特許異議申立
2022-701268
転売防止機能の付いた台本
- 審判番号
- 2022-701268
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-150772
- 登録番号
- 7093817
- 請求日
- 2022年12月19日
- 審決日
- 2025年01月24日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】三映印刷株式会社
- 【権利者代理人】福田 純一
- 【異議申立人】株式会社 三交社
- 【異議申立人代理人】中山 俊彦
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 殿川 雅也
- 審判官 山本 一
- 分類
- P1651.121-ZAA(B42D) / P1651.851-ZAA(B42D) / P1651.853-ZAA(B42D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7093817号発明「転売防止機能の付いた台本」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7093817号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第7093817号の請求項1ないし6に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7093817号の請求項1乃至6に係る特許についての出願は、令和2年9月8日に出願され、令和4年6月22日にその特許権の設定登録がされ、同年6月30日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和4年12月19日に特許異議申立人 株式会社三交社(以下、「特許異議申立人」という。)により請求項1ないし6に対して特許異議の申立てがされ、令和5年3月23日に特許異議申立人より手続補正書が提出され、同年4月4日付けで特許異議申立人に対して審尋がなされ、同年6月5日に特許異議申立人より回答書が提出され、同年8月29日付けで取消理由が通知され、同年10月30日に特許権者より意見書が提出され、令和6年1月17日付けで特許異議申立人に対して審尋がなされ、同年3月22日に特許異議申立人より回答書が提出された。
さらに、その後、同年5月7日付けで取消理由通知(決定の予告)が通知され、同年7月8日に特許権者より訂正請求されるとともに意見書が提出され、同年8月14日及び同年9月6日に特許権者より手続補正書が提出され、同年9月24日付けで当審合議体が特許異議申立人に対し特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、同年10月25日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。
第2 本件訂正請求による訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和6年7月8日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、同日に提出された訂正請求書、同年8月14日及び同年9月6日に提出された手続補正書の記載からみて、その請求の趣旨を「特許第7093817号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求項の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」とするものである。
また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」といい、これらをまとめて「本件特許明細書等」という。
2 訂正の内容(以下「訂正事項という。)
本件訂正の内容は以下のとおりである(下線は当審で付した。また、訂正請求書「7 請求の理由」において、本件特許請求の範囲及び訂正特許請求の範囲と整合しない箇所は、請求の趣旨に鑑みて本件特許請求の範囲及び訂正特許請求の範囲を正として適宜読み替えた。以下同じ。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「折丁をページ順に揃えて丁合し無線綴じ、平綴じ等にて冊子として製本される台本の本身を有し、
該台本の本身における台本の綴じ部側を包み込む表紙を製作して本身の背部と表紙裏面背巾部を貼着して製本するくるみ工程において、
該表紙裏面背巾部側の天地間には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返し連続した形で帯状に印刷し、
該印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着していることを特徴とする転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「折丁をページ順に揃えて丁合し無線綴じ、平綴じ等にて冊子として製本される台本の本身を有し、
該台本の本身における台本の綴じ部側を包み込む表紙を製作して本身の背部と表紙裏面背巾部を貼着して製本するくるみ工程において、
該表紙裏面背巾部側の天地間には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返し連続した形で帯状に印刷し、
該印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする転売防止機能の付いた台本。」
と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号を連続し繰り返して連続的に表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷、又は、通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷等しており、
該印刷された通し番号部分は糊代として本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着していることを特徴とする請求項1に記載の転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷等し、
該印刷された通し番号部分は糊代として本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1に記載の転売防止機能の付いた台本。」
と訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成の製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成の製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転売防止機能の付いた台本。」
と訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には表紙裏面背巾部を中心に配列して表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に繰り返し印刷されたパターン状のデザイン通し番号が印刷されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ印刷されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には表紙裏面背巾部を中心に配列して表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に繰り返し印刷されたパターン状のデザイン通し番号が印刷されている台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
と訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている製本物となし、
該製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷された構成をなし、
該構成に併用して、製本物の表紙表面、表紙見返り部に貸与されたものを特定可能な通し番号の記載があること、台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている製本物となし、
該製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷された台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与されたものを特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本をもちこまれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
と訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記表紙表面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷されたた通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている構成の製本物において、
該製本物に印刷される夫々の通し番号に印刷はバリアブル印刷により行われ製本物の冊子ごとに異なる通し番号とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
とあるを、
「前記表紙表面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷されたた通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている構成の製本物において、
該製本物に印刷される夫々の通し番号に印刷はバリアブル印刷により行われ製本物の冊子ごとに異なる通し番号とする構成となし、
該構成に併用して、前記製本物の台本は表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本をもちこまれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本」
と訂正する。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 補正の適否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1のうち、本件訂正前の請求項1の「台本」の「表紙」について、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」を「印刷」したものに限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1における、本件訂正前の請求項1の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項1のうち、「該印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し」の箇所は、本件特許明細書の「【0040】 ・・・該印刷した通し番号16の繰り返し部分を糊代19として前記本身の背部10と表紙裏面背巾部12を接着剤にて貼着して図3に示すような台本1が制作される。」(スペースは改行を示す。以下同じ。)との記載に基づく訂正である。
(イ)訂正事項1のうち、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされて」いるとの箇所は、本件特許明細書の「【0036】 ・・・7は注意事項欄であり、該注意事項欄7には、本発明の台本1の取り扱いに係る注意事項として、例えば、 1)台本の表紙表面、または、表紙見返り部には、貸与者を特定可能な通し番号や記号等の記載があること。 2)台本は、非売品でその所有権は表記のプロデューサー側に帰属すること。 3)この台本は、転売、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること。 4)不正品の疑いのある古物を持ち込まれた古物商は、法律上、警察官への申告義務を負うこと。 等が明記されている。」等の記載に基づく訂正である。
(ウ)したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項2のうち、本件訂正前の「前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号を連続し繰り返して連続的に表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷、又は、通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷等しており」との記載について、「通し番号」の印刷に係る2つの態様のうち後者の1つに限定して、「前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷等し」とする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)訂正事項2のうち、「台本」の「表紙」について、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」を「印刷」したものに限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2における、本件訂正前の請求項2の発明特定事項をより限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項2のうち、上記ア(ア)に対応する訂正は、本件訂正前の「又は」により接続されて選択可能な2つの事項のうちの一方に限定する訂正であるから、本件訂正前の特許請求の範囲に記載した事項内の訂正である。
(イ)訂正事項2のうち、「該印刷された通し番号は糊代として本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作」するとの箇所は、上記(1)ウ(ア)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(ウ)訂正事項2のうち、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされている」との箇所は、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(エ)したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3のうち、「台本」の「表紙」について、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」を「印刷」したものに限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3における、本件訂正前の請求項3の発明特定事項をより限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項3のうち、「該構成の製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている台本となし」の箇所は、本件特許明細書の「【0044】 実施例2において、図4は、実施例2の説明図で表紙の表紙表面見返し13と表紙裏面見返し14を開いた状態を示す説明図、図5は台本の本身背部10と表紙裏面背巾部12を接着材で貼着した状態を示す説明図である。・・・2は表紙、12は表紙裏面背巾部、13は表紙表面見返し、14は表紙裏面見返しで表紙の内部側を示しており、・・・くるみ工程で台本の本身8を覆う表紙表面見返し13、表紙裏面見返し14、表紙裏面背巾部12には、通し番号20a、20b、20c・・・が連続的に印刷されており、それらは、前記表紙裏面背巾部12に印刷された通し番号16に対して繰り返されたパターン状のデザインとして印刷されている。そして、通し番号20a、20b、20c・・・は表紙裏面背巾部12を中心に配列して表紙裏見返し14から表紙表面見返し13に亘り全面的に印刷されており、該通し番号20a、20b、20c・・・は目立たなく薄色印刷や中抜き文字、又は、書き換えの難しいデザイン文字等で構成され印刷している。」との記載に基づく訂正である。
(イ)訂正事項3のうち、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされている」との箇所は、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(ウ)したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項3に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4のうち、「台本」の「表紙」について、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」を「印刷」したものに限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4における、本件訂正前の請求項4の発明特定事項をより限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項4のうち、「前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ印刷されている構成」は、訂正前の記載が「通し番号」が「本身の背部や表紙の背巾部に覆われ」て「印刷」されていたことは明らかであるから、訂正後の当該事項は実質的に訂正前請求項4に特定されていた事項である。
(イ)訂正事項4のうち、「該構成の製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている台本となし」の箇所は、本件特許明細書の「【0044】 実施例2において、図4は、実施例2の説明図で表紙の表紙表面見返し13と表紙裏面見返し14を開いた状態を示す説明図、図5は台本の本身背部10と表紙裏面背巾部12を接着材で貼着した状態を示す説明図である。・・・2は表紙、12は表紙裏面背巾部、13は表紙表面見返し、14は表紙裏面見返しで表紙の内部側を示しており、・・・くるみ工程で台本の本身8を覆う表紙表面見返し13、表紙裏面見返し14、表紙裏面背巾部12には、通し番号20a、20b、20c・・・が連続的に印刷されており、それらは、前記表紙裏面背巾部12に印刷された通し番号16に対して繰り返されたパターン状のデザインとして印刷されている。そして、通し番号20a、20b、20c・・・は表紙裏面背巾部12を中心に配列して表紙裏見返し14から表紙表面見返し13に亘り全面的に印刷されており、該通し番号20a、20b、20c・・・は目立たなく薄色印刷や中抜き文字、又は、書き換えの難しいデザイン文字等で構成され印刷している。」との記載から、通し番号20a、20b、20c・・・が、台本の紙裏見返し14から表紙表面見返し13に亘り(表紙の内部側に)パターン上のデザインとして印刷されているので、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(ウ)訂正事項4のうち、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされている」との箇所は、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(エ)したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項4に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項5のうち、本件訂正前の「製本物の表紙表面、表紙見返り部に貸与されたものを特定可能な通し番号の記載があること」を「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与されたものを特定可能な通し番号の記載があること」とする訂正は、本件訂正前の記載において、「通し番号」を「製本物」である「台本」の「表紙表面」及び「表紙見返り部」の両方に記載するとも一方のみに記載するとも解釈できたところ、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部」に記載することを明確にする訂正である。
この点について、本件特許明細書に、「本発明においては、台本の非常に見やすい表紙表面、または、表紙見返り部には、貸与者を特定可能な通し番号の記載がある」(【0033】)、「1)台本の表紙表面、または、表紙見返り部には、貸与者を特定可能な通し番号や記号等の記載があること。」(【0036】)と記載されていることから、本件訂正前の「製本物の表紙表面、表紙見返り部」が「製本物の表紙表面、または、表紙見返り部」を意図していたことは明らかである。
したがって、訂正事項5のうち上記訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)訂正事項5のうち、本件訂正前の「通し番号の記載があること、台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていること」を「通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本をもちこまれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていること」とする訂正は、本件訂正前の記載において、印刷されたものが、「通し番号の記載」及び「『所有権』の『帰属』等の『記述』」の両方とも一方のみとも解釈できたところ、「及び」で接続して両方であることを明確にする訂正である。
この点について、本件特許明細書に、「表紙裏面背巾部12に印刷される通し番号16は、その通し番号を繰り返して表紙裏面背巾部12の台本の天17と台本の地18間に帯状に印刷していることにより、・・・更に、実施例1は、図1にて示す如く、注意事項欄7で、台本の非常に見やすい表紙表面3、または、表紙表面見返し13に注意事項欄7を設け、該注意事項欄7で貸与者を特定可能な通し番号の記載があることや、台本は、非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は、警察官への申告義務を負う旨の記述が明記されている構成を有していることで、制作関係者に貸与された使用済みの台本が、古物商やインターネットオークションを介して転売されることを防止可能とするものである。」(【0042】~【0043】)と記載されていることから、「注意事項欄7」が印刷される際には「通し番号16」が印刷されているので、本件訂正前の「通し番号の記載があること、台本は非売品で・・・旨の記述の印刷がされていること」が「通し番号の記載があること、及び台本は非売品で・・・旨の記述の印刷がされていること」を意図していたことは明らかである。
したがって、訂正事項5のうち上記訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(ウ)訂正事項5のうち、本件訂正前の「複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること」を「この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること」とする訂正は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じる対象が明確でなかった本件訂正前の発明特定事項を、「この台本」が禁止の対象であることを明確にする訂正であって、本件訂正前の請求項5に係る発明が解決しようとする課題からして「台本」が禁止の対象であったことは明らかであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5における、本件訂正前の請求項5の発明特定事項を明確にする訂正は、不明瞭な記載を明瞭な記載に改めたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項5のうち、「該製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷された台本となし」の箇所は、本件特許明細書の「【0044】 実施例2において、図4は、実施例2の説明図で表紙の表紙表面見返し13と表紙裏面見返し14を開いた状態を示す説明図、図5は台本の本身背部10と表紙裏面背巾部12を接着材で貼着した状態を示す説明図である。・・・2は表紙、12は表紙裏面背巾部、13は表紙表面見返し、14は表紙裏面見返しで表紙の内部側を示しており、・・・くるみ工程で台本の本身8を覆う表紙表面見返し13、表紙裏面見返し14、表紙裏面背巾部12には、通し番号20a、20b、20c・・・が連続的に印刷されており、それらは、前記表紙裏面背巾部12に印刷された通し番号16に対して繰り返されたパターン状のデザインとして印刷されている。そして、通し番号20a、20b、20c・・・は表紙裏面背巾部12を中心に配列して表紙裏見返し14から表紙表面見返し13に亘り全面的に印刷されており、該通し番号20a、20b、20c・・・は目立たなく薄色印刷や中抜き文字、又は、書き換えの難しいデザイン文字等で構成され印刷している。」との記載に基づく訂正である。
(イ)訂正事項5のうち、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされて」いるとの箇所は、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
(ウ)したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項5に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6のうち、「台本」の「表紙」について、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」を「印刷」したものに限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6における、本件訂正前の請求項6の発明特定事項をより限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件特許明細書の記載に基づく訂正である。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、本件訂正前の全ての請求項1ないし6について特許異議申立てがされているので、本件訂正前の請求項6に係る訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
5 まとめ
以上のとおり、令和6年7月8日に特許権者が行った本件訂正は、訂正事項1ないし4及び訂正事項6に関して特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、訂正事項5に関して同条同項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、訂正事項1ないし6は、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、請求項1ないし6について訂正を認める。
第3 訂正後の本件訂正特許発明
上記第2で検討したとおり、請求項1ないし6に係る訂正を認めることができるから、請求項1ないし6に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、訂正後の請求項1ないし6に係る発明を、それぞれ「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明6」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。)。
「【請求項1】
折丁をページ順に揃えて丁合し無線綴じ、平綴じ等にて冊子として製本される台本の本身を有し、
該台本の本身における台本の綴じ部側を包み込む表紙を製作して本身の背部と表紙裏面背巾部を貼着して製本するくるみ工程において、
該表紙裏面背巾部側の天地間には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返し連続した形で帯状に印刷し、
該印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする転売防止機能の付いた台本。
【請求項2】
前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷し、
該印刷された通し番号部分は糊代として本身の背部と表紙襄面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1に記載の転売防止機能の付いた台本。
【請求項3】
前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成の製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転売防止機能の付いた台本。
【請求項4】
前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ印刷されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には表紙裏面背巾部を中心に配列して表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に繰り返し印刷されたパターン状のデザイン通し番号が印刷されている台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は撃察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。
【請求項5】
前記表紙裏面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている製本物となし、
該製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷された台本となし、
該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与されたものを特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本をもちこまれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。
【請求項6】
前記表紙表面背巾部には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を印刷しており、
該印刷された通し番号部分を有する表紙裏面背巾部と本身の背部は接着剤にて貼着されており、
前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成となし、
該構成に併用して製本物の表紙の内部側には前記表紙裏面背巾部に印刷されたた通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている構成の製本物において、
該製本物に印刷される夫々の通し番号に印刷はバリアブル印刷により行われ製本物の冊子ごとに異なる通し番号とする構成となし、
該構成に併用して、前記製本物の台本は表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述の印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の転売防止機能の付いた台本。」
第4 取消理由の概要
令和6年5月7日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)のうち、「取消理由2(進歩性欠如)」の概要は以下のとおりである。
取消理由2(進歩性)請求項1乃至6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第5 当審の判断
1 取消理由2(進歩性)について
(1)各甲号証
ア 甲第9号証(以下、「甲9」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第9号証に記載された事項
甲第9号証受注伝票(受注番号1709-0931)は、上段、中段、下段の3段から構成され、さらに上段、中段、下段の各段は、上段は左欄・右欄の2つの表から、中段は1つの表から、下段は左欄・中欄・右欄の3つの表から構成されているところ、各表には、以下の事項が記載されている。
a.「受注伝票」(上段左欄1行)
b.「(株)光和インターナショナル」(上段左欄4行「請求先」)
c.「殺人の門」(上段左欄5行「タイトル」)
d.「17/10/02(月)|12:00」(上段右欄2行「納品日」)
e.「納品先」「(株)光和インターナショナル」について「納品日」「10/02」、「納品時間」「12:00」、「部数」「79」、「ナンバリング」「001~079」(中段3行)
f.「表1右下バリアブルナンバリング」(下段右欄「備考」1行)
g.「表2、3クローズドナンバリング」(下段右欄「備考」2行)
h.「※光和インターナショナル宛ての台本は、必ず納品書をつけてください。(分納分の納品書も、光和宛てにもっていくこと)」(下段右欄「備考」3~6行)
i.「準備稿」(上段右欄4行「種別」)
(イ)甲第9号証から把握できる事項
上記(ア)より、以下の事項が把握できる。
a.甲第9号証は、タイトル「殺人の門」の台本の印刷の受注伝票であること。
b.2017年10月2日月曜日に、当該台本が印刷され、納品されていたこと。
c.当該台本の表表紙外側面の右下にバリアブルナンバリングがなされていること。
d.当該台本の表表紙の内側面(見返し)及び裏表紙の内側面(見返し)にクローズドナンバリングがなされていること。
イ 甲第10号証(以下、「甲10」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第10号証(殺人の門 台本(準備稿)表紙の入稿用データの印刷物(表裏))に記載された事項
a.「殺人の門」(表1中央)
b.「NO.001」(表1右下)
c.「準備稿」(表1左下)
d.「注意!(四角囲い)
映画台本は、映画制作目的で使用するためにのみ貸与されていますので、他人に譲渡したり販売したりしてはいけません。著作権侵害となる恐れがあります。」(表4右下)
e.「数字『001』が縦3列横19行記載」(表2と表3との間の天地間)
(イ)甲第10号証から把握できる事項
a.タイトル「殺人の門」の台本の印刷のための準備稿であること。
b.当該台本は、表紙(表1~表4)を備えること。
ウ 甲第19号証(以下、「甲19」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第19号証に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「(株)光和インターナショナル 岡田様」(左上四角囲い)
c.「2017年11月01日」(右上部)
d.「納入日:10/02、受注No:1709-0931、品名:殺人の門 準備稿、総額:108,000」
エ 甲第20号証(以下、「甲20」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第20号証に記載された事項
a.「普通預金」(中央上部)
b.「30-2-13 振込 カ)コウワインターナシヨナ(お取引内容) 108,000(お預り金額(円)) *22,064,319」
オ 甲第9号証及び甲第10号証に記載された事項の公然実施日について
(ア)甲9の台本のタイトル、甲10の台本のタイトル及び甲19の品名はいずれも「殺人の門」との記載で一致する。
(イ)甲9の種別、甲10表1左下の記載及び甲19の品名はいずれも「準備稿」との記載で一致する。
(ウ)甲9の受注番号及び甲19の受注Noはいずれも「1709-0931」との記載で一致する。
(エ)一般に、売上伝票における左上四角囲い中の「様」との敬称が付された名称は、売上伝票の支払い者名であるから、甲9の請求先及び甲19の左上四角囲いは「請求先」である「(株)光和インターナショナル」との記載で一致する。
(オ)甲9の納品日及び甲19の納入日はいずれも「10/02」との記載で一致する。
(カ)甲19の総額及び甲20のお預り金額はいずれも「108,000」の記載で一致する。
(キ)甲19は、株式会社三交社の売上伝票であるところ、請求先が本件異議申立事件の第三者である「(株)光和インターナショナル 岡田様」であること、甲20は、預金通帳の写しであることから、いずれも信用に足る書証であると認める。
(ク)してみると、甲9の受注伝票のタイトルであり及び甲10に示された、タイトル「殺人の門」の台本が2017年10月2日月曜日に(株)光和インターナショナルに納品されていた、すなわち、公然実施されていたと認める。
カ 公然実施発明1
(ア)上記ア(イ)c及びイ(ア)bからすると、表1右下の「NO.001」はバリアブルナンバリングとして記載されたものであるといえる。
(イ)上記ア(イ)d、イ(ア)b及びeからすると、表2と表3との間の天地間の数字「001」はクローズドナンバリングであって、かつ、表1右下の「NO.001」と同じバリアブルナンバリングとして記載されたものであるといえる。
(ウ)上記オの通りであるから、タイトル「殺人の門」の台本は遅くとも、2017年10月2日には、印刷され納品、すなわち公然実施されていたと認められる。
そうすると、甲第9号証及び甲第10号証から、以下の公然実施発明(以下「公然実施発明1」という。)が認められる。
「表紙(表1~表4)を備えるタイトル「殺人の門」の台本であって、
表1右下には、バリアブルナンバリングとして「NO.001」が記載され、
表4右下には、「注意!(四角囲い) 映画台本は、映画制作目的で使用するためにのみ貸与されていますので、他人に譲渡したり販売したりしてはいけません。著作権侵害となる恐れがあります。」と記載され、
表2と表3との間の天地間には、クローズドナンバリングであって、かつ、表1右下のバリアブルナンバリングと同じ「NO.001」が縦3列横19行記載されている、台本。」
キ 甲第5号証(以下、「甲5」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第5号証(母になる #10 複製台本写真)に記載された事項
a.「母になる」(表紙(表1)左下から右上にかけて)及び「数字『10』」(表紙(表1)左上)
b.「数字『324』が横書きに9行」(見返し(表2)左側)
c.「数字『324』が横書きに10行」(表紙裏面(表3)右側)
d.「2017.6.14(WED)22:00~」(裏表紙(表4)中央)
e.「この台本は非売品であり、番組制作を目的として貸与されたものです。番組制作に関係のない第三者に譲渡・転売・オークションに出品するなど上記目的以外の一切の使用を厳禁します。またこれらの行為を行った場合、刑事罰が課せられる可能性があります。」(裏表紙(表4))
f.「数字『324』が横書きに1行」(裏表紙(表4)右側)
(イ)甲第5号証から把握できる事項
上記(ア)より、以下の事項が把握できる。
a.タイトル「母になる」の台本であること。
b.当該台本は、表紙(表1)、見返し(表2)、表紙裏面(表3)及び裏表紙(表4)を備えること。
ク 甲第6号証(以下、「甲6」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第6号証に記載された事項
甲第6号証(受注伝票(受注番号1706-0096))は、上段、中段、下段の3段から構成され、さらに上段、中段、下段の各段は、上段は左欄・右欄の2つの表から、中段は1つの表から、下段は左欄・中欄・右欄の3つの表から構成されているところ、各表には、以下の事項が記載されている。
a.「受注伝票」(上段左欄1行)
b.「日本テレビ放送網(株)」(上段左欄4行「請求先」)
c.「母になる #10 NTV4月期 水曜ドラマ」(上段左欄「タイトル」行)
d.「17/06/05(月)|05:30」(上段右欄2行「納品日」
g.「表4右下・表2~3背部分バリアブルナンバリング」(下段右欄「備考」1~3行)
h.「(※表2と表3はバリアブルのナンバリングのみです。文面・絵等ありません)」(下段右欄「備考」4~5行)
(イ)甲第6号証から把握できる事項
上記(ア)より、以下の事項が把握できる。
a.甲第6号証は、タイトル「母になる #10 NTV4月期 水曜ドラマ」の台本の印刷の受注伝票であること。
b.2017年6月5日月曜日には、当該台本が印刷され、納品されていたこと。
c.当該台本の裏表紙外側面の右下にバリアブルナンバリングがなされていること。
d.当該台本の表表紙の内側面(見返し)及び裏表紙の内側面(見返し)の背部分にバリアブルナンバリングがなされていること。
ケ 甲第21号証の1(以下、「甲21の1」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第21号証の1に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「日本テレビ放送網(株) 制作局 櫨山 裕子 様」(左上四角囲い)
c.「2017年06月10日」(右上部)
d.「受注No:1706-0096、品名:母になる #10、総額:216,000」
コ 甲第21号証の2(以下、「甲21の2」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第21号証の2に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「日本テレビ放送網(株) 制作局 倉田 忠明 様」(左上四角囲い)
c.「2017年06月30日」(右上部)
d.「総額:246,240」
サ 甲第21号証の3(以下、「甲21の3」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第21号証の3に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「日本テレビ放送網(株) 制作局 廣瀬 由紀子 様」(左上四角囲い)
c.「2017年06月30日」(右上部)
d.「総額:432,000」
シ 甲第21号証の4(以下、「甲21の4」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第21号証の4に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「日本テレビ放送網(株) 制作局 吉村 彰人 様」(左上四角囲い)
c.「2017年06月30日」(右上部)
d.「総額:172,800」
ス 甲第21号証の5(以下、「甲21の5」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第21号証の5に記載された事項
a.「売上伝票 株式会社三交社」(中央上部)
b.「日本テレビ放送網(株) 森 雅弘 様」(左上四角囲い)
c.「2017年06月30日」(右上部)
d.「総額:730,080」
セ 甲第22号証(以下、「甲22」と略して表記する場合もある。)
(ア)甲第22号証に記載された事項
a.「普通預金」(右上部)
b.「29-8-31 振込2 ニホンテレビホウソウモ *1,797,120(お預り金額) LT」(2行目)
ソ 甲第5号証及び甲第6号証に記載された事項の公然実施日について
(ア)甲5の台本のタイトル、甲6のタイトル及び甲21の1の品名はいずれも「母になる」との記載で一致する。
(イ)甲5の表紙(表1)左上の数字、甲6のタイトル中の数字及び甲21の1の品名中の数字はいずれも「10」との記載で一致する。
(ウ)甲6の受注番号及び甲21の1の受注Noはいずれも「1706-0096」との記載で一致する。
(エ)一般に、売上伝票における左上四角囲い中の「様」との敬称が付された名称は、売上伝票の支払い者名であるから、甲6の請求先及び甲19の左上四角囲いは「請求先」である「日本テレビ放送網(株)」との記載で一致する。
(オ)甲21の1乃至甲21の5の総額の合計額と甲22のお預り金額はいずれも「1,797,120」の記載で一致する。
(カ)甲21の1乃至甲21の5は、株式会社三交社の売上伝票であるところ、請求先が本件異議申立事件の第三者である「日本テレビ放送網(株)」であること、甲第22号証は、預金通帳の写しであることから、いずれも信用に足る書証であると認める。
(キ)してみると、甲5の複製台本に示され及び甲6の受注伝票のタイトルである「母になる #10 NTV4月期 水曜ドラマ」の台本が2017年6月5日月曜日に日本テレビ放送網(株)に納品されていた、すなわち、公然実施されていたと認める。
タ 公然実施発明2
(ア)上記ク(ア)gからすると、見返し(表2)左側及び表紙裏面(表3)右側の数字「324」はバリアブルナンバリングとして記載されたものであるといえる。
(イ)上記(1)ケの通りであるから、タイトル「母になる #10 NTV4月期 水曜ドラマ」の台本は遅くとも、2017年6月5日月曜日には、印刷され納品、すなわち公然実施されていたと認められる。
そうすると、甲第5号証及び甲第6号証から、以下の公然実施発明(以下「公然実施発明2」という。)が認められる。
「表紙(表1)、見返し(表2)、表紙裏面(表3)及び裏表紙(表4)を備える「母になる #10 NTV4月期 水曜ドラマ」の台本であって、
見返し(表2)左側には、バリアブルナンバリングとして「324」が横書きに9行記載され、
表紙裏面(表3)右側には、バリアブルナンバリングとして「324」が横書きに10行記載され、
裏表紙(表4)中央には、「2017.6.14(WED)22:00~」と記載され、
裏表紙(表4)には、「この台本は非売品であり、番組制作を目的として貸与されたものです。番組制作に関係のない第三者に譲渡・転売・オークションに出品するなど上記目的以外の一切の使用を厳禁します。またこれらの行為を行った場合、刑事罰が課せられる可能性があります。」と記載されている、台本。」
(2)本件訂正特許発明1について
ア 対比
本件訂正特許発明1と公然実施発明1とを対比する。
(ア)後者の「表1」、「表2」、「表3」、「表4」は、それぞれ、冊子(台本)の「表紙表面」、「表紙裏面」、「裏表紙裏面」、「裏表紙表面」を意味することは技術常識である。また、後者のバリアブルナンバリングされた「NO.001」を含む製本物別に変化する番号は、製本物別に配布先の識別記号となる通し番号といえる。すると、後者の「表2と表3との間の天地間」、「クローズドナンバリングであって、かつ、表1右下のバリアブルナンバリングと同じ「NO.001」」は、前者の「表紙裏面背巾部側の天地間」、「製本物別に配布先の識別記号となる通し番号」に相当する。
(イ)折丁をページ順に揃えて丁合して無線綴じ又は平綴じにて綴じることで冊子が製本されること、及び冊子の本身における綴じ部側を包み込む表紙を本身の背部と表紙裏面背巾部を貼着して製本するくるみ工程を経て製本されることは技術常識であるところ、後者の台本も同様に製本されることは明らかである。
(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、後者の「クローズドナンバリング」された箇所が表2と表3の間、すなわち表紙裏面背巾部にあたることが明らかであり、また、後者の「表2と表3との間の天地間」の「NO.001」は、「縦3列横19行」記載されているから、繰り返し連続した形で帯状に印刷されているといえる通し番号であるから、前者の「台本」と後者の「台本」は、ともに「該表紙裏面背巾部側の天地間には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返し連続した形で帯状に印刷」されたものである点で一致する。
(エ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、後者の「クローズドナンバリング」された箇所が本身の背部と糊付けされる糊代になることは明らかであるから、前者の「台本」と後者の「台本」は、ともに「印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着され」て「制作」されている点で一致する。
(オ)後者の台本の表4右下に記載された注意書きは、台本が所持者に貸与されたものであって所有権が貸与されたものに帰属しないこと、貸与された者が他人に譲渡、販売すると著作権違反になる恐れがあることを表示するものであるので、前者の「台本」と後者の「台本」は、ともに「台本の所有権が貸与された者に帰属しておらず、貸与された者が台本の譲渡を禁じる旨の記述の印刷がされている」概念で共通する。
(カ)後者の「台本」は、クローズドナンバリング、かつ、バリアブルナンバリングされて、台本の譲渡を禁じる注意書きがあるから、前者同様に転売防止機能を有する。よって、前者の「台本」と「後者」の台本は、ともに「転売防止機能の付いた台本」である。
したがって、両者は、
[一致点]
「折丁をページ順に揃えて丁合し無線綴じ、平綴じ等にて冊子として製本される台本の本身を有し、
該台本の本身における台本の綴じ部側を包み込む表紙を製作して本身の背部と表紙裏面背巾部を貼着して製本するくるみ工程において、
該表紙裏面背巾部側の天地間には製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返し連続した形で帯状に印刷し、
該印刷した通し番号の繰り返し部分を糊代として前記本身の背部と表紙裏面背巾部を接着剤にて貼着された台本を制作し、
台本の所有権が貸与された者に帰属しておらず、貸与された者が台本の譲渡を禁じる旨の記述の印刷がされている転売防止機能の付いた台本。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
本件訂正特許発明1では、「台本」に、「該台本の表紙表面、または、表紙見返り部に貸与者を特定可能な通し番号の記載があること、及び台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること、並びにこの台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」が印刷されているのに対し、公然実施発明1は、台本が貸与されたものであって、他人に譲渡又は販売すると著作権侵害となる恐れがある旨の注意書きが裏表紙表面に印刷されている点。
イ 判断
相違点1について検討する。
(ア)著作権法に、著作権者が台本等の著作物の複製権、貸与権、譲渡権、公衆送信権を専有することが定められていることは広く知られていた(著作権法(例えば、本件特許出願前の令和2年4月1日に施行された、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十九年法律第四十五号))第21条(複製権)、第23条(公衆送信権)、第26条の2(譲渡権)、第26条の3(貸与権)を参照。)。すると、台本の著作権が貸与された者に帰属しない旨、及び、著作権に基づく禁止事項が既に記載されている、公然実施発明1に特定された文言に基づいて、相違点1の「台本は非売品でその所有権は記載のプロデューサー側に帰属すること、この台本は、複製、貸与、譲渡、公衆送信を禁じること」を台本に記載することは、当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎない。
(イ)古物営業法(例えば、本件特許出願前の令和2年4月1日に施行された、古物営業法の一部を改正する法律(平成三十年法律第二十一号))15条3項に、「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」と定められていたことから、古物商の申告義務は広く知られた事項であった。そして、貸与した者による譲渡及び販売を禁止する文言が印刷されている公然実施発明1において、貸与された者が譲渡及び販売した際に流通経路に介在する可能性が高い古物商に対して注意喚起するために、古物営業法に規定された古物商の申告義務を台本に記載して、その譲渡及び販売防止の実効性を高めることは、当業者が適宜採用し得る設計事項の範疇である。よって、公然実施発明1に特定された文言に基づいて、相違点1の「台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う旨の記述」をすることは、当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎない。
(ウ)バリアブルナンバリングされた、すなわち通し番号が付与された公然実施発明1において、貸与者を特定可能な通し番号が記載されている事実及び当該通し番号が記載された位置を注意書きに含めることは、当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎない。
(エ)したがって、相違点1に係る構成は、周知の著作権法及び古物営業法の規定(以下「周知事項」という。)を考慮すれば、公然実施発明1に基づいて当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎない。
ウ 小括
本件訂正特許発明1は、公然実施発明1及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件訂正特許発明2について
ア 対比
本件訂正特許発明2と公然実施発明1とを対比すると、両者は上記相違点1に加えて、次の点で相違する。
[相違点2]
本件訂正特許発明2の「台本」は、「前記表紙裏面背巾部に印刷される通し番号はその通し番号の数字を交互に裏表反転させて繰り返し表紙裏面背巾部側の天地間に帯状に印刷」されたものであるところ、公然実施発明1の表2と表3との間の天地間に印刷された「NO.001」は交互に裏表反転されていない点。
イ 判断
公然実施発明1において、「表2と表3との間の天地間」に「縦3列横19行」記載された「NO.001」をどのように配列するかは、設計的事項の範疇であるから、「帯状に印刷」する、又は「通し番号の数字を交互に裏表反転させて印刷」して相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜採用し得る設計的事項である。
ウ 上記(2)イを踏まえれば、本件訂正特許発明2は、公然実施発明1及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)本件訂正特許発明3について
ア 対比
本件訂正特許発明3と公然実施発明1とを対比する。
上記(2)ア(エ)で検討したとおり、公然実施発明1は、「クローズドナンバリング」された箇所が本身の背部と糊付けされて「クローズドナンバリング」された「NO.001」が本身の背部及び表紙の背巾部に覆われて外部から隠蔽されることになるので、本件訂正特許発明3の「前記表紙裏面背巾部に印刷された通し番号は製本物の外部から本身の背部や表紙の背巾部に覆われ隠蔽されている構成」を備えているといえる。
すると、両者は上記相違点1に加えて、次の点で相違する。
[相違点3]
本件訂正特許発明3の「台本」は、「製本物は表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザインが印刷されている」ところ、公然実施発明1は、表紙の内部側にパターン場のデザインが印刷されていない点。
イ 判断
公然実施発明2の「見返し(表2)左側」の「バリアブルナンバリングとして「324」」及び「表紙裏面(表3)右側」の「バリアブルナンバリングとして「324」」は、本件訂正特許発明3の「表紙の内部側に製本物別に配布先の識別記号となる通し番号を繰り返したパターン状のデザイン」に相当する。
してみると、公然実施発明1の表2及び表3に、公然実施発明2の「324」の印刷パターンに対応する「バリアブルナンバリング」を適用し、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
ウ 上記(2)イを踏まえれば、本件訂正特許発明2は、公然実施発明1、公然実施発明2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(5)本件訂正特許発明4について
ア 対比
本件訂正特許発明4と公然実施発明1とを対比すると、両者は上記相違点1に加えて、次の点で相違する。
[相違点4]
本件訂正特許発明3の「台本」は、「該構成に併用して製本物の表紙の内部側には表紙裏面背巾部を中心に配列して表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に繰り返し印刷されたパターン状のデザイン通し番号が印刷されている」ところ、公然実施発明1は、表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に繰り返し印刷されたパターン状のデザイン通し番号が印刷されていない点。
イ 判断
上記(4)イを踏まえれば、表紙裏面見返しから表紙表面見返しに亘り全面的に印刷するものとした相違点4に係る構成は、設計的事項の範疇であるから、本件訂正特許発明4は、公然実施発明1及び公然実施発明2の「324」に対応する「バリアブルナンバリング」のパターンを印刷する技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものといえる。
ウ 上記(2)イ、上記(4)イを踏まえれば、本件訂正特許発明2は、公然実施発明1、公然実施発明2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(6)本件訂正特許発明5について
本件訂正特許発明5と公然実施発明1とを対比すると、上記(2)、(4)の検討を踏まえれば、新たな相違点はない。
すると、上記(2)及び(4)を踏まえれば、本件訂正特許発明5は、公然実施発明1、公然実施発明2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(7)本件訂正特許発明6について
本件訂正特許発明6の「該製本物に印刷される夫々の通し番号に印刷はバリアブル印刷により行われ製本物の冊子ごとに異なる通し番号とする構成」について検討する。
公然実施発明の2の「見返し(表2)左側」及び「表紙裏面(表3)右側」の「324」は、バリアブルナンバリングであるから、公然実施発明1に公然実施発明2のバリアブルナンバリング技術を適用した際に、公然実施発明1の「表2と表3との間の天地間」の「クローズドナンバリングであって、かつ、表1右下のバリアブルナンバリングと同じ「NO.001」」と公然実施発明2の「見返し(表2)左側」及び「表紙裏面(表3)右側」の「バリアブルナンバリングとしての「324」」とはバリアブルナンバリングであることからすると、同じ番号となる。
そうすると、本件訂正特許発明6の「該製本物に印刷される夫々の通し番号に印刷はバリアブル印刷により行われ製本物の冊子ごとに異なる通し番号とする構成」は、公然実施発明1に公然実施発明2の「バリアブルナンバリング」技術を採用することにより、当業者が容易に想到し得るものといえる。
上記(2)イ及び(4)イを踏まえれば、本件訂正特許発明6は、公然実施発明1、公然実施発明2及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 特許権者の主張について
特許権者は、令和6年7月8日に提出した意見書において、以下のとおり主張されているので、主張ごとに検討する。
(1)主張1
ア 「然しながら、上記甲第10号証は、公然実施例として、「表2と表3との間の天地間」に「NO.001」が背巾部を横切る形状で横3列に記載されている印刷構成で、前記、横3列が、表2と表3との間の天地間に19個印刷されている構成であることは理解できるが、それ以上のものではない。 そして、このことは、後で検討する印刷構成の同じ甲第5号証の記載において、 『b.「数字『324』が横書きに9行」(見返し(表2)左側) c.「数字『324』が横書きに9行」(見返し(表3)右側))』 とあることからも明らかである。 而して、甲第10号証には、発明の目的、発明の効果を示す記載が全くないこともあり、証拠の拡大解釈は不可能で、甲第10号証により「NO.001」の印刷構成が、「繰り返し連続した形で帯状に印刷されている」との構成となると、これは、都合の良い拡大解釈と言わざるを得ない。」(スペースは改行を示す。以下同じ。)(第9ページ第10行ないし同ページ第21行)
イ しかしながら、甲第9号証及び甲第10号証に、明示的に「発明の目的」、「発明の効果」の記載がないとしても、上記1(2)ア(ア)及び(ウ)で検討したとおり、バリアブルナンバリングかつクローズドナンバリングされる値である「NO.001」が表2と表3との間の天地間に縦3列横19行印刷されている構成が開示されていると認められ、「NO.001」が天地間に縦3列横19行印刷された形態は「繰り返し連続した形で帯状に印際された」構成とみることができるから、この点は相違点とはいえない。
(2)主張2
ア 「即ち、甲第10号証の表4右下には、・・・甲第5号証においては、台本の裏表紙下部に・・・と云う従来の印刷構成の記述例が記載されている。・・・然しながら、上記、開示された従来の台本に印刷される印刷構成においては、「だから、どうしたら良いのか。」等、素朴な疑問に答えておらず、結果的には著作権法を意識した「注意喚起」にとどまる印刷構成であると言わざるを得ない。 而して、本件訂正請求項1と従来の注意喚起の印刷構成を比較すると、従来の注意喚起による印刷構成は、転売防止機能を構成しているものではなく、本件訂正請求項1おける印刷構成とは、大いに異なるものであると言える。・・・、特に、訂正請求項1における警告文では、「この台本を持ち込まれた古物商は警察官への申告義務を負う」と云う買受側の即行動や即実施可能な指針や警告を示しており、その場での即、対応を促す新しい警告文の印刷構成であり、これが訂正請求項1における第二の新規な転売防止機能の二つ目を構成しているものです。」(第10ページ第9行ないし第11ページ第17行)
イ 上記1(2)イにおいて説示したとおり、本件訂正特許発明に特定された警告文の文言は、当業者が周知事項に基づいて容易に想起し得る程度の文言にすぎず、その効果も、上記周知事項の規定から予測できる程度のものにすぎない。
(3)主張3
ア 「また、甲第9号証や甲第10号証等からなる公然実施発明1は、「発明の目的」や「発明の効果」を想起するための要件の記載が全くなく、上記、発明の構成のみの比較において差異がある部分は、推測により押しなべてしまって、全ての点で一致するとした見解は、当を得ていないもので、本件訂正請求項1の発明は、甲第9号証や甲第10号証等からなる公然実施発明1に記載された発明ではない。」(第12ページ第7行ないし同ページ第12行)
イ 上記(1)で述べたとおり、甲第9号証及び甲第10号証に「発明の目的」や「発明の効果」の明記がないとしても、上記1(2)イで検討したとおり相違点1の事項は当業者が周知事項に基づいて容易に想到し得る程度の差異でしかなく、その転売防止の効果も、公然実施発明1、公然実施発明2及び周知事項から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
(4)上記(1)ないし(3)のとおり、特許権者の主張は採用できない。
第6 むすび
上記第2のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第7093817号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲〔1-6〕のとおり訂正することを認める。
上記第5のとおり、請求項1ないし6に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701268