特許異議申立
2024-700359
エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置
- 審判番号
- 2024-700359
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-565151
- 登録番号
- 7372604
- 請求日
- 2024年04月17日
- 審決日
- 2026年03月04日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ニコン
- 【権利者代理人】大森 聡
- 【異議申立人】柴田 都
- 審判長/審判官
- 審判長 小島 寛史
- 審判官 柳 重幸
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P1651.113-YAA(G01D) / P1651.121-YAA(G01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7372604号発明「エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7372604号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
特許第7372604号の請求項1、2、4~12に係る特許を維持する。
特許第7372604号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 本件特許についての手続の経緯
特許第7372604号(請求項の数12。以下「本件特許」という。)に係る日本語特許出願の国際出願日、特許権の設定の登録日及び特許掲載公報の発行日は、次のとおりである。
国際出願日 令和 元年12月16日
特許権の設定の登録日 令和 5年10月24日
特許掲載公報の発行日 同年11月 1日
2 本件特許異議の申立てについての手続の経緯
令和6年 4月17日 :特許異議の申立て
(特許異議申立人:柴田 都 全請求項1~12に対して)
同年 7月31日付け:取消理由通知書
同年10月 6日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年11月14日付け:訂正拒絶理由通知書
同月21日 :応対記録
同年12月12日 :意見書及び手続補正書の提出(特許権者)
同月25日付け:手続補正指令書(方式)
令和7年 1月 9日 :手続補正書(方式)の提出(特許権者)
同月30日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
同年 3月 4日 :意見書の提出(特許異議申立人)
同年 6月 6日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 8月 7日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同月28日付け:手続補正指令書(方式)
同年 9月17日 :手続補正書(方式)の提出(特許権者)
同月26日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
なお、令和7年9月26日付けの通知書において、特許異議申立人に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人は応答しなかった。
また、令和6年10月6日付け訂正請求書による訂正の請求(先にした訂正の請求)は、令和7年8月7日付け訂正請求書による訂正の請求がされたため、取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。
以下、令和7年9月17日に提出された手続補正書によって補正された令和7年8月7日付け訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。
第2 本件訂正について
1 請求の趣旨
本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求めるものである。
2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~12の記載(登録時における特許請求の範囲の記載)は、次のとおりである。
「【請求項1】
移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
前記移動部の移動によって移動する磁石と、
前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部と、
前記位置検出部からの制御信号によって変化する前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部と
を備えるエンコーダ装置。
【請求項2】
前記電気信号発生部から出力された電荷を蓄積する蓄積部を有し、
前記電気信号発生部の出力は、前記制御信号によって前記蓄積部の電荷を放電すると変化する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される請求項1または2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記電気信号により、前記位置検出部に電力を供給する電力供給部を備え、
前記回路部は、前記電力供給部の電位が基準値以上であると、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力する請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記回路部は、前記電力供給部の電位が上昇して所定時間経過すると前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部に出力する遅延部を含む請求項4に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記移動部の位置情報の検出処理が終わると、前記制御信号を出力して前記電気信号発生部の出力を変化させる請求項1から4のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記電気信号は、前記移動部の移動によって間欠的に繰り返して出力される請求項1から6のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記移動部は回転軸を含み、
前記磁石は輪帯状又は扇形の部分を含み、
前記電気信号発生部は、前記磁石に沿って複数個配置される請求項1から7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記位置検出部は、前記回転軸の1回転以内の角度位置情報を検出する角度検出部と、
前記位置情報として前記回転軸の多回転情報を検出する多回転情報検出部と、を備える請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
前記移動部に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置。
【請求項11】
移動物体と、
前記移動物体を移動させる請求項10に記載の駆動装置と、を備えるステージ装置。
【請求項12】
請求項10に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置。」
3 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~12の記載は、次のとおりである。下線は訂正箇所である。
「【請求項1】
移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
前記移動部の移動によって移動する磁石と、
前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部と、
前記位置検出部からの制御信号によって変化する前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部と
を備え、
前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される
エンコーダ装置。
【請求項2】
前記電気信号発生部から出力された電荷を蓄積する蓄積部を有し、
前記電気信号発生部の出力は、前記制御信号によって前記蓄積部の電荷を放電すると変化する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記電気信号により、前記位置検出部に電力を供給する電力供給部を備え、
前記回路部は、前記電力供給部の電位が基準値以上であると、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力する請求項1または2に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記回路部は、前記電力供給部の電位が上昇して所定時間経過すると前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部に出力する遅延部を含む請求項4に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記移動部の位置情報の検出処理が終わると、前記制御信号を出力して前記電気信号発生部の出力を変化させる請求項1、2または4に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記電気信号は、前記移動部の移動によって間欠的に繰り返して出力される請求項1、2、4~6のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記移動部は回転軸を含み、
前記磁石は輪帯状又は扇形の部分を含み、
前記電気信号発生部は、前記磁石に沿って複数個配置される請求項1、2、4~7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記位置検出部は、前記回転軸の1回転以内の角度位置情報を検出する角度検出部と、
前記位置情報として前記回転軸の多回転情報を検出する多回転情報検出部と、を備える請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
請求項1、2、4~9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
前記移動部に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置。
【請求項11】
移動物体と、
前記移動物体を移動させる請求項10に記載の駆動装置と、を備えるステージ装置。
【請求項12】
請求項10に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置。」
4 本件訂正の内容
本件訂正は、一群の請求項〔1~12〕について特許請求の範囲の記載を訂正するものであって、以下に示す訂正事項1から訂正事項7までからなる。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「を備える」との記載を「を備え、」との記載に訂正し、改行した上で、次の記載を挿入する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2、4~12も同様に訂正する。)。
「 前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される」
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4における「請求項3に記載のエンコーダ装置」との記載を、「請求項1または2に記載のエンコーダ装置」に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~12も同様に訂正する。)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6における「請求項1から4のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」との記載を、「請求項1、2または4に記載のエンコーダ装置」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7~12も同様に訂正する。)。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7における「請求項1から6のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」との記載を、「請求項1、2、4~6のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」に訂正する(請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8~12も同様に訂正する。)。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8における「請求項1から7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」との記載を、「請求項1、2、4~7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」に訂正する(請求項8の記載を直接又は間接的に引用する請求項9~12も同様に訂正する。)。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10における「請求項1から9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」との記載を、「請求項1、2、4~9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置」に訂正する(請求項10の記載を直接引用する請求項11、12も同様に訂正する。)。
5 本件訂正の適否についての当合議体の判断
(1) 訂正の目的
ア 訂正事項1
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「回路部」について「前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力」するものであることを限定し、また、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「位置検出部」について「前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される」ものであることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
ウ 訂正事項3
(ア) 訂正事項3による訂正は、訂正事項2により請求項3を削除する訂正がされたことに伴い引用する請求項を変更するものであるから、削除された請求項3の引用という明瞭でない記載の釈明、又は請求項3との引用関係の解消を目的とする訂正である。
(イ) 前記(ア)の検討から、訂正事項3による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、又は同4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。
エ 訂正事項4~訂正事項7
(ア) 訂正事項4による訂正は、引用する請求項の数を減少させる訂正であることから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
(イ) また、訂正事項2により請求項3を削除する訂正がされたことに伴い、削除された請求項3の引用という明瞭でない記載の釈明、又は請求項3との引用関係の解消を目的とする訂正でもある。
(ウ) 前記(ア)、(イ)の検討から、訂正事項4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするもの、又は同1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。
(エ) 訂正事項5~7についても同様である。
(2) 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
前記訂正事項1~訂正事項7の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面である。
ア 訂正事項1について
(ア) 訂正事項1において挿入された記載は、本件訂正前の請求項3の記載に基づいたものであるから、訂正事項1による訂正は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
(イ) また、訂正事項1による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、当該訂正が特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合することは、明らかである。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正事項2により請求項3を削除する訂正がされたことに伴い引用する請求項を変更するものであるから、当該訂正が特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合することは、明らかである。
エ 訂正事項4~7
訂正事項4~7の訂正は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、当該訂正が特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合することは、明らかである。
オ 前記ア~エで検討したとおり、訂正事項1~7による訂正は、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項1~7の訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 独立特許要件
この特許異議の申立てにおいては、全請求項である請求項1~12について特許異議の申立てがされているから、本件訂正後における請求項1~12に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
(4) 本件訂正の適否についての当合議体の判断のまとめ
前記(1)~(3)において検討したとおり、訂正事項1~7からなる本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、同3号及び同4号に掲げる事項を目的とするものであって同項の規定に適合し、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。
よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。
第3 取消理由について
本件特許について、令和7年6月6日付けで特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由(新規性欠如、進歩性欠如)の概要は、次のとおりである。なお、特許異議申立人が提出した各甲号証の文献を、単に「甲1」等という。
1 取消理由(新規性欠如)
本件特許の請求項1、2、7、10に係る発明は、その出願前に発行された下記甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。
2 取消理由(進歩性欠如)
本件特許の請求項1、2、6~12に係る発明は、その出願前に発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
甲1:特開2014-216983号公報
甲3:特開2018-44859号公報
第4 当合議体の判断
1 本件訂正発明について
前記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1、2、4~12に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4~12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、2、4~12の記載は、前記第2の3に示したとおりである。
ここで、検討の便宜上、本件訂正発明1の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。
<本件訂正発明1>
(構成A) 移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
(構成B) 前記移動部の移動によって移動する磁石と、
(構成C) 前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部と、
(構成D) 前記位置検出部からの制御信号によって変化する前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部と
を備え、
(構成D1) 前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
(構成A1) 前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される
(構成X) エンコーダ装置。
2 甲1に記載された事項及び甲1発明等の認定
(1) 甲1に記載された事項
本件特許の出願前に発行された甲1(特開2014-216983号公報)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付したものである(以下同様である。)。
ア 段落【0001】~【0005】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、発電検出装置および回転カウンタに関し、特に、電源が不要な発電検出装置、およびこの発電検出装置を適用し回転数をカウントし記録可能な回転カウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多回転エンコーダにおいては、回転運動をする入力軸に減速歯車を設けて、磁石を有するコード記録媒体を減速して駆動し、固定された基板上の磁気センサを用いて、コード記録媒体の角度の検出を行っている。これにより、入力軸の多回転量を一回転内の角度位置に変換して検出する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記のように従来の多回転エンコーダでは、減速歯車を用いているため、歯車の機械的な接触面を有することから磨耗による装置の寿命低下あるいは接触面への異物混入等によって、誤検出が発生する。
【0004】
また、光学式あるいは磁気式の回転角センサを用いて非接触で多回転量を検出する方式がある。しかしながら、この方式では、多回転量の検出に電源を必要とするため、モータ等の本体の電源オフ時においても検出できるようにするためには、バッテリを搭載する必要がある。
【0005】
一方、歯車等を用いることがなく、機械的な接触部がないため、磨耗による寿命低下あるいは異物等の混入による誤検出の発生がなく、バッテリ等の外部電源を不要とするか、あるいは消費電力を抑えて保守によるコストが小さい多回転検出装置についても開示されている(例えば、特許文献2参照。)。」
イ 段落【0007】
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電源・電池を必要としない発電検出装置およびこの発電検出装置を適用し回転数をカウントし記録可能な回転カウンタを提供することにある。」
ウ 段落【0014】~【0021】、【図1】、【図2】
「【0014】
[第1の実施の形態]
実施の形態に係る発電検出装置1の模式的ブロック構成は、図1に示すように表され、模式的回路ブロック構成は、図2に示すように表される。
【0015】
実施の形態に係る発電検出装置1は、図1および図2に示すように、外部エネルギーを電気に変換する発電素子10と、発電素子10により発電された電気エネルギーを蓄積する蓄電素子11と、蓄電素子11に蓄積された電気エネルギーを放電する放電手段13と、蓄電素子11に充電された充電電圧VEを検出する電圧検出回路16と、充電電圧VEを一定値で出力する電源回路14と、電源回路14の出力に接続されるパワーオンリセット回路18と、パワーオンリセット回路18に接続される論理回路20とを備える。
【0016】
図2において、破線で囲まれた部分が発電検出回路8に対応する。
【0017】
ここで、発電素子10により発電された電気エネルギーが交流成分若しくは周期的に振動する成分を含む場合には、図1および図2に示すように、発電素子10により発電された電気エネルギーは、整流回路12を介して整流された後、蓄電素子11に直流的な成分として蓄電されていても良い。
【0018】
例えば、モータなどの特定の回転動作を検出する際には、S極からN極への回転時には、プラス方向のパルスが検出され、N極からS極への回転時には、マイナス方向のパルスが検出される。このため、それぞれS極からN極への回転・N極からS極への回転時のエネルギーを有効に取り出すために、充電方向に応じた複数の半波整流回路を備えていても良い。
【0019】
また、論理回路20は、パワーオンリセット回路18に接続されるシーケンサ22と、シーケンサ22に接続される不揮発性ロジック回路24とを備えていても良い。
【0020】
蓄電素子11は、図2に示すように、キャパシタCで構成可能である。
【0021】
放電手段13は、図2に示すように、例えば、nチャネル絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)Qn1を用いて構成されていても良い。nチャネルMOSFETQn1は、シーケンサ22から供給される放電信号DSCによって、オン・オフ制御可能である。」
「【図1】
[図:0001436136000001.jpg]
【図2】
[図:0001436136000002.jpg]
」
エ 段落【0022】~【0035】、【図3】
「【0022】
(動作タイミングチャート)
実施の形態に係る発電検出装置1の動作タイミングチャートであって、蓄電素子に蓄電された電圧VE波形は、図3(a)に示すように表され、電圧検出回路16の検出電圧VDT波形は、図3(b)に示すように表され、電源回路14の出力電圧VP波形は、図3(c)に示すように表され、パワーオンリセット回路18の出力電圧VR波形は、図3(d)に示すように表され、シーケンサ22から放電手段13に供給される放電信号DSC波形は、図3(e)に示すように表される。
【0023】
発電素子10により発電された電気エネルギーは、整流回路12を介して蓄電素子11に蓄積され、蓄電素子11は、図3(a)に示すように、VE=V0に充電される。
【0024】
蓄電素子11に充電された充電電圧VEは、電圧検出回路16を介して、図3(b)に示すように、電圧検出回路16の検出電圧VDT=V1に等しい一定値で出力される。
【0025】
電源回路14より、電源回路14の出力電圧VPは、図3(c)に示すように、VP=V2に等しい一定値で出力される。
【0026】
パワーオンリセット回路18において、時刻t=t2において、パワーオンリセット回路18の出力電圧VRが電圧検出の閾値電圧Vthを超えると、図3(d)に示すように、パワーオンリセット回路18は、リセットが解除され、パワーオンリセット回路18の出力電圧VRは、VR=V3に等しい一定値で出力される。ここで、VHをヒステリシスとすると、V3-Vth=VHで表される。
【0027】
以下、時間tの経過とともに動作タイミングを説明する。
【0028】
まず、時刻t=t1において、発電素子10により発電が開始され、発電素子10により発電された電気エネルギーは、整流回路12を介して蓄電素子11に蓄積され、蓄電素子11は、図3(a)に示すように、VE=V0に充電される。
【0029】
次に、時刻t=t2において、電圧検出回路16の検出電圧VDTは、急峻に立ち上がり、VDT=V1に等しい一定値で出力される。同様に、パワーオンリセット回路18の出力電圧VRは、急峻に立ち上がり、パワーオンリセット回路18の出力電圧VRが電圧検出の閾値電圧Vthを超えると、パワーオンリセット回路18は、リセットが解除され、パワーオンリセット回路18の出力電圧VRは、VR=V3に等しい一定値で出力される。その結果、シーケンサ22が起動し、電圧検出回路16により検出された電圧検出結果(検出電圧VDT=V1)が不揮発性ロジック回路24に記録される。図3(e)に示すように、時刻t=t2~t3の期間は、ライトイネーブル(書き込み動作)期間WEに対応する。
【0030】
次に、時刻t=t3において、放電手段13によって、nチャネルMOSFETQn1がオンになると、図3(a)に示すように、充電電圧VE=V0は、瞬時に放電される。同様に、図3(b)に示すように、電圧検出回路16の検出電圧VDT=V1は、瞬時に放電される。図3(e)に示すように、時刻t=t3で書き込み終了後、放電イネーブルとなる。シーケンサ22から放電手段13に供給される放電信号DSCはイネーブル(DSE)となる。
【0031】
次に、時刻t=t4において、パワーオンリセット回路18の出力電圧VR=V3が閾値電圧Vthまで低下すると、パワーオンリセット回路18は、図3(d)に示すように、リセット点Rにおいて、リセットされる。この結果、リセットにより、放電ディセーブルとなる。
【0032】
時刻t=t4以降、電源回路14の出力電圧VP波形は、図3(c)に示すように、時定数τで自然放電される。
【0033】
図3(e)に示すように、時刻t=t3~t4の期間は、書き込み動作終了後の放電イネーブル期間DSEに対応し、時刻t=t4以降の期間は、リセット後の放電ディセーブル期間DSDに対応する。
【0034】
実施の形態に係る発電検出装置1によれば、蓄電素子11に蓄積された電荷を放電手段13を介して放電後、電源回路14の出力電圧VPを放電することができる。この結果、不揮発性ロジック回路24に記録した電圧検出結果(検出電圧VDT=V1)以外は、発電検出装置1を初期化することができ、次の発電のカウントに備えることができる。
【0035】
実施の形態に係る発電検出装置1によれば、自己で状態を一定期間内に初期化することができ、発電周期が短い場合でも発電回数をカウントすることができる。」
「【図3】
[図:0001436136000003.jpg]
」
オ 段落【0036】~【0040】、【図4】
「【0036】
(電源回路)
実施の形態に係る発電検出装置1において、電源回路14の回路構成は、図4に示すように表される。
【0037】
実施の形態に係る発電検出装置1において、電源回路14は、コンパレータ15と、コンパレータ15の出力に接続されたpチャネルMOSFETQpとを備える。pチャネルMOSFETQpのソースは、蓄電素子11に接続され、蓄電素子11に蓄電された充電電圧VEが供給される。pチャネルMOSFETQpのドレインには、直列接続された抵抗R1・R2が接続され、かつpチャネルMOSFETQpのドレインからは、電源回路14の出力電圧VPが出力される。
【0038】
コンパレータ15の正(+)入力には、蓄電素子11に蓄電された充電電圧VEが供給され、コンパレータ15の負(-)入力には、直列接続された抵抗R1・R2で分圧された電圧VP・R2/(R1+R2)が入力される。
【0039】
実施の形態に係る発電検出装置1において、電源回路14の出力側の放電時間>>電源回路14の入力側の放電時間なる大小関係を満足するように設定されている。
【0040】
電源回路14の出力電圧は、pチャネルMOSFETQpのボディーダイオードBDを介して放電される。電源回路14の出力電圧は、電源回路14の入力側の電圧に対しボディーダイオードBDの順方向電圧降下Vf分高い電圧となるため、電源回路14の出力側の放電時間は、電源回路14の入力側の放電時間よりも十分に長く設定可能である。電源回路14の入力側の放電時間は、蓄電素子11を構成するキャパシタCの容量値とnチャネルMOSFETQn1のオン抵抗で決まる。例えば、蓄電素子11に蓄電された充電電圧VEが約4Vとした場合、電源回路14の出力電圧VPが1.5Vから放電動作を行うと、充電電圧VEが0.8V程度まで放電されてから、電源回路14の出力電圧VPは放電することになる。キャパシタCの蓄積電荷は、nチャネルMOSFETQn1を介して、容易に放電可能である。」
「【図4】
[図:0001436136000004.jpg]
」
カ 段落【0041】~【0045】、【図5】
「【0041】
(論理回路)
実施の形態に係る発電検出装置1において、論理回路20の拡大されたブロック回路構成は、図5(a)に示すように表される。論理回路20は、図5(a)に示すように、パワーオンリセット回路に接続されるシーケンサ22と、シーケンサ22および電源回路14に接続される不揮発性ロジック回路24とを備える。
【0042】
パワーオンリセット回路のリセットが解除され、シーケンサ22が起動すると、電圧検出回路16により検出された電圧検出結果(検出電圧VDT)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号が不揮発性ロジック回路24に記録される(WE)。書き込み終了後、シーケンサ22から放電手段に放電信号DSCを供給する。パワーオンリセット回路がリセットされると、放電ディセーブル期間DSDに移行する。
【0043】
実施の形態に係る発電検出装置1において、不揮発性ロジック回路24の強誘電体メモリセル60の回路構成は、図5(b)に示すように表される。不揮発性ロジック回路24の強誘電体メモリセル60は、図5(b)に示すように、ビット線BLとワード線WL・プレート線PLとの交差点に配置され、MOSFETQMと、MOSFETQMのソースに接続された強誘電体キャパシタCFとを備える。ビット線BLは、MOSFETQMのドレインに接続され、ワード線WLは、MOSFETQMのゲートに接続され、プレート線PLは、MOSFETQMのソースに接続された強誘電体キャパシタCFのプレート電極(キャパシタを構成する2つの電極の一方の電極)に接続される。
【0044】
実施の形態に係る発電検出装置1において、不揮発性ロジック回路24は、複数のビット線BLと複数のワード線WL・複数のプレート線PLを備え、図5(b)に示すように、これらの交差点に強誘電体メモリセル60が、複数個マトリックス状に配置される。
【0045】
また、実施の形態に係る発電検出装置1において、不揮発性ロジック回路24には、通常のロジック回路に強誘電体素子を付加させる技術(ロジック組み込みタイプ)でも適用可能である。ロジック回路に強誘電体素子を組み合わせて不揮発化させたロジックICは、電源を切った後も情報を保持できるため、待機時の消費電力を低減化可能である。」
「【図5】
[図:0001436136000005.jpg]
」
キ 段落【0046】~【0049】、【図6】、【図7】
「【0046】
(パワーオンリセット回路)
実施の形態に係る発電検出装置1において、パワーオンリセット回路18の回路構成は、図6に示すように表される。パワーオンリセット回路18は、電源回路14の出力に接続されたヒステリシスコンパレータ17を備える。ヒステリシスコンパレータ17の正(+)入力には、閾値電圧Vthが供給され、ヒステリシスコンパレータ17の負(-)入力には、電源回路14の出力電圧VPを抵抗R01と抵抗R02若しくは抵抗R01と抵抗(R02+R03)で分圧された入力電圧Vinが供給される。ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)は、nチャネルMOSFETQn3のゲートに入力される。nチャネルMOSFETQn3は、図6に示すように、抵抗R03に並列接続される。
【0047】
ここで、ヒステリシスコンパレータ17の正(+)入力に供給される閾値電圧Vthが、パワーオンリセット回路18のリセット・リセット解除のレベルを決めており、図4(d)の閾値電圧Vthに対応している。
【0048】
ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)がnチャネルMOSFETQn3の閾値電圧よりも高い場合には、nチャネルMOSFETQn3はオンになり、ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinは、VP・R02/(R01+R02)で表される。一方、ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)がnチャネルMOSFETQn3の閾値電圧よりも低い場合には、nチャネルMOSFETQn3はオフになり、ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinは、VP・(R02+R03)/(R01+R02+R03)で表される。
【0049】
実施の形態に係る発電検出装置において、パワーオンリセット回路18内のヒステリシスコンパレータ17の入出力電圧のヒステリシス動作は、図7に示すように表される。すなわち、ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinが増加して、閾値電圧Vth2を超えると、矢印aおよびbに沿って、ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)は上昇する。ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)がnチャネルMOSFETQn3の閾値電圧を超えると、ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinは、VP・R02/(R01+R02)で表され、減少する。ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinが減少して、閾値電圧Vth2以下に低下すると、矢印dに沿って、ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)は低下する。さらに、ヒステリシスコンパレータ17の入力電圧Vinが減少して、閾値電圧Vth1になると、矢印eに沿って、ヒステリシスコンパレータ17の出力電圧Vout(=VR)は低下する。」
「【図6】
[図:0001436136000006.jpg]
【図7】
[図:0001436136000007.jpg]
」
ク 段落【0050】~【0059】、【図8】
「【0050】
(電圧検出回路)
実施の形態に係る発電検出装置1において、電圧検出回路16の回路構成は、図8に示すように表される。電圧検出回路16は、図8に示すように、発電素子10により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタCに接続され、キャパシタCに充電された充電電圧VEに基づいて、キャパシタCから不揮発性ロジック回路24へ、電圧検出結果(検出電圧VDT)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号を供給すると共に電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSWとして機能する。
【0051】
スイッチSWは、キャパシタCと電源回路14との間に接続され、キャパシタCの充電電圧VEに基づいて、キャパシタCから電源回路14への電力供給を切り替える。
【0052】
ここで、スイッチSWは、図8に示すように、キャパシタCに並列接続される抵抗R11・R12を備える。
【0053】
スイッチSWは、図8に示すように、第1ソースがキャパシタCに接続可能にされ、第1ドレインが電源回路14に接続されるpチャネルの第1MOSFETQ1と、キャパシタCに並列接続され、キャパシタCの充電電圧VEを分圧する第1抵抗R11および第2抵抗R12と、第1MOSFETQ1の第1ゲートに、第2ドレインが接続され、第2ゲートがキャパシタCの充電電圧VEの分圧(ゲート電圧VG)に接続され、第2ソースが接地電位になされたnチャネルの第2MOSFETQ2と、第1MOSFETQ1の第1ゲートと第1ソース間に接続された第3抵抗R13と、第1ソースとキャパシタC間に配置され、第3ドレインがキャパシタCに接続され、第3ソースが第1ソースに接続され、第3ゲートが第1ゲートに接続されるpチャネルの第3MOSFETQ3とを備える。ここで、第1ゲート・第3ゲート・第2ドレインの接続点より不揮発性ロジック回路24に、電圧検出結果(検出電圧VDT)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号を供給可能である。
【0054】
第1抵抗R11および第2抵抗R12によって分圧されたゲート電圧VGは、R12・VE/(R11+R12)で表される。図8において、BD1・BD3は、第1MOSFETQ1・第3MOSFETQ3のバックゲートボディーダイオードを表す。キャパシタCに所定のキャパシタCの充電電圧VEが充電された状態で、第1MOSFETQ1がオフ状態では、第1MOSFETQ1のゲート・ソース間には逆バイアスが印加され、第1MOSFETQ1のドレイン・ソース間およびバックゲートボディーダイオードBD1にも逆バイアスが印加される。
【0055】
また、抵抗R11・R12は、所定のインピーダンス以上の抵抗値を有する。
【0056】
スイッチSWにおいては、分圧されたゲート電圧VG=R12・VE/(R11+R12)とnチャネルの第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2との大小関係によって、第2MOSFETQ2のオン・オフ状態を調整することができる。
【0057】
もしもpチャネルの第3MOSFETQ3が存在しない場合には、pチャネルの第1MOSFETQ1の第1ゲート・第1ソース間の電圧がショートされた状態となると、pチャネルの第1MOSFETQ1が、オン状態となるので、電流が逆流する可能性があるが、図8に示されたスイッチSWの構成では、pチャネルの第3MOSFETQ3を備えるため、電流の逆流を防止することができる。
【0058】
図8に示されたスイッチSWの構成では、スイッチSWがオンしている場合、検出電圧VDTはゼロ電位にあるが、pチャネルの第3MOSFETQ3のバックゲートボディーダイオードBD3の効果によって、電流の逆流を防止することができる。
【0059】
尚、図8に示されたスイッチSWの構成では、スイッチSWがオフしている場合、検出電圧VDTは、充電電圧VEと同電位となる。」
「【図8】
[図:0001436136000008.jpg]
」
ケ 段落【0060】~【0071】、【図9】~【図11】
「【0060】
(回転カウンタ)
例えば、モータなどの特定の回転動作を検出する際には、S極からN極への回転時には、プラス方向のパルスが検出され、N極からS極への回転時には、マイナス方向のパルスが検出される。このため、整流回路12にはそれぞれS極からN極への回転・N極からS極への回転時のエネルギーを有効に取り出すために、充電方向に応じた複数の半波整流回路を適用しても良い。また、発電素子は、複数配置されていてもよい。
【0061】
実施の形態に係る発電検出装置1を適用した回転カウンタ2の模式的回路ブロック構成は、図9に示すように表される。図9の例では、発電素子が2個の場合である。回転カウンタ2は、図9に示すように、外部エネルギーを電気に変換する第1の発電素子101と、第1の発電素子101により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路121P・121Nと、半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC1P・C1Nと、キャパシタC1P・C1Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn1P・Qn1Nと、キャパシタC1P・C1Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路161P・161Nと、充電電圧を一定値で出力する電源回路14と、キャパシタC1P・C1Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC1P・C1Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW1P・SW1Nと、電源回路14の出力に接続されるパワーオンリセット回路18と、パワーオンリセット回路18に接続される論理回路20とを備える。
【0062】
ここで、スイッチSW1P・SW1Nは、キャパシタC1P・C1Nに充電された充電電圧に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから不揮発性ロジック回路24へ、電圧検出結果(検出電圧VDT1P・VDT1N)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号を供給すると共に電源回路14へのエネルギー供給を切り替える。
【0063】
また、回転カウンタ2は、図9に示すように、外部エネルギーを電気に変換する第2の発電素子102と、第2の発電素子102により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路122P・122Nと、半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC2P・C2Nと、キャパシタC2P・C2Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn2P・Qn2Nと、キャパシタC2P・C2Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路162P・162Nと、キャパシタC2P・C2Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC2P・C2Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW2P・SW2Nとを備える。
【0064】
電源回路14の構成は、図4と同様に表され、パワーオンリセット回路18の構成は、図6と同様に表される。また、論理回路20は、図2と同様に、シーケンサ22と不揮発性ロジック回路24とを備える。
【0065】
また、電圧検出回路161P・SW1Pの組み合わされた回路構成が、図8に示された電圧検出回路16に対応している。電圧検出回路161N・SW1N、電圧検出回路162P・SW2P、電圧検出回路162P・SW2Nの組み合わされた回路構成についても同様である。
【0066】
また、実施の形態に係る発電検出装置1を適用した回転カウンタ2の動作タイミングチャートであって、発電素子101の出力電圧VE1波形は、図10(a)に示すように表され、発電素子102の出力電圧VE2波形は、図10(b)に示すように表される。
【0067】
発電素子101は、図10(a)に示すように、時刻t=t1において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t3において負方向のスパイク状の電圧を発生し、発電素子102は、図10(b)に示すように、時刻t=t2において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t4において負方向のスパイク状の電圧を発生する。そこで、半波整流回路121P・121Nおよび半波整流回路122P・122Nを用いることによって、時刻t=t1における正方向・時刻t=t3における負方向のスパイク状の電圧およひ時刻t=t2における正方向・時刻t=t4における負方向のスパイク状の電圧のいずれも有効に取り出す工夫がなされている。この結果、P極側電圧検出回路161Pの検出電圧VDT1P波形は、図10(c)に示すように表され、N極側電圧検出回路161Nの検出電圧VDT1N波形は、図10(d)に示すように表される。P極側電圧検出回路162Pの検出電圧VDT2P波形は、図10(e)に示すように表され、N極側電圧検出回路162Nの検出電圧VDT2N波形は、図10(f)に示すように表される。検出電圧VDT1P・VDT1N・VDT2P・VDT2Nは、いずれも充放電特性に対応したパルス幅Δt1・Δt2・Δt3・Δt4を有する。
【0068】
実施の形態に係る発電検出装置1を適用した回転カウンタ2の動作タイミングチャートであって、検出角度は、図11(a)に示すように表され、カウント値は、図11(b)に示すように表される。それぞれの時刻t=t1+Δt1、t2+Δt2、t3+Δt3、t4+Δt4に応じて、検出角度…0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°(0°)…を検出することによって、カウント値…N、(N+1)、(N+2)…をカウント可能である。
【0069】
実施の形態に係る発電検出装置を適用した回転カウンタ置よれば、蓄電素子に蓄積された電荷を放電手段を介して放電後、電源回路の出力電圧を放電することができ、この結果、不揮発性ロジック回路に記録した発電検出信号以外は、発電検出装置を初期化することができ、次の発電のカウントに備えることができる。
【0070】
実施の形態に係る発電検出装置を適用した回転カウンタによれば、自己で状態を一定期間内に初期化することができ、発電周期が短い場合でも発電回数をカウントすることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電源・電池を必要としない発電検出装置およびこの発電検出装置を適用し回転数をカウントし記録可能な回転カウンタを提供することができる。」
「【図9】
[図:0001436136000009.jpg]
【図10】
[図:0001436136000010.jpg]
【図11】
[図:0001436136000011.jpg]
」
(2) 甲1の記載から読み取れる事項
前記(1)で摘記した甲1の記載から、以下の事項(以下「甲1認定事項1」などという。)が読み取れる。
なお、甲1の段落【0061】には「実施の形態に係る発電検出装置1を適用した回転カウンタ2の模式的回路ブロック構成は、図9に示すように表される。」と記載されている。そして、図1~8に開示された発電検出装置は、いずれも同じ「実施の形態」に関するものとされている。
したがって、図9に開示された回転カウンタ2の各構成は、図1~8に開示された発電検出装置の対応する各構成と同じものといえる。以下、これを前提として各認定を行った。
ア 甲1認定事項1
(ア) 前記(1)ケに摘記した甲1の図11には、「検出角度」と「カウント値」を時間軸方向に対応させたタイムチャートが示されている。
(イ) ここで、上記「カウント値」(N、N+1、N+2)は、モータの回転部位の回転数を回転カウンタ2が検出した回転カウント値nを示していることは明らかである。
(ウ) また、上記「検出角度」(0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~0°)は、モータの回転部位の1回転内の回転角度θを範囲として示していることは明らかであるところ、段落【0068】には、「それぞれの時刻t=t1+Δt1、t2+Δt2、t3+Δt3、t4+Δt4に応じて、検出角度…0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°(0°)…を検出することによって、カウント値…N、(N+1)、(N+2)…をカウント可能である。」と記載されているから、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)を検出する手段が回転カウンタ2に存在することを前提としている。
(エ) そうすると、甲1は、モータの回転部位の回転数nと、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)から、多回転位置情報(θ+360°×n)を検出する多回転エンコーダの存在を前提としているといえる。
これを踏まえると、甲1の記載から、以下の甲1認定事項1-1が読み取れる。
<甲1認定事項1-1>
「モータの回転部位の回転数nと、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)から、多回転位置情報(θ+360°×n)を検出する多回転エンコーダ。」
(オ) 前記(1)ケに摘記した甲1の図9から、回転カウンタ2の論理回路20が、モータの回転部位の回転数n及びモータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)を検出していることは、明らかといえる。
これを踏まえると、甲1の記載から、以下の甲1認定事項1-2が読み取れる。
<甲1認定事項1-2>
「回転カウンタ2の論理回路20が、モータの回転部位の回転数nと、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)を検出すること。」
イ 甲1認定事項2
前記(1)ウ、エに摘記した、甲1の段落【0021】、【0030】の記載を踏まえると、図9から以下の甲1認定事項2が読み取れる。
<甲1認定事項2>
「nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nは、シーケンサ22から供給される放電信号DSCによってオン・オフ制御可能であり、
nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nがオンになると、それぞれキャパシタC1P・C1N・C2P・C2Nの充電電圧は瞬時に放電されること。」
ウ 甲1認定事項3
(ア) 図8に示されたスイッチSWについて
前記(1)クに摘記した甲1の段落【0050】~【0059】、【図8】には、以下の事項a~cが記載されている。
a 電圧検出回路16は、発電素子10により発電されたエネルギーを蓄電するキャパシタCに接続され、キャパシタCに充電された充電電圧VEに基づいて、キャパシタCから不揮発性ロジック回路24へ、電圧検出結果(検出電圧VDT)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号を供給すると共に電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSWとして機能すること。(【0050】)
b スイッチSWは、キャパシタCと電源回路14との間に接続され、キャパシタCの充電電圧VEに基づいて、キャパシタCから電源回路14への電力供給を切り替えるものであること。(【0051】)
c スイッチSWにおいては、分圧されたゲート電圧VG=R12・VE/(R11+R12)とnチャネルの第2MOSFETQ2の閾値電圧Vth2との大小関係によって、第2MOSFETQ2のオン・オフ状態を調整することができ、スイッチSWがオンしている場合、検出電圧VDTはゼロ電位にあり、スイッチSWがオフしている場合、検出電圧VDTは、充電電圧VEと同電位となること。(【0056】、【0058】、【0059】)
(イ) 図9に示されたスイッチSWについて
a 前記(1)ケに摘記した甲1号証の段落【0061】には、「回転カウンタ2」が、「キャパシタC1P・C1Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路161P・161N」と、「キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW1P・SW1N」を備えると記載されており、段落【0063】には、「回転カウンタ2」が、「キャパシタC2P・C2Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路162P・162N」と、「キャパシタC2P・C2Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW2P・SW2N」を備えると記載されている。
b 上記aを踏まえると、「スイッチSW1P・SW1N」や「スイッチSW2P・SW2N」は、「電圧検出回路161P・161N」や「電圧検出回路162P・162N」とは別の構成として特定されているように見えるが、前記aの図8に示されたスイッチSWに係る記載事項を踏まえると、図9は、図8に示されたスイッチSWが各電圧検出回路16の内部にあることを前提として、当該スイッチ機能を明示するために各電圧検出回路16とは別に模式図として示したにすぎないと解するのが相当である。
c 前記a及びbを踏まえると、甲1には、以下の甲1認定事項3-1が記載されていると認められる。
<甲1認定事項3-1>
「電圧検出回路161P・161Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW1P・SW1Nとしても機能するものであり、
スイッチSW1P・SW1Nは、キャパシタC1P・C1Nの充電電圧VE1に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるものであり、
スイッチSW1P・SW1Nがオンすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nはゼロ電位になり、
スイッチSW1P・SW1Nがオフすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nは、充電電圧VE1と同電位となること。」
d 同様に、甲1には、以下の甲1認定事項3-2が記載されていると認められる。
<甲1認定事項3-2>
「電圧検出回路162P・162Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW2P・SW2Nとしても機能するものであり、
スイッチSW2P・SW2Nは、キャパシタC2P・C2Nの充電電圧VE2に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるものであり、
スイッチSW2P・SW2Nがオンすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nはゼロ電位になり、
スイッチSW2P・SW2Nがオフすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nは、充電電圧VE2と同電位となること。」
エ 甲1認定事項4
(ア) 前記(1)カに摘記したとおり、甲1の段落【0041】には、「パワーオンリセット回路に接続されるシーケンサ22と、シーケンサ22および電源回路14に接続される不揮発性ロジック回路24とを備える」ことが記載されており、段落【0042】には、「シーケンサ22が起動すると、電圧検出回路16により検出された電圧検出結果(検出電圧VDT)に基づいて、発電が行われたか否か(ハイレベル若しくはローレベル)の発電検出信号が不揮発性ロジック回路24に記録される」ことが記載されている。
(イ) そして、一般に不揮発性メモリがデータの書き込みを行う際、電力供給が必要であることは自明である。
(ウ) ここで、前記(1)イに摘記したとおり、甲1の段落【0007】には、「本発明の目的は、電源・電池を必要としない発電検出装置およびこの発電検出装置を適用し回転数をカウントし記録可能な回転カウンタを提供すること」であることが記載されている。
(エ) そうすると、甲1発明においては、「不揮発性ロジック回路24」に接続される「シーケンサ22および電源回路14」のいずれかが「不揮発性ロジック回路24」に電力供給を行っていると解されるところ、図5には「不揮発性ロジック回路24」に対して「検出電圧」である「VDT」のほか、「電源回路14の出力電圧VP」を供給することが示されている。
(オ) したがって、甲1発明においては、「電源回路14」が「電源回路14」の「出力電圧VP」を電力として「不揮発性ロジック回路24」に供給していると解するのが相当である。
(カ) これらを踏まえると、甲1の記載から、以下の甲1認定事項4が読み取れる。
<甲1認定事項4>
「電源回路14は、電源回路14の出力電圧VPを電力として不揮発性ロジック回路24に供給すること。」
オ 甲1認定事項5
前記(1)ケに摘記したとおり、甲1の段落【0060】には、「モータなどの特定の回転動作を検出する際には、S極からN極への回転時には、プラス方向のパルスが検出され、N極からS極への回転時には、マイナス方向のパルスが検出される」よう構成されていることが記載されている。
そして、一般にモータの回転部位が回転する際、S極からN極への回転及びN極からS極への回転が繰り返し行われることは自明である。
これらのことと、甲1の段落【0066】~【0067】の記載を踏まえると、図10から以下の甲1認定事項5が読み取れる。
<甲1認定事項5>
「第1の発電素子101の出力電圧VE1及び第2の発電素子102の出力電圧VE2は、モータの回転部位の回転動作に伴って間欠的に繰り返し発生すること。」
(3) 甲1発明の認定
前記(1)において摘記した事項及び前記(2)において認定した事項から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。また、甲1における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。)。
<甲1発明>
「モータの回転部位の回転数nと、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)から、多回転位置情報(θ+360°×n)を検出する多回転エンコーダであって、(甲1認定事項1-1)
回転カウンタ2の論理回路20が、モータの回転部位の回転数n及びモータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)を検出し、(甲1認定事項1-2)
回転カウンタ2は、S極からN極への回転時には、プラス方向のパルスが検出され、N極からS極への回転時には、マイナス方向のパルスが検出されて、モータの回転動作を検出するものであって、(【0060】、【0061】)
回転カウンタ2は、外部エネルギーを電気に変換する第1の発電素子101と、第1の発電素子101により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路121P・121Nと、半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC1P・C1Nと、キャパシタC1P・C1Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn1P・Qn1Nと、キャパシタC1P・C1Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路161P・161Nと、充電電圧を一定値で出力する電源回路14と、キャパシタC1P・C1Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC1P・C1Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW1P・SW1Nと、電源回路14の出力に接続されるパワーオンリセット回路18と、パワーオンリセット回路18に接続される論理回路20とを備え、(【0061】)
回転カウンタ2は、外部エネルギーを電気に変換する第2の発電素子102と、第2の発電素子102により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路122P・122Nと、半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC2P・C2Nと、キャパシタC2P・C2Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn2P・Qn2Nと、キャパシタC2P・C2Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路162P・162Nと、キャパシタC2P・C2Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC2P・C2Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW2P・SW2Nとを備え、(【0063】)
論理回路20は、パワーオンリセット回路に接続されるシーケンサ22と、シーケンサ22および電源回路14に接続される不揮発性ロジック回路24とを備え、(【0041】、【0019】)
パワーオンリセット回路18の出力電圧が閾値電圧まで低下すると、パワーオンリセット回路18はリセットされ、(【0031】)
発電素子101は、時刻t=t1において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t3において負方向のスパイク状の電圧を発生し、
発電素子102は、時刻t=t2において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t4において負方向のスパイク状の電圧を発生するものであり、
半波整流回路121P・121Nおよび半波整流回路122P・122Nを用いることによって、時刻t=t1における正方向・時刻t=t3における負方向のスパイク状の電圧および時刻t=t2における正方向・時刻t=t4における負方向のスパイク状の電圧のいずれも有効に取り出すことができ、
この結果、P極側電圧検出回路161Pの検出電圧VDT1P、N極側電圧検出回路161Nの検出電圧VDT1N、P極側電圧検出回路162Pの検出電圧VDT2P、N極側電圧検出回路162Nの検出電圧VDT2Nは、いずれも充放電特性に対応したパルス幅Δt1・Δt2・Δt3・Δt4を有する波形となり、(【0067】)
それぞれの時刻t=t1+Δt1、t2+Δt2、t3+Δt3、t4+Δt4に応じて、検出角度…0°~90°、90°~180°、180°~270°、270°~360°(0°)…を検出することによって、回転カウンタ2は、カウント値…N、(N+1)、(N+2)…をカウント可能であり、(【0068】)
nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nは、シーケンサ22から供給される放電信号DSCによってオン・オフ制御可能であり、(甲1認定事項2)
nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nがオンになると、それぞれキャパシタC1P・C1N・C2P・C2Nの充電電圧は瞬時に放電され、(甲1認定事項2)
電圧検出回路161P・161Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW1P・SW1Nとしても機能するものであり、
スイッチSW1P・SW1Nは、キャパシタC1P・C1Nの充電電圧VE1に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるものであり、
スイッチSW1P・SW1Nがオンすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nはゼロ電位になり、
スイッチSW1P・SW1Nがオフすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nは、充電電圧VE1と同電位となり、(甲1認定事項3-1)
電圧検出回路162P・162Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW2P・SW2Nとしても機能するものであり、
スイッチSW2P・SW2Nは、キャパシタC2P・C2Nの充電電圧VE2に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるものであり、
スイッチSW2P・SW2Nがオンすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nはゼロ電位になり、
スイッチSW2P・SW2Nがオフすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nは、充電電圧VE2と同電位となり、(甲1認定事項3-2)
電源回路14は、電源回路14の出力電圧VPを電力として不揮発性ロジック回路24に供給し、(甲1認定事項4)
第1の発電素子101の出力電圧VE1及び第2の発電素子102の出力電圧VE2は、モータの回転部位の回転動作に伴って間欠的に繰り返し発生する、(甲1認定事項5)
多回転エンコーダ。」
3 本件訂正発明1について
(1) 対比分析
本件訂正発明1と甲1発明を対比する。
ア 構成Xの観点
構成Xは、「エンコーダ装置」の発明であることを特定するものである。
(ア) 甲1発明の「モータの回転部位の回転数nと、モータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)から、多回転位置情報(θ+360°×n)を検出する多回転エンコーダ」は、エンコーダ装置であるといえる。
(イ) そうすると、甲1発明の「多回転エンコーダ」は、本件訂正発明1の「エンコーダ装置」に相当する。
(ウ) したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、構成Xの観点について、「エンコーダ装置」の発明である点で一致する。
イ 構成Aの観点
構成Aは、「移動部の位置情報を検出する位置検出部」を備えることを特定するものである。
(ア) 甲1発明の「回転カウンタ2の論理回路20」は「モータの回転部位の回転数n及びモータの回転部位の1回転内の回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)を検出」するものであって、当該検出の対象となる「モータの回転部位」は、本件訂正発明1の「移動部」に相当し、また、「回転数n」及び「回転角度θ(ただし、θは所定の角度範囲を示すものである)」は、本件訂正発明1の「位置情報」に相当する。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、甲1発明の「回転カウンタ2の論理回路20」は、本件訂正発明1の「移動部の位置情報を検出する位置検出部」に相当する。
(ウ) したがって、前記(ア)、(イ)により、本件訂正発明1と甲1発明は、構成Aの観点について、「移動部の位置情報を検出する位置検出部」を備える点において一致する。
ウ 構成Bの観点
構成Bは、「前記移動部の移動によって移動する磁石」を備えることを特定するものである。
(ア) 甲1発明の「回転カウンタ2」は「S極からN極への回転時には、プラス方向のパルスが検出され、N極からS極への回転時には、マイナス方向のパルスが検出されて、モータの回転動作を検出するもの」であるから、「モータの回転動作」に応じて「回転」する「S極」と「N極」を備えた磁石の存在を前提としており、「モータの回転部位」の「回転」によって当該磁石が回転していることは明らかである。
(イ) そうすると、甲1発明の「モータの回転部位」の「回転」によって回転する磁石は、本件訂正発明1の「前記移動部の移動によって移動する磁石」に相当する。
(ウ) したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、構成Bの観点について、「前記移動部の移動によって移動する磁石」を備える点において一致する。
エ 構成Cの観点
構成Cは、「前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部」を備えることを特定するものである。
(ア) 甲1発明において、「第1の発電素子101」は、「時刻t=t1において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t3において負方向のスパイク状の電圧を発生」するものであるところ、上記「正方向のスパイク状の電圧」は、磁石の「S極からN極への回転時」に「検出」される「プラス方向のパルス」に対応するものであり、上記「負方向のスパイク状の電圧」は、磁石の「N極からS極への回転時」に「検出」される「マイナス方向のパルス」に対応するものである。
(イ) 同様に、甲1発明において、「第2の発電素子102」は、「時刻t=t2において正方向のスパイク状の電圧、時刻t=t4において負方向のスパイク状の電圧を発生するもの」であるところ、上記「正方向のスパイク状の電圧」は、磁石の「S極からN極への回転時」に「検出」される「プラス方向のパルス」に対応するものであり、上記「負方向のスパイク状の電圧」は、磁石の「N極からS極への回転時」に「検出」される「マイナス方向のパルス」に対応するものである。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1発明の「第1の発電素子101」及び「第2の発電素子102」は、いずれも磁石の回転による磁界の変化によって電気信号を発生するものであるといえる。
(エ) そうすると、甲1発明の「第1の発電素子101」及び「第2の発電素子102」は、本件訂正発明1の「前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部」に相当する。
(オ) したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、構成Cの観点について、「前記磁石の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する電気信号発生部」を備える点において一致する。
オ 構成Dの観点
構成Dは、「前記位置検出部からの制御信号によって変化する前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部」を備えることを特定するものである。
(ア) 甲1発明の「回転カウンタ2」は、「第1の発電素子101」及び第2の発電素子102」の他に、各発電素子に対応して、以下のa~eの回路要素を備えるものである。
a 半波整流回路
(a) 「第1の発電素子101により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路121P・121N」
(b) 「第2の発電素子102により発電された電気エネルギーを半波整流する半波整流回路122P・122N」
b キャパシタ
(a) 「半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC1P・C1N」
(b) 「半波整流された電気エネルギーを蓄積するキャパシタC2P・C2N」
c MOSFET
(a) 「キャパシタC1P・C1Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn1P・Qn1N」
(b) 「キャパシタC2P・C2Nに蓄積された電気エネルギーを放電するnチャネルのMOSFETQn2P・Qn2N」
d スイッチ
(a) 「キャパシタC1P・C1Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC1P・C1Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC1P・C1Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW1P・SW1N」
(b) 「キャパシタC2P・C2Nと電源回路14との間に接続され、キャパシタC2P・C2Nの充電電圧に基づいて、キャパシタC2P・C2Nから電源回路14への電力供給を切り替えるスイッチSW2P・SW2N」
e 電圧検出回路
(a) 「キャパシタC1P・C1Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路161P・161N」
(b) 「キャパシタC2P・C2Nに充電された充電電圧を検出する電圧検出回路162P・162N」
(イ) ここで、「第1の発電素子101」側の動作についてみると、「第1の発電素子101」の出力が「半波整流回路121P・121N」で半波整流され、「半波整流回路121P・121N」の出力が「キャパシタC1P・C1N」に蓄積されるところ、「電圧検出回路161P・161Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW1P・SW1Nとしても機能するものであり」、「スイッチSW1P・SW1Nがオフすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nは、充電電圧VE1と同電位となり」、「論理回路20」へ出力される。
そうすると、これらの「半波整流回路121P・121N」、「キャパシタC1P・C1N」、「スイッチSW1P・SW1N」、「電圧検出回路161P・161N」は、全体として、「第1の発電素子101」の出力を「論理回路20」(位置検出部)へ出力する回路を構成しているといえる(以下、この回路を「第1の出力回路」という。)。
(ウ) 「第2の発電素子102」側の動作についても同様に、「電圧検出回路162P・162Nは、電源回路14へのエネルギー供給を切り替えるためのスイッチSW2P・SW2Nとしても機能するものであり」、「スイッチSW2P・SW2Nがオフすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nは、充電電圧VE2と同電位となり」、「論理回路20」へ出力されるから、「半波整流回路122P・122N」、「キャパシタC2P・C2N」、「スイッチSW2P・SW2N」、「電圧検出回路162P・162N」は、全体として、「第2の発電素子102」の出力を「論理回路20」(位置検出部)へ出力する回路を構成しているといえる(以下、この回路を「第2の出力回路」という。)。
(エ) そうすると、甲1発明の「第1の出力回路」及び「第2の出力回路」と、本件訂正発明1の「回路部」とは、「前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部」であるという点で一致する。
(オ) さらに、甲1発明の「論理回路20」は「シーケンサ22」を含むものであり、「nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nは、シーケンサ22から供給される放電信号DSCによってオン・オフ制御可能であり」、「nチャネルMOSFETQn1P・Qn1N・Qn2P・Qn2Nがオンになると、それぞれキャパシタC1P・C1N・C2P・C2Nの充電電圧は瞬時に放電され」、「キャパシタC1P・C1N・C2P・C2Nの充電電圧が放電されると、スイッチSW1P・SW1N・SW2P・SW2Nにより、キャパシタC1P・C1N・C2P・C2Nから電源回路14への電力供給が切り替えられ」、「スイッチSW1P・SW1Nがオンすると、検出電圧VDT1P、VDT1Nはゼロ電位」になって、「論理回路20」(位置検出部)へ出力され、「スイッチSW2P・SW2Nがオンすると、検出電圧VDT2P、VDT2Nはゼロ電位」になって、「論理回路20」(位置検出部)へ出力される。
(カ) ここで、「スイッチSW1P・SW1N」及び「スイッチSW2P・SW2N」のオン・オフにより、「論理回路20」(位置検出部)へ出力される「検出電圧VDT1P、VDT1N」及び「検出電圧VDT2P、VDT2N」の値は変化するところ、「スイッチSW1P・SW1N」及び「スイッチSW2P・SW2N」のオン・オフは、前記(オ)を踏まえると、「論理回路20」に含まれる「シーケンサ22から供給される放電信号DSC」によって制御されるから、「論理回路20」(位置検出部)からの制御信号である「放電信号DSC」によって「第1の発電素子101」の出力及び「第2の発電素子102」の出力が変化していることになる。
そうすると、前記(エ)も踏まえると、甲1発明の「放電信号DSC」と本件訂正発明1の「制御信号」は、「位置検出部」から出力される制御信号であり、「電気信号発生部」の出力を変化させるものである点で一致する。
(キ) したがって、前記(ア)~(カ)により、本件訂正発明1と甲1発明とは、構成Dの観点について、「前記位置検出部からの制御信号によって変化する前記電気信号発生部の出力を前記位置検出部へ出力する回路部」を備える点において一致する。
カ 構成D1、A1の観点
構成D1、A1は、「前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される」ことを特定するものである。
(ア) 前記オで検討したとおり、甲1発明において、「第1の出力回路」及び「第2の出力回路」(回路部)は、それぞれ「第1の発電素子101」及び「第2の発電素子102」(電気信号発生部)の出力(VDT1P、VDT1N、VDT2P、VDT2N)を「論理回路20」(位置検出部)へ出力しているが、これらの出力は、「回転カウンタ2」が「カウント値…N、(N+1)、(N+2)…」を「カウント」するためのものであって、初期化するための信号ではない。
(イ) なお、甲1発明は「パワーオンリセット回路18の出力電圧が閾値電圧まで低下すると、パワーオンリセット回路18はリセットされ」るから、甲1発明がパワーオンリセット回路のリセットに係る初期化するための信号を出力していることは明らかであるが、当該信号は「第1の出力回路」及び「第2の出力回路」(回路部)が「論理回路20」(位置検出部)へ出力しているものではなく、また、「論理回路20」(位置検出部)をリセット(初期化)するものともいえない。
(ウ) 前記(ア)、(イ)の検討から、本件訂正発明1と甲1発明は、構成D1、A1の観点について、以下の点で相違する。
本件訂正発明1は「前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される」のに対して、
甲1発明は、そのような構成を有しない点。
(2) 一致点及び相違点の認定
前記(1)の対比の結果をまとめると、本件訂正発明1と甲1発明は、次の相違点において相違し、その余の点で一致する。
<相違点>
本件訂正発明1は「前記回路部は、前記電気信号発生部の出力によって前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号を前記位置検出部へ出力し、
前記位置検出部は、前記位置検出部の電位が低下した後の前記電気信号により初期化される」のに対して、
甲1発明は、そのような構成を有しない点。
(3) 相違点についての判断
甲1発明において、前記相違点に係る構成を採用することは甲1に記載も示唆もされておらず、本件特許異議の申立てに際して提出された甲1以外の全ての証拠である甲2~甲5を参照したとしても、そのいずれにも記載されておらず、さらに、当該構成が周知技術であると認めるに足りる証拠もない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載されたものであるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
4 本件訂正発明2、4~12について
本件訂正発明2、4~12は、本件訂正発明1の全ての発明特定事項を含むことから、前記3において説示した理由と同様の理由により、甲1に記載されたものであるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
特許異議申立人は、甲1を主引用例とする新規性及び進歩性欠如の特許異議の申立ての理由の他に、甲2を主引用例とする新規性及び進歩性欠如の特許異議の申立ての理由、甲3を主引用例とする進歩性欠如の特許異議の申立ての理由を主張している。
そこで、特許異議申立人が提出した甲2(特開平7-294208号公報)を主引用例とする新規性、進歩性、及び、甲3(特開2018-44859号公報)を主引用例とする進歩性について検討する。
1 甲2を主引用例とした場合
(1) 甲2発明の認定
甲2には、概ね以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。甲2における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。下線は、当合議体が付与したものである。また、図1及び図2を参考図として示す。
<甲2発明>
「シャフト10の回転を検出するためのメイン・カウンター40、主要情報記憶手段42及び制御論理手段60と、(【0075】、【0076】、【0078】~【0080】、【0084】、【0094】、【0096】、【0097】、【0109】、【0110】、図2等)
シャフト1、10の回転によって移動する永久磁石3、9と、(【0052】、図1等)
永久磁石9の移動による磁界の変化によって電気信号を発生する誘導コイル15と、(【0059】~【0060】、図1、図2等)
制御論理手段60からの制御信号によって変化する誘導コイル15の出力を出力端子84から主要情報記憶手段42へ出力する回路部と、(【0094】、【0096】~【0098】、【0110】、【0117】、図2等)
誘導コイル15からの振動信号が回線21を介して供給され、シャフト1の回転をカウントするためのメインカウンター40にカウンティング・パルスを回線38を介して供給する測定および調整回路24と、(【0075】)
を備える位置検出装置(図2等)であって、
誘導コイル15から出力された電荷を蓄積するコンデンサ30を有し(図2等)、
コンデンサ30は、回路装置のための電流供給源としての役割を果たすものであり、(【0094】)
コンデンサ30と並列に、回路装置に電気的エネルギーを供給する外部電圧/電流供給源を設けることも可能であり、(【0117】)
誘導コイル15の出力は、制御論理手段60からの制御信号によってコンデンサ30の電荷を放電すると変化する(【0094】、【0096】~【0098】、【0110】、【0117】、図2等)、
位置検出装置。」
「【図1】
[図:0001436136000012.jpg]
」
「【図2】
[図:0001436136000013.jpg]
」
(2) 甲2発明に基づく新規性・進歩性の判断
ア 新規性の判断
(ア) 本件訂正発明1と甲2発明は、少なくとも前記第4の3(2)で示した相違点と同様の点で相違する。
(イ) したがって、本件訂正発明1は、甲2発明からみて新規性が欠如しているとはいえない。
イ 進歩性の判断
(ア) 前記第4の3(3)で検討したとおり、前記相違点に係る構成を採用することは、甲1、甲3~甲5のいずれにも記載されておらず、さらに、当該構成が周知技術であると認めるに足りる証拠もない。
(イ) したがって、本件訂正発明1は、甲2発明からみて進歩性が欠如しているとはいえない。
2 甲3を主引用例とした場合
(1) 甲3発明の認定
甲3には、概ね以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。甲3における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。また、図1及び図3を参考図として示す。
<甲3発明>
「回転軸SFである移動部の位置情報を検出する位置検出部1と、(【0010】、【0012】等)
移動部の回転とともに回転する磁石11と、(【0016】)
磁石11の回転による磁界の変化によって電気信号を発生する信号発生部5と、(【0012】、【0022】等)
位置検出部1からのトリガー信号を受けて電力供給部2から位置検出部1への電力の供給を遮断する遮断部6と、(【0012】、【0062】等)
を備えるエンコーダ装置EC。(【0012】等)」
「【図1】
[図:0001436136000014.jpg]
」
「【図3】
[図:0001436136000015.jpg]
」
(2) 甲3発明に基づく進歩性の判断
ア 本件訂正発明1と甲3発明は、少なくとも前記第4の3(2)で示した相違点と同様の点で相違する。
イ そして、前記第4の3(3)で検討したとおり、前記相違点に係る構成を採用することは、甲1、甲2、甲4、甲5のいずれにも記載されておらず、さらに、当該構成が周知技術であると認めるに足りる証拠もない。
ウ したがって、本件訂正発明1は、甲3発明からみて進歩性が欠如しているとはいえない。
3 まとめ
前記1及び2の検討結果をまとめると、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではなく、また甲2、あるいは甲3に記載された発明から当業者が容易に想到できたものではない。
また、本件訂正発明1の全ての発明特定事項を含む本件訂正発明2、4~12は、同様の理由により、甲2に記載された発明ではなく、また甲2、あるいは甲3に記載された発明から当業者が容易に想到できたものではない。
したがって、甲2を主引用例とする新規性及び進歩性欠如の特許異議の申立ての理由、甲3を主引用例とする進歩性欠如の特許異議の申立ての理由のいずれも採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、本件訂正発明1、2、4~12に係る特許を取り消すことはできず、また、ほかに本件訂正発明1、2、4~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項3は、前記第2のとおり、本件訂正により削除されたため、請求項3に係る特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700359