特許訂正審判
2022-390151
抗ガレクチン-9抗体及びその使用
- 審判番号
- 2022-390151
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-569320
- 登録番号
- 6873445
- 請求日
- 2022年08月31日
- 審決日
- 2022年12月06日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ニューヨーク ユニバーシティ
- 【請求人代理人】特許業務法人みのり特許事務所
- 【請求人】ピュアテック ヘルス エルエルシー
- 【請求人代理人】特許業務法人みのり特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 福井 悟
- 審判官 上條 肇
- 審判官 高堀 栄二
- 分類
- P141 .853-Y (C07K) / P141 .852-Y (C07K) / P141 .841-Y (C07K) / P141 .854-Y (C07K) / P141 .855-Y (C07K) / P141 .856-Y (C07K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第184条の19、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6873445号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6873445号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6873445号に係る出願(特願2019-569320号)は、平成30年10月29日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2017年10月27日 米国、2018年 5月 1日 米国、2018年 9月25日 米国)として出願されたものであって、その請求項1~20に係る発明について令和 3年 4月23日に特許権の設定登録がなされた。
これについて、令和 4年 8月31日に本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件請求の趣旨は、特許第6873445号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
明細書の段落[0343]に「IL2シグナル配列(MYRMQLLSCIALSLALVTNS;配列番号29)は、可変領域のN-末端に位置する。」と記載されているのを、「IL2シグナル配列(MYRMQLLSCIALSLALVTNS;配列番号469)は、可変領域のN-末端に位置する。」に訂正する。
(2)訂正事項2
「明細書の段落[0344]に、
[図:0001395151000001.jpg]
[図:0001395151000002.jpg]
と記載されているのを、
[図:0001395151000003.jpg]
[図:0001395151000004.jpg]
[図:0001395151000005.jpg]
[図:0001395151000006.jpg]
に訂正する。
(3)訂正事項3
配列表の最後に、以下の配列番号469を追加する。
<210> 469
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic
<400> 469
Met Tyr Arg Met Gln Leu Leu Ser Cys Ile Ala Leu Ser Leu Ala Leu
1 5 10 15
Val Thr Asn Ser
20
(4)訂正事項4
配列表の配列番号29に、
<210> 29
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Polypeptide
<400> 29
Met Tyr Arg Met Gln Leu Leu Ser Cys Ile Ala Leu Ser Leu Ala Leu
1 5 10 15
Val Thr Asn Ser
20
と記載されているのを、
<210> 29
<211> 109
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Polypeptide
<400> 29
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Ala
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Ser Leu Tyr Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Arg Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Lys Ser Lys Tyr Pro
85 90 95
Phe Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg
100 105
に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1、3及び4について
(1)訂正の目的について
願書に添付した明細書の段落[0014]には、「いくつかの実施形態において、単離された抗ガレクチン9抗体、又はその抗原結合部分は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号29、13、34、36、38、40、42、44、46、48、34、54、58、61、63、65、73、67、69、及び71から選択されるアミノ酸配列を含む。」(下線は合議体が付与した。)と記載されるように、配列番号29は、軽鎖可変領域のアミノ酸配列として記載されている。
また、段落[0135]の表2にも、配列番号29は、G9.2-1クローンの軽鎖可変領域の配列番号として記載されている。
[図:0001395151000007.jpg]
しかしながら、訂正前の段落[0343]においては、配列番号29は、IL2シグナルの配列「MYRMQLLSCIALSLALVTNS」に付されて記載されており、明細書の上記の記載と整合しておらず不明瞭となっている。
本来、IL2シグナル配列である「MYRMQLLSCIALSLALVTNS」は、配列表に記載がないので、配列番号1~468とは別の配列番号が割り当てられるべきであるといえるところ、訂正事項3により、このアミノ酸配列を新たに「配列番号469」として配列表に追加するとともに、訂正事項1により、段落[0343]における、「MYRMQLLSCIALSLALVTNS」とのアミノ酸配列に付された「配列番号29」との記載を「配列番号469」と訂正し、さらに、訂正事項4により、配列表の配列番号29のアミノ酸配列を段落[0135]の表2に記載されたG9.2-1クローンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列に訂正することは、訂正前の段落[0343]の記載内容が他の記載との関係において整合していない記載を訂正し、その本来の意を明らかにするものと認められる。
したがって、訂正事項1、3及び4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落[0343]に記載された、IL2シグナル配列である「MYRMQLLSCIALSLALVTNS」とのアミノ酸配列を「配列番号469」として配列表に追加し、段落[0343]において、「MYRMQLLSCIALSLALVTNS」に付された「配列番号29」との記載を「配列番号469」と訂正するとともに、配列表の配列番号29のアミノ酸配列を段落[0135]に記載されたG9.2-1のアミノ酸配列に訂正する訂正事項1、3及び4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、訂正事項1、3及び4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1、3及び4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の明細書の段落[0344]におけるG9.1-8m13のhIgG1、hIgG1LALA、hIgG4、hIgG4FabArm交換変異体の軽鎖配列に付された「配列番号108」という記載を「配列番号95」に訂正するものである。
願書に最初に添付された明細書の段落[0134]の表1には、G9.1-8m13の上記4つの構築物の軽鎖アミノ酸配列の配列番号は、すべてにおいて「95」と記載されている。
[図:0001395151000008.jpg]
[図:0001395151000009.jpg]
また、訂正前の段落[0344]に記載されたG9.1-8m13の4つの構築物の軽鎖アミノ酸配列は、すべて同一のものであるところ、そのアミノ酸配列である
[図:0001395151000010.jpg]
は、配列表の配列番号95に示されたアミノ酸配列である、
「
<210> 95
<211> 216
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Polypeptide
<400> 95
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Ala
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Ser Leu Tyr Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Arg Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Tyr Tyr Asp Ser Asn
85 90 95
Pro Ile Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Thr Val
100 105 110
Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys
115 120 125
Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg
130 135 140
Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn
145 150 155 160
Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser
165 170 175
Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys
180 185 190
Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr
195 200 205
Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215 」
と完全に一致するものである。
一方、訂正前の段落[0344]に記載された「配列番号108」は、配列表の配列番号108に
「
<210> 108
<211> 214
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Polypeptide
<400> 108
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Ser Ala
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Ser Leu Tyr Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Arg Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Ser Thr Asp Pro Ile
85 90 95
Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala
100 105 110
Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly
115 120 125
Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala
130 135 140
Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln
145 150 155 160
Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser
165 170 175
Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr
180 185 190
Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser
195 200 205
Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210
」
と記載されている。
訂正前の段落[0344]に記載されたG9.1-8m13の4つの構築物は、配列表の「配列番号95」とアミノ酸配列が完全に一致し、その軽鎖アミノ酸配列全長の長さが216残基であるところ、配列表に「配列番号108」として記載されたアミノ酸配列はアミノ酸配列の全長が2残基短い214残基である点、G9.1-8m13の4つの構築物の軽鎖アミノ酸配列の91~96残基がSYYDSNであるところ、「配列番号108」のアミノ酸配列の91~96残基がSSTDPIである点で異なっている。
したがって、訂正前の段落[0344]におけるG9.1-8m13の4つの構築物の軽鎖アミノ酸配列に付された「配列番号108」という記載が、「配列番号95」の誤りであることは明らかである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で述べたとおりの記載が本件国際出願日における国際出願の明細書及び明細書に添付された配列表にも記載されており(第44頁表1、第50頁表2、第114頁38行~第115頁45行、配列表配列番号95,108)、訂正事項2は、G9.1-8m13の4つの構築物における軽鎖アミノ酸配列について、誤りである「配列番号108」なる記載を、正しい記載である「配列番号95」に訂正するものであるから、「国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内の訂正であることは、明らかである。
よって、訂正事項2は、特許法第184条の19により読み替えて適用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2は、誤記を訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1~20に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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