相違点1-1cについて 相違点1-1cに係る本件発明1の構成、すなわち、「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層」と、「前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層」を備えるようにすることについては、甲1文献には記載も示唆も無く、また、いずれの甲号証の文献や引用文献にも記載されておらず、周知技術であるということもできない。 したがって、甲1発明において、相違点1-1cに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 d まとめ 以上のとおり、本件発明1は、少なくとも相違点1-1cにおいて甲1発明と実質的に相違するから甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (エ) 申立人の意見について 申立人の意見が前記(ウ)dの結論に影響を与えないことは、前記(2)ア(エ)において検討したのと同様である。 イ 本件発明3、5、6、8~10、12、13、16、17について 本件発明3、5、6は、少なくとも前記相違点1-1cと同じ相違点において甲1発明と相違する。 また、請求項8においては「第4層」について「前記第3層に対向して設けられ、前記第1の金属または前記第1の金属とは異なる第2の金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層」と特定されているところ、「第1の金属又は第1の金属とは異なる第2の金属を含有[する]」とは、結局のところ何らかの金属を含有するという以上の特定にはならず、本件発明1における「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有し前記第3層の結晶化を促進する第4層」との特定と実質的に変わるところはないから、本件発明8~10、12、13、16、17は、前記相違点1-1cと実質的に同じ相違点において甲1発明と相違する。 そうすると、本件発明3、5、6、8~10、12、13、16、17は、前記ア(ウ)cにおいて検討したのと同様の理由により、甲1発明と同一ではなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4) 取消理由1及び2についてのまとめ 以上検討のとおりであるから、本件発明1及び3は、甲2文献を主たる引用文献として新規性を有する。 また、本件発明1、3、16及び17は甲1文献及び甲2文献のいずれを主たる引用文献としても、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有する。 したがって、前記取消理由1及び2はいずれも解消された。 また、前記(1)~(3)の検討によれば、本件発明1、3、5、6、8~10、12、13、16、17は、甲1文献及び甲2文献のいずれを主たる引用文献としても、新規性及び進歩性を有する。 3 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、甲3文献(特開2015-50124号公報)又は甲4文献(特開2014-194895号公報)を主たる引用文献として、請求項1~3、5、6、8~10、12、13、16及び17に係る発明の進歩性の欠如を主張するので、当該主張について検討する。 本件発明1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17は、少なくとも前記相違点1-1cと実質的に同じ相違点において甲3文献に記載された発明(以下「甲3発明」という。)及び甲4文献に記載された発明(以下「甲4発明」という。)と相違する。 ここで、前記相違点1-1cに係る本件発明1の構成は、本件訂正前の請求項2に記載された「前記第3層に対向して設けられ、金属を含有する第4層と、前記第4層に対向して設けられ、無機酸化物を含有する第5層と、をさらに備える」との構成に対して、「第4層」について「前記第3層の結晶化を促進する」との構成を付加したものであるところ、申立人は、本件訂正前の請求項2に記載された前記構成の点において、本件訂正前の請求項2に係る発明が甲3発明及び甲4発明と相違することを認めている(特許異議申立書(61頁8~12行、67頁36行~68頁3行)参照)。 そして、前記2(3)ア(ウ)cで説示したとおり、相違点1-1cは当業者が容易に想到し得たものではないから、本件発明1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17は、甲3発明又は甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、申立人の前記主張は、採用することができない。 4 申立人のそのほかの意見 (1) 申立人は、意見書において、前記2(2)ア(エ)において検討した事項のほか、次のア及びイに示す、サポート要件違反及び明確性要件違反を主張している。 ア サポート要件違反 本件発明1等は、「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であって」との構成が追加されているところ、本件特許の明細書においては、次に示すとおり、段落【0084】において、TiとAgとの関係しか記載されておらず、Ti以外のものも含む本件発明1等は、サポート要件違反である。 「【0084】 凝集エネルギーの大きいTiが光入射側に形成された反射層52は、Tiの作用によって熱によるAg原子のマイグレーションが起こり難くなるので、マイグレーションによる凝集の発生が低減される。すなわち、反射層52は、凝集の発生に伴う反射率の低下及び耐久性の低下が抑制されたものとなる。本実施形態の反射部材43によれば、劣化防止膜51を備えるので、反射層52の劣化を低減することができる。」 イ 明確性要件違反 どのような構成でもってマイグレーションを起こりにくくするのかが判然とせず、本件発明1等は、発明として不明確である。 (2) 上記申立人の意見書について検討する。 「前記第2層は、前記第3層のマイグレーションを起こし難くする膜であ[る]」ことは、その膜の有無によりマイグレーションを起こりにくくするのか否かを評価することにより評価できるから、発明が不明確であるとの申立人の意見は採用することができない。 また、このような膜を設けることにより、「前記第3層のマイグレーションを起こし難く」できることは自明であり、申立人の主張するとおり、「Al2O3膜」もこのような膜に該当することは当業者は理解することができるから、本件特許明細書等には、具体的材料はTiの開示しかないからといって、サポート要件違反であるとの申立人の意見は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに請求項1、3、5、6、8~10、12、13、16及び17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項2に係る特許についての特許異議の申立ては、請求項2が本件訂正により削除されたことにより申立てに係る特許が存在しないこととなったため、不適法な特許異議の申立てであってその補正をすることができないものであるといえるから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700292

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