特許異議申立
2021-700881
パターン形成体、カード、印刷物
- 審判番号
- 2021-700881
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-252385
- 登録番号
- 6844108
- 請求日
- 2021年09月14日
- 審決日
- 2022年07月27日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】正林 真之
- 【権利者代理人】芝 哲央
- 【権利者代理人】林 一好
- 【権利者代理人】谷山 稔男
- 【異議申立人】独立行政法人 国立印刷局
- 審判長/審判官
- 審判長 吉村 尚
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 佐々木 創太郎
- 分類
- P1652.113-XA (B42D) / P1652.121-XA (B42D) / P1652.537-XA (B42D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第131条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6844108号発明「パターン形成体、カード、印刷物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6844108号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲(令和4年7月5日提出の手続補正書により補正されたもの)のとおり,訂正後の請求項〔2ないし9〕について訂正することを認める。
本件特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6844108号の請求項1乃至6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての特許出願は、平成27年12月24日(優先権主張平成27年8月7日)に出願され、令和3年3月1日にその特許権の設定登録がされ、同年3月17日に特許掲載公報が発行された。
その後、同年9月14日付けで特許異議申立人 独立行政法人国立印刷局(以下、「異議申立人」という。)より請求項2に対して特許異議の申立てがされ、令和3年11月9日付けで取消理由が通知され、令和4年1月7日に意見書の提出がされ、同年2月8日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年4月22日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年6月1日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期内である同年7月5日に意見書及び訂正請求書についての手続補正書が提出されたものである。
第2 訂正の適否について
1 令和4年7月5日に提出された手続補正書による訂正請求書の補正の適否について
(1)要旨変更の有無について
特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第131条の2第1項は、訂正請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならないものと規定しているが、同項第1号により、請求の理由についてされるときはこの限りでないと規定されているから、訂正請求書の「請求の趣旨」の補正について、要旨の変更が認められていないといえる。
そして、「請求の趣旨」の要旨を変更する補正とは、「請求の趣旨」の記載を変更することによって、補正前後で請求の基礎である「訂正を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更することである。
ここで、「請求の趣旨」は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲を引用することにより、請求の内容を記載しているから、訂正特許請求の範囲の記載は、訂正請求における「請求の趣旨」と一体不可分のものであり、そうすると、訂正特許請求の範囲を補正することも、「請求の趣旨の補正」として扱われることとなる。
また、特許法第131条の2の趣旨は、審理対象の拡張変更による審理遅延を防止することにあると解されるところ、訂正事項の同一性に変更があっても、例えば、ある請求項の訂正事項を当該請求項の削除という訂正事項に変更する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正、並びに請求項の削除という訂正事項を追加する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正は、審理遅延を生じさせるものではないから、訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものとは取り扱わない。
この点を踏まえて、令和4年7月5日に提出された手続補正書による補正について検討する。
(2)令和4年7月5日に提出された手続補正書による補正の内容
令和4年6月1日付けの訂正拒絶理由通知に対し、特許権者は、令和4年7月5日に提出された手続補正書において、訂正請求書を以下のとおり補正することを求める。
ア 訂正事項1及び2を削除する。
イ 請求項2を削除する訂正を行う。(下記訂正事項1、訂正事項4、訂正事項5)
(3)補正の適否
訂正事項の削除及び請求項の削除という訂正事項を追加する補正は、上記(1)に照らせば、いずれも、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第131条の2第1項に規定される要旨の変更には該当しない。
したがって、令和4年7月5日に提出された手続補正書による手続補正は適法なものであり、令和4年4月22日に提出された訂正請求書による本件訂正は、下記訂正事項2(1)乃至(5)からなるものとなった。
2 本件訂正請求の内容について
本件訂正請求は、令和4年4月22日付けで提出された訂正請求書及び同年7月5日付けで提出された手続補正書の記載からみて、その請求の趣旨を「特許第6844108号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項2~9について訂正することを求める。」とするものであり、その内容はつぎのとおりのものである。(注:下線部分は訂正箇所を示す。)
なお、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」という。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2を削除する(以下「訂正事項1」という。)。
(2)訂正事項2-1
請求項3に「請求項1又は請求項2に記載のパターン形成体において、前記第2パターンの輪郭の周囲に配置された前記第1パターン要素の太さは、均一であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載されているうち、請求項1を引用するものについて、「請求項1に記載のパターン形成体において、前記第2パターンの輪郭の周囲に配置された前記第1パターン要素の太さは、均一であること、を特徴とするパターン形成体。」と訂正する(以下「訂正事項2-1」という。)。
請求項3を引用する請求項4乃至6も同様に訂正する。
(3)訂正事項2-2
請求項3に「請求項1又は請求項2に記載のパターン形成体において、前記第2パターンの輪郭の周囲に配置された前記第1パターン要素の太さは、均一であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載されているうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、「複数の第1パターン要素が配列され、細線により形成される細線部と、前記細線部よりも線の太さが太い太線により形成される太線部とを有する第1パターンと、前記第1パターンの前記細線部、前記太線部によって形成される第2パターンと、を備え、前記第1パターンは、前記第2パターンの輪郭部分のみが前記太線部であり、前記第2パターンの輪郭の周囲に配置された前記第1パターン要素の太さは、均一であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載し、新たな請求項7とする(以下「訂正事項2-2」という。)。
(4)訂正事項3-1
請求項4に「請求項1から請求項3のいずれかに記載のパターン形成体において、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載されているうち、請求項1または請求項3を引用するものについて、「請求項1または請求項3のいずれかに記載のパターン形成体において、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と訂正する(以下「訂正事項3-1」という。)。
請求項4を引用する請求項5及び請求項6も同様に訂正する。
(5)訂正事項3-2
請求項4に「請求項1から請求項3のいずれかに記載のパターン形成体において、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載されているうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、「複数の第1パターン要素が配列され、細線により形成される細線部と、前記細線部よりも線の太さが太い太線により形成される太線部とを有する第1パターンと、前記第1パターンの前記細線部、前記太線部によって形成される第2パターンと、を備え、前記第1パターンは、前記第2パターンの輪郭部分のみが前記太線部であり、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載し、新たな請求項8とする(以下「訂正事項3-2」という。)。
(6)訂正事項3-3
請求項4に「請求項1から請求項3のいずれかに記載のパターン形成体において、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載されているうち、請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、「複数の第1パターン要素が配列され、細線により形成される細線部と、前記細線部よりも線の太さが太い太線により形成される太線部とを有する第1パターンと、前記第1パターンの前記細線部、前記太線部によって形成される第2パターンと、を備え、前記第1パターンは、前記第2パターンの輪郭部分のみが前記太線部であり、前記第2パターンの輪郭の周囲に配置された前記第1パターン要素の太さは、均一であり、前記第1パターン要素の形状は、肉眼では判別できない程度に微小であること、を特徴とするパターン形成体。」と記載し、新たな請求項9とする(以下「訂正事項3-3」という。)。
(7)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とするカード。」と記載されているのを、「請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とするカード。」に訂正する。
(8)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」と記載されているのを、「請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」に訂正する。
(9)別の訂正単位とする求め
審判請求人は、訂正後の請求項3乃至6及び請求項7乃至9について、当該請求項の訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項2を削除するというものである。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記アのとおり、訂正事項1は、請求項2を削除するための訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記アのとおり、訂正事項1が、請求項2を削除するための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項2について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項2に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(以下、「独立特許要件」という。)は課されない。
(2)訂正事項2-1について
ア 訂正の目的について
訂正事項2-1は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項3を引用する訂正後の請求項4乃至6は、訂正後の請求項3が請求項2の記載を引用しないものとなることにより、請求項2を引用しないものとする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2-1は、上記アのとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2-1は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、当該訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
訂正事項2-1によって訂正された請求項3が引用する請求項1は、「第2パターン」の形状について、「文字」と特定され、かつ、請求項1に係る特許が、特許異議の申立ての対象とされていないことからすれば、訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項3、及び請求項3を引用する請求項4乃至6が、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、訂正事項2-1による請求項3乃至6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項2-2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2-2は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2を引用するものについて独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2-2は、上記アのとおり、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2-2は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1又は請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2を引用するものについて独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、当該訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項2-2は、特許異議の申立ての対象とされていない訂正前の請求項3に係るものであるところ、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、本件訂正における訂正前の請求項3に係る訂正事項2-2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項3-1
ア 訂正の目的について
訂正事項3-1は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項4を引用する訂正後の請求項5及び請求項6は、訂正後の請求項4が請求項2の記載を引用しないものとなることにより、請求項2を引用しないものとする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3-1は、上記アのとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-1は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、当該訂正事項3-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項3-1によって訂正された請求項4が直接的又は間接的に引用する請求項1は、「第2パターン」の形状について、「文字」と特定され、かつ、請求項1に係る特許が、特許異議の申立ての対象とされていないことからすれば、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項4、及び請求項4を引用する請求項5及び請求項6が、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、訂正事項3-1による請求項4乃至6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項3-2
ア 訂正の目的について
訂正事項3-2は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用するものについて、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3-2は、上記アのとおり、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-2は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用するものについて、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、当該訂正事項3-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項3-2は、特許異議の申立ての対象とされていない訂正前の請求項4に係るものであるところ、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、本件訂正における訂正前の請求項4に係る訂正事項3-2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(6)訂正事項3-3
ア 訂正の目的について
訂正事項3-3は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用するものについて、独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3-3は、上記アのとおり、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-3は、訂正前の請求項4の記載が訂正前の請求項1から請求項3のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用する請求項3の記載を引用するものについて、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載された範囲内でするものであることは明らかである。
そうすると、当該訂正事項3-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項3-3は、特許異議の申立ての対象とされていない訂正前の請求項4に係るものであるところ、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、本件訂正における訂正前の請求項4に係る訂正事項3-3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(7)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項5に「請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とするカード。」とあるのを、「請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とするカード。」とするものである。
そして、訂正事項4は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。
そうすると、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項4によって訂正された請求項5が直接的又は間接的に引用する請求項1は、「第2パターン」の形状について、「文字」と特定され、かつ、請求項1に係る特許が、特許異議の申立ての対象とされていないことからすれば、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項5が、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、訂正事項4による請求項5に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
(8)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」と記載されているのを、「請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」に訂正する。
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項6に「請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」とあるのを、「請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のパターン形成体が基材に形成されていることを特徴とする印刷物。」とするものである。
そして、訂正事項5は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、訂正前の請求項2の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものである。
そうすると、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項5によって訂正された請求項6が直接的又は間接的に引用する請求項1は、「第2パターン」の形状について、「文字」と特定され、かつ、請求項1に係る特許が、特許異議の申立ての対象とされていないことからすれば、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項6が、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、訂正事項5による請求項5に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
(9) 一群の請求項について
訂正前の請求項2乃至6について、請求項3乃至6は、それぞれ請求項2を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項2乃至6に対応する訂正後の請求項2乃至9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 小括
上記のとおりであるから、本件訂正は、第120条の5第2項但し書き第1号及び第4号を目的とするものであり、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲(令和4年7月5日提出の手続補正書により補正されたもの)のとおり、訂正後の請求項[2-9]について訂正することを認める。
第3 本件特許発明について
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許異議の申立ての対象である本件特許の請求項2に係る発明は、つぎのとおりのものである。
「【請求項2】(削除)」
第4 特許異議申立理由及び取消理由(決定の予告)
1 特許異議申立理由の概要
異議申立人は、本件特許異議の申立てにおいて、次の理由を主張している。
(新規性)請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、甲第1号証(ウクライナ100フリプニャ券)及び甲第2号証(グアテマラ200ケツアール券)として公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当するから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2 取消理由(決定の予告)の概要
上記「1 特許異議申立理由の概要」に加え、以下の理由を通知した。
(明確性)本件特許発明2は、「前記第1パターンは、前記第2パターンの輪郭部分のみが前記太線部である」との記載は、不明確である。
第5 当審の判断
特許異議申立理由及び取消理由(決定の予告)の取消理由は、いずれも、本件特許の請求項2に係る発明についてのものであるところ、本件訂正請求による訂正によって、本件特許の請求項2に係る発明は、いずれも削除されたことから、当該請求項に係る特許異議の申立てはその対象が消滅したものである。
第6 むすび
本件特許の請求項2は、本件訂正の請求により削除され、これにより、請求項2に係る特許に対する異議申立人による特許異議の申立は、申立の対象が存在しないものとなったため、不適法な申立てであってその補正をすることができないものとなったから、特許法第120条の8第1項で読み替えて準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、上記結論のとおり決定する。
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2021-700881