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特許異議申立

2023-700214

染毛料組成物

審判番号
2023-700214
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-236973
登録番号
7125753
請求日
2023年02月24日
審決日
2023年04月28日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】日本メナード化粧品株式会社
  • 【異議申立人】丸野 悟史
審判長/審判官
  • 審判長 阪野 誠司
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 冨永 保
分類
P1651.121-Y (A61K) / P1651.536-Y (A61K) / P1651.537-Y (A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第2条第3項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7125753号発明「染毛料組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7125753号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7125753号の請求項1~4に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年12月19日の出願であって、令和4年8月17日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日にその特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1~4に係る特許に対し、令和5年2月24日に丸野悟史(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~4に係る発明は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件発明1」などと、また、これらを合わせて「本件発明」ということがある。)である。 「【請求項1】 次の成分(a)~(d) (a)0.5~2.0重量%のHC青2及び/又は0.05~0.5重量%のHC黄4 (b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400 (c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリド (d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテル を含有し、染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下であることを特徴とする染毛料組成物。 【請求項2】 成分(b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400の含有量が1.0~5.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の染毛料組成物。 【請求項3】 成分(c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリドの含有量が0.5~2.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の染毛料組成物。 【請求項4】 成分(d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテルの含有量が1.0~4.0重量%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の染毛料組成物。」 第3 特許異議申立人が申し立てた理由の概要 特許異議申立人が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。 [理由1]本件発明1~4は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第1~5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 記 甲第1号証:特開2006-206488号公報(以下「甲1」ともいう。) 甲第2号証:特開2017-206483号公報(以下「甲2」ともいう。) 甲第3号証:特許第6095751号公報(以下「甲3」ともいう。) 甲第4号証:特開昭55-142780号公報(以下「甲4」ともいう。) 甲第5号証:特開2000-128750号公報(以下「甲5」ともいう。) [理由2]本件請求項1~4に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合しない。 よって、本件請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 [理由3]本件請求項1~4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合しない。 よって、本件請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 理由2及び3に共通する具体的な理由の概要は以下の(A)及び(B)のとおりである。 (A)本件発明の課題は、「塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有する染毛料組成物を提供する」ことである(本特許明細書の段落0008)のに対し、実施例において、結晶生成を認めた場合に、その分析を行っていない。実施例に係る染毛料組成物からみて、生成する結晶は塩基性茶16及び/又はHC染料であり、HC染料としてはHC青2、HC黄4及びHC青15の内の1種以上であると推定されるが、生成した結晶の少なくとも大部分がHC青2及び/又はHC黄4であり、HC青15や塩基性染料ではないと信じるべき根拠は本件明細書のどこにも示されていない。 したがって、本件発明の効果が実施例、比較例によって実証されていない。 (B)本件発明1では、「塩基性染料の含有量が0.2重量%以下である」ことが規定されているが、本件明細書に記載の全ての実施例及び比較例において、塩基性染料は一律に0.1重量%配合されており、例えば塩基性染料の含有量が0.15~0.2重量%程度の場合の本件発明の効果は不明である。 第4 当審合議体の判断 当審合議体は、本件請求項1~4に係る特許は、特許異議申立人が申し立てた理由により取り消すべきものではないと判断する。 理由は以下のとおりである。 1 理由1について (1)甲1~5について ア 甲1~5の記載事項 甲1: 1a)「【請求項1】 (1)カチオン性界面活性剤、 (2)HC染料、及び (3)リン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、 を含有し、これらが水性媒体に溶解及び/又は分散していることを特徴とする染毛料。」 1b)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の目的は、製品中の経時変色褪色防止効果を有しかつHC染料を1種又は2種以上含む染毛料を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、(1)カチオン性界面活性剤、及び(2)HC染料を含有し、これらが水性媒体に溶解及び/又は分散している染毛料において、リン酸及び/又はそのアルカリ金属塩あるいは、リン酸及び/又はクエン酸及び、アルギニン又はアルカノールアミンを配合することにより、その経時変色褪色防止効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 ・・・ 【0007】 本発明にかかる染毛料に用いられるHC染料としては、ニトロベンゼン系ノニオン性染料が好ましく、特にニトロフェニレンジアミン系ノニオン性染料が好ましい。これらの染料としては、1-アミノ-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HCイエローNo.5)、1-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HCイエローNo.4)、1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCイエローNo.2)、2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロフェノール(HCイエローNo.11)、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-1-メトキシ-4-ニトロベンゼン-塩酸塩(HCイエローNo.9)、4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HCイエローNo.6)、1-クロル-2、4-ビス[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HCイエローNo.10)、1-クロル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロベンゼン(HCイエローNo.12)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HCイエローNo.13)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンゾニトリル(HCイエローNo.14)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンズアミド(HCイエローNo.15)、1-アミノ-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCレッドNo.7)、4-アミノ-2-ニトロ-ジフェニルアミン(HCレッドNo.1)、1-アミノ-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HCレッドNo.13)、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC レッドNo.3)、2-ニトロ-4‘-ヒドロキシジフェニルアミン(HCオレンジNo.1)、1-[(2-アミノエチル)アミノ]-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ニトロベンゼン(HCオレンジNo.2)、4-(2、3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCオレンジNo.3)、1-アミノ-5-クロル-4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCレッドNo.10)、5-クロル-1、4-[ジ(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCレッドNo.11)、7-アミノ-3,4-ジヒドロ-6-ニトロ-2H-1,4-ベンゾキサジン(HCレッドNo.14)、N1,N4,N4-トリス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC ブルーNo.2)、1-アミノ-3-メチル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-6-ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.1)、4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HCブルーNo.12)、4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-メトキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCブルーNo.11)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[メチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCブルーNo.10)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HCブルーNo.9)、1-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.2)、1-メチルアミノ-4-[メチル-(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HCブルーNo.6)、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]-5-ジメチルアミノ-安息香酸(HCブルーNo.13)、2-[(2-アミノエチル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HCオレンジNo.5)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-メチルアミノ-9、10-アンスラキノン(HCブルーNo.8)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HCレッドNo.8)、4-[(4-アミノフェニル)アゾ]-1-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-メチルベンゼン(HCイエローNo.7)等が挙げられ、N1,N4,N4-トリス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC ブルーNo.2)及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン(HC レッドNo.3)が好適である。 これらHC染料は、単独又は二種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、全組成中に0.01~2質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1~0.6質量%である。」 1c)「【0009】 本発明の染毛料においては、上記成分の他にも、保湿剤、アルコール類等の、通常染毛料に配合されるような原料を使用目的に合わせて適宜配合することができる。 保湿剤としては、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸、ラクトース、オリゴ糖等が挙げられ、濃グリセリンが好適である。なお、保湿剤の配合量としては、染毛料あたり1~10質量%が好適であり、3~7質量%がさらに好適である。 高級アルコールを除くアルコール類としては、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール等を配合してもよい。なお、アルコール類の配合量としては、染毛料あたり 0.5~15質量%が好適であり、1~5質量%がさらに好適である。 さらに、本発明の染毛料においては、上記成分の他にも、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物、シルクプロテイン加水分解物、エラスチン加水分解物、大豆蛋白加水分解物等の蛋白質加水分解物及びこれらの四級化塩;フエナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、EDTA及びその塩、パラベン類、スズ酸塩類等の金属イオン封鎖剤及び防腐剤;ポリ(ジメチルアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及び牛脂脂肪酸より得られるタロイルアミンの縮合生成物型であるカチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン、ヤシ油脂肪より得られるココイルアミンの縮合生成物型であるカチオン高分子、ビニルピロリドン、ジメチルアミノメタアクリレート共重合体型カチオン高分子、第4級窒素含有セルロースエーテル型カチオン高分子等のカチオン高分子類を配合することもできる。」 1d)「【実施例】 【0011】 以下、本発明について、具体的な実施例を示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、配合量は特に断らない限り質量%で示す。 ・・・ 【0012】 【表1】 [図:0001398317000001.jpg] 」 1e)「【0015】 (実施例9) 以下、本発明の好適な配合例について説明する。 配合例1 染毛料(一剤型) [図:0001398317000002.jpg] 」 甲2: 2a)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記先行技術の効果は未だ十分ではなく、さらに優れたハリ・コシやボリューム感が求められているのが現状である。 【0006】 そこで、本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、すすぎ時の毛髪の指通りに優れ、乾燥後には毛髪にハリ・コシ感及びボリューム感を与える毛髪化粧料を提供することを目的とする。また、染料を配合したカラーリンス等の毛髪化粧料の場合には、優れた染色性を発揮する毛髪化粧料を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者は鋭意検討の結果、シリコーンパウダー、融点が72℃以上であるマイクロクリスタリンワックス及び/又は融点が83℃以上であるポリエチレンワックス、及びカチオン性ポリマーを、特定の配合量で配合することにより、すすぎ時の毛髪の指通りに優れ、乾燥後には毛髪にハリ・コシ感及びボリューム感を与える毛髪化粧料が得られることを見出し、発明を完成した。」 2b)「【0041】 [成分E:染料] 本発明の毛髪化粧料は、染料(成分E)を含む染毛料であってもよい。成分Eとしては、塩基性染料、HC染料、ニトロ染料、分散染料、天然染料などが挙げられる。中でも、塩基性染料、HC染料が好ましい。成分Eは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。」 2c)「【0046】 本発明の毛髪化粧料は、製剤の安定性と染料の溶解性の観点から、多価アルコールを含有することが好ましい。上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどが挙げられる。本発明の毛髪化粧料100質量%中の、多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、0.5~10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~5.0質量%である。上記多価アルコールの含有量は、本発明の毛髪化粧料中の全ての多価アルコールの含有量の合計量である。」 2d)「【0072】 【表3】 [図:0001398317000003.jpg] 」 甲3: 3a)「【請求項1】 HC染料及び/又は塩基性染料を0.2~1.2質量%、 カチオン界面活性剤を1.0~7.0質量%、 ノニオン界面活性剤を0.5~3.0質量%、 高級アルコールを3.0~10.0質量%、 水を50~97質量%、及び 後発泡剤を1.0~7.0質量%含み、 前記ノニオン界面活性剤は、0.1質量%以上のアミンオキサイドを含む後発泡型染毛組成物。」 3b)「【0023】 カチオン界面活性剤としては、セトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、ジステアリウムジモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ステアリルトリモニウムブロミド、ベヘントリモニウムブロミド等のモノアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせてもちいてもよい。 【0024】 後発泡型染毛組成物におけるカチオン界面活性剤の含有量(配合量)は、1.0~7.0質量%であり、好ましくは1.5~6.0質量%であり、更に好ましくは2.0~5.0質量%である。カチオン界面活性剤の含有量(配合量)が、このような範囲であると、後発泡型染毛組成物の後発泡性、泡持続性、使用性、トリートメント効果等を確保することができる。 ・・・ 【0027】 特に、ノニオン界面活性剤としては、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンセチルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。 ・・・ 【0033】 後発泡型染毛組成物におけるノニオン界面活性剤の含有量(配合量)は、0.5~3.0質量%であり、好ましくは1.0~2.5質量%であり、更に好ましくは1.0~2.0質量%である。ノニオン界面活性剤の含有量(配合量)が、このような範囲であると、後発泡型染毛組成物の後発泡性、泡持続性、使用性、トリートメント効果等を確保することができる。 ・・・ 【0039】 (その他の成分) 後発泡型染毛組成は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各成分以外に、増粘剤、防腐剤、保湿剤、帯電防止剤、乳化安定剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、油脂類、エキス類、溶剤等の他の成分を含んでもよい。 ・・・ 【0042】 保湿剤としては、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類及びその重合体、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10エステル等の水溶性エステル類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、β-グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及び誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、フコイダン、チューベロース多糖体、尿素、ヒドロキシウレア、2-ピロリドン-5-カルボン酸及びそのナトリウム、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、セリン、アラニン、チロシン、β-アラニン、アスパラギン、システイン、シスチン、タウリン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、パルミトイルオリゴペプチド等のアシル化ペプチド類、シリル化ペプチド類、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、アルブミン、乳清、塩化コリン、ホスホリルコリン、胎盤抽出液、エラスチン、コラーゲン、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド及び糖セラミド含有エキス等のセラミド類等が挙げられる。」 甲4: 4a)「ドイツ特許第1811796号明細書によれば、セルロース繊維又はセルロース繊維及び合成繊維の混合物からの繊維材料を染色又は捺染するため分散染料を用いて水性媒質中で操作し、そして水溶性の膨潤剤及び染料溶解剤を使用して水に不溶の分散染料を膨潤したセルロース繊維の内部に導入させることが公知である。水溶性の膨潤剤及び染料溶解剤としては、特にポリエチレングリコール及びその誘導体が用いられる。」(1頁右下欄下から7行~2頁左上欄2行) 4b)「用いられるポリエチレングリコールは、300~5000好ましくは400~1000の範囲の分子量を有する。」(3頁左上欄9~11行) 甲5: 5a)「【請求項1】 水と、ニトロ系染料と、上記ニトロ系染料を上記水に溶解させるためのカチオン界面活性剤とを含むことを特徴とする染毛剤組成物。」 5b)「【0017】ニトロ系染料の配合量としては、0.01重量%ないし5重量%で、このニトロ系染料を水に溶解させるためのカチオン界面活性剤の配合量としては、0.1重量%ないし20重量%が可能である。この中でも、毛髪への適当な染着度を考慮に入れると、適当配合量としては、ニトロ系染料の配合量としては、0.1重量%ないし3重量%で、このニトロ系染料を水に溶解させるために必要なカチオン界面活性剤の配合量としては、0.5量%ないし5.0重量%が適当である。」 5c)「【0023】 【表1】 [図:0001398317000004.jpg] 」 イ 引用発明 甲1には、染毛料についての記載(摘示1a~1e)があるところ、その具体的な配合例である実施例9の配合例1の記載からみて、甲1には、以下の発明が記載されていると認める。 「以下の表で表される配合の染毛料(一剤型)(数値は、質量%)。 [図:0001398317000005.jpg] 」(以下「甲1発明」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)甲1発明の「HCブルーNo.2」は、本件発明1の成分(a)の「HC青2」に相当する。 甲1発明の「塩化ステアリルトリメチルアンモニウム」は、本件発明1の成分(c)の「ステアルトリモニウムクロリド」に相当する。 甲1発明の「ポリオキシエチレンセチルエーテル」は、本件発明1の成分(d)の「ポリオキシエチレンセチルエーテル」である。 甲1発明の「染毛料」は、本件発明1の「染毛料組成物」に相当する。 甲1発明は、甲1発明の染毛料に塩基性染料に該当する成分は配合されていないから、本件発明1の「染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下である」といえる。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、 「次の成分(a)、(c)及び(d) (a)HC青2 (c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリド (d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテル を含有し、染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下であることを特徴とする染毛料組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 成分(a)HC青2の含有量について、本件発明1は「0.5~2.0重量%」であるのに対し、甲1発明は「0.4質量%」である点。 (なお、本件発明1は、HC黄4についても特定しているが、HC黄4は選択的な成分であるので、この点は相違点とはならない。) <相違点2> 本件発明1は、「(b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400」を含有するのに対し、甲1発明は、かかる成分を含有しない点。 上記相違点1及び2について検討する。 (イ)<相違点1>について 甲1発明の「HCブルーNo.2」はHC染料であるところ、甲1には、その配合量について、「全組成中に0.01~2質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1~0.6質量%である」との記載がある(摘示1b、【0007】)。また、甲1と同様に染毛についての記載がある、甲2には、具体的にHC青2を0.60質量%含有する毛髪化粧料が記載され(摘示2a~2d)、同じく甲3には、HC染料を0.2~1.2質量%含有する染毛組成物が記載されている(摘示3a)から、甲1発明において、これらの範囲と重複ないし一致する範囲である「0.5~2.0重量%」の範囲でHC青2(HCブルーNo.2)を含有するものとすることは当業者が容易になし得た事項である。 (ウ)<相違点2>について a 甲1には、染毛料に配合することができる成分について、保湿剤又はその他の成分としてポリエチレングリコールが記載されているが(摘示1c)、特定の分子量のポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400)を配合することについての記載や示唆はない。 染毛に関する記載がある甲2には、製剤の安定性又は溶解性の観点からポリエチレングリコール等の多価アルコールを含有することが好ましいことが記載され(摘示2c)、同じく甲3には、保湿剤としてポリエチレングリコール等を含んでいてもよいことが記載されている(摘示3b、【0042】)が、それらのいずれにも特定の分子量のポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400)を配合することについての記載や示唆はない。 したがって、甲1~3に記載された事項を考慮しても、甲1発明において、ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400を含有するものとすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 b 甲4には、水溶性の膨潤剤及び染料溶解剤を使用して水に不溶の分散染料を膨潤したセルロース繊維の内部に導入させることが公知であること、水溶性の膨潤剤及び染料溶解剤としては、特にポリエチレングリコール及びその誘導体が用いられることが従来技術として記載され(摘示4a)、用いられるポリエチレングリコールは、300~5000好ましくは400~1000の範囲の分子量を有することが記載されている(摘示4b)が、甲4の記載は、セルロース繊維に関するものであって、染毛に関するものではなく、甲1発明並びに甲2及び甲3に記載された事項とは技術分野が異なるから、甲1~甲4に記載された事項を考慮しても、甲1発明に甲4に記載された技術的事項を適用して、甲1発明において、ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400を含有するものとすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。また、何らその契機がない中で、ポリエチレングリコールを、特定の分子量のもの(ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400)とすることが単なる設計的事項であるともいえない。 c 甲5には、ポリエチレングリコールに関する記載は全くない。 d 以上のとおりであるから、甲1~甲5に記載された事項に基づいて、甲1発明において、ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400を含有するものとすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 (エ)本件発明1の効果について 本件発明1は、成分(a)の染料を所定量のものとすること、ポリエチレングリコールを、特定の分子量のもの(ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400)とすることを含む技術的事項を採用することで、塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有するという効果を奏するものであるところ(願書に添付した明細書(「以下「本件明細書」という。)【0013】)、当該効果については具体的に実施例で確認されているから(本件明細書【0042】~【0043】)、本件発明1は、当業者が予測できる範囲を超える顕著な効果を奏するものであるといえる。 (オ)したがって、本件発明1は、甲1~甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1を引用してさらに技術的に限定するものであるから、本件発明1と同様に甲1~甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)まとめ したがって、理由1には理由がない。 2 理由2について (1)はじめに 物の発明における発明の「実施」とは、その物の生産、使用等をする行為をいう(特許法第2条第3項第1号)から、特許法第36条第4項第1号の「その実施をすることができる」(実施可能要件)とは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用できることである。したがって、物の発明については、明細書の発明の詳細な説明の記載又はその示唆及び出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を生産することができ、かつ、その物を使用できるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。 (2)本件明細書の記載 本件明細書には以下の記載がある。 本a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有する染毛料組成物に関する。 ・・・ 【0004】 ・・・ また、HC染料は水に溶けにくいため、HC染料の含有量を増やしていくとHC染料の析出が起こり、毛髪への染色性が向上しないという問題がある。」 本b)「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有する染毛料組成物を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 即ち、本発明は、次の成分(a)~(e) (a)0.5~2.0重量%のHC青2及び/又は0.05~0.5重量%のHC黄4 (b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400 (c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリド (d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテル を含有し、染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下であることを特徴とする染毛料組成物を提供するものである。 【0010】 また、本発明は、(b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400の含有量が1.0~5.0重量%であることを特徴とする染毛料組成物を提供するものである。 【0011】 また、本発明は、(c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリドの含有量が0.5~2.0重量%であることを特徴とする染毛料組成物を提供するものである。 【0012】 また、本発明は、(d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテルの含有量が1.0~4.0重量%であることを特徴とする染毛料組成物を提供するものである。 【発明の効果】 【0013】 本発明の染毛料組成物は、塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有するものである。」 本c)「【0015】 (a)HC青2は、染毛料組成物に通常用いられるものであれば良く、市販品を用いることができ、例えばTMブルーNo.2(癸巳化成株式会社)等を使用することができる。 【0016】 (a)HC青2の含有量は、染毛料組成物全量に対して0.5~2.0重量%である。0.5重量%未満では、毛髪への染色性が低下してしまい、本発明の目的を達成することができない。一方、2.0重量%を超えると、経時安定性が悪くなる。 ・・・ 【0018】 (a)HC黄4は、染毛料組成物に通常用いられるものであれば良く、市販品を用いることができ、例えばTMイエローNo.4(癸巳化成株式会社)等を使用することができる。 【0019】 (a)HC黄4の含有量は、染毛料組成物全量に対して0.05~0.5重量%である。0.05重量%未満では、毛髪への染色性が低下してしまい、本発明の目的を達成することができない。一方、0.5重量%を超えると、経時安定性が悪くなる。 【0020】 本発明における(b)ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400は、エチレングリコールが重合した構造を持つ多価アルコールの一種であり、平均分子量が190~210及び380~420のものを指す。市販品として、例えばPEG#200、PEG#400(日油株式会社)等を使用することができる。 【0021】 (b)ポリエチレングリコール200及び/又はポリエチレングリコール400の含有量は特に限定されないが、(a)HC青2及びHC黄4の溶解性の点から染毛料組成物全量に対して1.0~5.0重量%が好ましい。この範囲において、毛髪への染毛性に特に優れた染毛料組成物を得ることができる。 【0022】 本発明における(c)セトリモニウムクロリド及びステアルトリモニウムクロリドは、四級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤であり、コンディショナーやトリートメント等に通常使用されるものである。 【0023】 (c)セトリモニウムクロリド及びステアルトリモニウムクロリドは、染毛料組成物に通常用いられるものであれば良く、市販品を用いることができ、例えばカチオンPB-300(日油株式会社)、NIKKOL CA-2350E、NIKKOL CA-2450(日光ケミカルズ株式会社)、カチナールSTC-70ET(東邦化学工業株式会社)等を使用することができる。 【0024】 (c)セトリモニウムクロリド及び/又はステアルトリモニウムクロリドの含有量は特に限定されないが、(a)HC青2及びHC黄4の溶解性の点から染毛料組成物全量に対して0.5~2.0重量%が好ましい。この範囲において、毛髪への染毛性に特に優れた染毛料組成物を得ることができる。 ・・・ 【0026】 (d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルは、染毛料組成物に通常用いられるものであれば良く、市販品を用いることができ、例えばNIKKOL BS-2、NIKKOL BC-40(日光ケミカルズ株式会社)等を使用することができる。 【0027】 (d)ポリオキシエチレンセチルエーテル及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテルの含有量は特に限定されないが、染毛料組成物全量に対して1.0~4.0重量%が好ましい。この範囲において、毛髪への染毛性及び経時安定性に特に優れた染毛料組成物を得ることができる。 【0028】 本発明において、塩基性染料を一種以上含有することができるが、皮膚に対する安全性の点から、その含有量は0.2重量%以下である。塩基性染料としては、例えば、塩基性青75、塩基性青99、塩基性茶17、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31、塩基性紫1、塩基性紫3等を含有することができる。 ・・・ 【0031】 本発明の染毛料組成物の剤型は特に限定されず、乳液状及びクリーム状等のいずれでも良いが、毛髪への染色のしやすさの点からクリーム状が好ましい。」 本d)「【実施例】 【0032】 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、含有量については、他に指定のない限り重量%を表す。 【0033】 下記の表1~4に挙げた組成を有する染毛料組成物を調製し、以下に示す方法にて染毛性および経時安定性を評価した。 【0034】 (製造方法) 成分1~9を均一混合し、80℃に加温し水相とする。成分10~13を均一混合し、80℃に加温し油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分14を添加し、30℃にて冷却停止することにより、染毛料組成物を得た。 【0035】 (染毛性の評価) 白髪混じりの人毛毛束(ビューラックス社製、長さ10cm)に、染毛料組成物2gを塗布し、ハケを用いて毛束全体に1分間なじませた。その後、毛束を40℃にて20分間放置し、取り出した後に室温でさらに10分間放置した後、毛束に付着した染毛料組成物をシャンプーにて十分に洗い流し、タオルドライをした後、ドライヤーで十分に乾燥させることにより、染毛後の毛束を得た。下記の基準にて15名の専門パネルにより、毛髪への染色性を良い、悪いの2段階で評価した。 【0036】 (毛髪への染色性の評価) ◎:12名以上が良いと評価した。 ○:8~11名が良いと評価した。 △:4~7名が良いと評価した。 ×:良いと評価した人が3名以下。 【0037】 また、シャンプー処理→タオルドライ→ドライヤー乾燥をさらに3回繰り返した後の毛束を、下記の基準にて15名の専門パネルにより、染毛後の色持ちを良い、悪いの2段階で評価した。 【0038】 (染毛後の色持ち) ◎:12名以上が色持ちが良いと評価した。 ○:8~11名が色持ちが良いと評価した。 △:4~7名が色持ちが良いと評価した。 ×:色持ちが良いと評価した人が3名以下。 【0039】 (経時安定性の評価) 染毛料組成物を4℃及び0℃にそれぞれ1ヶ月間放置した後、目視及び偏光顕微鏡による結晶の有無の観察を行い、下記の基準にて経時安定性を評価した。 ◎:目視及び偏光顕微鏡観察共に結晶が見られない。 ○:目視では結晶が見られないが、偏光顕微鏡観察ではわずかに結晶が見られる。 △:目視では結晶が見られないが、偏光顕微鏡観察では明らかに結晶が見られる。 ×:目視及び偏光顕微鏡観察共に明らかに結晶が見られる。 【0040】 【表1】 [図:0001398317000006.jpg] ※1 TMブルーNo.2(癸巳化成株式会社) ※2 TMイエローNo.4(癸巳化成株式会社) ※3 PEG#200(日油株式会社) ※4 カチオンPB-300(日油株式会社) ※5 NIKKOL BC-40(日光ケミカルズ株式会社) ※6 NIKKOL BS-2(日光ケミカルズ株式会社) 【0041】 表1の実施例1~3に示したように、HC青2を所定量含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例1に示したように、HC青2の含有量が0.5重量%未満では毛髪への染色性において、比較例2に示したように、HC青2の含有量が2.0重量%を超えると経時安定性において、それぞれ満足する結果が得られなかった。また、表1の実施例4~6に示したように、HC黄4を所定量含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例3に示したように、HC黄4の含有量が0.05重量%未満では毛髪への染色性において、比較例4に示したように、HC黄4の含有量が0.5重量%を超えると経時安定性において、それぞれ満足する結果が得られなかった。 【0042】 【表2】 [図:0001398317000007.jpg] ※7 PEG#400(日油株式会社) 【0043】 表2の実施例7~14に示したように、ポリエチレングリコール200又はポリエチレングリコール400を含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。特に、これらの含有量が1.0~5.0重量%を満たす場合、特に優れた結果が得られた。一方、比較例5、6に示したように、ポリエチレングリコール200及びポリオキシエチレングリコール400を含有しない場合、経時安定性において満足する結果が得られなかった。 【0044】 【表3】 [図:0001398317000008.jpg] ※8 カチナールSTC-70ET(東邦化学工業株式会社) 【0045】 表3の実施例15~22に示したように、セトリモニウムクロリド又はステアルトリモニウムクロリドを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。特に、これらの含有量が0.5~2.0重量%を満たす場合、特に優れた結果が得られた。一方、比較例7、8に示したように、セトリモニウムクロリド及びステアルトリモニウムクロリドを含有しない場合、経時安定性において満足する結果が得られなかった。 【0046】 【表4】 [図:0001398317000009.jpg] 【0047】 表4の実施例23~26に示したように、ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。特に、これらの含有量が1.0~4.0重量%を満たす場合、特に優れた結果が得られた。一方、比較例9に示したように、ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルを含有しない場合は経時安定性において、比較例10に示したように、他のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有した場合は染毛後の色持ちにおいて、それぞれ満足する結果が得られなかった。 【0048】 次に、本発明のその他の実施例を示す。いずれにおいても毛髪への染色性、経時安定性に優れていた。 【0049】 (実施例27:乳液状染毛料組成物) (成分) (重量%) (1)HC青2※1 0.5 (2)HC黄4※2 0.3 (3)塩基性茶16 0.05 (4)HC青15 0.05 (5)ポリエチレングリコール400※7 1.0 (6)ヒドロキシエチルセルロース 0.5 (7)防腐剤 適 量 (8)pH調整剤 適 量 (9)精製水 残 余 (10)セトリモニウムクロリド※9 1.0 (11)ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.5 (12)ポリオキシエチレンステアリルエーテル 0.5 (13)ベヘニルアルコール 1.0 (14)ミネラルオイル 2.0 (15)香料 適 量 ※9 NIKKOL CA-2350E(日光ケミカルズ株式会社) 【0050】 (製造方法) 成分(1)~(9)を均一混合して80℃に加温して水相とする。成分(10)~(14)を均一混合して80℃に加温して油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分(15)を添加し、30℃にて冷却停止することにより、乳液状染毛料組成物を得た。 【0051】 (実施例28:クリーム状染毛料組成物) (成分) (重量%) (1)HC青2※1 1.5 (2)HC黄4※2 0.1 (3)塩基性茶16 0.05 (4)HC青16 0.05 (5)ポリエチレングリコール200※3 2.5 (6)ポリエチレングリコール400※7 2.5 (7)ヒドロキシエチルセルロース 0.2 (8)防腐剤 適 量 (9)pH調整剤 適 量 (10)精製水 残 余 (11)セトリモニウムクロリド※9 1.0 (12)ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0 (13)ベヘニルアルコール 4.0 (14)ミネラルオイル 3.0 (15)香料 適 量 【0052】 (製造方法) 成分(1)~(10)を均一混合して80℃に加温して水相とする。成分(11)~(14)を均一混合して80℃に加温して油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分(15)を添加し、30℃にて冷却停止することにより、クリーム状染毛料組成物を得た。」 (3)判断 本件発明1は、成分(a)~(d)を含有し、染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下であることを特徴とする染毛料組成物についてのものであり、かつ、成分(a)の含有量を特定するものであり、本件発明2~4はさらに、順に成分(b)~(d)の含有量を特定するものである。一方、発明の詳細な説明には、成分(a)~(d)として市販品を用いることができる旨及びそれらの含有量についての記載、塩基性染料の含有量についての記載、染毛料組成物の剤型についての記載(以上、摘示本c)、染毛料組成物の具体的な組成、具体的な製造方法、具体的な適用方法についての記載(摘示本d)があるから、物の発明である本件発明について、本件の発明の詳細な説明の記載又はその示唆及び出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を生産することができ、かつ、その物を使用できるといえる。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合する。 (4)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人が主張する上記第3で示した(A)及び(B)の主張は、本件発明の課題が解決できるかどうかや本件発明の効果に関するものであるところ、実施可能要件の判断は上記(1)で述べたとおりに行うものであって、発明の詳細な説明の記載から本件発明の課題が解決できるかどうかや本件発明の効果が確認できるかどうかは実施可能要件を満足するかどうかに直接関係しない。そして、上述のとおり、本件発明は実施可能要件を満足するから、かかる主張は採用できない。 なお、本件発明の課題を解決することや本件発明の効果に関しては、下記3の(3)及び(4)において検討する。 (5)まとめ したがって、理由2には理由がない。 3 理由3について (1)はじめに 特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件(いわゆる「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)発明の詳細な説明の記載 上記2(2)に記載したとおりである。 (3)判断 本件明細書の全ての記載事項からみて、本件発明の解決しようとする課題は、「塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有する染毛料組成物を提供すること」(【0008】)であると認める。 本件発明1は、成分(a)~(d)を含有し、染毛料組成物全量に対して塩基性染料の含有量が0.2重量%以下であることを特徴とする染毛料組成物についてのものであり、かつ、成分(a)の含有量を特定するものであり、本件発明2~4はさらに、順に成分(b)~(d)の含有量を特定するものである。 一方、発明の詳細な説明には、成分(a)~(d)及びそれらの含有量についての記載、塩基性染料の含有量についての記載(以上、摘示本c)、本件発明の染毛料組成物は、塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有するものである旨の記載(摘示本b、【0013】)、染毛料組成物の具体的な組成、具体的な製造方法、具体的な適用方法についての記載(摘示本d)がある。 また、発明の詳細な説明には、成分(a)について、本件発明1で特定される下限未満では、毛髪への染色性が低下してしまい、本発明の目的を達成することができないこと、本件発明1で特定される上限を超えると、経時安定性が悪くなること(摘示本c、【0016】及び【0019】)、成分(b)及び(c)について、HC青2及びHC黄4の溶解性の点から本件発明2及び3の範囲の含有量が好ましく、その範囲において、毛髪への染毛性に特に優れた染毛料組成物を得ることができること(摘示本c、【0021】及び【0024】)、成分(d)について、本件発明4の範囲の含有量が好ましく、その範囲において、毛髪への染毛性及び経時安定性に特に優れた染毛料組成物を得ることができること(摘示本c、【0027】)、塩基性染料について、皮膚に対する安全性の点から、その含有量が本件発明1で特定されるとおりのものであること(摘示本c、【0028】)の記載がある。 さらに、実施例として、本件発明1~4のいずれかに該当する実施例1~26の染毛料組成物について、毛髪への染色性、染毛後の色持ち、経時安定性(4℃又は0℃、1ヶ月)について、良好な結果が得られた旨が記載されている(摘示本d)。 これら発明の詳細な説明の記載からみて、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。 (4)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人が主張する上記第3で示した(A)及び(B)について検討する。 ア (A)について 本件の発明の詳細な説明における実施例では、生成した結晶がHC青2やHC黄4であることを分析した結果は記載されていない。 しかしながら、本件の発明の詳細な説明には、HC染料は水に溶けにくいため、HC染料の含有量を増やしていくとHC染料の析出が起こること(摘示本a、【0004】)、並びにHC青2及びHC黄4の含有量が所定量以上の場合に経時安定性が悪くなること(摘示本c、【0016】及び【0019】)が記載されており、生成した結晶は、塩基性染料とは考え難い。また、実施例では、HC青2又はHC黄4の量を増加させた場合に、経時安定性の評価が低下する傾向が見られること(例えば、実施例2と3との比較、実施例5と6との比較)から、当業者であれば、実施例において生成した結晶は、量を増加させたHC青2又はHC黄4に起因するものであると認識できるといえる。 したがって、本件発明について、当業者は上記課題を解決できると認識できるといえる。 イ (B)について 本件発明の効果は、「塩基性染料の含有量が少ない染毛料組成物においても、HC青2及びHC黄4の析出を防ぎつつ、十分な染毛性を有する」ことと認められるところ(摘示b、【0013】)、本件明細書の記載をみても、実施例における塩基性染料の含有量(0.1重量%)を0.15~0.2重量%程度に増加させた場合に、HC青2及びHC黄4の析出が増加するという理由や、染毛性が減少する理由はいずれも見いだせない。また、そのような出願時の技術常識もないから、上記の場合において、本件発明の効果が奏しないとまではいえない。 したがって、本件発明について、当業者は上記課題を解決できると認識できるといえる。 よって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。 (5)まとめ したがって、理由3には理由がない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、請求項1~4に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によって、取り消すことができない。 また、ほかに請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700214

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