商標取消審判
2022-300704
エンジンインコーポレーテッド、エンジン、エンジンインク
- 審判番号
- 2022-300704
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2008-082229
- 登録番号
- 5264176
- 請求日
- 2022年08月01日
- 審決日
- 2023年11月22日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エンジン ピーティーイー.エルティーディー.
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】中山 健一
- 【請求人代理人】門田 尚也
- 【請求人代理人】長嶺 晴佳
- 【被請求人】株式会社 ENJIN
- 【被請求人代理人】佐藤 大輔
- 【被請求人代理人】橘 哲男
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T132 .1 -Y (X41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第3号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第4号、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5264176号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5264176号商標(以下「本件商標」という。)は、「ENJIN Inc.」の欧文字を表してなり、平成20年9月26日に登録出願、第41類「スポーツの興行の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),社員教育に関するコンサルティング」(以下「請求に係る役務」という。)を含む第35類、第40類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年9月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年8月16日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年8月16日から令和4年8月15日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
1 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、請求に係る役務について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次の2のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
2 本件商標は、その指定役務中、請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
3 請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 商標権者(被請求人)について
商標権者(被請求人)は、国内外の顧客企業に対して、コミュニケーション・デザイン、ブランドコンサルティング、商品企画、広告、イベント、プロモーション、PRなどの各種サービスを提供すべく平成24年(2012年)3月に創設されたクリエイティブエージェンシーである。
2 本件商標の使用の概要について
商標権者は、要証期間内に、本件商標に係る指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び「セミナーの企画・運営又は開催」並びに「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」について、本件商標と同一の商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)するものである。
3 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び「セミナーの企画・運営又は開催」に関する使用の実情
(1)乙第1号証は、被請求人が、顧客である京都大学に対して、公開講義のオンラインセミナー(以下「本件セミナー」という。)の企画提案を行った際に提示した企画書である。
本件セミナーは、アフターコロナの社会に向けた教育のあり方を再定義する試みとして、京都大学の講義が無料、かつ、オンラインで受講可能となるセミナーであり、その内容は哲学、倫理学、地域研究、メディア学など多岐に渡る(乙2)。
(2)乙第1号証は、本件セミナーの企画段階で提示されたものであり、表紙左下に記載のとおり、「2020年4月14日」に被請求人から京都大学に対して頒布されたものである。この「2020年4月14日」の日付は要証期間内の日付である。さらに、表紙の中央下部に白抜き正円内において、大書された「猿人」の文字の下方に「ENJIN Inc.」の文字(以下「使用標章1」という。)が位置している。
乙第1号証より明らかなとおり、使用標章1は、本件商標と同一又は少なくとも社会通念上同一の関係にあるものといわなければならない。
さらに、乙第1号証は、被請求人が、顧客である京都大学に対して、本件セミナーの企画説明時に頒布されたものだから、被請求人は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」をしたものといい得るものであり、これは商標法上の「使用」に該当することは明らかである(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)。
(3)そうすると、被請求人は、要証期間内に、本件商標に係る指定役務中の第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び「セミナーの企画・運営又は開催」について、本件商標と同一の商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)するものといい得る。
4 第41類「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に関する使用の実情
(1)乙第3号証は、アーティストと音楽ファンが共に新しいミュージックビデオを作り上げる(以下「本件ビデオ制作」という。)企画(乙4)に関する企画書であり、被請求人が、顧客であるアドビ株式会社に対して、本件ビデオ制作の企画段階で提示したものである。
(2)乙第3号証は、本件ビデオ制作の企画段階で提示されたものであり、表紙中央やや下部に記載のとおり、「2020年4月9日」に被請求人からアドビ株式会社に対して頒布されたものである。この「2020年4月9日」の日付は要証期間内の日付であり、さらに、表紙の中央下部に白抜き正円内において、大書された「猿人」の文字の下方に「ENJIN Inc.」の文字(以下「使用標章2」という。)が位置している。
乙第3号証より明らかなとおり、使用標章2は、本件商標と同一又は少なくとも社会通念上同一の関係にあるものといわなければならない。
さらに、乙第3号証は、被請求人が、顧客であるアドビ株式会社に対して、本件ビデオ制作の企画説明時に頒布されたものであり、企画自体もミュージックビデオの制作に関するプロセスの一つである。そのため、本件ビデオ制作の企画は、請求に係る役務である「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に該当するものといわなければならない。
そうすると、被請求人は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」をしたものといい得るものであり、これは商標法上の「使用」に該当することは明らかである(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)。
(3)そうすると、被請求人は、要証期間内に、本件商標に係る指定役務中の第41類「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」について、本件商標と同一の商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用(商標法第2条第3項第3号及び同項第4号)するものといい得る。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(1)京都大学への役務の提供
ア 京都大学は、2020年(令和2年)7月4日からの毎週土曜・日曜にオンライン公開講義を実施した(乙2)。
イ 商標権者は、2020年(令和2年)4月14日に、京都大学に対して、当該オンライン公開講義を企画・提案した(乙1、被請求人の主張)。
ウ 当該企画・提案の企画書には、その表紙に本件商標が表示されている(乙1)。
エ 当該企画書は、京都大学への企画・提案の際に、京都大学へ提示した(被請求人の主張)。
(2)アドビ株式会社への役務の提供
ア アドビ株式会社は、2020年(令和2年)、アーティストと音楽ファンが共に新しいミュージックビデオを作り上げる企画を実施した(乙4)。
イ 商標権者は、2020年(令和2年)4月9日に、アドビ株式会社に対して、当該ビデオ制作を企画・提案した(乙3、被請求人の主張)。
ウ 当該企画・提案の企画書には、その表紙に本件商標が表示されている(乙3)。
エ 当該企画書は、アドビ株式会社への企画・提案の際に、アドビ株式会社へ提示した(被請求人の主張)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)京都大学への役務の提供
「オンライン公開講義」は「セミナー」の一種といえるところ、「セミナーの企画」において、企画書は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」といえる。
そして、「セミナーの企画」において、企画書を提示し、企画・提案することは、企画書を用いて当該役務を提供することと評価することができる。
そうすると、商標権者は、京都大学に対して、「セミナー」の一種である「オンライン公開講義」の企画書(「セミナーの企画」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物)に本件商標を付した物を用いて、当該講座の企画・提案(「セミナーの企画」の提供)を行ったということができる。
したがって、商標権者は、要証期間内である令和2年4月14日に、京都大学に対して、請求に係る役務中「セミナーの企画・運営又は開催」に含まれる「セミナーの企画」について、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する企画書に本件商標を付した物を用いて、「セミナーの企画」を提供したと認めることができる。
そして、その行為は、商標法第2条第3項第4号の行為に該当する。
(2)アドビ株式会社への役務の提供
「ミュージックビデオ」は「文化・娯楽用ビデオ」の一種であり、かつ、映画、放送番組又は広告用のものではないといえるところ、「ビデオの制作」において、企画書は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」といえる。
そして、「ビデオの制作」において、企画書を提示し、企画・提案することは、制作における一プロセスであるから、企画書を用いて当該役務を提供することと評価することができる。
そうすると、商標権者は、アドビ株式会社に対して、「文化・娯楽用ビデオ」の一種であり、かつ、映画、放送番組又は広告用のものではない「ミュージックビデオ」の企画書(「ビデオの制作」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物)に本件商標を付した物を用いて、当該ビデオ制作の企画・提案(「ビデオの制作」の提供)を行ったということができる。
したがって、商標権者は、要証期間内である令和2年4月9日に、アドビ株式会社に対して、請求に係る役務中「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に含まれる「文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」について、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する企画書に本件商標を付した物を用いて、「文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を提供したと認めることができる。
そして、その行為は、商標法第2条第3項第4号の行為に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る役務中「セミナーの企画,文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」について、本件商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の請求に係る役務についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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