商標取消審判
2025-300083
オツケモノマルコシ、ツケモノマルコシ、マルコシ
- 審判番号
- 2025-300083
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-032612
- 登録番号
- 6107297
- 請求日
- 2025年01月17日
- 審決日
- 2026年03月19日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 OICグループ
- 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 【被請求人】株式会社丸越
- 【被請求人代理人】あいそう弁理士法人
- 【被請求人代理人】向山 正一
- 【被請求人代理人】村山 信義
- 【被請求人代理人】伊藤 正典
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T132 .1 -Z (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6107297号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6107297号商標の指定役務中、第35類「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,氷砂糖(菓子)・水あめ(菓子)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6107297号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成30年3月20日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年12月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年2月6日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和4年(2022年)2月6日から同7年(2025年)2月5日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。以下、証拠の記載にあたっては、甲第○号証を甲○、乙第○号証を乙○のように記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,氷砂糖(菓子)・水あめ(菓子)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張について
被請求人は、小売を行う商品のプライスカード(値札)に商標を表示する行為は、特許庁作成の「小売等役務商標制度のお知らせ」パンフレット(平成19年3月作成)からも明らかなように小売等役務についての代表的な商標の使用行為であると主張しつつ、3つの店舗において「ジャンキムチ鍋スープの素」及び/又は「蔵開き豆粒味噌」を販売(小売)したことを主張して、被請求人が、3年以内に本件商標を使用していることは明らかであると答弁するが、商標の使用行為は、商標法第2条第3項各号に規定されているところ、被請求人がいずれの使用行為を行ったものであるのかについて答弁されていない。
(2)乙各号証について
被請求人が提出する乙各号証は、乙6(建物賃貸借契約書写し)及び乙12(建物賃貸借契約書(契約終了等の確認書)写し)を除き、いずれも被請求人又はその従業員によって作成されたものであり、乙6と乙12もそれ自体で本件商標の本件役務への使用事実を示すものでないことは明らかである。また、乙1ないし乙3、乙8ないし乙10の写真に示す商標は極めて不鮮明であり本件商標と社会通念上同一といえるのか否かは定かではなく、他方で乙5、乙8の2に明確に示されているのは本件商標ではなく被請求人が出願名義人である他の商標(商願2025-030720に係る商標)であり、加えて、被請求人の公式ウェブサイト、被請求人の公式オンラインショップ上では、被請求人が販売(小売)したと主張する「ジャンキムチ鍋スープの素」、「蔵開き豆粒味噌」の商品を取り扱っていることは示されていない。
また、乙各号証からは被請求人がこれらの商品を販売(小売)のために仕入れた事実も確認できず、そうすると、乙各号証のみによって、要証期間内に、被請求人又はその通常使用権者により本件商標を本件役務に使用した事実を証明したということはできない。
なお、被請求人の本件商標の指定役務、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は極めて広範囲の小売等役務を含む概念であり、本件審判の対象である請求に係る役務としては、その中のごく一部の指定役務が該当し、請求に係る役務以外の本件商標の指定役務の範囲中には、被請求人の公式ウェブサイトや公式オンラインショップ(通販サイト)において掲載されている「野菜の漬物,果実の漬物,魚の漬物,チーズ(又はその漬物)」といった商品の小売等役務が含まれているのであり、本件審判の請求人としてはむやみに本件審判に及んだものではなく、本件商標の使用事実が客観的に発見できなかった本件商標の請求に係る役務に限定して、本件商標の一部取消しを求めているものである。
(3)結語
以上のとおり、被請求人が提出する乙各号証によっては、被請求人又はその通常使用権者が、本件商標を、請求に係る役務について、本件審判の予告登録日前3年以内に、日本国内において使用した事実は示されてない。よって、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」との答弁の趣旨には理由がない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙12(枝番号を含む。)を提出した。
1 丸越本厚木ミロード店での本件商標の使用について
乙1ないし乙3(店舗写真(本厚木ミロード店))及び乙4(陳述書)に示すように、被請求人は、2023年(令和5年)11月10日時点で、丸越本厚木ミロード店(ミロード1地下1階)において、「ジャンキムチ鍋スープの素」及び「蔵開き豆粒味噌」を販売(小売)しており、そのプライスカード(値札)に本件商標が付されている。
「ジャンキムチ鍋スープの素」は「調味料」に該当し、「蔵開き豆粒味噌」は「調味料」中の「味噌」に該当するものであり、被請求人は、当該店舗において、それらの商品の小売を行っている。また、小売を行う商品のプライスカード(値札)に商標を表示する行為は、特許庁作成の「小売等役務商標制度のお知らせ」パンフレット(平成19年3月作成)からも明らかなように、小売等役務についての代表的な商標の使用行為である。
また、当該店舗は、乙5(ウェブサイトの写し)及び乙6(建物賃貸借契約書(要覧))から明らかなように、被請求人が運営する店舗であり、本件商標の使用主体は被請求人である。
なお、乙1ないし乙3は、撮影当時の店舗の外観を社内で共有するために、当該店舗に勤務する被請求人の社員によって撮影されたものである(乙4、乙7)。
なお、要証期間外に撮影されたものではあるが、乙8(アピタ江南西店における「ジャンキムチ鍋スープの素」の販売棚の写真)および乙8の2(「ジャンキムチ鍋スープの素」の商品写真)を補足用の参考資料として提出する。なお、乙1ないし乙3における「ジャンキムチ鍋スープの素」のプライスカードと、乙8における「ジャンキムチ鍋スープの素」のプライスカードは、記載金額が異なるが、本件商標が付されたプライスカードの形態は同じである。また、乙8の2に表示されている「販売者:株式会社丸越」は被請求人のことであり、そこに記された住所は被請求人の丸越三好オフィス(愛知県みよし市)のものである。
2 丸越新百合ヶ丘エルミロード店での本件商標の使用について
乙9(店舗写真)、乙10(店舗写真)及び乙11(陳述書)に示すように、被請求人は、2023年(令和5年)7月22日時点で、丸越新百合ヶ丘エルミロード店(新百合ヶ丘エルミロード B1F)において、「ジャンキムチ鍋スープの素」を販売(小売)しており、そのプライスカード(値札)に本件商標が付されている。「ジャンキムチ鍋スープの素」は「調味料」に該当するものであり、被請求人は、当該店舗において、当該商品の小売を行っている。また、小売を行う商品の値札に商標を表示する行為は、上述したように、小売等役務についての代表的な商標の使用行為である。なお、乙11における「当該店舗は2024年(令和5年)2月29日に閉店しました。」との記載は、「当該店舗は2024年(令和6年)2月29日に閉店しました。」の誤記である。
また、当該店舗は、乙12(建物賃貸借契約書(契約終了等の確認書))に示すように、2024年(令和6年)2月29日をもって閉店しているが、当該建物賃貸借契約の締結日が2023年(令和5年)1月31日となっていることからも明らかなように、2023年(令和5年)7月22日時点で被請求人が運営していたものであり、本件商標の使用主体は被請求人である。
なお、乙第9号証及び乙第10号証は、撮影当時の店舗の外観を社内で共有するために、当該店舗に勤務する被請求人の社員によって撮影されたものである(乙7、乙11)。
なお、要証期間外に撮影されたものではあるが、乙8及び乙8の2を補足用の参考資料として提出する。なお、乙9、乙10における「ジャンキムチ鍋スープの素」のプライスカードと、乙8における「ジャンキムチ鍋スープの素」のプライスカードは、記載金額が異なるが、本件商標が付されたプライスカードの形態は同じである。また、乙8の2に表示されている「販売者:株式会社丸越」は被請求人のことであり、そこに記された住所は被請求人の丸越三好オフィス(愛知県みよし市)のものである。
3 まとめ
被請求人が、3年以内に本件商標を使用していることは明らかであり、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。
第4 審尋
審判長は、被請求人に対し、令和7年12月18日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者が、請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した同年5月26日付けの弁駁書に対する回答を求めた。
第5 審尋に対する回答
前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。
第6 当審の判断
1 被請求人は、要証期間に本件商標を「ジャンキムチ鍋スープの素」及び「蔵開き豆粒味噌」と称する商品の値札に表示しているから、請求に係る役務中、「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用している旨主張するので、以下検討する。
被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙1ないし乙3は、2023年11月10日に撮影された「本厚木ミロード店」における店舗写真とするものであるところ、乙1には店舗の外観が写っているが、個々の商品の詳細は確認できない。また、乙2には「ジャンキムチ鍋」等の文字が付された商品とその値札とおぼしきものが、乙3には「蔵開き」等の文字が付された商品とその値札とおぼしきものが写っているが、それぞれの商品や値札の画像は不鮮明であり、詳細は確認できない。
また、上記乙1ないし乙3の写真は、「本厚木ミロード店」に勤務していた商標権者の社員による撮影であるとして、当該社員による「陳述書」が提出されている(乙4)。
(2)商標権者が、「本厚木ミロード店」の一区画を賃借(2022年2月1日から2024年1月31日まで)して営業を行っていたことを証明する証拠として、「定期建物賃貸借契約(契約要覧)」(乙6)が提出されている。
(3)乙9及び乙10は、2023年7月22日に撮影された「新百合ヶ丘エルミロード店」における店舗写真とするものであるところ、これらには、「ジャンキムチ鍋」等の文字が付された商品とその値札が写っている。
また、上記乙9及び乙10の写真は、「新百合ヶ丘エルミロード店」に勤務していた商標権者の社員による撮影であるとして、当該社員による「陳述書」が提出されている(乙11)。
(4)商標権者が、2023年7月22日時点において「新百合ヶ丘エルミロード店」で営業を行っていたことを証明する証拠として、「定期建物賃貸借契約の終了に関する確認書(契約終了の確認書)」(乙12)が提出されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標及び使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり、青色のドーナツ型の円図形内上部に白文字で「御漬物」の文字を表し、また、ドーナツ型円図形の内部を黒塗りで表し、そこに白文字で「丸越」の文字を縦書きに表した構成からなるものである。
他方、商標権者により商品の値札に付されたとする使用商標(乙1~乙3、乙9及び乙10)は、その画像がいずれも不鮮明であり、使用商標の詳細を確認することができないから、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
(2)使用者について
上記1(1)によれば、商標権者は、要証期間に、神奈川県厚木市所在の「本厚木ミロード店」及び神奈川県川崎市所在の「新百合ヶ丘エルミロード店」において、賃貸人と「定期建物賃貸借契約」(乙6、乙12)を締結していた。そして、被請求人は、陳述書をもって、当該店舗において、商標権者の社員が、値札に使用商標が付された商品の写真(乙1~乙3、乙9及び乙10)を撮影した旨主張する。
しかしながら、「本厚木ミロード店」及び「新百合ヶ丘エルミロード店」について、商標権者が賃貸借契約を締結し、上記各施設内で店舗を運営している事実はうかがえるとしても、上記陳述書が、それらの写真が当該店舗において撮影されたことを証明する客観的な証拠であるとはいい難く、当該写真と前記2店舗との関連性は明確とはいえないため、これらの証拠によっては、商標権者が本件商標の使用をしているものと認めることができない。
(3)使用役務について
上記1のとおり、被請求人は、商標権者が、使用商標を請求に係る役務中、「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用している旨主張し、証拠として乙1ないし乙3、乙9及び乙10を提出している。
しかしながら、被請求人が証拠として提出した「ジャンキムチ鍋スープの素」(乙2、乙9及び乙10)は、第29類「スープのもと」に属する商品であり、「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品である「調味料」には含まれない商品である。また、「蔵開き豆粒味噌」と主張する商品(乙3)については、商品画像が不鮮明であって、当該商品が「味噌」であるか不明であるため、結局、使用商標が、「調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されているものと認めることができない。
(4)小括
以上のことからすれば、本件商標と使用商標は社会通念上同一ということはできず、また、商標権者が本件商標を使用役務に使用したものとは認められない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る役務について、使用していることを証明したということはできない。
また、被請求人は、請求に係る役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、請求に係る役務についての登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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