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特許異議申立

2023-700227

光学部品及び光学部品の製造方法

審判番号
2023-700227
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-112541
登録番号
7157356
請求日
2023年02月27日
審決日
2024年03月15日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日亜化学工業株式会社
  • 【権利者代理人】山尾 憲人
  • 【権利者代理人】言上 惠一
  • 【権利者代理人】村石 桂一
  • 【異議申立人】柴田 都
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 廣田 健介
  • 審判官 井口 猶二
分類
P1652.113-YAA(G02B) / P1652.121-YAA(G02B) / P1652.537-YAA(G02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7157356号発明「光学部品及び光学部品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7157356号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8、15~20〕について訂正することを認める。 特許第7157356号の請求項1、4~7、9、12に係る特許を維持する。 特許第7157356号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7157356号の請求項1~14に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2021-112541号)は、平成29年10月23日(先の出願に基づく優先権主張 平成29年3月3日及び平成29年6月28日)を出願日とする特願2017-204385号の一部を新たな特許出願とした特願2019-104439号の一部を、さらに新たな特許出願として令和3年7月7日に出願されたものであって、令和4年10月12日にその特許権の設定の登録がされ、同年10月20日に特許掲載公報が発行されたところ、発行の日から6月以内である令和5年2月27日に、本件特許のうち請求項1~7、9及び12に係る特許に対して、特許異議申立人 柴田 都(以下「異議申立人」という。)から、特許異議の申立てがされた。 その後の手続等の概要は、以下のとおりである。 令和5年 6月23日付け:取消理由通知書 令和5年 8月25日 :意見書(特許権者)の提出 令和5年 9月28日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和5年11月30日 :訂正請求書の提出 令和5年11月30日 :意見書(特許権者)の提出 令和6年 1月18日 :意見書(異議申立人)の提出 第2 訂正の適否 1 訂正内容 令和5年11月30日に提出された訂正請求書でなされた訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所として特許権者が付したものである。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子 が配置されることを特徴とする発光装置。」と記載されているのを、「上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子 が配置され、 前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられ、 前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなり、 前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出していることを特徴とする発光装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4~7も同様に訂正する。) (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「請求項3に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1,4及び5のいずれか1項に記載の」に訂正する。 (6) 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8に「前記光反射部材は第1領域と第2領域とを前記透光部材に近い側から順に有し、前記光反射部材の下面の一部である前記第1領域の下面は部分的に凹んだ溝を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の発光装置。」と記載されているのを、「上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置され、 前記光反射部材は第1領域と第2領域とを前記透光部材に近い側から順に有し、前記光反射部材の下面の一部である前記第1領域の下面は部分的に凹んだ溝を含む発光装置。」に訂正する。 (7) 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項15として、「前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 (8) 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項16として、「前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなることを特徴とする請求項8又は15に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 (9) 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項17として、「前記放熱部材と前記透光部材の間に、前記発光素子の光を透過し、前記蛍光体の光を反射させるフィルタを含む請求項16に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 (10) 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項18として、「前記フィルタと前記透光部材の間に、絶縁膜を含む請求項17に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 (11) 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項19として、「前記光反射部材は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項8及び15~18のいずれか1項に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 (12) 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項20として、「前記透光部材は、YAG系蛍光体を含む蛍光体セラミックス又はYAG系蛍光体の単結晶からなることを特徴とする請求項19に記載の発光装置。」なる請求項を追加する。 2 一群の請求項、別の訂正単位とする求め 本件訂正前の請求項2~8は、請求項1を直接的又は間接的に引用している。 ここで、本件訂正前の請求項1~8に対応する本件訂正後の請求項1~8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、本件訂正によって追加される請求項15~20は、以下の「3 訂正要件の判断」で説示するとおり、本件訂正前の請求項8を特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる目的で記載を改めるにあたってそれぞれ追加された請求項であって、結局、訂正後の請求項8、15~20はいずれも訂正前の請求項8において選択的に引用された請求項に対応するものである。 したがって、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。 また、特許権者から、訂正後の請求項8及び15~20については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、上記一群の請求項とは別の訂正単位とする求めがあった。 3 訂正要件の判断 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、以下の(ア)~(ウ)を目的とするものである。 (ア) 訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「光反射部材」及び「透光部材」の関係について、訂正前は「光反射部材」が「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた」と特定されていたところ、「透光部材」の「側面に接して設けられ」ることを更に特定し、両者の配置の関係を更に限定する(以下「訂正1-ア」という。)。 (イ) 請求項1に係る発明の発明特定事項である「透光部材」について、訂正前はその材料について特定がされていなかったところ、「前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からな」ることを特定し、その材料を限定する(以下「訂正1-イ」という。)。 (ウ) 請求項1に係る発明の発明特定事項である「放熱部材」と「光反射部材」について、「前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出している」ことを更に特定し、両者の関係を更に限定する(以下「訂正1-ウ」という。)。 (エ) 小括 上記(ア)~(ウ)より、訂正事項1による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 イ 新規事項の有無 訂正1-ア、訂正1-イは、それぞれ、本件特許の請求項1を引用する請求項2、3で特定される事項であって、本件特許明細書の【0017】~【0018】等の記載より、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 訂正1-ウについて、本件特許の願書に添付した図面の図9には、「光反射部材2」の下面に設けられた「放熱部材3」の側面が「光反射部材2」から露出していることが表されており、また、請求項1を上記訂正1-ウで特定することによって、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることがないことは明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記訂正内容からみて、訂正事項1に係る訂正によって、訂正前の特許請求の範囲には含まれなかった発明が訂正後に特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 また、訂正後の請求項1の記載を引用して記載された訂正後の請求項4~7についても同様である。 (2) 訂正事項2、3について 訂正事項2、3は、それぞれ、請求項2、3を削除する訂正である。したがって、訂正事項2、3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加に該当しないこと、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことも明らかである。 したがって、訂正事項2、3に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 (3) 訂正事項4、5について ア 訂正事項4は、請求項4について、訂正前は引用する請求項が「請求項3」であったものを、上記訂正事項1によって特許請求の範囲が減縮された訂正後の「請求項1」を引用するように引用関係を改めたものである。 ここで、訂正前の請求項4は、請求項1または2を引用する請求項3を引用していたところ、上記訂正事項1による訂正後の請求項1は、訂正前の請求項3で特定される事項(訂正1-イ)及びその他の特定事項(訂正1-ア、1-ウ)により特許請求の範囲が減縮されたものであるから、このような訂正後の請求項1を引用するように引用関係を改める訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。 イ 訂正事項5は、請求項6について、訂正前は引用する請求項が「請求項1~5のいずれか1項」であったものを、上記訂正事項1によって特許請求の範囲が減縮された訂正後の「請求項1,4及び5のいずれか1項」を引用するように引用関係を改めたものであり、上記訂正事項1に連動して、訂正後の請求項6は減縮されていることは明らかであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。 ウ 上記ア、イより、訂正事項4、5に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 (4) 訂正事項6~12について ア 訂正の目的 訂正事項6~12は、訂正前の請求項8が「請求項1~7のいずれか1項」の記載を引用するものであったところ、このうち、請求項1を引用するものを独立請求項(請求項8)へ改める(訂正事項6)とともに、請求項2~7を引用するものを、それぞれ請求項15~20として、記載を改めたものであるから、これらの訂正事項6~12は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正に該当する。 イ 新規事項の有無 上記訂正内容からみて、訂正事項6~12に係る訂正は、当業者によって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。 ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記訂正内容からみて、訂正事項6~12に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。 エ 上記ア~ウより、訂正事項6~12に係る訂正は、訂正要件を満たしている。 (5) 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項~6項の規定に適合する。 また、特許権者から別の訂正単位とする求めがあったところ、訂正後の一群の請求項は、〔1~7〕、〔8、15~20〕である。 よって、結論に記載のとおり、特許第7157356号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8、15~20〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1、4~20に係る発明(以下「本件特許発明1」、「本件特許発明4」~「本件特許発明20」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、4~20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置され、 前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられ、 前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなり、 前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出していることを特徴とする発光装置。 【請求項4】 前記放熱部材と前記透光部材の間に、前記発光素子の光を透過し、前記蛍光体の光を反射させるフィルタを含む請求項1に記載の発光装置。 【請求項5】 前記フィルタと前記透光部材の間に、絶縁膜を含む請求項4に記載の発光装置。 【請求項6】 前記光反射部材は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1,4及び5のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項7】 前記透光部材は、YAG系蛍光体を含む蛍光体セラミックス又はYAG系蛍光体の単結晶からなることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。 【請求項8】 上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置され、 前記光反射部材は第1領域と第2領域とを前記透光部材に近い側から順に有し、前記光反射部材の下面の一部である前記第1領域の下面は部分的に凹んだ溝を含む発光装置。 【請求項9】 上面、下面、及び側面を有する透光部材を準備する工程と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成する工程と、 前記光反射粉末の焼結体を含む光反射部材と前記透光部材とが一体に形成され、前記光反射部材において複数の空隙が存在するように前記成形体を焼結する工程と、 前記透光部材の下面及び光反射部材の下面に透光性の放熱部材を配置する工程と、 前記透光部材の下面側及び光反射部材の下面側に、前記放熱部材と離れるようにレーザ素子を配置する工程と、 を有する発光装置の製造方法。 【請求項10】 前記成形体を焼結する工程において、前記成形体を押圧せずに焼結することを特徴とする請求項9に記載の発光装置の製造方法。 【請求項11】 前記成形体を形成する工程において、スリップキャスト法により前記成形体を形成することを特徴とする請求項9又は10に記載の発光装置の製造方法。 【請求項12】 前記透光部材を準備する工程において、前記透光部材として、蛍光体を含む蛍光体セラミックス又は蛍光体の単結晶を準備することを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。 【請求項13】 前記透光部材を準備する工程において、複数の透光部材を準備し、 前記成形体を形成する工程において、前記複数の透光部材それぞれを取り囲むように前記透光部材それぞれの側方に前記成形体を形成することを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。 【請求項14】 前記透光部材を準備する工程と前記成形体を形成する工程との間に、前記透光部材を支持部材に仮止めする工程であって、前記透光部材と前記支持部材との間に樹脂を設け、前記透光部材を前記支持部材に仮止めする工程を有し、 前記成形体を形成する工程と前記成形体を焼結する工程との間に、前記透光部材及び前記成形体から前記支持部材を除去する工程を有することを特徴とする請求項9~13のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。 【請求項15】 前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。 【請求項16】 前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなることを特徴とする請求項8又は15に記載の発光装置。 【請求項17】 前記放熱部材と前記透光部材の間に、前記発光素子の光を透過し、前記蛍光体の光を反射させるフィルタを含む請求項16に記載の発光装置。 【請求項18】 前記フィルタと前記透光部材の間に、絶縁膜を含む請求項17に記載の発光装置。 【請求項19】 前記光反射部材は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項8及び15~18のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項20】 前記透光部材は、YAG系蛍光体を含む蛍光体セラミックス又はYAG系蛍光体の単結晶からなることを特徴とする請求項19に記載の発光装置。 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~7に係る特許に対して、当審が通知した令和5年9月28日付け取消理由通知書(決定の予告)により通知した取消理由(以下、単に「取消理由」ということがある。)の概要は、以下のとおりである。 理由:(進歩性)本件特許の請求項1~7に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 引用文献等一覧 甲1:特表2014-528148号公報 甲2:特開2016-72513号公報 周知例1:特開2013-207049号公報 周知例2:国際公開第2006/104061号 (甲1及び甲2はそれぞれ主引用文献である。) なお、令和5年6月23日付け取消理由通知書において特許権者に通知した取消理由2(サポート要件)は、令和5年9月28日付けの取消理由通知書(決定の予告)においては通知されていない。 第5 当合議体の判断 1 引用文献等の記載事項及び引用文献等に記載された発明について (1) 甲1の記載事項 取消理由で引用された甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定及び判断等において活用した箇所を示す。以下同様である。 ア 「 【技術分野】 【0001】 本発明は、発光層及び固体発光体を有する発光モジュールに関する。本発明は、更に、発光モジュールを有するランプ、照明器具及び表示装置に関する。 ・・・中略・・・ 【0008】 本発明の目的は、相対的に効率的である発光モジュールを提供することにある。」 イ 「 【0010】 本発明の本発明の第1の観点による発光モジュールは、光出力窓を通って光を発する。 ・・・中略・・・ 【0035】 一形態では、発光モジュールは、基体と光出力窓との間に挿入された壁部を有している。基体、壁部及び光出力窓は空洞部を囲んでいる。壁部は、空洞部に面する光反射性の壁部表面を有しており、この光反射性の壁部表面は、光反射性の壁部表面により反射される光の量と光反射性の壁部表面に衝突する光の量との比により定義される壁部反射係数を有している。この形態では、有効反射係数は、基体及び壁部の反射係数の重み付けされた平均として定義され、例えば、各表面積の大きさに対応して重み付けされる。この形態では、有効反射係数は、少なくとも70%よりも大きく且つ固体発光体反射係数よりも大きい。従って、組み合わせられた基体及び壁部が指定された有効反射係数を有する場合、上記発光モジュールはかなり効率的である。 ・・・中略・・・ 【0041】 一形態では、上記基体の光反射面及び/又は光反射性の壁部表面の少なくとも1つは、光反射性のコーティング、光反射性のモールディング、光反射性のセラミック又は光反射性のフォイルを有している。光反射性のコーティングは、各光反射面の反射率を高めるために用いられ、それにより、発光モジュールの効率を改善する。 ・・・中略・・・ 【0044】 他の形態では、上記発光モジュールは、1つ以上の固体発光体と発光層との間に配された実質的に透明な材料を有しており、この透明な材料は、上記1つ以上の固体発光体に光学的に結合される。 ・・・中略・・・ 【0045】 更に他の形態では、上記実質的に透明な材料は、更に、部分拡散反射層に光学的及び熱的に結合される。例えば、基体と部分拡散反射層との間の空間全体が透明材料で満たされており、従って、透明材料は部分拡散反射層にも光学的に結合され、これは、部分拡散反射層と空洞部との界面におけるより少ない反射をもたらす。その結果、より多くの光が発光モジュールの周囲に発せられる。更に、透明材料が部分拡散反射層と接している場合、透明材料は部分拡散反射層にも熱的に結合され、部分拡散反射層から例えば基体への熱伝導を助ける。これは、より暖かくない部分拡散反射層をもたらし、一般に、より効率的であり、より長い寿命を有する。例えば、部分拡散反射層が発光層である場合、透明材料は、空気の間隙と比較して発光材料と基体との間に高められた熱伝導を与える。空気は約0.025W/mKの熱伝導率を有しているので、約0.3の熱伝導率を有するシリコーン樹脂はより良好な熱的界面を与え、約1.0W/mKの熱伝導率のソーダ石灰ガラスのようなガラス基板は更に優れており、約1.3W/mKのホウケイ酸ガラス又は溶融石英ガラス、約30W/mKの半透明多結晶アルミナ基板、42W/mKのサファイア基板は非常に優れている。」 ウ 「 【0127】 上記光反射性のコーティング部又はフォイルは、散乱顔料で満たされたバインダ又は種々の散乱顔料より成る白色コーティング部のような散乱反射材料より成っていてもよい。好適なバインダは、シリコーン材料、ケイ酸塩材料、アルキルシリケート材料、エポキシ材料、ポリイミド材料、フルオロポリマ、ポリアミド、ポリウレタン又は他のポリマ材料である。コーティング部はまた、高反射硫酸バリウム(BaSO4)をベースとする材料であってもよい。散乱顔料の例は、TiO2顔料、ZrO2顔料、Al2O3顔料であるが、当業者に知られている多くの他の散乱顔料又は細孔(pore)がよく用いられる。光反射性のコーティング部又はフォイルはまた、アルミニウム又は銀のような金属層より成っていてもよい。金属は、高反射性の市販の金属ミラーのような金属フォイル又はフィルムであってもよい。この薄い金属層は、壁部の材料に蒸着又はスパッタされ得る。金属フォイルは、基体に取り付けられ/接着され/はんだ付けされた挿入物として用いられ得る。この金属層は、白色コーティング層、例えば、白色シリコーン又は着色メチルシリケートのような白色アルキルシリケート層により覆われている。セラミック反射体層、例えば、典型的には多孔質の散乱アルミニウム層又は他の反射性セラミック材料もまた、基体又は壁部に用いられ得る。」 エ 「 【0146】 図8bは、例えばアルミナ又は窒化アルミニウムを有する基板キャリア2120上にLEDダイ2130を有する発光モジュール2100の模式的な断面図を示している。基板キャリア2120は、電気的接触部2115、例えば、はんだ接触部を介してプリント回路基板2110のコンタクトパッドに電気的に接続されている。プリント回路基板2110は、図8aに示されている発光モジュール2000に関連して説明されたようなメタルコアプリント基板であり得る。LEDダイ2130は、透明保護層2135、例えば、透明シリコーン層で覆われている。LEDダイ2130のそれぞれの透明保護層2135の上には、例えばシリコーンを有する光学的接着層2145が設けられている。LEDダイ2130、基板キャリア2120及び透明保護層2135を有し、光学的接着層2145を伴うLEDパッケージ又は装置の間には、反射層2140、例えば、白色TiO2で着色されたシリコーンが設けられている。プリント回路基板2110、壁部2150及び発光層2160により空洞部が規定されている。壁部2150は、例えば、シリコーンに施されたTiO2を有し、発光層2160は、例えば、蛍光体材料を有している。例えばガラスを有する充填層2155は、光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160及び壁部2150の間の空洞部をほぼ満たしている。光学的接着層2145は、透明保護層2135と充填層2155との間に光学的接着を与える。反射層2140は、光学的接着層2145を介してLEDパッケージ又は装置を充填層2155に結合した後、例えば、アンダーフィリング又はオーバーモールディングを行うことによってLEDパッケージ又は装置の間に設けられたものである。」 オ 「 【0165】 空洞部の高い効率の値を達成するために、空洞部内部の全表面が装置のスペクトル範囲全体にわたって高い反射性であることが好ましい。この目的のために、壁部の表面だけではなく、LEDパッケージとLED基板自体との間の空間もが、例えば、白色反射コーティング剤、例えば、TiO2が満たされたシリコーンによりコーティングされる。実際上の理由で、LEDパッケージに反射性コーティング剤を塗布するステップは難しい。従って、基体表面以外のLEDに隣接する表面の反射係数は、実際にはかなり低い。」 カ 「 【図8b】 [図:0001411273000001.jpg] 」 (2) 甲1発明 甲1の【0035】の「基体、壁部及び光出力窓は空洞部を囲んでいる。」との記載と【図8b】を踏まえると、「発光層2160は、上面、下面及び側面を有し、」「壁部2150は、発光層2160を取り囲むように発光層2160の側方に接して設けられている」と認められる。 そうすると、甲1の【0146】及び【図8b】には、次の「発光モジュール2100」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(なお、認定の根拠となった箇所を、参考のため括弧内に示す。以下同様である。)。 「基板キャリア2120上にLEDダイ2130を有する発光モジュール2100であって、(【0146】) 基板キャリア2120は、電気的接触部2115を介してプリント回路基板2110のコンタクトパッドに電気的に接続されており、(【0146】) LEDダイ2130は、透明保護層2135で覆われており、(【0146】) LEDダイ2130のそれぞれの透明保護層2135の上には、光学的接着層2145が設けられており、(【0146】) LEDダイ2130、基板キャリア2120及び透明保護層2135を有し、光学的接着層2145を伴う装置の間には、反射層2140が設けられており、(【0146】) プリント回路基板2110、壁部2150及び発光層2160により空洞部が規定されており、(【0146】) 壁部2150は、シリコーンに施されたTiO2を有し、(【0146】) 発光層2160は、蛍光体材料を有しており、(【0146】) ガラスを有する充填層2155は、光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160及び壁部2150の間の空洞部をほぼ満たしており、(【0146】) 光学的接着層2145は、透明保護層2135と充填層2155との間に光学的接着を与え、(【0146】) 発光層2160は、上面、下面及び側面を有し、(【0035】、【図8b】) 壁部2150は、発光層2160を取り囲むように発光層2160の側方に接して設けられている、(【0035】、【図8b】) 発光モジュール2100。」 (3) 甲2の記載事項 取消理由で引用された甲2には、次の事項が記載されている。 ア 「 【技術分野】 【0001】 本発明は、光部品及びその製造方法ならびに発光装置及びその製造方法に関する。 ・・・中略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 近年の発光装置では、特に、その用途によって、光源として用いられるレーザダイオードの高光出力及び高輝度がより一層要求されている。 本発明の目的は、レーザダイオードを光源として用いた発光装置を製造するために、さらなる高光出力及び高輝度を実現することができる光部品及びその製造方法、これを用いた発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。」 イ 「 【0014】 実施形態1:光部品及びその製造方法 〔光部品〕 この実施形態の光部品10は、図1Aに示すように、主として、支持部材11と、第1透光部材12と、第2透光部材13とを備える。また、支持部材11の上面において、第2透光部材13を被覆する第3透光部材14をさらに備えることが好ましい。さらに、第1透光部材12、第3透光部材14及び支持部材11の1以上の上面及び/又は下面において、機能膜を備えていてもよい。【0015】 (支持部材) 支持部材11は、第2透光部材13を支持するための部材であって、光を吸収しにくい、反射性の材料からなることが好ましい。ここで反射性とは、用いる光源、例えばレーザダイオードから出射される光を50%以上反射する材料、60%以上、70%又は80%以上反射する材料が好ましい。 ・・・中略・・・ 【0020】 図1Aでは、支持部材11は、高反射性であり、熱伝導性及び耐熱性が良好なジルコニウム含有アルミナ(約24%のジルコニウムを含有する)によって形成されている。ここでの支持部材11の大きさは、直径が4.0mmの円柱状であり、厚みは0.67mmである。 【0021】 (貫通孔) 支持部材11は、光を通過させるための貫通孔11aを備える。 支持部材11において、貫通孔11aの形状は特に限定されず、光の進行方向Xに対して一定の幅又は径を有する内壁によって形成されていてもよいし、光の進行方向Xに拡がる内壁によって形成されていてもよいし、これらが組み合わせられた形状でもよい。光の進行方向Xにおける拡がりは、傾斜的又は段階的のいずれでもよい。 ・・・中略・・・ 【0026】 (第1透光部材) 支持部材11は、少なくとも、貫通孔11aの内壁に第1透光部材12を有する。第1透光部材12は、支持部材の上面(光出射側)及び/又は下面(光入射側)に形成されていてもよい。 第1透光部材12は、貫通孔の内壁と、後述する第2透光部材とを融着するために利用される。そのために、貫通孔11aの内壁に膜状、薄膜状に配置されていることが好ましい。 ・・・中略・・・ 【0030】 第1透光部材12は、支持部材11の貫通孔11a内に、後述する第2透光部材を融着により固定するために用いられる。 ・・・中略・・・ 【0034】 (第2透光部材) 支持部材11の貫通孔11aの中には、第2透光部材13が配置されている。 第2透光部材13は、光入射面13aと、光出射面13bと、外周側面13cとを有している。外周側面13cは、例えば、第2透光部材13の光出射面13b側が又は光入射面13a側が、貫通孔11aの内壁に接触するような形状であってもよいが、貫通孔11aの形状に一致した形状、つまり、外周側面13cのより大きい面積で、貫通孔11aの内壁に接触するような形状であることが好ましい。 【0035】 第2透光部材は、その外周側面が、貫通孔の内壁に第1透光部材による融着によって固定されているが、上述した形状であることにより、支持部材11との密着性をより確実に行うことができ、第2透光部材13に照射される光による発熱を効果的に支持部材11側に逃がすことができる。 ・・・中略・・・ 【0042】 第2透光部材13は、さらに蛍光体を含有していることが好ましい。これによって、光源から出射される光の波長を変換することができ、典型的には、光源からの光と、波長変換された光との混色光を外部に放出することができる。 ・・・中略・・・ 【0049】 第2透光部材は、光入射面13a及び/又は光出射面13bの表面又は片面に、任意に、機能性膜が形成されていてもよい。例えば反射防止層(AR層)などが形成されていてもよい。これらの層は、当該分野で公知の材料によって単層又は積層構造で配置することができる。 【0050】 図1Aでは、第2透光部材13は、蛍光体としてYAGが第2透光部材の全重量に対して11重量%含有された酸化アルミニウム(融点:約1900℃~2100℃)によって形成されている。第2透光部材13は、その上面の直径0.50mmであり、下面の直径が0.30mmであり、厚みが0.30mmである。第2透光部材13は、第1透光部材12が溶融することにより、第2透光部材13と支持部材11とを密着させており、第2透光部材13自体は、溶融していない。」 ウ 「 【0068】 実施形態2:光部品及びその製造方法 この実施形態の光部品20は、図2に示すように、主として、支持部材21と、第1透光部材12と、第2透光部材13と、第3透光部材14と、機能膜として適用する発光装置における発光素子の出射光の波長と同等又は短波長の光を透過し、それよりも長波長の光を反射するフィルター26とを備える。 フィルター26は、当該分野で公知の材料によって形成されたもののいずれをも用いることができる。 図2では、フィルター26は、第2透光部材13の光入射面側において、第2透光部材13と支持部材11とに接触して配置されている。 そのために、第3透光部材14形成した後、例えば、支持部材11の下面を研磨し、スパッタ法を用いてフィルター26を形成する。無機接着、蒸着等を用いてもよい。 【0069】 上述した構成以外は、実質的に光部材10と同様であり、実質的に同様の製造方法で形成することができる。」 エ 「 【0071】 実施形態3:光部品及びその製造方法 この実施形態の光部品30は、図3に示すように、主として、支持部材31と、第1透光部材12と、第2透光部材13と、第3透光部材14と、フィルター26と、放熱部材37とを備える。 放熱部材としては、透光性材料であり、耐熱性が良好なものであれば特に限定されず、第1透光部材、第2透光部材、第3透光部材で例示したもの、サファイア等のいずれをも用いることができる。 そのために、フィルター26に、例えば、低融点ガラスを用いて接着する。 上述した構成以外は、実質的に光部材10及び光部品20と同様であり、実質的に同様の製造方法で形成することができる。 【0072】 このような構成を有することにより、光部材10、20の効果に加えて、所望の波長の光のみを選択的に効率的に取り出すことを実現しつつ、フィルター26が、支持部材11のみならず、その反対側からも全面で熱引きされ、放熱性を向上させることができる。」 オ 「 【0076】 実施形態6:発光装置及びその製造方法 この実施形態の発光装置60は、上述したいずれかの光部品を、光源などを組み合わせることにより作製される。つまり、光部品を、光源と接続することによって製造することができる。この場合、半導体レーザ素子との直接的な接続を意味するものではなく、光源から出射される光を、光部品の支持部材の第2透光部材に当てるように光学的に結合させることを意味する。 【0077】 図6Aに示すように、この発光装置60は、主として、光源としての半導体レーザ素子、つまりレーザダイオード67と、光部品としての支持部材61とを備える。 光源としては、レーザダイオードのみならず、発光ダイオード等の種々のものが利用できる ・・・中略・・・ 【0081】 このような構成を有する発光装置は、図6Bに示すように、レーザダイオード67から出射された光が、入射光16として、支持部材61の貫通孔を通って、第2透光部材63に照射され、第3透光部材64を介して、出射光17として、出射される。 これによって、第2透光部材13で所望の光に波長変換することができ、かつ、第2透光部材63を通過した光を均一化させて、色調整することもできる。 また、長時間の光照射においても、光部品自体を劣化、変質させることなく、長期にわたって、均一な光質特性を維持/向上させることができる。 また、支持部材11においては、光の進行方向に、従来用いられていたような銀含有の被覆膜が存在しないため、高出力の光を長期間にわたって光の取り出し効率を低減させることなく、維持することができる。さらに、第2透光部材及び/又は第3透光部材に蛍光体が含有されている場合においても、これら透光部材の放熱性を向上させていることから、蛍光体に悪影響を与えることなく、光質特性を維持することができる。」 カ 「 【図1A】 [図:0001411273000002.jpg] 」 キ 「 【図2】 [図:0001411273000003.jpg] 」 ク 「 【図3】 [図:0001411273000004.jpg] 」 (【図3】中の「41」は「31」の誤記であると認められる。) ケ 「 【図6A】 [図:0001411273000005.jpg] 」 (4) 甲2発明 ア 甲2の【0069】、【0071】及び図1~3の記載を参酌すると、実施形態3の「第2透光部材13」及び「支持部材31」は、実施形態1の「第2透光部材13」及び「支持部材11」と同様に、「支持部材11は、第2透光部材13を支持するための部材であって」(【0015】)、「支持部材11は、高反射性であ(る)」「ジルコニウム含有アルミナ」「によって形成されて」(【0020】)おり、「支持部材11は、光を通過するための貫通孔11aを備え」(【0021】)、「支持部材11の貫通孔11aの中には、第2透光部材13が配置されて」(【0034】)おり、「第2透光材13は、光入射面13aと、光出射面13bと、外周側面13cとを有して」(【0034】)おり、「第2透光部材13は、蛍光体としてYAGが」「含有された酸化アルミニウム」「によって形成されて」(【0050】)おり、「第2透光部材13は、」「光源から出射される光の波長を変換することができ、」「光源からの光と、波長変換された光との混色光を外部に放出することができる」(【0042】)といえる。 イ 甲2の【0071】及び図2~3の記載を参酌すると、実施形態3の「フィルター26」は、実施形態2の「フィルター26」と同様に、「発光素子の出射光の波長と同等又は短波長の光を透過し、それよりも長波長の光を反射」し、「第2透光部材13の光入射面側において、第2透光部材13と支持部材11とに接触して配置されている」(【0068】)といえる。 ウ 甲2の【0034】、【0035】の記載と【図3】を踏まえると、実施形態3の「支持部材31」は、「第2透光部材13」を取り囲むように「第2透光部材13」の側方に設けられ、「第2透光部材は、その外周側面が、貫通孔の内壁に第1透光部材による融着によって固定されて」いると認められる。 エ 甲2の【図3】からは、「放熱部材37」は、「第2透光部材13」の下面及び「支持部材31」の下面に、間接的に(「フィルター26」を介して)設けられることが看て取れる。 オ 甲2の【0076】並びに図1~3及び図6Aの記載を参酌すると、甲2には、実施形態3の「光部品30」を、「光源などの組み合わせることによって製造することができる」(【0076】)発光装置であって、「光源から出射される光を」、実施形態3の「光部品30」の「支持部材31」の「第2透光部材13」「に当てるように光学的に結合させ」(【0076】た、発光装置が記載されているといえる。 カ そうすると、甲2には、実施形態3の光部品30を、光源などの組み合わせることによって製造される、次の「発光装置」の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「光部品30を、光源と接続することによって製造することができる発光装置であって、 光源から出射される光を、光部品の支持部材31の第2透光部材13に当てるように光学的に結合させ、 光部品30は、支持部材31と、第1透光部材12と、第2透光部材13と、第3透光部材14と、フィルター26と、放熱部材37とを備え、 支持部材31は、第2透光部材13を支持するための部材であって、 支持部材31は、高反射性であるジルコニウム含有アルミナによって形成されており、 支持部材31は、光を通過させるための貫通孔を備え、 支持部材31の貫通孔の中には、第2透光部材13が配置されており、 第2透光部材13は、光入射面と、光出射面と、外周側面とを有しており、 第2透光部材13は、蛍光体としてYAGが含有された酸化アルミニウムによって形成されており、 第2透光部材13は、光源から出射される光の波長を変換することができ、光源からの光と、波長変換された光との混色光を外部に放出することができ、 フィルター26は、発光素子の出射光の波長と同等又は短波長の光を透過し、それよりも長波長の光を反射し、第2透光部材13の光入射面側において、第2透光部材13と支持部材31とに接触して配置され、 放熱部材37としては、透光性材料であり、 支持部材31は、第2透光部材13を取り囲むように第2透光部材13の側方に設けられ、 第2透光部材13は、その外周側面が、貫通孔の内壁に第1透光部材12による融着によって固定されており、 放熱部材37は、第2透光部材13の下面及び支持部材31の下面に、間接的に設けられる、 発光装置。」 (5) 周知例1の記載事項について 取消理由で引用された周知例1(特開2013-207049号公報)には、以下の記載がある。 ア 「 【特許請求の範囲】 【請求項1】 固体発光素子と、前記固体発光素子上に設けられ、前記固体発光素子が放つ一次光をより長波長の光に変換する波長変換体とを備え、前記波長変換体の光出射面と概直交する側面に光反射体を備え、前記光反射体の前記波長変換体とは逆側の側面に放熱用の金属もしくはセラミックを配置したことを特徴とする発光装置。」 イ 「 【0022】 ・・・中略・・・ (第3の実施形態) 図4は本発明第3の実施の形態を示す断面図である。本発明では反射体4として高反射セラミック10を用いている。高反射セラミック10は金属を凌駕する高い光反射率と、数十W/(m・K)の高い熱伝導率を有する物質である。高反射率セラミック10の例としては、例えばポーラスアルミナやアルミナにジルコニアを分散させたものなどが挙げられる。また特開2006-287132に開示されているように、気孔の大きさおよび気孔率を適切に制御することにより、構造的に高い光反射率を得ることもできる。このため本実施の形態よれば、実施の形態1、2よりもさらに高い発光効率を得ることができる。 ・・・中略・・・」 ウ 「 【図4】 [図:0001411273000006.jpg] 」 (6) 周知例2の記載事項について 取消理由で引用された周知例2(国際公開第2006/104061号)には、以下の記載がある。 ア 「 請求の範囲 [1] 無機材料により多孔質に形成された反射層を有している、反射部材。 ・・・中略・・・ [6] 前記無機粒子は、アルミナ、イットリア、ジルコニアおよびチタニアからなる選択される少なくとも一種を含んでいる、請求項1に記載の反射部材。 ・・・中略・・・ [10] 1または複数の発光要素と、前記発光要素から出射された光を反射させるための反射部材と、を備えた発光装置であって、 前記反射部材として、無機材料により多孔質に形成された反射層を有しているものを使用する、発光装置。 ・・・中略・・・ [15] 前記無機粒子は、アルミナ、イットリア、ジルコニアおよびチタニアからなる選択される少なくとも一種を含んでいる、請求項10に記載の発光装置。」 イ 「 技術分野 [0001] 本発明は、電磁波発生要素からの電磁波を所望の方向に効率よく反射させるための反射部材、それを用いた発光装置および照明装置に関するものである。 ・・・中略・・・ 課題を解決するための手段 [0010] 本発明は、光などの波成分を効率よく反射させることができ、かつ反射特性の劣化が抑制された反射部材、それを用いた発光装置および照明装置を提供することを課題としている。 [0011] 本発明の第1の側面においては、無機材料により多孔質に形成された反射層を有している、反射部材が提供される。 ・・・中略・・・ [0035] 図2および図3に示したように、発光装置2は、基体3、発光素子4、透光部50、波長変換層51、第1および第2反射部材6,7を備えている。 ・・・中略・・・ [0053] 第1反射部材6は、枠体60および反射層61を有するものであり、接合材を介して基体3に接合されている。 ・・・中略・・・ [0076] また、反射層61および第2反射部材7は、枠体60の内面63や基体3の表面36に造り込むことなく、別途形成しておいた多孔質体を、枠体60の内面63や基体3の表面36に貼り付けることにより設けることもできる。第1反射部材6はまた、無機材料を用いて全体を多孔質に形成してもよい。その場合には、多孔質体のみにより第1反射部材6が構成され、枠体60は省略されるが、光が照射される表面は良好な反射面として作用すると同時に、多孔質体たる第1反射部材6が断熱材としても作用し発光装置の外表面における高温化を有効に防止できる。」 ウ 「 実施例4 [0109] 本実施例では、本発明の発光装置を以下のようにして評価した。先ず、図3に示すように、タングステンメタライズからなる配線導体30を有するアルミナ質焼結体からなる基体3を形成した(主面には図3のような第2反射部材7は形成していない)。 [0110] 次に、種々の材料により枠体60を基体3の上面に接合した。ここで本発明のサンプルにおいては、枠体60全体が、酸化アルミニウム結晶を加熱して気孔率36.6%の多孔質体としたものから成り、枠体60が反射部材としての機能を有する。」 エ 「 [図3] [図:0001411273000007.jpg] 」 2 甲1を主引用文献とした進歩性について (1) 本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア) 透光部材 甲1発明の「発光層2160」は、「蛍光体材料を有して」いるものであり、少なくとも部分的に光を透過することは技術的に明らかであるから、本件特許発明1の「透光部材」に相当する。 また、甲1発明の「発光層2160」(「透光部材」)は、「上面、下面及び側面を有」するものであるから、本件特許発明1の「上面、下面及び側面を有する透光部材」との要件を満たす。 (イ) 光反射部材 甲1発明の「壁部2150」は、「シリコーンに施されたTiO2を有」するものであり、甲1の【0165】の記載を参酌すると、高い反射性を有することは明らかであるから、本件特許発明1の「光反射部材」に相当する。 また、甲1発明の「壁部2150」(「光反射部材」)は、「発光層2160(「透光部材」)を取り囲むように発光層2160(「透光部材」)の側方に接して設けられ」るものであるから、本件特許発明1の「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材」との要件を満たし、「前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられ」との要件も満たす。 (ウ) 放熱部材 甲1発明の「充填層2155」は、「ガラスを有する」ものであって透明な材料であり、甲1の【0045】の記載を参酌すると、空気の間隙と比較して高められた熱伝導を与えるものであるから、本件特許発明1の「透光性の放熱部材」に相当する。 また、甲1発明の「充填層2155」(「透光性の放熱部材」)は、「光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160(「透光部材」)及び壁部2150(「光反射部材」)の間の空洞部をほぼ満たして」いるものであるから、「発光層2160」(「透光部材」)及び「壁部2150」(「光反射部材」)との位置関係(【図8b】)も考慮すると、本件特許発明1の「前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材」との要件を満たす。 (エ) 発光素子 甲1発明の「LEDダイ2130」は、本件特許発明1の「発光素子」に相当する。 また、甲1発明の「LEDダイ2130」(「発光素子」)は、「透明保護層2135で覆われており、」「透明保護層2135の上には、光学的接着層2145が設けられており、」「光学的接着層2145は、透明保護層2135と充填層2155(「放熱部材」)との間に光学的接着を与え」るものであるから、「発光層2160」(「透光部材」)との位置関係(【図8b】)も考慮すると、本件特許発明1の「前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子」との要件を満たす。 (オ) 発光装置 甲1発明の「発光モジュール2100」は、本件特許発明1の「発光装置」に相当する。 また、甲1発明の「発光モジュール2100」(「発光装置」)において、「発光層2160」(「透光部材」)は「LEDダイ2130」(「発光素子」)からの光を「蛍光体材料」で部分的に波長変換するものであるから、「LEDダイ2130」(「発光素子」)、「充填層2155」(「放熱部材」)及び「発光層2160」(「透光部材」)の位置関係(【図8b】)も考慮すると、甲1発明は本件特許発明1の「前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置される」との要件を満たす。 イ 一致点・相違点 (ア) 一致点 上記アの対比をふまえると、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。 「上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置され、 前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられる発光装置。」 (イ) 相違点 また、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。 (相違点1-1) 本件特許発明1は、「光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからな」るのに対して、甲1発明は、「壁部2150」(「光反射部材」)が、「シリコーンに施されたTiO2を有」するものである点。 (相違点1-2) 本件特許発明1は、「前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からな」るのに対して、甲1発明の「発光層2160」(「透光部材」)は、「蛍光体材料を有」するとの特定にとどまる点。 (相違点1-3) 本件特許発明1は、「前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出している」のに対して、甲1発明の「ガラスを有する充填層2155」(「放熱部材」)は、「光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160及び壁部2150の間の空洞部をほぼ満たしており」、その側面が「壁部2150」(「光反射部材」)から露出していない点。 ウ 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点1-3について検討する。 (ア) 甲1において「本発明」とされる発明の目的は、相対的に効率的である発光モジュールを提供すること(【0008】)である。また、甲1における「本発明」の「発光モジュール」は、「光出力窓」を通って光を発する(【0010】)ものである。 (イ) そして、甲1における上記「本発明」を具現化したものと解される甲1発明において、「壁部2150」は、「シリコーンに施されたTiO2を有」するものであるところ、甲1の【0165】の記載を参酌すると、この構成は「壁部2150」に高い反射性を与えるものである。 (ウ) ここで、上記(ア)で説示した事項、および、甲1の「壁部は、空洞部に面する光反射性の壁部表面を有しており、この光反射性の壁部表面は、光反射性の壁部表面により反射される光の量と光反射性の壁部表面に衝突する光の量との比により定義される壁部反射係数を有している。・・・中略・・・この形態では、有効反射係数は、少なくとも70%よりも大きく且つ固体発光体反射係数よりも大きい。従って、組み合わせられた基体及び壁部が指定された有効反射係数を有する場合、上記発光モジュールはかなり効率的である。」(【0035】)、「一形態では、上記基体の光反射面及び/又は光反射性の壁部表面の少なくとも1つは、光反射性のコーティング、光反射性のモールディング、光反射性のセラミック又は光反射性のフォイルを有している。光反射性のコーティングは、各光反射面の反射率を高めるために用いられ、それにより、発光モジュールの効率を改善する。」(【0041】)等の記載を考慮すると、「壁部2150」に高い反射性を付与する目的は、発光モジュール2100における効率を高めること、すなわち、甲1発明における「プリント回路基板2110、壁部2150及び発光層2160により」「規定」された「空洞部」において、「壁部2150」表面における反射を増加させて、光の漏れや吸収を低減することによって、「発光層2160」により形成された光出力窓に向かう光を増加させることと理解される。 (エ) 上記(ウ)を踏まえて相違点1-3の容易想到性について検討する。 甲1発明は「プリント回路基板2110、壁部2150及び発光層2160により空洞部が規定され」、「ガラスを有する充填層2155は、光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160及び壁部2150の間の空洞部をほぼ満たして」いる構成を有するものであるところ、甲1発明に上記相違点1-3に係る構成を採用することは、甲1発明において「空洞部」を規定する「壁部2150」(「光反射部材」)のうち、「充填層2155」(「放熱部材」)の側面に当たる部分を除くこと、すなわち、露出することを意味するのであって、このことが上記(ウ)で説示した「壁部2150」(「光反射部材」)の目的(機能)に反することは明らかである。 したがって、甲1発明において、あえて「ガラスを有する充填層2155」(「放熱部材」)を「壁部2150」(「光反射部材」)から露出させるという上記相違点1-3に係る構成を採用するよう動機づけられることはないというべきである。 エ 異議申立人の主張について 異議申立人は、意見書(提出日:令和6年1月18日)において、甲第3号証(特開2015-2160号公報、以下「甲3」という。)の図4、甲第4号証(特開2013-254690号公報、以下「甲4」という。)の【0031】及び図5等を根拠に、甲1発明に上記相違点1-3に係る構成を採用することは当業者であれば容易になし得ることである旨主張する。 しかしながら、上記ウで説示したとおりであり、甲1の「壁部2150」(「光反射部材」)の上記目的を踏まえれば、甲1発明に相違点1-3に係る構成を採用するように動機づけられることはないというべきであり、このことは甲3及び甲4の開示内容に左右されるものではない。 よって、異議申立人による上記主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、相違点1-1、相違点1-2について検討するまでもなく、甲1発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2) 本件特許発明4~7について 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項4~7は、いずれも、本件訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、本件特許発明4~7は、本件特許発明1の構成を全て具備するものである。 そうすると、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、甲1発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明4~7も、甲1発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲2を主引用文献とした進歩性について (1) 本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲2発明とを対比する。 (ア) 透光部材 甲2発明の「第2透光部材13」は、本件特許発明1の「透光部材」に相当する。 また、甲2発明の「第2透光部材13」(「透光部材」)は、「光入射面と、光出射面と、外周側面とを有して」いるものであるから、本件特許発明1の「上面、下面及び側面を有する透光部材」との要件を満たす。 また、甲2発明の「第2透光部材13」(「透光部材」)は、「蛍光体としてYAGが含有された酸化アルミニウムによって形成されて」いるところ、「YAGが含有された酸化アルミニウム」は本件特許発明1の「蛍光体を含むセラミックス」に相当するから、本件特許発明1の「前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなり」との要件を満たす。 (イ) 光反射部材 甲2発明の「支持部材31」は、「高反射性であるジルコニウム含有アルミナによって形成されて」いるものであるから、本件特許発明1の「光反射部材」に相当する。 また、甲2発明の「支持部材31」(「光反射部材」)は、「第2透光部材13(「透光部材」)を取り囲むように第2透光部材13(「透光部材」)の側方に設けられ」るものであるから、本件特許発明1の「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材」との要件を満たす。 (ウ) 放熱部材 甲2発明の「放熱部材37」は、「透光性材料」で構成されるものであるから、本件特許発明1の「透光性の放熱部材」に相当する。 また、甲2発明の「放熱部材37」(「透光性の放熱部材」)は、「第2透光部材13(「透光部材」)の下面及び支持部材31(「光反射部材」)の下面に、間接的に設けられる」ものであるから、本件特許発明1の「前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材」との要件を満たす。 (エ) 発光素子 甲2発明の「光源」は、本件特許発明1の「発光素子」に相当する。 また、甲2発明において、「放熱部材37」(「放熱部材」)は、「第2透光部材13(「透光部材」)の下面及び支持部材31(「光反射部材」)の下面に、間接的に設けられる」ものであり、「フィルター26」は、「発光素子の出射光の波長と同等又は短波長の光を透過し、それよりも長波長の光を反射し、第2透光部材13(「透光部材」)の光入射面側において、第2透光部材13(「透光部材」)と支持部材31(「光反射部材」)とに接触して配置され」るものであるから、「第2透光部材13」(「透光部材」)、「支持部材31」(「光反射部材」)、「放熱部材37」(「放熱部材」)及び「フィルター26」の位置関係(【図3】)も考慮すると、甲2発明の「光源」(「発光素子」)は、本件特許発明1の「前記下面側に配置される発光素子」との要件を満たす。 (オ) 発光装置 甲2発明の「発光装置」は、本件特許発明1の「発光装置」に相当する。 また、甲2発明において、「第2透光部材13」(「透光部材」)は、「光源(「発光素子」)から出射される光の波長を変換することができ、光源(「発光素子」)からの光と、波長変換された光との混色光を外部に放出することができ」るものであるから、「放熱部材37」(「放熱部材」)及び「第2透光部材13」(「透光部材」)の位置関係(【図3】)も考慮すると、甲2発明は本件訂正許発明1の「前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置される」との要件を満たす。 イ 一致点・相違点 (ア)一致点 上記アの対比をふまえると、本件特許発明1と甲2発明とは、以下の点で一致する。 「上面、下面及び側面を有する透光部材と、 前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、 前記透光部材の下面及び前記光反射部材の下面に、直接又は間接的に設けられる透光性の放熱部材と、 前記下面側に配置される発光素子と、を備え、 前記発光素子からの光が、前記透光部材及び放熱部材を通過するように、前記発光素子が配置され、 前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなる発光装置。」 (イ)相違点 また、本件特許発明1と甲2発明とは、以下の点で相違する。 (相違点2-1) 本件特許発明1は、「光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからな」るのに対して、甲2発明は、「支持部材31」(「光反射部材」)が、「高反射性であるジルコニウム含有アルミナによって形成されて」いる点。 (相違点2-2) 本件特許発明1は、「前記放熱部材と離れて、前記下面側に配置される発光素子と、を備え」るのに対して、甲2発明は、「前記下面側に配置される発光素子と、を備え」るものの、「放熱部材37」(「放熱部材」)と離れて、「光源」(「発光素子」)が配置されることが特定されていない点。 (相違点2-3) 本件特許発明1は、「前記光反射部材は、前記透光部材の側面に接して設けられ」るのに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。 (相違点2-4) 本件特許発明1は、「前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出している」のに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。 ウ 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点2-3について検討する。 (ア) 甲2発明は、「支持部材31」(「光反射部材」)の貫通孔の中に、「第2透光部材13」(「透光部材」)が配置されており、「第2透光部材13は、その外周側面が、貫通孔の内壁に第1透光部材による融着によって固定されて」いるものである。 (イ) ここで、甲2の「第1透光部材12は、貫通孔の内壁と、後述する第2透光部材とを融着するために利用される。そのために、貫通孔11aの内壁に膜状、薄膜状に配置されていることが好ましい」(【0026】)との記載や「第2透光部材13」の「支持部材11」との密着性等の観点から、甲2発明における「第2透光部材13」(「透光部材」)の側面は、全面にわたって融着された「第1透光部材12」を介して「支持部材31」(「光反射部材」)に固定されるべきものであって、甲2発明の「支持部材31」(「光反射部材」)は「第2透光部材13」(「透光部材」)の側面に接して設けられるものではないことは、当業者に明らかである。 してみれば、甲2発明において、「支持部材31」(「光反射部材」)が「第2透光部材13」(「透光部材」)「の側面に接」するという、上記相違点2-3に係る構成を採用するよう動機づけられることはない。 (ウ) なお、上記ア(ア)において、甲2発明の「第2透光部材13」が本件特許発明1の「透光部材」に相当するとして対比を行ったが、甲2発明の「第1透光部材12」もその記載から明らかなとおり、透光性を有する部材であるから、甲2発明における「第1透光部材12」および「第2透光部材13」を合わせたもの(以下、「第1、第2透光部材12、13」という。)を本件特許発明1の「透光部材」に相当するとみることも可能である。しかしながら、本件特許発明1の「前記透光部材は、蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からな」るのに対し、甲2発明の「第1、第2透光部材12、13」(「透光部材」)のうち、「第1透光部材12」はそのように特定されたものでなく、甲2において、「第1透光部材12」の材料を「蛍光体を含むセラミックス又は蛍光体の単結晶からなる」ものとする動機となる記載や示唆を見いだすこともできない。 エ 異議申立人の主張について 異議申立人の意見書(提出日:令和6年1月18日)による主張は、上記2(1)エと同様、甲3、甲4を根拠に、甲2発明に甲3、甲4に記載された発明の構成を採用することは当業者であれば容易になし得ることである、というものである。 しかしながら、上記ウで説示したとおりであり、甲2発明における「第1透光部材」の機能を踏まえれば、甲2発明に相違点2-3に係る構成を採用するように動機づけられることはないというべきであり、このことは甲3及び甲4の開示内容に左右されるものではない。 よって、異議申立人による上記主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、相違点2-1、相違点2-2、相違点2-4について検討するまでもなく、甲2発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2) 本件特許発明4~7について 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項4~7は、いずれも、本件訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、本件特許発明4~7は、本件特許発明1の構成を全て具備するものである。 そうすると、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、甲2発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明4~7も、甲1発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 小括 以上のとおり、令和5年9月28日付け取消理由通知書(決定の予告)により通知した取消理由(進歩性)によって、本件特許発明1、4~7に係る特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての当合議体の判断 1 本件特許発明9、12の甲1を主引用文献とした進歩性 (1) 異議申立人の主張 異議申立人は、申立書の36~38頁((4)ウ(ア)(h)、(i)欄)において、本件特許発明9、12は、甲1を主引用文献として進歩性がない旨主張する。 上記主張の概略は、甲1に記載された発明において、「反射性アルミナからなる壁部2150を形成する際、無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成することは周知慣用技術である。この際、壁部2150は多孔質の散乱アルミナ層によって構成されているのであるから、当業者であれば、光反射粉末の焼結体を含む壁部2150(光反射部材に相当)と発光層2160(透光部材に相当)とを一体に形成し、壁部2150において複数の空隙が存在するように成形体を焼結することは容易に想到できる」ことから、本件特許発明9、12は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、というものである。 (2) 当合議体の判断 ア 本件特許発明9について (ア) 甲1製造方法発明 甲1に記載される、上記甲1発明の「発光モジュール2100」を製造する製造方法の発明を、以下「甲1製造方法発明」という。 (イ) 相違点 本件特許発明9と甲1製造方法発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 (相違点1-9-1) 本件特許発明9は、「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成する工程」を有するのに対し、甲1製造方法発明は、そのような工程を有することが特定されていない点。 (相違点1-9-2) 本件特許発明9は、「前記光反射粉末の焼結体を含む光反射部材と前記透光部材とが一体に形成され、前記光反射部材において複数の空隙が存在するように前記成形体を焼結する工程」を有するのに対し、甲1製造方法発明は、そのような工程を有することが特定されていない点。 (ウ) 判断 技術的関連性に鑑み、上記相違点1-9-1、1-9-2についてまとめて検討する。 a 甲1製造方法発明において、「壁部2150」(「光反射部材」)は、「シリコーンに施されたTiO2を有」するものである。 b ここで、甲1の【0127】には、TiO2顔料で満たされたシリコーン樹脂等に代えて、多孔質の散乱アルミナ層を光反射性のコーティング部又はフォイルとして壁部に用いることを示唆する記載がある。しかし、仮にこの記載に基づき、甲1製造方法発明における「壁部2150」(「光反射部材」)の設計変更を試みるとしても、甲1には、このような「多孔質の散乱アルミナ層」を光反射性のコーティング部又はフォイルとして壁部に採用した構成を製造するための具体的な製造工程として、上記相違点1-9-1、1-9-2に係る構成を採用することについて記載も示唆もされていない。 そして、「多孔質の散乱アルミナ層を光反射性のコーティング部又はフォイルとして壁部に用いる」手法は、例えば「発光層2160」(「透光部材」)とは別に多孔質の散乱アルミナ層を焼結により製造する等、上記相違点1-9-1および相違点1-9-2に係る工程を必ずしも採用しない製造方法も想定できるから、甲1製造方法発明において、上記設計変更を試みる際に、当業者が上記相違点1-9-1及び1-9-2に係る構成を当然に採用するといえるに足りる根拠はなく、また、当該構成を採用する動機も見いだせない。 c また、周知例1の【0022】や周知例2の[0110]等に記載されているとおり、蛍光体を含む透光部材を取り囲むように側方に設けられた光反射部材の構成材料として、高反射性の複数の空隙を含むセラミックス(ポーラスアルミナや酸化アルミニウム結晶の多孔質体)を用いることは、周知の技術事項であるところ、仮に甲1製造方法発明の改良を試みる当業者が、当該周知の技術事項に基づいて、甲1製造方法発明の「壁部2150」(「光反射部材」)を高反射性の複数の空隙を含むセラミックスを構成材料として採用することが動機づけられたとしても、上記相違点9-1、9-2に係る構成を採用することが自明でなく、動機も見いだせない点は、上記bと同様である。 (エ) 小括 上記(ウ)で説示したとおり、甲1製造方法発明において、「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成する工程」(相違点1-9-1)と、「前記光反射粉末の焼結体を含む光反射部材と前記透光部材とが一体に形成され、前記光反射部材において複数の空隙が存在するように前記成形体を焼結する工程」(相違点1-9-2)とを有するものとすることが容易であったとはいえないから、本件特許発明9は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件特許発明12について 本件特許の請求項12は、いずれも、本件特許の請求項9を引用して特定するものであって、本件特許発明12は、本件特許発明9の構成を全て具備するものである。 そうすると、上記アのとおり、本件特許発明9が、甲1製造方法発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明12も、甲1製造方法発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 小括 上記(2)のとおりであるから、本件特許発明9、12の甲1を主引用文献とした特許異議申立理由(進歩性)は、採用すべき理由がない。 2 本件特許発明9、12の甲2を主引用文献とした進歩性 (1) 異議申立人の主張 異議申立人は、申立書の42~44頁((4)ウ(イ)(h)、(i)欄)において、本件特許発明9、12は、甲2を主引用文献として進歩性がない旨主張する。 上記主張の概略は、甲2に記載された発明において、「甲2発明における支持部材11(又は31)を構成するセラミックスを、甲1における壁部2150を構成する複数の空隙を含むセラミックスに適用することは当業者であれば容易になし得ることである」、「セラミックスからなる支持部材11又は31を形成する際、無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成することは周知慣用技術である。この際、複数の空隙を含むセラミックスによって構成された壁部2150の場合と同様に、当業者であれば、光反射粉末の締結体を含む支持部材11又は31(光反射部材に相当)と第2透光部材13(透光部材に相当)とを一体に形成し、支持部材11又は31において複数の空隙が存在するように成形体を焼結することは容易に想到できる」こと等より、本件特許発明9、12は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、というものである。 (2) 当合議体の判断 ア 本件特許発明9について (ア) 甲2製造方法発明 甲2に記載される、甲2発明の「発光装置」を製造する製造方法の発明を、以下「甲2製造方法発明」という。 (イ) 相違点 本件特許発明9と甲2製造方法発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 (相違点2-9-1) 本件特許発明9は、「前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に無機材料からなる光反射粉末を含む成形体を形成する工程」を有するのに対し、甲2製造方法発明は、そのような工程を有することが特定されたていない点。 (相違点2-9-2) 本件特許発明9は、「前記光反射粉末の焼結体を含む光反射部材と前記透光部材とが一体に形成され、前記光反射部材において複数の空隙が存在するように前記成形体を焼結する工程」を有するのに対し、甲2製造方法発明は、そのような工程を有することが特定されていない点。 (相違点2-9-3) 本件特許発明9は、「前記透光部材の下面側及び光反射部材の下面側に、前記放熱部材と離れるようにレーザ素子を配置する工程」を有するのに対し、甲2製造方法発明は、「第2透光部材(「透光部材」)」の下面側及び支持部材31(「光反射部材」)の下面側に「半導体レーザ素子」(「レーザ素子」)を配置」する工程を有するものの、「放熱部材37」(「放熱部材」)と離れるようにて、「半導体レーザ素子」(「レーザ素子」)を配置することは特定されていない点。 (ウ) 判断 技術的関連性に鑑み、上記相違点2-9-1、2-9-2についてまとめて検討する。 a 甲2製造方法発明において、「支持部材31」(「光反射部材」)は、「高反射性であるジルコニウム含有アルミナによって形成され」たものである。 b ここで、仮に甲2製造方法発明を出発点として改良を試みる当業者が、「支持部材31」(「光反射部材」)の構成材料として、甲1の記載や、周知例1、2に記載される技術常識に基づいて、「高反射性であるジルコニウム含有アルミナ」を、高反射性の材料である「複数の空隙を含むセラミックス」に変更することまで動機づけられたとしても、この際、甲2の【0056】の記載に接した当業者であれば、複数の空隙を含むセラミックスを構成材料とした「支持部材31」(「光反射部材」)を準備する工程と、「第2透光部材13」(「透光部材」)を準備する工程とを行ったうえで、「第2透光部材13」(「透光部材」)の「外周側面」を「貫通孔の内壁に第1透光部材による融着によって固定」する工程を行うこと(すなわち、上記相違点2-9-1および相違点2-9-2で特定される工程を経ないこと)も想定されるところ、上記変更を行う当業者が上記相違点2-9-1、2-9-2に係る構成を採用することが自明であるとの根拠はなく、また、当該構成を採用する動機も見いだせない。 (エ) 小括 上記(ウ)で説示したとおり、甲2製造方法発明において、相違点2-9-1、2-9-2に係る構成を採用することが容易であったとはいえないから、相違点2-9-3について検討するまでもなく、本件特許発明9は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件特許発明12について 本件特許の請求項12は、いずれも、本件特許の請求項9を引用して特定するものであって、本件特許発明12は、本件特許発明9の構成を全て具備するものである。 そうすると、上記アのとおり、本件特許発明9が、甲2製造方法発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明12も、甲2製造方法発明及び異議申立人が提出したいずれの証拠の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)小括 上記(2)のとおりであるから、本件特許発明9、12の甲2を主引用文献とした特許異議申立理由(進歩性)は、採用すべき理由がない。 3 小括 以上のとおり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(本件特許発明9、12の甲1、甲2をそれぞれ主引用文献とした進歩性)は、いずれも採用できないものである。 第7 令和5年6月23日付け取消理由通知書で通知したサポート要件について 1 取消理由の概要 令和5年6月23日付けで通知した取消理由のうち、理由2(サポート要件)は、概略、本件特許の請求項1~7、9、12に係る発明は、発明の詳細な説明から、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えるものとなっており、特許法36条6項1号の規定を満たしていないから、特許を受けることができない、というものである。 2 当合議体の判断 (1) 本件特許発明が解決しようとする課題は、「アルミナ等の光取出し部材に、金属膜を介して、透光部材が固定されている」(【0002】)ような「光学部品」は、「金属膜が劣化することにより、輝度が低下する場合がある」(【0004】)ことと認められる。 (2) そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記課題を解決するための光学部品の一形態として、「上面、下面及び側面を有する透光部材と、前記透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた光反射部材と、を備え」、「前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり、前記透光部材及び前記光反射部材を横切る一断面において、前記複数の空隙は前記透光部材の近傍に偏在している」(【0005】)ものが記載されている。 (3) ここで、本件特許明細書の【0014】の記載より、透光部材の周囲の光反射部材を、塩害等で劣化する場合がある「金属膜」ではなく、「透光部材を取り囲むように前記透光部材の側方に設けられた」「複数の空隙を含むセラミックスからな」るもので構成したことによって、上記課題が解決されると解される。 すなわち、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「光学部品」における「光反射部材」の具体的な形態としては、もっぱら「複数の空隙を含むセラミックスからなり、前記透光部材及び前記光反射部材を横切る一断面において、前記複数の空隙は前記透光部材の近傍に偏在している」ものが記載されているものの、このうち、前者の構成(複数の空隙を含むセラミックスからなり)によって上記課題は解決されるのであって、後者の構成(前記透光部材及び前記光反射部材を横切る一断面において、前記複数の空隙は前記透光部材の近傍に偏在している)は、上記課題の解決に直接寄与する構成でなく、光学部品の強度を確保することに寄与するものと解される(この点は、本件特許明細書の「全体的に気孔率を高くすると光反射部材の強度が低下してしまう」(【0014】)、「透光部材1からの光が透過することを第1領域2aで低減しつつ、光学部品10としての強度を第2領域2bで確保することができる。したがって、輝度の低下を低減し、且つ、強度を確保した光学部品10とすることができる」(【0015】)等の記載からも確認される。)。 (4) そうすると、本件特許発明1、4~7は、「前記光反射部材は、複数の空隙を含むセラミックスからなり」との特定事項を有し、また、本件特許発明9、12は、「前記光反射部材において複数の空隙が存在するように前記成形体を焼結する工程」「を有する」との特定事項、すなわち、上記課題を解決するための手段を有するから、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。 3 小括 上記2のとおりであるから、本件特許発明1、4~7、9、12は発明の詳細な説明に記載したものである。 第8 令和6年1月18日に提出された意見書における異議申立人のサポート要件に係る主張について 異議申立人は、同意見書の3.(2)において、「請求項1の訂正により請求項1に追加された「前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出している」との構成について、「本件特許明細書に全く記載されていないし、記載されているに等しいともいえない。さらに、そもそも本件特許の明細書には「露出」という文言がなく、放熱部材の側面が光反射部材から露出するという概念そのものが存在しない。」と主張する。 しかしながら、上記主張については、以下のとおりである。 すなわち、上記主張は、「サポート要件に係る主張」としてなされているものの、訂正事項1において、訂正前の請求項1に、「前記放熱部材の側面の少なくとも一部が前記光反射部材から露出している」との特定を追加する訂正(上記訂正1-ウ)が新規事項を追加するものとの主張とも解されるところ、これについての判断は上記「第2」の2(1)イで説示したとおりであって、上記訂正1-ウで追加された特定事項は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。 したがって、本件特許発明1、4~7が発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものとは解されない。 第9 むすび 請求項1、4~7、9、12に係る特許は、いずれも、令和5年6月23日付け及び同年9月28日付け取消理由通知書に記載した取消しの理由、並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に請求項1、4~7、9、12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2及び3に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項2及び3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700227

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