特許訂正審判
2023-390093
ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)を用いて癌を処置するための組成物及び方法
- 審判番号
- 2023-390093
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-521493外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7254786
- 請求日
- 2023年07月12日
- 審決日
- 2023年09月05日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】エヴェロ バイオサイエンシズ,インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 分類
- P141 .852-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第3項、特許法第126条第1項、特許法第184条の19、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7254786号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7254786号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7254786号(以下「本件特許」という。)の請求項1~17に係る特許についての出願は、平成30年7月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年7月5日 (US)米国)を国際出願日として出願したものであって、令和5年3月31日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和5年7月12日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件請求の趣旨は、特許第7254786号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~17について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
本件審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「tcrY遺伝子の位置49におけるG」と記載されているのを「tcrY遺伝子の位置49におけるC」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項1~11も同様に訂正する)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項12に「tcrY遺伝子の位置49におけるG」と記載されているのを「tcrY遺伝子の位置49におけるC」に訂正する。
(請求項12の記載を直接的又は間接的に引用する請求項13~15も同様に訂正する)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項16に「tcrY遺伝子の位置49におけるG」と記載されているのを「tcrY遺伝子の位置49におけるC」に訂正する。
(請求項16の記載を引用する請求項17も同様に訂正する)
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項2~11は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項1により記載が訂正される訂正前の請求項1に連動して訂正されるから、訂正前の請求項1~11は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
訂正前の請求項13~15は、訂正前の請求項12を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項2により記載が訂正される訂正前の請求項12に連動して訂正されるから、訂正前の請求項12~15は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
訂正前の請求項17は、訂正前の請求項16を引用する関係にあり、訂正事項3により記載が訂正される訂正前の請求項16に連動して訂正されるから、訂正前の請求項16、17は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
よって、本件訂正は特許法第126条第3項の規定に基づき一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 訂正事項1~3についての判断
(1)訂正の目的について
訂正事項1~3はそれぞれ、請求項1、12、16における、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティスのゲノムに含まれる塩基に関する「tcrY遺伝子の位置49におけるG」との記載を、「tcrY遺伝子の位置49におけるC」との記載に訂正するものである。
一方、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティスのゲノムに含まれるtcrY遺伝子について、次の事項が記載されている。
「【0813】
実施例21;ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp.lactis)株Aのゲノム解析
・・・
【0817】
高度に相同な非有効な株と比較すると、株Aは、表6及び表7に列記されている以下の遺伝子に一塩基多型(SNP)及び又は挿入/欠失事象を含む。
【0818】
【表597】
[図:0001404718000001.jpg]
【0819】
【表598】
[図:0001404718000002.jpg]
【0820】
【表599】
[図:0001404718000003.jpg]
」
上記表6(【表599】)には、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス株Aでは、tcrY遺伝子について、ミスセンス変異により、遺伝子における位置49において塩基が「C」に変化し、それによりアミノ酸が「プロリン(Pro)」に変化していることが示されている。
ここで、遺伝子を構成する核酸の塩基配列が、タンパク質を構成するアミノ酸配列へと翻訳される際には、3つの塩基配列からなるコドンによってアミノ酸が指定されるから、tcrY遺伝子の位置49の塩基は、17番目のコドンにおける先頭の塩基である。
また、「プロリン」に対応するコドンは、CCU、CCC、CCA、CCGのいずれかであることは、本件特許の出願時における技術常識であり、いずれも先頭の塩基が「C」のコドンであるから、コドンにおける先頭の塩基が変化したことによって、アミノ酸が「プロリン」に変化しているのであれば、当該先頭の塩基は「C」に変化していることになる。
そうすると、表6で示される、tcrY遺伝子について、位置49においてミスセンス変異により、塩基が「C」に変化し、それによりアミノ酸が「プロリン」に変化していることに不自然、不合理な点はない。
そして、本件明細書には、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティスのtcrY遺伝子の位置49における塩基が「G」であるとする記載はなく、仮にtcrY遺伝子について、ミスセンス変異により、訂正前の請求項1、12、16にそれぞれ記載のとおり、「tcrY遺伝子の位置49におけるG」に変化すると、対応するアミノ酸は「プロリン」には変化しないことになるから、本件明細書の記載に接した当業者にとって、請求項1、12、16に記載の「tcrY遺伝子の位置49におけるG」が、表6の記載に基づく「tcrY遺伝子の位置49におけるC」の誤記であることは明らかである。
よって、訂正事項1~3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定される誤記の訂正を目的とするものである。
(2)国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許は外国語国際特許出願に係るものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正を行う場合には、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「本件国際出願当初明細書」という。)の範囲内においてしなければならないところ、本件国際出願当初明細書には、上記(1)に記載した本件明細書の表6と同じ記載があり、訂正事項1~3は当該記載に基づいて誤記を訂正するものであるから、本件国際出願当初明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第184条の19の規定によって読み替えて適用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1~3は、本件明細書の記載に基づいて、訂正前の請求項1、12、16に関する明らかな誤記を正すものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1~17に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項1~3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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