特許異議申立
2023-700189
機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム及びその操作方法
- 審判番号
- 2023-700189
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-162283
- 登録番号
- 7132413
- 請求日
- 2023年02月17日
- 審決日
- 2023年12月08日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日精株式会社
- 【権利者代理人】中島 愼一
- 【異議申立人】福井 義治
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 前川 慎喜
- 審判官 土屋 真理子
- 分類
- P1651.121-YAA(E04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7132413号発明「機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム及びその操作方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7132413号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、4について、訂正することを認める。
特許第7132413号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
特許第7132413号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7132413号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、令和3年9月30日に出願され、令和4年8月29日にその特許権の設定登録がされ、同年9月6日に特許掲載公報が発行され、その後、令和5年2月17日に特許異議申立人福井義治(以下「申立人」という。)より、請求項1ないし4に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた(特許異議申立書について、以下「申立書」という。)。
当審より、令和5年7月31日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、その指定期間内である令和5年9月27日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
同年10月16日付けで当審から申立人に対し、訂正の請求があった旨の通知を行い、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え(特許法120条の5第5項)、その指定期間内である同年11月20日に申立人より意見書(以下「意見書」という。)が提出された。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムであって、
前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得する指紋情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する指紋読取機と、
前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する指紋認証部と、
前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部と、
を有し、
前記指紋読取機は、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われる構成とされ、
前記非接触指紋認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる構成とされる、
機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム。」
と記載されているのを、
「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムであって、
前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得する指紋情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する指紋読取機と、
前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する指紋認証部と、
前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部と、
を有し、
前記指紋読取機は、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われる構成とされ、
前記非接触指紋認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる構成とされ、前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成とされる、
機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム。」
に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法であって、
前記入出庫部の外部に設けられた指紋情報取得部を有する指紋読取機によって利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得するステップと、
前記指紋読取機が有する表示部に、前記利用者に入出庫の操作指示を表示するステップと、
指紋認証部が、前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報によって前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証するステップと、
制御部が、前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行うステップと、
前記指紋読取機が、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われるステップと、
前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って前記非接触指紋認証操作が行われるステップと、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させるステップと、
を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法。」
と記載されているのを、
「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法であって、
前記入出庫部の外部に設けられた指紋情報取得部を有する指紋読取機によって利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得するステップと、
前記指紋読取機が有する表示部に、前記利用者に入出庫の操作指示を表示するステップと、
指紋認証部が、前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報によって前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証するステップと、
制御部が、前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行うステップと、
前記指紋読取機が、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われるステップと、
前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って前記非接触指紋認証操作が行われるステップと、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させるステップと、
前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作されるステップと、
を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法。」
に訂正する。
(4)訂正の単位について
訂正前の請求項2及び3は、訂正前の請求項1を、直接又は間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項1ないし3は、一群の請求項に該当するものであり、訂正前の請求項1ないし3について訂正する訂正事項1及び2は、一群の請求項に対してされたものである。
2 訂正の適否の判断
以下、各訂正事項について、訂正の適否を検討する。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムについて、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成とされる」と特定して限定するものである。
また訂正前の請求項2が請求項1を引用するので、請求項1の訂正により、訂正後の請求項2も同様に限定するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
訂正事項1の、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成とされる」という点は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)に、
「【0009】
第4態様に係る機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムは、・・・前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される。」、
「【0013】
第8態様に係る機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法は、・・・前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記利用者は前記操作盤を用いて操作する。」、
「【0071】
また、指紋読取機30の脇に操作盤26が配置され、利用者が指紋読取機30を利用できない場合に、利用者は操作盤26を用いて操作する。」
等記載されているように、本件明細書等の記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
上記アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項3の訂正は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項4に記載の機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法について、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作されるステップ」を有すると特定して限定するものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
訂正事項3の、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作されるステップ」を有するという点は、本件明細書等に、
「【0009】
第4態様に係る機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムは、・・・前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される。」、
「【0013】
第8態様に係る機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法は、・・・前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記利用者は前記操作盤を用いて操作する。」、
「【0071】
また、指紋読取機30の脇に操作盤26が配置され、利用者が指紋読取機30を利用できない場合に、利用者は操作盤26を用いて操作する。」
等記載されているように、本件明細書等の記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
上記アのとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)独立特許要件について
訂正前の請求項1ないし4が特許異議の申立ての対象とされており、本件訂正において、上記(1)ないし(3)のとおり特許請求の範囲の減縮が行われていても、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1-3〕、4についての訂正を認める。
第3 訂正後の本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、項番号によりそれぞれ「本件訂正発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(下線部は訂正箇所を示す。)
「【請求項1】
車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システムであって、
前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得する指紋情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する指紋読取機と、
前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する指紋認証部と、
前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部と、
を有し、
前記指紋読取機は、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われる構成とされ、
前記非接触指紋認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる構成とされ、前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成とされる、
機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム。
【請求項2】
前記指紋読取機は、筐体と、前記筐体に形成される切欠部と、前記切欠部の上を向く面に設置される指紋情報取得部と、を含んで構成され、前記掌は、前記切欠部の上下方向に間隔を隔てて形成される空間を左右いずれかの側から通過可能な構成とされる、
請求項1に記載の機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法であって、
前記入出庫部の外部に設けられた指紋情報取得部を有する指紋読取機によって利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得するステップと、
前記指紋読取機が有する表示部に、前記利用者に入出庫の操作指示を表示するステップと、
指紋認証部が、前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報によって前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証するステップと、
制御部が、前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行うステップと、
前記指紋読取機が、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われるステップと、
前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って前記非接触指紋認証操作が行われるステップと、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させるステップと、
前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作されるステップと、
を有する機械式駐車装置の非接触指紋認証操作方法。」
第4 証拠一覧、特許異議申立理由の要旨、及び取消理由通知に記載した取消理由の要旨
1 証拠一覧
(1)申立書とともに提出された証拠
(以下、請求人により甲第3~5号証に添付された訳文を「翻訳文」という。)
甲第1号証:特許第6868148号公報
甲第2号証:"非接触の指紋認証技術、1秒で4本を高速読み取り",[online],2020年4月13日,EE Times Japan,アイティメディア株式会社,インターネット
<https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2004/13/news065.html>
甲第3号証:"MorphoWave Compact by IDEMIA: new compact, frictionless access control terminal unveiled at ISC West",[online],2018年4月11日,IDEMIA,インターネット
<https://www.idemia.com/press-release/morphowave-compact-idemia-new-compact-frictionless-access-control-terminal-unveiled-isc-west-2018-04-11>
(及び翻訳文)
甲第4号証:米国特許第10460145号明細書
(及び翻訳文)
甲第5号証:"MorphoWaveTM Compact BY IDEMIA",[online],2019年,IDEMIA,インターネット
<https://pdf.aeroexpo.online/ja/pdf-en/idemia/morphowave-compact/170449-17149.html>
(及び翻訳文)
甲第6号証:特開2017-115364号公報
(2)意見書とともに提出された証拠
甲第7号証:特開2010-195061号公報
甲第8号証:特開2017-53113号公報
甲第9号証:特開2015-31059号公報
甲第10号証:特開2017-179898号公報
甲第11号証:特開2017-57683号公報
甲第12号証:特開2017-89185号公報
甲第13号証:特開2018-123556号公報
甲第14号証:特開2018-3505号公報
甲第15号証:特開2018-96095号公報
甲第16号証:特開2019-143395号公報
甲第17号証:特開2020-117955号公報
2 特許異議申立理由の要旨(進歩性)
申立人が申立書において、
「本件特許発明1-4は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。したがって、本件特許発明は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。」(申立書26頁「(5)結び」)
として、以下のとおり主張している。
「・請求項1-2、4
甲1に記載の発明と周知技術(甲2~甲5)から容易想到。
・請求項3
甲1に記載の発明と甲6に記載されている事項並びに周知技術(甲2~5)から容易想到。」(申立書4頁「理由の要点」)
3 取消理由通知に記載した取消理由の要旨
令和5年7月28日付け取消理由通知に記載した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(進歩性)
本件訂正前の本件特許の請求項1、2及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の本件特許の請求項1、2及び4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第5 証拠について
1 申立書とともに提出された証拠について
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第1号証には、以下の記載がある。
(当審で下線を付与した。以下同様。)
(ア)「【0016】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラムについて、図面を参照して説明する。・・・
【0017】
図1は、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置1の縦断面図である。図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なエレベータ方式のタワー型立体駐車設備であり、入出庫口3と出入口扉4とが設けられた駐車塔5を備えている。駐車塔5の地上階は、車両2を入出庫させる乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。・・・
【0018】
駐車塔5の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(車両搬送手段)が上下に昇降可能に設けられている。・・・
【0019】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17(駐車スペース)が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。
・・・
【0021】
図2は、乗降室7を示す斜視透視図である。外側から見て、出入口扉4の左側に非常用出入口23があり、出入口扉4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、例えば出入口扉4に向かって右側に操作盤22が設けられている。この操作盤22は、例えば、この機械式駐車装置1を利用する利用者や機械式駐車装置1を管理する管理人や保守員により操作される。
操作盤22の近傍には、後述するカメラ35A~35Dによって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのモニタ28が設置されている。なお、モニタ28は、操作盤22に設けられていてもよく、後述するタッチパネル45(図3参照)にリアルタイム画像が表示される構成とされてもよい。
【0022】
乗降室7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、出入口扉4の正面の壁には車両の位置をドライバー(利用者)が確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の案内を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。
【0023】
乗降室7には、内部状況を撮影する4台のカメラ35A~35Dが設置されている。
・・・
【0025】
また、乗降室7の内部、あるいは乗降室7の外部に、機械式駐車装置1の全体の制御を行う駐車場制御装置40が設置されている。」
(イ)「【0026】
図3は、機械式駐車装置1が備える操作盤22の斜視図である。操作盤22は、例えば、風雨からの保護と悪戯防止のために金属製の筐体43に収容されており、この筐体43には施錠可能な蓋44が設けられている。利用者が操作盤22を操作する際には、施錠を解錠して蓋44を開き、操作盤22にアクセスする。なお、例えば利用者が携帯している専用リモコンによって利用者の接近とともに自動的に蓋44の施錠を解錠するようにしてもよい。
【0027】
操作盤22には、タッチパネル45、ICカードリーダ46、利用者に操作方法を音声で案内するためのスピーカ(ガイダンス手段)47、機械式駐車装置1の動作を非常停止させる非常停止ボタン48等が配置される。さらに、操作盤22には、操作盤22の前に人がいるか否かを検知する人感センサが設けられていてもよい。
【0028】
タッチパネル45は、表示機能と入力機能とを兼ね備えている。タッチパネル45には、例えば、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに(ガイダンス手段)、入出庫の操作を利用者に行わせるための操作ボタン(入力手段)等が表示される。タッチパネル45の表示は後述する駐車場制御装置40によって制御され、また、タッチパネル45が利用者等によって操作されることにより入力された情報は、駐車場制御装置40に出力される。
【0029】
ICカードリーダ46は、利用者個人を特定可能な利用者認証情報(以下「利用者ID」という。)が記憶されているICカードから利用者IDを読み取る。なお、ICカードは、予め登録されている利用者、管理人、及び保守業者等が所持するものである。
【0030】
図4は、本実施形態に係る機械式駐車装置1の制御系統の機能ブロック図を示した図である。駐車場制御装置40は、例えば、情報処理装置であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。また、駐車場制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備えている。総合データベース52には、在車状況、パレット形状種別、車両格納棚形状種別、当該機械式駐車装置1の使用を許可されている複数の利用者の識別情報である利用者ID等が格納されている。
また、駐車場制御装置40は、第1のユーザ認証処理が成功した場合に、ユーザ認証が成功した利用者ID(第1認証情報)を記憶する記憶部41を備えている。
・・・
【0033】
駐車場制御装置40は、主制御部50を備えている。主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、出入口扉制御部55、搬送機制御部56、センサ制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59、車両計測制御部61、旋回駆動制御部62等が接続されている。また、主制御部50には、操作盤22が接続されており、双方向通信が可能な構成とされている。
・・・
【0040】
主制御部50は、各制御部55,56,57,58,61,62からのフィードバック、操作盤22からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を運行させる。また、主制御部50は、後述する入庫処理の制御プログラムや出庫処理の制御プログラムを実行して、入庫処理および出庫処理を行い、操作盤22が備えるタッチパネル45の表示制御、ユーザ認証処理、リフト14の呼び出し制御、出入口扉4の開閉制御等を行う。なお、センサ30からのセンサ信号については、上述したセンサ制御部57を介して主制御部50に入力されるのに代えて、直接的に主制御部50に入力されることとしてもよい。このようにすることで、センサ信号に応じたより迅速な制御を実施することが可能となる。」
(ウ)「【0041】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、主制御部50によって実行される入庫処理について図を参照して説明する。図5~図7は、主制御部50によって実行される入庫処理の手順を示したフローチャートである。
【0042】
まず入庫を行う場合、利用者は車両2を入出庫口3の前に移動させ、降車して、操作盤22に向かう。そして、専用の鍵で施錠を解錠し筐体43の蓋44を開ける。主制御部50は、蓋44が開いたことを検知すると(図5のSA1)、操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0043】
利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第1認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される。主制御部50は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証(第1認証)を行う(SA4)。具体的には、主制御部50は総合データベース52にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定する。この結果、第1のユーザ認証が成功しなかった場合には(SA5:NO)、タッチパネル45にユーザ認証に失敗したメッセージを表示させることによりユーザに認証が失敗したことを通知した上で、第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0044】
一方、第1のユーザ認証が成功した場合(SA5:YES)、すなわち、利用者IDが総合データベース52に登録されている場合には、操作盤22のタッチパネル(入力手段)45からの入力操作が可能な操作許可状態とし(SA6:操作許可手段)、第1のユーザ認証が成功した利用者IDを記憶部41に記憶し(SA7)、操作盤22のタッチパネル45に入庫起動確認画面を表示させる(SA8)。
【0045】
入庫起動確認画面には、例えば、「起動させる場合には、ICカードをICカードリーダ46に接触させてください」等のガイダンスが表示される。・・・
入庫起動確認画面において、ICカードリーダ46を介して利用者ID(第4認証情報)が入力されると、入力された利用者IDが主制御部50に入力される(SA9)。主制御部50は、利用者IDを受信すると、受信した利用者IDとステップSA7で記憶部41に記憶した利用者ID(第1認証情報)と照合する(SA10)。この結果、両者が一致しなかった場合は(SA10:NO)、ステップSA7において記憶した利用者IDを消去するとともに(SA11)、操作盤22からの入力を受け付けない操作ロック状態とし(SA12)、ステップSA2に戻り、第1のユーザ認証画面をタッチパネル45に表示させる。
【0046】
一方、ステップSA10において、利用者IDが一致した場合には(SA10:YES)、主制御部50は、リフト14等の車両搬送機構や出入口扉4等の機械機構の運転が可能な運転許可状態とし(SA13:運転許可手段)、車両格納棚17から空パレットを呼び出す指示(呼出処理)を搬送機制御部56(図4参照)に出力する。また、このとき、タッチパネル45に入庫待ちの状態を示す入庫待ち確認画面を表示してもよい。
【0047】
次に、空パレットが乗降室7に到着すると、主制御部50はタッチパネル45に出入口扉4が開くことを示す扉開画面を表示し(SA14)、出入口扉4を開く指示を出入口扉制御部55(図4参照)に出力する。これにより、出入口扉制御部55によって出入口扉4が開かれる。そして、出入口扉4が完全に開くと(図6のSA15)、主制御部50は、機械機構(リフト14等の車両搬送手段や出入口扉4)の運転をロックする運転ロック状態とする(SA16)。
【0048】
続いて、主制御部50は利用者に対して入庫を促す入庫案内画面をタッチパネル45に表示させ(SA17)、更に、操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SA18)。これにより、利用者が操作盤22の前を離れている間における第三者によるタッチパネル45からの入力を阻止することが可能となる。
【0049】
入庫案内画面を確認した利用者は車両2に乗り込み、車両2を乗降室内に移動させ、乗降室内に搬送された空パレットに車両2を載置させると降車し、乗降室7から退出して、操作盤22に戻る。
続いて、主制御部50は、操作盤22のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させる(SA19)。
【0050】
第2のユーザ認証画面を確認した利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第2認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA20)。主制御部50は利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行う(SA21)。第2のユーザ認証(第2認証)では、受信した利用者ID(第2認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するとともに、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが同一か否かを判定する照合処理が行われる。このように、第2のユーザ認証では、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。
【0051】
なお、第2のユーザ認証(第2認証)では、第1のユーザ認証で入力された利用者ID、換言すると、記憶部41に格納されている利用者IDと第2のユーザ認証で入力された利用者IDとの照合処理のみを行ってもよい。第2認証情報が第1認証情報と同一であれば、第2認証情報も予め登録されている利用者IDと解釈でき、操作盤22を操作する権限を有すると判断できるためである。
【0052】
第2のユーザ認証が成功しなかった場合(SA22:NO)、ステップSA19に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証に失敗した旨を通知することとしてもよい。
また、第2のユーザ認証が成功した場合には(SA22:YES)、主制御部50は、操作許可状態とし(SA23:操作許可手段)、主制御部50は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル45に表示させるとともに、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SA24)。図8に、無人確認画面の一画面例を示す。図8に示すように、無人確認画面には、無人確認ボタンBT1及びモニタ28に表示されたリアルタイム画像により乗降室内の無人を確認した上で無人確認ボタンBT1を操作するように利用者を促すガイダンス等が表示される。
【0053】
無人確認画面において、無人確認ボタンBT1が押されると(SA25)、無人確認完了信号が主制御部50に送信される。主制御部50は無人確認完了信号を受信すると、タッチパネル45に最終的な安全確認を行わせる安全確認画面を表示させる(図7のSA26)。
安全確認画面では、例えば、図9に示すように、安全確認ボタンBT3及び目視により乗降室内の無人を確認した上で安全確認ボタンBT3を操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。
【0054】
安全確認画面において、安全確認ボタンBT3が押されると(SA27)、安全確認完了信号が主制御部50に送信される。主制御部50は安全確認完了信号を受信すると、タッチパネル45に第3のユーザ認証画面を表示させる(SA28)。
【0055】
第3のユーザ認証画面を確認した利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第3認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA29)。主制御部50は利用者IDを受信すると第3のユーザ認証を行う(SA30)。第3のユーザ認証(第3認証)では、受信した利用者ID(第3認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するとともに、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第3認証情報とが同一か否かを判定する照合処理が行われる。このように、第3のユーザ認証では、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。
【0056】
また、第3認証処理では、第3認証情報と第1認証情報とを照合する処理に代えて、第3認証情報と第2認証情報とが一致するか否かを照合する処理を行うこととしてもよい。
【0057】
第3のユーザ認証が成功しなかった場合(SA31:NO)、ステップSA28に戻り、第3のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証に失敗した旨を通知することとしてもよい。
また、第3のユーザ認証が成功した場合には(SA31:YES)、主制御部50は、運転許可状態とし(SA32:運転許可手段)、主制御部50は、出入口扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SA33)。図10に閉扉画面の一例を示す。閉扉画面では、例えば、図10に示すように、閉扉ボタンBT5及び乗降室内の無人を再度確認した上で閉扉ボタンBT5を操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。
【0058】
この閉扉画面において、閉扉ボタンBT5が押されると(SA34)、閉扉信号が主制御部50に送信される。主制御部50は、閉扉信号を受信すると、出入口扉制御部55(図4参照)に対して出入口扉4の閉信号を出力する(SA35)。これにより、出入口扉4が出入口扉制御部55によって閉じられる。主制御部50は、出入口扉4の閉動作が完了すると、搬送機制御部56に対して搬送信号を出力する。これにより、車両2を載置したパレットがリフト14によって搬送され車両格納棚17へ格納される。また、主制御部50は、出入口扉4の閉動作が完了すると、操作ロック状態及び運転ロック状態とし(SA36)、記憶部に格納されていた利用者ID(第1認証情報)を消去し(SA37)、入庫処理を終了する。
また、利用者は、出入口扉が完全に閉じられたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて鍵を閉め、操作盤22から離れる。
・・・
【0063】
なお、上述した一連の入庫処理の手順や処理内容については一例であり、適宜処理の追加や省略が可能である。」
(エ)「【0072】
〔変形例9〕
図6のステップSA24、SA25の無人確認については、図6のステップSA19~SA22で行われる一連のユーザ認証処理の前に移動させ、更に、無人確認の入力として、ユーザにICカードをタッチさせ、これによって利用者IDを取得することとしてもよい。
【0073】
図12は、変形例9のフローチャートを示した図である。図12に示すように、ステップSA18において、主制御部50は操作ロック状態とした後に、無人確認画面をタッチパネル45に表示させる(図12のステップSA19´)。この無人確認画面には、例えば、図13に示すように、「モニタで場内の無人を確認し、確認入力として、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。このガイダンスに従い、ユーザは、無人確認を行うと、ICカードをICカードリーダ46に接触させる。
【0074】
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第2認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA20´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行い(SA21´)、第2のユーザ認証が成功しなかった場合は(SA22´:NO)、ステップSA20´に戻り、無人確認入力を再度行わせる。このとき、認証に失敗した旨を通知することとしてもよい。
一方、第2のユーザ認証が成功した場合には(SA22´:YES)、主制御部50は、操作許可状態とし(SA23:操作許可手段)、図7に示したステップSA26に移行し、後続の処理を行う。
・・・
【0076】
〔変形例11〕
図7に示したフローにおいて、ステップSA26、SA27における安全確認処理を省略し、更に、図7のステップSA33、SA34の閉扉画面表示及び閉扉指示の入力を図7のステップSA28~SA31で行われる一連のユーザ認証処理の前に移動させ、加えて、閉扉指示の入力として、ユーザにICカードをタッチさせ、これによって利用者IDを取得することとしてもよい。
【0077】
図14は、変形例11のフローチャートを示した図である。図14に示すように、主制御部50は、図6のステップSA23において操作許可状態とすると、これに続く処理として、閉扉画面をタッチパネル45に表示させる(図14のSA26´)。この閉扉画面には、例えば、図13に例示したのと同様に、「場内の無人を確認し、扉を閉めるために、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。このガイダンスに従い、ユーザは扉を閉めるために、ICカードをICカードリーダ46にタッチさせる。
【0078】
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第3認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA27´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第3のユーザ認証(第3認証)を行い(SA28´)、第3のユーザ認証が成功しなかった場合は(SA29´:NO)、ステップSA27´に戻り、閉扉指示の入力を再度行わせる。このとき、認証に失敗した旨を通知することとしてもよい。
一方、第3のユーザ認証が成功した場合には(SA29´:YES)、主制御部50は、運転可能状態とし(SA32)、閉扉処理を行い(SA35)、後続の処理を行い、処理を終了する。
【0079】
図15は、上記変形例9と変形例11とを組み合わせた場合の操作ロック状態、操作許可状態、運転ロック状態、運転許可状態の遷移を示した図である。図15に示すように、車両を乗降室内に移動させるまでは、図11に示した状態遷移と同様であるため、説明を省略する。図15において、車両の移動が行われた後、無人確認の入力として利用者IDが入力され、この利用者IDを用いて第2認証が行われる。第2認証が成功すると、操作ロック状態から操作許可状態となる。この操作許可状態において、閉扉指示の入力として利用者IDが入力され、この利用者IDを用いて第3認証が行われる。第3認証が成功すると、運転ロック状態から運転許可状態となり、自動的に閉扉処理及び格納処理が行われる。また、閉扉処理の開始とともに、操作許可状態から操作ロック状態となる。そして、閉扉処理及び格納処理が終了すると、運転許可状態から運転ロック状態となり、第1認証が行われる前の状態となる。
【0080】
以上、本実施形態に係る入庫処理及びいくつかの変形例1~11について説明したが、上記変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
また、入庫処理について説明してきたが、出庫処理についても基本的な処理フローは同様である。」
(オ)「【0083】
また、本実施形態において、無人確認、安全確認、閉扉指示等において、ボタン押下による入力操作(例えば、図8~図10参照)をICカードのタッチや音声入力等の非接触での入力操作に変更することにより、ユーザによるボタンへの接触が不要となる。これにより、タッチパネル45への接触を可能な限り低減することができ、タッチパネル45の寿命を長期化させることが可能となる。」
(カ)「【0086】
また、上述した実施形態では、ICカードを用いてユーザ認証を行う場合について説明したが、ユーザ認証の態様についてはこの例に限定されず、例えば、スマートキーやICタグを用いた入力手法や、予め登録した暗証番号をテンキーやタッチパネルから入力する手法等、様々な手法を採用することが可能である。また、生体認証等を用いることとしてもよい。」
(キ)「【0093】
〔他の態様2〕
また、上記他の態様1では、一時的な認証情報を機械式駐車装置側から発行していたが、この一時的な認証情報は、ユーザ自らが入力するような態様としてもよい。例えば、第1のユーザ認証に成功した後に、ユーザに一時的な認証情報を登録するようなガイダンスを行い、このガイダンスに従ってユーザによって一時的な認証情報を入力させるような態様としてもよい。一時的な認証情報として、例えば、パスワード等が挙げられる。
また、ユーザが能動的に一時的な認証情報を入力する場合に代えて、自動的に一時的な認証情報を機械式駐車装置側が取得するような構成としてもよい。この場合の一時的な認証情報は、ユーザの身体的特徴、例えば、声、指紋、虹彩、静脈パターン、顔画像、衣服の色情報等が挙げられる。」
(ク)図面は以下のものである。
a 図1は以下のものである。
[図:0001407821000001.jpg]
b 図2は以下のものである。
[図:0001407821000002.jpg]
[図:0001407821000003.jpg]
c 図3は以下のものである。
[図:0001407821000004.jpg]
[図:0001407821000005.jpg]
d 図4は以下のものである。
[図:0001407821000006.jpg]
[図:0001407821000007.jpg]
e 図5は以下のものである。
[図:0001407821000008.jpg]
f 図6は以下のものである。
[図:0001407821000009.jpg]
g 図7は以下のものである。
[図:0001407821000010.jpg]
h 図8は以下のものである。
[図:0001407821000011.jpg]
i 図9は以下のものである。
[図:0001407821000012.jpg]
j 図10は以下のものである。
[図:0001407821000013.jpg]
k 図11は以下のものである。
[図:0001407821000014.jpg]
[図:0001407821000015.jpg]
l 図12は以下のものである。
[図:0001407821000016.jpg]
m 図13は以下のものである。
[図:0001407821000017.jpg]
n 図14は以下のものである。
[図:0001407821000018.jpg]
o 図15は以下のものである。
[図:0001407821000019.jpg]
[図:0001407821000020.jpg]
イ 上記アより、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」及び「甲1方法発明」という。)および技術事項(以下「甲1記載技術事項」という。)が記載されていると認める。(便宜のために関連する段落番号等を付した。以下同様。)
(甲1発明)
「車両を積載するためのパレット18と、(【0019】)
その内部に、パレット18が配置されるスペースがあり、車両2を入出庫させ、パレットに車両2を載置させる、乗降室7と、を有し、(【0017】、【0022】、【0049】)
乗降室7の外側から見て、出入口扉4に向かって右側に操作盤22が設けられ、この操作盤22は、機械式駐車装置1を利用する利用者により操作されるものであり、(【0021】)
操作盤22には、タッチパネル45、ICカードリーダ46が配置され、(【0027」】
タッチパネル45には、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに(ガイダンス手段)、入出庫の操作を利用者に行わせるための操作ボタン(入力手段)等が表示され、(【0028】)
ICカードリーダ46は、利用者個人を特定可能な利用者認証情報(以下「利用者ID」という。)が記憶されているICカードから利用者IDを読み取るものであり、
なおICカードは、予め登録されている利用者が所持するものであり、(【0029】)
乗降室7には、内部状況を撮影するカメラ35A~35Dが設置され、(【0023】)
カメラ35A~35Dによって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのモニタ28が、操作盤の近傍あるいは操作盤22に設けられ、(【0021】)
乗降室7の内部、あるいは乗降室7の外部に、機械式駐車装置1の全体の制御を行う駐車場制御装置40が設置され、(【0025】)
駐車場制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備え、総合データベース52には、当該機械式駐車装置1の使用を許可されている複数の利用者の識別情報である利用者ID等が格納され、また、駐車場制御装置40は、第1のユーザ認証処理が成功した場合に、ユーザ認証が成功した利用者ID(第1認証情報)を記憶する記憶部41を備え、(【0030】)
駐車場制御装置40は、主制御部50を備え、主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、出入口扉制御部55、搬送機制御部56、センサ制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59、車両計測制御部61、旋回駆動制御部62等が接続され、また、主制御部50には、操作盤22が接続されており、双方向通信が可能な構成とされ、(【0033】)
主制御部50は、各制御部55,56,57,58,61,62からのフィードバック、操作盤22からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を運行させ、また、主制御部50は、入庫処理の制御プログラムや出庫処理の制御プログラムを実行して、入庫処理および出庫処理を行い、操作盤22が備えるタッチパネル45の表示制御、ユーザ認証処理、リフト14の呼び出し制御、出入口扉4の開閉制御等を行うものである、(【0040】)
機械式駐車装置1であって、(【0017】)
入庫時において、主制御部50によって実行される入庫処理の手順のフローの一例は、(【0041】、【0063】)
以下の[ステップSA1~SA37のフロー]のとおりであり、
[ステップSA1~SA37のフロー;
入庫を行う場合、利用者は車両2を入出庫口3の前に移動させ、降車して、操作盤22に向かい、筐体43の蓋44を開ける。主制御部50は、蓋44が開いたことを検知すると(SA1)、操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。(【0042】)
利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第1認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される。主制御部50は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証(第1認証)を行う(SA4)。具体的には、主制御部50は総合データベース52にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定する。
この結果、第1のユーザ認証が成功しなかった場合には(SA5:NO)、タッチパネル45にユーザ認証に失敗したメッセージを表示させることによりユーザに認証が失敗したことを通知した上で、第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。(【0043】)
一方、第1のユーザ認証が成功した場合(SA5:YES)、すなわち、利用者IDが総合データベース52に登録されている場合には、操作盤22のタッチパネル(入力手段)45からの入力操作が可能な操作許可状態とし(SA6:操作許可手段)、第1のユーザ認証が成功した利用者IDを記憶部41に記憶し(SA7)、操作盤22のタッチパネル45に入庫起動確認画面を表示させる(SA8)。入庫起動確認画面には、例えば、「起動させる場合には、ICカードをICカードリーダ46に接触させてください」等のガイダンスが表示される。(【0044】、【0045】)
入庫起動確認画面において、ICカードリーダ46を介して利用者ID(第4認証情報)が入力されると、入力された利用者IDが主制御部50に入力される(SA9)。主制御部50は、利用者IDを受信すると、受信した利用者IDとステップSA7で記憶部41に記憶した利用者ID(第1認証情報)と照合する(SA10)。この結果、両者が一致しなかった場合は(SA10:NO)、ステップSA7において記憶した利用者IDを消去するとともに(SA11)、操作盤22からの入力を受け付けない操作ロック状態とし(SA12)、ステップSA2に戻り、第1のユーザ認証画面をタッチパネル45に表示させる。(【0045】)
一方、ステップSA10において、利用者IDが一致した場合には(SA10:YES)、主制御部50は、リフト14等の車両搬送機構や出入口扉4等の機械機構の運転が可能な運転許可状態とし(SA13:運転許可手段)、車両格納棚17から空パレットを呼び出す指示(呼出処理)を搬送機制御部56に出力する。(【0046】)
次に、空パレットが乗降室7に到着すると、主制御部50はタッチパネル45に出入口扉4が開くことを示す扉開画面を表示し(SA14)、出入口扉4を開く指示を出入口扉制御部55に出力する。これにより、出入口扉制御部55によって出入口扉4が開かれる。そして、出入口扉4が完全に開くと(SA15)、主制御部50は、機械機構(リフト14等の車両搬送手段や出入口扉4)の運転をロックする運転ロック状態とする(SA16)。(【0047】)
続いて、主制御部50は利用者に対して入庫を促す入庫案内画面をタッチパネル45に表示させ(SA17)、更に、操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SA18)。これにより、利用者が操作盤22の前を離れている間における第三者によるタッチパネル45からの入力を阻止することが可能となる。(【0048】)
入庫案内画面を確認した利用者は車両2に乗り込み、車両2を乗降室内に移動させ、乗降室内に搬送された空パレットに車両2を載置させると降車し、乗降室7から退出して、操作盤22に戻る。
続いて、主制御部50は、操作盤22のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させる(SA19)。(【0049】)
第2のユーザ認証画面を確認した利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第2認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA20)。主制御部50は利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行う(SA21)。第2のユーザ認証(第2認証)では、受信した利用者ID(第2認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するとともに、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが同一か否かを判定する照合処理が行われる。このように、第2のユーザ認証では、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。(【0050】)
第2のユーザ認証が成功しなかった場合(SA22:NO)、ステップSA19に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。
また、第2のユーザ認証が成功した場合には(SA22:YES)、主制御部50は、操作許可状態とし(SA23:操作許可手段)、主制御部50は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル45に表示させるとともに、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SA24)。無人確認画面には、無人確認ボタンBT1及びモニタ28に表示されたリアルタイム画像により乗降室内の無人を確認した上で無人確認ボタンBT1を操作するように利用者を促すガイダンス等が表示される。(【0052】)
無人確認画面において、無人確認ボタンBT1が押されると(SA25)、無人確認完了信号が主制御部50に送信される。主制御部50は無人確認完了信号を受信すると、タッチパネル45に最終的な安全確認を行わせる安全確認画面を表示させる(SA26)。
安全確認画面では安全確認ボタンBT3及び目視により乗降室内の無人を確認した上で安全確認ボタンBT3を操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。(【0053】)
安全確認画面において、安全確認ボタンBT3が押されると(SA27)、安全確認完了信号が主制御部50に送信される。主制御部50は安全確認完了信号を受信すると、タッチパネル45に第3のユーザ認証画面を表示させる(SA28)。(【0054】)
第3のユーザ認証画面を確認した利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第3認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA29)。主制御部50は利用者IDを受信すると第3のユーザ認証を行う(SA30)。第3のユーザ認証(第3認証)では、受信した利用者ID(第3認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するとともに、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第3認証情報とが同一か否かを判定する照合処理が行われる。このように、第3のユーザ認証では、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。(【0055】)
第3のユーザ認証が成功しなかった場合(SA31:NO)、ステップSA28に戻り、第3のユーザ認証画面を表示させる。
また、第3のユーザ認証が成功した場合には(SA31:YES)、主制御部50は、運転許可状態とし(SA32:運転許可手段)、主制御部50は、出入口扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SA33)。閉扉画面では、閉扉ボタンBT5及び乗降室内の無人を再度確認した上で閉扉ボタンBT5を操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。(【0057】)
この閉扉画面において、閉扉ボタンBT5が押されると(SA34)、閉扉信号が主制御部50に送信される。主制御部50は、閉扉信号を受信すると、出入口扉制御部55に対して出入口扉4の閉信号を出力する(SA35)。これにより、出入口扉4が出入口扉制御部55によって閉じられる。主制御部50は、出入口扉4の閉動作が完了すると、搬送機制御部56に対して搬送信号を出力する。これにより、車両2を載置したパレットがリフト14によって搬送され車両格納棚17へ格納される。また、主制御部50は、出入口扉4の閉動作が完了すると、操作ロック状態及び運転ロック状態とし(SA36)、記憶部に格納されていた利用者ID(第1認証情報)を消去し(SA37)、入庫処理を終了する。
また、利用者は、出入口扉が完全に閉じられたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて、操作盤22から離れる。(【0058】)]
上述した[ステップSA1~SA37のフロー]の一連の入庫処理の手順や処理内容については一例であり、適宜処理の追加や省略が可能であり、(【0063】)
その変形例9として、
ステップSA24、SA25の無人確認については、ステップSA19~SA22で行われる一連のユーザ認証処理の前に移動させ、更に、無人確認の入力として、ユーザにICカードをタッチさせ、これによって利用者IDを取得することとしてもよく、(【0072】)
その[変形例9のフロー]は以下のとおりであり、(【0073】)
[変形例9のフロー;
ステップSA18において、主制御部50は操作ロック状態とした後に、無人確認画面をタッチパネル45に表示させる(ステップSA19´)。この無人確認画面には、例えば、「モニタで場内の無人を確認し、確認入力として、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。このガイダンスに従い、ユーザは、無人確認を行うと、ICカードをICカードリーダ46に接触させる。(【0073】)
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第2認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA20´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行い(SA21´)、第2のユーザ認証が成功しなかった場合は(SA22´:NO)、ステップSA20´に戻り、無人確認入力を再度行わせる。
一方、第2のユーザ認証が成功した場合には(SA22´:YES)、主制御部50は、操作許可状態とし(SA23:操作許可手段)、ステップSA26に移行し、後続の処理を行う。(【0074】)]
その変形例11として、
ステップSA26、SA27における安全確認処理を省略し、更に、ステップSA33、SA34の閉扉画面表示及び閉扉指示の入力をステップSA28~SA31で行われる一連のユーザ認証処理の前に移動させ、加えて、閉扉指示の入力として、ユーザにICカードをタッチさせ、これによって利用者IDを取得することとしてもよく、(【0076】)
その[変形例11のフロー]は以下のとおりであり、(【0077】)
[変形例11のフロー;
主制御部50は、ステップSA23において操作許可状態とすると、これに続く処理として、閉扉画面をタッチパネル45に表示させる(SA26´)。この閉扉画面には、例えば、「場内の無人を確認し、扉を閉めるために、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。このガイダンスに従い、ユーザは扉を閉めるために、ICカードをICカードリーダ46にタッチさせる。(【0077】)
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第3認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA27´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第3のユーザ認証(第3認証)を行い(SA28´)、第3のユーザ認証が成功しなかった場合は(SA29´:NO)、ステップSA27´に戻り、閉扉指示の入力を再度行わせる。
一方、第3のユーザ認証が成功した場合には(SA29´:YES)、主制御部50は、運転可能状態とし(SA32)、閉扉処理を行い(SA35)、後続の処理を行い、処理を終了する。(【0078】)]
変形例9と変形例11とを組み合わせた場合とすることもでき、(【0079】)
出庫処理についても基本的な処理フローは入庫処理と同様であり、(【0080】)
また、ICカードを用いてのユーザ認証に限定されず、生体認証等を用いることとしてもよい、(【0086】)
機械式駐車装置1。」
(甲1方法発明)
「甲1発明の入出庫制御を行う、機械式駐車装置1の制御方法。」
(甲1記載技術事項)
「認証情報を機械式駐車装置1側が取得するような構成の場合、その認証情報は、ユーザの身体的特徴、例えば、指紋が挙げられること。(【0093】)」
(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第2号証には、以下の記載がある。
(ア)「サッカーの試合入場で実証実験
非接触の指紋認証技術、1秒で4本を高速読み取り
生体認証システムなどの本人確認技術を手掛けるフランスのIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、日本エアロスペース(JAC)とともに、IDEMIAの非接触型指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」の実証実験を日本で行った。
2020年04月13日13時30分公開 [村尾麻悠子,EE Times Japan]
生体認証システムなどの本人確認技術を手掛けるフランスのIDEMIA(アイデミア/日本法人:アイデミア・ジャパン)は、日本エアロスペース(JAC)とともに、IDEMIAの非接触型指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」の実証実験を日本で行った。
MorphoWave Compactは、3D(3次元)指紋認証センサーを使い、手の厚みなども含めて指紋を高速に読み取ることができるデバイスだ。IDEMIAは、同センサーで特許を取得している。手をかざすと、1秒以内に4本の指紋を認証することが可能だ。
IDEMIAとJACは、日本における実証実験の第1弾として、2019年末に開催されたサッカJ2リーグ「アビスパ福岡×鹿児島ユナイテッド」で、試合会場の旧レベルファイブスタジアム(2020年3月からベスト電器スタジアム/福岡市)にMorphoWave Compactを導入。スタジアムヘの入場と飲食物の受け取りという2つの実証実験を行った。
観客は、事前にMorphoWave Compactに指紋を登録しておくことで、非接触の指紋認証のみでスタジアムに入場できた。飲食物の受け取りについては、まずスマートフォンでスタジアム内の売店に飲食物を注文してクレジットカードで決済する。飲食物の用意ができたら、非接触の指紋認証で本人確認を行い、商品を受け取る仕組みだ。これにより、列に並ぶことなく購入できる。
IDEMIAは、2020年から日本市場への参入を強化し、今後も実証実験を行っていく予定だ。
IDEMIAの年間売上高は約30億米ドル。約1万3000人の従業員を抱える。
MorphoWave Compactのような生体認証端末だけでなく、金融カードの製造と発行、SIMカードの製造、身分証明書の電子化など、本人確認に関連する幅広い事業を手掛けている。IDEMIAの技術を導入している分野も、警察から空港、企業まで多岐にわたる。」(全文)
(イ)「IDEMIAの非接触型指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」画像:IDEMIA」として掲載されている写真は、以下のものである。
[図:0001407821000021.jpg]
(ウ)「MorphoWave Compactは、執務室やサーバルーム、ロッカールームなどさまざまな所に設置できる」として掲載されている写真は、以下のものである。
[図:0001407821000022.jpg]
(エ)上記(ア)の記載を踏まえ、上記(イ)、(ウ)の写真から、以下の点が看取できる。
・非接触型指紋認証デバイスは、筐体に、上下方向に間隔を隔て、左右いずれかの側から手が通過可能な空間を形成する切欠部を有するものであること。
・利用者が切欠部内で手を下向きにかざし、指紋を認証するものであること。
・利用者は横方向に手を移動させていること(とくに上記(イ)の写真。)
また、利用者が切欠部内で手を下向きにかざし、指紋を認証するものであることから、指紋認証センサーは、切欠部の上を向く面側に設置されることは自明である。
さらに、上記(イ)の写真から、発光する四角い部分が筐体の最上面に設けられていることが看取でき、技術常識からこれはディスプレイであることは自明である。
イ 上記アより、甲第2号証には、次の技術事項(以下「甲2記載技術事項」という。)が記載されていると認める。
(甲2記載技術事項)
「筐体に、上下方向に間隔を隔て、左右いずれかの側から手が通過可能な空間を形成する切欠部を有し、
指紋認証センサーは、切欠部の上を向く面側に設置され、
利用者は横方向に手を移動させ、切欠部内で手を下向きにかざすと、4本の指紋が認証され、
さらに筐体の最上面にディスプレイが設けられる、
非接触の指紋認証で本人確認を行う、非接触型指紋認証デバイス。」
(3)甲第3号証及び甲第5号証
ア 甲第3号証及び甲第5号証の記載事項
甲第3号証及び甲第5号証には、甲第2号証と同名の、IDEMIAによるMorphoWave Compactというデバイスが記載され、また甲第2号証、甲第3号証及び甲第5号証のそれぞれに記載の製品写真をみても(とくに、上記(2)ア(イ)の写真と下記(ウ)の写真、また下記(イ)の写真と下記(エ)の写真。)、甲第2号証と甲第3号証及び甲第5号証は、同じ会社による同種の製品を開示するものと認められる。
(ア)甲第3号証記載のデバイス写真
[図:0001407821000023.jpg]
(イ)甲第3号証記載のデバイス写真
[図:0001407821000024.jpg]
(ウ)甲第5号証記載のデバイス写真
[図:0001407821000025.jpg]
(エ)甲第5号証記載のデバイス写真
[図:0001407821000026.jpg]
(4)甲第4号証
ア 甲第4号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第4号証には、以下の記載がある。(括弧内に申立人が提出した翻訳文を付した。)
(ア)「With reference to FIGS. 1 and 2, a device for capturing an image of a imprint of a body part 1, called a biometric device below, according to the invention, comprises a structure including a stand 10 surmounted with a screen 12 that extends parallel to a transparent upper face 101 of the stand 10. The upper face 101 and the screen 12 are separated by a distance of a few centimetres (for example 5 cm for the acquisition of imprints of a finger) in order to define, therebetween, a region of free space 14 that is open, here frontally and laterally on its two sides, in order to form a passage for a finger of the user.」(第4欄27~37行)
(「図1及び2を参照すると、本発明による、以下生体認証装置と呼ばれる、身体部位1の跡の画像を取り込むための装置は、スタンド10の透明な上面101に平行に延びるスクリーン12を取り付けたスタンド10を含む構造からなる。上面101とスクリーン12は、その間に、ユーザの指のための通路を形成するために、その2つの側面において、前方および側方に開放されている自由空間14の領域を規定するために、数センチメートル(例えば、指紋の取得のために5センチメートル)の距離で分かれている。」)
(イ)「The acquisition zone 103 is here more precisely at the centre of the region of free space 14 and has a plane that is parallel to the upper face 101. The optical field of the camera 102 is wide enough for the acquisition zone 103 to cover the finger of the user (for example an index finger, a middle finger, a ring finger, a little finger, or a thumb). The camera 102 comprises a sensor, such as a charge-coupled device (CCD) or complementary metal-oxide semiconductor (CMOS) sensor having an acquisition speed that is high enough to allow it to take a clear image of a finger moving through the acquisition zone 103 with a preset maximum speed of movement. The sensor used is for example a “1.3” million pixel sensor with a speed comprised between “60” to “100” images per second. The camera 102 is connected to a processing module 104 to which it transmits the colour images. The processing module 104 is described below with reference to FIG. 7.」(第4欄44~60行)
(「取得ゾーン103は、ここではより正確には自由空間14の領域の中心にあり、上面101に平行な平面を有する。カメラ102の光学フィールドは、取得ゾーン103がユーザの指(例えば人差し指、中指、薬指、小指、または親指)をカバーするのに十分な幅を有する。カメラ102は、予め設定された最大移動速度で取得ゾーン103を移動する指の鮮明な画像を撮影できるように十分に高い取得速度を有する電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサなどのセンサから構成される。使用されるセンサは、例えば、1秒当たり「60」~「100」枚の間で構成される速度を有する「130」万画素のセンサである。カメラ102は、処理モジュール104に接続されており、その処理モジュール104にカラー画像を送信する。処理モジュール104は、図7を参照して以下に説明される。」)
(ウ)「FIG. 4 shows an authenticating or identifying method implemented by the biometric device according to the invention.
The user desiring to be identified (or authenticated) places his finger in the region of free space 4 via one side thereof and moves his finger toward the other side.」(第5欄55~60行)
(「図4は、本発明に係る生体認証装置によって実施される認証方法または識別方法を示す図である。識別(または認証)を希望するユーザは、自由空間4の一方の端部から自由空間4の領域に指を置き、他方の端部に向かって指を移動させる。」)
(エ)図面は以下のものである。
a 図1Aは以下のものである。
[図:0001407821000027.jpg]
b 図1Bは以下のものである。
[図:0001407821000028.jpg]
(カ)上記(イ)の記載を踏まえ、上記(エ)の図1A、図1Bより、以下の事項が看取できる。
・上面101は上を向く面であること、及び、
カメラ102は、上面101側内に設置されること。
・取得ゾーン103は、上下方向でみて、自由空間14内におよぶものであること。
(キ)上記(ウ)の記載を踏まえ、上記(エ)の図1A、図1Bより、以下の事項が看取できる。
・識別(または認証)を希望するユーザが、自由空間4の一方の端部から自由空間4の領域に指を置き、他方の端部に向かって指を移動させることにおいて、
自由空間4の一方の端部から他方の端部に向かっての指の移動とは、生体認証装置に向かって左右横方向の指の移動となること。
イ 上記アより、甲第4号証には、次の技術事項(以下「甲4記載技術事項」という。)が記載されていると認める。
(甲4記載技術事項)
「透明な、上を向く面である上面101に平行に延びるスクリーン12を取り付けスタンド10を有し、((ア)、(カ))
上面101とスクリーン12は、その間に、ユーザの指のための通路を形成するために、その2つの側面において、前方および側方に開放されている自由空間14の領域を規定するために、数センチメートル(例えば、指紋の取得のために5センチメートル)の距離で分かれており、((ア))
取得ゾーン103は、自由空間14の領域の中心にあり、上面101に平行な平面を有し、上下方向でみて、自由空間14内におよぶものであり、
カメラ102は、上面101側内に設置され、
カメラ102の光学フィールドは、取得ゾーン103がユーザの指(例えば人差し指、中指、薬指、小指、または親指)をカバーするのに十分な幅を有し、
カメラ102は、取得ゾーン103を移動する指の鮮明な画像を撮影できるように十分に高い取得速度を有するセンサから構成され、((イ)、(カ))。
識別(または認証)を希望するユーザは、自由空間4の一方の端部から自由空間4の領域に指を置き、他方の端部に向かって指を移動させるものであり、((ウ))
自由空間4の一方の端部から他方の端部に向かっての指の移動とは、生体認証装置に向かって左右横方向の指の移動である、(キ)
生体認証装置。((ア)、(ウ))」
(5)甲第6号証
ア 甲第6号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第6号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0015】
機械式駐車装置内への出入口には、上下方向に移動して開閉される出入口扉1が付設されており、その近傍の外壁面には出入口扉1の開閉操作するための操作盤2が配置されている。
【0016】
利用者が駐車車両の入出庫を行う場合、その利用者は、先ず機械式駐車装置に対して入出庫の開始信号を与える。この入出庫開始信号は、利用者が所持するリモコンによって操作盤2から離れた位置から与えられたり、操作盤2の前に立った利用者によってICカードを読み取らせたり、暗証番号を入力したりする登録者認証操作によって与えられたり、その他の方法によって与えられたりする。
【0017】
いずれの方法で入出庫開始信号が与えられる場合でも、入庫を行おうとする利用者は、操作盤2の前に立って詳細を後述する利用者同一性判定第一処理を受ける。この利用者同一性判定第一処理の後に詳細を後述する出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を開状態にし、その後、利用者は、駐車車両を運転して出入口扉1の向こう側に形成されている乗降室に入って駐車車両を所定の位置に停車させる。その後、利用者は乗降室から出てきて再び操作盤2の前に立ち詳細を後述する利用者同一性判定第二処理を受ける。利用者同一性判定第一処理および利用者同一性判定第二処理を受けた利用者が同一と判定されたとき出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を閉状態にして一連の処理を完了させる。
【0018】
出庫の場合も同様であって、出庫を行おうとする利用者は、操作盤2の前に立って詳細を後述する利用者同一性判定第一処理を受ける。この利用者同一性判定第一処理の後に詳細を後述する出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を開状態にし、その後、利用者は、出入口扉1の向こう側に形成されている乗降室に入って既に準備されている駐車車両に乗り込み、それを運転して出入口扉1を出た位置で車両を一旦停止させる。その後、利用者は再び操作盤2の前に立ち詳細を後述する利用者同一性判定第二処理を受ける。利用者同一性判定第一処理および利用者同一性判定第二処理を受けた利用者が同一と判定されたとき出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を閉状態にして一連の処理を完了させる。
【0019】
次の説明では、操作盤2の前に立った利用者によってICカードなどの記憶媒体を読み取らせて行う登録者認証操作が入出庫開始信号となる実施例について説明する。・・・
【0020】
操作盤2は、利用者に対して表示画面によって操作を促すタッチパネル式の液晶画面3と、その操作を補足する音声案内を行うためのスピーカ4と、主に管理員などによって出入口扉1を開動作させるときに操作される出入口扉開ボタン5と、出入口扉1を閉動作させるために利用者によっても操作される出入口扉閉ボタン6と、緊急時に操作される緊急停止ボタン7と、利用者が予め所持しているICカードなどの記憶媒体から識別データを読み取る読み取り部8などを有している。
・・・
【0024】
ICカードなどの記憶媒体22には、予め利用者毎に割り当てられた認証番号などの識別データを記憶された読み込み専用の認証データエリア23の他に、読み込みおよび書き込み可能な発行コードエリア24を有している。詳細は後述するが、登録者認証操作に関連して今回利用者同一性判定第一処理部11によって今回の入出庫操作のみに有効となるコードが発行され、それが発行データエリア24に書き込まれる。その後、発行データエリア24に書き込まれたコードは、今回利用者同一性判定第二処理部16により出入口扉1を閉じようとしている利用者が登録者認証操作を行った利用者と一致することを確認するときに読み込まれて使用される。
図5は、上述した液晶画面3が認証画面となった状態の操作盤2を示す正面図である。
・・・
【0038】
その後、利用者は、入庫の場合には出入口の前に停車させておいた駐車車両内に乗り込んで運転して、準備されたトレー上の所定位置に駐車車両を停車させる。その後、乗降室内における所定の作業を完了した利用者は、開扉状態の出入口から出て再び操作盤2の前へ移動する。このとき、出入口扉開閉制御装置の無人確認処理部14は、液晶画面表示処理部18を通して液晶画面3を図6に示した無人確認入力画面27に既に切り替えている。
【0039】
そこで利用者は、乗降室から出て来たときの目視確認と、映像画面29,30とから乗降室内が無人状態であることを確認し、その後、無人確認キー31を操作する。この完了信号はステップS8で信号送受信部9を通して受けられて無人確認処理部14での処理を完了させ、次いでステップS9で安全確認処理部15での処理を開始させる。
【0040】
そこで安全確認処理部15は、液晶画面3を図7に示した安全確認画面32に切り替え表示する。この安全確認画面32を見た利用者は、安全確認キー33を操作することによって起動許可を与える。安全確認キー33の操作信号は出入口扉開閉制御装置側に取り込まれると、安全確認処理部15での処理が終了となり、今回利用者同一性判定第二処理部16および液晶画面表示処理部18は、液晶画面3を図5で説明したIC認証表示画面25に切り替える。
【0041】
利用者が図5に示したIC認証表示画面25に従って自分が所持している記憶媒体22を読み取り部8にかざすと、ステップS10で、これが今回利用者同一性判定操作また今回利用者同一性判定認証照合処理の開始信号となる。
【0042】
このため、今回利用者同一性判定第二処理部16は、ステップS11で、先ず読み取り部8から今回の操作に関連して既に発行データエリア24に書き込まれている発行コードを読み取る。次いで、今回利用者同一性判定第二処理部16は、今読み取った発行コードと、今回の入出庫操作に関連して既に記憶部19に記憶保持された発行コードとが一致するかを判定する。両コードが一致した場合は、出入口扉1の閉ボタン6の操作を有効にし、ステップS13で閉ボタン6が操作されるのを待つ状態となる。
・・・
【0045】
その後に利用者によって出入口扉閉ボタン6が操作されると、その閉操作信号はステップS13で信号送受信部9へと送信され、出入口扉閉処理部17はステップS14で、出入口扉1を実際に閉扉する処理を行う。すると、出入口扉1は図1に示すように閉状態となる。この前後に、今回の操作に関する利用者の認証データや入出庫記録データなどが記憶部19に更新記憶される。発行コードに関するデータは適当なタイミングで消去される。
【0046】
本実施例では、登録された利用者かどうかを判定するためにICカードなどの記憶媒体22を使用した方式を例示している。この方式によれば、記憶媒体22から識別データを読み取るタイミングを利用して、今回利用者同一性判定第一処理部11により今回の入出庫だけに有効となる発行コードを記憶媒体22の発行データエリア24へ容易に書き込むことができる。また今回利用者同一性判定第二処理部16により、発行データエリア24に書き込んだ発行コードを読み出し、かつ、書き込み時に使用した発行コードと比較して出入口扉1を開けた利用者と出入口扉1を閉めようとしている利用者が一致することを容易に判定することができる。」
(イ)「【0049】
尚、上述した実施例では、書込および読込可能な発行データエリア24を有した記憶媒体22を使用しているが、他の実施例では、発行データエリア24に換えて指紋認証装置や顔認証装置やその他の代替認証装置の一つを使用することができ、望ましく操作盤2やその近傍に代替認証装置を配置する。・・・」
イ 上記アより、甲第6号証には、次の技術事項(以下「甲6記載技術事項」という。)が記載されていると認める。
「機械式駐車装置内への出入口には、上下方向に移動して開閉される出入口扉1が付設されており、その近傍の外壁面には出入口扉1の開閉操作するための操作盤2が配置され、(【0015】)
操作盤2は、利用者に対して表示画面によって操作を促すタッチパネル式の液晶画面3と、その操作を補足する音声案内を行うためのスピーカ4と、出入口扉1を閉動作させるために利用者によっても操作される出入口扉閉ボタン6と、利用者が予め所持しているICカードなどの記憶媒体から識別データを読み取る読み取り部8などを有し、(【0020】)
利用者が駐車車両の入出庫を行う場合、その利用者は、先ず機械式駐車装置に対して入出庫の開始信号を与えるが、この入出庫開始信号は、操作盤2の前に立った利用者によってICカードを読み取らせたりする登録者認証操作によって与えられ、(【0016】)
入出庫開始信号が与えられる場合、入庫を行おうとする利用者は、操作盤2の前に立って利用者同一性判定第一処理を受け、この利用者同一性判定第一処理の後に出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を開状態にし、その後、利用者は、駐車車両を運転して出入口扉1の向こう側に形成されている乗降室に入って駐車車両を所定の位置に停車させ、その後、利用者は乗降室から出てきて再び操作盤2の前に立ち利用者同一性判定第二処理を受け、利用者同一性判定第一処理および利用者同一性判定第二処理を受けた利用者が同一と判定されたとき出入口扉開閉制御装置は、出入口扉1を閉状態にして一連の処理を完了させるものであり、(【0017】)
出庫の場合も同様で、(【0018】)
登録された利用者かどうかを判定するためにICカードなどの記憶媒体22を使用した方式では、(【0046】)
ICカードなどの記憶媒体22には、予め利用者毎に割り当てられた認証番号などの識別データを記憶された読み込み専用の認証データエリア23の他に、読み込みおよび書き込み可能な発行コードエリア24を有し、登録者認証操作に関連して今回利用者同一性判定第一処理部11によって今回の入出庫操作のみに有効となるコードが発行され、それが発行データエリア24に書き込まれ、その後、発行データエリア24に書き込まれたコードは、今回利用者同一性判定第二処理部16により出入口扉1を閉じようとしている利用者が登録者認証操作を行った利用者と一致することを確認するときに読み込まれて使用され、(【0024】)
発行データエリア24に換えて指紋認証装置などの代替認証装置を使用することができ、望ましくは操作盤2やその近傍に代替認証装置を配置するもので、(【0049】)
利用者は、入庫の場合には出入口の前に停車させておいた駐車車両内に乗り込んで運転して、準備されたトレー上の所定位置に駐車車両を停車させ、その後、乗降室内における所定の作業を完了した利用者は、開扉状態の出入口から出て再び操作盤2の前へ移動し、(【0038】)
そこで利用者は、乗降室内が無人状態であることを確認し、その後、無人確認キー31を操作し、(【0039】)
次に、利用者は、安全確認キー33を操作することによって起動許可を与え、(【0040】)、
次に、利用者は自分が所持している記憶媒体22を読み取り部8にかざし、(【0041】)
発行コードが一致する場合は、閉ボタン6が操作されるのを待つ状態となり、(【0042】)
その後に利用者によって出入口扉閉ボタン6が操作されると、出入口扉閉処理部17は、出入口扉1を実際に閉扉する処理を行うものである、(【0045】)
機械式駐車装置。」
2 意見書とともに提出された証拠について
(1)甲第7号証
ア 甲第7号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第7号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0008】
しかしながら、個人認証装置を自動車に取り付け盗難防止効果の向上を図った場合、下記の課題が生じると考えられる。・・・
(3)ユーザーが認証部位を怪我した場合など、ユーザー認証が行えない場合どのように対処するか。・・・
【課題を解決するための手段】
【0009】
・・・生体特徴情報を利用して個人を識別可能な個人認証装置と暗証番号入力装置を自動車に搭載し、個人認証装置または暗証番号入力装置によるユーザー認証により自動車の運転の制限を解除する機能を有するようにした。・・・」
(2)甲第8号証
ア 甲第8号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第8号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0018】
・・・先ず、第一認証処理部26および液晶画面処理部32によって液晶画面3が切り替え表示され、現在の利用者が登録者かどうかを確認するためのIC認証表示画面10となる。・・・また液晶画面3には、テンキーによる別操作に切り替え表示させるテンキー表示12が設けられている。・・・
【0020】
図4に示した液晶画面3のテンキー表示12がタッチ操作されると、液晶画面処理部32によって図5に示すように液晶画面3が暗証番号認証画面13に切り替えられる。・・・
【0021】
暗証番号認証画面13への切り替え表示によって、利用者がICカードの所持を忘れた場合でも、暗証番号の入力によって認証を行うことができる。・・・」
(3)甲第9号証
ア 甲第9号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第9号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0072】
まず、入庫する車両が入出庫口4の前に停車し(A21)、ユーザーはリモコン送信機50の認証ボタン52を押して認証しようとするが、電池70の残量が所定値を下回っているため、前述のように操作盤22の蓋34のディスプレイ画面41に図9の警告および案内がなされる。このため、ユーザーは車両から降りて操作盤22の前に移動し(A22)、リモコン送信機50に付属している機械式キー56で操作盤22の蓋34を開ける(A23)。そして、操作画面35に表示されている認証ボタンを押す(A24)。次に、操作画面35に「リモコンをIDタッチパネル(トランスポンダリーダー36)にタッチしてユーザー認証して下さい」と表示されるため、ユーザーはリモコン送信機50を操作盤22のトランスポンダリーダー36にタッチする(A25)。これに基づいて1回目のユーザー認証が行われる。」
(4)甲第10号証
ア 甲第10号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第10号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0024】
・・・入出庫口4の近傍の側方(図では右方)には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられている。・・・
【0028】
・・・認証手段としては、例えば、運転盤7に、顔認証、指紋認証、静脈認証、などの生体認証装置20を備えさせることができる。なお、運転盤7ではなく出入口扉5の近傍に認証装置を備えさせてもよい。・・・」
(5)甲第11号証
ア 甲第11号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第11号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0018】
例えば入庫時に、利用者が操作盤2を操作して第一認証操作を行うと、一連の処理が開始される構成であり、ここでは第一認証時の第一認証処理部26および液晶画面処理部32によって、また第二認証時の第二認証処理部30および液晶画面処理部32によって、液晶画面3がIC認証表示画面10となって待機している。・・・
【0020】
この液晶画面3などによって、利用者は不慣れであっても今行う操作と次の手順を知ることができる。そこで、自分が所持しているICカードをICカード読み取り部8にかざすと、この操作が第一認証の操作信号となりICカードの読み取り情報と共に出入口扉開閉制御装置側に送信される。
図5は、液晶画面3が暗証番号認証画面に切り替えられた状態の操作盤2を示す正面図である。
【0021】
図4に示した液晶画面3のテンキー表示12がタッチ操作されると、液晶画面処理部32によって図4に示すように液晶画面3が暗証番号認証画面13に切り替えられる。このときの暗証番号認証画面13では、その下部に「暗証番号を入力し「運転」キーを操作してください」という文字表示14が行われたり、スピーカ4からの音声案内が追加されたりする。また暗証番号認証画面13には、暗証番号を入力するために操作されるテンキー15がメイン表示され、完了後に利用者によって操作されることになる運転キー16や、図4に戻るための戻キー17などが表示されている。
暗証番号認証画面13への切り替え表示によって、利用者がICカードの所持を忘れた場合でも、暗証番号の入力によって認証を行うことができる。」
(6)甲第12号証
ア 甲第12号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第12号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0023】
通常、操作盤2の液晶画面3はカード認証画面22で待機状態となっている。予約利用者は、このカード認証画面22から第一認証操作および第二認証操作を行うと出入口扉開処理部15による出入口扉1の開動作まで、また第三認証操作を行うと出入口扉閉処理部18による出入口扉1の閉動作まで、出入口扉開閉制御装置は一連の処理を開始する。・・・
【0026】
予約利用者が図4に示した液晶画面3のテンキー表示24をタッチ操作すると、液晶画面処理部16によって図5に示すように液晶画面3が暗証番号認証画面25に切り替えられる。このときの暗証番号認証画面25では、その下部に「暗証番号を入力し「運転」キーを操作してください」という文字表示26が行われたり、スピーカ4からの音声案内が追加されたりする。また暗証番号認証画面25には、暗証番号を入力するためのテンキー27がメイン表示され、完了後に予約利用者によって操作されることになる運転キー28や、図4に戻るための戻キー29などが表示されている。
こうして予約利用者がICカードの所持を忘れた場合でも、暗証番号認証画面25へ切り替え表示し、暗証番号の入力によって認証を行うことができる。」
(7)甲第13号証
ア 甲第13号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第13号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0036】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る機械式立体駐車場の一例を示す斜視図である。この機械式立体駐車場1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者専用のものである。操作方法及び安全操作について教育を受けた契約者には予め固有のユーザ識別情報が記憶されたICカードが付与されており、このICカードは入出庫時のユーザ認証に使用される。以下の説明では、ICカードをユーザを識別するものの例として記載するが、ICタグ、磁気カード、暗証番号、リモコン装置、指紋などの生態認証など、ユーザ個人を識別できるものであればよく、特に限定されない。・・・
【0041】
図4は、第1操作盤20a及び第2操作盤20bの概略図である。以下、特に第1操作盤20a及び第2操作盤20bを区別しない場合は、操作盤20として説明する。
図4に示すように、操作盤20は、例えば、表示部31と、スピーカ32と、入力部33と、ICカードリーダ34とを備えている。入力部33は、例えば、テンキー操作部41、安全確認ボタン42、閉扉ボタン43、起動ボタン44等を備えている。
入力部33はユーザが各種入力操作を行うためのものであり、表示部31とスピーカ32とは、画面および音声によってユーザに操作方法を指示するものであり、ICカードリーダ34はICカードを用いた認証を行わせるものである。入力部33において、テンキー操作部41は、例えば、ユーザがICカードを忘れた場合に、識別情報を手入力するための入力手段として機能し、安全確認ボタン42はユーザが庫内等の安全を確認した上で操作するボタンであり、閉扉ボタン43は扉を閉める際に操作するボタンであり、起動ボタン44はパレット4の呼び出しや格納を指示する際に操作するボタンである。
操作盤20が備えるこれら各種構成は、例えば、後述する操作盤制御部40(40a、40b:図5参照)とバスを介して接続され、操作盤制御部40(40a、40b)によって統括制御される。
なお、本実施形態では、表示部31、スピーカ32、入力部33、ICカードリーダ34、テンキー操作部41、各種ボタン42~44を個々の部品として記載しているが、この例に限定されず、複数のこれらの構成が一つの部品として構成されていてもよい。例えば、タッチパネル式操作盤のように、表示画面上にテンキー、ボタン、案内表示等を行うなどのように、同等の機能を実現できる構成とされていればよい。また、上記全ての構成や機能を備えている必要はなく、適宜省略追加が可能である。」
(8)甲第14号証
ア 甲第14号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第14号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0026】
また、上記運転盤7は、第1認証操作及び第2認証操作を行う装置を兼ねており、利用者は運転盤7において、認証手段によって第1認証操作及び第2認証操作を行うようになっている。認証手段としては、例えば、運転盤7に、暗証番号による認証、IDカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈、などによる生体認証、など、様々な手段による認証が可能な認証装置20を備えさせることができる。この実施形態では、画面を有する認証装置20を有している。なお、認証装置20は、運転盤7ではなく出入口扉5の近傍に独立して備えさせてもよい。」
(9)甲第15号証
ア 甲第15号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第15号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0036】
また、この実施形態では、上記運転盤7が第一認証操作及び第二認証操作を行う装置を兼ねており、認証装置20が備えられている。利用者は運転盤7の認証装置20において、第一認証操作及び第二認証操作を行うようになっている。認証装置20における認証手段としては、例えば、暗証番号による認証、IDカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈、などによる生体認証、など、様々な認証手段を利用できる。なお、認証装置20は、運転盤7ではなく出入口扉5の近傍に独立して備えさせることもできる。」
(10)甲第16号証
ア 甲第16号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第16号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0080】
また、本実施形態では、操作盤7は、第1認証操作及び第2認証操作を行う装置を兼ねており、利用者は、操作盤7において、暗証番号を入力することによって第1認証操作及び第2認証操作を行うようになっているが、これに限らない。例えば、操作盤7に、ICカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈、などによる生体認証、など、様々な手段による認証が可能な認証装置を備えさせることができる。また、認証装置は、操作盤7とは独立して出入口扉5の外側近傍に備えてもよい。」
(11)甲第17号証
ア 甲第17号証の記載事項
本件特許の出願前に発行された甲第17号証には、以下の記載がある。
(ア)「【0041】
認証手段としては、例えば、運転盤7に、暗証番号による認証、IDカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈などによる生体認証、など、様々な手段による認証が可能な認証装置20を備えることができる。本実施形態では、画面を有する認証装置20を有している。なお、認証装置20は、運転盤7と一体ではなく、出入口扉5の近傍に独立して備えてもよい。」
第6 当審の判断
本件訂正前の請求項3に係る発明について、上記第2のとおり、請求項3を削除する本件訂正が認められたので、請求項3に係る発明に対する特許異議申立ては、その対象が存在しないものとなった。
以上より、以下、本件訂正発明1、2及び4について検討する。
1 本件訂正発明1について
(1)対比
ア 甲1発明の「車両を積載するためのパレット18」は、本件訂正発明1の「車両を載置するトレー」に相当し、そして、
甲1発明の「内部に、パレット18が配置されるスペースがあり、車両2を入出庫させ、パレットに車両2を載置させる、乗降室7」は、本件訂正発明1の「トレーに車両が入出庫する入出庫部」に相当し、よって、
甲1発明の「車両を積載するためのパレット18と、
その内部に、パレット18が配置されるスペースがあり、車両2を入出庫させ、パレットに車両2を載置させる、乗降室7と、
を有する機械式駐車装置1」は、
本件訂正発明1の「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置」に相当する。
イ 甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」では、
ステップSA18以前(変形例9、変形例11で変形されていないステップ)において、
ステップSA3~5の利用者IDの認証成功により、主制御部50により「入力操作が可能な操作許可状態」とし「入庫起動確認画面を表示」する等の制御(SA6~SA8)が実行され、
ステップSA9~10の利用者IDの認証成功により、主制御部50により「空パレットを呼び出す」、「出入口扉4を開く」、「利用者に対して入庫を促す入庫案内画面をタッチパネル45に表示させ」る、「操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする」等の制御(SA13~18)が実行され、
ステップSA19´~23(変形例9)において、
ステップSA20´~22´の利用者IDの認証成功により、主制御部50により「操作許可状態」とするという制御(SA23)が実行され、
ステップSA26´~35(変形例11)及びその後続の処理のSA36~37において、
ステップSA27´~29´の利用者IDの認証成功により、主制御部50により「閉扉」、「操作ロック状態及び運転ロック状態」とする等の制御(SA35~37)が実行されるもので、
すなわち、上記各制御の実行を利用者IDの認証成功により行うものであり、そして機械式駐車装置1が以上のことを行うための機構を包含するものであることは自明である。
また、上記各ステップは入庫処理に係るものであるが、甲1発明においては「出庫処理についても基本的な処理フローは入庫処理と同様」である。
以上を踏まえると、甲1発明の、「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」の機械式駐車装置1と、
本件訂正発明1の「機械式駐車装置の非接触指紋認証操作システム」とは、
「機械式駐車装置の認証操作システム」である点で共通する。
ウ 甲1発明の「操作盤22」は、
「乗降室7の外側から見て、出入口扉4に向かって右側に」設けられ、
ガイダンス手段として「入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示される」タッチパネル45を有し、
「利用者個人を特定可能な利用者認証情報(以下「利用者ID」という。)が記憶されているICカードから利用者IDを読み取る」「ICカードリーダ46が配置され」るものである。
そして、甲1発明の、「利用者ID」及び「ICカードリーダ46」と、本件訂正発明1の、「利用者の手における複数本の指の指紋情報」及び「指紋情報取得部」とは、それぞれ、「利用者の認証情報」及び「認証情報取得部」という点で共通し、
また、甲1発明の、「入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示される」ガイダンス手段(タッチパネル45)は、本件訂正発明1の、「利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部」に相当する。
以上を踏まえると、甲1発明の「操作盤22」と、
本件訂正発明1の、「前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の手における複数本の指の指紋情報を取得する指紋情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する指紋読取機」とは、
「前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の認証情報を取得する認証情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する認証情報取得機器」という点で共通する。
エ 甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」では、
ステップSA3~5の利用者IDの認証において、「利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第1認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される。主制御部50は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証(第1認証)を行う(SA4)。具体的には、主制御部50は総合データベース52にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定」し、
ステップSA9~10の利用者IDの認証において、「ICカードリーダ46を介して利用者ID(第4認証情報)が入力されると、入力された利用者IDが主制御部50に入力される(SA9)。主制御部50は、利用者IDを受信すると、受信した利用者IDとステップSA7で記憶部41に記憶した利用者ID(第1認証情報)と照合」し、
ステップSA20´~22´の利用者IDの認証において、「ICカードをICカードリーダ46に接触させる。
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第2認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA20´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行い」、
ステップSA27´~29´の利用者IDの認証において、「ICカードをICカードリーダ46にタッチさせる。
これにより、ICカードに登録されている利用者ID(第3認証情報)が読み取られ、主制御部50に送信される(SA27´)。主制御部50は、利用者IDを受信すると第3のユーザ認証(第3認証)を行」うというものである。
すなわち、主制御部50ではICカードリーダ46で読み取られた「利用者ID」を照合しユーザ認証が行われており、そして主制御部50がこの認証を行うための機構を包含していることは自明である。
以上を踏まえると、甲1発明の「主制御部50」と、
本件訂正発明1の、「前記指紋情報取得部によって取得した前記指紋情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する指紋認証部」とは、
「前記認証情報取得部によって取得した前記認証情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する認証部」という点で共通する。
オ 上記イ及びエで述べたとおり、甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」では、ICカードリーダ46で読み取られた利用者IDを照合し、その認証成功により、主制御部50が機械式駐車装置の入庫処理に係る制御を実行しており、かつ、甲1発明においては「出庫処理についても基本的な処理フローは入庫処理と同様」である。
以上を踏まえると、甲1発明の「主制御部50」と、
本件訂正発明1の、「前記指紋認証部による認証された前記指紋情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部」とは、
「前記認証部による認証された前記認証情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部」という点で共通する。
カ 甲1発明においては「出庫処理についても基本的な処理フローは入庫処理と同様」であることを踏まえ、
甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」において、
「タッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)」ことにより、ステップSA3~5の利用者IDの認証が開始され、
「タッチパネル45に入庫起動確認画面を表示させる(SA8)。入庫起動確認画面には、例えば、「起動させる場合には、ICカードをICカードリーダ46に接触させてください」等のガイダンスが表示される。」ことにより、ステップSA9~10の利用者IDの認証が開始され、
「無人確認画面をタッチパネル45に表示させる(ステップSA19´)。この無人確認画面には、例えば、「モニタで場内の無人を確認し、確認入力として、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。」ことにより、ステップSA20´~22´の利用者IDの認証が開始され、
「閉扉画面をタッチパネル45に表示させる(SA26´)。この閉扉画面には、例えば、「場内の無人を確認し、扉を閉めるために、ICカードをタッチしてください。」といったガイダンスが表示される。」ことにより、ステップSA27´~29´の利用者IDの認証が開始されることと、
本件訂正発明1の、「前記非接触指紋認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ」ることとは、
「前記認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ」るという点で共通する。
キ 甲1発明においては「出庫処理についても基本的な処理フローは入庫処理と同様」であることを踏まえ、
上記イ及びエで述べたとおり、甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」においては、ICカードリーダ46で読み取られた利用者IDの認証が成功すると、主制御部50が機械式駐車装置の入庫処理に係る制御を実行していることと、
本件訂正発明1の、「前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる」ることとは、
「前記認証情報取得部に前記利用者の前記認証情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる」という点で共通する。
ク 前記アないしキから、本件訂正発明1と甲1発明とは、
[一致点]
「車両を載置するトレーと、前記トレーに車両が入出庫する入出庫部と、を有する機械式駐車装置の認証操作システムであって、
前記入出庫部の外部に設けられ、利用者の認証情報を取得する認証情報取得部と、前記利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部と、を有する認証情報取得機器と、
前記認証情報取得部によって取得した前記認証情報に基づいて前記利用者が前記機械式駐車装置の利用許可者であることを認証する認証部と、
前記認証部による認証された前記認証情報に基づいて、前記機械式駐車装置における少なくとも前記車両の入出庫の操作指示を行う制御部と、
を有し、
前記認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ、
前記認証情報取得部に前記利用者の前記認証情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる構成とされる、
機械式駐車装置の認証操作システム。」
の点で一致し、そして以下の点で相違する。
[相違点1]
認証について、本件訂正発明1においては「指紋読取」機を用いて「非接触指紋認証」を行うものであって、取得する情報は「利用者の手における複数本の指の指紋情報」であり、「指紋読取機は、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われる構成」なのに対し、甲1発明の「変形例9と変形例11とを組み合わせた場合」においては、「ICカードに登録されている利用者ID」(認証情報)をICカードリーダ46で読み取る構成である点。
[相違点2]
本件訂正発明1においては、「利用者に入出庫の操作指示を表示する表示部」を「指紋読取機」が有するとされているのに対し、甲1発明はそのような特定を有しない点。
[相違点3]
本件訂正発明1においては、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成」とされているのに対し、甲1発明はそのような特定を有しない点。
(2)判断
ア 検討
事案に鑑み、相違点3から検討する。
相違点3に係る本件訂正発明1の構成のように、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置され、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作される構成」とすることは、甲第1号証全体をみても記載も示唆もない。また、甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも記載も示唆もされていないものであり、本件特許に係る出願時において当業者にとり周知技術であるともいえない。
よって、相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第6号証記載の事項あるいは周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものではないので、本件訂正発明1に係る特許は、同法113条第2号に該当せず、取消理由及び特許異議申立理由により取り消すことはできない。
イ 申立人の主張について
申立人は、意見書において、
本件訂正発明1と甲1発明とを比較すると、
「(相違点1-1)
本件訂正発明1は、指紋読取機の他に、操作盤に設けられた他の認証情報入力手段を有しており、指紋読取機が利用できない場合に、操作盤に設けられた他の認証情報入力手段を用いて認証操作を行えるように構成されているのに対し、甲1発明はそのような構成とされているか明らかではない点。
(相違点1-2)
本件訂正発明1は、指紋読取機の脇に操作盤が配置されているのに対し、甲1発明はそのような構成とされているか明らかではない点。」(意見書4頁下から3行~5頁4行)
で相違するとした上で、その相違点1-1、相違点1-2について、以下のように主張している。
・「(相違点1-1について)
指紋等の生体情報を利用してユーザー認証を行う場合、ユーザーが怪我をしていたり、生体情報の入力がうまくできなかったりすることにより、生体認証ができない又は成功しない場合があることは周知の事実である。このような場合に、生体認証以外の他の認証手段を設けておき、他の認証手段によるユーザー認証を可能にすることは、ユーザー認証の技術分野における常套手段である。例えば、甲7には、生体認証を利用して個人を識別する個人認証装置と暗証番号入力装置とを有し、ユーザーが認証部位を怪我した場合など、生体認証を利用したユーザー認証が行えない場合に、暗証番号入力装置によるユーザー認証を行う点が記載されている。また、スマートフォンなどでも顔認証等の生体情報を用いた認証手段とパスコードによる認証手段とを有しており、顔認証に失敗した場合に、パスコードによる認証を可能とする手法がとられている。
また、機械式駐車装置においても、ICカードを用いたユーザー認証手段と暗証番号を用いたユーザー認証手段とを有し、ICカードを忘れた場合など、ICカードを用いたユーザー認証を行えない場合に、暗証番号を用いたユーザー認証を行うことは、周知技術である。(例えば、甲8、甲11の【0018】,【0020】,【0021】、甲12の【0023】,【0026】、甲13の【0036】、【0041】を参照のこと)。また、甲9には、リモコン送信機の認証ボタンを用いたユーザー認証手段とトランスポンダリーダーを用いたユーザー認証手段とを有し、リモコンの電池残量が所定値を下回ることによりリモコン送信機の認証ボタンを用いたユーザー認証を行えない場合に、操作盤のトランスポンダリーダーを用いたユーザー認証が可能な点が記載されている。
上記の通り、主となる認証手段による認証ができない場合に備えて、代替となる他の認証手段を設けることは、周知技術である。また、機械式駐車装置の技術分野において、代替となる他の認証手段は、操作盤に設けられることが技術常識である(甲8~甲13)。
上記から、甲1発明に上記周知技術(例えば、甲8~甲9、甲11~甲13)を適用し、テンキー入力による暗証番号を用いた認証手段を操作盤に設け、指紋情報を用いた認証を利用できない場合に、操作盤に設けられたテンキーから暗証番号を入力することによって認証を行えるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。」(意見書5頁5行~6頁7行)
・「(相違点1-2について)
異議申立書で述べた通り、甲6には、操作盤の近傍に認証装置を配置することが記載されている。同様に、甲10には、操作盤と認証装置を別体とし、認証装置を操作盤の近傍に配置することが記載されている。また、甲14の【0026】、甲15の【0036】、甲16の【0080】、甲17の【0041】にも同様の記載がある。これらの記載から、認証装置を操作盤の近傍に独立して設けることは周知技術であるといえる。
また、異議申立書で述べた通り、本件明細書の段落【0029】には、「指紋読取機」が市販品(公知技術)であることが記載されており、甲2~甲5には、独立した構成としての指紋読取機が開示されている。
以上から、甲1発明において、指紋情報を読み取る認証情報読取機として甲2~甲5に開示されている公知の指紋読取機を適用し、甲10、甲14~17に記載されているように、この指紋読取機を操作盤の近傍に配置することは、当業者が容易になし得たことである。」(意見書6頁8~21行)
この主張について検討すると、まず、本件訂正発明1における「指紋読取機」は、単に利用者を認証する装置ではなく、その「非接触指紋認証操作」により、
「前記非接触指紋認証操作は、前記表示部に表示される前記利用者に対する入出庫の操作指示に関する操作上の質問に従って行われ、前記指紋情報取得部に前記利用者の前記指紋情報を取得する都度、前記制御部が前記操作指示に対応する前記入出庫の操作を実行させる構成とされる」
という、「入出庫の操作を実行させる」ものである。
すなわち、相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、(「入出庫の操作を実行させる」)「前記指紋読取機の脇に」、「利用者によって操作される」「操作盤」が配置されるというものであり、
そしてこの「操作盤」は、「前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に」「操作される」ものであるから、指紋認証ではない、異なる種類のインターフェースにより入出庫を操作する装置であることは明らかである。
このように、相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、機械式駐車装置の操作システムにおいて、異なる種類のインターフェースにより操作する操作装置(「操作盤」)を脇に配置して、操作装置のインターフェースをいわば二重化(二種類化)するものである。
一方、申立書とともに提出された甲第6号証に記載されている甲6記載技術事項においては、「無人確認」、「安全確認」、「閉扉」という操作は、それぞれ、利用者が「無人確認キー31を操作」、「安全確認キー33を操作」、「出入口扉閉ボタン6が操作される」ことにより行われるものである。しかしながら、「発行データエリア24に換えて指紋認証装置などの代替認証装置を使用することができ、望ましくは操作盤2やその近傍に代替認証装置を配置する」とは、(ICカードなどの記憶媒体22の)「発行データエリア24」に係る認証装置に「換えて指紋認証装置などの代替認証装置を使用する」というまでであり、「無人確認キー31」、「安全確認キー33」、「出入口扉閉ボタン6」による操作の代替装置を使用するとは、甲第6号証には記載も示唆もされていない。
また、意見書とともに提出された甲第7号証ないし甲第17号証に、仮に上記主張のとおり、
甲第7号証に、「生体認証を利用して個人を識別する個人認証装置と暗証番号入力装置とを有し、ユーザーが認証部位を怪我した場合など、生体認証を利用したユーザー認証が行えない場合に、暗証番号入力装置によるユーザー認証を行う点」が記載され、
甲第8号証、甲第11号証ないし甲第13号証に、「機械式駐車装置においても、ICカードを用いたユーザー認証手段と暗証番号を用いたユーザー認証手段とを有し、ICカードを忘れた場合など、ICカードを用いたユーザー認証を行えない場合に、暗証番号を用いたユーザー認証を行うこと」が記載され、
甲第9号証に、「リモコン送信機の認証ボタンを用いたユーザー認証手段とトランスポンダリーダーを用いたユーザー認証手段とを有し、リモコンの電池残量が所定値を下回ることによりリモコン送信機の認証ボタンを用いたユーザー認証を行えない場合に、操作盤のトランスポンダリーダーを用いたユーザー認証が可能な点」が記載され、
甲第10号証、甲第14号証ないし甲第17号証に、「操作盤と認証装置を別体とし、認証装置を操作盤の近傍に配置すること」が記載されていたとしても、
それらはいずれも、認証装置をさらに設けることに関する開示であり、そのような開示から、相違点3に係る本件訂正発明1の構成の、(「入出庫の操作を実行させる」)「前記指紋読取機の脇に」、「利用者によって操作される」「操作盤」が配置されるということ、つまり、いわば、異なる種類のインターフェースにより操作する操作装置を脇に配置して、操作装置のインターフェースをいわば二重化(二種類化)するということが、容易に想到できるものではない。
よって、相違点3に係る本件訂正発明1の構成が想到容易といえるものではなく、意見書の主張により、上記アにおける検討結果が左右されるものではない。
2 本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記1と同様の理由により、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第6号証記載の事項あるいは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件訂正発明2に係る特許は、同法113条第2号に該当せず、取消理由及び特許異議申立理由により取り消すことはできない。
3 本件訂正発明4について
本件訂正発明4と甲1方法発明を対比すると、上記1(1)の本件訂正発明1と甲1発明との対比と同様に、下記相違点1’ないし3’で相違する。
[相違点1’]
認証について、本件訂正発明4においては「指紋読取」機を用いて「非接触指紋認証」を行うものであって、取得する情報は「利用者の手における複数本の指の指紋情報」であり、「指紋読取機が、前記指紋情報取得部に対して、利用者が掌を広げて左右いずれかの側から非接触で横方向に移動させて指紋情報を取得する非接触指紋認証操作が行われる」のに対し、甲1方法発明はそのような特定を有しない点。
[相違点2’]
本件訂正発明4においては、「利用者に入出庫の操作指示を表示する」「表示部」は「指紋読取機」が有するとされているのに対し、甲1方法発明はそのような特定を有しない点。
[相違点3’]
本件訂正発明4においては、「前記指紋読取機の脇に操作盤が配置されて、前記利用者が前記指紋読取機を利用できない場合に、前記操作盤は前記利用者によって操作されるステップ」を有するとされているのに対し、甲1方法発明はそのような特定を有しない点。
事案に鑑み相違点3’から検討すると、上記1(2)ア、イにおける検討と同様に、相違点3’に係る本件訂正発明4の構成は、甲1方法発明及び甲第2号証ないし甲第6号証記載の事項あるいは周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明4は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものではないので、本件訂正発明4に係る特許は、同法113条第2号に該当せず、取消理由及び特許異議申立理由により取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正発明1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1、2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3は、本件訂正により削除された。これにより、請求項3に係る特許についての特許異議の申立ては、当該申立てに係る特許が存在しないこととなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるといえるから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700189