特許拒絶査定不服審判
2023-010268
撮像モジュールと撮像モジュールを備える電子機器、及び撮像モジュールの製造方法
- 審判番号
- 2023-010268
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-115300
- 請求日
- 2023年06月21日
- 審決日
- 2024年08月22日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人信栄事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 松川 直樹
- 審判官 野村 伸雄
- 分類
- P18 .575-Z (G03B) / P18 .121-Z (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-115300号「撮像モジュールと撮像モジュールを備える電子機器、及び撮像モジュールの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年11月18日出願公開、特開2021-179621号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)8月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年(平成29年)8月5日(以下、この日付を「優先日」という。) 中国)を国際出願日とする出願(以下「原出願」という。)の一部を令和3年7月12日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
令和3年 7月12日 :手続補正書の提出
同年 7月14日 :上申書の提出
同年 8月10日 :手続補正書の提出
同年 8月20日 :上申書の提出
令和4年 7月 6日付け:拒絶理由通知書
同年10月12日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月19日付け:拒絶理由通知書
令和5年 1月25日 :意見書、手続補正書の提出
同年 2月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 6月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年6月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年6月21日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和5年6月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであって、本件補正前(令和5年1月25日にされた手続補正をいう。)の特許請求の範囲の請求項1及びそれに対応する本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
モールド感光素子であって、
回路基板と、
感光素子と、
前記感光素子と前記回路基板を導通可能に接続される少なくとも1つのリード線と、
前記回路基板と前記感光素子に一体成型され、且つ、光窓を形成し、前記光窓を通じて感光チップに光路を提供するモールドベースと、を備え、
前記回路基板は、1つの基板と少なくとも1つの電子部品を備え、前記電子部品は、前記基板に設置され、前記基板はブランク側を有し、前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品と前記リード線が設けられておらず、
前記モールド感光素子は、
前記感光素子の光路に保持されている光フィルタ素子と、
前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ、かつ、前記光フィルタ素子が前記感光素子の光路に保持されるように、前記モールドベースに組立てられる光フィルタ素子ミラーホルダーと、
前記光フィルタ素子ミラーホルダーから光軸方向に突起して上方に延伸し、内部に光学レンズを位置付けし、前記光学レンズを前記光フィルタ素子ミラーホルダーの上面に位置付け且つガイドして直接固定し、かつ、前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する位置決め突起と、
をさらに備える、ことを特徴とするモールド感光素子。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
モールド感光素子であって、
回路基板と、
感光素子と、
前記感光素子と前記回路基板を導通可能に接続される少なくとも1つのリード線と、
前記回路基板と前記感光素子に一体成型され、且つ、光窓を形成し、前記光窓を通じて感光チップに光路を提供するモールドベースと、を備え、
前記回路基板は、1つの基板と少なくとも1つの電子部品を備え、前記電子部品は、前記基板に設置され、前記基板はブランク側を有し、前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品と前記リード線が設けられておらず、
前記モールド感光素子は、
前記感光素子の光路に保持されている光フィルタ素子と、
前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ、かつ、前記光フィルタ素子が前記感光素子の光路に保持されるように、前記モールドベースに組立てられる光フィルタ素子ミラーホルダーと、
前記光フィルタ素子ミラーホルダーから光軸方向に突起して上方に延伸し、内部に光学レンズを位置付けし、前記光学レンズを前記光フィルタ素子ミラーホルダーの上面に位置付け且つガイドして直接固定し、かつ、前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する位置決め突起と、
をさらに備え、
前記光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さく、
前記光フィルタ素子ミラーホルダーは、前記モールドベースよりも良好なフレキシビリティーを有する、ことを特徴とするモールド感光素子。」
2 本件補正の適否についての当審の判断
(1) 本件補正の目的について
本件補正で請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1の光学レンズについて、「光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さ[い]」ものに限定する補正事項、及び、本件補正前の請求項1の光フィルタ素子ミラーホルダーについて、「光フィルタ素子ミラーホルダーは、前記モールドベースよりも良好なフレキシビリティーを有する」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正で請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
(2) 独立特許要件について
前記(1)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
ア 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
a 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された中国特許出願公開第106973210号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(なお、日本語訳は当合議体が作成した。下線は当合議体が付したものである。以下同じ。)。
(a) 発明の詳細な説明
「
[図:0001418709000001.jpg]
」
(日本語訳:[0001]本発明はカメラ技術分野に関し、具体的には樹脂封止ブラケット式小型カメラ装置およびその製作方法に関し、携帯電話またはノートパソコン等の分野において比較的好ましく応用することができる。)
「
[図:0001418709000002.jpg]
」
(日本語訳:[0027]図1、図2、図3、図4が示すように、回路基板1、感光チップ2、フィルタ3、ブラケット4及びレンズアセンブリ5を含み、前記感光チップは前記回路基板中央部に貼付され、前記感光チップ周辺の回路基板上には受動部品6及び感光チップを受動部品に接続するボンディングワイヤを有し、前記ブラケットはブラケット本体41及び前記ブラケット本体中央部に形成されている光通過穴42を含み、前記光通過穴周辺にはへこみ溝43が形成され、前記フィルタの周囲は前記光通過穴のへこみ溝内に貼付され、前記感光チップの非感光エリアには前記感光チップの感光エリアを包囲する環形つばが形成され、前記環形つば外の感光チップ及び回路基板上には、樹脂封止材料を通じて前記受動部品及びボンディングワイヤを覆う樹脂封止体8が形成され、前記樹脂封止体上側中央部には収容溝81が形成され、フィルタを備えるブラケットは前記収容溝内に貼付され、前記光通過穴は前記感光チップの感光エリアと向かい合い、前記レンズアセンブリは前記ブラケット及び前記樹脂封止体の上側に設置されている。このようにして、感光チップ周辺の非感光エリア周囲に接着剤を塗布して乾燥させ、環形つばを形成し、樹脂成型する場合に樹脂封止材料が感光チップ(CMOS Sensor)の感光エリアに侵入することを防ぐことができ、樹脂成型する場合に金型が感光チップ(CMOS Sensor)の感光エリアを圧迫して損傷させることを防ぐことができる。樹脂封止材料が形成する樹脂封止体を通じて、感光チップの非感光エリア及びその周辺の受動部品、ボンディングワイヤのすべてを埋め込み、一つの全体構造を形成し、従来のブラケットと回路基板との接続と比較して、ブラケットが占める空間を減らすことができるため、カメラモジュールの寸法を小さくする目的を達することができ、製品の信頼性を高めることができる。樹脂封止体の上側には収容溝が形成され、フィルタを貼付するブラケットを支持でき、比較的好ましく、ブラケットと樹脂封止体の表面が接近または平行になり、レンズアセンブリを設置しやすくなる。)
「
[図:0001418709000003.jpg]
」
(日本語訳:[0030]好ましくは、前記回路基板は硬性基板と軟性基板が結合した基板であり、前記硬性基板と軟性基板が結合した基板は、硬性レンズ基板部11、硬性コネクタ基板部12及びそれらの間にある中間軟性基板部13を含み、前記感光チップは前記硬性レンズ基板部上に貼付されている。)
「
[図:0001418709000004.jpg]
」
(日本語訳:[0037] 4)ステップ3後の回路基板を成形に用いる金型内に置くステップであって、当該金型は下金型及び上金型に分かれており、上金型中央部は凸プレートを有し、金型を合わせた後、前記凸プレートの中央部は前記環形つばを圧迫し、前記凸プレートのエッジは前記環形つばの一定距離だけ超過し、感光チップ上の環形つば及び凸プレート外の部分、回路基板上の受動部品及びボンディングワイヤを内部に収容する金型キャビティを形成し、さらに金型キャビティ内に樹脂封止材料を注入し、樹脂封止体を形成し、当該樹脂封止体は受動部品、ボンディングワイヤ、環形つば、感光チップ及び回路基板をあわせて埋め込んで1つの全体を形成し、前記樹脂封止体の上側中央部の凸プレートに対応する部分には収容溝が形成される。そのうち、回路基板が硬性基板と軟性基板が結合した基板である場合、型締めを行った後、上型の対応する硬性基板部と軟性基板部の接続エリアの位置には突出部分があり、樹脂成型を行う場合、この突出部分がRFPC(硬性基板と軟性基板が結合した基板)の硬性基板部で圧迫され、樹脂封止材料(エポキシ樹脂等)が軟性基板部に流入することを防ぐことができる。このようにして、樹脂封止材料を利用して、RFPCの硬性基板部の先端部周囲において、受動部品及びボンディングワイヤを埋め込んで、一つの全体を形成することができる。)
(b) 図
図1
「
[図:0001418709000005.jpg]
」
図2
「
[図:0001418709000006.jpg]
」
図3
「
[図:0001418709000007.jpg]
」
図4
「
[図:0001418709000008.jpg]
」
b 引用文献1に記載された事項から当業者が把握できる事項
前記a(a)で摘記した[0027]及び[0030]の記載を踏まえて、上記a(b)の図2~4を見ると、当業者は
(a) 硬性レンズ基板部11における感光チップ2の周囲のうち、中間軟性基板部13側とその反対側を結ぶ方向に垂直な側(図4の図面視左右側)の周囲に受動部品6を有し、中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には受動部品6を有しないこと、
(b) 硬性レンズ基板部11の中間軟性基板部13側とは反対側の端部と感光チップ2間の距離は、硬性レンズ基板部11における、他の三つの端部と感光チップ2間の距離より小さいこと、
(c) ブラケット4は樹脂封止体8のレンズアセンブリ5側に配されて、当該レンズアセンブリ5は、ブラケット4上に位置し、レンズアセンブリ5の外周はいずれの側(図2の左右方向及び図3の左右方向)においてもブラケット4の外周に近接して位置していること、
(d) レンズアセンブリ5の樹脂封止体8側の光軸に垂直な方向の寸法は、樹脂封止体8のレンズアセンブリ5側の面の光軸に垂直な方向の寸法より小さいこと、
を把握できる。
c 引用発明の認定
前記aに摘記した引用文献1の記載事項及び前記bに記載した当業者が把握できる事項を総合すると、引用文献1には、図1~図4に示される樹脂封止ブラケット式小型カメラ装置に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、認定の根拠となる段落を参考までに括弧内に付してある。)。
<引用発明>
「樹脂封止ブラケット式小型カメラ装置であって([0001])、
回路基板1、感光チップ2、フィルタ3、ブラケット4及びレンズアセンブリ5を含み、前記感光チップは前記回路基板中央部に貼付され、前記感光チップ周辺の回路基板上には受動部品6及び感光チップを受動部品に接続するボンディングワイヤを有し、前記ブラケットはブラケット本体41及び前記ブラケット本体中央部に形成されている光通過穴42を含み、前記光通過穴周辺にはへこみ溝43が形成され、前記フィルタの周囲は前記光通過穴のへこみ溝内に貼付され、前記感光チップの非感光エリアには前記感光チップの感光エリアを包囲する環形つばが形成され、前記環形つば外の感光チップ及び回路基板上には、樹脂封止材料を通じて前記受動部品及びボンディングワイヤを覆う樹脂封止体8が形成され、前記樹脂封止体上側中央部には収容溝81が形成され、フィルタを備えるブラケットは前記収容溝内に貼付され、前記光通過穴は前記感光チップの感光エリアと向かい合い、前記レンズアセンブリは前記ブラケット及び前記樹脂封止体の上側に設置され([0027])、
前記回路基板は硬性基板と軟性基板が結合した基板であり、前記硬性基板と軟性基板が結合した基板は、硬性レンズ基板部11、硬性コネクタ基板部12及びそれらの間にある中間軟性基板部13を含み、前記感光チップは前記硬性レンズ基板部上に貼付されており([0030])、
金型キャビティ内に樹脂封止材料を注入し、樹脂封止体を形成し、樹脂封止材料は、エポキシ樹脂であり、([0037])
前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、前記中間軟性基板部13側とその反対側を結ぶ方向に垂直な側の周囲に前記受動部品6を有し、前記中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には前記受動部品6を有さず、(上記b(a))
前記硬性レンズ基板部11の前記中間軟性基板部13側とは反対側の端部と前記感光チップ2間の距離は、前記硬性レンズ基板部11における、他の三つの端部と前記感光チップ2間の距離より小さく、(上記b(b))
前記ブラケット4は前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側に配され、当該レンズアセンブリ5は、前記ブラケット4上に位置し、前記レンズアセンブリ5の外周はいずれの側においても前記ブラケット4の外周に近接して位置し、(上記b(c))
前記レンズアセンブリ5の前記樹脂封止体8側の光軸に垂直な方向の寸法は、前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側の面の光軸に垂直な方向の寸法より小さい、(上記b(d))
樹脂封止ブラケット式小型カメラ装置。」
(イ) 引用文献2に記載された事項及び引用文献2に記載された技術的事項の認定
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された中国特許出願公開第105847645号明細書(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
a 引用文献2に記載された事項
(a) 発明の詳細な説明
「
[図:0001418709000009.jpg]
」
(日本語訳:[0134]図12は、本発明の第8の優れた実施例に基づくカメラモジュール及びその一体ベースアセンブリの分解図である。
[0135]上記実施例と異なり、前記ベース部11Fは被覆部111F、フィルタ取付部112F及びレンズ取付部113Fを備えており、前記フィルタ取付部112F及び前記レンズ取付部113Fは前記被覆部111Fと一体で樹脂成形により接続され、前記被覆部111Fは前記回路基板本体121と樹脂成形により接続され、前記回路部品122及び前記接続線31を覆うことに用いられる。前記フィルタ取付部112Fは前記フィルタ40を取り付けることに用いられる。つまり、前記一体ベースアセンブリが前記カメラモジュールを取り付けることに用いられる場合、前記カメラモジュールのフィルタ40は前記フィルタ取付部112Fで取り付けられ、前記フィルタ40は前記感光チップ30の感光経路上に位置するので、追加のフィルタ40取り付けブラケットを必要としない。すなわち、前記ベース部11Fは、ここで従来のブラケット機能を有するが、一体実装工程の利点に基づき、前記フィルタ取付部112F上部はモールディングプロセスの助けを借りて平坦にすることができるので、前記フィルタ40を平坦に取り付けることができる。この点も従来のカメラモジュールより優れていることである。前記レンズ取付部113Fは前記レンズ50を取り付けるために用いられる。つまり、前記一体ベースアセンブリが前記カメラモジュールを組み立てることに用いられる場合、前記レンズ50は前記ベース部11Fの前記レンズ取付部113F内側に取り付けられるので、前記レンズ50に安定した取り付け位置を提供できる。)
「
[図:0001418709000010.jpg]
」
(日本語訳:[0136]さらに、前記フィルタ取付部112Fは2つの取り付け溝1121Fを備え、前記取り付け溝1121Fは対応する前記貫通孔1100Fで接続されることで、前記フィルタ40に十分な取り付け空間を提供し、前記フィルタ40を安定して取り付けることができる。前記レンズ取付部113Fは2つのレンズ取り付け溝11211Fを有し、前記2つのレンズ取り付け溝11211Fは対応する前記貫通孔1100Fに接続されており、それぞれ前記レンズ50に十分な取り付け空間を提供する。
[0137]つまり、前記フィルタ取付部112F及び前記レンズ取付部113Fは一体で上方に延在し、内部に階段状構造を形成し、それぞれ前記フィルタ40及び前記レンズ50に支持固定位置を提供するので、追加部品を提供することを必要とせずに、前記フィルタ40及び前記レンズ50を取り付けることができる。
[0138]前記レンズ取付部113Fは2つのレンズ内壁1132Fを備え、前記2つのレンズ内壁1132Fはそれぞれ閉じた環形を呈し、レンズ50に取り付け空間を提供することに適している。注目すべきことは、前記レンズ取付部1132Fの各前記レンズ内壁1132F表面が平坦であることであり、固定焦点モジュールを形成ためにねじ山なしで前記レンズ50を取り付けることに適している。特に、前記レンズ50は接着剤により前記レンズ取付部113Fに固定することができる。)
(b) 図
図12
「
[図:0001418709000011.jpg]
」
b 引用文献2に記載された技術的事項の認定
前記aに摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(なお、認定の根拠となる段落を参考までに括弧内に付してある。)。
<引用文献2に記載された技術的事項>
「カメラモジュール及びその一体ベースアセンブリにおいて、([0134])
ベース部11Fは被覆部111F、フィルタ取付部112F及びレンズ取付部113Fを備えており、前記フィルタ取付部112F及び前記レンズ取付部113Fは前記被覆部111Fと一体で樹脂成形により接続され、前記被覆部111Fは前記回路基板本体121と樹脂成形により接続され、前記回路部品122及び前記接続線31を覆うことに用いられ、前記レンズ取付部113Fはレンズ50を取り付けるために用いられ、前記レンズ50は前記ベース部11Fの前記レンズ取付部113F内側に取り付けられるので、前記レンズ50に安定した取り付け位置を提供でき、([0135])
前記レンズ取付部113Fは2つのレンズ内壁1132Fを備え、前記2つのレンズ内壁1132Fはそれぞれ閉じた環形を呈し、レンズ50に取り付け空間を提供することに適していること。([0138])」
ウ 対比
(ア) 対比分析
a 本件補正発明の「回路基板と、」「を備え、」との発明特定事項について
引用発明の「回路基板1」が含む「硬性レンズ基板部11」は、本件補正発明の「回路基板」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
b 本件補正発明の「感光素子と、」「を備え、」との発明特定事項について
引用発明の「感光チップ2」は、本件補正発明の「感光素子」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
c 本件補正発明の「前記感光素子と前記回路基板を導通可能に接続される少なくとも1つのリード線と、」「を備え、」との発明特定事項について
引用発明の「ボンディングワイヤ」は、本件補正発明の「リード線」に相当する。また、引用発明の「ボンディングワイヤ」は、「感光チップ2」を「硬性レンズ基板部11」が有する「受動部品6」に「接続する」ものであるから、「感光チップ2」と「硬性レンズ基板部11」を導通可能に接続するものであるといえる。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
d 本件補正発明の「前記回路基板と前記感光素子に一体成型され、且つ、光窓を形成し、前記光窓を通じて感光チップに光路を提供するモールドベースと、を備え」との発明特定事項について
引用発明の「樹脂封止体8」は、「金型キャビティ内に樹脂封止材料を注入し」「形成」されるものであるから、本件補正発明の「モールドベース」に相当する。また、引用発明の「樹脂封止体8」は、「前記環形つば外の感光チップ及び回路基板上」に「形成され」るものであるから、「前記感光チップは前記硬性レンズ基板部上に貼付されて[いる]」ことも勘案すれば、「樹脂封止体8」は、硬性レンズ基板部11及び感光チップ2と一体成型されているといえる。また、「環形つば」は、「前記感光チップの非感光エリアに」「形成され」、「前記感光チップの感光エリアを包囲する」ものであるから、「樹脂封止体8」は感光チップ2の感光エリアには形成されないことが理解でき、このことは、「樹脂封止体8」が、感光エリアに対応する光窓を形成し、当該光窓を通じて感光チップの感光エリアに光路を提供していることを意味する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
e 本件補正発明の「前記回路基板は、1つの基板と少なくとも1つの電子部品を備え、前記電子部品は、前記基板に設置され、前記基板はブランク側を有し、前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品と前記リード線が設けられておらず」との発明特定事項について
(a) 引用発明の「硬性レンズ基板部11」が、「1つの基板」(以下「硬性レンズ基板」という。)を備えることは明らかである。また、引用発明の「硬性レンズ基板部11」が有する「受動部品6」は、本件補正発明の「電子部品」に相当し、「受動部品6」が、硬性レンズ基板に設置されていることも明らかである。
(b) 引用発明の硬性レンズ基板における「前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、」「前記中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には前記受動部品6を有さ[ない]」側は、本件補正発明の「基板」の「ブランク側」に相当する。したがって、引用発明の硬性レンズ基板は、本件補正発明でいう「ブランク側」を有しており、引用発明の「硬性レンズ基板部11」は、本件補正発明でいう、「前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品」「が設けられて[いない]」ものであるといえる。
(c)引用発明の硬性レンズ基板における「前記硬性レンズ基板部11の前記中間軟性基板部13側とは反対側の端部」は、前記(b)も踏まえると、本件補正発明の「基板」の「ブランク側のエッジ部」に相当する。また、引用発明において、「前記硬性レンズ基板部11の前記中間軟性基板部13側とは反対側の端部と前記感光チップ2間の距離は、前記硬性レンズ基板部11における、他の三つの端部と前記感光チップ2間の距離より小さ[い]」ことと、前記(b)を併せると、本件補正発明と引用発明は、「前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品」「が設けられて[いない]」点で共通する。
(d) 以上によれば、本件補正発明と引用発明は、「前記回路基板は、1つの基板と少なくとも1つの電子部品を備え、前記電子部品は、前記基板に設置され、前記基板はブランク側を有し、前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品」「が設けられておらず」との点で共通する。
f 本件補正発明の「前記モールド感光素子は、前記感光素子の光路に保持されている光フィルタ素子と、前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ、かつ、前記光フィルタ素子が前記感光素子の光路に保持されるように、前記モールドベースに組立てられる光フィルタ素子ミラーホルダーと、」「をさらに備え、」との発明特定事項について
(a) 引用発明の「フィルタ3」は、本件補正発明の「光フィルタ素子」に相当する。また、引用発明において、「前記光通過穴周辺にはへこみ溝43が形成され、前記フィルタの周囲は前記光通過穴のへこみ溝内に貼付され、」「フィルタを備えるブラケットは前記収容溝内に貼付され、前記光通過穴は前記感光チップの感光エリアと向かい合[っている]」ことは、本件補正発明の「光フィルタ素子」が「感光素子の光路に保持されている」ことに相当する。
(b) 引用発明の「ブラケット4」は、本件補正発明の「光フィルタ素子ミラーホルダー」に相当する。また、引用発明の「ブラケット4」が「ブラケット本体41及び前記ブラケット本体中央部に形成されている光通過穴42を含み、前記光通過穴周辺にはへこみ溝43が形成され、前記フィルタの周囲は前記光通過穴のへこみ溝内に貼付され[る]」ものであることは、本件補正発明の「光フィルタ素子ミラーホルダー」が「前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ[る]」ことに相当する。さらに、引用発明の「ブラケット4」が「前記ブラケット4は前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側に配され[る]」ことは、本件補正発明の「光フィルタ素子ミラーホルダー」が「モールドベースに組立てられる」ことに相当する。
(c) 上記(a)及び(b)の説示を踏まえると、引用発明の「ブラケット4」は、本件補正発明の「前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ、かつ、前記光フィルタ素子が前記感光素子の光路に保持されるように、前記モールドベースに組立てられる光フィルタ素子ミラーホルダー」との構成を満たす。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
g 本件補正発明の「前記光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さく、」との発明特定事項について
引用発明の「レンズアセンブリ5」は、本件補正発明の「レンズ」に相当する。そして、引用発明の「前記レンズアセンブリ5の前記樹脂封止体8側の光軸に垂直な方向の寸法は、前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側の面の光軸に垂直な方向の寸法より小さい」ことは、本件補正発明の「前記光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さ[い]」ことに相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たす。
h 本件補正発明の「モールド感光素子」との発明特定事項について
以上の検討を踏まえると、引用発明の「回路基板1、感光チップ2、フィルタ3、ブラケット4及びレンズアセンブリ5」を含む「樹脂封止ブラケット式小型カメラ装置」は、本件補正発明の「モールド感光素子」に相当する。
(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のa及びbに示すとおりである。
a 一致点
「モールド感光素子であって、
回路基板と、
感光素子と、
前記感光素子と前記回路基板を導通可能に接続される少なくとも1つのリード線と、
前記回路基板と前記感光素子に一体成型され、且つ、光窓を形成し、前記光窓を通じて感光チップに光路を提供するモールドベースと、を備え、
前記回路基板は、1つの基板と少なくとも1つの電子部品を備え、前記電子部品は、前記基板に設置され、前記基板はブランク側を有し、前記ブランク側のエッジ部と前記感光素子との距離を減少させるように、前記回路基板の前記ブランク側には前記電子部品が設けられておらず、
前記モールド感光素子は、
前記感光素子の光路に保持されている光フィルタ素子と、
前記光フィルタ素子を組立てるために用いられ、かつ、前記光フィルタ素子が前記感光素子の光路に保持されるように、前記モールドベースに組立てられる光フィルタ素子ミラーホルダーと、
をさらに備え、
前記光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さい、
モールド感光素子。」
b 相違点
(a) 相違点1
「リード線」について、本件補正発明は、「前記回路基板の前記ブランク側には」「設けられて[いない]」のに対して、引用発明は、「前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、」「前記中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には前記受動部品6を有さ[ない]」と特定されるにとどまり、当該箇所におけるボンディングワイヤの有無が不明である点。
(b) 相違点2
本件補正発明は、「光フィルタ素子ミラーホルダーから光軸方向に突起して上方に延伸し、内部に光学レンズを位置付けし、光学レンズを前記光フィルタ素子ミラーホルダーの上面に位置付け且つガイドして直接固定し、かつ、前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する位置決め突起」を備えるのに対して、引用発明は、「前記ブラケット4は前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側に配され、当該レンズアセンブリ5は、前記ブラケット4上に位置[する]」ものの、当該位置決め突起を備えていない点。
(c) 相違点3
「光フィルタ素子ミラーホルダー」について、本件補正発明は、「モールドベースよりも良好なフレキシビリティーを有する」のに対して、引用発明は、「樹脂封止体8」の「樹脂封止材料」が「エポキシ樹脂」と特定されるにとどまり、樹脂封止体8と比較したブラケット4のフレキシビリティーが不明である点。
エ 判断
(ア) 相違点についての判断
a 相違点1について
引用発明の「ボンディングワイヤ」は、「感光チップ周辺の回路基板上」に有するものであって、「感光チップを受動部品に接続する」ものであるから、「前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、」「前記中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には前記受動部品6を有さ[ない]」側には「感光チップを受動部品に接続するボンディングワイヤ」を設ける必要がないことは明らかである。したがって、引用発明における「前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、」「前記中間軟性基板部13側とは反対側の周囲には前記受動部品6を有さ[ない]」側にはボンディングワイヤを設けないこととして、上記相違点1に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。
b 相違点2について
引用発明においては、「前記ブラケット4は前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側に配され、当該レンズアセンブリ5は、前記ブラケット4上に位置[する]」が、単にレンズアセンブリ5をブラケット4上に位置させただけでは、レンズアセンブリ5をブラケット4の上に取り付ける際の位置合わせを容易にはし難いという課題があることは周知の事項であるといえる。
これに対して、引用文献2に記載された技術的事項に見られるように、「カメラモジュール及びその一体ベースアセンブリにおいて、前記ベース部11Fは被覆部111F、フィルタ取付部112F及びレンズ取付部113Fを備えており、前記フィルタ取付部112F及び前記レンズ取付部113Fは前記被覆部111Fと一体で樹脂成形により接続され、前記被覆部111Fは前記回路基板本体121と樹脂成形により接続され、前記回路部品122及び前記接続線31を覆うことに用いられ、前記レンズ取付部113Fは前記レンズ50を取り付けるために用いられ、前記レンズ50は前記ベース部11Fの前記レンズ取付部113F内側に取り付けられるので、前記レンズ50に安定した取り付け位置を提供でき、前記レンズ取付部113Fは2つのレンズ内壁1132Fを備え、前記2つのレンズ内壁1132Fはそれぞれ閉じた環形を呈し、レンズ50に取り付け空間を提供することに適していること」が公知であるところ、引用発明においても、閉じた環形のレンズ内壁を備えるレンズ取付部の内側にレンズを取り付けることにより、レンズアセンブリ5に安定した取付位置を提供できることは、当業者には明らかである。
したがって、引用発明において、レンズアセンブリ5に安定した取付位置を提供するために、レンズアセンブリ5がその上に位置するブラケット4を、引用文献2に記載された技術的事項のように閉じた環形のレンズ内壁を備えるレンズ取付部として、その内側にレンズを取り付ける構成(以下「容易想到構成」という。)とすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、容易想到構成における「レンズ内壁」が、相違点2に係る本件補正発明の「位置決め突起」に相当し、容易想到構成においては、ブラケット4からレンズ内壁が光軸方向に突起して上方に延伸し、内部にレンズアセンブリ5を位置付けし、レンズアセンブリ5をブラケット4の上面に位置づけ且つガイドして直接固定するものとなる。また、引用発明においては、「前記レンズアセンブリ5の外周はいずれの側においても前記ブラケット4の外周に近接して位置[する]」から、引用発明のブラケット4にその内側にレンズアセンブリ5を取り付けるためのレンズ内壁を設けた容易想到構成においては、「前記硬性レンズ基板部11における前記感光チップ2の周囲のうち、前記中間軟性基板部13側とは反対側」、すなわち、ブランク側を含むいずれの側においても、閉じた環形のレンズ内壁は、ブラケット4の縁に近接することとなる。このように、容易想到構成は、相違点2に係る構成を満たすこととなる。
したがって、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用して、相違点2に係る本件補正発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。
c 相違点3について
引用発明を実施するにあたり、当業者は、ブラケット4の材料を決定する必要があるところ、携帯用電子機器に用いられる小型カメラ装置の光学フィルタのホルダーをゴム等の柔軟な材料で構成することは、本願の優先日当時周知の技術的事項である(例えば、特開2007-33699号公報の【0001】・【0016】「ゴム製又は柔軟な樹脂製の矩形枠状をしたフィルタ保持枠51」・図6、特開2005-181541号公報の【0002】・【0027】・【0028】「フイルタ保持部材44は、弾性を有する材質、例えばゴムや軟質樹脂により成形されており」・図3、特開2008-271487号公報の【0001】・【0026】「受光面上にゴム枠12内に組付けられた光学ローパスフィルタ13が同軸的に配置される」・図1、参照)から、引用発明のブラケット4の材料をゴム等の柔軟な材料で構成することは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、ゴム等の柔軟な材料がエポキシ樹脂よりも良好なフレキシビリティーを有することは技術常識であるから、樹脂封止体を形成する樹脂封止材料がエポキシ樹脂である引用発明において、ブラケット4の材料をゴム等の柔軟な材料で構成したものは、ブラケット4が、樹脂封止体8よりも良好なフレキシビリティーを有するものとなり、当業者は、相違点3に係る構成に至ることとなる。
したがって、引用発明に周知技術を適用することにより、相違点3に係る本件補正発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。
d 総合検討
前記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明の効果としては、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が予測し得ないものとはいえず、顕著なものともいえない。
(イ) 請求人の主張について
a 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、次の旨を主張している。
(a) 引用文献1には、ブラケット4のフレキシビリティー、樹脂封止体8のフレキシビリティーのいずれについても明記されておらず、本件補正発明の「前記光フィルタ素子ミラーホルダーは、前記モールドベースよりも良好なフレキシビリティーを有する」ことは、いずれの引用文献にも開示がない。
(b) 引用文献2に記載された技術的事項では、レンズ取付部113Fは、ブランク側ではなく、ブランク側とは反対側のフィルタ取付部112F上に、フィルタ取付部112Fと一体的に成形されており、本件補正発明の位置決め突起が「前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する」ことは開示されていない。
(c) 引用文献2に記載された技術的事項を引用発明に適用すると、引用発明のブラケット4のブランク側とは反対側の縁から上に延びるようにレンズ内壁が設けられることとなり、延伸空間が、ブランク側とは反対側のブラケット4の上部に形成されることはない。
b 請求人の主張についての検討
前記a(a)の点は、上記(ア)cで説示したとおり、引用発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得たことである。
また、前記a(b)の点については、引用文献2に記載された技術的事項におけるレンズ内壁1132Fは閉じた環形を呈しているから、これを引用発明に適用すれば、レンズ内壁は本件補正発明でいうブランク側の側を含む全周に設けられることとなる。このとき、位置決め突起に相当するレンズ内壁が「前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する」に相当する構成となることについても、前記(ア)bで検討したとおりである。
さらに、前記a(c)の点は、本件補正発明においては、「位置決め突起」に関して、「前記光フィルタ素子ミラーホルダーから光軸方向に突起して上方に延伸し、内部に光学レンズを位置付けし、前記光学レンズを前記光フィルタ素子ミラーホルダーの上面に位置付け且つガイドして直接固定し、かつ、前記ブランク側の側で前記光フィルタ素子ミラーホルダーの縁に近接する」こと、及び、「前記光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さ[い]」ことが特定されるにとどまり、「延伸空間」に係る構成は何ら特定されていないから、請求人の主張は請求項の記載に基づくものではない。また、前記(ア)bで説示した容易想到構成についても、引用発明の「前記レンズアセンブリ5の前記樹脂封止体8側の光軸に垂直な方向の寸法は、前記樹脂封止体8の前記レンズアセンブリ5側の面の光軸に垂直な方向の寸法より小さい」ことに変わりはなく、「光学レンズの寸法は、モールドベースの上部の寸法より小さい」との一致点は維持され、相違点とはならないから、請求人の上記a(c)の主張は採用できない。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
オ 独立特許要件についての当審の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(3) 本件補正の適否についての当審の判断のまとめ
前記(2)に示したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において発行された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.中国特許出願公開第106973210号明細書
2.中国特許出願公開第105847645号明細書
3 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定
引用文献1、2に記載された事項及び引用発明等の認定は、前記第2の2(2)イにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、光学レンズについて、「光学レンズの寸法は前記モールドベースの上部の寸法より小さ[い]」ものとする限定、及び、光フィルタ素子ミラーホルダーについて、「光フィルタ素子ミラーホルダーは、前記モールドベースよりも良好なフレキシビリティーを有する」ものとする限定(相違点3)を除いたものである。
そして、本願発明の発明特定事項を全て含み、当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2(2)において説示したとおり、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、本願発明は、相違点1及び2について前記第2の2(2)エ(ア)a及びbにおいて説示した理由により、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-010268