商標取消審判
2023-300630
サワヤ
- 審判番号
- 2023-300630
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-105002
- 登録番号
- 6174046
- 請求日
- 2023年09月01日
- 審決日
- 2025年03月05日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 沢屋
- 【請求人代理人】松下 恵三
- 【被請求人】木村 徳彦
- 【被請求人代理人】出雲 暖子
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 分類
- T132 .1 -Z (W293035)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6174046号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6174046号商標の指定商品及び指定役務中、第29類「加工野菜及び加工果実,ジャム」、第30類「アーモンドペースト,チョコレートスプレッド」及び第35類「ジャムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チョコレートスプレッドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6174046号商標(以下「本件商標」という。)は、「SAWAYA」の文字を標準文字で表してなり、平成30年8月20日に登録出願、別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年8月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和5年9月19日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の同2年9月19日から同5年9月18日までを以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和5年11月5日付け差出の審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月20日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品又は指定役務中、第29類「加工野菜及び加工果実,ジャム」、第30類「アーモンドペースト,チョコレートスプレッド」及び第35類「ジャムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チョコレートスプレッドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定商品及び指定役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証について
ア 株式会社木村園(以下「木村園」という。)が販売していたとするペカンナッツショコラは、ローストされたペカンナッツがべにふうき茶の練り込まれたホワイトチョコで覆われた菓子である。
よって、第29類「加工野菜及び加工果実」ではない。
イ 乙第2号証には、「商品名称:チョコレート菓子」との記載があり、このことからも、木村園が販売していたとするペカンナッツショコラは、チョコレートで覆われたナッツ菓子であることが明らかである。また、本件商標の使用が許諾された木村園は、被請求人が取締役となる法人であるから被請求人自らペカンナッツショコラが菓子であることを認めているものであり(乙5)、それと矛盾する被請求人の主張は認められない。
ウ 特許庁発行の類似商品・役務審査基準(以下「類似商品・役務審査基準」という。)では、第29類「加工野菜及び加工果実」とペカンナッツショコラが該当する第30類「チョコレートで覆われたナッツ菓子」とは、非類似商品である。
エ 「加工野菜及び加工果実」に該当する商品であるミックスナッツ等と、「チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であるペカンナッツショコラ等の売り場は、通常、明確に区別されているのが一般的であり、例えば、インターネット通販サイトの楽天市場、Amazon、及び、Yahooショッピングにおいて、スイーツ・お菓子の商品検索ジャンル又はカテゴリとして、「ナッツ」と「チョコレート菓子」は区別されている(甲2~甲5)。
ナッツの形状をそのまま使用し、チョコレートのコーティングがされた菓子として有名な、株式会社明治「アーモンドチョコ」(登録第5619914号商標)は、その指定商品において、当然に第30類「アーモンドとチョコレートを使用した菓子」のみを指定しており、第29類「加工野菜及び加工果実」は指定していない(甲6)。また、当該「アーモンドチョコ」の売り場は、略全ての小売店において菓子コーナーに置かれている。
オ よって、乙第2号証は、第29類「加工野菜及び加工果実」を販売していた証拠にはなり得ない。
カ 乙第2号証には本件商標は表示されていない。
よって、乙第2号証により本件商標のペカンナッツショコラへの使用を証明することはできない。
(2)乙第1号証について
上記(1)で記載したとおり、ペカンナッツショコラは、第30類「チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、当該商品は、請求に係る指定商品及び指定役務とは非類似である。
よって、乙第1号証は、木村園が、請求に係る指定商品及び指定役務について、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証拠とはなり得ない。
また、乙第1号証の2に表示されている商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
乙第1号証に表示されている商標は、「茶娘の図形」、「SAWAYA」、「KIMURAEN」の三要素が上下方向に近接して組み合わされた形態である。この使用形態では、前記三要素が一体化してひとつの商標を形成しており、いずれの要素も被請求人を示すものとして周知ではないから特段各要素を分離判断する必要性もなく、かつ、需要者及び取引者もこれら三要素を一体として認識するであろうことが経験則上認められる。
また、実務上も、これらの三要素が一体化した商標と本件商標とは、類似又は非類似であると判断されるものであり、少なくとも同一であると判断されることはない。
さらに、被請求人は、乙第1号証において「茶和家」の表示があることをもって本件商標の使用である旨を主張するが、本件商標の「SAWAYA」を漢字によるいわゆる「当て字」を用いて表示したものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
よって、被請求人の「本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標」の使用である旨の主張は、失当である。
(3)乙第3号証及び乙第4号証について
上記(1)で記載したとおり、ペカンナッツショコラは、第30類「チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、当該商品は、請求に係る指定商品及び指定役務とは非類似である。
よって、乙第3号証及び乙第4号証により第29類「加工野菜及び加工果実」に該当する商品が2021年から2023年の間に顧客に購入されたことを証明することはできない。
乙第3号証及び乙第4号証には本件商標は表示されていない。
よって、同号証により本件商標のペカンナッツショコラへの使用を証明することはできない。
(4)第35類「加工野菜等の小売等役務」について
上記(1)で記載したとおり、ペカンナッツショコラは、第30類「チョコレートで覆われたナッツ菓子」に該当する商品であり、第35類「加工野菜及び加工果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「加工野菜等の小売等役務」という。)の「加工野菜等」とは非類似である。
また、各号証に表示されている商標は、上記したとおり、本件商標と社会通念上同一の商標ではなく、被請求人の「本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標」の使用である旨の主張は、失当である。
よって、木村園が、ペカンナッツショコラの通信販売を行うウェブサイト上に、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したことを主張したとしても、第35類「加工野菜等の小売等役務」について、商標法第2条第3項第8号に基づき本件商標等を使用したとは認められない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。以下、枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人による通常使用権の許諾について
被請求人は、木村園の代表取締役である(乙21 ※審決注:乙5の誤りと認める。)。被請求人は、本件商標権取得と同時に、木村園に対し、使用地域、使用期間、使用態様を限定せず、通常使用権を許諾した。
(2)本件商標は使用されていること
被請求人の通常使用権者である木村園は、本件商標を指定商品及び指定役務中、第29類「加工野菜及び加工果実、ジャム」、第35類「加工野菜等の小売等役務」について、本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において使用している。
(3)本件商標の使用について
ア 木村園は、インターネット通販サイトの楽天市場にて、5年以上前から継続して、ローストしたペカンナッツを使用したペカンナッツショコラを販売している(乙2)。類似商品・役務審査基準の第29類「加工野菜及び加工果実」の類似する商品として、加工済みのナッツが挙げられているのであるから、木村園は「加工野菜及び加工果実」を販売していたと思料する。
イ 木村園は、楽天市場のウェブサイトにおいて、「茶和家」「SAWAYA」「茶娘の図形と茶和家」を、表示した(乙1)。そして、ペカンナッツショコラを購入した顧客から、商品の感想が2023年3月10日、2021年12月27日、同年2月16日に投稿されている(乙3、乙4)。以上より、同通販サイトにおいて、木村園のペカンナッツショコラは、2021年から2023年の間に、顧客に購入されたことは明らかである。
ウ 木村園は、2021年12月には、「加工野菜及び加工果実」の類似商品の通信販売を行うウェブサイト上に、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したのであるから、第29類「加工野菜及び加工果実、ジャム」及び第35類「加工野菜等の小売等役務」について、商標法第2条第3項第8号に基づき本件商標を使用したことは明らかである。
2 審尋に対する回答
審判長は、被請求人に対し、令和6年11月25日付けで、合議体の暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の商標権者と本件商標の使用者について
ア 本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、平成29年7月1日から、本件商標の使用者である木村園(平成27年9月24日会社成立)の代表取締役に就任している(乙5)。
イ 商標権者は、木村園に対し、本件商標について、商標権取得と同時に、使用地域、使用期間、使用態様を限定せずに、通常使用権を許諾したとされる(被請求人の主張)。
(2)使用商標及び使用商品について
ア 「楽天市場」における「木村園」のウェブサイトの画面左下には、別掲2のとおり、「SAWAYA/KIMURAEN」((「/」は改行を表す。以下同じ。以下「使用商標」という。)の文字からなる商標が表示されている(乙1)。
イ 上記アの「木村園」のウェブサイトには、「ペカンナッツショコラ」と称する商品(以下「使用商品」という。)が掲載されており、その商品紹介記事として、「ローストしたペカンナッツのサクッとした食感と、ホワイトチョコに練りこんだお茶カテキンのほろ苦さが後を引く、大人のチョコとなっております。」の記載や、「名称:チョコレート菓子」、「原材料:チョコレート(砂糖、ココアバター、乳糖、全乳粉、植物油脂)、ピーカンナッツ(クルミ科)、粉末茶(掛川産べにふうき茶)・・・」の記載がある(乙1、乙2)。
ウ 上記アの「木村園」のウェブサイトには、上記イの使用商品に係る商品購入者のレビューが、2021年2月16日付け、同年12月27日付け及び2023年3月10日付けで投稿されており、そのうち、2023年3月10日付けのレビューとして、「ペカンナッツチョコが大好きで購入しました。」の内容で投稿がされている(乙3、乙4)。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)商標権者が代表取締役を務める木村園は、「楽天市場」の「木村園」のウェブサイトにおいて、本件商標とは、「SAWAYA」の欧文字を共通にする使用商標を表示した使用商品を、要証期間(2021年2月16日、同年12月27日、2023年3月10日ごろ)に販売するために、宣伝広告をしていたものとみて差し支えない。
しかしながら、使用商品は、チョコレートやナッツ、粉末茶を原材料とする「チョコレート菓子」の一種であると理解できるから、第30類「菓子」の範ちゅうに属する商品である。
そうすると、使用商品は、請求に係る指定商品及び指定役務とは、原材料、販売場所、取扱商品や事業分野等が相違する商品であって、それらと同一又はそれらに含まれる商品又は役務とは認められない。
(2)被請求人は、類似商品・役務審査基準には、第29類「加工野菜及び加工果実」の類似する商品として、加工済みのナッツが挙げられているのであるから、木村園は「加工野菜及び加工果実」を販売していた旨を主張する。
しかしながら、使用商品は、チョコレートやナッツ、粉末茶を原材料とする、ナッツをチョコレートでコーティングした加工食品ではあるとしても、少なくとも「木村園」のウェブサイトでは、調理などに使用する食材(加工野菜、加工果実)として販売されているものではなく、むしろ、上記(1)のとおり、菓子(チョコレート菓子)として販売され、また、その需要者も、「チョコ」すなわち「チョコレート菓子」として認識、把握していると理解できる。
そうすると、「木村園」のウェブサイトにおける業態としては、「菓子」の販売といえるものであり、請求に係る指定商品及び指定役務のうち「加工野菜及び加工果実」に相当する商品を販売していたとはいい難い。
(3)上記(1)及び(2)のとおり、使用商標は本件商標と「SAWAYA」の文字を共通にするとしても、使用商品(ペカンナッツショコラ)は、請求に係る指定商品及び指定役務に含まれないものであるから、当該使用商標は、請求に係る指定商品又は指定役務に使用されているものと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を請求に係る指定商品及び指定役務について使用をしていることを証明したものと認めることができない。
また、被請求人は、請求に係る指定商品及び指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の請求に係る指定商品及び指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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