特許異議申立
2024-700752
検査ソケット及びその製造方法
- 審判番号
- 2024-700752
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-519731
- 登録番号
- 7430253
- 請求日
- 2024年08月08日
- 審決日
- 2025年05月28日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】リーノ インダストリアル インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】弁理士法人ITOH
- 【異議申立人】福井 義治
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 小島 寛史
- 審判官 谷垣 圭二
- 分類
- P1651.113-YAA(G01R) / P1651.121-YAA(G01R) / P1651.537-YAA(G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7430253号発明「検査ソケット及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7430253号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。
特許第7430253号の請求項1-5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 本件特許についての手続の経緯
特許第7430253(請求項の数5。以下「本件特許」という。)の出願日、優先権主張、特許権の設定登録日及び特許掲載公報の発行日は、次のとおりである。
出願日 令和3年5月18日
優先権主張 令和2年5月22日、韓国
令和3年1月29日、韓国
特許権の設定登録日 令和6年2月 1日
特許掲載公報の発行日 同月 9日
2 本件特許異議の申立てについての手続の経緯
令和6年 8月 8日 :特許異議の申立て
(特許異議申立人:福井 義治 全請求項1~5に対して)
同年11月13日付け:取消理由通知書
令和7年 2月17日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年 3月 7日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和7年3月7日付けの通知書において、特許異議申立人に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人は応答しなかった。
なお、訂正請求書による訂正請求を以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を以下「本件訂正」という。
第2 本件訂正について
1 請求の趣旨
本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものである。
2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~5の記載(登録時における特許請求の範囲の記載)は、次のとおりである。
「【請求項1】
長さ方向に伸縮可能なプローブを支持する検査ソケットを製造する方法であって、
導電性材質のベース部材に、前記プローブを収容するプローブ孔を形成する段階;
前記ベース部材の上面から前記プローブ孔に所定深さで絶縁材を詰めてプローブ支持部材を形成する段階:及び
前記プローブ孔内のプローブ支持部材に、前記プローブの一端部を支持する第1支持孔を形成する段階を含み、
前記ベース部材は、前記プローブが前記上面に突出する周囲に所定深さに設けられた陥没部を含み、
前記ベース部材は、前記第1支持孔が形成される位置に、前記プローブの長手方向に直交する方向に向かって突出する突起を含み、該突起は、前記プローブ孔と前記陥没部との間に設けられ、前記陥没部は、前記突起の内径よりも広い面積に形成されており、
前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合される、
検査ソケットの製造方法。
【請求項2】
前記絶縁材を詰める段階は、
前記ベース部材の一面から所定間隔を開けて離隔するように金型カバーを配置する段階;及び
前記離隔した間隔及び前記プローブ孔に絶縁材を詰める段階を含む、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項3】
前記陥没部は、前記ベース部材の一面から深さ方向に断面積が広くなる、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項4】
絶縁材質のカバー部材に、前記プローブの他端部を支持する第2支持孔を形成する段階;
前記プローブ孔に前記プローブを非接触状態で挿入し、前記プローブの両端部を前記第1支持孔及び前記第2支持孔にそれぞれ支持する段階;及び
前記カバー部材を前記ベース部材の下面に結合させる段階をさらに含む、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項5】
前記ベース部材と前記カバー部材との間にギャッププレートを介在させる段階をさらに含む、請求項4に記載の検査ソケットの製造方法。」
3 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5の記載は、次のとおりである。下線は訂正箇所である。
「【請求項1】
長さ方向に伸縮可能なプローブを支持する検査ソケットを製造する方法であって、
導電性材質のベース部材に、前記プローブを収容するプローブ孔を形成する段階;
前記ベース部材の上面から前記プローブ孔に所定深さで絶縁材を詰めてプローブ支持部材を形成する段階:及び
前記プローブ孔内のプローブ支持部材に、前記プローブの一端部を支持する第1支持孔を形成する段階を含み、
前記ベース部材は、前記プローブが前記上面に突出する周囲に所定深さに設けられた陥没部を含み、
前記ベース部材は、前記第1支持孔が形成される位置に、前記プローブの長手方向に直交する方向に向かって突出する突起を含み、該突起は、前記陥没部の下に設けられ、上面視において、前記長手方向に直交する方向における前記陥没部の面積は、前記長手方向に直交する方向における前記突起によって取り囲まれる面積よりも広く形成されており、
前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合され、
前記陥没部は、2つ以上の前記プローブの一端を収容する、
検査ソケットの製造方法。
【請求項2】
前記絶縁材を詰める段階は、
前記ベース部材の一面から所定間隔を開けて離隔するように金型カバーを配置する段階;及び
前記離隔した間隔及び前記プローブ孔に絶縁材を詰める段階を含む、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項3】
前記陥没部は、前記ベース部材の一面から深さ方向に断面積が広くなる、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項4】
絶縁材質のカバー部材に、前記プローブの他端部を支持する第2支持孔を形成する段階;
前記プローブ孔に前記プローブを非接触状態で挿入し、前記プローブの両端部を前記第1支持孔及び前記第2支持孔にそれぞれ支持する段階;及び
前記カバー部材を前記ベース部材の下面に結合させる段階をさらに含む、請求項1に記載の検査ソケットの製造方法。
【請求項5】
前記ベース部材と前記カバー部材との間にギャッププレートを介在させる段階をさらに含む、請求項4に記載の検査ソケットの製造方法。」
4 本件訂正の内容
本件訂正は、一群の請求項〔1~5〕について特許請求の範囲の記載を訂正するものであって、以下に示す訂正事項1から訂正事項3までからなる。
(1) 訂正事項1(請求項1の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項1における「前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合される、」との記載を、「前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合され、前記陥没部は、2つ以上の前記プローブの一端を収容する、」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2(請求項1の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項1における「該突起は、前記プローブ孔と前記陥没部との間に設けられ」との記載を、「該突起は、前記陥没部の下に設けられ」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~5及も同様に訂正する。)
(3) 訂正事項3(請求項1の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項1における「記陥没部は、前記突起の内径よりも広い面積に形成されており」との記載を、「上面視において、前記長手方向に直交する方向における前記陥没部の面積は、前記長手方向に直交する方向における前記突起によって取り囲まれる面積よりも広く形成されており」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~5及も同様に訂正する)
5 本件訂正の適否についての当合議体の判断
(1) 訂正の目的
ア 訂正事項1
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「陥没部」と「プローブ」の配置の態様に関して、「陥没部は、2つ以上の前記プローブの一端を収容する」ものに限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項2
(ア) 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1における、「プローブ孔」が「陥没部」を含むことが前提の下記aの記載に対して、「プローブ孔」があたかも「陥没部」を含まないかのごとき下記bの記載の不備を正し、「突起」と「陥没部」の位置関係について、「該突起は、前記陥没部の下に設けられ[ている]」という、bの記載の本来の意を明らかにするものである。
a 「導電性材質のベース部材に、前記プローブを収容するプローブ孔を形成する段階;
(中略)
前記ベース部材は、前記プローブが前記上面に突出する周囲に所定深さに設けられた陥没部を含み、」
b 「該突起は、前記プローブ孔と前記陥没部との間に設けられ」
(イ) したがって、当該訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
ウ 訂正事項3
(ア) 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項1の「前記陥没部は、前記突起の内径よりも広い面積に形成されており」との記載において、「突起の内径」及び「陥没部の」「面積」に関して、下記a及びbの点で不明確であったのを、「突起の内径」を「突起によって取り囲まれる面積」とすることで下記aの点の不備を正して、訂正前の記載の本来の意を明らかにするとともに、下記bの点を、それぞれ、「上面視において、前記長手方向に直交する方向における」もの、「前記長手方向に直交する方向における」ものであるとして不備を正して、訂正前の記載の本来の意を明らかにするものである。
a 物理量として次元が異なるから、直接比較することができない点
b それぞれ、どの部分に関するものであるかが明確でない点
(イ) したがって、当該訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2) 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
訂正事項1~3の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当するから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)である。
ア 訂正事項1
「陥没部」が「2つ以上の前記プローブの一端を収容する」ことは、本件特許の願書に添付された図面(以下「本件図面」という。)の図32、35及び36に図示されている。
したがって、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2
「突起」が「陥没部の下に設けられ[ている]」ことは、本件図面の図1等に図示されている。
したがって、訂正事項2の訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3
「上面視において、前記長手方向に直交する方向における前記陥没部の面積は、前記長手方向に直交する方向における前記突起によって取り囲まれる面積よりも広く形成されて[いる]」ことは、本件図面の図32~36の図示内容を総合的に勘案することで把握できる構成である。
したがって、訂正事項3の訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 独立特許要件
この特許異議の申立てにおいては、全請求項である請求項1~5について特許異議の申立てがされているから、本件訂正後における請求項1~5に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
(4) 本件訂正の適否についての当合議体の判断のまとめ
前記(1)~(3)において検討したとおり、訂正事項1~3の訂正は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであって同項の規定に適合し、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。
よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の本件発明について
前記第2に示したとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~5の記載は、前記第2の3に摘記したとおりである。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審において令和6年11月13日付けで特許権者に通知した取消理由1~3の概要は、次のとおりである。
(1) 理由1(新規性の欠如)
請求項1、4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、請求項1、4に係る特許は、同法29条1項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:中国特許出願公開第110726918号明細書
(2) 理由2(進歩性の欠如)
ア 請求項1、3~4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3~4に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:中国特許出願公開第110726918号明細書
イ 請求項5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の文献に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:中国特許出願公開第110726918号明細書(主たる引用文献)
甲第2号証:米国特許出願公開第2015/0233973号明細書
(3) 理由3(明確性要件違反)
本件特許は、次のア~ウに示すとおり、特許請求の範囲の記載に不備があるため、請求項1に係る特許及び請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~5に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 明確性要件違反1
請求項1に記載された「ベース部材に」「形成[された]」「プローブ孔」は、「ベース部材の上面から前記プローブ孔に所定深さで絶縁材を詰めてプローブ支持部材を形成する」との記載からは、絶縁材が詰められる領域も含む、ベース部材に形成された孔の全領域のことを指すと解釈するのが相当である。
しかしながら、請求項1の「突起は、前記プローブ孔と前記陥没部との間に設けられ」との記載は、突起や陥没部が設けられた領域はプローブ孔ではないとするものであって、上記解釈と矛盾している。
イ 明確性要件違反2
請求項1の「前記陥没部は、前記突起の内径よりも広い面積に形成されており」との記載において、「突起の内径」、「突起の」「面積」が、突起のどの部分の内径、面積のことを指すかが明確でない。
ウ 明確性要件違反3
請求項1の「前記陥没部は、前記突起の内径よりも広い面積に形成されており」との記載において、「内径」と「面積」は、物理量として次元が異なるものであって直接比較することができないから、「前記突起の内径よりも広い面積」がどのような構成を指すかが明確でない。
2 甲号証の記載事項及び甲1発明等の認定
(1) 甲第1号証の記載事項と甲1発明の認定
ア 甲第1号証に記載された事項
甲第1号証(中国特許出願公開第110726918号明細書)には、次の事項が記載されている。括弧内に日本語訳を示した。当該日本語訳は、特許異議申立人が提出したものに基づいて当合議体が作成した(以下同様である。)。なお、下線は当合議体が付したものである(以下同様である。)。
(ア) [0001]
「
[図:0001425746000001.jpg]
」
(技術分野
[0001]本発明は、チップ検査ソケットの分野に関し、具体的にはインピーダンス整合構造を有する半導体チップ検査用同軸ソケット及びその製造方法に関する。)
(イ) [0018]~[0019]
「
[図:0001425746000002.jpg]
」
([0018] 上記本発明の技術的解決手段を採用する有益な効果は以下のとおりである:
[0019] 本発明は導電性金属を利用して検査ソケット本体、検査ソケットカバープレートとし、且つプローブとの間に50Ωシングルエンド又は100Ω差動のインピーダンス整合を行い、優れた信号伝送及び熱量の伝導を達成し、導電性金属検査ソケットは接地された遮蔽構造であり、チャネルとチャネルとの間のクロストークを効果的に遮蔽し、同時にテストにより発生した熱量を迅速に伝導することができる;該テストソケットは-1dB/40GHzの挿入損失及び-10dB/40GHzの反射損失に達することができ、チャネルとチャネルとの間の分離度は-40dB/20GHzより高い。)
(ウ) [0026]~[0028]、図1~図3
「
[図:0001425746000003.jpg]
」
([0026] 図1~3に示すように、本実施形態の半導体チップ検査用同軸ソケットは、インピーダンス整合構造を有し、検査ソケット位置決め用基板1と、検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3及び検査プローブ4を含む。検査ソケット位置決め用基板1内には、チップを位置決めして配置するためのスロットが設けられている。検査ソケット位置決め用基板1、検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3が上から下へ順に配置されている。検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3内には、第1ポリマー溝と第2ポリマー溝がそれぞれ設けられている。第1ポリマー溝及び第2ポリマー溝内には、それぞれ、第1ポリマー5と第2ポリマー6が固定的に取り付けられている。第1ポリマー5及び第2ポリマー6内には、第1プローブ溝及び第2プローブ溝がそれぞれ設けられている。検査プローブ4は、第1プローブ溝及び第2プローブ溝に挿入される。検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3の材質は金属である。検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3は、固定ネジによって検査ソケット位置決め用基板1に固定される。
[0027] 第1ポリマー溝の内壁の中央部に中心に向かって突出した第1抜け止め段部 7が設けられている。第2ポリマー溝の外端部の内壁には、内側に突出する第2抜け止め段部8が設けられている。第1抜け止め段部7及び第2抜け止め段部8は、それぞれ、第1ポリマー5及び第2ポリマー6を固定し、脱落を防止する。
[0028] 第1プローブ溝の内壁の外端には、中心に向かって突出した第3抜け止め段部9が設けられている。第2プローブ溝の内壁の外端には、中心に向かって突出した第4抜け止め段部10が設けられている。第3抜け止め段部9及び第4抜け止め段部10は、検査プローブ4の固定に使用され、プローブの脱落を防止する。)
「図1
[図:0001425746000004.jpg]
」
「図2
[図:0001425746000005.jpg]
」
「図3
[図:0001425746000006.jpg]
」
(エ) [0029]~[0036]
「
[図:0001425746000007.jpg]
[図:0001425746000008.jpg]
」
([0029] 上述したインピーダンス整合構造の半導体チップ検査用同軸ソケットの製造方法は、以下のステップを含む:
[0030] (1)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に対して信号用孔及び電源用孔を加工する;
[0031] (2)真空環境下で、ポリマーをローラープレスによって検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3の信号用孔に充填する;
[0032] (3)ポリマーが充填された検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3をオーブンに入れ、120℃で30分、155℃で30分、190℃で60分焼成し、ポリマーを検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3上で硬化させる;
[0033] (4)ポリマー硬化後の検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に対して表面処理を行う;
[0034] (5)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に信号用孔、電源用孔及び接地用孔を加工する;
[0035] (6)プローブを検査ソケット本体2に挿入し、検査ソケットカバー3でカバーする;
[0036] (7)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3を検査ソケット位置決め用基板1にネジで取り付ける。)
イ 甲第1号証から読み取れる事項
甲第1号証の段落[0026]、[0030]及び図3から、次の(ア)及び(イ)の事項が読み取れる(以下「甲1認定事項1」、「甲1認定事項2」という。なお、図3に領域A~Dを付記した図を参考図として示している。)
(ア) [甲1認定事項1]
「検査ソケット本体2に対して加工された信号用及び電源用の穴について、検査ソケット本体2の厚さ方向において、一つの検査プローブ4が突出する端部から順に、次のA~Dの領域を備えること。
・穴の内径が最も大きい領域A
・穴の中心に向かって突出した第1抜け止め段部7の領域であって、穴の内径が領域Aの内径から徐々に減少して、最も小さい内径となる領域を経て、領域C及びDの内径まで増加する領域B
・穴の内径が領域Aの内径よりも小さく、領域Bの最も小さい内径よりも大きい領域であって、第1ポリマー5が取り付けられた領域C
・穴の内径が領域Cと同じ領域であって、第1ポリマー5が取り付けられていない領域D」
(イ) [甲1認定事項2]
「検査ソケット本体2の長手方向の位置に関して、検査プローブの大径部の端部が第3抜け止め段部9の位置で第3抜け止め段部9に取り囲まれるようにして支持されており、第3抜け止め段部9が設けられている領域の位置が、甲1認定事項1の前記領域Bの位置の範囲に含まれていること。」
<参考図>
[図:0001425746000009.jpg]
ウ 甲1発明の認定
前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項から、甲第1号証には次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。また、甲第1号証における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。)。
<甲1発明>
「 半導体チップ検査用同軸ソケットの製造方法であって、([0026]、[0029])
半導体チップ検査用同軸ソケットは、検査ソケット位置決め用基板1と、検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3及び検査プローブ4を含み、([0026])
検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3内には、第1ポリマー溝と第2ポリマー溝がそれぞれ設けられており、第1ポリマー溝及び第2ポリマー溝内には、それぞれ、第1ポリマー5と第2ポリマー6が固定的に取り付けられており、第1ポリマー5及び第2ポリマー6内には、第1プローブ溝及び第2プローブ溝がそれぞれ設けられており、([0026])
検査プローブ4は、第1プローブ溝及び第2プローブ溝に挿入され、([0026])
検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3の材質は金属であり、([0026])
検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3は、固定ネジによって検査ソケット位置決め用基板1に固定され、([0026])
第1ポリマー溝の内壁の中央部に中心に向かって突出した第1抜け止め段部 7が設けられており、第2ポリマー溝の外端部の内壁には、内側に突出する第2抜け止め段部8が設けられており、第1抜け止め段部7及び第2抜け止め段部8は、それぞれ、第1ポリマー5及び第2ポリマー6を固定し、脱落を防止し、([0027])
第1プローブ溝の内壁の外端には、中心に向かって突出した第3抜け止め段部9が設けられており、第2プローブ溝の内壁の外端には、中心に向かって突出した第4抜け止め段部10が設けられており、第3抜け止め段部9及び第4抜け止め段部10は、検査プローブ4の固定に使用され、プローブの脱落を防止するものであって、([0028])
(1)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に対して信号用孔及び電源用孔を加工するステップ、([0030])
(2)真空環境下で、ポリマーをローラープレスによって検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3の信号用孔に充填するステップ、([0031])
(3)ポリマーが充填された検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3をオーブンに入れ、120℃で30分、155℃で30分、190℃で60分焼成し、ポリマーを検査ソケット本体2及び検査ソケットカバー3上で硬化させるステップ、([0032])
(4)ポリマー硬化後の検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に対して表面処理を行うステップ、([0033])
(5)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3に信号用孔、電源用孔及び接地用孔を加工するステップ、([0034])
(6)プローブを検査ソケット本体2に挿入し、検査ソケットカバー3でカバーするステップ、([0035])
(7)検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3を検査ソケット位置決め用基板1にネジで取り付けるステップ、([0036])
を含み、
検査ソケット本体2に対して加工された信号用及び電源用の穴について、検査ソケット本体2の長手方向において、一つの検査プローブ4が突出する端部から順に、次のA~Dの領域を備え、
・穴の内径が最も大きい領域A
・穴の中心に向かって突出した第1抜け止め段部7の領域であって、穴の内径が領域Aの内径から徐々に減少して、最も小さい内径となる領域を経て、領域C及びDの内径まで増加する領域B
・穴の内径が領域Aの内径よりも小さく、領域Bの最も小さい内径よりも大きい領域であって、第1ポリマー5が取り付けられた領域C
・穴の内径が領域Cと同じ領域であって、第1ポリマー5が取り付けられていない領域D、(甲1認定事項1)
検査ソケット本体2の長手方向の位置に関して、検査プローブの大径部の端部が第3抜け止め段部9の位置で第3抜け止め段部9に取り囲まれるようにして支持されており、第3抜け止め段部9が設けられている領域の位置が、前記領域Bの位置の範囲に含まれている、(甲1認定事項2)
製造方法。」
(2) 甲第2号証の記載事項と甲2技術の認定
ア 甲第2号証に記載された事項
甲第2号証(米国特許出願公開第2015/0233973号明細書)には、以下の事項が記載されている。
(ア) [0001]
「FIELD OF THE INVENTION
[0001] The present invention relates to the field of testing
electrical contacts in electrical and electronic devices, in
particular to a method of manufacturing of the test socket body
of an impedance-matched test socket used, e.g., in operations of
final high speed testing (FHST). More specifically, the invention
provides a method for manufacturing the test socket body of an
FHST socket that eliminates crosstalk, creates impedance-
controlled signals of different values on the same socket, and
at the same time makes it possible to manufacture the
mentioned sockets less expensively than by traditional CNC (
computer numerical control) machining by using printed circuit
board technology.」
(技術分野
[0001] 本発明は、電気及び電子機器の電気接点検査の分野に関し、特に、例えば最終高速検査(FHST)の操作において使用されるインピーダンス整合検査ソケットの検査ソケット本体の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、クロストークを排除し、上記ソケット上に異なる値のインピーダンス制御信号を作成し、同時に、プリント回路基板技術を使用することにより、従来のCNC(コンピュータ数値制御)機械加工によるよりも安価に前記ソケットを製造することを可能にする、FHSTソケットの検査ソケット本体の製造方法を提供する。)
(イ) [0029]~[0032]、図1~図2
「[0029] Since the method of the invention relates to
manufacturing of a test socket body of an impedance-matched
test socket having a specific structure shown in FIGS.1 and 2, it
will be advantageous first to consider the structure of the test
socket body itself.
[0030] A test socket for the manufacture of which the method of
the invention is intended is shown in FIG.1, which is an exploded
perspective view of the test socket. It can be seen that the test
socket, which in general is designated by reference numeral 20,
comprises a test socket body 22, which, is described below with
reference to FIG.2, and comprises a metallic probe holder 30
sandwiched between two laminated probe retainers, i.e., the
upper probe retainer 26 and a lower probe retainer 28. FIG.2 is
part of a sectional view through the test socket of the present
invention in an assembled state.
[0031] The test socket body 22 has a recess 22a inserted into
the upper probe retainer 26 and the lower probe retainer 28.
The upper probe retainer 26 comprises a double-sided laminated
plate made from a dielectric material 26a coated on both sides
with thin metal layers 27a and 27b and provided with through
holes, only three of which are shown, i.e., holes 32a, 32b, and
32n. Similarly, the lower probe retainer 28 comprises a double-
sided laminated plate made from a dielectric material core 28a
coated on both sides with thin metal layers 29a and 29b and
provided with through holes, only three of which are shown, i.e.,
34a, 34b, and 34n.
[0032] The probe holder 30 is made from a conductive material,
e.g., copper, aluminum, brass, etc. The probe holder 30 also
has arrays of holes, only three of which, i.e., holes 30a, 30b, and
30n, are shown. The holes 30a, 30b, and 30n are aligned with
the holes 32a, 32b, . . . 32n and 34a, 34b, . . . 34n of the upper
and lower probe retainers 26a and 28a, respectively, and have
the same diameters, except for the holes 30b, which are
intended for insertion of the grounding pogo pins that must have
electrical contact with the metal probe holder 30 of the
grounding system.」(当審注:[0032]における、「holes 30a, 302b,
and 30n」との記載は「holes 30a, 30b, and 30n」の誤りであることが明らかであるから、当合議体にて修正した。)
([0029] 本発明の方法は、図1及び図2に示す特定の構造を有するインピーダンス整合検査ソケットの検査ソケット本体の製造に関するものであるため、まず検査ソケット本体の構造自体を検討することが有利であろう。
[0030] 本発明の検査ソケットの製造方法が図1の分解透視図に示されている。検査ソケットは番号20で示されている。検査ソケット20は、図2を参照して後述する検査ソケット本体22を備え、検査ソケット本体22は、2つの積層プローブリテーナ、すなわち上部プローブリテーナ26と下部プローブリテーナ28の間に挟まれた金属プローブホルダ30を備えている。図2は、組み立てられた状態の本発明の検査ソケットの部分縦断面図である。
[0031]検査ソケット本体22は、上部プローブリテーナ26及び下部プローブリテーナ28に挿入される凹部22aを有する。上部プローブリテーナ26は、誘電体材料26aの両面を薄い金属層27a、27bで被覆した両面積層板からなり、貫通孔、すなわち、孔32a、孔32b、孔32nの3つのみが示されている。同様に、下部プローブリテーナ28は、誘電体材料のコア28aの両面を薄い金属層29a、29bで被覆し、貫通孔を設けた両面積層板からなり、そのうちの3つの孔34a、34b、34nのみが示されている。
[0032]プローブホルダ30は、導電性材料、例えば、銅、アルミニウム、真鍮等から作られる。プローブホルダ30はまた、孔の配列を有し、そのうちの3つ、すなわち孔30a、30b及び30nのみが示されている。孔30a、30b及び30nは、それぞれ上部および下部プローブリテーナ26a及び28aの孔32a、32b、…32n及び34a、34b、…34nと位置合わせされ、接地システムの金属プローブホルダ30と電気的に接触しなければならない接地ポゴピンを挿入するための孔30bを除いて、同じ直径を有する。)
「図1
[図:0001425746000010.jpg]
」
「図2
[図:0001425746000011.jpg]
」
イ 甲第2技術の認定
前記(1)において摘記した事項から、甲第2号証には次の事項が記載されていると認められる(以下「甲2技術」という。)。
[甲2技術]
「電気及び電子機器の電気接点検査、例えば最終高速検査(FHST)の操作において使用されるインピーダンス整合検査ソケットの検査ソケット本体が、上部プローブリテーナ26と下部プローブリテーナ28の間に挟まれた金属プローブホルダ30を備えること。」
3 当審の判断
(1) 理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)について
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
a 「半導体チップ検査」に用いられるプローブは通常伸縮可能なものであるから、甲1発明の「検査プローブ4」が、本件発明1の「長さ方向に伸縮可能なプローブ」に相当することは明らかである。
b 甲1発明の「検査ソケット位置決め用基板1と、検査ソケット本体2、検査ソケットカバー3及び検査プローブ4を含[む]」「半導体チップ検査用同軸ソケット」は、「検査プローブ4」を支持する構成であることが明らかであるから、本件発明1の「長さ方向に伸縮可能なプローブを支持する検査ソケット」に相当する。
c 甲1発明の「金属であ[る]」「検査ソケット本体2」は、本件発明1の「導電性材質のベース部材」に相当するから、甲1発明の「検査ソケット本体2」「に対して信号用孔及び電源用孔を加工するステップ」は、本件発明1の「導電性材質のベース部材に、前記プローブを収容するプローブ孔を形成する段階」に相当する。
d(a) 甲1発明において、「第1ポリマー5」は、検査プローブ4同士の短絡を避けるために、絶縁性材質であることは明らかである。
(b) 甲1発明の「ポリマーをローラープレスによって検査ソケット本体2」「の信号用孔に充填するステップ」は、「ポリマー」が「第1ポリマー5」であることは明らかであるから、前記aも踏まえると、本件発明1の「前記ベース部材の上面から前記プローブ孔に所定深さで絶縁材を詰め[る]」ことに相当し、甲1発明の「ポリマーを検査ソケット本体2」「上で硬化させるステップ」は、本件発明1の「プローブ支持部材を形成する段階」に相当する。
e 甲1発明において、「検査ソケット本体2」「に取り付けられて[いる]」「第1ポリマー5」「内に」「設けられて[いる]」「第1プローブ溝」「の内壁の外端に」「中心に向かって突出した第3抜け止め段部9が設けられて」おり、「検査プローブの大径部の端部が第3抜け止め段部9の位置で第3抜け止め段部9に取り囲まれるようにして支持され[る]」から、甲1発明が本件発明1の「プローブ孔内のプローブ支持部材に、前記プローブの一端部を支持する第1支持孔を形成する」に相当する構成を備えることは明らかである。
f 甲1発明の「検査ソケット本体2に対して加工された信号用及び電源用の穴について」「検査プローブ4が突出する端部」に「備え[る]」「穴の内径が最も大きい領域A」は、本件発明1の「ベース部材」が「含[む]」「前記プローブが前記上面に突出する周囲に所定深さに設けられた陥没部」に相当する。
g 甲1発明の「領域B」は、「穴の中心に向かって突出した第1抜け止め段部7の領域であ[る]」から、本件発明1の「プローブの長手方向に直交する方向に向かって突出する突起」に相当し、甲1発明は、「検査ソケット本体2の長手方向の位置に関して、検査プローブの大径部の端部が第3抜け止め段部9の位置で支持されており、第3抜け止め段部9が設けられている領域の位置が、前記領域Bの位置の範囲に含まれて」いるから、甲1発明は、本件発明1の「前記ベース部材は、前記第1支持孔が形成される位置に、前記プローブの長手方向に直交する方向に向かって突出する突起を含み」に相当する構成を備える。
h(a) 甲1発明の「検査ソケット本体2」における「領域A」及び「領域B」に対応する部分は、それぞれ、本件発明1の「陥没部」及び「突起」に相当する。
(b) したがって、甲1発明において「検査ソケット本体2に対して加工された信号用及び電源用の穴について、検査ソケット本体2の長手方向において、一つの検査プローブ4が突出する端部から順に、」「A~Dの領域を備え[る]」ことは、「検査プローブ4が突出する端部」が上部といえるから、本件発明1の「該突起は、前記陥没部の下に設けられ[ている]」ことに相当する。
i 甲1発明において、「A~Dの領域」で「領域A」の「穴の内径が最も大きい」ことから、前記h(a)も踏まえると、甲1発明は、本件発明1の「上面視において、前記長手方向に直交する方向における前記陥没部の面積は、前記長手方向に直交する方向における前記突起によって取り囲まれる面積よりも広く形成されており」に相当する構成を備えるといえる。
j 甲1発明の「検査プローブの大径部」が本件発明1の「プローブのバレル」に相当することは明らかであるから、甲1発明において「検査プローブの大径部の端部が第3抜け止め段部9の位置で第3抜け止め段部9に取り囲まれるようにして支持され[る]」ことは、本件発明1の「前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合され[る]」ことに相当する。
k 甲1発明において、「検査ソケット本体2に対して加工された信号用及び電源用の穴」の「端部」で「一つの検査プローブ4が突出する」ところ、当該「端部」は「領域A」を含むから、甲1発明が備える当該構成は、本件発明1における「前記陥没部は、2つ以上の前記プローブの一端を収容する」と、「前記陥没部は、前記プローブの一端を収容する」点において共通する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次のaに示す一致点において一致し、後記bに示す相違点において相違すると認められる。
a 一致点
「長さ方向に伸縮可能なプローブを支持する検査ソケットを製造する方法であって、導電性材質のベース部材に、前記プローブを収容するプローブ孔を形成する段階;前記ベース部材の上面から前記プローブ孔に所定深さで絶縁材を詰めてプローブ支持部材を形成する段階:及び前記プローブ孔内のプローブ支持部材に、前記プローブの一端部を支持する第1支持孔を形成する段階を含み、前記ベース部材は、前記プローブが前記上面に突出する周囲に所定深さに設けられた陥没部を含み、前記ベース部材は、前記第1支持孔が形成される位置に、前記プローブの長手方向に直交する方向に向かって突出する突起を含み、該突起は、前記陥没部の下に設けられ、上面視において、前記長手方向に直交する方向における前記陥没部の面積は、前記長手方向に直交する方向における前記突起によって取り囲まれる面積よりも広く形成されており、前記プローブのバレルの一端が、前記突起の位置で前記プローブ支持部材に嵌合され、前記陥没部は、前記プローブの一端を収容する検査ソケットの製造方法」の発明である点。
b 相違点
「陥没部」が「収容する」「前記プローブの一端」の数について
本件発明1においては、「2つ以上」であるのに対して、
甲1発明においては、「一つ」である点。
(ウ) 相違点についての判断
甲第1号証において、「検査ソケット本体2」における「領域A」に対応する部分が収容する検査プローブ4の数を増やすことは、記載も示唆もされておらず、また、前記相違点に係る構成が周知技術であると認めるに足りる証拠は発見できていないから、甲1発明において、前記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得たものであるとはいえない。
また、相違点に相当する技術事項は、本件特許異議の申立てに際して提出された甲第1号証以外の全ての証拠である甲第2号証~甲第4号証を参照したとしても、そのいずれにも記載されていない。
したがって、本件発明1は、甲第2号証~甲第4号証に記載された技術事項を勘案したとしても、当業者が甲1発明及びこれらの技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(エ) まとめ
前記(イ)において検討したとおり、本件発明1は、甲1発明と相違しており、甲1発明でないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものでない。
また、前記(ウ)において検討したとおり、本件特許異議の申立てに際して提出された甲第1号証以外の全ての証拠である甲第2号証~甲第4号証を参照したとしても、本件発明1は当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
イ 本件発明3~本件発明5について
本件発明3から本件発明5は、少なくとも前記相違点に係る本件発明1と同一の構成を備えるから、前記ア(ウ)において検討したのと同様の理由により、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(2) 36条6項2号について
ア 明確性要件違反1について
本件訂正により、請求項1において、本件訂正前の「突起は、前記プローブ孔と前記陥没部との間に設けられ」との記載が、「陥没部」との記載を用いない記載に改められたことにより、「プローブ孔」が「陥没部」を含まないことを意味する記載が存在しなくなったため、本件訂正前に存在していた矛盾が解消された。したがって、明確性要件違反1は解消している。
イ 明確性要件違反2及び3について
本件訂正により、請求項1において、本件訂正前の「突起の内径」との記載が、「突起によって取り囲まれる面積」との記載に改められたことにより、「陥没部の面積」との比較対象が、物理量として次元が同じである「面積」となった。したがって、明確性要件違反3は解消している。
また、本件訂正により、請求項1において、「陥没部の面積」と「突起によって取り囲まれる面積」との比較に関し、それぞれの面積が、「上面視において、前記長手方向に直交する方向における」もの、「前記長手方向に直交する方向における」ものであるとして、比較の対象となる面積に関する位置が明確化された。したがって、明確性要件違反2は解消している。
ウ まとめ
前記ア及びイにおいて検討したとおり、本件訂正によって明確性要件違反1~3は解消したから、本件発明1~5は明確である。
第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由及び特許異議申立書で申し立てられた特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700752