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特許拒絶査定不服審判

2023-012198

サブブロック区分モードのためのエンコーダ、デコーダ、および対応する方法

審判番号
2023-012198
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-572421外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月20日
審決日
2024年08月20日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (H04N) / P18 .121-Z (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-572421「サブブロック区分モードのためのエンコーダ、デコーダ、および対応する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月24日国際公開、WO2020/253816、令和 3年11月18日国内公表、特表2021-531682〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)6月19日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理 2019年6月21日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 2月15日付け 拒絶理由通知書 令和4年 5月23日 手続補正書及び意見書の提出 令和4年 8月22日付け 拒絶理由通知書(最後) 令和4年11月29日 手続補正書及び意見書の提出 令和5年 3月10日付け 拒絶査定 令和5年 7月20日 審判請求書及び手続補正書の提出 令和5年 9月12日付け 前置報告書 令和5年 9月28日 上申書の提出 令和5年12月25日 上申書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明は、令和5年7月20日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。ここで、記号「A」~「G」は、分説するために当審が付したものであり、記号「A」~「G」に対応する発明特定事項を、以下「構成A」~「構成G」という。なお、請求項1の記載は、令和5年7月20日になされた手続補正により補正されていない。 「 【請求項1】 A 復号デバイスによって実施されるコーディングの方法であって、 B ビットストリームを取得するステップと、 C 前記ビットストリームに従って現在のブロックに対するインジケータの値を取得するステップと、 D 前記インジケータの値およびあらかじめ定められたルックアップテーブルに従って、前記現在のブロックに対する第1のパラメータの値および前記現在のブロックに対する第2のパラメータの値を取得するステップと、 E 前記第1のパラメータの値および前記第2のパラメータの値に従って、前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値を取得するステップであって、前記サンプル距離の値が、前記サンプルから分離線までの距離を表し、前記分離線が、コーディングブロックを2つのサブブロックに分割するために使用され、前記第1のパラメータが、前記現在のブロックの区分のための前記分離線の角度を表し、前記第2のパラメータが、前記分離線から前記現在のブロックの中心までの距離を記述する、ステップと、 F 前記サンプルに対する前記サンプル距離の値に従って、前記サンプルに対する予測値を取得するステップと A を有し、 F 前記サンプルに対する前記サンプル距離の値に従って、前記サンプルに対する予測値を取得する前記ステップが、 F1 前記サンプル距離の値に従って、前記2つのサブブロックに対応する2つの重み係数を計算するステップと、 F2 第1の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第1のサブブロックに対する第1の予測値、第2の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第2のサブブロックに対する第2の予測値、および前記2つの重み係数に従って、前記サンプルに対する前記予測値を取得するステップと F を含み、 G 前記あらかじめ定められたルックアップテーブルが、 【表1】 [図:0001418744000001.jpg] であり、前記インジケータがmerge_gpm_partition_idxであり、前記第1のパラメータがangleIdxであり、前記第2のパラメータがdistanceIdxである、方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定(令和5年3月10日付け拒絶査定)の拒絶の理由は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」、及び「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1に係る発明に対して、以下の引用文献1が引用された。 引用文献1:Benjamin Bross et al., "Versatile Video Coding (Draft 8)", Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 17th Meeting: Brussels, BE, 2020年3月12日, [JVET-Q2001-vE] (version 15), pp.292-295 第4 優先権主張について 本願は、国際出願PCT/EP2019/066432(2019年6月21日出願。以下「優先基礎出願」という。)に基づく優先権を主張している。 そこで、本願発明が、優先基礎出願に記載されたものであるかについて、以下検討する。 (1) 本願発明の構成Gについて 本願発明の構成Gにおける「表1」は,以下のとおりのものである(再掲)。 [図:0001418744000002.jpg] (2)優先基礎出願に記載された事項 国際出願PCT/EP2019/066432には、以下の記載がある。(下線は強調のために当審で付したものであり、以下同様。) ア 「In other words, the partitioning unit 262 may be configured to partition the block 203 into smaller block partitions or sub-blocks (which form again blocks) , e.g. iteratively using quad-tree-partitioning (QT) , binary partitioning (BT) or triple-tree-partitioning (TT) or any combination thereof, and to perform, e.g., the prediction for each of the block partitions or sub-blocks, wherein the mode selection comprises the selection of the tree-structure of the partitioned block 203 and the prediction modes are applied to each of the block partitions or sub-blocks.」(15ページ1~7行) (当審仮訳:言い換えると、区分ユニット262は、たとえば、四分木区分(QT)、二分木区分(BT)、もしくは三分木区分(TT)、またはこれらの任意の組合せを繰り返し使用して、ブロック203をより小さいブロック区分またはサブブロック(これが再びブロックを形成する)へと区分し、たとえば、ブロック区分またはサブブロックの各々に対する予測を実行するように構成されてもよく、モード選択は区分されたブロック203の木構造の選択を含み、予測モードはブロック区分またはサブブロックの各々に適用される。) イ 「As there are many possibilities of dividing a coding block into 2 sub-blocks, the signaling (coding) of the division requires too many bits. And as the angle and distance values can have many different values, which require too much side information to be signaled in a bitstream. Embodiments of the present invention are about signalling of the partitioning parameters. The efficient coding is achieved by the following features: ・ Parameters (e.g. angle and distance) for partitioning of a block are stored in a predetermined table, such that the actual values of angle and distance do not need to be transmitted. ・ The table contains partitioning parameters that are more likely and that include enough variation. ・ An index to the table is encoded into (or obtained from) a bitstream.」(29ページ26行~30ページ3行) (当審仮訳:コーディングブロックを2つのサブブロックに分割することには多くの可能性があるので、分割のシグナリング(コーディング)はあまりにも多くのビットを必要とする。そして、角度および距離の値は多くの異なる値を有し得るので、ビットストリームにおいてあまりにも多くのサイド情報がシグナリングされなければならない。 本発明の実施形態は、区分パラメータのシグナリングについてのものである。効率的なコーディングが、次の特徴によって達成される: ・ 角度と距離の実際の値が送信される必要がないように、ブロックの区分のためのパラメータ(たとえば、角度および距離)が所定のテーブルに記憶される。 ・ テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる。 ・ テーブルに対するインデックスがビットストリームへと符号化される(またはそれから取得される。) ウ 「Construction of the lookup table: According to one example, a value range for the first parameter may between 0 and 4K-1, where K is an integer that is greater than 0; a value range for the second parameter may between 0 to N. In this case, the rows of the said lookup table may includes all combinations of the first parameter and the second parameter except for the combinations: ・ First set of pairs: a value of second parameter is equal to 0 and a value of first parameter is equal to one of {0, K, 2K, 3K} . ・ Second set of pairs: a value of second parameter = 0, a value of first parameter equal to one of {K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2} . ・ Third set of parameters: a value of second parameter = 0, a value of first parameter greater than or equal to 2K.」(32ページ29行~33ページ6行) (当審仮訳:ルックアップテーブルの構築: 一例によれば、第1のパラメータの値の範囲は0から4K-1であってもよく、Kは0以上の整数である。第2のパラメータの値の範囲は0からNであってもよい。この場合、前記ルックアップテーブルの行は、以下の組合せを除き、第1のパラメータと第2のパラメータのすべての組合せを含み得る: ・ ペアの第1のセット:第2のパラメータの値は0に等しく、第1のパラメータの値は{0, K, 2K, 3K}のうちの1つに等しい。 ・ ペアの第2のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は{K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2}のうちの1つに等しい。 ・ パラメータの第3のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は2K以上である。) エ 「In an example, a value of K is 8 or 4. The number K describes how many discrete angle values are used to partition 90 degrees of angle. In an example, if the number K is 8, the line of separation might have the following angle values: 0, 11.25, 22.5, 33.75, 45, …degrees. In another example, if the value of K is 4, then the angle values are: 0, 22.5, 45, 67.5, …degrees.」(33ページ7~10行) (当審仮訳:ある例では、Kの値は8または4である。数Kは、どれだけの離散的な角度値が90度の角度を区分するために使用されるかを記述する。ある例では、数Kが8である場合、分離の線は、次の角度値、すなわち0、11.25、22.5、33.75、45、…度を有し得る。別の例では、Kの値が4である場合、角度値は、0、22.5、45、67.5、…度である。) オ 「In an example, a value of N is 4. In general N can be an integer number greater than 0.」(33ページ11行) (当審仮訳:ある例では、Nの値は4である。一般に、Nは0より大きい整数であり得る。) カ 「In some embodiments, the second parameter describes a distance of the separation line to the center of a coding block. If a value of the second parameter is zero, this means that the separation line passes through the center of the coding block. If a value of the first parameter is equal to K, this means that the separation line is either horizontally or vertically oriented (angle value is equal to 0, 90, 270 or 360 degrees). The first set of pairs are excluded from the lookup table as this would create a redundant partition, that can also be achieved by binary (meaning into two) partitioning of a coding block with binary tree. The binary splitting is a mechanism in that partitions a coding block into equal sized 2 coding blocks along the vertical or horizontal axis (and not into subblocks) . Therefore according to embodiments of the present invention, the First set of pairs are excluded from the lookup table.」(33ページ12~21行) (当審仮訳:いくつかの実施形態では、第2のパラメータは、分離線からコーディングブロックの中心までの距離を記述する。第2のパラメータの値が0である場合、これは、分離線がコーディングブロックの中心を通ることを意味する。第1のパラメータの値がKに等しい場合、これは、分離線が水平の向きまたは垂直の向きのいずれかである(角度値が0、90、270、または360度に等しい)ことを意味する。ペアの第1のセットは、冗長な区分を作り出すのでルックアップテーブルから除去され、この冗長な区分は、二分木を用いたコーディングブロックの二値の(2つへのを意味する)区分によっても達成され得る。二値の分割は、垂直軸または水平軸に沿って、コーディングブロックを等しいサイズの2つのコーディングブロックへと区分する(そしてサブブロックには区分しない)機構である。したがって、本発明の実施形態によれば、ペアの第1のセットがルックアップテーブルから除去される。) キ 「Second set of pairs are excluded from the lookup table, as the second set of pairs would create divisions that can be achieved by triangular prediction mode. Therefore excluding the second set of pairs would prevent redundant subblock partitions.」(33ページ22~24行) (当審仮訳:ペアの第2のセットは、三角予測モードによって達成され得る分割を作り出すので、ペアの第2のセットはルックアップテーブルから除去される。したがって、ペアの第2のセットを除去することが、冗長なサブブロックの区分を防ぐ。) ク 「The third set of pairs are excluded from the table as when the angle is equal to X or X+180, identical partitions would be created if the second parameter is equal to zero.」(33ページ25~26行) (当審仮訳:角度がXまたはX+180に等しいとき、第2のパラメータが0に等しい場合には同一の区分が作り出されるので、ペアの第3のセットがテーブルから除去される。) ケ 「According to another example, the following pairs can be excluded from the lookup table: ・ A value of Second parameter equal N and a value of First parameter equal to one of {K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2} . ・ A value of Second parameter equal N and a value of First parameter equal to one of {K/2-1, 3K/2-1, 5K/2-1, 7K/2-1, K/2+1, 3K/2+1, 5K/2+1, 7K/2+1} . In some embodiments, the above pairs might be excluded from the lookup table since they create 2 subblocks, one of which might be too small. If a value of the first parameter is equal to K/2, 3k/2, …, , this means that the angle of the separation line is 45 degrees, 135degrees, 225 degrees or 315 degrees. If a value of the second parameter is equal to N (which is the highest value) , then one of the subblocks would comprise a small part of one corner of the coding block, which would be too small for the division operation.」(33ページ27行~34ページ4行) (当審仮訳:別の例によれば、以下のペアがルックアップテーブルから除去され得る: ・ Nに等しい第2のパラメータの値および{K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2}のうちの1つに等しい第1のパラメータの値。 ・ Nに等しい第2のパラメータの値および{K/2-1, 3K/2-1, 5K/2-1, 7K/2-1, K/2+1, 3K/2+1, 5K/2+1, 7K/2+1}のうちの1つに等しい第1のパラメータの値)。 いくつかの実施形態では、上記のペアがルックアップテーブルから除去されてもよく、それは、それらのペアが、そのうちの1つがあまりにも小さい可能性のある2つのサブブロックを作り出すからである。第1のパラメータの値がK/2、3k/2、…、に等しい場合、これは、分離線の角度が45度、135度、225度、または315度であることを意味する。第2のパラメータの値がN(これは最高の値である)に等しい場合、サブブロックのうちの1つがコーディングブロックの1つの角の小さい部分を含み、これは分割操作には小さすぎる。) コ 「When the second parameter is equal to N, one subblock is smaller than the other subblock. It is less likely to select such a partition (compared to cases where the number of samples in each subblock is more similar) .」(34ページ18~20行) (当審仮訳:第2のパラメータがNに等しいとき、一方のサブブロックは他方のサブブロックより小さい。(各サブブロックの中のサンプルの数がより似ている場合と比較して)そのような区分を選択する可能性はより低い。) サ 「One example of the indicator (geo_partition_idx) and the lookup table are given below. The indicator has a value between 0 and 139, which is used to select first parameter and the second parameter using a lookup table. An example of the lookup table is Table1.」(34ページ25~27行) (当審仮訳:インジケータの一例(geo_partition_idx)およびルックアップテーブルが、以下で与えられる。インジケータは0から139の間の値を有し、これは、ルックアップテーブルを使用して第1のパラメータおよび第2のパラメータを選択するために使用される。ルックアップテーブルの例は表1である。 シ 「 [図:0001418744000003.jpg] [図:0001418744000004.jpg] [図:0001418744000005.jpg] [図:0001418744000006.jpg] [図:0001418744000007.jpg] [図:0001418744000008.jpg] [図:0001418744000009.jpg] [図:0001418744000010.jpg] [図:0001418744000011.jpg] [図:0001418744000012.jpg] 」(34~37ページTable 11) (当審仮訳:表1:geo_partition_idxがテーブルのインデックスであり、angleIdxが第1のパラメータであり、distanceIdxが第2のパラメータである、ルックアップテーブル (以後略)) (3)優先基礎出願に記載されたルックアップテーブル 上記(2)に記載された事項をまとめると、優先基礎出願には、以下のルックアップテーブルが記載されているといえる。なお、各段落末尾の(ア)~(シ)は、上記(2)のア~シに対応する。 「 geo_partition_idxがテーブルのインデックスであり、angleIdxが第1のパラメータであり、distanceIdxが第2のパラメータである、ルックアップテーブルであって、(シ) 第1のパラメータの値の範囲は0から4K-1であり、Kの値は8であり、(ウ、エ) 第2のパラメータの値の範囲は0からNであり、Nの値は4であり、(ウ、オ) 前記ルックアップテーブルの行は、以下の組合せを除き、第1のパラメータと第2のパラメータのすべての組合せを含み得るものであり、(ウ) ペアの第1のセット:第2のパラメータの値は0に等しく、第1のパラメータの値は{0, K, 2K, 3K}のうちの1つに等しく、ペアの第1のセットは、二分木を用いたコーディングブロックの二値の区分によっても達成され得る冗長な区分を作り出し、二値の分割は、垂直軸または水平軸に沿って、コーディングブロックを等しいサイズの2つのコーディングブロックへと区分する(そしてサブブロックには区分しない)機構であり、(ウ、カ) ペアの第2のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は{K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2}のうちの1つに等しく、ペアの第2のセットは、三角予測モードによって達成され得る分割を作り出し、(ウ、キ) パラメータの第3のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は2K以上であり、角度がXまたはX+180に等しいとき、第2のパラメータが0に等しい場合には同一の区分が作り出され、(ウ、ク) いくつかの実施形態では、以下のペア Nに等しい第2のパラメータの値および{K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2}のうちの1つに等しい第1のパラメータの値のペア、及び Nに等しい第2のパラメータの値および{K/2-1, 3K/2-1, 5K/2-1, 7K/2-1, K/2+1, 3K/2+1, 5K/2+1, 7K/2+1}のうちの1つに等しい第1のパラメータの値のペア、 がそのうちの1つがあまりにも小さい可能性のある2つのサブブロックを作り出すから、ルックアップテーブルから除去され、(ケ) 第2のパラメータがNに等しいとき、一方のサブブロックは他方のサブブロックより小さく、そのような区分を選択する可能性はより低く、(コ) テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいるという特徴により、効率的なコーディングが達成される、(イ) 以下の表1で与えられるルックアップテーブル。(サ、シ) 表1: [図:0001418744000013.jpg] [図:0001418744000014.jpg] [図:0001418744000015.jpg] [図:0001418744000016.jpg] [図:0001418744000017.jpg] [図:0001418744000018.jpg] [図:0001418744000019.jpg] [図:0001418744000020.jpg] [図:0001418744000021.jpg] 」 優先基礎出願に記載された上記「表1」は、Kの値が8である場合の第1のパラメータ(angleIdx)の値の範囲0から31、及びNの値が4である場合の第2のパラメータ(distanceIdx)の値の範囲0から4に対する全ての組み合わせ160通りの中から、(angleIdx,distanceIdx) = {(0,0), (8,0), (16,0)}である「ペアの第1のセット」、(angleIdx,distanceIdx) = {(4,0), (12,0), (20,0), (28,0)}である「ペアの第2のセット」、及び(angleIdx,distanceIdx) = {(16,0), (17,0), (18,0), (19,0), (20,0), (21,0), (22,0), (23,0), (24,0), (25,0), (26,0), (27,0), (28,0), (29,0), (30,0), (31,0)}である「ペアの第3のセット」を除いた140通りの組み合わせを含むルックアップテーブルであるといえる。 さらに、優先基礎出願の「いくつかの実施形態」では、あまりにも小さいサブブロックを作り出すペアのセットである、(angleIdx,distanceIdx) = {(3,4), (4,4), (5,4), (11,4), (12,4), (13,4), (19,4), (20,4), (21,4), (27,4), (28,4), (29,4)}についても、ルックアップテーブルから除去されるとしている。 (4)本願発明の構成Gにおける「表1」と、優先基礎出願に記載されたルックアップテーブルの対比 優先基礎出願には、本願発明の構成Gにおける「表1」そのものは記載されていない。 また、上記(3)に記載された優先基礎出願の「表1」から、あまりにも小さいサブブロックを作り出すペアの(上記(2)のケ)を除去したとしても、本願発明の構成Gにおける「表1」は得られない。 すなわち、本願発明の構成Gにおける「表1」では、(angleIdx,distanceIdx) = {(6,0), (6,1), (6,2), (6,3), (7,0), (7,1), (7,2), (7,3),(中略), (25,1), (25,2), (25,3), (26,1), (26,2), (26,3), (31,1), (31,2), (31,3)}のペアのセットを含まないのに対して、優先基礎出願の「表1」では、当該ペアのセットを含んでいる。そして、ルックアップテーブルから、当該ペアのセットを選んで除去することは、優先基礎出願には記載も示唆もされておらず、また、当該選択的に除去することが当業者にとって自明であると認めるに足りる根拠は見当たらない。 (5)優先権主張についてのまとめ 以上のとおりであるから、本願発明の構成Gにおける「表1」は、優先基礎出願に記載されたものではない。 したがって、本願発明についての、優先基礎出願(国際出願PCT/EP2019/066432)に基づく優先権主張は認められず、本願発明に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、本願の国際出願日である2020年6月19日とする。 第5 引用文献1に記載された事項、及び引用発明、並びに、参考文献に記載された事項 (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である、Benjamin Bross et al., "Versatile Video Coding (Draft 8)"(当審仮訳:多目的ビデオコーディング(ドラフト8)), Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 17th Meeting: Brussels, BE, 2020年3月12日, [JVET-Q2001-vE] (version 15)には、以下の記載がある(下線は強調のために当審で付したものであり、以下同様。)。 ア 「7 Syntax and semantics 7.1 Method of specifying syntax in tabular form The syntax tables specify a superset of the syntax of all allowed bitstreams.」(34ページ1~3行) (当審仮訳:7 シンタックス及びセマンティックス 7.1 表形式でシンタックスを指定する方法 シンタックス表は、許可されるすべてのビットストリームのシンタックスのスーパーセットを指定する。) イ 「7.3.10.7 Merge data syntax [図:0001418744000022.jpg] [図:0001418744000023.jpg] [図:0001418744000024.jpg] 」(78ページ) (当審仮訳:7.3.10.7 マージデータシンタックス (以下略)) ウ 「7.4.11.7 Merge data semantics (中略) merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ] specifies the partitioning shape of the geometric partitioning merge mode. The array indices x0, y0 specify the location ( x0, y0 ) of the top-left luma sample of the considered coding block relative to the top-left luma sample of the picture. When merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ] is not present, it is inferred to be equal to 0.」(165ページ31行~167ページ34行) (当審仮訳:7.4.11.7 マージデータセマンティクス (中略) merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ] は、幾何学的分割マージモードの分割形状を指定する。配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上ルーマサンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上ルーマサンプルの位置( x0, y0 )を指定する。 merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]が存在しない場合、0に等しいと推定される。) エ 「8.5.7 Decoding process for geometric partitioning mode inter blocks 8.5.7.1 General This process is invoked when decoding a coding unit with MergeGpmFlag[ xCb ][ yCb ] equal to 1. Inputs to this process are: - a luma location ( xCb, yCb ) specifying the top-left sample of the current coding block relative to the top left luma sample of the current picture, - a variable cbWidth specifying the width of the current coding block in luma samples, - a variable cbHeight specifying the height of the current coding block in luma samples, - the luma motion vectors in 1/16 fractional-sample accuracy mvA and mvB, - the chroma motion vectors mvCA and mvCB, - the reference indices refIdxA and refIdxB, - the prediction list flags predListFlagA and predListFlagB. Outputs of this process are: - an (cbWidth)x(cbHeight) array predSamplesL of luma prediction samples, - an (cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC) array predSamplesCb of chroma prediction samples for the component Cb, when ChromaArrayType is not equal to 0, - an (cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC) array predSamplesCr of chroma prediction samples for the component Cr, when ChromaArrayType is not equal to 0.」(292ページ行下から3行~293ページ15行) (当審仮訳:8.5.7 ブロック間の幾何学的分割モードのための復号化処理 8.5.7.1 一般 この処理は、MergeGpmFlag[ xCb ][ yCb ]が1に等しい符号化ユニットを復号するときに呼び出される。 この処理への入力は以下のとおりである: - 現在のピクチャの左上ルーマサンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置(xCb, yCb)、 - ルーマサンプル群における現在の符号化ブロックの幅を指定する変数cbWidth、 - ルーマサンプル群における現在の符号化ブロックの高さを指定する変数cbHeight、 - 1/16小数サンプル精度のルーマ動きベクトル mvA 及び mvB、 - クロマ動きベクトル mvCA 及び mvCB、 - 参照インデックス refIdxA 及び refIdxB、 - 予測リストフラグ predListFlagA 及び predListFlagB。 この処理の出力は以下である: - ルーマ予測サンプル群の(cbWidth)x(cbHeight)配列predSamplesL、 - ChromaArrayType が 0 ではない場合、Cb 成分のクロマ予測サンプル群の (cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC) 配列 predSamplesCb、 - ChromaArrayType が 0 ではない場合、Cr 成分のクロマ予測サンプル群の (cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC) 配列 predSamplesCr。) オ 「Let predSamplesLAL and predSamplesLBL be (cbWidth)x(cbHeight) arrays of predicted luma sample values and, when ChromaArrayType is not equal to 0, predSamplesLACb, predSamplesLBCb, predSamplesLACr and predSamplesLBCr be (cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC) arrays of predicted chroma sample values. The predSamplesL, predSamplesCb and predSamplesCr are derived by the following ordered steps: 1. For N being each of A and B, the following applies: - The reference picture consisting of an ordered two-dimensional array refPicLNL of luma samples and two ordered two-dimensional arrays refPicLNCb and refPicLNCr of chroma samples is derived by invoking the process specified in clause 8.5.6.2 with X set equal to predListFlagN and refIdxX set equal to refIdxN as input. - The array predSamplesLNL is derived by invoking the fractional sample interpolation process specified in clause 8.5.6.3 with the luma location ( xCb, yCb ), the luma coding block width sbWidth set equal to cbWidth, the luma coding block height sbHeight set equal to cbHeight, the motion vector offset mvOffset set equal to ( 0, 0 ), the motion vector mvLX set equal to mvN and the reference array refPicLXL set equal to refPicLNL, the variable bdofFlag set euqal to FALSE, the variable cIdx is set equal to 0, RprConstraintsActive[ X ][ refIdxLX ], and RefPicScale[ predListFlagN ][ refIdxN ] as inputs. (中略) 2. The partition angle variable angleIdx and the distance variable distanceIdx of the geometric partitioning mode are set according to the value of merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ] as specified in Table 36. 3. The prediction samples inside the current luma coding block, predSamplesL[ xL ][ yL ] with xL = 0..cbWidth - 1 and yL = 0..cbHeight - 1, are derived by invoking the weighted sample prediction process for geometric partitioning mode specified in clause 8.5.7.2 with the coding block width nCbW set equal to cbWidth, the coding block height nCbH set equal to cbHeight, the sample arrays predSamplesLAL and predSamplesLBL, and the variables angleIdx, distanceIdx, and cIdx equal to 0 as inputs.」(293ページ16行~293ページ下から1行) (当審仮訳:predSamplesLAL及びpredSamplesLBLを、予測されたルーマサンプル値の(cbWidth)x(cbHeight)配列とし、ChromaArrayTypeが0ではない場合、predSamplesLACb、predSamplesLBCb、predSamplesLACr及びpredSamplesLBCrを、予測されたクロマサンプル値の(cbWidth / SubWidthC)x(cbHeight / SubHeightC)配列とする。 predSamplesL、predSamplesCb、predSamplesCr は、以下の順序のステップによって導出される: 1. A及びBの各々であるNに対して、以下が適用される: - ルーマサンプル群の順序付き二次元配列 refPicLNL 、並びにクロマサンプル群の順序付き二次元配列 refPicLNCb 及び refPicLNCr からなる参照ピクチャは、predListFlagN に等しく設定されたX 、及びrefIdxN に等しく設定されたrefIdxX を入力として、8.5.6.2 節で規定された処理を呼び出すことにより導出される。 - 配列 predSamplesLNL は、ルーマ位置( xCb, yCb )、cbWidth に等しく設定されたルーマ符号化ブロック幅 sbWidth 、cbHeight に等しく設定されたルーマ符号化ブロック高さ sbHeight 、( 0, 0 ) に等しく設定された動きベクトルオフセット mvOffset 、mvNに等しく設定された動きベクトルmvLX、並びにrefPicLNL に等しく設定された参照配列refPicLXL 、FALSEに設定された変数bdofFlag、0に等しく設定された変数cIdx、RprConstraintsActive[ X ][ refIdxLX ]、及びRefPicScale[ predListFlagN ][ refIdxN ]を入力として、8.5.6.3 節で規定された分数サンプル補間処理を呼び出すことにより導出される。 (中略) 2. 幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定される。 3. 現在のルーマ符号化ブロック内の予測サンプル群、predSamplesL[ xL ][ yL ](xL = 0..cbWidth - 1、yL = 0..cbHeight - 1)は、cbWidth にセットされた符号化ブロック幅 nCbW 、cbHeight にセットされた符号化ブロック高さ nCbH 、サンプル配列 predSamplesLAL 及び predSamplesLBL、並びに変数 angleIdx、distanceIdx 及び 0 に等しく設定されたcIdx を入力として、8.5.7.2節で規定された幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理を呼び出すことによって導出される。) カ 「 [図:0001418744000025.jpg] [図:0001418744000026.jpg] 」(294ページTable 36) (当審仮訳:表36-merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定。 (以下略)) キ 「8.5.7.2 Weighted sample prediction process for geometric partitioning mode Inputs to this process are: - two variables nCbW and nCbH specifying the width and the height of the current coding block, - two (nCbW)x(nCbH) arrays predSamplesLA and predSamplesLB, - a variable angleIdx specifying the angle index of the geometric partition, - a variable distanceIdx specifying the distance index of the geometric partition, - a variable cIdx specifying colour component index. Output of this process is the (nCbW)x(nCbH) array pbSamples of prediction sample values. The variables nW, nH, shift1, offset1, hwRatio, displacementX, displacementY, partFlip and shiftHor are derived as follows: nW = ( cIdx = = 0 ) ? nCbW : nCbW * SubWidthC (1030) nH = ( cIdx = = 0 ) ? nCbH : nCbH * SubHeightC (1031) shift1 = Max( 5, 17 - BitDepth ) (1032) offset1 = 1 << ( shift1 - 1 ) (1033) hwRatio = nH / nW (1034) displacementX = angleIdx (1035) displacementY = ( angleIdx + 8 ) % 32 (1036) partFlip = ( angleIdx >= 13 && angleIdx <= 27 ) ? 0 : 1 (1037) shiftHor = ( angleIdx % 16 = = 8 | | ( angleIdx % 16 != 0 && hwRatio > 0 ) ) ? 0 : 1 (1038) The variables offsetX and offsetY are derived as follows: - If shiftHor is equal to 0, the following applies: offsetX = ( -nW ) >> 1 (1039) offsetY = ( ( -nH ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nH ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nH ) >> 3 ) ) (1040) - Otherwise (shiftHor is equal to 1), the following applies: offsetX = ( ( -nW ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nW ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nW ) >> 3 ) ) (1041) offsetY = ( - nH ) >> 1 (1042) The prediction samples pbSamples[ x ][ y ] with x = 0..nCbW - 1 and y = 0..nCbH - 1 are derived as follows: - The variables xL and yL are derived as follows: xL = ( cIdx = = 0 ) ? x : x * SubWidthC (1043) yL = ( cIdx = = 0 ) ? y : y * SubHeightC (1044) - The variable wValue specifying the weight of the prediction sample is derived based on the array disLut specified in Table 37 as follows: weightIdx = ( ( ( xL + offsetX ) << 1 ) + 1 ) * disLut[ displacementX ] + ( ( ( yL + offsetY ) << 1 ) + 1 ) ) * disLut[ displacementY ] (1045) weightIdxL = partFlip ? 32 + weightIdx : 32 - weightIdx (1046) wValue = Clip3( 0, 8, ( weightIdxL + 4 ) >> 3 ) (1047) - The prediction sample values are derived as follows: pbSamples[ x ][ y ] = Clip3( 0, ( 1 << BitDepth ) - 1, ( predSamplesLA[ x ][ y ] * wValue + predSamplesLB[ x ][ y ] * ( 8 - wValue ) + offset1 ) >> shift1 ) (1048) 」(294ページ17行~295ページ下から4行) (当審仮訳:「8.5.7.2 幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理 この処理への入力は以下のとおりである: - 現在の符号化ブロックの幅と高さを指定する2つの変数nCbW及びnCbH、 - 2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB、 - 当該幾何学的分割の角度インデックスを指定する変数angleIdx、 - 当該幾何学的分割の距離インデックスを指定する変数distanceIdx、 - 色成分インデックスを指定する変数 cIdx。 この処理の出力は、予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamplesである。 変数nW、nH、shift1、offset1、hwRatio、displacementX、displacementY、partFlip、及びshiftHorは以下のように導出される: nW = ( cIdx = = 0 ) ? nCbW : nCbW * SubWidthC (1030) nH = ( cIdx = = 0 ) ? nCbH : nCbH * SubHeightC (1031) shift1 = Max( 5, 17 - BitDepth ) (1032) offset1 = 1 << ( shift1 - 1 ) (1033) hwRatio = nH / nW (1034) displacementX = angleIdx (1035) displacementY = ( angleIdx + 8 ) % 32 (1036) partFlip = ( angleIdx >= 13 && angleIdx <= 27 ) ? 0 : 1 (1037) shiftHor = ( angleIdx % 16 = = 8 | | ( angleIdx % 16 != 0 && hwRatio > 0 ) ) ? 0 : 1 (1038) 変数 offsetX 及び offsetY は以下のように導出される: - shiftHorが0に等しければ、以下が適用される: offsetX = ( -nW ) >> 1 (1039) offsetY = ( ( -nH ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nH ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nH ) >> 3 ) ) (1040) - そうでなければ(shiftHorが1に等しければ)、以下が適用される: offsetX = ( ( -nW ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nW ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nW ) >> 3 ) ) (1041) offsetY = ( - nH ) >> 1 (1042) x=0...nCbW-1 及び y=0...nCbH-1 の予測サンプルpbSamples[ x ][ y ]は以下のように導出される: - 変数 xL 及び yL は以下のように導出される: xL = ( cIdx = = 0 ) ? x : x * SubWidthC (1043) yL = ( cIdx = = 0 ) ? y : y * SubHeightC (1044) - 予測サンプルの重みを指定する変数wValueは、表37で指定された配列disLutに基づいて以下のように導出される: weightIdx = ( ( ( xL + offsetX ) << 1 ) + 1 ) * disLut[ displacementX ] + ( ( ( yL + offsetY ) << 1 ) + 1 ) ) * disLut[ displacementY ] (1045) weightIdxL = partFlip ? 32 + weightIdx : 32 - weightIdx (1046) wValue = Clip3( 0, 8, ( weightIdxL + 4 ) >> 3 ) (1047) - 予測サンプル値は以下のように導出される: pbSamples[ x ][ y ] = Clip3( 0, ( 1 << BitDepth ) - 1, ( predSamplesLA[ x ][ y ] * wValue + predSamplesLB[ x ][ y ] * ( 8 - wValue ) + offset1 ) >> shift1 ) (1048)) ク 「 [図:0001418744000027.jpg] [図:0001418744000028.jpg] 」(295ページTable 37) (当審仮訳:表37-幾何学的分割距離配列disLutの指定。 (以下略)) (2)引用発明の認定 引用文献1における上記(1)の記載、及びビデオ復号化の技術分野における技術常識を考慮すると、以下のことがいえる。 ア 上記(1)の「エ」には、「幾何学的分割モードのための復号化処理」という記載があるから、引用文献1には、幾何学的分割モードのための復号化処理方法、が記載されているといえる。 イ 上記(1)のアには、「シンタックス表は、許可されるすべてのビットストリームのシンタックスのスーパーセットを指定する。」という記載があり、また、上記(1)のイからは、所定の条件が満たされた場合に、マージデータシンタックスがmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含むことが見て取れる。 さらに、上記(1)のウには、「merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ] は、幾何学的分割マージモードの分割形状を指定する。配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上ルーマサンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上ルーマサンプルの位置( x0, y0 )を指定する。merge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]が存在しない場合、0に等しいと推定される。」という記載がある。 ここで、引用文献1に記載された「幾何学的分割モードのための復号化処理」(上記ア)において、幾何学的分割マージモードの分割形状を指定するmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]に基づいて復号化処理が行われること、すなわち、前記所定の条件が満たされて、マージデータシンタックスがmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含むこと、は明らかである。 したがって、引用文献1には、ビットストリームのシンタックスはmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含み、配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上サンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上サンプルの位置( x0, y0 )を指定するものであること、が記載されているといえる。 ウ 上記(1)のエには、「現在のピクチャの左上ルーマサンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置(xCb, yCb)」という記載があり、また、上記(1)のオには、「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定される。」という記載があり、また、上記(1)のカには、「表36-merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定。」という記載があり、さらに、以下の表が記載されている。 [図:0001418744000029.jpg] したがって、引用文献1には、幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定され、ここで、(xCb, yCb)は、現在のピクチャの左上サンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置を示し、また、表36は、merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定を示すものであって、以下のとおりであること、が記載されているといえる。 [図:0001418744000030.jpg] エ 上記(1)のオには、「predSamplesLAL及びpredSamplesLBLを、予測されたルーマサンプル値の(cbWidth)x(cbHeight)配列と・・・する。・・・3. 現在のルーマ符号化ブロック内の予測サンプル群、predSamplesL[ xL ][ yL ](xL = 0..cbWidth - 1、yL = 0..cbHeight - 1)は、cbWidth にセットされた符号化ブロック幅 nCbW 、cbHeight にセットされた符号化ブロック高さ nCbH 、サンプル配列 predSamplesLAL 及び predSamplesLBL、並びに変数 angleIdx、distanceIdx 及び 0 に等しく設定されたcIdx を入力として、8.5.7.2節で規定された幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理を呼び出すことによって導出される。」という記載がある。 そうすると、上記(1)のキに記載された「2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」は、予測されたサンプル値の配列であるといえ、また、上記(1)のキに記載された「予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamples」は、現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の配列であるといえる。また、上記(1)のキに記載された「この処理」が「幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理」を指すことは自明である。 したがって、引用文献1には、上記(1)のキとして、以下のことが記載されているといえる。 「幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理への入力は以下のとおりであり: - 現在の符号化ブロックの幅と高さを指定する2つの変数nCbW及びnCbH、 - 予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB、 - 当該幾何学的分割の角度インデックスを指定する変数angleIdx、 - 当該幾何学的分割の距離インデックスを指定する変数distanceIdx、 - 色成分インデックスを指定する変数 cIdx、 幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理の出力は、現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamplesであり、 変数nW、nH、shift1、offset1、hwRatio、displacementX、displacementY、partFlip、及びshiftHorは以下のように導出され: nW = ( cIdx = = 0 ) ? nCbW : nCbW * SubWidthC (1030) nH = ( cIdx = = 0 ) ? nCbH : nCbH * SubHeightC (1031) shift1 = Max( 5, 17 - BitDepth ) (1032) offset1 = 1 << ( shift1 - 1 ) (1033) hwRatio = nH / nW (1034) displacementX = angleIdx (1035) displacementY = ( angleIdx + 8 ) % 32 (1036) partFlip = ( angleIdx >= 13 && angleIdx <= 27 ) ? 0 : 1 (1037) shiftHor = ( angleIdx % 16 = = 8 | | ( angleIdx % 16 != 0 && hwRatio > 0 ) ) ? 0 : 1 (1038) 変数 offsetX 及び offsetY は以下のように導出され: - shiftHorが0に等しければ、以下が適用され: offsetX = ( -nW ) >> 1 (1039) offsetY = ( ( -nH ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nH ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nH ) >> 3 ) ) (1040) - そうでなければ(shiftHorが1に等しければ)、以下が適用され: offsetX = ( ( -nW ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nW ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nW ) >> 3 ) ) (1041) offsetY = ( - nH ) >> 1 (1042) x=0...nCbW-1 及び y=0...nCbH-1 の予測サンプルpbSamples[ x ][ y ]は以下のように導出され: - 変数 xL 及び yL は以下のように導出され: xL = ( cIdx = = 0 ) ? x : x * SubWidthC (1043) yL = ( cIdx = = 0 ) ? y : y * SubHeightC (1044) - 現在の符号化ブロック内の予測サンプルの重みを指定する変数wValueは、表37で指定された配列disLutに基づいて以下のように導出され: weightIdx = ( ( ( xL + offsetX ) << 1 ) + 1 ) * disLut[ displacementX ] + ( ( ( yL + offsetY ) << 1 ) + 1 ) ) * disLut[ displacementY ] (1045) weightIdxL = partFlip ? 32 + weightIdx : 32 - weightIdx (1046) wValue = Clip3( 0, 8, ( weightIdxL + 4 ) >> 3 ) (1047) - 現在の符号化ブロック内の予測サンプル値は以下のように導出され: pbSamples[ x ][ y ] = Clip3( 0, ( 1 << BitDepth ) - 1, ( predSamplesLA[ x ][ y ] * wValue + predSamplesLB[ x ][ y ] * ( 8 - wValue ) + offset1 ) >> shift1 ) (1048)」 また、上記(1)クから、上記表37は幾何学的分割距離配列disLutの指定を示すものであって、以下のとおりである。 [図:0001418744000031.jpg] 以上をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、記号「a」~「d」は、分説するために当審が付したものであり、記号「a」~「d」に対応する事項を、以下「構成a」~「構成d」という。また、構成a~構成dそれぞれの末尾に記載された(ア)~(エ)は、上記ア~エに対応する。 「a 幾何学的分割モードのための復号化処理方法であって、(ア) b ビットストリームのシンタックスはmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含み、配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上サンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上サンプルの位置( x0, y0 )を指定するものであり、(イ) c 幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定され、ここで、(xCb, yCb)は、現在のピクチャの左上サンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置を示し、また、表36は、merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定を示すものであって、以下のとおりであり、 [図:0001418744000032.jpg] (ウ) d 幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理への入力は以下のとおりであり: - 現在の符号化ブロックの幅と高さを指定する2つの変数nCbW及びnCbH、 - 予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB、 - 当該幾何学的分割の角度インデックスを指定する変数angleIdx、 - 当該幾何学的分割の距離インデックスを指定する変数distanceIdx、 - 色成分インデックスを指定する変数 cIdx、 幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理の出力は、現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamplesであり、 変数nW、nH、shift1、offset1、hwRatio、displacementX、displacementY、partFlip、及びshiftHorは以下のように導出され: nW = ( cIdx = = 0 ) ? nCbW : nCbW * SubWidthC (1030) nH = ( cIdx = = 0 ) ? nCbH : nCbH * SubHeightC (1031) shift1 = Max( 5, 17 - BitDepth ) (1032) offset1 = 1 << ( shift1 - 1 ) (1033) hwRatio = nH / nW (1034) displacementX = angleIdx (1035) displacementY = ( angleIdx + 8 ) % 32 (1036) partFlip = ( angleIdx >= 13 && angleIdx <= 27 ) ? 0 : 1 (1037) shiftHor = ( angleIdx % 16 = = 8 | | ( angleIdx % 16 != 0 && hwRatio > 0 ) ) ? 0 : 1 (1038) 変数 offsetX 及び offsetY は以下のように導出され: - shiftHorが0に等しければ、以下が適用され: offsetX = ( -nW ) >> 1 (1039) offsetY = ( ( -nH ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nH ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nH ) >> 3 ) ) (1040) - そうでなければ(shiftHorが1に等しければ)、以下が適用され: offsetX = ( ( -nW ) >> 1 ) + ( angleIdx < 16 ? ( distanceIdx * nW ) >> 3 : -( ( distanceIdx * nW ) >> 3 ) ) (1041) offsetY = ( - nH ) >> 1 (1042) x=0...nCbW-1 及び y=0...nCbH-1 の予測サンプルpbSamples[ x ][ y ]は以下のように導出され: - 変数 xL 及び yL は以下のように導出され: xL = ( cIdx = = 0 ) ? x : x * SubWidthC (1043) yL = ( cIdx = = 0 ) ? y : y * SubHeightC (1044) - 現在の符号化ブロック内の予測サンプルの重みを指定する変数wValueは、表37で指定された配列disLutに基づいて以下のように導出され: weightIdx = ( ( ( xL + offsetX ) << 1 ) + 1 ) * disLut[ displacementX ] + ( ( ( yL + offsetY ) << 1 ) + 1 ) ) * disLut[ displacementY ] (1045) weightIdxL = partFlip ? 32 + weightIdx : 32 - weightIdx (1046) wValue = Clip3( 0, 8, ( weightIdxL + 4 ) >> 3 ) (1047) - 現在の符号化ブロック内の予測サンプル値は以下のように導出され: pbSamples[ x ][ y ] = Clip3( 0, ( 1 << BitDepth ) - 1, ( predSamplesLA[ x ][ y ] * wValue + predSamplesLB[ x ][ y ] * ( 8 - wValue ) + offset1 ) >> shift1 ) (1048) 表37は幾何学的分割距離配列disLutの指定を示すものであって、以下のとおりである [図:0001418744000033.jpg] (エ) 復号化処理方法。(ア)」 (3)参考文献1に記載された事項 本願の国際出願日前に公開された、Jianle Chen et al., " Algorithm description for Versatile Video Coding and Test Model 8 (VTM 8)"(当審仮訳:多目的ビデオコーディング及びテストモデル8(VTM 8)のためのアルゴリズム), Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 17th Meeting: Brussels, BE, 2020年3月23日, [JVET-Q2002-v3] (version 3)(以下、「参考文献1」という。)には、以下の記載がある。 ア 「Status: Output document of JVET」(1ページ5行) (当審仮訳:状態: JVETの結果文書) イ 「3.4.11.1 Geometric partitioning mode (GPM) In VVC, a geometric partitioning mode is supported for inter prediction. The geometric partitioning mode is signalled using a CU-level flag as one kind of merge mode, with other merge modes including the regular merge mode, the MMVD mode, the CIIP mode and the subblock merge mode. In total 64 partitions are supported by geometric partitioning mode for each possible CU size [図:0001418744000034.jpg] excluding 8x64 and 64x8. When this mode is used, a CU is split into two parts by a geometrically located straight line (Figure 37). The location of the splitting line is mathematically derived from the angle and offset parameters of a specific partition. Each part of a geometric partition in the CU is inter-predicted using its own motion; only uni-prediction is allowed for each partition, that is, each part has one motion vector and one reference index. The uni-prediction motion constraint is applied to ensure that same as the conventional bi-prediction, only two motion compensated prediction are needed for each CU. The uni-prediction motion for each partition is derived using the process described in 3.4.11.1. [図:0001418744000035.jpg] If geometric partitioning mode is used for the current CU, then a geometric partition index indicating the partition mode of the geometric partition (angle and offset), and two merge indices (one for each partition) are further signalled. The number of maximum GPM candidate size is signalled explicitly in SPS and specifies syntax binarization for GPM merge indices. After predicting each of part of the geometric partition, the sample values along the geometric partition edge are adjusted using a blending processing with adaptive weights as in 3.4.11.2. This is the prediction signal for the whole CU, and transform and quantization process will be applied to the whole CU as in other prediction modes. Finally, the motion field of a CU predicted using the geometric partition modes is stored as in 3.4.11.3.」(53ページ下から8行~54ページ13行) (当審仮訳:3.4.11.1 幾何学的分割モード(GPM) VVC では、インター予測のために幾何学的分割モードがサポートされている。幾何学的分割モードは、CUレベルのフラグを使用して、通常のマージモード、MMVDモード、CIIPモード、およびサブブロックマージモードなどの他のマージモードとともに、マージモードの一種として通知される。幾何的分割モードでは,8x64と64x8を除く各CUサイズw×h [図:0001418744000036.jpg] に対して,合計64個の分割がサポートされる。 このモードが使用される場合、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割される(図37)。分割線の位置は,特定の分割の角度とオフセットのパラメータから数学的に導かれる。CU内の幾何学的分割の各部分は、それ自身の動きを使用してインター予測され;各パーティションには単予測のみが許可され、つまり、各部分は1つの動きベクトル及び1つの参照インデックスを有する。従来の双予測と同じように、各CUに対して2つの動き補償予測しか必要としないことを保証するために、単予測動き制約が適用される。各パーティションの単予測動きは、3.4.11.1節で説明されるプロセスを使用して導かれる。 [図:0001418744000037.jpg] 図37 - 同一角度でグループ化されたGPM分割の例 幾何学的分割モードが現在のCUに使用される場合、幾何学的分割の分割モード(角度とオフセット)を示す幾何学的分割インデックス、及び(各パーティションに1つずつの)2つのマージインデックスがさらにシグナリングされる。最大GPM候補サイズの数はSPSで明示的にシグナリングされ、GPMマージインデックスのシンタックス2値化を指定する。幾何学的分割の各部分を予測した後、3.4.11.2節のように、適応的な重みを有するブレンディング処理を使用して、幾何学的分割エッジに沿ったサンプル値が調整される。これがCU全体の予測信号となり、他の予測モードと同様に、変換及び量子化処理がCU全体に適用される。最後に、幾何学的分割モードを使用して予測されたCUの動きフィールドが3.4.11.3節のように格納される。) ここで、参考文献1は、「多目的ビデオコーディング及びテストモデル8(VTM 8)のためのアルゴリズム」についての文献であり、また、「Joint Video Experts Team (JVET)」の第17回会議のoutput document、すなわち結果文書、として公開された文献であるから、参考文献1に記載された内容は、多目的ビデオコーディングにおける周知技術であるといえる。 そうすると、参考文献1には、「幾何学的分割モード(GPM)が使用される場合、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の分割の角度とオフセットのパラメータから数学的に導かれ、幾何学的分割モードが現在のCUに使用される場合、幾何学的分割の分割モード(角度とオフセット)を示す幾何学的分割インデックスがシグナリングされ、幾何学的分割の各部分を予測した後、適応的な重みを有するブレンディング処理を使用して、幾何学的分割エッジに沿ったサンプル値が調整される。」という多目的ビデオコーディングにおける周知技術(以下、「周知技術1」という。)が記載されていると認められる。 (4)参考文献2、及び参考文献3に記載された事項 本願の国際出願日前に公開された、Semih Esenlik et al., " Non-CE4: Geometrical partitioning for inter blocks"(当審仮訳:非CE-4:インターブロックのための幾何学的分割), Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 15th Meeting: Gothenburg, SE, 2019年7月7日, [JVET-O0489-v4] (version 4)(以下、「参考文献2」という。)には、以下ア~ウの記載がある。 ア 「Proposed solution further extends flexibility of non-rectangular partitioning of inter-blocks utilizing Geometrical partitioning (GEO) idea [2] and introduces specific version of sub-block transform for non-rectangular inter CUs.」(1ページ下から25~27行) (当審仮訳:提案された解決策は、幾何学的分割(GEO)のアイデア[2]を利用して、ブロック間の非矩形分割の柔軟性をさらに拡張し、非矩形CU間のための特定のバージョンのサブブロック変換を導入する。) イ 「Overall number of GEO partitioning is 140. This number found to be optimal from view point flexibility vs signalling. Additional signalling for GEO requires signaling for the angle α, and separation line displacement relatively to the center of the block ρ. α represents a quantized angle between 0 and 360 degrees, with 11.25 degrees of separation and ρ represents a distance with 5 different values. The values α and ρ pairs are stored in a table of size 140x(3+5)/8=140 bytes.」(1ページ下から2行~2ページ3行) (当審仮訳:GEOの分割数は全体で140である。この数は、柔軟性とシグナリングの観点から最適であることがわかった。GEOのための追加的シグナリングは、角度α、及びブロックの中心に対する分離線変位ρのためのシグナリングを要求する。αは、11.25度の間隔で0度から360度の間の量子化された角度を表し、またρは、5つの異なる値を持つ距離を表す。値αとρのペアはサイズ140x(3+5)/8=140バイトのテーブルに格納される。) ウ 「 [図:0001418744000038.jpg] 」(2ページ Figure 2) (当審仮訳:図2 GEO分割シグナリング) また、本願の国際出願日前に公開された、Han Gao et al., " CE4: CE4-1.1, CE4-1.2 and CE4-1.14: Geometric Merge Mode (GEO)"(当審仮訳:CE-4:CE-4-1.1,CE4-1.2及びCE4-1.14:幾何学的マージモード(GEO)), Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 16th Meeting: Geneva, CH, 2019年9月25日, [JVET-P0068-v2] (version 2)(以下、「参考文献3」という。)には、以下エ及びオの記載がある。 エ 「The split boundary of geometric merge mode is descripted by angle φi and distance offset ρi as shown in Figure 2. Angle φi represents a quantized angle between 0 and 360 degrees and distance offset ρi represents a quantized offset of the largest distance ρmax .」(2ページ5~7行) (当審仮訳:幾何学的マージモードの分割境界は、図2に示すように、角度φiと距離オフセットρiによって記述される。角度φi は0度から360度の間の量子化された角度を表し、距離オフセットρi は最大距離ρmax の量子化されたオフセットを表す。) オ 「 [図:0001418744000039.jpg] 」(2ページ Figure 2) (当審仮訳:図2 GEO分割境界記述) そうすると、参考文献2及び3には、幾何学的分割(GEO)における分離線(分割境界)を、角度(α又はφi)と距離(ρ又はρi)によって記述し、距離(ρ又はρi)は、ブロックの中心に対する分離線までの変位を表すこと、が共通して記載されているといえる。 したがって、「幾何学的分割(GEO)における分離線(分割境界)を、角度(α又はφi)と距離(ρ又はρi)によって記述し、距離(ρ又はρi)は、ブロックの中心に対する分離線までの変位を表すこと」は周知技術(周知技術2)である、といえる。 第6 対比及び判断 本願発明と上記引用発明とを対比する。 (1)構成Aについて 本願発明の構成Aにおける「コーディングの方法」は、「復号デバイスによって実施される」から、デコーディング、すなわち復号化、の方法を意味することが明らかである。 一方、引用発明の構成aにおける「復号化処理方法」は、復号デバイスによって実施されることが自明である。 したがって、本願発明の構成Aと、引用発明の構成aは、「復号デバイスによって実施されるコーディングの方法」である点、で一致する。 (2)構成B、及びAについて 引用発明の構成dにおける式(1048)によれば、現在の符号化ブロック内の予測サンプル値pbSamples[ x ][ y ]は、変数wValueを用いて導出され、また、同じく式(1047)によれば、変数wValueは、変数weightIdxLを用いて導出され、さらに、同じく式(1046)によれば、変数weightIdxLは、変数weightIdxを用いて導出され、その上、同じく式(1045)によれば、変数weightIdxは、変数offsetX及びoffsetYを用いて導出され、加えて、同じく式(1039)~(1042)によれば、変数offsetX及びoffsetYは、変数angleIdx及びdistanceIdxを用いて導出される。 そして、引用発明の構成cによれば、「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定され、ここで、(xCb, yCb)は、現在のピクチャの左上サンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置を示」すものとされ、また、引用発明の構成bによれば、「ビットストリームのシンタックスはmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含み、配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上サンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上サンプルの位置( x0, y0 )を指定するものであ」る。 そうすると、引用発明の「復号化処理方法」において、現在のピクチャの左上サンプルに対する現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定する位置(xCb, yCb)に対応する、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値を得るために、当該値を含む「ビットストリーム」を取得することは、明らかである。 したがって、本願発明の構成B、及びAと、引用発明の構成a~dは、「ビットストリームを取得するステップ」を有する点、で一致する。 (3)構成C、及びAについて 引用発明の構成cによれば、「表36は、merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定を示」すから、「merge_gpm_partition_idx」は、表36のうちの特定項目を指示するインジケータであるといえる。 また、同構成cによれば、「(xCb, yCb)は、現在のピクチャの左上サンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置を示」すから、構成cにおける「merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値」は、本願発明の構成Cにおける「現在のブロックに対するインジケータの値」に相当する。 そして、上記(2)で説示したとおり、引用発明では、ビットストリームから、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値を得て、表36で指定されるように、幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxを設定するものであるから、引用発明の「復号化処理方法」において、ビットストリームから、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値(現在のブロックに対するインジケータの値)を取得することは、明らかである。 したがって、本願発明の構成C、及びAと、引用発明の構成a、及びcは、「前記ビットストリームに従って現在のブロックに対するインジケータの値を取得するステップ」を有する点、で一致する。 (4)構成D、及びAについて ア 引用発明の構成cによれば、「表36は、merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定を示」すから、「表36」は、本願発明の構成Dにおける「あらかじめ定められたルックアップテーブル」に相当する。 また、上記(3)で説示したとおり、引用発明の構成cにおける「merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値」は、本願発明の構成Cにおける「現在のブロックに対するインジケータの値」に相当するから、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定される「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdx」は、「現在のブロックに対する」変数、すなわちパラメータ、の値であるといえる。 イ 上記「第5」の(3)で説示したとおり、「幾何学的分割モード(GPM)が使用される場合、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の分割の角度とオフセットのパラメータから数学的に導かれ、幾何学的分割モードが現在のCUに使用される場合、幾何学的分割の分割モード(角度とオフセット)を示す幾何学的分割インデックスがシグナリングされ」ることは、多目的ビデオコーディングにおける周知技術(周知技術1)である。 一方、引用発明は、幾何学的分割モードのための復号化処理方法であって(構成a)、ビットストリームのシンタックスはmerge_gpm_partition_idx[ x0 ][ y0 ]を含み、配列インデックス x0, y0 は、ピクチャの左上サンプルに対する、考慮される符号化ブロックの左上サンプルの位置( x0, y0 )を指定するものであり(構成b)、幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx及び距離変数distanceIdxは、表36で指定されるように、merge_gpm_partition_idx[ xCb ][ yCb ]の値に従って設定され、ここで、(xCb, yCb)は、現在のピクチャの左上サンプルに対する、現在の符号化ブロックの左上サンプルを指定するルーマ位置を示し、また、表36は、merge_gpm_partition_idxに基づくangleIdx及びdistanceIdxの指定を示すものである(構成c)。 そして、引用発明の「幾何学的分割モードのための復号化処理方法」が、周知技術1における「幾何学的分割モード(GPM)が使用される場合」に相当することは明らかである。そうすると、引用発明の「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx」、「幾何学的分割モードの・・・距離変数distanceIdx」、及び「merge_gpm_partition_idx」は、周知技術1における「特定の分割の角度・・・のパラメータ」、「特定の分割の・・・オフセットのパラメータ」、及び「幾何学的分割インデックス」に相当し、引用発明においては、周知技術1と同様に、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdxと距離変数distanceIdxから数学的に導かれ、幾何学的分割モードが現在のCUに使用される場合、幾何学的分割の分割モード(角度とオフセット)を示すmerge_gpm_partition_idxがシグナリングされると解される。 ウ 本願発明の構成Dにおける「第1のパラメータ」は、「分離線が、コーディングブロックを2つのサブブロックに分割するために使用され、前記第1のパラメータが、前記現在のブロックの区分のための前記分離線の角度を表」す(構成E)ものであり、一方、引用発明においては、上記イで説示したとおり、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdxと距離変数distanceIdxから数学的に導かれると解される。 ここで、CUは、Coding Unitの略称であって、符号化ブロック、又はコーディングブロック等とも呼ばれることは当業者にとって自明であるから、引用発明において、分割線(分離線)が、CU(コーディングブロック)を2つの部分(サブブロック)に分割するために使用され、幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdxが、現在のCU(ブロック)の区分のための前記分割線の角度を表すといえる。 そうすると、引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx」は、本願発明の構成Dにおける「前記現在のブロックに対する第1のパラメータ」に相当する、といえる。 エ 本願発明の構成Dにおける「第2のパラメータ」は、「前記第2のパラメータが、前記分離線から前記現在のブロックの中心までの距離を記述する」(構成E)ものであり、一方、引用発明においては、上記イで説示したとおり、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdxと距離変数distanceIdxから数学的に導かれると解される。 ここで、上記「第5」の(4)で説示したとおり、「幾何学的分割(GEO)における分離線(分割境界)を、角度(α又はφi)と距離(ρ又はρi)によって記述し、距離(ρ又はρi)は、ブロックの中心に対する分離線までの変位を表すこと」は周知技術(周知技術2)であるから、引用発明における「幾何学的分割モードの距離変数distanceIdx」もまた、ブロックの中心に対する分離線までの変位を表すといえる。 そうすると、引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの距離変数distanceIdx」は、本願発明の構成Dにおける「前記現在のブロックに対する第2のパラメータ」に相当する、といえる。 オ したがって、本願発明の構成D、及びAと、引用発明の構成a、及びcは、「前記インジケータの値およびあらかじめ定められたルックアップテーブルに従って、前記現在のブロックに対する第1のパラメータの値および前記現在のブロックに対する第2のパラメータの値を取得するステップ」を有する点、で一致する。 (5)構成E、及びAについて ア 本願発明の実施形態における「サンプル距離の値」について 本願発明の構成Eでは、「サンプル距離の値」について、「前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値」であること、及び「前記サンプル距離の値が、前記サンプルから分離線までの距離を表」すこと、を特定している。 一方、本願の明細書の段落0212~0248には、「実施形態1(デコーダの観点)」(段落0207)に関して、以下の記載がある。 「【0212】 ステップ2: インジケータの値およびあらかじめ定められたルックアップテーブルに基づいて、第1のパラメータの値および第2のパラメータの値を取得する。 (パラメータ1,パラメータ2)=lookupTable(インジケータ) 【0213】 ある実施形態では、幾何学的区分モードの区分角度変数angleIdx(パラメータ1)および距離変数distanceIdx(パラメータ2)は、以下のテーブルにおいて指定されるようなmerge_gpm_partition_idx[xCb][yCb](インジケータ)の値に従って設定される。実装形態では、この関係は、table 1(表4)に従って、または関数に従って実装され得ることが理解され得る。 【0214】 【表4】 [図:0001418744000040.jpg] 【0215】 ステップ3:現在の復号ブロックの中のサンプルに対して、第1のパラメータの値および第2のパラメータの値に従って、サンプル距離(sample_dist)が計算される。 (中略) 【0234】 table 3(表6)において指定されるアレイdisLutは次の通りである。 【0235】 【表6】 [図:0001418744000041.jpg] 【0236】 別の実施形態において、ある例では、上の実施形態のステップ3は、次のステップを含む。 【0237】 ステップ3.1:現在のブロックに対する角度パラメータの値(alphaNまたはangleIdx)、距離インデックスの値(distanceIdx)、現在のブロックの幅の値(W)、現在のブロックの高さの値(H)を取得する。WおよびHは、サンプルの数を単位とする現在のブロックの幅および高さである。たとえば、幅と高さがともに8に等しいコーディングブロックは、64個のサンプルを含む正方形ブロックである。別の例では、WおよびHは、ルマサンプルの数を単位とする現在のブロックの幅および高さである。角度パラメータのインデックス値は、上記の説明に従って取得されtable 1(表4)を参照し得る。 【0238】 ステップ3.2:Wの値およびHの値に従って比whRatioの値を取得し、whRatioの値は、現在のコーディングブロックの幅と高さの比を表す。 【0239】 ある例では、whRatio=H/W、またはwhRatio=W/Hである。 【0240】 別の例では、2つの変数nCbWおよびnCbHは現在のコーディングブロックの幅と高さを指定し、変数cIdxは色成分インデックスを指定する。 【0241】 変数nW、nH、およびwhRatioは次のように導かれる。 nW=(cIdx==0)?nCbW:nCbW*SubWidthC nH=(cIdx==0)?nCbH:nCbH*SubHeightC whRatio=nH/nW 【0242】 ステップ3.3:ルックアップテーブルに従ってshiftHor値を取得し、alphaの値およびwhRatioの値、ある例では、alphaNの値およびwhRatioの値は、ルックアップテーブルのインデックス値として使用される。ある例では、shiftHor値は、サンプル距離計算プロセスに対する量子化ステップサイズを表す。shiftHor値もある関数に従って取得されてもよく、alpha(alphaNまたはangleIdx)の値およびwhRatioの値は関数への入力であり、shiftHor値は関数の出力である。ある例では、関数の結果は、ルックアップテーブルと同様または同じである。ある例では、shiftHor値は、サンプル距離計算プロセスに対する量子化ステップサイズを表す。 【0243】 別の例では、関数は、shiftHor=(angleIdx%16==8||(angleIdx%16!=0whRatio0))?0:1によって表され得る。 【0244】 ステップ3.4:sample_distの値が、shiftHor値、distanceIdxの値、角度の値(alphaNまたはangleIdx)、Wの値、およびHの値に従って計算される。 【0245】 ある例では、サンプル距離(sample_dist)を計算するために、まず、変数offsetXおよびoffsetYは次のように導かれる。 【0246】 shiftHorが0に等しい場合、次のことが当てはまる。 offsetX=(-nW)>>1 offsetY=((-nH)>>1)+ (angleIdx<16?(distanceIdx*nH)>>3:-((distanceIdx*nH)>>3)) それ以外の場合(shiftHorが1に等しい)、次のことが当てはまる。 offsetX=((-nW)>>1)+ (angleIdx<16?(distanceIdx*nW)>>3:-((distanceIdx*nW)>>3)) offsetY=(-nH)>>1 - 変数xLおよびyLは次のように導かれる。 xL=(cIdx==0)?x:x*SubWidthC yL=(cIdx==0)?y:y*SubHeightC sample_dist=(((xL+offsetX)<<1)+1)*disLut[displacementX]+ (((yL+offsetY)<<1)+1))*disLut[displacementY] 【0247】 変数displacementXおよびdisplacementYは次のように導かれる。 hwRatio=cbHeight/cbWidth displacementX=angleIdx displacementY=(angleIdx+8)%32 【0248】 アレイdisLutは上のtable 3(表6)において指定される。」 また、当該「実施形態1(デコーダの観点)」において「サンプル距離(sample_dist)」を計算するための前提となる段落0214の「表4」は、本願発明の構成Eにおいて「サンプル距離の値」を取得するための前提となる構成Gの「表1」と同一である。 そうすると、本願の明細書の段落0245及び0246に記載された、 「sample_dist=(((xL+offsetX)<<1)+1)*disLut[displacementX]+ (((yL+offsetY)<<1)+1))*disLut[displacementY]」 で定義される「サンプル距離(sample_dist)」は、本願発明の構成Eにおける「前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値」であって「前記サンプルから分離線までの距離を表」す「サンプル距離の値」に相当する、と解される。 イ 引用発明の構成dについて 引用発明の構成dにおける変数weightIdxは、式(1045)により以下のとおり定義されている。 「weightIdx = ( ( ( xL + offsetX ) << 1 ) + 1 ) * disLut[ displacementX ] + ( ( ( yL + offsetY ) << 1 ) + 1 ) ) * disLut[ displacementY ]」 ここで、引用発明の式(1045)の前提となる「表36」は、本願の明細書の段落0214の「表4」の記載内容と一致しており、また、式(1030)、(1031)、及び(1034)は、本願の明細書の段落0241の記載内容と一致しており、さらに、式(1035)及び式(1036)は、本願の明細書の段落0247の記載内容と一致しており、その上、式(1038)は、本願の明細書の段落0243の記載内容と一致しており、加えて、式(1039)~(1044)は、本願の明細書の段落0246の記載内容と一致しており、また、式(1039)~(1044)は、本願の明細書の段落0246の記載内容と一致しており、さらに、「表37」は、本願の明細書の段落0235の「表6」の記載内容と一致している。 そうすると、引用発明の式(1045)の右辺と、本願の明細書の段落0246に記載された「sample_dist」の式の右辺は、変数の名称が異なるものの実質的には等しいといえる。 したがって、引用発明の式(1045)で導出される変数weightIdxの値は、本願の明細書に記載された実施形態における「sample_dist」の値と同様に、本願発明の構成Eにおける「前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値」に相当する、といえる。 ウ 引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx」が本願発明の構成Dの「前記現在のブロックに対する第1のパラメータ」に相当し、また、引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの・・・距離変数distanceIdx」が本願発明の構成Dの「前記現在のブロックに対する第2のパラメータ」に相当することは、上記(4)で説示したとおりである。 また、上記(4)及び上記イを考慮すると、引用発明において、式(1035)、(1036)、及び(1038)~(1045)に従って変数weightIdx(サンプル距離の値)を導出することは、本願発明の構成Eの「前記第1のパラメータの値および前記第2のパラメータの値に従って、前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値を取得するステップであって、前記サンプル距離の値が、前記サンプルから分離線までの距離を表し、前記分離線が、コーディングブロックを2つのサブブロックに分割するために使用され」ることに相当する、といえる。 エ 構成構成E、及びAについてについてのまとめ したがって、本願発明の構成E、及びAと、引用発明の構成a、c、及びdは、「前記第1のパラメータの値および前記第2のパラメータの値に従って、前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値を取得するステップであって、前記サンプル距離の値が、前記サンプルから分離線までの距離を表し、前記分離線が、コーディングブロックを2つのサブブロックに分割するために使用され、前記第1のパラメータが、前記現在のブロックの区分のための前記分離線の角度を表し、前記第2のパラメータが、前記分離線から前記現在のブロックの中心までの距離を記述する、ステップ」を有する点、で一致する。 (6)構成F、F1、F2、及びAについて ア 構成F、及びF1について 引用発明の式(1045)で導出される変数「weightIdx」の値が、本願発明の構成Eにおける「前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値」に相当することは、上記(5)のイで説示したとおりである。 さらに、引用発明の式(1046)及び(1047)によれば、変数「weightIdx」(サンプル距離の値)に基づいて変数weightIdxLが導出され、その上、当該weightIdxLに基づいて、「現在の符号化ブロック内の予測サンプルの重みを指定する変数wValue」が導出されるから、「変数wValue」は、変数「weightIdx」(サンプル距離の値)に従って導出されるといえる。 加えて、引用発明において「幾何学的分割モードのための重み付けサンプル予測処理の出力」である「現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamples」を導出する式(1048)は、「予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」の重み付け加算を含むと解される。 ここで、上記「第5」の(3)で説示した、「幾何学的分割モード(GPM)が使用される場合、CUは幾何学的に配置された直線によって2つの部分に分割され、分割線の位置は、特定の分割の角度とオフセットのパラメータから数学的に導かれ、・・・幾何学的分割の各部分を予測した後、適応的な重みを有するブレンディング処理を使用して、幾何学的分割エッジに沿ったサンプル値が調整される。」という周知技術(周知技術1)を考慮すると、「幾何学的分割モードのための復号化処理方法」(構成a)である引用発明における「予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」は、CU(符号化ブロック)を分割線で2つの部分(サブブロック)に分割したうちの一方の部分(サブブロック)、及び他方の部分(サブブロック)に対応する、といえる。 そうすると、引用発明における「変数wValue」は、配列predSamplesLA[ x ][ y ] に対する重み係数であり、また、「( 8 - wValue )」は、配列predSamplesLB[ x ][ y ] に対する重み係数であるといえ、そして、引用発明では、式(1047)において前記「変数wValue」を計算しており、さらに、式(1048)において前記「( 8 - wValue )」を計算している。 したがって、本願発明の構成F、及びF1と、引用発明の構成dは、「前記サンプル距離の値に従って、前記2つのサブブロックに対応する2つの重み係数を計算するステップ」を含む点、で一致する。 イ 構成F、及びF2について 本願発明の構成F2における「前記サンプルに対する前記予測値」は、「前記現在のブロックに位置するサンプル」(構成E)「に対する前記予測値」を指すことが明らかであるから、引用発明の構成dにおける「現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamples」は、本願発明の構成F2における「前記サンプルに対する前記予測値」に相当する。 また、引用発明の構成dにおける「予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」が「符号化ブロック」を分割線で2つのサブブロックに分割したうちの一方のサブブロック、及び他方のサブブロックに対応することは、上記アで説示したとおりである。 さらに、本願発明の構成F2では、「第1のサブブロック」と「第2のサブブロック」が、同一の「コーディングブロック」から分割された「2つのサブブロック」(構成E)のうち、互いに異なるサブブロックであることは特定しているが、「第1の予測モード」と「第2の予測モード」の具体的内容は特定していない。 そうすると、引用発明の構成dにおける「予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」は、それぞれ本願発明の構成F2における「第1の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第1のサブブロックに対する第1の予測値」、及び「第2の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第2のサブブロックに対する第2の予測値」に相当するか、あるいは、それぞれ本願発明の構成F2における「第2の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第2のサブブロックに対する第2の予測値」、及び「第1の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第1のサブブロックに対する第1の予測値」に相当する。 そして、いずれにしても、引用発明は、構成dの式(1048)のとおり、「予測されたサンプル値の2つの(nCbW)x(nCbH)配列predSamplesLA及びpredSamplesLB」(前記「第1の予測値」及び前記「第2の予測値」)、並びに前記「変数wValue」及び「( 8 - wValue )」(2つの重み係数)に従って、「現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamples」(前記サンプルに対する予測値)を導出している。 したがって、本願発明の構成F、及びF2と、引用発明の構成dは、「第1の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第1のサブブロックに対する第1の予測値、第2の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第2のサブブロックに対する第2の予測値、および前記2つの重み係数に従って、前記サンプルに対する前記予測値を取得するステップ」を含む点、で一致する。 ウ 構成F、F1、F2、及びAについてのまとめ 上記ア及びイをまとめると、引用発明の構成dでは、式(1046)~(1048)のとおり、「weightIdx」の値(前記現在のブロックに位置するサンプルに対するサンプル距離の値)に従って、「現在の符号化ブロック内の予測サンプル値の(nCbW)x(nCbH)配列pbSamples」(前記サンプルに対する予測値)を導出している。 したがって、本願発明の構成F、F1、F2、及びAと、引用発明の構成a、及びdは、 「前記サンプルに対する前記サンプル距離の値に従って、前記サンプルに対する予測値を取得するステップ」を有し、 「前記サンプルに対する前記サンプル距離の値に従って、前記サンプルに対する予測値を取得する前記ステップが、 前記サンプル距離の値に従って、前記2つのサブブロックに対応する2つの重み係数を計算するステップと、 第1の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第1のサブブロックに対する第1の予測値、第2の予測モードに基づく前記2つのサブブロックのうちの第2のサブブロックに対する第2の予測値、および前記2つの重み係数に従って、前記サンプルに対する前記予測値を取得するステップ」を含む点、で一致する。 (7)構成Gについて 引用発明の構成cにおける「表36」が本願発明の構成Dにおける「あらかじめ定められたルックアップテーブル」に相当することは、上記(4)で説示したとおりであり、また、「表36」は、本願発明の構成Gにおける「表1」と同一である。 さらに、引用発明の構成cにおける「merge_gpm_partition_idx」がインジケータであることは、上記(3)で説示したとおりである。 その上、引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの分割角度変数angleIdx」が本願発明の構成Dの「前記現在のブロックに対する第1のパラメータ」に相当し、また、引用発明の構成cの「幾何学的分割モードの・・・距離変数distanceIdx」が本願発明の構成Dの「前記現在のブロックに対する第2のパラメータ」に相当することは、上記(4)で説示したとおりである。 したがって、本願発明の構成Gと、引用発明の構成cは、「前記あらかじめ定められたルックアップテーブルが、 【表1】 [図:0001418744000042.jpg] であり、前記インジケータがmerge_gpm_partition_idxであり、前記第1のパラメータがangleIdxであり、前記第2のパラメータがdistanceIdxである」点、で一致する。 (8) 上記(1)~(7)を総合すると、本願発明と引用発明は、全ての構成で一致し、相違しない。 よって、本願発明は、引用発明である。 また、本願発明と引用発明が、上記構成A~Gの一部の点について仮に相違するとしても、引用発明において、当該相違点のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであるから、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9) まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるか、又は引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (10) 審判請求人の主張について ア (ア) 審判請求人は、審判請求書の「本願発明が特許されるべき理由」の「3.本願の優先権について」において、以下のとおり主張している。 「審判請求人は、本願の請求項1の「表1」及び請求項5の「表2」は、PCT/EP2019/066432(以下「優先基礎出願」と称します。)の明細書等から導出し得るものと思料いたします。 特に、本願の「表1」及び「表2」は、優先基礎出願の明細書等に記載された一定の規則に従って構成されているものと思料いたします。 詳細には、優先基礎出願の第32頁第29行~第33頁第行には以下の記載があります。 「Construction of the lookup table: According to one example, a value range for the first parameter may between 0 and 4K-1, where K is an integer that is greater than 0; a value range for the second parameter may between 0 to N. In this case, the rows of the said lookup table may includes all combinations of the first parameter and the second parameter except for the combinations: - First set of pairs: a value of second parameter is equal to 0 and a value of first parameter is equal to one of {0, K, 2K, 3K}. - Second set of pairs: a value of second parameter = 0, a value of first parameter equal to one of {K/2, 3K/2, 5K/2, 7K/2}. - Third set of parameters: a value of second parameter = 0, a value of first parameter greater than or equal to 2K.」 これは、本願明細書の段落[0271]の以下の記載に対応します。 「ルックアップテーブルの構築 一例によれば、第1のパラメータの値の範囲は0から4K-1であってもよく、Kは0以上の整数である。第2のパラメータの値の範囲は0からNであってもよい。この場合、前記ルックアップテーブルの行は、以下の組合せを除き、第1のパラメータと第2のパラメータのすべての組合せを含み得る。 ・ペアの第1のセット:第2のパラメータの値は0に等しく、第1のパラメータの値は{0,K,2K,3K}のうちの1つに等しい。 ・ペアの第2のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は{K/2,3K/2,5K/2,7K/2}のうちの1つに等しい。 ・パラメータの第3のセット:第2のパラメータの値=0であり、第1のパラメータの値は2K以上である。」 これと同様に、本願の「表1」及び「表2」は、K=8、N=4のとき、以下の組合せを除き、第1のパラメータと第2のパラメータのすべての組合せを含むように構成されています。 ・ペアの第1のセット:第2のパラメータの値は{0,2}のうちの1つに等しく、第1のパラメータの値は{0,K,2K,3K}のうちの1つに等しい。 ・ペアの第2のセット:第2のパラメータの値は0に等しく、第1のパラメータの値は2K以上である。 ・ペアの第3のセット:第2のパラメータの値はNに等しい。 ・ペアの第4のセット:第1のパラメータの値は{0+1,K-2,K-1,K+,K+2,2K-1,2K+1,3K-2,3K-1,3K+1,3K+2,4K-1}のうちの1つに等しい。 このうち、例えば、「ペアの第1のセット」は、さらなる二分木を用いたコーディングブロックの二値の区分(すなわち、四分木による区分)によっても達成され得るので除外されています。 これは、優先基礎出願の第33頁第16~18行の「The first set of pairs are excluded from the lookup table as this would create a redundant partition, that can also be achieved by binary (meaning into two) partitioning of a coding block with binary tree.」との記載(本願明細書の段落[0274]の「ペアの第1のセットは、冗長な区分を作り出すのでルックアップテーブルから除去され、この冗長な区分は、二分木を用いたコーディングブロックの二値の(2つへのを意味する)区分によっても達成され得る。」との記載に対応します。)、優先基礎出願の第15頁第1~4行の「In other words, the partitioning unit 262 may be configured to partition the block 203 into smaller block partitions or sub-blocks (which form again blocks), e.g. iteratively using quad-tree-partitioning (QT), binary partitioning (BT) or triple-tree-partitioning (TT) or any combination thereof, and …」との記載(本願明細書の段落[0132]の「言い換えると、区分ユニット262は、たとえば、四分木区分(QT)、二分木区分(BT)、もしくは三分木区分(TT)、またはこれらの任意の組合せを繰り返し使用して、ブロック203をより小さいブロック区分またはサブブロック(これが再びブロックを形成する)へと区分し、・・・」との記載に対応します。)等に基づきます。 また、「ペアの第3のセット」は、1つのブロックから区分される2つのサブブロックのうちの一方が小さくなり過ぎることから除外されています。 これは、優先基礎出願の第34頁第18~20行の「When the second parameter is equal to N, one subblock is smaller than the other subblock. It is less likely to select such a partition (compared to cases where the number of samples in each subblock is more similar).」との記載(本願明細書の段落[0281]の「第2のパラメータがNに等しいとき、一方のサブブロックは他方のサブブロックより小さい。(各サブブロックの中のサンプルの数がより似ている場合と比較して)そのような区分を選択する可能性はより低い。」との記載に対応します。)等に基づきます。 すなわち、これらペアの除外はすべて、優先基礎出願の第30頁第1~2行の「The table contains partitioning parameters that are more likely and that include enough variation.」との記載(本願明細書の段落[0205]の「テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる」との記載に対応します。)等に基づきます。 以上のことから、審判請求人は、本願の請求項1の「表1」及び請求項5の「表2」は、優先基礎出願の明細書等から導出し得るものであり、当該優先基礎出願に基づく優先権の主張は有効であるものと思料いたします。 よって、本願の各請求項に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、優先日である2019年6月21日となります。」(審判請求書7ページ下から4行~9ページ下から5行) (イ) また、審判請求人は、審判請求書の「本願発明が特許されるべき理由」の「4.理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について」、及び令和5年12月25日に提出された上申書の「上申の内容」(特に6ページ下から13~9行)において、以下のとおり主張している。 「本願についてのPCT/EP2019/066432(出願日:2019年6月21日)に基づく優先権の主張は有効であると思料いたしますので、本願に係る発明は、2020年3月12日に利用可能となった引用文献1を引例とする理由1、2の拒絶理由を有しません。」(審判請求書10ページ下から3行~11ページ1行) (ウ) さらに、審判請求人は、令和5年12月25日に提出された上申書の「上申の内容」において、以下のとおり主張している。下線は強調のために当審で付したものである。 「請求人は、「表1」及び「表2」中の値をすべて説明する表を作成しました。 表の左側の160の組合せが、冗長なペアを除外していないバージョンです。 具体的には、K=8、N=4の場合に、パラメータ「angleIdx」は、0から4K-1の32の値をとり、パラメータ「distanceIdx」は、0からNの5つの値をとり、パラメータ「merge_gpm_partition_idx」は、32×5の160の値をとります。 そして、表の右側の64の組合せが、「表1」及び「表2」に対応します。 冗長なペアであるとして除外されたものは、暗く塗りつぶされています。 【表1A】 [図:0001418744000043.jpg] 【表1B】 [図:0001418744000044.jpg] 【表1C】 [図:0001418744000045.jpg] 【表1D】 [図:0001418744000046.jpg] 【表1E】 [図:0001418744000047.jpg] 【表1F】 [図:0001418744000048.jpg] 表中、除外されたペアの説明として、「二分木で達成可能なため」との記載は、PCT/EP2019/066432(以下「優先基礎出願」と称します。)の第33頁第12~21行の「In some embodiments, the second parameter describes a distance of the separation line to the center of a coding block. If a value of the second parameter is zero, this means that the separation line passes through the center of the coding block. If a value of the first parameter is equal to K, this means that the separation line is either horizontally or vertically oriented (angle value is equal to 0, 90, 270 or 360 degrees). The first set of pairs are excluded from the lookup table as this would create a redundant partition, that can also be achieved by binary (meaning into two) partitioning of a coding block with binary tree. The binary splitting is a mechanism in that partitions a coding block into equal sized 2 coding blocks along the vertical or horizontal axis (and not into subblocks). Therefore according to embodiments of the present invention, the First set of pairs are excluded from the lookup table.」との記載(本願明細書の段落[0274]の「いくつかの実施形態では、第2のパラメータは、分離線からコーディングブロックの中心までの距離を記述する。第2のパラメータの値が0である場合、これは、分離線がコーディングブロックの中心を通ることを意味する。第1のパラメータの値がKに等しい場合、これは、分離線が水平の向きまたは垂直の向きのいずれかである(角度値が0、90、270、または360度に等しい)ことを意味する。ペアの第1のセットは、冗長な区分を作り出すのでルックアップテーブルから除去され、この冗長な区分は、二分木を用いたコーディングブロックの二値の(2つへのを意味する)区分によっても達成され得る。二値の分割は、垂直軸または水平軸に沿って、コーディングブロックを等しいサイズの2つのコーディングブロックへと区分する(そしてサブブロックには区分しない)機構である。したがって、本発明の実施形態によれば、ペアの第1のセットがルックアップテーブルから除去される」との記載に対応します。)に基づきます。 「四分木で達成可能なため」との記載は、優先基礎出願の第15頁第1~7行の「In other words, the partitioning unit 262 may be configured to partition the block 203 into smaller block partitions or sub-blocks (which form again blocks), e.g. iteratively using quad-tree-partitioning (QT), binary partitioning (BT) or triple-tree-partitioning (TT) or any combination thereof, and to perform, e.g., the prediction for each of the block partitions or sub-blocks, wherein the mode selection comprises the selection of the tree-structure of the partitioned block 203 and the prediction modes are applied to each of the block partitions or sub-blocks.」との記載(本願明細書の段落[0132]の「言い換えると、区分ユニット262は、たとえば、四分木区分(QT)、二分木区分(BT)、もしくは三分木区分(TT)、またはこれらの任意の組合せを繰り返し使用して、ブロック203をより小さいブロック区分またはサブブロック(これが再びブロックを形成する)へと区分し、たとえば、ブロック区分またはサブブロックの各々に対する予測を実行するように構成されてもよく、モード選択は区分されたブロック203の木構造の選択を含み、予測モードはブロック区分またはサブブロックの各々に適用される」との記載に対応します。)等に基づきます。 「一方のブロックが小さくなりすぎるため」との記載は、優先基礎出願の第33頁第32行~第34頁第4行の「In some embodiments, the above pairs might be excluded from the lookup table since they create 2 subblocks, one of which might be too small. If a value of the first parameter is equal to K/2, 3k/2, …, this means that the angle of the separation line is 45 degrees, 135 degrees, 225 degrees or 315 degrees. If a value of the second parameter is equal to N (which is the highest value), then one of the subblocks would comprise a small part of one corner of the coding block, which would be too small for the division operation.」との記載(本願明細書の段落[0278]の「いくつかの実施形態では、上記のペアがルックアップテーブルから除去されてもよく、それは、それらのペアが、そのうちの1つがあまりにも小さい可能性のある2つのサブブロックを作り出すからである。第1のパラメータの値がK/2、3k/2、…、に等しい場合、これは、分離線の角度が45度、135度、225度、または315度であることを意味する。第2のパラメータの値がN(これは最高の値である)に等しい場合、サブブロックのうちの1つがコーディングブロックの1つの角の小さい部分を含み、これは分割操作には小さすぎる」との記載に対応します。)等に基づきます。 「水平又は垂直との差が小さいので優先度が低いため」との記載は、優先基礎出願の第29頁第26行~第30頁第3行の「As there are many possibilities of dividing a coding block into 2 sub-blocks, the signaling (coding) of the division requires too many bits. And as the angle and distance values can have many different values, which require too much side information to be signaled in a bitstream. Embodiments of the present invention are about signalling of the partitioning parameters. The efficient coding is achieved by the following features: ・ Parameters (e.g. angle and distance) for partitioning of a block are stored in a predetermined table, such that the actual values of angle and distance do not need to be transmitted. ・ The table contains partitioning parameters that are more likely and that include enough variation. ・ An index to the table is encoded into (or obtained from) a bitstream.」 との記載(本願明細書の段落[0204]~[0205]の「コーディングブロックを2つのサブブロックに分割することには多くの可能性があるので、分割のシグナリング(コーディング)はあまりにも多くのビットを必要とする。そして、角度および距離の値は多くの異なる値を有し得るので、ビットストリームにおいてあまりにも多くのサイド情報がシグナリングされなければならない。 本発明の実施形態は、区分パラメータのシグナリングについてのものである。効率的なコーディングが、次の特徴によって達成される。 ・角度と距離の実際の値が送信される必要がないように、ブロックの区分のためのパラメータ(たとえば、角度および距離)が所定のテーブルに記憶される ・テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる ・テーブルに対するインデックスがビットストリームへと符号化される(またはそれから取得される)」との記載に対応します。)等に基づきます。 「angleIdx=xの場合と同一の区分が作り出されるため」との記載は、優先基礎出願の第33頁第25~26行の「The third set of pairs are excluded from the table as when the angle is equal to X or X+180, identical partitions would be created if the second parameter is equal to zero.」との記載(本願明細書の段落[0276]の「角度がXまたはX+180に等しいとき、第2のパラメータが0に等しい場合には同一の区分が作り出されるので、ペアの第3のセットがテーブルから除去される」との記載に対応します。)等に基づきます。 そして「表1及び表2のmerge_gpm_partition_idxの値」は、上記の組合せを除外した残りの組合せに付された連続する番号です。 以上のことから、請求人は、本願の請求項1の「表1」及び請求項5の「表2」は、優先基礎出願の明細書等から導出し得るものであり、当該優先基礎出願に基づく優先権の主張は有効であるものと思料いたします。 よって、本願の各請求項に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、優先日である2019年6月21日となります。」(上申書1ページ下から7行~6ページ下から14行) イ 請求人の上記主張について検討する。 (ア) 上記アの(ア)及び(ウ)における請求人の主張を総合しても、上記「第4」の(4)で説示した不備は解消されない。 すなわち、本願発明の構成Gにおける「表1」では、(angleIdx,distanceIdx) = {(6,0), (6,1), (6,2), (6,3), (7,0), (7,1), (7,2), (7,3),(中略), (25,1), (25,2), (25,3), (26,1), (26,2), (26,3), (31,1), (31,2), (31,3)}のペアのセットを含まないのに対して、優先基礎出願の「表1」では、当該ペアのセットを含んでいる。そして、ルックアップテーブルから、当該ペアのセットを選んで除去することは、優先基礎出願には記載も示唆もされておらず、また、当該選択的に除去することが当業者にとって自明であると認めるに足りる根拠は見当たらない。 この点について、上記アの「表1B」、「表1E」、及び「表1F」を参照すると、前記(angleIdx,distanceIdx) = {(6,0), (6,1), (6,2), (6,3), (7,0), (7,1), (7,2), (7,3),(中略), (25,1), (25,2), (25,3), (26,1), (26,2), (26,3), (31,1), (31,2), (31,3)}のペアに対応する「除外の理由」欄には、「水平又は垂直との差が小さく優先度が低いため」と記載されている。 そして、請求人は、上記アにおいて、 「水平又は垂直との差が小さいので優先度が低いため」との記載は、優先基礎出願の第29頁第26行~第30頁第3行の(中略) との記載(本願明細書の段落[0204]~[0205]の「コーディングブロックを2つのサブブロックに分割することには多くの可能性があるので、分割のシグナリング(コーディング)はあまりにも多くのビットを必要とする。そして、角度および距離の値は多くの異なる値を有し得るので、ビットストリームにおいてあまりにも多くのサイド情報がシグナリングされなければならない。 本発明の実施形態は、区分パラメータのシグナリングについてのものである。効率的なコーディングが、次の特徴によって達成される。 ・角度と距離の実際の値が送信される必要がないように、ブロックの区分のためのパラメータ(たとえば、角度および距離)が所定のテーブルに記憶される ・テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる ・テーブルに対するインデックスがビットストリームへと符号化される(またはそれから取得される)」との記載に対応します。)等に基づきます。」 と主張している。 しかしながら、請求人が主張の根拠とする優先基礎出願の第29頁第26行~第30頁第3行には、「効率的なコーディングが」、「テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる」等の「特徴によって達成される」ことは記載されているものの、「水平又は垂直との差が小さく優先度が低い」パラメータのペアをルックアップテーブルから除去することは、少なくとも明記されていない。 また仮に、「効率的なコーディングが」、「テーブルが、より可能性が高く十分な変種を含む区分パラメータを含んでいる」等の「特徴によって達成される」ことが、可能性が低いことを理由に優先度が低く設定されたパラメータのペアを除去することを意味していたとしても、「水平又は垂直との差が小さ」い分割線により分割することが「可能性が低い」ものであることは、優先基礎出願には記載も示唆もされていない。 さらに、「水平」とは「angleIdx」が0又は16に等しい場合を意味し、また、「垂直」とは「angleIdx」が8又は24に等しい場合を意味すると解されるところ、本願発明の構成Gの「表1」は、「垂直」(angleIdx=8)から2つ隣の(angleIdx,distanceIdx) = {(6,0), (6,1), (6,2), (6,3)}のペアを含まない一方、「水平」(angleIdx=0)から2つ隣の(angleIdx,distanceIdx) = {(2,0), (2,1), (2,2), (2,3)}を含んでいる。このように、優先基礎出願に記載された「表1」から、本願発明の構成Gにおける「表1」を導出するために、水平との差が小さいパラメータのペアと、垂直との差が小さいパラメータのペアとの間で、取捨選択の基準を異ならせることは、優先基礎出願には記載も示唆もされていない。 以上のとおりであるから、本願発明の構成Gにおける「表1」は、優先基礎出願に記載されたものではない。 したがって、本願発明についての、優先基礎出願(国際出願PCT/EP2019/066432)に基づく優先権主張は認められないから、請求人の当該主張は採用できない。 (イ) 上記アの(イ)における請求人の主張は、本願発明についての優先基礎出願に基づく優先権の主張が有効であることを前提としているが、上記(ア)で説示したとおり、優先権主張は認められず、本願発明に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、本願の国際出願日である2020年6月19日であるから、請求人の当該主張は採用できない。 ウ 請求人の主張についてのまとめ 以上のとおり、請求人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるか、又は引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-012198

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