商標取消審判
2023-300050
エンジンインコーポレーテッド、エンジン、エンジンインク
- 審判番号
- 2023-300050
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2014-023234
- 登録番号
- 5730195
- 請求日
- 2023年01月25日
- 審決日
- 2024年01月25日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エンジン ピーティーイー. エルティーディー.
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】中山 健一
- 【請求人代理人】門田 尚也
- 【請求人代理人】長嶺 晴佳
- 【被請求人】株式会社 ENJIN
- 【被請求人代理人】佐藤 大輔
- 【被請求人代理人】橘 哲男
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 大橋 良成
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T132 .1 -Y (W3542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第3号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5730195号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5730195号商標(以下「本件商標」という。)は、「ENJIN Inc.」の欧文字からなり、平成26年3月26日に登録出願、同年12月1日に登録査定され、第35類、第39類ないし第42類及び第45類に属する別掲の役務を指定役務として、同月26日に設定登録されたものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「コンピュータデータベースヘの情報編集,ダウンロード可能な音楽又は音声の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録音済み記録媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ダウンロード可能な映像又は画像の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済み記録媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「本件請求役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記にあたっては、「甲○」又は「乙○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、本件請求役務について継続して3年以上(2020年2月8日から2023年2月7日まで。以下「要証期間」という。)、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は理由がないと答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1から乙4を提出した。
2 答弁の理由
(1)被請求人について
被請求人は、国内外の顧客企業に対して、コミュニケーション・デザイン、ブランドコンサルティング、商品企画、広告、イベント、プロモーション、PRなどの各種サービスを提供すべく平成24年(2012年)3月に創設されたクリエイティブエージェンシーである。
(2)第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に関する使用の実情
ア 乙1は、被請求人が、顧客であるA社に対して、「ANA×沖縄県 2020 プロモーション」(以下、「本件プロモーション」とする。)の企画提案を行った際に提示した企画書である。
イ 上記アの企画書は、「2020年8月4日」に被請求人からA社に対して頒布されたものである。この「2020年8月4日」の日付は要証期間内の日付である。さらに、同表紙の中央下部に白抜き正円内において、大書された「猿人」の文字の下段に「ENJIN Inc.」の文字を有しており、下段に表された文字は、本件商標と同一又は少なくとも社会通念上同一の関係にある。
さらに、乙1は、被請求人が、顧客であるA社に対して、本件プロモーションの企画説明時に頒布されたものであるから、被請求人は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」をしたといい得るものであり、これは商標法上の「使用」に該当する(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)。
ウ また、被請求人は、本件プロモーションの中で「WEBサイト制作」の提案を行っており(乙1、第13頁及び第14頁)、現実にこれを受注している。具体的には、A社が、被請求人に対して、令和3年12月14日付けで、本件プロモーションの成果物(WEBサイトの制作を含む。)をすべて受領したことを示す受領書を送った(乙2)。これを受けて、被請求人は、A社に対して、令和4年1月31日を支払期日とする、明細欄に「WEBサイト制作」を含む請求書を送付している(乙3)。さらに、被請求人は、同社に対して、令和4年1月31日付けで、本件プロモーションの費用を領収したことを示す領収書を発行している(乙4)。
そうすると、被請求人は、同社対して、要証期間内に、「ウェブサイトの作成・保守(他人のためのもの),ウェブサイトの設計に関する助言」の役務を提供しており、その役務は、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に含まれる。
エ 以上よりすると、被請求人は、要証期間内に、本件商標に係る指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、本件商標と同一の商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)したものといい得る。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)ア 本件商標権者は、商品企画、広告、イベント、プロモーション、PRなどの各種サービスを提供すべく、平成24年(2012年)3月に創設されたクリエイティブエージェンシーである(被請求人の主張)。
イ 乙1は、被請求人が、顧客であるA社に対して、企画提案を行った際に提示したとされる企画書であり、同企画書の表紙には「ANA×沖縄県 2020 プロモーション」のタイトル、その下部に「2020.8.04」の記載、さらにその下部には、白抜き円形内の上段に大きく「猿人」の文字及びその下段に「ENJIN Inc.」の文字を表してなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
ウ 上記イの企画書の14葉目には、「概算お見積|パターンA」の見出しの下、「WEBサイト制作 OKINAHOURSサイト内に告知LP設置-約100万円」の記載が、15葉目には、「概算お見積|パターンB」の見出しの下、「WEBサイト制作 OKINAHOURSサイト内でNEW SANDARD紹介-約200万円」の記載がある。
エ 乙2は、2021年12月14日付けのA社から本件商標権者宛ての「受領書」の写しであり、そこには、「下記のとおり受領いたしました。」、「税込金額 ¥15,560,000」、「件名 ANA沖縄プロモーション2021」、備考欄に「企画終了後、レポートのご提出をお願いいたします。その他企画終了まで各種ご対応よろしくお願いいたします。」等の記載があり、受領サイン欄に担当者の押印がある。
オ 乙3は、2021年12月31日付けの本件商標権者からA社宛ての「御請求書(控)」の写しであり、そこには、「御支払期日: 2022年1月31日」、「御請求金額: ¥15,560,000」、明細の「WEBサイト制作」に係る金額欄には、「4,100,000」と表示されている。
カ 乙4は、2022年1月31日付けの本件商標権者からA社宛ての「領収書」の写しであり、そこには、「【件名:ANA沖縄プロモーション2021受領の件】、「受領額 ¥15,560,000」、「右記金額正に領収いたしました。」、「受領日 2022年1月31日」、内訳欄に「ANA沖縄プロモーション費」等の記載がある。
2 判断
上記1からすれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標権者は、顧客であるA社との間におけるプロモーション活動に関する取引と関連して、「ANA×沖縄県 2020 プロモーション」と題する企画書(以下「本件企画書」という。)を、2020年8月4日にA社に頒布しており、その表紙には、使用商標が表示され、その見積内容には「WEBサイト制作」に係る業務が含まれていた。
なお、本件商標権者とA社の間で実施された「ANA沖縄プロモーション2021」は、「Webサイト制作」の費用を含めて、2022年1月31日にA社から本件商標権者に費用支払いがされている。
(2)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり「ENJIN Inc.」の欧文字からなり、一方、使用商標は、その構成中に「ENJIN Inc.」の文字を含んでなり、当該文字部分は独立して出所表示機能を果たすものといえる。
そうすると、本件商標と使用商標の構成中「ENJIN Inc.」文字部分とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるもので、社会通念上同一の商標である。
(3)使用役務について
本件企画書の見積内容に含まれる「WEBサイト制作」(以下「使用役務」という。)の業務は、コンピュータで利用するデータやプログラムにより構成されるウェブサイトを制作する役務であるから、本件請求役務のうち、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の範ちゅうに含まれる役務である。
(4)使用者について
使用商標が表示された本件企画書の作成者は、本件商標権者である。したがって本件商標の使用者(頒布者)は、本件商標権者である。
(5)使用及び使用時期について
本件企画書は、「Webサイト制作」の業務を含む商取引についての取引書類であり、また、本件商標権者が取引先のA社に対して頒布した「2020年8月4日」は、要証期間である。
さらに、その使用地域は日本国内であること明らかである。
(6)小括
以上によれば、本件商標権者は、日本国内において、要証期間内である2020年8月4日に、本件請求役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に含まれる使用役務に係る取引書類に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したといえるもので、当該行為は、商標法第2条第3項第8号の「取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が、本件請求役務について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の本件請求役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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