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特許異議申立

2025-700380

再生アスファルト混合物の製造方法及び製造装置

審判番号
2025-700380
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-034616
登録番号
7565694
請求日
2025年04月02日
審決日
2025年12月15日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社NIPPO
  • 【権利者代理人】西澤 和純
  • 【権利者代理人】大浪 一徳
  • 【権利者代理人】佐藤 彰雄
  • 【権利者代理人】松本 将尚
  • 【権利者代理人】棚井 澄雄
  • 【権利者代理人】鈴木 慎吾
  • 【異議申立人】藤央 弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 石川 信也
  • 審判官 立澤 正樹
分類
P1651.121-YA (E01C) / P1651.537-YA (E01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7565694号発明「再生アスファルト混合物の製造方法及び製造装置」の特許異議事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7565694号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 特許第7565694号の請求項1、2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7565694号(以下、「本件特許」という。)の請求項1、2に係る特許についての出願は、令和2年3月2日に出願され、令和6年10月3日にその特許権の設定登録がされ、同月11日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和7年4月2日に特許異議申立人 藤央弁理士法人(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てが請求項1、2に対してされた。 その後の手続等の概要は、以下のとおりである。 令和7年5月15日付け:手続補正指令書(方式) 同年6月13日 :特許異議申立書の手続補正書(方式)の受付 同年7月18日付け:取消理由通知 同年8月28日 :訂正請求書、意見書(特許権者)の提出 なお、申立人に対して、令和7年9月25日付け通知書により、訂正請求があった旨の通知をしたが、何ら応答もなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正請求の趣旨と訂正の内容 令和7年8月28日に提出された訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7565694号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、2のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。以下同様。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、 「アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級し、 旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材について、分離機によって前記第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離し、 分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級し、 前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し、 前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造し、 製造された前記アスファルトモルタルに、前記第三の再生骨材をミキサーで混合することで再生アスファルト混合物を製造することを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を、 「アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級する篩と、 旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材から旧アスファルトを剥離し分離する分離機と、 分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級する分級手段と、 前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合すると共に、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することでアスファルトモルタルを製造する混合釜と、 前記アスファルトモルタルと前記第三の再生骨材とを攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造するミキサーと、 を備えたことを特徴とする再生アスファルト混合物の製造装置。」 に訂正する。 2 本件訂正についての当審の判断 以下、訂正事項について、訂正の適否について検討する。 なお、本件においては、訂正前のすべての請求項について特許異議申立ての対象とされているので、訂正事項について特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」、及び「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」のそれぞれが、「粒径」が「0mm」の「再生骨材」を含むことにより「再生骨材」の意味が不明瞭であったのを、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」、及び「粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材」と記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であること 訂正事項1に関して、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」といい、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件明細書等」という。)には下記の記載がある。 「 【0019】 再生アスファルト混合物Aの製造装置1について、図1乃至図3により説明する。 図1は本発明の実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造装置1を示すものである。再生アスファルト混合物Aの製造装置1において、アスファルトを含む再生骨材を母材として、母材のアスファルト再生骨材Bは例えば6.3mmの網目の篩2からなる分級装置によって粒径5mm超、即ち粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材(粗骨材)aと、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材(細骨材)bとに分級するものとする。 なお、第一の再生骨材aは粒径5mm~0mmの範囲のものが含まれていてもよい。第一の再生骨材aには旧アスファルトが例えば2質量%程度含まれ、第二の再生骨材bには旧アスファルトが例えば8質量%程度含まれている。」 「 【0025】 整粒機3で破砕処理されたこれら第一の再生骨材aは篩4で再度分級され(ステップS3)、旧アスファルトがはく奪された粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材abと、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材bbとに分級される。この場合、第三の再生骨材abは第一の再生骨材aよりも旧アスファルトの含有量が少なくなっている。 次に、混合釜14において、それぞれ同程度(粒径5mm~0mm)に分級された第二の再生骨材bと第四の再生骨材bbを混合する(ステップS4)。この場合、第四の再生骨材bbは第一の再生骨材aから旧アスファルトが整粒機3で剥離されているため旧アスファルトの粉体等が含まれている。そのため、第二の再生骨材bと第四の再生骨材bbの混合物は粒度が細かく流動性が向上し、アスファルトの再生効率が高い。」 上記段落【0019】には、「分級装置によって粒径5mm超、即ち粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材(粗骨材)aと、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材(細骨材)bとに分級する」と記載されているが、「粒径」が「5mm」を超えるものとして、「粒径5mm超」と記載されている。 次に、上記段落【0019】、【0025】に記載されているように、「第二の再生骨材」は、「アスファルト再生骨材から、第一の再生骨材(粗骨材)と第二の再生骨材(細骨材)とに分級される」ことにより形成され、「第四の再生骨材と混合される」ものであり、「分級」され「混合される」ことからみて、実質的に「第二の再生骨材」、及び「第四の再生骨材」のいずれもが必ず存在するもの、すなわち、各「再生骨材」が「0mm」ではないものを含むことが記載されているといえる。 そして、上記各記載には「第二の再生骨材」の「粒径」の範囲が、「0mm」より大きいものが含まれるから、本件明細書ではその大きさを超えるものとして「超」という言葉が用いられていることを踏まえ、「0mm超」であることは明らかである。 よって、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」であること、及び、「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材」であることを明確にするものであり、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。よって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項2における「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」、及び「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」のそれぞれが、「0mm」の「再生骨材」を含むことにより「再生骨材」の意味が不明瞭であったのを、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」、及び「粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材」と記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であること 訂正事項2に関して、本件明細書には上記(1)イに摘記した記載がある。 上記(1)に示したのと同様に、上記段落【0019】、【0025】の記載からみて、「第二の再生骨材」及び「第四の再生骨材」が「0mm」ではないものを含むことが記載されているといえる。 したがって、上記各記載には「第二の再生骨材」の「粒径」の範囲が、「0mm」より大きいものが含まれるから、本件明細書ではその大きさを超えるものとして「超」という言葉が用いられていることを踏まえ、「0mm超」であることは明らかである。 よって、訂正事項2は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項2における「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」であること、及び、「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材」であることを明確にするものであり、特許請求の範囲の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。よって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 (3)小括 したがって、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 3 訂正の適否についての判断の小括 以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たすものである。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2で示したとおり、本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」といい、まとめて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径 5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級し、 旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材について、分離機によって前記第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離し、 分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級し、 前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し、 前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造し、 製造された前記アスファルトモルタルに、前記第三の再生骨材をミキサーで混合することで再生アスファルト混合物を製造することを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。 【請求項2】 アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径 5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級する篩と、 旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材から旧アスファルトを剥離し分離する分離機と、 分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級する分級手段と、 前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合すると共に、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合することでアスファルトモルタルを製造する混合釜と、 前記アスファルトモルタルと前記第三の再生骨材とを攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造するミキサーと、 を備えたことを特徴とする再生アスファルト混合物の製造装置。」 第4 証拠方法、特許異議申立理由の要旨、及び令和7年7月18日付けの取消理由通知書に記載した取消理由の要旨 1 証拠方法 申立人が提示する証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証等を「甲1」等といい、枝番の付いた甲第2号証の1等を「甲2-1」等という。 甲第1号証 :特開2008-208606号公報 甲第2号証の1 :Marius Huurman et al.、Low Emission2 Asphalt Pavement, LE2AP、6th Eurasphalt & Eurobitume Congress、2 JUNE 2016 甲第2号証の2 :Programme & Exhibition Catalogue、6th Eurasphalt & Eurobitume Congress、1-3 June 2016 甲第3号証の1 :Jian Qiu et. Al、Sustainable Warm In-plant SMA Mixtures with 80% Recycling and Produced at 115℃、Proceedings of the 5th International Symposium on Asphalt Pavements & Environment(APE)、Springer、pp.283-293、2020 甲第3号証の2 :Final Program、ISAP 2019 APE Symposium、September 11th-13th, 2019 甲第4号証 :国際公開第2014/168477号 なお、甲第2号証の1、甲第3号証の1、甲第4号証には、それぞれ抄訳文が合わせて提出されている。 2 特許異議申立理由の要旨 申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 特許異議申立理由1:特許法第29条第2項 本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証~甲第4号証に記載された第1及び第2の周知技術から容易想到であり、本件の請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証~甲第4号証に記載された第3及び第4の周知技術から容易想到であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 特許異議申立理由2:特許法第36条第6項第2号 本件の請求項1、2に係る発明の範囲が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていないので、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 3 令和7年7月18日付けの取消理由通知書に記載した取消理由の要旨 取消理由(明確性) 本件特許の請求項1及び2に係る特許は、その特許請求の範囲に「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」、「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」と記載されており、「粒径」「0mmの第二の再生骨材」、「粒径」「0mmの第四の再生骨材」をそれぞれ含むものとなっており、粒径0mmの再生骨材とはいかなるものを指すのか不明であり、発明の構成が明確ではない。 よって、本件特許の請求項1及び2に係る特許は、その特許請求の範囲が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願にされたものであり、同法113条4号に該当し取り消されるべきものである。 第5 当審合議体の判断 1 令和7年7月18日付け取消理由通知について (1)取消理由について ア 取消理由の詳細 令和7年7月18日付け取消理由通知により通知した取消理由の詳細は次のとおりである。 本件特許発明1及び本件特許発明2には、「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材」、「粒径5mm~0mmの第四の再生骨材」と記載されている。当該記載では、「粒径」「0mmの第二の再生骨材」、「粒径」「0mmの第四の再生骨材」をそれぞれ含むものとなっている。 しかし、粒径0mmの再生骨材とはいかなるものを指すのか、再生骨材がないことを示すのか、それとも、それ以外の意味を示すのか不明確である。 そのため、本件特許発明1及び本件特許発明2における「アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材と、に分級」する、及び、「前記第一の再生骨材を」、「粒径13mm~5mm超の第三の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第四の再生骨材と、に分級」することが、「0mm」の「再生骨材」を含めるものであるから、いかに「分級」を行っているのか不明確となっている。 その結果、本件特許発明1の「再生アスファルト混合物の製造方法」がいかに「再生アスファルト混合物」を「製造」し、また、本件特許発明2の「再生アスファルト混合物の製造装置」の構成により、いかに「再生アスファルト混合物」を「製造」できるのか不明確となっている。 イ 取消理由についての判断 本件訂正により、本件特許の請求項1、2に係る発明は、上記第3に記載したとおり、「第二の再生骨材」及び「第四の再生骨材」の「粒径」を「5mm~0mm超」とし、「0mm」の「再生骨材」が含まれないものに訂正されたため、「再生アスファルト混合物の製造方法」、もしくは、「再生アスファルト混合物の製造装置」の構成により、「再生骨材」を「分級」し、「再生アスファルト混合物」をいかに「製造」しているのかが明確となった。 したがって、本件訂正発明1、及び、2の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (2)取消理由の小括 よって、令和7年7月18日付け取消理由通知により通知した取消理由によっては、本件訂正後の請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。 2 令和7年7月18日付け取消理由通知で通知されなかった取消理由について (1)進歩性(特許法29条2項)について ア 各甲号証(なお、下線は当審で付した。また、各甲号証の四角は申立人が付したものである。) (ア)甲1 a 甲1に記載された事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 (a)「【0021】 以下、本発明の一実施の形態に係る再生骨材製造方法および再生ポーラスアスファルト混合物製造方法について、図面を参照して説明する。 はじめに、本発明の一実施の形態に係る再生骨材製造方法について説明する。 図1は、本発明の一実施の形態に係る再生骨材製造方法を行うための再生骨材製造設備1を示す。 前記再生骨材製造設備1において再生骨材製造用の原料として用いるアスファルト廃材は、既設アスファルト舗装を取り壊して得られる粒状のアスファルト廃材である。ここで、アスファルト舗装としては、各種のアスファルト舗装が対象となるが、特に既設ポーラスアスファルト舗装が対象として好ましく、それから発生する切削廃材に本発明を適用すると、顕著な効果が得られる。 【0022】 アスファルト舗装の改修工事の現場で発生した粒状のアスファルト廃材は、ダンプトラックなどに積み込まれてアスファルト廃材の中間処理施設へ運搬され、該中間処理施設(図示せず)で5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材が前記再生骨材製造設備1に搬入される(第1分級工程(分級工程))。特に、再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、一般的なポーラスアスファルト混合物に使用される粗骨材の粒径が20mm~13mmおよび13mm~5mmの範囲であるため、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠である。しかし、前記第1分級工程はアスファルト廃材が水分を含んだ状態で実施されるため、厳密には粒径の大きな粒子に付着している細粒分を全て除去できる訳ではないので、粒径の大きな再生骨材の周囲に付着した細粒分を適宜手段により確実に除去する必要がある。 【0023】 そこで、前記再生骨材製造設備1に搬入されたアスファルト廃材は、原料ホッパ(図示せず)に一時的に保管され、再生骨材の製造時に該原料ホッパの底部からコンベヤ2a上に排出されて搬送され、第1のスパイラル分級機(湿式分級機)3Aに投入される。該スパイラル分級機3Aは、傾斜した底を有するタンク3a内にその斜面に沿って設けられたスパイラルリボン3bを備え、タンク3a内の水平水流の中で粒子の沈降分離を行う従来周知の装置である。前記スパイラル分級機3Aにアスファルト廃材が投入されると、清水槽4からポンプ4aによってスパイラル分級機3Aに供給された清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られる。前記微細粒子とはアスファルト、2.5mm以下の粗骨材、細骨材およびフィラーなどの細粒分をいう。一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子は、前記スパイラルリボン3bによって水面から掻き上げられてタンク3aの他端から機外へ排出され、スパイラル分級機3Aの下方に設けられたコンベヤ2b上に落下する(第1洗浄工程(洗浄工程))。 【0024】 そして、コンベヤ2b上に落下したアスファルト廃材の粗粒子は、コンベヤ2bにより搬送されて一旦原料ホッパ6内に投入、保管された後、該原料ホッパ6の底部からコンベヤ2c上に排出されて搬送され、摩砕機7内にその一端部から投入される。該摩砕機7は、回転ドラム内に投入された被摩砕物を鋼球などと共に少量の水を流しながら左右に揺動させて被摩砕物の摩砕を行うものであり、公知の装置である。 前記摩砕機7にアスファルト廃材が投入されると、前記清水槽4からポンプ4bによって摩砕機7に供給された清水の水流を受けながら、アスファルト廃材の表面部に付着しているアスファルト、摩砕され2.5mm以下に小粒径化した粗骨材や細骨材およびフィラーなどの細粒分(微細粒子)が剥がされて、水流と共に回転ドラムの他端部に設けられた排出口から機外へ排出され、また、アスファルト廃材の粗粒分は摩砕されてから前記排出口から機外へ排出される(摩砕工程)。 ここで、本発明で使用される摩砕機7の一例を示すと、アスファルト分が付着している骨材と鋼球を密閉容器の中に入れて当該容器を回転させると、骨材と鋼球が上下左右に往復運動することにより互いに衝突し合い、このときに発生する強い圧縮力と摩擦力により骨材表面のアスファルト分を剥ぎ取るように構成した装置を用いることができる。 【0025】 なお、前記摩砕機7の適切な運転条件は、前記回転ドラムの直径1300mm、長さ4150mm、羽根通過口径35mm、鋼球直径70mm、廃材処理量40t/h、羽根回転数33min-1、鋼球数量680pcs/セル、注水量180l/hであった。この摩砕工程を経ることにより、切削廃材に付着するアスファルト量は1%程度まで低減される。 次に、前記摩砕機7から排出されたアスファルト廃材の細粒分(微細粒子)および粗粒分が一緒に前記スパイラル分級機3Aと同様な第2のスパイラル分級機3Bに投入される。すると、清水槽4からポンプ4cによってスパイラル分級機3Bに供給された清水の水流により、細粒分がタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られる。一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒分が前記第1洗浄工程と同様にして機外へ排出され、スパイラル分級機3Bの下方に設けられたコンベヤ2d上に落下する(第2洗浄工程(再洗浄工程))。 【0026】 前記コンベヤ2d上に落下したアスファルト廃材の粗粒分は、スクリーン8に送られ、そこで、前記清水槽4からポンプ4dによってスクリーン8に供給された清水を受けながら5mm振動ふるいにかけられ、ふるいに留まった粒度5mm以上のもの(骨材)がコンベヤ2e上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる粗骨材(再生骨材)G1として再利用され、スクリーン8のふるいを通過した5mm未満のもの(骨材)が、第3のスパイラル分級機3Cに投入される(第2分級工程)。 前記第3のスパイラル分級機3Cは、前記第1、第2のスパイラル分級機3A,3Bと同様な装置であり、これに前記5mm未満の骨材が投入されると、該骨材中の細粒分が、前記清水槽4からポンプ4eによってスパイラル分級機3Cに供給された清水の水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られる。一方、タンク3aの底部に沈降した骨材は前記第1、第2洗浄工程と同様にして機外へ排出され、前記スパイラル分級機3Cの下方に設けられたコンベヤ2f上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる細骨材G2として再利用される(第3洗浄工程)。前記第2分級工程と第3洗浄工程とは再分級工程を構成する。 【0027】 なお、前記各工程から排出されて原水槽5へ送られた微細粒子は、原水ポンプ5aにより水と共に汲み上げられて原水として水処理設備9に送られ、原水中の微細粒子はゴミ取りトロンメル、シックナ、中間タンクおよびフィルタープレスを経て脱水ケーキとなり、フィラーや路盤材などとして利用される。また、原水中の水は、前記ゴミ取りトロンメル、シックナおよび処理水槽を経て浄化処理された後に、送水ポンプ9aによって前記清水槽4に送られて貯留される。 【0028】 前記実施の形態に係る再生骨材製造方法によれば、分級工程によって選別された所定の粒度範囲(5mm~40mm)のアスファルト廃材が、洗浄工程、摩砕工程、再洗浄工程、再分級工程の各工程を順次経ることによって、洗浄工程でアスファルト廃材中の2.5mm以下の微細粒子が取り除かれ、摩砕工程でアスファルト廃材の表面に付着しているアスファルトが剥がされ、このアスファルトと摩砕されて2.5mm以下に細粒化した微細粒子が再洗浄工程で取り除かれ、最終的に再分級工程においてアスファルト廃材が5mm~13mmの粗骨材G1と2.5mm~5mm未満の細骨材G2とに分級されて、アスファルトの付着が極めて少ない再生骨材が製造される。 【0029】 このようにして製造された再生骨材に付着しているアスファルト量は最終的には1%程度に低減されるが、これは従来技術で製造される再生骨材に付着しているアスファルト量が3~5%であることと比較すると、アスファルトがかなり取り除かれた状態であるということができる。 なお、前記実施の形態に係る再生骨材製造方法においては、前記分級工程、洗浄工程、摩砕工程、再洗浄工程、再分級工程の全ての工程を設けると、新規骨材と同様な性状の再生骨材が得られて好ましいが、本発明はこれに限らず、洗浄工程と摩砕工程を必須として、他の工程は1つまたは複数省略することができる。 【0030】 次に、本発明の一実施の形態に係る再生ポーラスアスファルト混合物製造方法について説明する。 図2は、本発明の一実施の形態に係る再生ポーラスアスファルト混合物製造方法を行うための新規アスファルト混合物用の製造設備10を示し、この製造設備10は、アスファルトプラントとして従来周知のものである。 本発明の一実施の形態に係る再生ポーラスアスファルト混合物製造方法は、前記再生骨材製造設備1により製造した再生骨材と、フィラーと、アスファルト系バインダとを新規アスファルト混合物用の製造設備10を用いて加熱混合する方法である。この場合、前記加熱混合する原料の中に前記再生骨材製造方法の各工程で取り除かれた微細粒子、細粒分、アスファルトの少なくとも1つを原料として加えることができる。 本発明の一実施の形態に係る再生ポーラスアスファルト混合物製造方法で製造する再生ポーラスアスファルト混合物の配合例は、表1に示すとおりである。」 (b)図1 「 [図:0001433094000001.jpg] 」 (c)図2 「 [図:0001433094000002.jpg] 」 b 引用方法発明及び引用発明 上記aより、甲1には、次の2つの発明が記載されていると認められる(以下、それぞれ「引用方法発明」、「引用発明」という。)。 <引用方法発明> 「アスファルト廃材が5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材が前記再生骨材製造設備1に搬入される第1分級工程(分級工程)(【0022】)、 前記再生骨材製造設備1に搬入されたアスファルト廃材は、第1のスパイラル分級機(湿式分級機)3Aに投入され、清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、前記微細粒子とはアスファルト、2.5mm以下の粗骨材、細骨材およびフィラーなどの細粒分をいい、一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子は、スパイラル分級機3Aの下方に設けられたコンベヤ2b上に落下する第1洗浄工程(洗浄工程)(【0023】)、 コンベヤ2b上に落下したアスファルト廃材の粗粒子は、摩砕機7内にその一端部から投入され、清水の水流を受けながら、アスファルト廃材の表面部に付着しているアスファルト、摩砕され2.5mm以下に小粒径化した粗骨材や細骨材およびフィラーなどの細粒分(微細粒子)が剥がされて、また、アスファルト廃材の粗粒分は摩砕されてから前記排出口から機外へ排出される摩砕工程(【0024】)、 前記摩砕機7から排出されたアスファルト廃材の細粒分(微細粒子)および粗粒分が一緒に第2のスパイラル分級機3Bに投入され、清水の水流により、細粒分がタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒分が、スパイラル分級機3Bの下方に設けられたコンベヤ2d上に落下する第2洗浄工程(再洗浄工程)(【0025】)、 前記コンベヤ2d上に落下したアスファルト廃材の粗粒分は、5mm振動ふるいにかけられ、ふるいに留まった粒度5mm以上のもの(骨材)がコンベヤ2e上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる粗骨材(再生骨材)G1として再利用され、スクリーン8のふるいを通過した5mm未満のもの(骨材)が、第3のスパイラル分級機3Cに投入される第2分級工程、 前記第3のスパイラル分級機3Cは、前記5mm未満の骨材が投入されると、該骨材中の細粒分が、清水の水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、一方、タンク3aの底部に沈降した骨材は前記スパイラル分級機3Cの下方に設けられたコンベヤ2f上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる細骨材G2として再利用される第3洗浄工程(【0026】)、 を行う再生骨材製造設備1において、再生骨材製造用の原料として用いるアスファルト廃材は、既設アスファルト舗装を取り壊して得られる粒状のアスファルト廃材であり(【0021】)、 再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠であり(【0022】)、 前記第2分級工程と第3洗浄工程とは再分級工程を構成し(【0026】)、 前記各工程から排出されて原水槽5へ送られた微細粒子は、原水ポンプ5aにより水と共に汲み上げられて原水として水処理設備9に送られ、原水中の微細粒子はゴミ取りトロンメル、シックナ、中間タンクおよびフィルタープレスを経て脱水ケーキとなり、フィラーや路盤材などとして利用され(【0027】)、 分級工程によって選別された所定の粒度範囲(5mm~40mm)のアスファルト廃材が、洗浄工程、摩砕工程、再洗浄工程、再分級工程の各工程を順次経ることによって、洗浄工程でアスファルト廃材中の2.5mm以下の微細粒子が取り除かれ、摩砕工程でアスファルト廃材の表面に付着しているアスファルトが剥がされ、このアスファルトと摩砕されて2.5mm以下に細粒化した微細粒子が再洗浄工程で取り除かれ、最終的に再分級工程においてアスファルト廃材が5mm~13mmの粗骨材G1と2.5mm~5mm未満の細骨材G2とに分級されて、アスファルトの付着が極めて少ない再生骨材が製造され(【0028】)、 前記再生骨材製造設備1により製造した再生骨材と、フィラーと、アスファルト系バインダとを新規アスファルト混合物用の製造設備10を用いて加熱混合する方法であり、前記加熱混合する原料の中に前記再生骨材製造方法の各工程で取り除かれた微細粒子、細粒分、アスファルトの少なくとも1つを原料として加えることができる再生ポーラスアスファルト混合物製造方法(【0030】)。」 <引用発明> 「見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材を前記再生骨材製造設備1に搬入する5mm振動ふるいと(【0022】)、 前記再生骨材製造設備1に搬入されたアスファルト廃材を、清水槽4からポンプ4aによって、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がし、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、前記微細粒子とはアスファルト、2.5mm以下の粗骨材、細骨材およびフィラーなどの細粒分をいい、一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子は、前記スパイラルリボン3bによって水面から掻き上げられてタンク3aの他端から機外へ排出されるスパイラル分級機3Aと(【0023】)、 スパイラル分級機3Aの下方に設けられたコンベヤ2b上に落下し、コンベヤ2b上に落下したアスファルト廃材の粗粒子は、コンベヤ2bにより搬送されて一旦原料ホッパ6内に投入、保管された後、該原料ホッパ6の底部からコンベヤ2c上に排出されて搬送され、 その一端部から投入され、アスファルト廃材が投入されると、前記清水槽4からポンプ4bによって供給された清水の水流を受けながら、アスファルト廃材の表面部に付着しているアスファルト、摩砕され2.5mm以下に小粒径化した粗骨材や細骨材およびフィラーなどの細粒分(微細粒子)が剥がされて、水流と共に回転ドラムの他端部に設けられた排出口から機外へ排出され、また、アスファルト廃材の粗粒分は摩砕されてから前記排出口から機外へ排出される摩砕機7と(【0023】、【0024】)、 前記摩砕機7から排出されたアスファルト廃材の細粒分(微細粒子)および粗粒分が一緒に投入され、 清水槽4からポンプ4cによって供給された清水の水流により、細粒分がタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、一方、タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒分が前記第1洗浄工程と同様にして機外へ排出される第2のスパイラル分級機3Bと(【0025】)、 スパイラル分級機3Bの下方に設けられたコンベヤ2d上に落下し、前記コンベヤ2d上に落下したアスファルト廃材の粗粒分は、スクリーン8に送られ、そこで、前記清水槽4からポンプ4dによってスクリーン8に供給された清水を受けながら5mm振動ふるいにかけられ、ふるいに留まった粒度5mm以上のもの(骨材)がコンベヤ2e上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる粗骨材(再生骨材)G1として再利用され、スクリーン8のふるいを通過した5mm未満のもの(骨材)が投入され、前記5mm未満の骨材が投入されると、該骨材中の細粒分が、前記清水槽4からポンプ4eによってスパイラル分級機3Cに供給された清水の水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、一方、タンク3aの底部に沈降した骨材は前記第1、第2洗浄工程と同様にして機外へ排出されるスパイラル分級機3Cと(【0025】、【0026】)を有する再生骨材製造設備1は(【0021】)、 再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠であり(【0022】)、 前記スパイラル分級機3Cの下方に設けられたコンベヤ2f上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる細骨材G2として再利用され(【0026】)、 排出されて原水槽5へ送られた微細粒子は、原水ポンプ5aにより水と共に汲み上げられて原水として水処理設備9に送られ、原水中の微細粒子はゴミ取りトロンメル、シックナ、中間タンクおよびフィルタープレスを経て脱水ケーキとなり、フィラーや路盤材などとして利用されるものであり(【0027】)、 前記再生骨材製造設備1により製造した再生骨材と、フィラーと、アスファルト系バインダとを加熱混合し、取り除かれた微細粒子、細粒分、アスファルトの少なくとも1つを原料として加えることができる新規アスファルト混合物用の製造設備10(【0030】)。」 (イ)甲2-1 a 甲2-1の公知日 甲2-1は、甲2-2の「Programme & Exhibition Catalogue」を参酌すると、2016年6月2日に開催された展示会で公表されたものであると認められ、その公知日は2016年6月2日であると認められる。 b 甲2-1に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。(翻訳文は、申立人が提出した甲2-1の抄訳文を参考にして、合議体が作成した。以下同様。) (a)「ABSTRACT 3~12行目 [図:0001433094000003.jpg] 」 (翻訳文) 「・・・LE2APアプローチの重要な問題は、道路再建で利用可能になる材料が評価されることである。最初のステップは、これらの材料をドライミリングにより取得することである。その後、再生されたアスファルトがその成分に分解される。この結果、アスファルトをほとんど含まない再生石材と、アスファルト、フィラー、砂の混合物であるアスファルトリッチなモルタルサンドが得られる。モルタルサンドは、標準的なモルタルの製造の主な成分として使用される。標準モルタルは、撹拌装置を備えた密閉タンクで製造される。このタンクでは、モルタルは均質化され、再生用添加剤と軟質ビチュメンとで処理される。標準モルタルは、一定のアスファルト含有量と一定の性能特性を持つ。標準モルタルは、今日、オランダで使用されている多孔質アスファルト混合物の多くを製造するために使用することができる。より密度の高いアスファルトの製造には、特に砂を加える必要がある。混合物の製造中、モルタルは発泡され、再生石材と混合されるミキサーに供給され、低温で製造された再生材料を高い割合で含む高品位アスファルト混合物を得る。・・・」 (b)「3頁18~27行目 [図:0001433094000004.jpg] 」 (翻訳文) 「・・・モルタルサンドは、160~170℃に加熱され、再生骨材とは別に処理される、・・・処理は、軟質アスファルト、再生用添加剤の添加、均質化が行われる、 ・・・ 処理されたモルタル砂は、新しい製品、すなわち高品質で均質なLE2APモルタルを提供する。モルタルは制御されたプロセスで混合・加熱されるため、再生用添加剤の拡散に関する問題は存在しない。・・・」 (c)「4頁18~25行目、図4 [図:0001433094000005.jpg] 」 (翻訳文) 「・・・図3に示すように、再生アスファルトの分解プロセスは、習得されている。このプロセスでは、アスファルトの特性である低周波におけるチューイングガムのような挙動と、より重要な高周波におけるガラスのような挙動が利用される。この分解プロセスでは、粉砕されたアスファルトが、鉄の壁に投射される。衝撃は、非常に高い負荷周波数を生じさせる。その結果、アスファルトとモルタルは衝撃でガラスのような振る舞いを見せる。脆性破壊は、その結果であり、個々の骨材を覆うモルタル膜は、結果的に剥離する。図4に示すように、このプロセスの結果物は、アスファルトをほとんど含まない骨材(<1%“in”(m/m))とアスファルトリッチ(10-12%“in”(m/m))なモルタルサンドの剥離混合物である。篩分け技術を使用することにより。2mm未満のモルタルサンドを2mm以上の鉱物骨材から分離する。」 c 甲2-1記載の技術的事項 上記bより、甲2-1には、次の事項が記載されている(以下、「甲2-1記載の技術的事項」という。)。 <甲2-1記載の技術的事項> 「ドライミリングにより、アスファルトをほとんど含まない再生石材と、アスファルト、フィラー、砂の混合物であるアスファルトリッチなモルタルサンドを得るものにおいて、モルタルサンドは、標準的なモルタルの製造の主な成分として使用され、標準モルタルは、撹拌装置を備えた密閉タンクで製造され、このタンクでは、モルタルは均質化され、再生用添加剤と軟質ビチュメンとで処理され、標準モルタルは、一定のアスファルト含有量と一定の性能特性を持ち、混合物の製造中、モルタルは発泡され、再生石材と混合されるミキサーに供給され、低温で製造された再生材料を高い割合で含む高品位アスファルト混合物を得ること。」 (ウ)甲3-1 a 甲3-1の公知日 甲3-1は、甲3-2の「Final Program」を参酌すると、2019年9月12日に開催されたシンポジウムで公表されたものであると認められ、その公知日は2019年9月12日であると認められる。 b 甲3-1に記載された事項 甲3-1には、以下の事項が記載されている。 (a)「284頁1~9行目、Fig1.(a)(b)(c) [図:0001433094000006.jpg] 」 (翻訳文) 「2 LE2AP 混合設計哲学 2.1 LE2APとLE2AP SMA 図1aは、LE2APのリサイクルプロセスの概要を示す。図1b及び図1cに示されるように、再生ポーラスアスファルトは、まず、その成分であるモルタル(<2mm、ビチュメン含有量10-15%)と、石骨材(ポーラスアスファルト石材、ビチュメン含有量1%未満)と、に分離される。再生骨材は認証されており、バージン骨材の代わりに直接再利用できる。(Huurman et al 2018)。その後、モルタルを濃縮し、再生処理及び均質化を行い、フレッシュな同等のものと同じ性能を持つLE2APモルタルを得る。その後、LE2APモルタルを発泡させ、PA-stoneと混合し、100-110℃の温度で混合物を製造する。このプロセスにより、再利用率が高くても成分の品質と混合組成を管理でき、低温での製造が可能となる。」 (b)「288頁21~28行目 [図:0001433094000007.jpg] 」 (翻訳文) 「(B)モルタル発泡(混合物5、図5b):モルタル発泡技術は、欧州のLife+プロジェクトLE2APの下でBAMが特別に開発したものである。この混合物では、再生モルタルサンドは170℃の温度で、アスファルト含有率約25~30質量%のLE2APモルタルに再生・濃縮される(2.3節参照)。このLE2APモルタルはその後、特別に設計された発泡ユニット(図5b)で発泡されてミキサーに投入され、約120℃に予熱された骨材と混合される。このユニットは、アスファルトの発泡原理と、砂やフィラー粒子の影響の両方を考慮して特別に設計さている(Huurman他 2018)」 (c)「290頁13~14行目 [図:0001433094000008.jpg] 」 (翻訳文) 「まず、50トンのLE2APモルタルを165℃で撹拌釜で製造した。・・・」 c 甲3-1記載の技術的事項 上記bより、甲3-1には、次の事項が記載されている(以下、「甲3-1記載の技術的事項」という。)。 <甲3-1記載の技術的事項> 「再生ポーラスアスファルトは、まず、その成分であるモルタル(<2mm、ビチュメン含有量10-15%)と、石骨材(ポーラスアスファルト石材、ビチュメン含有量1%未満)と、に分離され、その後、モルタルを濃縮し、再生処理及び均質化を行い、フレッシュな同等のものと同じ性能を持つLE2APモルタルを得、その後、LE2APモルタルを発泡させ、PA-stoneと混合し、100-110℃の温度で混合物を製造し、このプロセスにより、再利用率が高くても成分の品質と混合組成を管理でき、低温での製造が可能となること。」 (エ)甲4 a 甲4に記載された事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 (a)「2頁23~30行目 [図:0001433094000009.jpg] 」 (翻訳文) 「本発明によるマスチック組成物は、再生アスファルト骨材の追加的な部分の使用も可能になる。骨材が再利用されるだけでなく、再生骨材に付着しているビチューメンもこのようにマスチック組成物にリサイクルされ、新しいアスファルト混合物の製造に再利用することができる。マスチック組成物が-10℃および1Hzの周波数で最大2000M/Paのせん断弾性率を有することを保証することにより、当事者は、新たに調製されたマスチック組成物と実質的に同じ仕様のアスファルト組成物のバインダーとして再利用することができるマスチック組成物を自由に利用することができる。」 (b)「8頁15~37行目 [図:0001433094000010.jpg] 」 (翻訳文) 「マスチック混合物は高温に加熱される。温度は、一般的な条件下で水が蒸発して水蒸気を形成し、マスチック組成物中のアスファルトバインダーの発泡を引き起こすように選択される、・・・ 発泡したマスチック組成物は、好ましくは噴射ノズルによって粗骨材と混合される。・・・」 (c)「Claim11 [図:0001433094000011.jpg] 」 (翻訳文) 「11.マスチック組成物の調製プロセスであって、 a)最大直径が2mm以下の再生粒状アスファルト骨材と再生ビチュメンとからなる固形材料を供給し; b)フレッシュビチュメンと、任意で再生用添加剤を供給; c)固形材料をフレッシュビチュメンとを混合して、再生粒状アスファルト骨材と、再生ビチュメンとフレッシュビチュメンと任意の再生用添加剤とからなるビチュメンバインダ材料と、を含む混合物を取得し;・・・」 (d)「Claim13 [図:0001433094000012.jpg] 」 (翻訳文) 「13.クレーム11又は12に記載のプロセスにおいて、固形材料は、再生アスファルトを遠心ミルで分解し、その後、篩にかけることによって得られる。」 b 甲4記載の技術的事項 上記aより、甲4には、次の事項が記載されている(以下、「甲4記載の技術的事項」という。)。 <甲4記載の技術的事項> 「マスチック組成物は、再生アスファルト骨材の追加的な部分の使用も可能になり、骨材が再利用されるだけでなく、発泡したマスチック組成物は、粗骨材と混合され、再生骨材に付着しているビチューメンもこのようにマスチック組成物にリサイクルされ、新しいアスファルト混合物の製造に再利用することができること。」 イ 本件訂正発明1について (ア)対比 本件訂正発明1と引用方法発明とを対比する。 a 引用方法発明の「再生骨材製造用の原料として用いる」「アスファルト廃材」は、「既設アスファルト舗装を取り壊して得られる粒状」ものであり、「アスファルト」を再生するものであるから、本願訂正発明1の「アスファルト再生骨材」に相当する。 b 引用方法発明において、「アスファルト廃材は、5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材が前記再生骨材製造設備1に搬入され」る「第1分級工程(分級工程)」では、「アスファルト廃材」を分級していることから、本件訂正発明1の「アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径 5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級し」ていることと、引用方法発明の「第1分級工程(分級工程)」は、「アスファルト再生骨材を分級」する点で共通する。 c 引用方法発明において、「摩砕工程」は、「タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子は、摩砕機7内にその一端部から投入され、」「アスファルト廃材の表面部に付着しているアスファルト、摩砕され」ていることから、本件訂正発明1の「旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材について、分離機によって前記第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離」することと、引用方法発明の「摩砕工程」は、「分離機によって」「表面の旧アスファルトを剥離させて分離」させている点で共通する。 d 引用方法発明では、「前記摩砕機7から排出されたアスファルト廃材の細粒分(微細粒子)および粗粒分が一緒に」「第2のスパイラル分級機3Bに投入され、」「清水の水流により、細粒分がタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、」「タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒分が」「5mm振動ふるいにかけられ、ふるいに留まった粒度5mm以上のもの(骨材)がコンベヤ2e上に落下して搬送され、再生アスファルト混合物に用いる粗骨材(再生骨材)G1として再利用され、スクリーン8のふるいを通過した5mm未満のもの(骨材)が、第3のスパイラル分級機3Cに投入され(第2分級工程)、」ていることから、本件訂正発明1の「分離された前記旧アスフアルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級」することと、引用方法発明の「第2分級工程」は、「分級手段によって」「分級」している点で共通する。 e 引用方法発明の「再生ポーラスアスファルト混合物製造方法」は、アスファルト廃材を再生して、アスファルト混合物を製造するものであるから、本件訂正発明1の「再生アスファルト混合物の製造方法」に相当する。 f 上記aないしeより、本件訂正発明1と引用方法発明とは、以下の点で一致し、相違点1~5で相違する。 <一致点> アスファルト再生骨材を分級し、 分離機によって表面の旧アスファルトを剥離させて分離し、 分級手段によって分級する、 再生アスファルト混合物の製造方法。 <相違点1> 本件訂正発明1では、「アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径 5mm~0mm超の第二の再生骨材と、に分級し」ているのに対して、引用方法発明では、「見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」を分級している点。 <相違点2> 本件訂正発明1では、「旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材について、分離機によって前記第一の再生骨材から表面の旧アスファルトを剥離させて分離し」ているが、引用方法発明では、「摩砕機7」で「細粒分(微細粒子)が剥がされて、また、アスファルト廃材の粗粒分は摩砕され」る対象となる「アスファルト廃材」が、「第1分級工程(分級工程)」で分級された「ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」が「第1のスパイラル分級機(湿式分級機)3Aに投入され、清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、」「タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子」である点。 <相違点3> 本件訂正発明1では、「分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級し」ているのに対して、引用方法発明では、「粒度5mm以上のもの(骨材)」と「5mm未満のもの(骨材)」に分級されている点。 <相違点4> 本件訂正発明1では、「前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し、前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造し」ているが、引用方法発明では、「各工程で取り除かれた微細粒子」を原料として加えるものであるが、「アスファルトモルタル」を製造することが特定されていない点。 <相違点5> 本件訂正発明1では、「製造された前記アスファルトモルタルに、前記第三の再生骨材をミキサーで混合することで再生アスファルト混合物を製造する」が、引用方法発明では、そのような方法で製造していない点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点1、3、4についてあわせて検討する。 a 本件訂正発明1について 本件訂正発明1において、「第二の再生骨材」とは、「分級」され、「粒径5mm~0mm超」であり、「第四の再生骨材」とは、「分級」され、「粒径5mm~0mm超」である。 そして、「前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合」することにより用いられている。 b 引用方法発明について 引用方法発明では、「アスファルト廃材は、5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」が用いられ、「清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ」た「微細粒子」と、「前記第3のスパイラル分級機3C」に「前記5mm未満の骨材が投入されると、該骨材中の細粒分が、清水の水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ」た「微細粒子」とが、「再生ポーラスアスファルト混合物製造方法」の「原料の中に前記再生骨材製造方法の各工程で取り除かれた微細粒子」として用いられるものであって、「微細粒子」の「粒径」は、「2.5mm以下」である。 c 相違点1、3、4についての判断 上記a、bから、再利用される材料として、本件訂正発明1では、「第二の再生骨材」と「第四の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超」であるのに対して、引用方法発明では、「微細粒子」の「粒径」が「2.5mm以下」となっており、その「粒径」は異なるものである。 そして、引用方法発明は、「5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」を用いる際、「再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠であ」ることから、「第1分級工程(分級工程)」で分級された「粒径」が「5mm未満」の「アスファルト廃材」を用いることは想定されておらず、そのように設計することを阻害する要因を有するものである。 そして、甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項には、甲1において、「第1分級工程(分級工程)」で分級された「粒径」が「5mm未満」の「アスファルト廃材」を用いるよう動機づけたり、それを示唆する技術を示すものでもない。 そうしてみると、引用方法発明及び甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項に基づいて、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」に「分級」すること、および、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」を混合して、「アスファルトモルタル」を製造することは、当業者が容易に想到し得ず、相違点1、3、4に係る本件訂正発明1の構成をなすことは、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 そして、本件訂正発明1では、相違点1、3、4に係る構成を備えることにより、粒径の比較的小さい再生骨材を混合すると、粒径が同程度であるため流動性が高く旧アスファルトの再生効率が高まるという効果を奏する。 d まとめ 上記のとおり、引用方法発明及び甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項に基づいて、相違点1、3、4に係る本件訂正発明1の構成をなすことが、当業者が容易になし得たことではないから、その余の相違点2、5について判断するまでもなく、本件訂正発明1は当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件訂正発明2について (ア)対比 本件訂正発明2と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「アスファルト廃材」を「見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」を分けている「5mm振動ふるい」は、本件訂正発明2の「アスファルト再生骨材」を「分級する篩」に相当する。 b 引用発明の「スパイラル分級機3A」は、「アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥が」すものであるから、本件訂正発明2の「旧アスファルトを剥離し分離する分離機」と、引用発明の「スパイラル分級機3A」は、「アスファルトを剥離し分離する分離機」の点で共通する。 c 引用発明の「摩砕機7」は、「前記摩砕機7から排出されたアスファルト廃材の細粒分(微細粒子)および粗粒分が一緒に投入され」、「タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒分が」「機外へ排出され」、「5mm振動ふるいにかけられ」、「ふるいに留まった粒度5mm以上のもの(骨材)が」「再生アスファルト混合物に用いる粗骨材(再生骨材)G1として再利用される」「第2のスパイラル分級機3B」、および、「5mm未満のもの(骨材)」で「タンク3aの底部に沈降した骨材」は「機外へ排出され」、「再生アスファルト混合物に用いる細骨材G2として再利用され」る「スパイラル分級機3C」であることから、本件訂正発明2の「分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級する分級手段」と、引用発明の「スパイラル分級機3C」は、「分級手段によって」「分級」している点で共通する。 d 引用発明の「新規アスファルト混合物用の製造設備10」は、アスファルト廃材を再生して、アスファルト混合物を製造するものであるから、本件訂正発明1の「再生アスファルト混合物の製造装置」に相当する。 e 上記aないしdより、本件訂正発明2と引用発明とは、以下の点で一致し、相違点6~10で相違する。 <一致点> アスファルト再生骨材を分級する箭と、 旧アスファルトを剥離し分離する分離機と、 分級する分級手段と、 を備えた再生アスファルト混合物の製造装置。 <相違点6> 本件訂正発明2の「分級する篩」は、「アスファルト再生骨材」を「粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」に「分級」するが、引用発明では、「5mm振動ふるい」で「アスファルト廃材」を「見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」に分級している点。 <相違点7> 本件訂正発明2では、「分離機」は「旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材から旧アスファルトを剥離し分離する」のに対して、引用発明では、「摩砕機7」で「細粒分(微細粒子)が剥がされて、また、アスファルト廃材の粗粒分は摩砕され」る対象となる「アスファルト廃材」が、「第1分級工程(分級工程)」で分級された「ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」が「第1のスパイラル分級機(湿式分級機)3Aに投入され、清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ、」「タンク3aの底部に沈降したアスファルト廃材の粗粒子」である点。 <相違点8> 本件訂正発明2は、「分級手段」が「分離された前記旧アスファルトを含む前記第一の再生骨材を、分級手段によって粒径13mm~5mm超の第二の再生骨材と、粒径5mm~0mm超の第四の再生骨材と、に分級し」ているのに対して、引用発明では、「スパイラル分級機3C」により「粒度5mm以上のもの(骨材)」と「5mm未満のもの(骨材)」に分級されている点。 <相違点9> 本件訂正発明2では、「混合釜」で「前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し」、「前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造し」ているが、引用発明、「各工程で取り除かれた微細粒子」を原料として加えることは記載されているが、「アスファルトモルタル」を製造する構成が特定されていない点。 <相違点10> 本件訂正発明2では、「ミキサー」で「前記アスファルトモルタルと前記第三の再生骨材とを攪拌混合することで再生アスファルト混合物を製造する」が、引用発明では、そのような構成を備えていない点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点6、8、9についてあわせて検討する。 a 本件訂正発明2について 本件訂正発明2において、「第二の再生骨材」とは、「分級」され、「粒径5mm~0mm超」であり、「第四の再生骨材」とは、「分級」され、「粒径5mm~0mm超」である。 そして、「前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合」することにより用いられている。 b 引用発明について 引用発明では、「アスファルト廃材は、5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」が用いられ、「清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて、水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ」た「微細粒子」と、「前記第3のスパイラル分級機3C」に「前記5mm未満の骨材が投入されると、該骨材中の細粒分が、清水の水流と共にタンク3aの一端から溢流して原水槽5へ送られ」た「微細粒子」とが、「再生ポーラスアスファルト混合物製造方法」の「原料の中に前記再生骨材製造方法の各工程で取り除かれた微細粒子」として用いられるものであって、「微細粒子」の「粒径」は、「2.5mm以下」である。 c 相違点6、8、9についての判断 上記a、bから、再利用される材料として、本件訂正発明2では、「第二の再生骨材」と「第四の再生骨材」が「粒径5mm~0mm超」であるのに対して、引用発明では、「微細粒子」の「粒径」が「2.5mm以下」となっており、その「粒径」は異なるものである。 そして、引用発明は、「5mm振動ふるいにかけられて、ふるいに留まった見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」を用いる際、「再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠であ」ることから、「粒径」が「5mm未満」の「アスファルト廃材」を用いることは想定されておらず、そのように設計することを阻害する要因を有するものである。 そして、甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項には、甲1において、「粒径」が「5mm未満」の「アスファルト廃材」を用いることを動機づけたり、それを示唆する技術を示すものでもない。 そうしてみると、引用発明及び甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項に基づいて、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」に「分級」すること、および、「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」を混合して、「アスファルトモルタル」を製造することは、当業者が容易に想到し得ず、相違点6、8、9に係る本件訂正発明2の構成をなすことは、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 そして、本件訂正発明2では、相違点6、8、9に係る構成を備えることにより、粒径の比較的小さい再生骨材を混合すると、粒径が同程度であるため流動性が高く旧アスファルトの再生効率が高まるという効果を奏する。 d まとめ 上記のとおり、引用発明及び甲2-1、3-1、及び4記載の技術的事項に基づいて、相違点6、8、9に係る本件訂正発明2の構成をなすことが、当業者が容易になし得たことではないから、その余の相違点7、10について判断するまでもなく、本件訂正発明2は当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 申立人の異議申立書における主張について (1)申立人の異議申立書における主張 申立人は、令和7年4月2日に提出された特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、下記の点主張している。 (申立書13頁下3行~14頁10行) 「上記の[ア1]~[ア9]の記載によれば、甲第1号証は、再生ポーラスアスファルト混合物の製造方法に係る発明を開示している。 上記の[ア1]及び[ア2]の記載によれば、甲第1号証に記載の再生ポーラスアスファルト混合物製造方法では、まず、粒状のアスファルト廃材を、5mm振動ふるいにかけて、見かけ粒度5mm以上の粒子と、見かけ粒度5mm未満の粒子と、に分級する。次いで、見かけ粒度5mm以上の粒子をスパイラル分級機3Aに投入して、見かけ粒度5mm以上の粒子から微細粒子(以下、「第1微細粒子」と呼称する。)を取り除き、当該第1微細粒子を原水槽5へ送ると共に、第1微細粒子が取り除かれた粗粒子(以下、「第1粗粒子」と呼称する。)をスパイラル分級機3Aからコンベア2bに排出する。すなわち、甲第1号証に記載の再生ポーラスアスファルト混合物製造方法は、アスファルト廃材を、粒径5mm以上の第1粗粒子と、粒径2.5mm以下の第1微細粒子と、に分級する工程を備えている。」 (申立書24頁下9行~25頁20行) 「(4-3)本件特許発明と証拠に記載された発明との対比 (4-3-1)本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明における 「A.アスファルト廃材を、粒径5mm以上の第1粗粒子と、粒径2.5mm以下の第1微細粒子と、に分級し、」 は、本件特許発明1における 「A.アスファルト再生骨材を粒径13mm~5mm超の第一の再生骨材と、粒径5mm~0mmの第二の再生骨材と、に分級し、」 に相当する。 なお 、第一の再生骨材の「粒径13mm~5mm超」に関し、甲第1号証における「第1粗粒子」の粒径範囲の上限は13mmに特定されていないものの、粒径5mm以上の範囲には、粒径13mm~5mm超の範囲も包含される。ま た 、「第1粗粒子」の粒径範囲の上限は13mmとすることは、甲第1号証の [ア10]に記載されているように、「一般的なポーラスアスファルト混合物に使用される粗骨材の粒径が・・・13mm~5mmの範囲である」と記載されていることや、甲第1号証の[ア7]に記載されているように、スクリーン8の5mm振動ふるいによる分級により粒径13mm~5mmの粗骨材G1が得られていることからも明らかである。したがつて、甲第1号証における第1粗粒子が「粒径13mm~5mm超」である点は、甲第1号証に記載されているに等しい事項である。 さらに、第二の再生骨材の「粒径5mm~0mm」に関し、第1微細粒子の粒径2.5mm以下の範囲には、当然、粒径5mm~0mmの範囲の一部も包含される。また、甲第1号証の[ア10]に、一般的なポーラスアスファルト混合物に使用される粗骨材の粒径が13mm~5mmの範囲である旨の記載が有ることから、粗骨材から取り除かれる第1微細粒子は、5mm以下であってよく、この点は、甲第1号証に記載されているに等しい事項である。さらに、甲第1号証の[ア1]に記載されているように、まず、粒状のアスファルト廃材が5mm振動ふるいにかけられていることから、「粒径5mm~0mmの第二の再生骨材と、に分級」することは甲第1号証に記載されているとも言える。」 (2)当審の見解 本件訂正発明1もしくは2では、「前記第四の再生骨材を、母材である前記アスファルト再生骨材を分級した前記第二の再生骨材と混合し、 前記第二の再生骨材及び前記第四の再生骨材を混合したものに、施工性改善剤、再生用添加剤、新規アスファルトの少なくともいずれかを混合釜で混合することでアスファルトモルタルを製造」していることから、アスファルト混合物の製造において、「第二の再生骨材」が用いられている。 一方、甲1発明は、「5mm振動ふるい」により「アスファルト廃材」から「見掛け粒度5mm以上のアスファルト廃材」が分けられることが理解され、「5mm振動ふるい」を用いていることから、「粒径」が「5mm」より小さいものは、「ふるい」の目から落ち、それにより分けられるものの、甲1発明は、「再生骨材を再生ポーラスアスファルト混合物の原料として用いる場合は、アスファルト廃材から5mm未満の粒径のものを除去することが生産効率を向上させるためには不可欠であ」るから、上記イ(イ)c及びウ(イ)cに示したとおり、「5mm振動ふるい」により分けられた「5mm未満の粒径のもの」は、「再生骨材製造」において、「除去」されるものであるから、本件訂正発明1もしくは2の「第二の再生骨材」に相当する構成を有するものではなく、また、甲第1号証の「粒径2.5mm以下の第1微細粒子」は、本件訂正発明1もしくは2の「第二の再生骨材」とは、「粒径」の数値範囲が一部重なりを持つものであるが、「粒径2.5mm以下の第1微細粒子」に分ける手段である、原水槽5での浮沈により、5mm以下の「微細粒子」とに分けることについて何ら記載されておらず、またそれを示唆する記載もないから、「粒径」の数値範囲について、本件訂正発明1もしくは2のように「粒径5mm~0mm超の第二の再生骨材」とすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。 そして、申立人が主張する、「見かけ粒度5mm以上の粒子をスパイラル分級機3Aに投入して」得られる「粒径2.5mm以下の第1微細粒子」は、「スパイラル分級機に供給された清水の水流により、アスファルト廃材の表面部に付着している微細粒子が剥がされて得られるものであるから、「分級」により得られたものでないことは明らかである。 よって、上記申立人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1及び2に係る特許は、取消理由で通知した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700380

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