特許異議申立
2023-700084
タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
- 審判番号
- 2023-700084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-098908
- 登録番号
- 7119570
- 請求日
- 2023年01月27日
- 審決日
- 2025年01月30日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】住友ゴム工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
- 【異議申立人】藤央 弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼澤 英一
- 審判官 松本 直子
- 審判官 近野 光知
- 分類
- P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7119570号発明「タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7119570号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、9〕、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22について訂正することを認める。
特許第7119570号の請求項1~3、5~8、10~22に係る特許を維持する。
特許第7119570号の請求項4、9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7119570号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成30年5月23日の出願(特願2018-98908号)であって、令和4年8月8日に特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、令和5年1月27日に、本件特許の請求項1~9に係る特許に対して、特許異議申立人 藤央弁理士法人(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 4月28日付け 取消理由通知書
同年 7月 7日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 8月 8日付け 訂正拒絶理由通知書
同年 9月12日 意見書、手続補正書の提出(特許権者)
同年10月19日付け 訂正請求があった旨の通知書(申立人宛)
同年11月24日 意見書の提出(申立人)
令和6年 2月 8日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月15日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 4月30日付け 手続補正指令書(特許権者宛)
同年 5月16日 手続補正書(方式)の提出(特許権者)
同年 5月30日付け 訂正請求があった旨の通知書(申立人宛)
同年 7月 3日 意見書の提出(申立人)
同年 8月22日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年10月 7日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
なお、令和6年10月21日付けで、申立人に対して同年同月7日に訂正請求書の提出があった旨を通知し、期間を指定して意見を求めたが、申立人からの応答はなかった。
また、令和5年7月7日及び令和6年4月15日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 令和6年10月7日提出の訂正請求書の訂正(以下「本件訂正」という。)の内容
本件訂正は、令和6年10月7日提出の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~22について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである(下線は当審による。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
と記載されているのを、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」(当審注:「(発明(1))」~「(発明(9))」は、下記第3の請求項1に示すとおりである。以下同様。)
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に
「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」とあるのを、「請求項1~3、5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に
「前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項5を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」(当審注:「(発明(10))」~「(発明(12))」は、下記第3の請求項7に示すとおりである。以下同様。)
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に
「前記スチレンブタジエンゴムが、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成されている請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記スチレンブタジエンゴムが、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成されており、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項10とする。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項11とする。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項5を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(Α) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項12とする。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項7を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」(当審注:「(発明(13))」~「(発明(15))」は、下記第3の請求項13に示すとおりである。以下同様。)
に訂正し、新たに請求項13とする。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用した請求項5を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし:以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項14とする。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用した請求項7を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項15とする。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項5を引用した請求項7を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A)0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項16とする。
(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用した請求項5を引用した請求項7を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項17とする。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項4に
「メルカプト系シランカップリング剤を含有する請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項18とする。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項5に
「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項19とする。
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項7に
「前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項20とする。
(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項7に
「前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項21とする。
(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項7に
「前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。」
とあるうち、請求項1を引用した請求項4を引用した請求項5を引用するものについて、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
・・・」
に訂正し、新たに請求項22とする。
なお、本件訂正前の請求項2~9は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~22は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、特許権者は、本件訂正後の請求項5、7、8、10~22については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、請求項1とは別途訂正することを求めている。
この点について、本件訂正後の請求項1とこれを直接又は間接的に引用する請求項2、3、6は一群の請求項を構成し、請求項5とこれを直接引用する請求項6は一群の請求項を構成し、これらの一群の請求項は共通の請求項6を有するから、組み合わされて一群の請求項となる。
したがって、本件訂正後の請求項5は、本件訂正後の請求項1と一群の請求項を構成するから、上記求めは認められない。
2 本件訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1から、(発明(1))~(発明(9))を除くものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1から、甲1の請求項1に対応する「(発明(1))」、甲1の比較例2~6、9及び10に対応する「(発明(2))~(発明(8))」並びに甲3の請求項1に対応する「(発明(9))」という特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項を追加するものではない。
また、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項4を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、本件訂正前の請求項5が同請求項1~4を引用していたところ、このうち請求項1を引用する請求項4を引用するものについて書き下して独立形式に改めたものであり、さらに、(発明(1))~(発明(9))を除くものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項3は、上記アのとおり本件訂正前の請求項5において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(1)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項6が同請求項1~5を引用していたものから、請求項4を削除したものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、本件訂正前の請求項7が同請求項1~6を引用していたところ、このうち請求項1を引用する請求項5を引用するものを書き下して独立形式に改めたものであり、さらに、(発明(10))~(発明(12))を除くものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項5は、本件訂正前の請求項7において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から、甲1の実施例1、2、6、7、10~21、23、比較例2~6、9、10で用いられる「SBR2」並びに甲3の実施例3、4で用いられる「SBR6」及び「SBR7」に対応する、特定のスチレン量及びビニル量のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、本件訂正前の請求項8が「請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物」としていたところ、このうち請求項1を引用するものを書き下して独立形式に改めたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(7)訂正事項7について
訂正事項7は、本件訂正前の請求項9を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的
訂正事項8は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち請求項1を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項10としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項8は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的
訂正事項9は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(1))~(発明(9))を除くものとし、新たに請求項11としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項9は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(1)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(10)訂正事項10について
ア 訂正の目的
訂正事項10は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項5を引用するものを書き下して独立形式に改めた上で、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項12としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項10は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(11)訂正事項11について
ア 訂正の目的
訂正事項11は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項7を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(13))~(発明(15))を除くものとし、新たに請求項13としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項11は、本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から、甲1の実施例1、2、6、7、10~21、23、比較例2~6、9、10並びに甲3の実施例3、4に対応する、総スチレン量を有する特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(12)訂正事項12について
ア 訂正の目的
訂正事項12は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項5を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(13))~(発明(15))を除くものとし、新たに請求項14としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項12は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(11)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(13)訂正事項13について
ア 訂正の目的
訂正事項13は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項7を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(13))~(発明(15))を除くものとし、新たに請求項15としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項13は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(11)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(14)訂正事項14について
ア 訂正の目的
訂正事項14は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項5を引用する請求項7を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(1))~(発明(9))を除くものとし、新たに請求項16としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項14は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(1)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(15)訂正事項15について
ア 訂正の目的
訂正事項15は、本件訂正前の請求項9が同請求項1~8を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項5を引用する請求項7を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(13))~(発明(15))を除くものとし、新たに請求項17としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項15は、上記アのとおり本件訂正前の請求項9において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(11)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(16)訂正事項16について
ア 訂正の目的
訂正事項16は、本件訂正前の請求項4が同請求項1~3を引用していたところ、このうち、請求項1を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項18としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項16は、上記アのとおり本件訂正前の請求項4において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(17)訂正事項17について
ア 訂正の目的
訂正事項17は、本件訂正前の請求項5が同請求項1~4を引用していたところ、このうち、請求項1を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(13))~(発明(15))を除くものとし、新たに請求項19としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項17は、上記アのとおり本件訂正前の請求項5において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(11)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(18)訂正事項18について
ア 訂正の目的
訂正事項18は、本件訂正前の請求項7が同請求項1~6を引用していたところ、このうち、請求項1を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項20としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項18は、上記アのとおり本件訂正前の請求項7において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(19)訂正事項19について
ア 訂正の目的
訂正事項19は、本件訂正前の請求項7が同請求項1~6を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項21としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項19は、上記アのとおり本件訂正前の請求項7において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
(20)訂正事項20について
ア 訂正の目的
訂正事項20は、本件訂正前の請求項7が同請求項1~6を引用していたところ、このうち、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項5を引用するものを書き下して独立形式に改めたうえで、(発明(10))~(発明(12))を除くものとし、新たに請求項22としたものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項20は、上記アのとおり本件訂正前の請求項7において引用する請求項を限定して書き下したうえで、当該請求項から上記(5)イで述べたとおりの特定のゴム組成物を除いたものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらない。
3 小括
したがって、訂正事項1~20は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に規定の事項を目的とするものであり、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~22に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明22」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項によって特定される以下のとおりのものであると認める。
また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。
「【請求項1】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(1))
シス含量95モル%以上、ビニル含量1.2モル%以下、重量平均分子量53万以上の油展ブタジエンゴム、及び/又は結合スチレン量10~60質量%、重量平均分子量80万以上のスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、下記式で表され、かつ窒素吸着比表面積10~60m2/gの無機補強剤と、窒素吸着比表面積100m2/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積100m2/g以上のカーボンブラックとを含み、
前記油展ブタジエンゴムは、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムであり、前記ゴム成分中における前記油展ブタジエンゴム及び前記スチレンブタジエンゴムの合計含有量が10~100質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機補強剤の含有量が1~70質量部、前記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が50質量部以上であるゴム組成物。
mM・xSiOy・zH2O
(式中、MはAl、Mg、Ti、Ca及びZrからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、mは1~5の整数、xは0~10の整数、yは2~5の整数、zは0~10の整数である。)
(発明(2))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを97質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.5質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(3))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(4))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを93質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を9.4質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(5))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを95質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.6質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(6))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化マグネシウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(7))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを110質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.7質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(8))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、ハードクレーを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(9))
20~90質量%のゴム成分Aおよび10~80質量%のゴム成分Bを含むゴム成分を含有するゴム組成物であり、
ゴム成分AのSP値が17.8(J/cm3)1/2以上であり、
ゴム成分BのSP値がゴム成分AのSP値より0.6(J/cm3)1/2以上低いゴム組成物。
【請求項2】
スチレン系樹脂を含有する請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
下記式(B)を満たす請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物。
(B) α1/β≦7
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
β:ゴム成分100質量部に対するスチレン系樹脂の含有量[質量部]
【請求項4】(削除)
【請求項5】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(1))
シス含量95モル%以上、ビニル含量1.2モル%以下、重量平均分子量53万以上の油展ブタジエンゴム、及び/又は結合スチレン量10~60質量%、重量平均分子量80万以上のスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、下記式で表され、かつ窒素吸着比表面積10~60m2/gの無機補強剤と、窒素吸着比表面積100m2/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積100m2/g以上のカーボンブラックとを含み、
前記油展ブタジエンゴムは、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムであり、前記ゴム成分中における前記油展ブタジエンゴム及び前記スチレンブタジエンゴムの合計含有量が10~100質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機補強剤の含有量が1~70質量部、前記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が50質量部以上であるゴム組成物。
mM・xSiOy.zH2O
(式中、MはAl、Mg、Ti、Ca及びZrからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、mは1~5の整数、xは0~10の整数、yは2~5の整数、zは0~10の整数である。)
(発明(2))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを97質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.5質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(3))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(4))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを93質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を9.4質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(5))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを95質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.6質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(6))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化マグネシウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(7))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを110質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.7質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(8))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、ハードクレーを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(9))
20~90質量%のゴム成分Aおよび10~80質量%のゴム成分Bを含むゴム成分を含有するゴム組成物であり、
ゴム成分AのSP値が17.8(J/cm3)1/2以上であり、
ゴム成分BのSP値がゴム成分AのSP値より0.6(J/cm3)1/2以上低いゴム組成物。
【請求項6】
セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が160m2/g以上のカーボンブラックを含有する請求項1~3、5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項8】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記スチレンブタジエンゴムが、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成されており、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A)0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
【請求項9】(削除)
【請求項10】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項11】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(1))
シス含量95モル%以上、ビニル含量1.2モル%以下、重量平均分子量53万以上の油展ブタジエンゴム、及び/又は結合スチレン量10~60質量%、重量平均分子量80万以上のスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、下記式で表され、かつ窒素吸着比表面積10~60m2/gの無機補強剤と、窒素吸着比表面積100m2/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積100m2/g以上のカーボンブラックとを含み、
前記油展ブタジエンゴムは、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムであり、前記ゴム成分中における前記油展ブタジエンゴム及び前記スチレンブタジエンゴムの合計含有量が10~100質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機補強剤の含有量が1~70質量部、前記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が50質量部以上であるゴム組成物。
mM・xSiOy・zH2O
(式中、MはAl、Mg、Ti、Ca及びZrからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、mは1~5の整数、xは0~10の整数、は2~5の整数、zは0~10の整数である。)
(発明(2))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを97質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.5質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(3))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(4))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを93質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を9.4質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(5))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを95質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.6質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(6))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化マグネシウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(7))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを110質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.7質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(8))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、ハードクレーを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(9))
20~90質量%のゴム成分Aおよび10~80質量%のゴム成分Bを含むゴム成分を含有するゴム組成物であり、
ゴム成分AのSP値が17.8(J/cm3)1/2以上であり、
ゴム成分BのSP値がゴム成分AのSP値より0.6(J/cm3)1/2以上低いゴム組成物。
【請求項12】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項13】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A)0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(13))
ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。
(発明(14))
ゴム成分中の総スチレン量が28.0であるゴム組成物。
(発明(15))
ゴム成分中の総スチレン量が24.0であるゴム組成物。
【請求項14】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(13))
ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。
(発明(14))
ゴム成分中の総スチレン量が28.0であるゴム紺成物。
(発明(15))
ゴム成分中の総スチレン量が24.0であるゴム組成物。
【請求項15】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(13))
ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。
(発明(14))
ゴム成分中の総スチレン量が28.0であるゴム組成物。
(発明(15))
ゴム成分中の総スチレン量が24.0であるゴム組成物。
【請求項16】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(1))
シス含量95モル%以上、ビニル含量1.2モル%以下、重量平均分子量53万以上の油展ブタジエンゴム、及び/又は結合スチレン量10~60質量%、重量平均分子量80万以上のスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、下記式で表され、かつ窒素吸着比表面積10~60m2/gの無機補強剤と、窒素吸着比表面積100m2/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積100m2/g以上のカーボンブラックとを含み、
前記油展ブタジエンゴムは、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムであり、前記ゴム成分中における前記油展ブタジエンゴム及び前記スチレンブタジエンゴムの合計含有量が10~100質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記無機補強剤の含有量が1~70質量部、前記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が50質量部以上であるゴム組成物。
mM・xSiOy・zH2O
(式中、MはAl、Mg、Ti、Ca及びZrからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、mは1~5の整数、xは0~10の整数、yは2~5の整数、zは0~10の整数である。)
(発明(2))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを97質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.5質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(3))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(4))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを93質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を9.4質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(5))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを15質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを95質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.6質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(6))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化マグネシウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを37.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(7))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、水酸化アルミニウムを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを110質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.7質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(8))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを80質量部、ビニル量0.4モル%のブタジエンゴムを20質量部、ハードクレーを10質量部、カーボンブラックを5質量部、シリカを90質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、オイルを67.5質量部、ワックスを1.5質量部、老化防止剤を3.5質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤を7.2質量部、硫黄を1.3質量部、加硫促進剤を4.1質量部からなるゴム組成物。
(発明(9))
20~90質量%のゴム成分Aおよび10~80質量%のゴム成分Bを含むゴム成分を含有するゴム組成物であり、
ゴム成分AのSP値が17.8(J/cm3)1/2以上であり、
ゴム成分BのSP値がゴム成分AのSP値より0.6(J/cm3)1/2以上低いゴム組成物。
【請求項17】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(13))
ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。
(発明(14))
ゴム成分中の総スチレン量が28.0であるゴム組成物。
(発明(15))
ゴム成分中の総スチレン量が24.0であるゴム組成物。
【請求項18】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質最%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項19】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(13))
ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。
(発明(14))
ゴム成分中の総スチレン量が28.0であるゴム組成物。
(発明(15))
ゴム成分中の総スチレン量が24.0であるゴム組成物。
【請求項20】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質葦%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項21】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
【請求項22】
スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカと、
メルカプト系シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く)。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]
(発明(10))
スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(11))
スチレン量35質量%及びビニル量30モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。
(発明(12))
スチレン量30質量%及びビニル量25モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。」
第4 特許異議申立理由の概要、証拠方法及び取消理由(決定の予告)の概要
1 特許異議申立書に記載した申立の理由の概要
特許異議申立書(以下「申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次の通りである。
(1)申立理由1(新規性)
ア 本件訂正前の請求項1~3、5、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 本件訂正前の請求項1、5、7、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ 本件訂正前の請求項1、9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(進歩性)
ア 本件訂正前の請求項1~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 本件訂正前の請求項1、2、4~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ 本件訂正前の請求項1、4、6~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明に基づいて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 証拠方法
申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
(1)申立書に添付したもの
甲第1号証 特開2015-232114号公報
甲第2号証 特許第6253822号公報
甲第3号証 特開2018-2780号公報
甲第4号証 特開2016-89088号公報
甲第5号証 特開2014-145061号公報
(2)令和5年11月24日提出の意見書に添付したもの
甲第6号証 国際公開第2013/001826号
甲第7号証 特開2018-145234号公報
甲第8号証 特開2017-179278号公報
(3)令和6年7月3日提出の意見書に添付したもの
甲第9号証 特開2016-37602号公報
甲第10号証 特開2017-101199号公報
以下、「甲第1号証」~「甲第10号証」を、それぞれ「甲1」~「甲10」という。
3 取消理由(決定の予告)の概要
当審において令和6年8月22日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
(1)取消理由1(新規性)
本件発明1~3は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件発明1~3は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当審における判断
以下に述べるように、上記第4の3の取消理由1及び2並びに上記第4の1の申立理由1及び2によっては、本件特許の請求項1~3、5~8、10~22に係る特許を取り消すことはできない。
そして、本件特許の請求項4及び9は、上記のとおり、本件訂正の請求により削除され、これらの請求項に係る特許に対する申立人による特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
1 取消理由1及び取消理由2並びに申立理由1及び申立理由2(甲1を主引用例とする新規性及び進歩性)について
上記第4の3の取消理由1及び取消理由2並びに上記第4の1(1)アの申立理由1及び上記第4の1(2)アの申立理由2は、いずれも甲1を主引例とする新規性・進歩性についてのものであるので、まとめて検討する。
(1)甲1に記載された発明
ア 甲1の比較例6(【0101】の【表4】、【0082】、【0088】~【0096】)に着目すると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。
「BR1(シス含量95.8モル%、ビニル含量0.4モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)を27.5質量部、SBR2(油展シリカ変性SBR、結合スチレン量41質量%、ビニル含量40モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)を110質量部、水酸化マグネシウムを10質量部、カーボンブラック1(HP160(BET値:153m2/g))を5質量部、シリカ2(ULTRASIL VN3(BET値:175m2/g))を92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、BRとSBRの油展オイル分を37.5質量部、助剤等として、ワックスを1.5質量部、老化防止剤1を2.5質量部、老化防止剤2を1質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤2(Evonik社製のSi75)を7.2質量部、硫黄を1.30質量部、加硫促進剤1を1.7質量部、加硫促進剤2を2.4質量部配合した、未加硫ゴム組成物。」(以下「甲1組成物1発明」という。)
イ 甲1の実施例8(【0101】の【表3】、【0082】、【0088】~【0096】)に着目すると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。
「BR1(シス含量95.8モル%、ビニル含量0.4モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)を27.5質量部、SBR3(非油展シリカ変性SBR、結合スチレン量37質量%、ビニル含量55モル%)を80質量部、水酸化アルミニウム1を15質量部、カーボンブラック1(HP160(BET値:153m2/g))を5質量部、シリカ2(ULTRASIL VN3(BET値:175m2/g))を92質量部、クマロンインデン樹脂を10質量部、スチレン系樹脂を15質量部、プロセスオイルを17.5質量部、BRとSBRの油展オイル分を7.5質量部、助剤等として、ワックスを1.5質量部、老化防止剤1を2.5質量部、老化防止剤2を1質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤2(Si75)を7.4質量部、硫黄を1.30質量部、加硫促進剤1を1.7質量部、加硫促進剤2を2.4質量部配合した、未加硫ゴム組成物。」(以下、「甲1組成物2発明」という。)
ウ 甲1の実施例15(【0101】の【表3】、【0082】、【0088】~【0096】)と【0056】に着目すると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。
「BR1(シス含量95.8モル%、ビニル含量0.4モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)を27.5質量部、SBR2(油展シリカ変性SBR、結合スチレン量41質量%、ビニル含量40モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)を110質量部、水酸化アルミニウム1を10質量部、カーボンブラック1(HP160(BET値:153m2/g))を5質量部、シリカ2(ULTRASIL VN3(BET値:175m2/g))を92質量部、クマロンインデン樹脂を5質量部、スチレン系樹脂を7.5質量部、BRとSBRの油展オイル分を37.5質量部、助剤等として、ワックスを1.5質量部、老化防止剤1を2.5質量部、老化防止剤2を1質量部、ステアリン酸を3質量部、酸化亜鉛を2.5質量部、シランカップリング剤3(式(I)で表されるシランカップリング剤において、p=2、q=3、k=7の化合物)を7.4質量部、硫黄を1.30質量部、加硫促進剤1を1.7質量部、加硫促進剤2を2.4質量部配合した、未加硫ゴム組成物。
式(I)
[図:0001422368000001.jpg]
」(以下「甲1組成物3発明」という。)
エ さらに、甲1の【0096】に記載された、比較例6、実施例8又は実施例15の未加硫ゴム組成物から得られる試験用タイヤに着目すると、甲1には以下の発明も記載されていると認められる。
「甲1組成物1発明の未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫して得た試験用タイヤ。」(以下「甲1タイヤ1発明」という。)
「甲1組成物2発明の未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫して得た試験用タイヤ。」(以下「甲1タイヤ2発明」という。)
「甲1組成物3発明の未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫して得た試験用タイヤ。」(以下「甲1タイヤ3発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 甲1組成物1発明との対比・判断
(ア)本件発明1と甲1組成物1発明とを対比する。
a 甲1組成物1発明の「BR1」はブタジエンゴムであり、「SBR2」はスチレンブタジエンゴムであるから、これらは本件発明1の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」に相当する。
そして、BR1及びSBR2は、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有するから、BR1の27.5質量部のうちのゴム成分は20質量部(=27.5×(100/137.5)であり、SBR2の110質量部のうちのゴム成分は80質量部(=110×(100/137.5)である。
そうすると、甲1組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」中には、上記ゴム成分が100質量部(=20+80)含まれるのに対して、「シリカ2」は92質量部含まれるから、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」を含有するものに相当する。
b 甲1組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」はそれを用いてタイヤを製造するものであるから(【0096】)、「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
c 甲1組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」における、α1/α2(α1:ゴム成分中の総スチレン量(質量%)、α2:ゴム成分中の総ビニル量(質量%))を、本件明細書の【0040】及び【0041】の定義に従って計算する。
α1=0×0.2+41×0.8=32.8(質量%)
α2=0.4×0.2+40×0.8=32.1(質量%)
α1/α2=32.8/32.1=1.02
そうすると、甲1組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」は、「0.9≦α1/α2≦1.2」であるものに相当する。
d 上記a~cによれば、本件発明1と甲1組成物1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1A>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」(当審注:「(発明(1))」~「(発明(9))」は上記第3のとおりであり省略する。以下単に「(発明(1))」等ということがある。以下同様。)と特定されているのに対し、甲1組成物1発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点1Aについて
a 甲1組成物1発明は、「(発明(6))」に該当し、本件発明1から除かれているものであるから、相違点1Aは実質的な相違点である。
b そして、甲1の他の記載を考慮しても、比較例6に基づいて、組成物の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえないから、甲1組成物1発明において、「(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点1Aに係る発明特定事項は、甲1組成物1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲1組成物2発明との対比・判断
(ア)本件発明1と甲1組成物2発明とを対比する。
a 甲1組成物2発明の「BR1」はブタジエンゴムであり、「SBR3」はスチレンブタジエンゴムであるから、これらは本件発明1の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」に相当する。
そして、BR1の27.5質量部のうちのゴム成分は20質量部(=27.5×(100/137.5)であり、SBR3は非油展であるから、ゴム成分は80質量部である。
そうすると、甲1組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」中には、上記ゴム成分が100質量部(=20+80)含まれるのに対して、「シリカ2」は92質量部含まれるから、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」を含有するものに相当する。
b 甲1組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」はそれを用いてタイヤを製造するものであるから(【0096】)、「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
c 甲1組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」における、α1/α2(α1:ゴム成分中の総スチレン量(質量%)、α2:ゴム成分中の総ビニル量(質量%))を計算する。
α1=0×0.2+37×0.8=29.6(質量%)
α2=0.4×0.2+55×0.8=44.1(質量%)
α1/α2=29.6/44.1=0.67
d 上記a~cによれば、本件発明1と甲1組成物2発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有するタイヤ用ゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1B>
本件発明1は、「下記式(A)を満たす」
「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」のに対し、甲1組成物2発明は、計算すると、α1/α2=0.67であり、式(A)を満たすものでない点
<相違点1C>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1組成物2発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点1Bについて
甲1には、油展ブタジエンゴムのビニル含量、スチレンブタジエンゴム(高分子量SBR)の結合スチレン量の好ましい範囲が記載されているものの(請求項1、【0025】、【0032】、【0034】)、ゴム成分中の総スチレン量、総ビニル量及びそれらの比である「α1/α2」を調整することについては記載も示唆もされておらず、また、「α1/α2」を調整することが、当技術分野における技術常識であるともいえないから、甲1組成物2発明において、当業者が「式(A)を満たす」ように組成の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえない。
したがって、相違点1Cについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲1組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 甲1組成物3発明との対比・判断
(ア)本件発明1と甲1組成物3発明とを対比する。
a 甲1組成物3発明は、甲1組成物1発明とは、無機補強剤として水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウムを含む点と、シランカップリング剤2の配合量がわずかに異なる点以外は同様の組成を有するから、本件発明1と甲1組成物3発明とは、上記ア(ア)のa~cと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明1と甲1組成物3発明とは、上記ア(ア)dと同一の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1D>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1組成物3発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点1Dについて
a 本件発明1の「(発明(1))」は、甲1の請求項1に対応するところ、甲1組成物3発明は、甲1の請求項1に記載されたゴム組成物の発明を具体化した実施例15に基づくものであって、「(発明(1))」に該当し、本件発明1から除かれているものであるから、相違点1Dは実質的な相違点である。
b そして、甲1には、「ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び引張性能をバランス良く改善することができるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤを提供すること」(【0006】)を発明が解決しようとする課題とし、当該課題を解決するために、請求項1に記載された特定のゴム成分等を含むゴム組成物の発明としたことが記載されており、「特定のゴム成分と、所定の窒素吸着比表面積を有する所定の無機補強剤と、特定の窒素吸着比表面積を有するシリカ及び/又はカーボンブラックとを所定量配合したゴム組成物であるので、これを用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤは、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び引張性能をバランス良く改善できる」(【0015】)という効果を奏するものである。
そうすると、甲1組成物3発明は、甲1の上記課題の解決に不可欠な請求項1に記載された発明に包含されるものであるから、甲1組成物3発明において、「(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点1Dに係る発明特定事項は、甲1組成物3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
エ 甲1のその他の実施例及び比較例について
(ア)甲1の比較例2~5、9、10に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、当該認定した発明と本件発明1とを対比させると、上記ア(ア)と同様に、少なくとも相違点1Aにおいて相違する。そして、当該認定した発明は、「(発明(2))」~「(発明(5))」、「(発明(7))」又は「(発明(8))」に該当し、本件発明1から除かれているものであり、上記ア(イ)と同様の理由により、「(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)甲1の実施例1、2、6、7、10~14、16~21、23に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、当該認定した発明と本件発明1とを対比させると、上記ウ(ア)と同様に、相違点1Dにおいて相違する。そして、当該認定した発明は、「(発明(1))」に該当し、本件発明1から除かれているものであり、上記ウ(イ)と同様の理由により、当業者が容易に想到し得たものではない。
オ 小括
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を直接又は間接的に引用する「タイヤ用ゴム組成物」に係る発明であるから、甲1組成物1~3発明等との間に、上記(2)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(2)で述べたとおりである。
したがって、本件発明2及び3は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明5について
本件発明5は、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点及び「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」である点がさらに特定されている他は、本件発明1と同一の特定事項を有するから、甲1組成物1~3発明等との間に、上記(2)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(2)で述べたとおりである。
したがって、本件発明5は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1~3又は5を引用する「タイヤ用ゴム組成物」に係る発明であるから、甲1組成物1~3発明等との間に、上記(2)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(2)で述べたとおりである。
したがって、本件発明6は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明7について
ア 甲1組成物1発明との対比・判断
(ア)本件発明7と甲1組成物1発明とを対比する。
a 本件発明7と甲1組成物1発明とは、上記(2)ア(ア)のa~cと同様の相当関係がある。
b 甲1組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」は、「クマロンインデン樹脂」を5質量部、「スチレン系樹脂」を7.5質量部、「BRとSBRの油展オイル分」を37.5質量部、「ワックス」を1.5質量部含むところ、本件明細書の【0073】の記載によれば、これらはいずれも本件発明7の「可塑剤」に相当するから、ゴム成分100質量部に対して51.5質量部(=5+7.5+37.5+1.5)の「可塑剤」を含むものであり、本件発明7の「ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」に相当する。
c そうすると、本件発明7と甲1組成物1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点7A>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」(当審注:「(発明(10))」~「(発明(12))」は上記第3のとおりであり省略する。以下単に「(発明(10))」等ということがある。以下同様。)と特定されているのに対し、甲1組成物1発明は、そのような特定がない点
<相違点7B>
「シリカ」に関し、本件発明7では「窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるのに対し、甲1組成物1発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点7Aについて
a 甲1組成物1発明は、「SBR2(油展シリカ変性SBR、結合スチレン量41質量%、ビニル含量40モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)」を含有するものであって、「(発明(10)) スチレン量41質量%及びビニル量40モル%のスチレンブタジエンゴムを含むゴム組成物。」に該当し、本件発明7から除かれているものであるから、相違点7Aは実質的な相違点である。
b そして、甲1の他の記載を考慮しても、比較例6に基づいて、組成物の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえないから、甲1組成物1発明において、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点7Bについて検討するまでもなく、本件発明7は、甲1組成物1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲1組成物2発明との対比・判断
本件発明7と甲1組成物2発明とを対比すると、両者は、上記(2)イ(ア)のa~cと同様の相当関係があり、少なくとも、相違点1Bと同一の相違点を有する。そして、相違点1Bについての判断は、上記(2)イ(イ)で述べたとおりであり、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲1組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 甲1組成物3発明との対比・判断
(ア)本件発明7と甲1組成物3発明とを対比する。
a 甲1組成物3発明は、甲1組成物1発明とは、無機補強剤として水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウムを含む点と、シランカップリング剤2の配合量がわずかに異なる点以外は同様の組成を有するから、本件発明7と甲1組成物3発明とは、上記ア(ア)のa及びbと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明7と甲1組成物3発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上であり、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点7C>
本件発明7は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1組成物3発明は、そのような特定がない点
<相違点7D>
「シリカ」に関し、本件発明7では「窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるのに対して、甲1組成物3発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点7Cについて
a 甲1組成物3発明は、「SBR2」を含有するものであって、上記ア(イ)aと同様に、「(発明(10))」に該当し、本件発明7から除かれているものであるから、相違点7Cは実質的な相違点である。
b そして、甲1には、油展ブタジエンゴムのビニル含量、スチレンブタジエンゴム(高分子量SBR)の結合スチレン量の好ましい範囲が記載されているものの(請求項1、【0025】、【0032】、【0034】)、「α1/α2」を調整することについては記載も示唆もされておらず、また、「α1/α2」を調整することが、当技術分野における技術常識であるともいえない。
そして、甲1において、本件発明7で特定されるシリカの含有量及び式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たす実施例及び比較例の全て(実施例1、2、6、7、10~21、23、比較例2~6、9、10)が、上記「SBR2」を使用しており、スチレン量及びビニル量が「SBR2」とは異なるスチレンブタジエンゴムであるSBR1、3又は4を用いた甲1の実施例4、8、9、22では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たしていない(順に、α1/α2=1.92、0.67、0.47、1.92と計算される。)ことも考慮すると、甲1の他の記載を考慮したとしても、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
したがって、相違点7Dについて検討するまでもなく、本件発明7は、甲1組成物3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
エ 甲1のその他の実施例及び比較例について
(ア)甲1の比較例2~5、9、10に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、これらの比較例は、いずれも「SBR2」を含有するものであるから、本件発明7とは、上記ア(ア)と同様の相違点7Aを少なくとも有することになり、上記ア(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)甲1の実施例1、2、6、7、10~14、16~21、23に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、これらの実施例は、いずれも「SBR2」を含有するものであるから、本件発明7とは、上記ウ(ア)と同様の相違点7Cを少なくとも有することになり、上記ウ(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
オ 小括
したがって、本件発明7は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明8について
ア 甲1組成物1発明との対比・判断
(ア)本件発明8と甲1組成物1発明とを対比する。
a 本件発明8と甲1組成物1発明とは、上記(2)ア(ア)のa~cと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明8と甲1組成物1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点8A>
「スチレンブタジエンゴム」に関し、本件発明8は、「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されているのに対し、甲1組成物1発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点8Aについて
a 甲1組成物1発明において、スチレンブタジエンゴムは、「SBR2(油展シリカ変性SBR、結合スチレン量41質量%、ビニル含量40モル%、ゴム成分100質量部に対してTDAEオイルを37.5質量部含有)」の1種類しか含有されていないから、相違点8Aは実質的な相違点である。
b 甲1の【0042】には、請求項1に特定される「高分子量油展BR、高分子量SBR以外の他のゴム成分を含んでもよい」と記載され、他のゴム成分として、「高分子量SBR以外のスチレンブタジエンゴム(SBR)」も挙げられているが、「α1/α2」を調整することについては記載も示唆もされていない。また、甲4には、タイヤ用ゴム組成物において、「これらのSBRは、単独で用いても構わないが、用途に応じてスチレン含有量などの物性が異なるSBRを併用することが、物性のバランスの点からより好ましい」(【0024】)と記載され、2種のSBRを使用した実施例2(【0090】)が示されており、甲5には、タイヤ用ゴム組成物において、2種のSBRを使用した実施例3(【0096】)が記載されているものの、甲4及び甲5にも、「α1/α2」を調整することについては記載も示唆もされていない。
そうすると、上記を含む甲1、甲4及び甲5の記載を考慮したとしても、「SBR2」の1種類を含有するものについて、計算をすると式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすに過ぎない甲1組成物1発明において、スチレン含有量等の物性が異なる他のスチレンブタジエンゴムを配合したうえで、「α1/α2」を調整することが動機づけられるとはいえず、「スチレンブタジエンゴム」を「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されていることと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
したがって、相違点8Aに係る発明特定事項は、甲1組成物1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲1組成物2発明との対比・判断
(ア)本件発明8と甲1組成物2発明とを対比する。
a 本件発明8と甲1組成物2発明とは、上記(2)イ(ア)のa~cと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明8と甲1組成物2発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有するタイヤ用ゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点8B>
「スチレンブタジエンゴム」に関し、本件発明8は、「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されているのに対し、甲1組成物2発明ではそのような特定がない点
<相違点8C>
本件発明1は、「下記式(A)を満たす」
「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」のに対し、甲1組成物2発明は、計算すると、α1/α2=0.67であり、式(A)を満たすものでない点
(イ)相違点8Bについて
甲1組成物2発明において、スチレンブタジエンゴムが、「SBR3」の1種類しか含有されていない点は、甲1組成物1発明と同様であるから、上記ア(イ)において述べたのと同様の理由により、相違点8Bに係る発明特定事項は、甲1組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
(ウ)相違点8Cについて
相違点8Cは、上記(2)イ(ア)の相違点1Bと同様であるから、その判断は、上記(2)イ(イ)で述べたとおりであり、相違点8Cに係る発明特定事項は、甲1組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 甲1組成物3発明との対比・判断
a 甲1組成物3発明は、甲1組成物1発明とは、無機補強剤として水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウムを含む点と、シランカップリング剤2の配合量がわずかに異なる点以外は同様の組成を有するから、本件発明8と甲1組成物3発明とは、上記ア(ア)のaと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明8と甲1組成物3発明とは、上記ア(ア)bと同一の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点8D>
「スチレンブタジエンゴム」に関し、本件発明1は、「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されているのに対し、甲1組成物3発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点8Dについて
甲1組成物3発明において、スチレンブタジエンゴムが、「SBR2」の1種類しか含有されていない点は、甲1組成物1発明と同様であるから、上記ア(イ)において述べたのと同様の理由により、相違点8Dに係る発明特定事項は、甲1組成物3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
エ 甲1のその他の実施例及び比較例について
(ア)甲1の比較例2~5、9、10に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、これらの比較例は、いずれもスチレンブタジエンゴムが、「SBR2」の1種類しか含有されていないから、本件発明8とは、上記ア(ア)と同様の相違点8Aを有することになり、上記ア(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)甲1の実施例1、2、6、7、10~14、16~21、23に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、これらの実施例は、いずれもスチレンブタジエンゴムが、「SBR2」の1種類しか含有されていないから、本件発明8とは、上記ウ(ア)と同様の相違点8Dを少なくとも有することになり、上記ウ(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
オ 小括
したがって、本件発明8は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明10について
ア 甲1タイヤ1発明との対比・判断
(ア)本件発明10と甲1タイヤ1発明とを対比する。
a 上記(2)ア(ア)a~cのとおり、甲1タイヤ1発明の「甲1組成物1発明の未加硫ゴム組成物」は、本件発明10の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」と、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」とを含有し、「0.9≦α1/α2≦1.2」である「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
b 甲1タイヤ1発明の「試験用タイヤ」は、甲1の【0001】及び【0006】の記載からみて、「空気入りタイヤ」であることは明らかである。
c 上記a及びbによれば、本件発明10と甲1タイヤ1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点10A>
本件発明10は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1タイヤ1発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点10Aについて
上記(6)ア(イ)において、相違点7Aについて述べたのと同様の理由により、甲1タイヤ1発明において、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点10Aに係る発明特定事項は、甲1タイヤ1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲1タイヤ2発明との対比・判断
本件発明10と甲1タイヤ2発明とを対比すると、両者は、「未加硫ゴム組成物」について、上記(2)イ(ア)のa~cと同様の相当関係があり、少なくとも、相違点1Bと同一の相違点を有する。そして、相違点1Bについての判断は、上記(2)イ(イ)で述べたとおりであり、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1タイヤ2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 甲1タイヤ3発明との対比・判断
(ア)本件発明10と甲1タイヤ3発明とを対比する。
a 甲1タイヤ3発明は、甲1タイヤ1発明とは、「未加硫ゴム組成物」において、無機補強剤として水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウムを含む点と、シランカップリング剤2の配合量がわずかに異なる点以外は同様の組成を有するから、本件発明10と甲1タイヤ3発明とは、上記ア(ア)のa及びbと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明10と甲1タイヤ3発明とは、上記ア(ア)cと同一の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点10B>
本件発明10は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1タイヤ3発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点10Bについて
上記(6)ウ(イ)において、相違点7Cについて述べたのと同様の理由により、甲1タイヤ3発明において、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
したがって、相違点10Bに係る発明特定事項は、甲1タイヤ3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
エ 甲1のその他の実施例及び比較例について
(ア)甲1の比較例2~5、9、10に基づいて、「空気入りタイヤ」の発明を認定した場合には、本件発明10とは、上記ア(ア)と同様の相違点10Aを有することになり、上記ア(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)甲1の実施例1、2、6、7、10~14、16~21、23に基づいて、「空気入りタイヤ」の発明を認定した場合には、本件発明10とは、上記ウ(ア)と同様の相違点10Bを有することになり、上記ウ(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
オ 小括
したがって、本件発明10は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(9)本件発明11について
本件発明11は、「・・・タイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く)を用いて作製した空気入りタイヤ。」に係る発明であり、当該「タイヤ用ゴム組成物」については、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点がさらに特定された他は、本件発明1と同一の特定事項を有するものである。そして、上記(8)ア(ア)bで述べたように、甲1タイヤ1~3発明等の「試験用タイヤ」は、「空気入りタイヤ」であることが明らかである。
そうすると、本件発明11は、甲1タイヤ1~3発明等との間に、上記(2)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(2)で述べたとおりである。
したがって、本件発明11は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(10)本件発明12、16について
本件発明12は、「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」である点がさらに特定され、また、本件発明16は、「前記シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上」である点がさらに特定されている他は、いずれも本件発明10と同一の特定事項を有するから、甲1タイヤ1~3発明等との間に、上記(8)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(8)で述べたとおりである。
したがって、本件発明12及び16は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(11)本件発明13について
ア 甲1タイヤ1発明との対比・判断
(ア)本件発明13と甲1タイヤ1発明とを対比する。
a 本件発明13と甲1タイヤ1発明とは、上記(8)ア(ア)のa及びbと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明13と甲1タイヤ1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有し、
下記式(A)を満たすタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点13A>
本件発明13は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」(当審注:「(発明(13))」~「(発明(15))」は上記第3のとおりであり省略する。以下単に「(発明(13))」等ということがある。以下同様。)と特定されているのに対し、甲1タイヤ1発明は、そのような特定がない点
<相違点13B>
「シリカ」に関し、本件発明13では「窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるのに対し、甲1タイヤ1発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点13Aについて
a 甲1タイヤ1発明は、「甲1組成物1発明の未加硫ゴム組成物」における総スチレン量(α1)は、上記(2)ア(ア)cで計算したとおり、「32.8」であって、「(発明(13)) ゴム成分中の総スチレン量が32.8であるゴム組成物。」に該当し、本件発明13から除かれているものであるから、相違点13Aは実質的な相違点である。
b そして、甲1の他の記載を考慮しても、比較例6に基づいて、組成物の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえないから、甲1タイヤ1発明において、「(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、相違点13Bについて検討するまでもなく、本件発明13は、甲1タイヤ1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲1タイヤ2発明との対比・判断
本件発明13と甲1タイヤ2発明とを対比すると、両者は、「未加硫ゴム組成物」について、上記(2)イ(ア)のa~cと同様の相当関係があり、少なくとも、相違点1Bと同一の相違点を有する。そして、相違点1Bについての判断は、上記(2)イ(イ)で述べたとおりであり、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は、甲1タイヤ2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
ウ 甲1タイヤ3発明との対比・判断
(ア)本件発明13と甲1タイヤ3発明とを対比する。
a 甲1タイヤ3発明は、甲1タイヤ1発明とは、「未加硫ゴム組成物」において、無機補強剤として水酸化マグネシウムの代わりに水酸化アルミニウムを含む点と、シランカップリング剤2の配合量がわずかに異なる点以外は同様の組成を有するから、本件発明13と甲1タイヤ3発明とは、上記ア(ア)のaと同様の相当関係がある。
b そうすると、本件発明13と甲1タイヤ3発明とは、上記ア(ア)bと同一の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点13C>
本件発明13は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲1タイヤ3発明は、そのような特定がない点
<相違点13D>
「シリカ」に関し、本件発明13では「窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるのに対し、甲1タイヤ3発明ではそのような特定がない点
(イ)相違点13Cについて
a 甲1タイヤ3発明の総スチレン量(α1)を計算すると、上記ア(イ)と同じく「32.8」であって、「(発明(13))」に該当し、本件発明13から除かれているものであるから、相違点13Cは実質的な相違点である。
b そして、甲1には、スチレンブタジエンゴム(高分子量SBR)の結合スチレン量の好ましい範囲や、高分子量油展BRと高分子量SBRの配合比率の好ましい範囲が記載されているものの(請求項1、【0032】、【0041】)、「α1/α2」を調整することについては記載も示唆もされておらず、また、「α1/α2」を調整することが、当技術分野における技術常識であるともいえない。
そして、本件発明13で特定されるシリカの含有量及び式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たす実施例及び比較例の全て(甲1の実施例1、2、6、7、10~21、23、比較例2~6、9、10)が、「SBR2」を使用しており、総スチレン量(α1)を計算すると、「32.8」であるのに対し、SBR2以外のスチレンブタジエンゴムであるSBR1、3又は4を用い、総スチレン量が「32.8」と異なる甲1の実施例4、8、9、22では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たしていないことも考慮すると、甲1の他の記載を考慮したとしても、「(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
したがって、相違点13Dについて検討するまでもなく、本件発明13は、甲1タイヤ3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
エ 甲1のその他の実施例及び比較例について
(ア)甲1の比較例2~5、9、10に基づいて、「空気入りタイヤ」の発明を認定した場合には、本件発明13とは、上記ア(ア)と同様の相違点13Aを有することになり、上記ア(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
(イ)甲1の実施例1、2、6、7、10~14、16~21、23に基づいて、「空気入りタイヤ」の発明を認定した場合には、本件発明13とは、上記ウ(ア)と同様の相違点13Cを有することになり、上記ウ(イ)と同様に、当業者が容易に想到し得たものではない。
オ 小括
したがって、本件発明13は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(12)本件発明14、15、17について
本件発明14は、「シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるという特定がなく、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点及び「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」である点がさらに特定され、本件発明15は、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点がさらに特定され、本件発明17は、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点及び「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」である点がさらに特定されている他は、いずれも本件発明13と同一の特定事項を有するから、甲1タイヤ1~3発明等との間に、上記(11)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(11)で述べたとおりである。
したがって、本件発明14、15及び17は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(13)本件発明18、20~22について
本件発明18は、「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」及び「シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるという特定がなく、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点がさらに特定され、本件発明20は、「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」であるという特定がなく、本件発明21は、「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」であるという特定がなく、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点がさらに特定され、本件発明22は、「メルカプト系シランカップリング剤」を含有する点がさらに特定されている他は、いずれも本件発明7と同一の特定事項を有するから、甲1組成物1~3発明等との間に、上記(6)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(6)で述べたとおりである。
したがって、本件発明18、20~22は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(14)本件発明19について
本件発明19は、「・・・タイヤ用ゴム組成物(ただし、以下の(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く)。」に係る発明であり、当該「タイヤ用ゴム組成物」については、「シリカの窒素吸着比表面積が220m2/g以上」であるという特定がなく、「前記ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が35質量部以上」である点がさらに特定された他は、本件発明13における「タイヤ用ゴム組成物」と同一の特定事項を有するものである。
そうすると、本件発明19は、甲1組成物1~3発明等との間に、上記(11)において検討したのと同一の相違点を少なくとも有し、それらの相違点についての判断も上記(11)で述べたとおりである。
したがって、本件発明19は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(15)申立人の主張について
ア 申立人は、令和6年7月3日提出の意見書において、甲1からの新規性、進歩性について、概略以下のように主張する。
(ア)訂正後の請求項1~3、5、6、11、16について
甲1の開示に触れた当業者が、たとえば、シリカやカーボンブラックの窒素吸着比表面積を微調整して、発明(1)で特定されている発明とは異なる組成物とすることや、硫黄の量を微調整して、発明(2)~発明(5)、発明(7)、発明(8)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、適宜なし得ることである(2頁下から3行~3頁4行)。
(イ)訂正後の請求項7、10、12、18、20~22について
甲1の[0032]及び[0034]の記載に基づき、甲1の実施例1等において、スチレンブタジエンゴムのスチレン量やビニル量を微調整して、発明(10)~発明(12)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、当業者が適宜なし得ることである(3頁8~19行)。
(ウ)訂正後の請求項13~15、17、19について
甲1の[0032]及び[0041]の記載に基づき、甲1の実施例1等において、スチレンブタジエンゴムのスチレン量や、スチレンブタジエンゴムとブタジエンゴムの比率を微調整して、これにより、総スチレン量を微調整し、発明(13)~発明(15)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、当業者が適宜なし得ることである(3頁下から3行~4頁11行)。
(エ)訂正後の請求項8について
タイヤ用のゴム組成物の技術において、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムを用いることは、甲4、甲5にも記載があるように、周知技術であり、当業者が容易に想到できたものである(4頁17~21行)。
イ 検討
(ア)上記ア(ア)について
上記(2)ウにおいて述べたように、「(発明(1))」は、甲1の請求項1に対応するものであるから、甲1の請求項1を具体化した各実施例について、たとえ、シリカやカーボンブラックの窒素吸着比表面積を微調整したとしても、「(発明(1))」で特定されている発明とは異なる組成物に到達することはできない。また、甲1の各比較例は、甲1において好ましくないものとして記載されているのであるから、比較例の組成物に基づいて、硫黄の量を微調整する等の改変を行う動機付けはない。
(イ)上記ア(イ)について
甲1の【0032】には、高分子量SBRの「結合スチレン量」について好ましい範囲が記載されており、【0034】には、高分子量SBRの「ビニル含量」について好ましい範囲が記載されているものの、上記(6)ウにおいて述べたように、スチレン量及びビニル量が「SBR2」とは異なるSBR1、3又は4を用いた実施例4、8、9、22では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たさないことをみても、高分子量SBRとして、「結合スチレン量」及び「ビニル含量」が「SBR2」と異なるものを用いた場合には、「α1/α2」を満たさなくなる可能性が高いものと解されるところ、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていない甲1の記載に基づいて、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
(ウ)上記ア(ウ)について
甲1の【0032】には、高分子量SBRの「結合スチレン量」について好ましい範囲が記載されており、【0041】には、高分子量油展BRと高分子量SBRの配合比率の好ましい範囲が記載されているものの、上記(11)ウにおいて述べたように、SBR2以外のスチレンブタジエンゴムであるSBR1、3又は4を用い、総スチレン量が「32.8」と異なる甲1の実施例4、8、9、22では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たしていないことから、高分子量SBRの「結合スチレン量」や配合比率が、所定の「BR」及び「SBR2」を用いた実施例と異なる場合には、「α1/α2」を満たさなくなる可能性が高いものと解されるところ、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていない甲1の記載に基づいて、「(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
(エ)上記ア(エ)について
上記(7)ア(イ)で述べたとおり、甲1の実施例には、「SBR2」の1種類を含有するものについて、計算をすると式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすことが記載されているのみであり、甲1、甲4及び甲5には、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていないから、甲1、甲4及び甲5に、スチレン含有量等の物性が異なる複数のスチレンブタジエンゴムを併用できることが記載されているとしても、スチレン含有量等の物性が異なる他のスチレンブタジエンゴムを配合したうえで、「α1/α2」を調整することが動機づけられるとはいえず、「スチレンブタジエンゴム」を「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されていることと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
以上のとおりであるから、上記アの申立人の主張はいずれも採用できない。
(16)取消理由1及び取消理由2並びに申立理由1及び申立理由2(甲1を主引用例とする新規性及び進歩性)についてのまとめ
よって、取消理由1及び取消理由2並びに申立理由1及び申立理由2(甲1を主引用例とする新規性及び進歩性)によっては、本件発明1~3、5~8、10~22についての特許を取り消すことはできない。
2 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった申立理由1及び申立理由2(甲2を主引用例とする新規性及び進歩性)について
甲2を主引用例とする申立理由の本件訂正前の対象請求項1、2、4~9は、本件訂正後の請求項1、2、5~8、10~22に対応するから、これらの請求項について検討する。
(1)甲2に記載された発明
甲2の比較例1(【0075】の【表1】、【0062】、【0063】、【0067】~【0069】)に着目すると、甲2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「高シスBR(シス含量:96質量%)を30質量部と、変性SBR(スチレン含量25質量%、ビニル含量28モル%、Mw/Mn=1.1、Mw60万)を70質量部と、シリカ1(N2SA240m2/g、CTAB200m2/g)を80質量部と、シリカ2(N2SA200m2/g、CTAB155m2/g)を50質量部と、シランカップリング剤(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を8質量部と、カーボンブラック(N2SA114m2/g)を5質量部と、TDAEオイルを10質量部と、C5/C9樹脂を50質量部と、ステアリン酸を0.5質量部と、加硫促進剤1を1.5質量部と、老化防止剤を2質量部と、酸化亜鉛を1質量部の混練り物に、硫黄を2質量部、ステアリン酸を1質量部、加硫促進剤1を0.5質量部、加硫促進剤2を2.5質量部練り込んで得た未加硫ゴム組成物。」(以下、「甲2組成物発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 甲2組成物発明との対比・判断
(ア)本件発明1と甲2組成物発明とを対比する。
a 甲2組成物発明の「高シスBR(シス含量:96質量%)」はブタジエンゴムであり、「変性SBR(スチレン含量25質量%、ビニル含量28モル%、Mw/Mn=1.1、Mw60万)」はスチレンブタジエンゴムであるから、これらは本件発明1の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」に相当する。
そして、甲2組成物発明の「未加硫ゴム組成物」中には、上記ゴム成分が100質量部(=30+70)含まれるのに対して、シリカ1が80質量部、シリカ2が50質量部含まれるから、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」を含有するものに相当する。
b 甲2組成物発明の「未加硫ゴム組成物」はそれを用いてタイヤを製造するものであるから(【0067】~【0069】)、「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
c 甲2組成物発明の「未加硫ゴム組成物」における、α1/α2(α1:ゴム成分中の総スチレン量(質量%)、α2:ゴム成分中の総ビニル量(質量%))を計算する。
α1=0×0.3+25×0.7=17.5(質量%)
高シスBR(シス含量:96質量%)のビニル含量は、最小で0質量%、最大で4質量%であるから、
高シスBRのビニル含量が0質量%のとき、
α2=0×0.3+28×0.7=19.6(質量%)
高シスBRのビニル含量が4質量%のとき、
α2=4×0.3+28×0.7=20.8(質量%)
そうすると、α1/α2は、最小で0.84(=17.5/20.8)、最大で0.89(=17.5/19.6)となる。
d 上記a~cによれば、本件発明1と甲2組成物発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有するタイヤ用ゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2A>
本件発明1は、「下記式(A)を満たす」
「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」のに対し、甲2組成物発明は、計算すると、α1/α2が、最小で0.84、最大で0.89であり、式(A)を満たすものでない点
<相違点2B>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲2組成物発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点2Aについて
甲2には、スチレンブタジエンゴムのスチレン含量、ビニル含量の好ましい範囲が記載されているものの(請求項2、【0021】、【0022】)、ゴム成分中の総スチレン量、総ビニル量及びそれらの比である「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされておらず、また、「α1/α2」を調整することが、当技術分野における技術常識であるともいえないから、甲2組成物発明において、当業者が「式(A)を満たす」ように組成の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえない。
したがって、相違点2Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲2組成物発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 小括
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2、5~7、10~22について
本件発明2、5~7、10~22は、上記(2)ア(ア)dにおいて一致点とした特定事項を有する点において本件発明1と共通し、甲2組成物発明との間に、上記(2)ア(ア)dにおいて検討した相違点2Aを少なくとも有するものである。そして、上記(2)ア(イ)で述べたとおり、相違点2Aに係る発明特定事項は、甲2組成物発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2、5~7、10~22は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明8について
本件発明8は、上記(2)ア(ア)dにおいて一致点とした特定事項を有する点において本件発明1と共通し、甲2組成物発明との間に、上記(2)ア(ア)dにおいて検討した相違点2Aを少なくとも有するものである。そして、上記(2)ア(イ)で述べたとおり、相違点2Aに係る発明特定事項は、甲2組成物発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
また、甲4及び甲5には、上記1(7)ア(イ)の事項が記載されているが、甲4及び甲5の記載を併せ考慮してみても、甲2組成物発明において、相違点2Aに係る「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすものとすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)申立人の主張について
ア 申立人は、令和6年7月3日提出の意見書において、甲2からの新規性、進歩性について、概略以下のように主張する。
(ア)訂正後の請求項1~3、7、10、12、13、16、19、20について
甲2の実施例1、2、比較例1~4は、訂正後の請求項1~3、7、10、12、13、16、19、20に係る発明の範囲内にあるものであり、新規性及び進歩性を有しない(8頁5~20行)。
(イ)訂正後の請求項5、11、14、15、17、18、21、22について
甲2の[0035]の記載に基づき、甲2の実施例1等において、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系のシランカップリング剤を使用することは、当業者が適宜なし得ることである(8頁23頁~9頁2行)。
(ウ)訂正後の請求項8について
タイヤ用のゴム組成物の技術において、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムを用いることは、甲4、甲5にも記載があるように、周知技術であり、当業者が容易に想到できたものである(9頁9~13行)。
イ 検討
(ア)上記ア(ア)について
甲2組成物発明(比較例1)については、上記のとおり、α1/α2が最大で0.89であり、甲2の実施例1、2、比較例2~4についても計算すると、いずれも最大で0.89であって、式(A)を満たすものはない。たとえ、甲2の実施例1、2、比較例1~4において計算したα1/α2が最大で0.89と、上記式(A)の範囲と近接していたとしても、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていない甲2の記載に基づいて、上記実施例及び比較例において、当業者が「式(A)を満たす」ように組成の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえず、訂正後の本件発明1等について当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(イ)上記ア(イ)及び(ウ)について
上記(ア)のとおり、甲2の実施例1、2、比較例1~4において、当業者が「式(A)を満たす」ようにすることを容易に想到し得たものといえない以上、その他の相違点について検討するまでもなく、訂正後の本件発明5、8等について当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、上記アの申立人の主張は採用できない。
(6)申立理由1及び申立理由2(甲2を主引用例とする新規性及び進歩性)についてのまとめ
よって、申立理由1及び申立理由2(甲2を主引用例とする新規性及び進歩性)によっては、本件発明1、2、5~8、10~22についての特許を取り消すことはできない。
3 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった申立理由1及び申立理由2(甲3を主引用例とする新規性及び進歩性)について
甲3を主引用例とする申立理由の本件訂正前の対象請求項1、4、6~9は、本件訂正後の請求項1、6、8、10、11、13、15、18、20、21に対応するから、これらの請求項について検討する。
(1)甲3に記載された発明
ア 甲3の比較例2(【0068】の【表1】、【0055】~【0057】、【0062】)に着目すると、甲3には以下の発明が記載されていると認められる。
「SBR2(未変性S-SBR、スチレン含有量:30質量%、ビニル結合量:46モル%、SP値:17.67、Tg:-28℃、Mw:48万、非油展)を80質量部、BR(シス-1,4結合含量:96%、SP値:17.17(J/cm3)1/2)を20質量部、シリカ(N2SA:175m2/g)を80質量部、カーボンブラック(N2SA:96m2/g、DBP吸油量:124ml/100g)を5質量部、シランカップリング剤(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を8質量部、オイルを25質量部、老化防止剤を2質量部、ステアリン酸を2質量部、酸化亜鉛を2質量部、ワックスを2質量部の混練り物に、硫黄を1.5質量部、加硫促進剤1を2質量部、加硫促進剤2を2質量部練り込んで得た、未加硫ゴム組成物。」(以下、「甲3組成物1発明」という。)
イ また、甲3の比較例3(【表1】及び【0062】)に着目すると、甲3には以下の発明が記載されていると認められる。
「SBR3(未変性S-SBR、スチレン含有量:35質量%、ビニル結合量:55モル%、SP値:17.74、Tg:-20℃、Mw:45万、非油展)を80質量部、BR(シス-1,4結合含量:96%、SP値:17.17(J/cm3)1/2)を20質量部、シリカ(N2SA:175m2/g)を80質量部、カーボンブラック(N2SA:96m2/g、DBP吸油量:124ml/100g)を5質量部、シランカップリング剤(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を8質量部、オイルを25質量部、老化防止剤を2質量部、ステアリン酸を2質量部、酸化亜鉛を2質量部、ワックスを2質量部の混練り物に、硫黄を1.5質量部、加硫促進剤1を2質量部、加硫促進剤2を2質量部練り込んで得た、未加硫ゴム組成物。」(以下、「甲3組成物2発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 甲3組成物1発明との対比・判断
(ア)本件発明1と甲3組成物1発明とを対比する。
a 甲3組成物1発明の「BR(シス-1,4結合含量:96%、SP値:17.17(J/cm3)1/2)」はブタジエンゴムであり、「SBR2(未変性S-SBR、スチレン含有量:30質量%、ビニル結合量:46モル%、SP値:17.67、Tg:-28℃、Mw:48万、非油展)」はスチレンブタジエンゴムであるから、これらは本件発明1の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」に相当する。
そして、甲3組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」中には、上記ゴム成分が100質量部(=80+20)含まれるのに対して、シリカが80質量部含まれるから、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」を含有するものに相当する。
b 甲3組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」はそれを用いてタイヤを製造するものであるから(【0062】)、「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
c 甲3組成物1発明の「未加硫ゴム組成物」における、α1/α2(α1:ゴム成分中の総スチレン量(質量%)、α2:ゴム成分中の総ビニル量(質量%))を計算する。
α1=0×0.2+30×0.8=24(質量%)
BR(シス-1,4結合含量:96%)のビニル含量は、最小で0質量%、最大で4質量%であるから、
BRのビニル含量が0質量%のとき、
α2=0×0.2+46×0.8=36.8(質量%)
BRのビニル含量が4質量%のとき
α2=4×0.2+46×0.8=37.6(質量%)
そうすると、α1/α2は、最小で0.64(=24/37.6)、最大で0.65(=24/36.8)となる。
d 上記a~cによれば、本件発明1と甲3組成物1発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有するタイヤ用ゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3A>
本件発明1は、「下記式(A)を満たす」
「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」のに対し、甲3組成物1発明は、計算すると、α1/α2が、最小で0.64、最大で0.65であり、式(A)を満たすものでない点
<相違点3B>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲3組成物1発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点3Aについて
甲3の他の記載を考慮しても、比較例2に基づいて、組成物の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえないから、甲3組成物1発明において、当業者が「式(A)を満たす」ように組成の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえない。
したがって、相違点3Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲3組成物1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 甲3組成物2発明との対比・判断
本件発明1と甲3組成物2発明とを対比する。
a 甲3組成物2発明の「BR(シス-1,4結合含量:96%、SP値:17.17(J/cm3)1/2)」はブタジエンゴムであり、「SBR3(未変性S-SBR、スチレン含有量:35質量%、ビニル結合量:55モル%、SP値:17.74、Tg:-20℃、Mw:45万、非油展)」はスチレンブタジエンゴムであるから、これらは本件発明1の「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分」に相当する。
そして、甲3組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」中には、上記ゴム成分が100質量部(=80+20)含まれるのに対して、シリカが80質量部含まれるから、「ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカ」を含有するものに相当する。
b 甲3組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」はそれを用いてタイヤを製造するものであるから(【0062】)、「タイヤ用ゴム組成物」に相当する。
c 甲3組成物2発明の「未加硫ゴム組成物」における、α1/α2(α1:ゴム成分中の総スチレン量(質量%)、α2:ゴム成分中の総ビニル量(質量%))を計算する。
α1=0×0.2+35×0.8=28(質量%)
BRのビニル含量が0質量%のとき、
α2=0×0.2+55×0.8=44(質量%)
BRのビニル含量が4質量%のとき
α2=4×0.2+55×0.8=44.8(質量%)
そうすると、α1/α2は、最小で0.63(=28/44.8)、最大で0.64(=28/44)となる。
d 上記a~cによれば、本件発明1と甲3組成物2発明とは、
「スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、
前記ゴム成分100質量部に対する含有量が80質量部以上のシリカとを含有するタイヤ用ゴム組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3C>
本件発明1は、「下記式(A)を満たす」
「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2
α1:ゴム成分中の総スチレン量[質量%]
α2:ゴム成分中の総ビニル量[質量%]」のに対し、甲3組成物2発明は、計算すると、α1/α2が、最小で0.63、最大で0.64であり、式(A)を満たすものでない点
<相違点3D>
本件発明1は、タイヤ用ゴム組成物について、「ただし、以下の(発明(1))~(発明(9))のゴム組成物を除く」と特定されているのに対し、甲3組成物2発明は、そのような特定がない点
(イ)相違点3Cについて
甲3の他の記載を考慮しても、比較例4に基づいて、組成物の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえないから、甲3組成物2発明において、当業者が「式(A)を満たす」ように組成の何らかの改変を行う動機付けがあるとはいえない。
したがって、相違点3Dについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲3組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
イ 小括
したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明6、10、11、13、15、18、20、21
本件発明6、10、11、13、15、18、20、21は、上記(2)ア(ア)dにおいて一致点とした特定事項を有する点において本件発明1と共通し、甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明との間に、上記(2)ア(ア)d又はイ(ア)dにおいて検討した相違点3A又は3Cを少なくとも有するものである。そして、上記(2)ア(イ)又はイ(イ)で述べたとおり、相違点3A又は3Cに係る発明特定事項は、甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6、10、11、13、15、18、20、21は、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明8
本件発明8は、上記(2)ア(ア)dにおいて一致点とした特定事項を有する点において本件発明1と共通し、甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明との間に、上記(2)ア(ア)d又はイ(ア)dにおいて検討した相違点3A又は3Cを少なくとも有するものである。そして、上記(2)ア(イ)又はイ(イ)で述べたとおり、相違点3A又は3Cに係る発明特定事項は、甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
また、甲4及び甲5には、上記1(7)ア(イ)の事項が記載されているが、甲4及び甲5の記載を併せ考慮してみても、甲2組成物発明において、相違点3A又は3Cに係る「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすものとすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)申立人の主張について
ア 申立人は、令和6年7月3日提出の意見書において、甲3からの新規性、進歩性について、概略以下のように主張する。
(ア)訂正後の請求項1~3、5、6、11、16について
甲3の開示に触れた当業者が、たとえば、SP値が17.8(J/cm3)1/2以上であるゴム成分Aに対するSP値の差が微調整されたゴム成分を使用して、発明(9)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、適宜なし得ることであるといえる(5頁5~8行)。
(イ)訂正後の請求項7、10、12、18、20~22について
甲3の[0022]及び[0023]の記載に基づき、甲3の実施例3等において、スチレンブタジエンゴムのスチレン量やビニル量を微調整して、発明(10)~発明(12)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、当業者が適宜なし得ることである(5頁11行~下から3行)。
(ウ)訂正後の13~15、17、19について
甲3の[0022]及び[0026]の記載に基づき、甲3の実施例3等において、スチレンブタジエンゴムのスチレン量や、スチレンブタジエンゴムとブタジエンゴムの比率を微調整して、これにより、総スチレン量を微調整し、発明(13)~発明(15)で特定されている発明とは異なる組成物とすることは、当業者が適宜なし得ることである(6頁4~16行)。
(エ)訂正後の請求項8について
タイヤ用のゴム組成物の技術において、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムを用いることは、甲4、甲5にも記載があるように、周知技術であり、当業者が容易に想到できたものである(6頁下から5行~最終行)。
イ 検討
(ア)上記ア(ア)について
a 上記(2)において述べたとおり、甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明については、相違点3B又は3Dについて検討するまでもなく、相違点3A又は3Cに係る発明特定事項について、当業者が容易に想到し得たものではない。また、甲3の各比較例は、甲1において好ましくないものとして記載されているのであるから、比較例の組成物に基づいて、硫黄の量を微調整する等の改変を行う動機付けはない。
b 甲3の実施例4、5に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすものと認められるから(α1/α2が、実施例4では、最小1.13、最大1.17、実施例5では、最小1.15、最大1.20)、本件発明1等の「(発明(9))」が除かれている点が相違点となる。
しかし、「(発明(9))」は、甲3の請求項1に対応するものであるから、甲3の請求項1を具体化した各実施例について、たとえ、SP値の差を微調整したとしても、「(発明(9))」で特定されている発明とは異なる組成物とすることはできない。
(イ)上記ア(イ)について
a 上記(2)において述べたとおり、甲3の各比較例は、甲1において好ましくないものとして記載されているのであるから、比較例の組成物に基づいて、スチレンブタジエンゴムのスチレン量やビニル量を微調整する等の改変を行う動機付けはない。
b 甲3の実施例4、5に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、実施例3の「SBR6」及び実施例4の「SBR7」が、「(発明(11))」及び「(発明(12))」に該当するから、本件発明7等の「(発明(10))~(発明(12))」が除かれている点が相違点となる。
しかし、甲3の【0022】には、SBRの「スチレン含有量」について好ましい範囲が記載されており、【0023】には、SBRの「ビニル結合量」について好ましい範囲が記載されているものの、実施例3の「SBR6」及び実施例4の「SBR7」以外のスチレンブタジエンゴムであるSBR5又は8を用いた実施例1、2、5~9では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たさないことをみても、SBRの「スチレン含有量」及び「ビニル結合量」が、「SBR6」又は「SBR7」と異なるものを用いた場合には、「α1/α2」を満たさなくなる可能性が高いものと解されるところ、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていない甲3の記載に基づいて、「(発明(10))~(発明(12))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
(ウ)上記ア(ウ)について
a 上記(2)において述べたとおり、甲3の各比較例は、甲1において好ましくないものとして記載されているのであるから、比較例の組成物に基づいて、スチレンブタジエンゴムのスチレン量や、スチレンブタジエンゴムとブタジエンゴムの比率を微調整する等の改変を行う動機付けはない。
b 甲3の実施例4、5に基づいて、「未加硫ゴム組成物」の発明を認定した場合には、実施例3及び実施例4について総スチレン量を計算すると、「(発明(14))」及び「(発明(15))」に該当するから、本件発明13等の「(発明(13))~(発明(15))」が除かれている点が相違点となる。
しかし、甲3の【0022】には、SBRの「スチレン含有量」について好ましい範囲が記載されており、【0026】には、SP値が17.8(J/cm3)1/2以上であるゴム成分Aのゴム成分中の含有量の好ましい範囲が記載されているものの、実施例3の「SBR6」及び実施例4の「SBR7」以外のスチレンブタジエンゴムであるSBR5又は8を用い、総スチレン量が「28.0」又は「24.0」と異なる甲3の実施例1、2、5~9では、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たしていないことから、SBRの「スチレン含有量」及びゴム成分中の含有量が、所定の「BR」並びに「SBR6」及び「SBR7」を用いた実施例と異なる場合には、「α1/α2」を満たさなくなる可能性が高いものと解されるところ、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていない甲3の記載に基づいて、「(発明(13))~(発明(15))のゴム組成物を除く」ことと、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることを共に満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
(エ)上記ア(エ)について
a 甲3組成物1発明又は甲3組成物2発明については、他の相違点について検討するまでもなく、相違点3A又は3Cに係る発明特定事項について、当業者が容易に想到し得たものではない。
b 甲3の実施例3又は4の組成物には、「SBR6」又は「SBR7」の1種類を含有するものについて、計算をすると式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」を満たすことが記載されているのみであり、甲3には、「α1/α2」を調整することについて記載も示唆もされていないから、甲4(【0024】)、甲5(【0096】)に、スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムを併用できることが記載されているとしても、「スチレンブタジエンゴム」を「スチレン量及び/又はビニル量が異なる複数のスチレンブタジエンゴムで構成」されているものとしたうえで、式「(A) 0.9≦α1/α2≦1.2」であることも満たす組成物とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
以上のとおりであるから、上記アの申立人の主張はいずれも採用できない。
(6)申立理由1及び申立理由2(甲3を主引用例とする新規性及び進歩性)についてのまとめ
よって、申立理由1及び申立理由2(甲3を主引用例とする新規性及び進歩性)によっては、本件発明1、6、8、10、11、13、15、18、20、21についての特許を取り消すことはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、当審で通知した取消理由通知(決定の予告)の取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~3、5~8、10~22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3、5~8、10~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件訂正により請求項4、9は削除されたので、請求項4、9に係る特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700084