商標取消審判
2023-300622
サワヤ、サワケ、チャワヤ、チャワケ、チャ
- 審判番号
- 2023-300622
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2014-005191
- 登録番号
- 5680618
- 請求日
- 2023年09月01日
- 審決日
- 2024年03月11日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 沢屋
- 【請求人代理人】松下 恵三
- 【被請求人】木村 徳彦
- 【被請求人代理人】出雲 暖子
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T132 .1 -Z (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5680618号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5680618号商標の指定商品及び指定役務中、第35類「ジャムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チョコレートスプレッドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5680618号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成26年1月27日に登録出願、同年6月5日に登録査定され、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第30類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同月27日に設定登録されたものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第6号証(以下、証拠の表記にあたっては、「甲○」又は「乙○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「ジャムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チョコレートスプレッドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件請求役務」という。)について、継続して3年以上(2020年9月19日から2023年9月18日まで。以下「要証期間」という。)、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張に対する反論
ア 乙2について
被請求人は、答弁書において、乙2を根拠として、「株式会社木村園は、インターネット通販サイトの楽天市場にて、5年以上前から継続して、ローストしたペカンナッツを使用したペカンナッツショコラを販売している(乙2)。類似商品・役務審査基準の第29類「加工野菜及び加工果実」の類似する商品として、加工済みのナッツが挙げられているのであるから、木村園は「加工野菜及び加工果実」を販売していた」旨を主張している。
(ア)しかしながら、木村園が販売していたとするペカンナッツショコラ(以下「商品1」という。)は、ローストされたペカンナッツがべにふうき茶の練り込まれたホワイトチョコで覆われた菓子である。よって、商品1は、類似商品・役務審査基準(12版)に記載の「第30類 チョコレートで覆われたナッツ菓子(chocolate-coated nuts)」に該当する商品である。第29類「加工野菜及び加工果実」ではない。
(イ)乙2には、「商品名称:チョコレート菓子」との記載があり、このことからも、木村園が販売していたとするペカンナッツショコラは、チョコレートで覆われたナッツ菓子であることが明らかである。また、本件商標の使用が許諾された木村園は、乙5に記載のように、被請求人が取締役となる法人であるから被請求人自ら商品1が菓子であることを述べており、被請求人の主張はそれと矛盾する。
(ウ)類似商品・役務審査基準は、生産・販売部門の共通性等に基づき各商品の類否を判断する基準を画定したものであるところ、当該類似商品・役務審査基準では「第29類(32F04)加工野菜及び加工果実」と商品1が該当する「第30類(30A01)チョコレートで覆われたナッツ菓子」とは、非類似商品である。
(エ)「加工野菜及び加工果実」に該当する商品であるミックスナッツ等と、「チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であるペカンナッツショコラ等の売場は、通常、明確に区別されているのが一般的であり、例えば、インターネット通販サイトの楽天市場(甲2)、Amazon(甲3)及びYahooショッピング(甲4、甲5)において、スイーツ・お菓子の商品検索ジャンル又はカテゴリとして、「ナッツ」と「チョコレート菓子」は区別されている。
ナッツの形状をそのまま使用し、チョコレートのコーティングがされた菓子として有名な「アーモンドチョコ」(登録商標第5619914号)は、その指定商品において、当然に「第30類(30A01)アーモンドとチョコレートを使用した菓子」のみを指定しており、「第29類(32F04)加工野菜及び加工果実」は指定していない(甲6)。また、当該「アーモンドチョコ」(登録商標第5619914号)の売場は、略全ての小売店において菓子コーナーに置かれている。
(オ)よって、乙2は、「第29類(32F04)加工野菜及び加工果実」を販売していた証拠にはなり得ない。
(カ)乙2には本件商標は表示されていない。
よって、乙2により本件商標の商品1への使用を証明することはできない。
イ 乙1について
上記記載のとおり、商品1は、「第30類(30A01)チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、当該商品は、本件請求役務とは非類似である。
よって、乙1は、株式会社木村園が、本件請求役務について、本件商標及びそれと社会通念上同一の商標を使用していた証拠とはなり得ない。
また、乙1に表示されている商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
乙1に表示されている商標は、「茶娘の図形」、「SAWAYA」、「KIMURAEN」の三要素が上下方向に近接して組み合わされた形態である。この使用形態では、前記三要素が一体化してひとつの商標を形成しており、いずれの要素も被請求人を示すものとして周知ではないから、特段各要素を分離判断する必要性もなく、かつ、需要者及び取引者もこれら三要素を一体として認識するであろうと経験則上いえる。
また、実務上も、これらの三要素が一体化した商標と本件商標とは、類似又は非類似であると判断されるものであり、少なくとも同一であると判断されることはない。
さらに、被請求人は、乙1において「茶娘の図形」と「茶和家」が表示されていることをもって本件商標の使用である旨を主張するが、本件商標の「茶娘の図形と茶和家」とは、配置が大きく異なるから、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
よって、被請求人の「本件商標及びそれと社会通念上同一の商標」の使用である旨の主張は、失当である。
ウ 乙3及び乙4について
上記記載のとおり、商品1は、「第30類(30A01)チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、当該商品は、本件請求役務とは非類似である。
よって、乙3及び乙4により「第29類(32F04)加工野菜及び加工果実」に該当する商品が2021年から2023年の間に顧客に購入されたことを証明することはできない。
乙3及び乙4には本件商標は表示されていない。
よって、同号証により本件商標の商品1への使用を証明することはできない。
エ 「第35類 加工野菜等の小売等」について
上記記載のとおり、商品1は、「第30類(30A01)チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、「第35類 加工野菜等の小売等」の「加工野菜等」とは非類似である。
また、各号証に表示されている商標は、上記のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標ではなく、被請求人の「本件商標及びそれと社会通念上同一の商標」の使用である旨の主張は、失当である。
よって、木村園が、商品1の通信販売を行うウェブサイト上に、本件商標及びそれと社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したことを主張したとしても、「第35類 加工野菜等の小売等」について、商標法第2条第3項第8号に基づき本件商標等を使用したとはいえない。
(2)小括
商品1は、「第30類(30A01)チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、「加工野菜及び加工果実(加工済みのナッツ)」と「チョコレートで覆われたナッツ菓子」とは非類似の商品である。また、各号証に表示している商標は本件商標と社会通念上同一のものではない。
したがって、木村園が本件請求役務について本件商標及びそれと社会通念上同一の商標を使用していた事実はない。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1から乙5(枝番号あり。)を提出した。
2 答弁の理由
(1)被請求による通常使用権の許諾について
被請求人は、株式会社木村園の代表取締役である。被請求人は、本件商標権取得と同時に、木村園に対し、使用地域、使用期間、使用態様を限定せず、通常使用権を許諾した。
(2)本件商標は使用されていること
被請求人の通常使用権者である木村園は、本件商標を指定商品・指定役務中、第35類「加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、「加工野菜等の小売等」という。)について、要証期間に日本国内において使用している。
(3)本件商標の使用について
ア 木村園は、インターネット通販サイトの楽天市場にて、5年以上前から継続して、ローストしたペカンナッツを使用したペカンナッツショコラを販売している(乙2)。類似商品・役務審査基準の第29類「加工野菜及び加工果実」の類似する商品として、加工済みのナッツが挙げられているのであるから、木村園は「加工野菜及び加工果実」を販売していたと思料する。
イ 木村園は、楽天市場のウェブサイトにおいて、「茶和家」、「SAWAYA」、「茶娘の図形と茶和家」を表示した(乙1の1、2)。そして、ペカンナッツショコラを購入した顧客から、商品の感想が2023年3月10日、2021年12月27日、同年2月16日に投稿されている(乙3、乙4)。以上より、同通販サイトにおいて、木村園のペカンナッツショコラは、2021年から2023年の間に、顧客に購入されたことは明らかである。
ウ 木村園は、2021年12月には、「加工野菜及び加工果実」の類似商品の通信販売を行うウェブサイト上に、本件商標及びそれと社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したのであるから、第35類「加工野菜等の小売等」について、商標法第2条第3項第8号に基づき本件商標を使用した。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者と使用者について
ア 本件商標権者は、平成29年7月1日から、「株式会社木村園」(平成27年9月24日成立)の代表取締役に就任している(乙5)。
イ 本件商標権者は、同社に対し、本件商標について、商標権取得と同時に、使用地域、使用期間、使用態様を限定せずに、通常使用権を許諾したとされる(被請求人の主張)。
(2)使用商標について
ア 「楽天市場」の「木村園」のウェブサイトは、掛川茶の製造販売をしており、「ギフト」、「お茶」、「食品」、「茶器」のタブを有しているところ、画面左上には、別掲2のとおり、赤色の円形枠内に手ぬぐいを頭に巻いた様子の女性の顔状の図形を白抜きで描き、その右側に「茶和家」の文字を横書きしてなる商標(以下「本件使用商標」という。)が表示されている(乙1の1)。
イ 上記ウェブサイトには、「ペカンナッツショコラ」なる商品が掲載されており、その商品紹介記事として、「ローストしたペカンナッツのサクッとした食感と、ホワイトチョコに練りこんだお茶カテキンのほろ苦さが後を引く、大人のチョコとなっております。」の記載や、「名称:チョコレート菓子」、「原材料:チョコレート(砂糖、ココアバター、乳糖、全乳粉、植物油脂)、ピーカンナッツ(クルミ科)、粉末茶(掛川産べにふうき茶)・・・」の記載がある(乙1の2、乙2)。
ウ 上記ウェブサイトには、上記商品購入者のレビューが、2021年2月16日付け、同年12月27日付け、2023年3月10日付けで投稿されている(乙3、乙4)。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標権者が代表取締役を務める「株式会社木村園」は、「楽天市場」の「木村園」のウェブサイトにおいて、本件商標とは、図形部分の構成態様の大半及び構成文字を共通にする本件使用商標を表示して、「ペカンナッツショコラ」と称する食品を取り扱う小売サービス(以下「本件使用役務」という。)を、要証期間(2021年2月16日、同年12月27日、2023年3月10日ごろ)において提供していたものと考えられる。
しかしながら、本件使用役務の取扱商品である「ペカンナッツショコラ」は、チョコレートやナッツ、粉末茶を原材料とする「チョコレート菓子」の一種であり、また、上記ウェブサイトでは他に「茶」も販売されていることからして、同商品は茶菓子の位置づけで販売されていると理解できるから、本件使用役務は、「菓子の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に相当する。
そうすると、本件使用役務は、本件請求役務「ジャムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チョコレートスプレッドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、取扱商品や事業分野が相違するサービスであって、それらと同一又はそれらに含まれる役務とは認められない。
(2)被請求人は、木村園は、ペカンナッツショコラを加工済みのナッツとして販売しており、「加工野菜及び加工果実」を販売していたといえるから、第35類「加工野菜等の小売等」について、本件商標を使用していた旨を主張する。
しかしながら、本件使用役務の取扱商品である「ペカンナッツショコラ」は、チョコレートやナッツ、粉末茶を原材料とする、ナッツをチョコレートでコーティングした加工食品ではあるとしても、少なくとも「木村園」のウェブサイトでは、調理などに使用する食材(加工野菜、加工果実)として販売されているものではなく、むしろ、上記(1)のとおり、茶菓子(チョコレート菓子)の位置づけで販売されていると理解できる。
そうすると、本件使用役務は、「木村園」のウェブサイトにおける業態としては、「菓子の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務を提供していたといえるとしても、本件請求役務のうち「加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に相当する役務を提供していたとはいい難い。
(3)以上によれば、被請求人提出の証拠によっては、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を本件請求役務について使用したと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を本件請求役務について使用をしていることを証明したものと認めることができない。
また、被請求人は、本件請求役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の本件請求役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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