特許訂正審判
2019-390051
心不全治療用の合成アペリン模倣物
- 審判番号
- 2019-390051
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-553847
- 登録番号
- 特許第6313222号(P6313222)
- 請求日
- 2019年04月22日
- 審決日
- 2019年06月19日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ノバルティス アーゲー
- 【請求人代理人】小林 浩
- 【請求人代理人】大森 規雄
- 【請求人代理人】鈴木 康仁
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 啓子
- 審判官 小暮 道明
- 審判官 天野 貴子
- 分類
- P141 .852-Y (C07K) / P141 .851-Y (C07K) / P141 .841-Y (C07K) / P141 .854-Y (C07K) / P141 .855-Y (C07K) / P141 .856-Y (C07K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6313222号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6313222号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6313222号は、平成25年1月25日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2012年1月27日、2012年10月24日及び2012年11月30日 いずれも米国)として出願され、その請求項1~19に係る発明について平成30年3月30日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成31年4月22日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第6313222号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、本件審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、概ね、以下の訂正事項1~3のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項13に「請求項26に記載の」とあるのを、「請求項12に記載の」に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項15~18に「請求項1から14のいずれか一項に記載の」とあるのを、「請求項1から13のいずれか一項に記載の」に訂正するとともに、請求項18を引用する請求項19も同様に訂正する。
第3 当審の判断
1 請求項13についての訂正
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1は請求項13についての訂正であり、請求項13が引用する請求項を「請求項26」から「請求項12」に訂正するものであるところ、本件訂正前の請求項12及び13は次のとおりのものである。
「【請求項12】
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号15),
pE-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号16),
pE-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号17),
H-Isn-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号18),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-フェネチルアミン(配列番号19),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号20),
pE-R-P-R-Cha-C*-H-K-G-P-Cha-C*-F-OH(配列番号21),
pE-R-P-R-L-C*-F-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号22),
H-Isn-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号25),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-K(パルミトイル)-OH(配列番号29),
pE-R-P-R-L-C*-K(パルミトイル)-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号30),
パルミトイル-O2Oc-Q-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号31),
ラウロイル-O2Oc-Q-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号32),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-K(ラウロイル)-OH(配列番号33),
pE-R-P-R-L-C*-K(ラウロイル)-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号34),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-NH2(配列番号70);
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-NH2(配列番号69);
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-OH(配列番号57);
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-hC*-F-OH(配列番号58);
pE-R-P-R-L-hC*-H-K-G-P-Nle-hC*-F-OH(配列番号59);
pE-R-P-R-L-c*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号60);
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-(D-hC)*-F-OH(配列番号61);
pE-R-P-R-L-(D-hC)*-H-K-G-P-Nle-(D-hC)*-F-OH(配列番号62);
ミリストイルO2OcO2OcQ-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号65);
ミリストイルO2OcO2OcO2OcQ-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号66);
ミリストイルO2OcO2OcO2OcO2OcQ-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C-f-OH(配列番号67);
pE-R-P-R-L-C*H-K-G-P-Nle-c*-F-OH(配列番号63);および
pE-R-P-R-L-c*-H-K-G-P-Nle-c*-F-OH(配列番号64);
から選択され、「*」の付いた2つのアミノ酸は、それぞれその側鎖を介して、ジスルフィド結合を形成しているアミノ酸を表す、請求項1に記載のポリペプチドまたはポリペプチドのアミド、エステル、もしくは塩。
【請求項13】
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号15),
pE-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号16),
pE-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号17),
H-Isn-R-P-R-L-C*-Aib-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号18),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-フェネチルアミン(配列番号19),
pE-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-f-OH(配列番号20),
pE-R-P-R-Cha-C*-H-K-G-P-Cha-C*-F-OH(配列番号21),および
pE-R-P-R-L-C*-F-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号22),
H-Isn-R-P-R-L-C*-H-K-G-P-Nle-C*-F-OH(配列番号25),
から選択され、2つのシステインアミノ酸C*の側鎖は、一緒になって、ジスルフィド結合を形成している、請求項26に記載のポリペプチドまたはポリペプチドのアミド、エステル、もしくは塩。」
イ ここで、特許請求の範囲に「請求項26」は存在しないから、請求項13が「請求項26」を引用することが誤りであることは明らかである。
ウ そして、請求項13に記載された「ポリペプチドまたはポリペプチドのアミド、エステル、もしくは塩」(以下、これらを合わせ「ポリペプチド等」という。)は、具体的には、
a 配列番号15~22及び25から選択されること、及び
b 2つのシステインアミノ酸C*の側鎖は、一緒になって、ジスルフィド結合を形成していること、
により特定されるものである。一方、請求項12に記載されたポリペプチド等は、
a’ 配列番号15~22、25、29~34、57~67、69及び70から選択されること、及び
b’ 「*」の付いた2つのアミノ酸は、それぞれその側鎖を介して、ジスルフィド結合を形成しているアミノ酸を表すこと、
により特定されるものである。
そして、上記aが上記a’をより限定するものであることは明らかである。
次に、上記bと上記b’について検討する。請求項12には、「*」の付いたアミノ酸について、配列番号15~22及び25のように2つの「C*」(システイン)を有するもの、配列番号58のように「C*」及び「hC*」(ホモシステイン)を有するもの、配列番号60のように「c*」(D-システイン)及び「C*」を有するもの、配列番号61のように「C*」及び「D-hC*」(D-ホモシステイン)を有するものなどが記載されており、ジスルフィド結合を形成するアミノ酸がシステインを含めて複数種あることから、上記b’では、ジスルフィド結合を形成しているアミノ酸について「システイン」との特定はなされていない。一方、請求項13には、配列番号15~22及び25という2つの「C*」を有するもののみが記載されており、ジスルフィド結合を形成するアミノ酸がシステインに限られていることから、上記bでは、ジスルフィド結合を形成しているアミノ酸について「システイン」との特定がなされているといえる。そうすると、ジスルフィド結合を形成するアミノ酸について、上記bが上記b’をより限定するものであることは明らかである。
したがって、請求項13には、請求項12に記載されたポリペプチド等の一部が限定して記載されていることは明らかである。
エ 上記イ及びウの検討結果からみて、本件訂正前の請求項13は、本来であれば、「請求項12」を引用して記載されるべきところを、「請求項26」を引用するという、誤った記載がなされていることは明らかである。
そして、上記のように解することは、本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0357】の、特に[27]及び[28]の記載とも整合し、また、本件明細書に、上記のように解することを妨げる記載や、矛盾する記載は存在しない。
オ よって、特許請求の範囲の請求項13に「請求項26に記載の」とあるのを「請求項12に記載の」に訂正する請求項13についての訂正は、本来その意であることが本件明細書及び特許請求の範囲の記載から明らかな内容に正すものといえるから、特許法126条1項ただし書き2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で検討したとおり、本件明細書及び特許請求の範囲の記載から、本件訂正前の請求項13の「請求項26に記載の」との記載が、「請求項12に記載の」であることは当業者に明らかであるから、請求項13についての訂正は「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)で検討したとおり、本件訂正前の請求項13における「請求項26に記載の」との記載が、本件明細書及び特許請求の範囲の記載との関係で誤りであることが明らかであり、かつ、本件明細書及び特許請求の範囲の記載全体から正しい記載である「請求項12に記載の」との記載が自明な事項として定まるといえるから、請求項13についての訂正は、その誤りを正しい記載にする訂正であるといえ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。
(4)独立して特許を受けることができるものであること
本件訂正後の請求項13に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、特許法126条7項の規定に適合する。
2 請求項14についての訂正
(1)訂正の目的
訂正事項2は本件訂正前の請求項14の記載を削除するものであるから、請求項14についての訂正は、特許法126条1項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること
請求項14についての訂正は、本件訂正前の請求項14の記載を削除するものであるから、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、特許法126条5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
請求項14についての訂正は、本件訂正前の請求項14の記載を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。
(4)独立して特許を受けることができるものであること
請求項14についての訂正は、本件訂正前の請求項14の記載を削除するものであり、本件訂正後の請求項14に記載されている事項により特定される発明はないから、特許法126条7項の判断を要しない。
3 請求項15~19についての訂正
(1)訂正の目的
訂正事項3は、請求項15~18が引用する請求項を「請求項1から14」から「請求項1から13」に訂正するものであるから、本件訂正前の請求項15~18が引用する請求項数を削減し、併せて、請求項18を引用することにより実質的に「請求項1から14」を引用するものとなっている請求項19が引用する請求項数をも削減するものである。
したがって、請求項15~19についての訂正は、特許法126条1項ただし書き1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること
請求項15~19についての訂正は、本件訂正前の請求項15~19が直接的又は間接的に引用していた「請求項1から14」を「請求項1から13」とするものであるから、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであり、特許法126条5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
請求項15~19についての訂正は、上記(1)で検討したとおり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、上記(2)で検討したとおり、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。
(4)独立して特許を受けることができるものであること
本件訂正後の請求項15~19に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、特許法126条7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上からみて、本件審判請求における特許請求の範囲に係る訂正は、特許法126条1項ただし書1号又は2号に規定する事項を目的とし、かつ、同条5項~7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-390051