特許訂正審判
2023-390050
治療抗IgE抗体並びにその方法及び組成物
- 審判番号
- 2023-390050
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-537154
- 登録番号
- 7128191
- 請求日
- 2023年04月25日
- 審決日
- 2023年08月16日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 【請求人】シクサル,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】大貫 敏史
- 【請求人代理人】江口 昭彦
- 【請求人代理人】内藤 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 上條 肇
- 審判官 藤井 美穂
- 審判官 天野 貴子
- 分類
- P141 .852-Y (C07K) / P141 .854-Y (C07K) / P141 .855-Y (C07K) / P141 .856-Y (C07K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第184条の19、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7128191号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7128191号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7128191号(以下、「本件特許」という。)は、平成30年1月5日(パリ条約による優先権主張 2017年1月6日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その請求項1~18に係る発明について、令和4年8月22日に特許権の設定登録がされ、その後、令和5年4月25日に訂正審判(以下、「訂正審判」という。)が請求されたものである。
第2 請求の要旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
本件審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の配列番号16(化2)で表される配列のうち、配列表の配列番号16における27位~30位の残基「Ser Xaa Xaa Val」に相当する「S(X)V」について、SとVの間にある残基「(X)」を「(X)2」と訂正する。訂正前の請求項1と同様の記載がある明細書の段落0010、0065及び0181においても同様の訂正を行う。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7及び8に記載の配列番号25で表される配列のうち、「X254」(配列表の配列番号25における11位の残基「Xaa」に相当する。)を「X25」と訂正する。訂正前の請求項7及び8と同様の記載がある明細書の段落0010、0068、0182及び0183においても同様の訂正を行う。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7及び8に記載の配列番号30で表される配列のうち、2番目の「X45」(配列表の配列番号30における8位の残基「Xaa」に相当する。)を「X46」と訂正する。訂正前の請求項7及び8と同様の記載がある明細書の段落0010、0068、0182及び0183においても同様の訂正を行う。
第3 当審の判断
1 訂正前の特許請求の範囲、明細書及び配列表の記載事項
本件特許の訂正前の特許請求の範囲、明細書及び配列表には、次の事項が記載されている。下線は当審による。
a
「【請求項1】
DTAVYYCAR(配列番号7)を含むVH鎖、並びにLQAED(配列番号11)と、AAPSV(配列番号12)、GTKL(配列番号13)、及びRFSGS(配列番号14)から選択される少なくとも1つの配列とを含むVL鎖を含むモノクローナル抗体であって、好ましくは、VL配列は、LQAED(配列番号11)と、(a)AAPSV(配列番号12)又は(b)RFSGS(配列番号14)及びGTKL(配列番号13)とを含む、モノクローナル抗体。
・・・
【請求項3】
前記VH鎖は、
【化1】
[図:0001404708000001.jpg]
であり、及び/又は前記VL鎖は、
【化2】
[図:0001404708000002.jpg]
であり、それぞれのXは、独立して、任意のアミノ酸である、請求項1に記載のモノクロ ーナル抗体。
・・・
【請求項9】
前記VL鎖は、以下の配列RFSGSX22SG(配列番号24)、LTX23SX24LQAEDX254AX26YY(配列番号25)、FGX27GTKL(配列番号26)、AAPSVX28X29FPPSX30EX31L(配列番号27)、AX32X33VCLX34X35X36FYP(配列番号28)、HX37X38YX39CX40VTHX41G(配列番号29)、PX42SX43X44X45SX45GX47X48X49TIX50C(配列番号30)、QX51X52PGX53X54PKLX55IY(配列番号31)のいずれか1つ以上を含み、X22~X55は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項10】
前記VL鎖は、以下の配列RFSGSX22SG(配列番号24)、LTX23SX24LQAEDX254AX26YY(配列番号25)、FGX27GTKL(配列番号26)、AAPSVX28X29FPPSX30EX31L(配列番号27)、AX32X33VCLX34X35X36FYP(配列番号28)、HX37X38YX39CX40VTHX41G(配列番号29)、PX42SX43X44X45SX45GX47X48X49TIX50C(配列番号30)、QX51X52PGX53X54PKLX55IY(配列番号31)のいずれか1つ以上を含み、X22は、G又はKであり、X23は、I又はVであり、X24は、G又はSであり、X25は、E又はVであり、X26は、D又はVであり、X27は、G、S、又はQであり、X28は、F又はTであり、X29は、I又はLであり、X30は、D又はSであり、X31は、E又はQであり、X32は、S又はTであり、X33は、L又はVであり、X34は、I又はLであり、X35は、N又はSであり、X36は、D又はNであり、X37は、K又はRであり、X38は、S又はVであり、X39は、A又はSであり、X40は、E又はQであり、X41は、E又はQであり、X42は、A、D、又はPであり、X43は、A、L、又はVであり、X44は、A又はSであり、X45は、G又はVであり、X46は、L又はPであり、X47は、E又はQであり、X48は、R又はSであり、X49は、A、I、又はVであり、X50は、N又はSであり、X51は、H又はQ、好ましくは、Qであり、X52は、H又はKであり、X53は、K又はQであり、X54は、A又はPであり、X55は、L又はMである、請求項1~8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。」(特許請求の範囲)
b
「【0009】
[0015] 一部の実施形態において、VL鎖は、LQAED(配列番号11)と(a)AAPSV(配列番号12)又は(b)RFSGS(配列番号14)及びGTKL(配列番号13)とを含む。一部の実施形態において、VL鎖は、
【0010】
【化2】
[図:0001404708000003.jpg]
を含み、それぞれのXは、独立して、任意のアミノ酸である。」(段落【0009】~【0010】)
c
「【0141】
【化25】
[図:0001404708000004.jpg]
E14 VL:
【0142】
【化26】
[図:0001404708000005.jpg]
E23 VH:
【0145】
【化29】
[図:0001404708000006.jpg]
E23 VL:
【0146】
【化30】
[図:0001404708000007.jpg]
」(段落【0141】~【0146】)
d
「<210> 16
<211> 226
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
・・・
<400> 16
・・・
Xaa Xaa Xaa Thr Ile Xaa Cys Xaa Xaa Xaa Ser Xaa Xaa Val Xaa Xaa
20 25 30
・・・」(配列表の配列番号16)
e
「<210> 25
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Monoclonal anti-IgE antibody VL chain
・・・
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (11)..(11)
<223> Xaa is any amino acid, preferably Xaa is Glu or Val
・・・
<400> 25
Leu Thr Xaa Ser Xaa Leu Gln Ala Glu Asp Xaa Ala Xaa Tyr Tyr
1 5 10 15 」(配列表の配列番号25)
f
「<210> 30
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Monoclonal anti-IgE antibody VL chain
・・・
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (8)..(8)
<223> Xaa is any amino acid, preferably Xaa is Leu or Pro・・・
<400> 30
Pro Xaa Ser Xaa Xaa Xaa Ser Xaa Gly Xaa Xaa Xaa Thr Ile Xaa Cys
1 5 10 15 」(配列表の配列番号30)
2 訂正事項1~3についての判断
(1)訂正事項1についての判断
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1の配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」は、その前後のアミノ酸配列から、配列表の配列番号16における27~30番目のアミノ酸残基である「Ser Xaa Xaa Val」に相当するものである(摘記事項d)。
しかしながら、訂正前の請求項1の配列番号16(【化2】)には、「・・・S(X)V・・・」と、SとVの間には残基「(X)」が1つのみ記載されている。そして、配列表の配列番号16には、上記のとおり、27~30番目のアミノ酸残基が「Ser Xaa Xaa Val」であることが記載されていることから(摘記事項d)、訂正前の請求項1の配列番号16(【化2】)の「・・・S(X)V・・・」の残基「(X)」との記載は、2つの連続するX、つまり、「(X)2」の誤記であることは明らかである。
また、本件特許の訂正前の明細書(以下、「訂正前明細書」という。)の段落【0009】~【0010】の、VL鎖は【化2】(配列番号16)を含む旨の記載から(摘記事項b)、配列番号16はVL鎖の一部又は全部のアミノ酸配列であると解される。そして、同段落【0142】、【0144】にはそれぞれ、E14クローンのVL鎖のアミノ酸配列(配列番号59)、E17クローンのVL鎖のアミノ酸配列(配列番号61)が開示されており(摘記事項c)、両アミノ酸配列においては、配列番号16の27~30番目のアミノ酸残基に相当する、26~29番目のアミノ酸残基が「SQSV」であり、セリン残基とバリン残基との間に2つの残基が存在することが開示されていると解されることからみても、訂正前の請求項1の配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」残基の「(X)」が、「(X)2」の誤記であることは明らかである。
訂正前の請求項1と同様の記載がある明細書の段落0010、0065及び0181の配列番号16(【化2】)で表される配列についても同様である。
よって、配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」の「(X)」を「(X2)」に置き換える訂正事項1は誤記を正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
イ 国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記1の摘記事項b~fのとおりの記載が、本件国際出願日における国際出願の明細書及び明細書に添付された配列表にも記載されており(段落[0015]、[0153]、配列表の配列番号16、25及び30)、訂正事項1は、配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」の「(X)」を「(X2)」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正しい記載とする訂正であることから、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19により読み替えて適用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
上記アに記載したとおり、配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」の「(X)」を「(X2)」に置き換える訂正事項1は、誤記を正すものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件について
上記アに記載したとおり、訂正事項1は、配列番号16(【化2】)に記載された「・・・S(X)V・・・」の「(X)」を「(X2)」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正す訂正であって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項1~18に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2についての判断
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項7及び8に記載された配列番号25のアミノ酸配列の11位の、「X254」なる記載について、直前のXに付された番号が「X24」であり、直後のXに付された番号が「X26」であること、訂正前明細書の段落【0010】には、「X25は、E又はVであり」と記載され(上記1の摘記事項b)、かつ、配列表の配列番号25には、11位のXaaが好ましくはGluまたはVal(それぞれアミノ酸一文字表記では、E、Vであると認められる)であることが記載されている(上記1の摘記事項e)ことから、当該配列番号25のアミノ酸配列内の「X254」なる記載が「X25」の誤記であることは明らかである。
訂正前の請求項7及び8と同様の記載がある明細書の段落0010、0068、0182及び0183についても同様である。
よって、配列番号25のアミノ酸配列内の11位の「X254」を「X25」に置き換える訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
イ 国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記1の摘記事項b及びeのとおりの記載が、本件国際出願日における国際出願の明細書及び明細書に添付された配列表にも記載されており(段落[0015]、配列表の配列番号25)、訂正事項2は、配列番号25のアミノ酸配列内の11残基目の「X254」を「X25」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正す訂正であることから、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19により読み替えて適用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
アに記載したとおり、配列番号25のアミノ酸配列内の11位の「X254」を「X25」に置き換える訂正事項2は、誤記を正すものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件について
上記アに記載したとおり、訂正事項2は、請求項7及び8における、配列番号25のアミノ酸配列内の11位の「X254」を「X25」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正す訂正であって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項7~8、12~18に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3についての判断
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項7及び8に記載された、配列番号30のアミノ酸配列内の2番目の「X45」、すなわち、配列番号30のアミノ酸配列の8位の「X45」なる記載について、直前のXに付された番号が「X45」であり、直後のXに付された番号が「47」であること、訂正前の本件明細書の段落【0010】には「X45は、G又はVであり、X46は、L又はPであり」と記載され(上記1の摘記事項b)、かつ、配列表の配列番号30には、8位のXaaが好ましくはLeuまたはPro(それぞれアミノ酸一文字表記では、L、Pである)であることが記載されている(上記1の摘記事項f)ことから、当該配列番号25のアミノ酸配列内の8位の「X45」が「X46」の誤記であることは明らかである。
訂正前の請求項7及び8と同様の記載がある明細書の段落0010、0068、0182及び0183についても同様である。
よって、配列番号30のアミノ酸配列内の8残基目の「X45」を「X46」に置き換える訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
イ 国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記1の摘記事項b及びfのとおりの記載が、本件国際出願日における国際出願の明細書及び明細書に添付された配列表にも記載されており(段落[0015]、配列表の配列番号30)、訂正事項3は、配列番号30のアミノ酸配列内の8位の「X45」を「X46」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正す訂正であることから、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19により読み替えて適用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
上記アに記載したとおり、配列番号30のアミノ酸配列内の8位の「X45」を「X46」に置き換える訂正事項3は、誤記を正すものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件について
上記アに記載したとおり、訂正事項3は、配列番号30のアミノ酸配列内の8位の「X45」を「X46」に置き換えることにより、明細書及び特許請求の範囲における誤記を正す訂正であって、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の請求項7~8、12~18に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1~3は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定される要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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