特許異議申立
2023-700226
ウニ風味ソース
- 審判番号
- 2023-700226
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-018239
- 登録番号
- 7132863
- 請求日
- 2023年02月27日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社日清製粉ウェルナ
- 【権利者代理人】弁理士法人翔和国際特許事務所
- 【異議申立人】滝澤 榮夫
- 審判長/審判官
- 審判長 池渕 立
- 審判官 土屋 知久
- 審判官 山口 大志
- 分類
- P1651.121-Y (A23L) / P1651.536-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7132863号発明「ウニ風味ソース」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7132863号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7132863号の請求項1~3に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成31年2月4日の出願であって、令和4年8月30日にその特許権の設定登録がなされ、同年9月7日にその特許掲載公報が発行された。
本件は、その後、その特許について、令和5年2月27日差出で特許異議申立人滝澤榮夫(以下、「申立人」という。)により請求項1~3(全請求項)に対してなされた特許異議申立事件である。
2 本件発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明(以下、これらをそれぞれ「本件発明1」~「本件発明3」という。また、これらをまとめて「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤と、トマトとを含み、ウニの含有量が1~30質量%、トマトの含有量が3~30質量%であるウニ風味ソース。
【請求項2】
クリームソースである請求項1に記載のウニ風味ソース。
【請求項3】
ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤とを含み、ウニの含有量が1~30質量%である、ウニ風味ソースの製造方法であって、
ウニ以外の原料を用いて中間ソースを製造する工程と、
前記中間ソースにウニを添加して加熱する工程とを有する、ウニ風味ソースの製造方法。」
3 特許異議申立理由の概要
申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を提出し、以下の(1)~(4)の特許異議申立理由を主張している。
(証拠方法)
甲1:「デリツィエ(赤羽橋/イタリアン)」、無駄なカロリー撲滅宣言!~カレーマンのカレーなる日々~、掲載日:2015年4月17日(http://curryman.officialblog.jp/archives/1024559303.html)
甲2:「イタリアの魚醤「コラトゥーラ」とは?漁師町ならではの天然うま味調味料を紹介!」、たびこふれ、記事投稿日:2018年11月15日、最終更新日:2018年11月15日(https://tabicoffret.com/article/75953/index.html)
甲3:「イタリアンレストラン風☆うにパスタ」、cookpad、レシピID:3502517、公開日:2015年11月7日、更新日:2015年11月7日(https://cookpad.com/recipe/3502517)
甲4:「うにウニDEパスタ」、cookpad、レシピID:2526410、公開日:2014年3月2日、更新日:2014年3月9日(https://cookpad.com/recipe/2526410)
甲5:「「うに」に注目!うにのおいしさを楽しむ料理レシピ集」、snapdish、生ウニのペペロンチーノ欄、公開日:2016年1月12日
(https://snapdish.co/books/5694a7385936162b0c8a976f/)
(1)本件発明1~3は、官能評価基準が適切ではないため、ソースの評価が適切に行われておらず、本件発明の課題を解決できるとその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が認識できるものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)本件発明1~3は、官能評価基準が適切ではないため、ソースの評価が適切に行うことができず再現実験ができないから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(4)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
・請求項1:甲1
・請求項2:甲1、及び、甲3~甲5に記載された周知技術
・請求項3:甲1、及び、甲5
4 特許法第36条第6項第1号について(上記3の(1))
(1)本件発明の解決しようとする課題は、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明によれば、「ウニの風味がよく感じられ、生臭さが抑えられたウニ風味ソースを提供すること」(【0005】)であると認められる。
(2)そして、上記(1)の課題の解決について、本件明細書には、次の記載がある。
「【0013】
本発明のウニ風味ソースは、ウニに加えて更に魚醤を含有する。ウニと魚醤とを併用することで、ウニの生臭さが抑えられ、ウニの風味とコク味が感じられやすくなる。」
「【0014】
本発明で用いる魚醤は、「ウニ以外の魚介類から作られた魚醤」である。ウニを含有するソースに、ウニから作られた魚醤(ウニ魚醤)を含有させると、ウニの生臭さが強くなるため好ましくない。」
「【0016】
本発明のウニ風味ソースは、更にトマトを含有してもよい。ウニ及び魚醤を含有するソースに更にトマトを含有させることで、ウニの一層生臭さが緩和され、ソースに爽やかな風味が加わることで、ウニのコク味がより一層引き立つようになる。」
「【0030】
本発明の製造方法の主たる特徴の1つは、ウニ及び魚醤を含む複数種の原料を用いてソースを製造するに当たり、それら複数種の原料を一度にまとめて配合するのではなく、先ず、魚醤を含む、ウニ以外の他の原料を配合し中間品(中間ソース)を製造し、次に、その中間品にウニを配合する点にある。ソースの製造当初からウニを配合すると、ウニのコク味が他の原料によって弱められてしまい、ウニの風味自体が弱まるおそれがあるが、本発明のようにウニを最後に配合することで、斯かる不都合が効果的に防止される。」
(3)上記(2)の【0013】、【0014】より、本件発明は、ウニに加えて更に魚醤を含有することにより、ウニの生臭さが抑えられ、ウニの風味とコク味が感じられやすくなるものであるが、ウニから作られた魚醤を含有させると、ウニの生臭さが強くなるため好ましくないとのことである。
(4)また、本件明細書の実施例の記載(【0033】~【0053】)において、次の評価基準であるソースの評価で、ウニに加えてウニ魚醤以外の魚醤を含有させた実施例1~3のウニソースは4.4~4.6点であるのに対し、ウニに加えてウニ魚醤以外の魚醤を含有させない比較例1~3のウニソースは2.1~2.6点である(【0048】の表1参照。)から、ウニに加えてウニ魚醤以外の魚醤を含有させた実施例1~3のウニソースは、上記(1)の課題を解決し得るものであるといえる。
<評価基準>
5点:ウニの風味とコク味が非常によく感じられ、生臭さがなく極めて良好。
4点:ウニの風味とコク味がよく感じられ、生臭さがなく極めて良好。
3点:ウニの風味とコク味が感じられ、生臭さがやや感じられるが概ね良好。
2点:ウニの風味とコク味があまり感じられず、生臭さが感じられ、不良。
1点:ウニの風味とコク味がほとんど感じられず、生臭さが強く感じられ、極めて不良。
(5)そして、本件発明1~3は、ウニに加えてウニ魚醤以外の魚醤を含有させたウニソースまたはその製造方法である(上記2参照。)ため、上記(3)、(4)に照らせば、上記(1)の課題を解決するものであるから、発明の詳細な説明に記載されたものである。
(6)なお、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、ソースの評価が適切なものではないから、その結果は全く信頼できないと主張している。
(7)しかしながら、例えば、上記(4)の評価基準において、4.5点の評価であれば、「5点:ウニの風味とコク味が非常によく感じられ、生臭さがなく極めて良好」と「4点:ウニの風味とコク味がよく感じられ、生臭さがなく極めて良好」との中間の評価であることが理解できるし、上記(4)でも述べたように、実施例1~3は4.4~4.6点であるのに対し、比較例1~3は2.1~2.6点であって、実施例1~3は、比較例1~3と比較して、ウニの風味がより感じられ、より生臭さが抑えられたものであることが理解できる。
(8)したがって、ウニに加えてウニ魚醤以外の魚醤を含有させたウニソースまたはその製造方法である本件発明1~3は、上記(1)の課題を解決し得るものである。
(9)よって、申立人の主張は採用できない。
5 特許法第36条第4項第1号について(上記3の(2))
(1)特許発明の実施とは、物の発明の場合は、その物の生産、使用、譲渡(有償・無償を問わない。電気通信回線を通じた提供を含む)、貸し渡し、輸出、輸入、並びに、譲渡及び貸し渡しの申出をする行為(譲渡等のための展示を含む)を、方法の発明の場合は、その方法の使用をする行為を、物を生産する方法の発明の場合は、その方法を使用する行為の他、その方法により生産した物の使用及び譲渡等をする行為をいう。
(2)上記(1)を参酌し、まず、物の発明である本件発明1~3について実施可能要件を満たしているか否かについて検討する。
(3)本件発明1~3は、上記2で示したとおりのものである。
(4)そして、請求項1に記載された「ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤と、トマトとを含み、ウニの含有量が1~30質量%、トマトの含有量が3~30質量%であるウニ風味ソース」を生産することは何ら困難なことではない。また、これは、請求項2に記載された「ホワイトソース」であっても同様である。
(5)また、請求項3に記載された「ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤とを含み、ウニの含有量が1~30質量%である、ウニ風味ソースの製造方法であって、ウニ以外の原料を用いて中間ソースを製造する工程と、前記中間ソースにウニを添加して加熱する工程とを有する、ウニ風味ソースの製造方法」を使用することも何ら困難なことではない。
(6)そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1~3について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(7)なお、申立人は、ソースの評価が適切ではないため、再現実験を実施できないから、実施可能要件違反である旨主張している。
(8)しかしながら、ソースの評価については、上記4の(7)で検討したとおり、ウニの風味や生臭さを評価するものとして、理解できるものであるし、仮に、ソースの評価が適切なものではなかったとしても、特許発明が実施可能要件を満たすか否かは、上記(1)の行為を行うことができるか否かで決まるものである。
(9)よって、申立人の主張は採用できない。
6 特許法第29条第1項第3号及び同法同条第2項について(上記3の(3)、(4))
6-1 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明
(1)甲1の記載
甲1には、次の記載がある。
「
[図:0001399407000001.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「北海道産ウニとフレッシュトマト、コラトゥーラのソース、シチリア風フェデリーニを含むパスタにおけるソース。」
イ また、上記(1)によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1方法発明」という。)も記載されていると認められる。
「北海道産ウニとフレッシュトマト、コラトゥーラのソース、シチリア風フェデリーニを含むパスタにおけるソースの製造方法。」
(3) 甲2の記載
甲2には、次の記載がある。
「
[図:0001399407000002.jpg]
右のガラス瓶はコラトゥーラ、左の白い陶器はコラトゥーラに唐辛子が入ったもの。レストランに行くと、好みで味を調整できるように写真のようなコラトゥーラセットが出てくることも。
そもそも魚醤とは、魚を塩に漬け発酵させた調味料のこと。イタリアでは魚醤を指す単語として「コラトゥーラ(Colatura)」と呼ばれています。その中でも南イタリア・アマルフィ海岸沿いにある、チェターラという町では、「コラトゥーラ・ディ・アリーチ」という特産品が作られています。
コラトゥーラ=魚醤・アリーチ=カタクチイワシの名前の通り、カタクチイワシを発酵させて作られた魚醤なんです。ナンプラーもカタクチイワシを元にしているため、味をイメージしやすいのではないでしょうか。」
(4)甲2に記載された技術事項
上記(3)によれば、甲2には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「コラトゥーラはカタクチイワシを発酵させて作られた魚醤である技術事項。」
(5)甲3の記載
甲3には次の記載がある。
「
[図:0001399407000003.jpg]
」
(6)甲4の記載
甲4には、次の記載がある。
「
[図:0001399407000004.jpg]
」
(7)甲5の記載
甲5には、次の記載がある。
「
[図:0001399407000005.jpg]
」
(8)甲5に記載された技術事項
上記(7)によれば、甲5には、次の技術事項が記載されている。
「生ウニのペペロンチーノの製法において、うには加熱し過ぎるとボソボソになるので、うにを加える前に火を消して、余熱で仕上げる技術事項。」
6-2 当審の判断
(1) 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「北海道産ウニ」、「フレッシュトマト」は、それぞれ本件発明1の「ウニ」、「トマト」に相当する。
イ 甲1発明の「コラトゥーラ」は、上記6-1の(4)の技術事項に照らせば、本件発明1の「ウニ以外の魚介類から作られた魚醤」に相当する。
ウ 甲1発明の「ソース」は、「北海道産ウニ」「を含む」ものであるから、本件発明1の「ウニ風味ソース」に相当する。
エ 上記ア~ウより、本件発明1と甲1発明とは、
「ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤と、トマトとを含むウニ風味ソース。」で一致し、次の相違点で相違する。
(相違点1)
ウニの含有量が、本件発明1は、「1~30質量%」であるのに対し、甲1発明は、どの程度のウニが含まれているかが不明である点。
(相違点2)
トマトの含有量が、本件発明1は、「3~30質量%である」のに対し、甲1発明は、どの程度のトマトが含まれているかが不明である点。
オ 事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
カ 本件明細書には次の記載がある。
「【0016】
本発明のウニ風味ソースは、更にトマトを含有してもよい。ウニ及び魚醤を含有するソースに更にトマトを含有させることで、ウニの一層生臭さが緩和され、ソースに爽やかな風味が加わることで、ウニのコク味がより一層引き立つようになる。・・・(略)・・・
【0017】
本発明のウニ風味ソースにおけるトマトの含有量は、トマトの形態に応じて適宜設定できる。ウニ風味ソースにおけるトマトの含有量が過少であると、トマトを使用する意義に乏しく、逆にこれが過剰であると、トマトの風味が強くなってウニの風味が損なわれるおそれがある。
本発明のウニ風味ソースがペースト状トマトを含有する場合、すなわちトマトを後述するソース部の一部として含有する場合、その含有量は、該ソースの全質量に対して、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
本発明のウニ風味ソースがトマト片を含有する場合、すなわちトマトを該ソースの具材として含有する場合、その含有量は、該ソースの全質量に対して、好ましくは3~30質量%、より好ましくは6~25質量%、更に好ましくは10~20質量%である。」
キ 上記カの記載によれば、本件発明1の「ウニ風味ソース」は、トマトを含有させることで、ウニの一層生臭さが緩和され、ソースに爽やかな風味が加わることで、ウニのコク味がより一層引き立つようになり、その含有量については、トマトの含有量が過少であると、トマトを使用する意義に乏しく、逆にこれが過剰であると、トマトの風味が強くなってウニの風味が損なわれるおそれがあるとのことである。
ク そうすると、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項には技術的な意義があるし、甲1には、ウニの生臭さを緩和し、ウニのコク味がより一層引き立つようにするために必要なトマトの含有量について記載も示唆もされていないから、相違点2は実質的な相違点である。
ケ 一方、甲1発明の「ソース」は、「北海道産ウニ」と「フレッシュトマト」とを含むものであるが、「北海道産ウニ」と「フレッシュトマト」との味のバランスについては何ら記載されていない。すなわち、ウニの風味の強いソースとするのか、それともフレッシュトマトの風味の強いソースとするのかが不明である。
コ そして、上記キのように、本件発明1において、トマトの含有量はウニのコク味と生臭さを考慮しながら決定するものであるから、甲1発明において、「フレッシュトマト」の含有量を「3~30質量%」とする動機がないし、また、上記キの効果を予測することも困難である。
サ したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえないし、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
シ よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明であるとはいえないし、甲1発明に基いて、当業者が想到し得たものとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 本件発明2は本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明2と甲1発明とは、少なくとも相違点2で相違する。
イ そうすると、甲3~甲5の記載事項を勘案しても、上記(1)で検討した理由と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明において、相違点2に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(3)本件発明3について
ア 上記(1)のア~ウでの対比と同様に、本件発明3と甲1方法発明とを対比すると、両者は、
「ウニと、ウニ以外の魚介類から作られた魚醤とを含む、ウニ風味ソースの製造方法。」で一致し、次の相違点で相違する。
(相違点3)
ウニの含有量が、本件発明3は、「1~30質量%」であるのに対し、甲1方法発明は、どの程度のウニが含まれているかが不明である点。
(相違点4)
本件発明3は、「ウニ以外の原料を用いて中間ソースを製造する工程と、前記中間ソースにウニを添加して加熱する工程とを有する」のに対し、甲1方法発明は、そのような工程を有するか否かが不明である点。
イ 事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。
ウ 上記6-1の(8)より、うには加熱し過ぎるとボソボソになるので、うにを加える前に火を消して、余熱で仕上げることは、本件特許出願前に知られていたことである。
エ そうすると、甲1方法発明において、ウニ以外の原料を用いて中間ソースを製造してから、最後に、この中間ソースにウニを添加することは、当業者が容易に想到できたことである。
オ しかしながら、上記ウの技術事項は、「うにを加える前に火を消して、余熱で仕上げる」ものであるから、本件発明3のように「ウニを添加して加熱する」ことには阻害要因がある。
カ したがって、甲1方法発明において、相違点4に係る本件発明3の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になしえたこととはいえない。
キ よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
7 むすび
以上のとおり、本件の請求項1~3に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできず、また、他に本件の請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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