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特許異議申立

2025-700770

酸化ガリウム結晶の製造装置

審判番号
2025-700770
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-172014
登録番号
7625190
請求日
2025年07月28日
審決日
2026年03月25日
公報発行日
2026年07月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】不二越機械工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
  • 【権利者】国立大学法人信州大学
  • 【権利者代理人】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
  • 【異議申立人】藤央 弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 尚之
  • 審判官 塩谷 領大
  • 審判官 河本 充雄
分類
P1651.121-YAA(C30B) / P1651.537-YAA(C30B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7625190号発明「酸化ガリウム結晶の製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7625190号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7625190号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7625190号の請求項1~5に係る特許(以下、「本件特許」ともいう。)についての出願は、令和2年10月12日の出願であって、令和7年1月24日にその特許権の設定登録がされ、同年2月3日に特許掲載公報が発行された。 本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和7年 7月28日 :藤央弁理士法人(以下、「申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て 令和7年11月17日付け:取消理由通知 同年12月24日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出 令和8年 1月 9日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出 なお、令和8年1月20日付けで申立人に対して訂正請求があった旨を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人から応答はなかった。 第2 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 令和7年12月24日に提出され、令和8年1月9日提出の手続補正書(方式)によって補正された訂正請求による、一群の請求項1~5に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成され、」と記載されているのを、 「前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 願書に添付した明細書の【0010】に 「前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成され、」と記載されているのを、 「前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1による訂正は、接続部について、「発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ」ることを限定するとともに、発熱部について、「るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の【0028】、【0032】、【図1】の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当しない。 また、訂正事項1による訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2による訂正は、訂正事項1による訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 まとめ 本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正の請求により訂正された請求項1~5の特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明5」といい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 耐熱材により構成された炉本体と、 前記炉本体内に配置されたるつぼと、 前記るつぼの周囲に配設された発熱体と、を備え、 前記発熱体は、発熱部と、接続部と、導電部とを有する抵抗加熱発熱体であって、 前記発熱部、前記接続部、および前記導電部は、それぞれ一定の径を有する円柱状の部位であり、 前記導電部が前記炉本体の上部を挿通して前記炉本体内で鉛直方向に設けられ、前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、 前記発熱部が、該発熱部よりも径が大きく前記導電部よりも径が小さく形成された前記接続部を介して、前記導電部に接続されており、 前記発熱部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記接続部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記導電部は1800℃の耐熱性を有する材質で構成されていること を特徴とする酸化ガリウム結晶の製造装置。 【請求項2】 前記発熱体は、前記発熱部の径(x)と、前記接続部の径(y)と、前記導電部の径(z)との比(x:y:z)において、 3≦x≦9、4≦y≦12、6≦z≦18(ただし、x<y<z)であること を特徴とする請求項1記載の酸化ガリウム結晶の製造装置。 【請求項3】 前記発熱体は、前記発熱部の径(x)と、前記接続部の径(y)と、前記導電部の径(z)との比(x:y:z)において、 y≦3x、且つ、z≦2y、且つ、z≦4x(ただし、x<y<z)であること を特徴とする請求項2記載の酸化ガリウム結晶の製造装置。 【請求項4】 前記発熱体は、MoSi2からなること を特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の酸化ガリウム結晶の製造装置。 【請求項5】 前記発熱体は、先端がU字状に形成された前記発熱部に対して2本の前記接続部が接続され、さらに2本の該接続部に対してそれぞれ前記導電部が接続されており、 前記発熱部の径が3mm~9mmであって、 前記発熱部の曲げ幅が40mm未満であること を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化ガリウム結晶の製造装置。」 第4 申立理由の概要 申立人は、証拠として甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」~「甲4」という。)を提出し、以下の理由により、本件特許を取り消すべきものである旨主張している。 1 申立理由1(進歩性) 本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 申立理由2(サポート要件) 本件発明1~5は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 [証拠方法] 甲1:特開2017-193466号公報 甲2:「Kanthal○R Super Electric heating elements」のパンフレット、Sandvik Materials Technology、2012年(当審注:Rに○を付した文字は「○R」と表記する。以下、同様である。) 甲3の1:「Moly-D○R34 Molybdenum Disilicide Heating Eelement」のパンフレット、I Squared R Element Co., Inc.、2017年3月、<https://isquaredrelement.com/wp-content/uploads/2020/12/MD-34-letter-size.pdf> 甲3の2:甲3の1のPDFファイルのドキュメントプロパティ、<https://isquaredrelement.com/wp-content/uploads/2020/12/MD-34-letter-size.pdf> 甲4:I Squared R Element社のウェブページ印刷物、I Squared R Element Co., Inc.、印刷日2024年10月9日、<https://isquaredrelement.com/product/moly-d-u-shape/> 第5 取消理由の概要 当審において、令和7年11月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1 取消理由1(進歩性) 本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第6 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明 1 甲1(特開2017-193466号公報) (1)甲1には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「【請求項1】 基体と、該基体上に配設された耐熱性を有する筒状の炉本体と、該炉本体を閉塞する蓋体と、前記炉本体内に配設された発熱体と、前記基体を貫通して上下動自在に設けられたるつぼ受軸と、該るつぼ受軸上に配設され、前記発熱体により加熱されるるつぼとを具備する垂直ブリッジマン炉からなる酸化ガリウム結晶の製造装置であって、 前記るつぼが、Pt系合金製のるつぼであり、 前記炉本体の内壁が、所要高さを有するリング状の耐熱部材が複数積層された耐熱壁に形成されていると共に、前記リング状の耐熱部材が複数の分割片が接合されてリング状に形成されていることを特徴とする酸化ガリウム結晶の製造装置。」 「【0024】 (製造装置の構成例) 本実施の形態に係る酸化ガリウム(β-Ga2O3)結晶の製造装置においては、β-Ga2O3結晶の育成に使用するるつぼ材料として、Irとは異なるるつぼ材料、具体的には、白金系合金材料、好適には(Pt)とロジウム(Rh)の合金材料を使用する。 図3は、β-Ga2O3結晶を育成する酸化ガリウム結晶の製造装置10の構成例を示す。この酸化ガリウム結晶の製造装置10は、酸素雰囲気中(大気中)において、VB法(垂直ブリッジマン法)によりβ-Ga2O3結晶を育成する装置となっている。 【0025】 まず、酸化ガリウム製造装置10の概略の構成例を示す。 図3において、基体(基台)12上に、炉本体14が配設されている。基体12には、冷却水が通流される冷却機構16が設けられている。 炉本体14は、全体として筒状をなし、1850℃程度までの高温に耐えうる耐熱性を有する構造に形成されている。 炉本体14の開口部を蓋体18により閉塞可能となっている。 また炉本体14の下部は、種々の耐熱材料が積層された底部22となっている。 【0026】 炉本体14内には、発熱体20が配設されている。本実施の形態における発熱体は、抵抗加熱発熱体であり、通電されることによって発熱する。 上記底部22および基体12には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔を挿通して、るつぼ受軸24が図示しない駆動機構により上下動自在および軸線を中心として回転自在に設けられている。るつぼ受軸24もアルミナ等の高温に耐える耐熱材料によって形成されている。また、るつぼ受軸24内には、熱電対26が配設され、炉本体14内の温度を計測可能となっている。 るつぼ受軸24の上端にはジルコニア等の耐熱材料からなるアダプタ28が取り付けられ、このアダプタ28内に上記Pt-Rh合金製のるつぼ30が載置されるようになっている。るつぼ30は、発熱体20によって加熱される。 【0027】 続いて、さらに各部の詳細について説明する。 炉本体14は、図示の実施の形態では、内層側から順に、最内壁たる耐熱壁32、断熱材層33、支持筒体34、断熱材層35からなる4層構造となっている。なお、断熱材層35の外側は、図示しないが外壁によって囲まれている。 耐熱壁32は、図4、図5に示すように、6個の分割片32aが接合されて所要高さを有するリング状に形成された耐熱部材32bが、上下方向に複数積層されて筒状に形成されている。リング状に形成された耐熱部材32bは、図5に明確なように、上下隣接するリング状の耐熱部材32bの各分割片32aが、周方向に互いにずれて積層されるように配置するとよい。 耐熱部材32bは、特に限定されるものではないが、アルミナ製、もしくは2000℃程度までの温度に対する耐熱性を有するジルコニア製とするのが好適である。 ・・・ 【0029】 耐熱壁32と支持筒体34との間には、断熱材層33が介装されている。断熱材層34は、アルミナファイバーが所要密度で固められたものであって、ポーラス状をなし、耐熱性を有すると共に、断熱性を有するものに形成されている。 また、支持筒体34の外側に配設される断熱材層35は、アルミナファイバーを充填して形成されている。 【0030】 次に、蓋体18は、断熱材層33と同様に、アルミナファイバーを所要密度で固めたボード18aを所要枚数積層して形成されている。したがって軽量であり、強度を補填するために、耐熱性を有するサファイア管等からなる補強部材37を積層ボード中に介装している。 蓋体18としては、密度の高い、ジルコニア製やアルミナ製とすることも考えられるが、本実施の形態に係る酸化ガリウム結晶の製造装置10は、内部が1800℃以上の高温に加熱されるため、密度の高い、ジルコニア製やアルミナ製の蓋体にすると、自らの重量に耐えられなくなり、変形したりする不具合が生じる。この課題を、アルミナファイバーを固めた軽量の蓋体18にすると共に、強度不足を補強部材37で補填することによって解決できた。 【0031】 図6は発熱体20の具体的な構成を示す図面である。 本実施の形態に係る発熱体20は、二珪化モリブデン(MoSi2)からなる抵抗加熱発熱体をU字状に形成した発熱体(商品名:カンタルスーパー)20を用いた。この発熱体20を4本、図6に示すように、枠状の支持具38に固定し、炉本体14に装着した。具体的には、図7に示すように、蓋体18に発熱体20挿通用の長孔40を形成し、発熱体20部分を長孔40に挿通して、発熱体20が炉本体14内の、るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置した。長孔40を挿通する部分における発熱体20は高温のため、発熱体20が直接長孔40内壁に触れないように、当該部分に隙間ができるようにした。 なお、支持具38は、炉本体14の適所(図示せず)に固定するようにした。 また、支持具38と蓋体18との間の空間に、断熱材層35に用いたと同様の、アルミナファイバーからなる断熱材を充填して断熱材層41を設けた。 【0032】 二珪化モリブデンからなるカンタルスーパー(商品名)は、1900℃程度までの高温加熱が可能である。もちろん加熱温度は、発熱体20への供給電力を調整することで調整できる。また、カンタルスーパー(商品名)以外にも、ケラマックス(商品名)発熱体も高温加熱が可能である。 本実施の形態に係る酸化ガリウム結晶の製造装置10は上記のように構成され、常法により、大気中で、垂直ブリッジマン法により、酸化ガリウム結晶の育成を行えた。るつぼ30に、Pt系合金材料、特にPt-Rh系合金材料のるつぼ30を用いることにより、大気中にもかかわらず、Ir単独の場合と相違し、るつぼ30の酸化を防止でき、一方で、酸素の豊富な大気中で結晶育成することから、酸素欠陥のない酸化ガリウムの結晶育成が行えた。」 「【図3】 [図:0001437392000001.jpg] 」 「【図6】 [図:0001437392000002.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 ア 上記(1)の【請求項1】、【0025】、【0026】の記載によれば、酸化ガリウム結晶の製造装置は、基体12と、該基体12上に配設された耐熱性を有する筒状の炉本体14と、該炉本体14を閉塞する蓋体18と、前記炉本体14内に配設された発熱体20とを具備し、炉本体14の下部は、種々の耐熱材料が積層された底部22となっているものである。 イ 上記(1)の【0027】の記載によれば、炉本体14は、内層側から順に、最内壁たる耐熱壁32、断熱材層33、支持筒体34、断熱材層35からなる4層構造となっているものである。 ウ 上記(1)の【0029】、【0030】の記載によれば、断熱材層34は、アルミナファイバーが所要密度で固められたものであって、ポーラス状をなし、耐熱性を有するものであり、蓋体18は、断熱材層33と同様に、アルミナファイバーを所要密度で固めたボード18aを所要枚数積層して形成されているから、蓋体18は、耐熱性を有するものであるといえる。 エ 上記(1)の【0031】、【0032】の記載によれば、発熱体20は、二珪化モリブデン(MoSi2)からなる抵抗加熱発熱体をU字状に形成した発熱体(商品名:カンタルスーパー)20を用いたものであって、1900℃程度までの高温加熱が可能であるといえる。 オ 上記(1)の【0031】の記載によれば、発熱体20は、支持具18に固定して炉本体14に装着され、蓋体18に形成された発熱体20挿通用の長孔40に挿通されて、発熱体20が炉本体14内の、るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されているといえる。 カ 上記オの検討を参酌すると、上記(1)の【図3】、【図6】から、発熱体20は、耐熱壁32で囲まれた空間に位置する第1の部分と、支持具38に固定され、蓋体18の長孔40内に位置する第2の部分を有することが見て取れる。 キ 以上から、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「基体12と、該基体12上に配設された耐熱性を有する筒状の炉本体14と、該炉本体14を閉塞する蓋体18と、前記炉本体14内に配設された発熱体20とを具備する酸化ガリウム結晶の製造装置であって、 炉本体14の下部は、種々の耐熱材料が積層された底部22となっており、 炉本体14は、内層側から順に、最内壁たる耐熱壁32、断熱材層33、支持筒体34、断熱材層35からなる4層構造となっており、 蓋体18は、耐熱性を有し、 発熱体20は、二珪化モリブデン(MoSi2)からなる抵抗加熱発熱体をU字状に形成した発熱体(商品名:カンタルスーパー)20を用いたものであって、1900℃程度までの高温加熱が可能であり、 発熱体20は、支持具18に固定して炉本体14に装着され、蓋体18に形成された発熱体20挿通用の長孔40に挿通されて、発熱体20が炉本体14内の、るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されており、 発熱体20は、耐熱壁32で囲まれた空間に位置する第1の部分と、支持具38に固定され、蓋体18の長孔40内に位置する第2の部分とを有する、 酸化ガリウム結晶の製造装置。」 2 甲2(「Kanthal○R Super Electric heating elements」のパンフレット、Sandvik Materials Technology、2012年) 甲2には、以下の記載がある。なお、甲2の記載は、当審の訳文で示す。 「カンタル○R スーパー 電気加熱素子」(表紙) 「カンタルスーパーは、二珪化モリブデン(MoSi2)及び酸化物成分、主にガラス相からなる高密度サーメット材料である。」(2ページ左欄1~3行) 「カンタルスーパー1900 カンタルスーパー1700と同じコア特性であるが、高い純度と、良好な接着性を有する表面を有する。最大温度が1850℃(3360°F)である。」(2ページ右欄4~7行) 「最も一般に使用されるデザインは2つのシャンクを有するU字形状の素子である(図1、14ページ)。その加熱ゾーンは終端部に溶接され、終端部は、通常、加熱ゾーンの2倍の直径を有している。」(13ページ左欄1~4行) 「 [図:0001437392000003.jpg] 」(13ページ) 「 [図:0001437392000004.jpg] 」(14ページ) 「 [図:0001437392000005.jpg] 」(14ページ) 3 甲3の1(「Moly-D○R34 MOLYBDENUM DISILICIDE HEATING ELEMENTS」のパンフレット、I SQUARED R ELEMENT CO., INC.、2017年3月、<https://isquaredrelement.com/wp-content/uploads/2020/12/MD-34-letter-size.pdf>) 甲3の1には、以下の記載がある。なお、甲3の1の記載は、当審の訳文で示す。 「Moly-D○R34 二珪化モリブデン 加熱素子」(1ページ1~3行) 「 [図:0001437392000006.jpg] 」(1ページ) 「抵抗率 Moly-D34の電気抵抗率は下図に示されており、既存の電源を調整することなく、他のグレードのMoSi2素子と直接交換可能です。 [図:0001437392000007.jpg] 」(2ページ左欄) 「 [図:0001437392000008.jpg] 」(2ページ左欄) 「*9/18素子は、現在9/12/18素子として製造されている。ここで、直径9及び12mmがMoly-D34グレードであり、直径18mmがMoly-33グレードである。」(2ページ右欄注釈) 4 甲4(I Squared R Element社のウェブページ印刷物、I Squared R Element Co., Inc.、印刷日2024年10月9日、<https://isquaredrelement.com/product/moly-d-u-shape/>) 甲4には、以下の記載がある。なお、甲4の記載は、当審の訳文で示す。 「利用可能なサイズ ・・・ 素子は、以下のグレード及び直径で利用できる: MD-31 - 最高素子温度1700℃(3090°F)3/6、4/9、6/12、9/18、12/24 MD-33 - 最高素子温度1800℃(3270°F)3/6、4/9、6/12、9/18、12/24 MD-34 - 最高素子温度1850℃(3360°F)3/6,4/9,6/12,9/18(9/12/18)」(4~5ページ) 第7 取消理由(進歩性)、申立理由1(進歩性)について 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 本件発明1の「耐熱材により構成された炉本体」について、本件特許に係る願書に添付した明細書の【0020】には、「炉本体14は、耐熱材14aにより構成された所要高さを有するリング部材が鉛直方向に複数層に積層されて筒状をなすことによって内部に炉空間15が形成されている」と記載されているから、本件発明1の「炉本体」は、「耐熱材」によって構成され、当該「耐熱材」によって囲まれることにより内部に炉空間が形成されているといえる。 一方、甲1発明は、「耐熱性を有する筒状の炉本体14」と「該炉本体14を閉塞する蓋体18」によって内部に炉空間が形成されているといえ、また、「炉本体14」と「蓋体18」は、いずれも「耐熱性を有」するものであるから、耐熱材であるといえる。 そうすると、甲1発明の「筒状の炉本体14」と「該炉本体14を閉塞する蓋体18」とは、いずれも耐熱材であり、当該耐熱材によって囲まれることにより内部に炉空間が形成されているといえる。 したがって、甲1発明の「耐熱性を有する筒状の炉本体14」と「該炉本体14を閉塞する蓋体18」は、本件発明1の「耐熱材により構成された炉本体」に相当する。 イ 甲1発明において、「発熱体20が炉本体14内の、るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されて」いるから、「るつぼ30」は、「耐熱性を有する筒状の炉本体14」と「該炉本体14を閉塞する蓋体18」内に配置されているといえる。 したがって、甲1発明の「るつぼ30」は、本件発明1の「前記炉本体内に配置されたるつぼ」に相当する。 ウ 甲1発明の「発熱体20」は、「るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されて」いるから、「るつぼ30」の周囲に配置されているといえる。 したがって、甲1発明の「るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されて」いる「発熱体20」は、本件発明1の「前記るつぼの周囲に配設された発熱体」に相当する。 エ 上記ア~ウによれば、本件発明1と甲1発明とは、「耐熱材により構成された炉本体と、 前記炉本体内に配置されたるつぼと、 前記るつぼの周囲に配設された発熱体と、を備え」ている点で一致する。 オ 甲1発明の「発熱体20」は、「二珪化モリブデン(MoSi2)からなる抵抗加熱発熱体をU字状に形成した発熱体(商品名:カンタルスーパー)20を用いたもの」であるから、抵抗加熱発熱体であるといえる。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記発熱体」は、「抵抗加熱発熱体」である点で共通する。 カ 甲1発明の「酸化ガリウム結晶の製造装置」は、本件発明1の「酸化ガリウム結晶の製造装置」に相当する。 キ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「耐熱材により構成された炉本体と、 前記炉本体内に配置されたるつぼと、 前記るつぼの周囲に配設された発熱体と、を備え、 前記発熱体は、抵抗加熱発熱体である 酸化ガリウム結晶の製造装置。」 <相違点> 相違点1:「発熱体」について、本件発明1は、「発熱部と、接続部と、導電部とを有する」ものであり、「前記発熱部、前記接続部、および前記導電部は、それぞれ一定の径を有する円柱状の部位であり、 前記導電部が前記炉本体の上部を挿通して前記炉本体内で鉛直方向に設けられ、前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、 前記発熱部が、該発熱部よりも径が大きく前記導電部よりも径が小さく形成された前記接続部を介して、前記導電部に接続されており、 前記発熱部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記接続部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記導電部は1800℃の耐熱性を有する材質で構成されている」のに対し、甲1発明は、「二珪化モリブデン(MoSi2)からなる抵抗加熱発熱体をU字状に形成した発熱体(商品名:カンタルスーパー)20を用いたものであって、1900℃程度までの高温加熱が可能であり」、「支持具18に固定して炉本体14に装着され、蓋体18に形成された発熱体20挿通用の長孔40に挿通されて、発熱体20が炉本体14内の、るつぼ30を四方から囲む位置となるように配置されており」、「耐熱壁32で囲まれた空間に位置する第1の部分と、支持具38に固定され、蓋体18の長孔40内に位置する第2の部分とを有する」点。 (2)相違点1についての判断 ア 「発熱部と、接続部と、導電部とを有する抵抗加熱発熱体」において、「前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成され」ることは、甲2~甲4のいずれにも記載も示唆もされていない。 そうすると、甲1発明において、甲2~甲4に記載された事項を参酌しても、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 イ 小括 以上から、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 4 まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1(進歩性)、申立理由1(進歩性)には理由がない。 第8 申立理由2(サポート要件)について 1 上記第2で検討したとおり、明細書の訂正は認められたので、本件訂正の請求により訂正された明細書を、以下、「本件訂正明細書」といい、訂正前の明細書を、以下、「本件明細書」という。また、本件特許の設定登録時の図面の図6を、以下、「図6」という。 (1)申立人は、特許異議申立書の28ページ2行~11行、24ページ下から9~6行において、本件明細書の【0008】の記載から、本件発明が解決しようとする課題は、抵抗加熱発熱体を用いた結晶製造装置であって、低コストで且つ熱による変形や破損が抑制可能な発熱体を備えた酸化ガリウム結晶の製造装置を提供することであるが、本件明細書の参考例の発熱体は、図6から明らかなように、発熱部と導電部の接続部において変形も破損も全く存在しておらず、実施例1及び実施例2よりも優れた結果が示されており、実施例1及び2は、発熱部と導電部の接続部における変形又は破損を抑制する点において、従来の抵抗加熱発熱体(参考例)よりも劣っているから、本件明細書を見ても、当業者は、本件発明が上記課題を解決できることを認識することができない旨主張している。 (2)申立人が主張するとおり、本件発明が解決しようとする課題は、抵抗加熱発熱体を用いた結晶製造装置であって、低コストで且つ熱による変形や破損が抑制可能な発熱体を備えた酸化ガリウム結晶の製造装置を提供することであり、また、本件訂正明細書の実施例1及び2と参考例の対比から、実施例1及び2は、発熱部と導電部の接続部のみにおける変形又は破損を抑制する点において、従来の抵抗加熱発熱体(参考例)よりも劣っている。 しかし、本件発明が解決しようとする課題は、上記のとおり、抵抗加熱発熱体を用いた結晶製造装置であって、低コストで且つ熱による変形や破損が抑制可能な発熱体を備えた酸化ガリウム結晶の製造装置を提供することであり、発熱体の接続部のみの変形や破損を抑制することを課題とするものではない。 そして、本件訂正明細書の【0043】の記載によれば、実施例1では、1本の発熱体が変形し、3箇所の発熱部が破損し、【0045】の記載によれば、実施例2では、1本の発熱体が変形し、1箇所の発熱部が破損しているのに対し、【0042】、【0044】及び図6の記載によれば、参考例では、6箇所の発熱部が破損しているから、参考例よりも実施例1及び実施例2の方が、発熱体の変形や破損を抑制できるといえる。 したがって、申立人の上記(1)の主張は、前提において誤っているから採用できない。 2(1)申立人は、特許異議申立書の28ページ12行~29ページ2行において、本件発明1には「前記発熱部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記接続部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記導電部は1800℃の耐熱性を有する材質で構成されている」との記載があるものの、本件訂正明細書には、具体例として、二珪化モリブデン(MoSi2)を材料とした3段階構成(発熱部34aおよび接続部34cおよび導電部34b)の抵抗加熱発熱体(JX金属製)であって、発熱部34aを、材質:1900グレード、φ:6[mm]とし、接続部34cを、材質:1900グレード、φ:9[mm]とし、導電部34bを、材質:1800グレード、φ:12[mm]として構成したものが記載されているにすぎないが、化学分野では材質の違いにより、得られる特性が異なることは技術常識であり、当該技術常識に基づけば、二珪化モリブデン(MoSi2)を材料とした抵抗加熱発熱体に代えて、他の材質を用いた抵抗加熱発熱体を用いた場合に、熱による変形及び破損に対して同じような結果が得られるとは認められないから、仮に二珪化モリブデン(MoSi2)を材料とした抵抗加熱発熱体を用いた場合に上記課題を解決できることを当業者が認識できたとしても、二珪化モリブデン(MoSi2)を材料とした抵抗加熱発熱体以外の発熱体も含まれる本件発明が当該課題を解決できることまでは当業者であっても認識することはできない旨主張している。 (2)本件訂正明細書には、以下の記載がある。 「【0009】 本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。 【0010】 本発明に係る酸化ガリウム結晶の製造装置は、耐熱材により構成された炉本体と、前記炉本体内に配置されたるつぼと、前記るつぼの周囲に配設された発熱体と、を備え、前記発熱体は、発熱部と、接続部と、導電部とを有する抵抗加熱発熱体であって、前記発熱部、前記接続部、および前記導電部は、それぞれ一定の径を有する円柱状の部位であり、前記導電部が前記炉本体の上部を挿通して前記炉本体内で鉛直方向に設けられ、前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、前記発熱部が、該発熱部よりも径が大きく前記導電部よりも径が小さく形成された前記接続部を介して、前記導電部に接続されており、前記発熱部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記接続部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記導電部は1800℃の耐熱性を有する材質で構成されていることを特徴とする。 【0011】 これによれば、発熱して1850[℃]近くにまで達する発熱部については、1850[℃]の耐熱性を有する材質で構成して熱による変形や破損を抑制でき、一方、発熱部ほどの高温には達しない導電部については、比較的安価な1800[℃]の耐熱性を有する材質で構成して発熱体全体の材料コストを低下させることができる。 【0012】 また、発熱部と導電部とを、発熱部と同じ1850[℃]の耐熱性を有する材質で構成しながら発熱部よりも径を大きく形成した接続部を介して連結することによって、炉本体内の最高温域に位置して最も高温になり易い発熱部の基端から導電部との連結部位までを熱から保護することができる。その結果、発熱体の変形や破損をさらに抑制できる。」 (3)上記(2)の記載から、「耐熱材により構成された炉本体と、前記炉本体内に配置されたるつぼと、前記るつぼの周囲に配設された発熱体と、を備え、前記発熱体は、発熱部と、接続部と、導電部とを有する抵抗加熱発熱体であって、前記発熱部、前記接続部、および前記導電部は、それぞれ一定の径を有する円柱状の部位であり、前記導電部が前記炉本体の上部を挿通して前記炉本体内で鉛直方向に設けられ、前記接続部が前記炉本体内で前記導電部の先端に鉛直方向に延設されて、発熱部のるつぼ周囲の上部領域に位置する部分と、炉本体内の上部領域に位置する導電部との間に設けられ、さらに前記発熱部が前記炉本体内で前記接続部の先端に鉛直方向に延設されて、側面視直線状に形成されて、るつぼ周囲に上側の温度が高く、下側の温度が低くなるような垂直方向の温度勾配を形成するように配置され、前記発熱部が、該発熱部よりも径が大きく前記導電部よりも径が小さく形成された前記接続部を介して、前記導電部に接続されており、前記発熱部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記接続部は1850℃の耐熱性を有する材質で構成され、前記導電部は1800℃の耐熱性を有する材質で構成されている酸化ガリウム結晶の製造装置」(以下、「本件製造装置」という。)によれば、発熱して1850[℃]近くにまで達する発熱部については、1850[℃]の耐熱性を有する材質で構成して熱による変形や破損を抑制でき、一方、発熱部ほどの高温には達しない導電部については、比較的安価な1800[℃]の耐熱性を有する材質で構成して発熱体全体の材料コストを低下させることができ、また、熱部と導電部とを、発熱部と同じ1850[℃]の耐熱性を有する材質で構成しながら発熱部よりも径を大きく形成した接続部を介して連結することによって、炉本体内の最高温域に位置して最も高温になり易い発熱部の基端から導電部との連結部位までを熱から保護することができ、その結果、発熱体の変形や破損をさらに抑制できるものである。 そうすると、本件製造装置は、上記課題を解決し得るものであるといえる。 そして、本件訂正明細書の実施例(【0038】~【0045】)では、抵抗加熱発熱体として二珪化モリブデン(MoSi2)を材料としているが、上記のとおり、本件製造装置は、上記課題を解決し得るものであるから、二珪化モリブデン(MoSi2)を材料とした抵抗加熱発熱体以外の発熱体を用いた本件製造装置においても、上記課題を解決し得るものであることが理解できる。 そして、本件発明1の「酸化ガリウム結晶の製造装置」は、本件製造装置と同じ構成を有するものであるから、本件発明1は、上記課題を解決し得るものといえる。 また、本件発明2~5は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様に、上記課題を解決し得るものといえる。 よって、申立人の上記(1)の主張は採用できない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、申立理由2(サポート要件)には理由がない。 第9 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700770

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