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特許拒絶査定不服審判

2021-010225

撮像モジュール及びその回路基板アセンブリ並びに製造方法及び撮像モジュールを有する電子機器

審判番号
2021-010225
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-534169
請求日
2021年07月30日
審決日
2022年07月08日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
  • 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 野村 伸雄
  • 審判官 松川 直樹
分類
P18 .121-WZ (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-534169「撮像モジュール及びその回路基板アセンブリ並びに製造方法及び撮像モジュールを有する電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月28日国際公開、WO2018/113794、令和 2年 1月23日国内公表、特表2020-502586〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)12月25日(パリ条約による優先権主張 2016年12月23日、中華人民共和国、2017年4月1日、中華人民共和国)の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。 令和 元年 6月21日 :手続補正書の提出 令和 2年 5月21日付け:拒絶理由の通知 令和 2年 8月31日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 9月14日付け:拒絶理由の通知 令和 2年12月23日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 3月18日付け:拒絶査定 令和 3年 7月30日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 4年 1月 5日 :上申書 令和 4年 1月17日付け:拒絶理由の通知 令和 4年 4月18日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和4年4月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 撮像モジュールであって、 少なくとも一つの光学レンズ、 少なくとも一つの感光チップ、 少なくとも一つの裏面モールド部、及び 少なくとも一つの回路基板を含み、 前記回路基板は一つの基板及び少なくとも一つの電子部品を含み、 モールドベースを更に含み、 前記裏面モールド部が前記基板の基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合し、前記モールドベースは前記基板の基板正面に一体的に結合し、 前記感光チップは前記基板に導通的に接続され、少なくとも一つの前記電子部品は前記基板の基板裏面において前記基板に導通的に接続され、前記裏面モールド部は前記基板の前記基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合され、 前記裏面モールド部は少なくとも一つの前記電子部品の少なくとも一部を包埋し、 前記裏面モールド部は少なくとも一つの配設空間を形成し、 前記撮像モジュールは少なくとも一つの分割側及び少なくとも一つの脱型側を有し、前記基板は少なくとも一つの分割辺及び少なくとも一つの脱型辺を有し、前記分割辺は前記分割側に対応し、前記脱型辺は前記脱型側に対応し、 前記裏面モールド部は少なくとも一つの第一脱型側を有し、 前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ 前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており、 前記モールドベースは少なくとも一つの第二脱型側を有し、 前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ 前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており、 前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺の間の距離パラメータをL1とし、 前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺の間の距離パラメータをL2とする場合、 パラメータL2の数値はパラメータL1の数値と異なり、 パラメータL1の数値範囲は0.1mm≦L1≦10mmであり、パラメータL2の数 値範囲は0.1mm≦L2≦10mmであり、 前記基板は少なくとも一つの貼設領域及び少なくとも一つの結合領域を有し、前記貼設領域及び前記結合領域はいずれも前記基板の正面に形成され、前記基板の前記貼設領域は中部に位置し、前記結合領域は前記貼設領域の周囲を囲み、前記感光チップは前記基板の前記貼設領域に貼設され、 前記基板は少なくとも一つの成型空間を有し、前記成型空間は前記基板の前記結合領域に設けられ、少なくとも一つの前記成型空間は穿孔として実施され、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記成型空間によって結合され、これによって、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記基板に一体的に結合され、 前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、 前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つのフレーム型の支持架台を含み、光フィルター素子を前記支持架台に貼設し、前記支持架台は前記貼設溝に収納される、 ことを特徴とする、前記撮像モジュール。」 第3 拒絶の理由 令和4年1月17日付けで当審が通知した請求項1に関する拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 [理由](進歩性)本件出願の請求項1に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2006-148473号公報 第4 引用文献について 引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 1 「【請求項1】 基板上に設けられた撮像素子と、該撮像素子から所定の焦点距離の位置に設けられたレンズと、該レンズからの光を透過する光学フィルタとを有するカメラモジュールにおいて、 前記基板の下面、前記基板の上面と前記撮像素子の縁部との間、及び前記レンズを所定位置に支持する支持部を樹脂材により一体成型したことを特徴とするカメラモジュール。」 「【0025】 図2は本発明になるカメラモジュールの実施例1を示す縦断面図である。図2に示されるように、カメラモジュール30は、基板32に撮像素子34(例えば、CCDやCMOS等)が固着され、撮像素子34の縁部に設けられた各端子がボンディングワイヤ36を介して基板32上の配線パターン38に接続される。また、基板32の下面には、撮像素子34を制御する制御用IC40が固着されており、制御用IC40の各端子がボンディングワイヤ41を介して基板32下面の配線パターン42に接続される。」 「【0027】 基板32の下面側は、制御用IC40、ボンディングワイヤ41、フレキシブルケーブル44を覆うように樹脂材を成型した下側樹脂モールド46が形成されている。また、基板32の上面側には、撮像素子34の縁部、ボンディングワイヤ36、配線パターン38を覆うように樹脂材を成型した上側樹脂モールド48が形成されている。そして、下側樹脂モールド46と上側樹脂モールド48との間は、基板32の側面を覆うように成型された側面樹脂モールド49を介して一体的に結合される。 【0028】 上側樹脂モールド48の上端48aには、レンズ50,51を保持するレンズ保持部材52が固着される。すなわち、上側樹脂モールド48は、基板32の上面及び撮像素子34の縁部を覆うと共に、レンズ50,51の高さ位置を位置決めするレンズ支持部としても機能するように基板32の上面より所定高さに形成される。」 「【0030】 また、上側樹脂モールド48の内部には、上側樹脂モールド48とレンズ50との間を連通する撮像空間56が形成されており、撮像空間56の内部には、光学フィルタ58を固定するための光学フィルタ取付面48bが設けられている。この光学フィルタ58は、例えば、可視光を吸収し赤外線を透過させるIRフィルタである。」 「【0036】 図3に示されるように、工程1では、大きな基板60に細長いスリット64を設けて上記基板32が形成される複数個(図3では8個)の基板領域62を画成する。尚、細長いスリット64は、各基板領域62の境界に位置するように設けられている。また、このスリット64の溝には、樹脂材が注入されて側面樹脂モールド49が形成される。そして、各基板領域62の上面には、撮像素子34の取り付け位置の周囲を囲むように配線パターン38が設けられている。」 「【0040】 図7に示されるように、工程5では、各基板領域62の下面側全体を樹脂材により一体成型し、下側樹脂モールド46を制御用IC40、ボンディングワイヤ41、配線パターン42、フレキシブルケーブル44の端部を覆うように成型する。この下側樹脂モールド46は、上記スリット64にも充填されるように成型される。 【0041】 図8に示されるように、工程6では、各基板領域62の上面に撮像素子34を固着し、撮像素子34の各端子と配線パターン38との間をボンディングワイヤ36により接続する。 【0042】 図9及び図10に示されるように、工程7では、各基板領域62の上面側を樹脂材により一体成型し、上側樹脂モールド48を撮像素子34、ボンディングワイヤ36、配線パターン38を覆うように成型する。これにより、上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46とは、側面樹脂モールド49を介して一体化される。 【0043】 図11に示されるように、工程8では、上記スリット64に沿うように下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48を切断する。これにより、2個のカメラモジュール30が1個のユニットとして得られる。 【0044】 図12に示されるように、工程9では、図11に示すユニットの中間部分を切断して1個のカメラモジュール30を得る。」 2 図2、図3、図7、図9~図14は以下のとおりである。 [図:0001391488000001.jpg] [図:0001391488000002.jpg] [図:0001391488000003.jpg] [図:0001391488000004.jpg] [図:0001391488000005.jpg] 明細書【0030】を参照しつつ、図2を見ると、上側樹脂モールド48の内部には撮像空間56が形成されており、撮像空間56の内部には、光学フィルタ58を、部材を介して光学フィルタ取付面48bに固定していることが把握できる。 明細書【0040】~【0044】を参照しつつ、図12及び図14を見ると、切断された側と成型された側を有する下側樹脂モールド46、切断された側と成型された側を有する上側樹脂モールド48、及び切断された側と成型された側を有するカメラモジュール30が把握でき、また、一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれていることが把握できる。 明細書【0036】、【0040】、【0042】~【0044】を参照しつつ、図3、図7、図12及び図14を見ると、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の成型された側の細長いスリット64の溝は、切断されていないことが把握され、上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46とは、基板32に設けられた細長いスリット64の溝に形成された側面樹脂モールド49を介して一体化されていることが把握できる。 また、図3、図9及び図10の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48を切断する前の基板60を参照しつつ、図12及び図14を見ると、切断された側において、切断された面には下側樹脂モールド46、上側樹脂モールド48及び側面樹脂モールド49のみならず、基板32も含まれることが把握できる。 3 上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(以下、引用発明の認定の根拠とした段落番号等を参考までに括弧内に付した。)。 「基板32上に設けられた撮像素子34と、該撮像素子34から所定の焦点距離の位置に設けられたレンズと、該レンズからの光を透過する光学フィルタとを有し、 基板32の下面には、撮像素子34を制御する制御用IC40が固着されており、制御用IC40の各端子がボンディングワイヤ41を介して基板32下面の配線パターン42に接続され、(請求項1、【0025】) 基板32の下面側は、制御用IC40、ボンディングワイヤ41、フレキシブルケーブル44を覆うように樹脂材を成型した下側樹脂モールド46が形成され、(【0027】) 上側樹脂モールド48は、基板32の上面及び撮像素子34の縁部を覆い、(【0028】) 下側樹脂モールド46は切断された側と成型された側を有し、 上側樹脂モールド48は切断された側と成型された側を有し、 カメラモジュール30は切断された側と成型された側を有し、 一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれており、 切断された側において、切断された面には下側樹脂モールド46、上側樹脂モールド48及び側面樹脂モールド49のみならず、基板32も含まれ、(上記2)、 基板32の基板領域62の上面に撮像素子34を固着し、基板領域62の上面側を樹脂材により一体成型し、上側樹脂モールド48を、撮像素子34を覆うように成型し、(【0036】、【0041】、【0042】) 上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46とは、基板32に設けられた細長いスリット64の溝に形成された側面樹脂モールド49を介して一体化され、 上側樹脂モールド48の内部には撮像空間56が形成されており、撮像空間56の内部には、光学フィルタ58を、部材を介して光学フィルタ取付面48bに固定している(上記2) カメラモジュール30。(請求項1)」 第5 対比 本願発明と引用発明を対比する。 1 本願発明の「撮像モジュールであって、少なくとも一つの光学レンズ、少なくとも一つの感光チップ、少なくとも一つの裏面モールド部、及び少なくとも一つの回路基板を含み、前記回路基板は一つの基板及び少なくとも一つの電子部品を含み、モールドベースを更に含み」及び「撮像モジュール」の構成について 引用発明の「カメラモジュール30」は、本願発明の「撮像モジュール」に、 引用発明の「レンズ」は、本願発明の「光学レンズ」に、 引用発明の「撮像素子34」は、本願発明の「感光チップ」に、 引用発明の「下側樹脂モールド46」は、本願発明の「裏面モールド部」に、 引用発明の「『基板32』及び『制御用IC40』」は、本願発明の「回路基板」に、 引用発明の「基板32」は、本願発明の「基板」に、 引用発明の「制御用IC40」は、本願発明の「電子部品」に、 引用発明の「上側樹脂モールド48」は、本願発明の「モールドベース」に、 それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は上記構成を備えているものといえる。 2 本願発明の「前記裏面モールド部が前記基板の基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合し、前記モールドベースは前記基板の基板正面に一体的に結合し」の構成について 引用発明の「『基板32の下面側は、』『樹脂材を成型した下側樹脂モールド46が形成され』」は、本願発明の「前記裏面モールド部が前記基板の基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合し」に、 引用発明の「『上側樹脂モールド48は、基板32の上面』『を覆い』」は、本願発明の「前記モールドベースは前記基板の基板正面に一体的に結合し」に、 それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は上記構成を備えているものといえる。 3 本願発明の「前記感光チップは前記基板に導通的に接続され、少なくとも一つの前記電子部品は前記基板の基板裏面において前記基板に導通的に接続され、前記裏面モールド部は前記基板の前記基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合され、前記裏面モールド部は少なくとも一つの前記電子部品の少なくとも一部を包埋し」の構成について 引用発明の「基板32の下面には、撮像素子34を制御する制御用IC40が固着されており、制御用IC40の各端子がボンディングワイヤ41を介して基板32下面の配線パターン42に接続され」は、本願発明の「前記感光チップは前記基板に導通的に接続され、少なくとも一つの前記電子部品は前記基板の基板裏面において前記基板に導通的に接続され」に、 引用発明の「『基板32の下面側は、』『樹脂材を成型した下側樹脂モールド46が形成され』」は、本願発明の「前記裏面モールド部は前記基板の前記基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合され」に、 引用発明の「『制御用IC40』『を覆うように樹脂材を成型した下側樹脂モールド46が形成され』」は、本願発明の「前記裏面モールド部は少なくとも一つの前記電子部品の少なくとも一部を包埋し」に、 それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は上記構成を備えているものといえる。 4 本願発明の「前記撮像モジュールは少なくとも一つの分割側及び少なくとも一つの脱型側を有し、前記基板は少なくとも一つの分割辺及び少なくとも一つの脱型辺を有し、前記分割辺は前記分割側に対応し、前記脱型辺は前記脱型側に対応し、前記裏面モールド部は少なくとも一つの第一脱型側を有し、前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており、前記モールドベースは少なくとも一つの第二脱型側を有し、前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており」の構成について 引用発明の「カメラモジュール30は切断された側と成型された側を有し」は、本願発明の「前記撮像モジュールは少なくとも一つの分割側及び少なくとも一つの脱型側を有し」に、 引用発明の「『一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面』及び『切断された側において、切断された面には下側樹脂モールド46、上側樹脂モールド48及び側面樹脂モールド49のみならず、基板32も含まれ』」は、本願発明の「前記基板は少なくとも一つの分割辺及び少なくとも一つの脱型辺を有し、前記分割辺は前記分割側に対応し、前記脱型辺は前記脱型側に対応し」に、 引用発明の「『下側樹脂モールド46は』『成型された側を有し』」は、本願発明の「前記裏面モールド部は少なくとも一つの第一脱型側を有し」に、 引用発明の「『一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、下側樹脂モールド46』『の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれており』」は、本願発明の「前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており」に、 引用発明の「『上側樹脂モールド48は』『成型された側を有し』」は、本願発明の「前記モールドベースは少なくとも一つの第二脱型側を有し」に、 引用発明の「『一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46と上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、』『上側樹脂モールド48の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれており』」は、本願発明の「前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており」に、 それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は上記構成を備えているものといえる。 5 本願発明の「前記基板は少なくとも一つの貼設領域及び少なくとも一つの結合領域を有し、前記貼設領域及び前記結合領域はいずれも前記基板の正面に形成され、前記基板の前記貼設領域は中部に位置し、前記結合領域は前記貼設領域の周囲を囲み、前記感光チップは前記基板の前記貼設領域に貼設され」の構成について 引用発明の「基板32の基板領域62の上面に撮像素子34を固着した」領域は、本願発明の「『前記基板』が『有』する『少なくとも一つの貼設領域』」、「『いずれも前記基板の正面に形成され、前記基板の前記貼設領域は中部に位置』する『前記貼設領域』」に、 引用発明の「基板32の基板領域62の上面に撮像素子34を固着した」は、本願発明の「前記感光チップは前記基板の前記貼設領域に貼設され」に、 引用発明の「『基板32の』『基板領域62の上面側を樹脂材により一体成型し、上側樹脂モールド48を、撮像素子34を覆うように成型し』」は、「『前記基板は』『少なくとも一つの結合領域を有し』、『前記結合領域はいずれも前記基板の正面に形成され』、『前記結合領域は前記貼設領域の周囲を囲み』」に, それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は上記構成を備えているものといえる。 6 本願発明の「前記基板は少なくとも一つの成型空間を有し、前記成型空間は前記基板の前記結合領域に設けられ、少なくとも一つの前記成型空間は穿孔として実施され、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記成型空間によって結合され、これによって、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記基板に一体的に結合され」の構成について 引用発明の「基板32に設けられた細長いスリット64の溝」は、本願発明の「穿孔」及び「成型空間」に相当する。 そうすると、引用発明の「上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46とは、基板32に設けられた細長いスリット64の溝に形成された側面樹脂モールド49を介して一体化され」は、本願発明の「前記基板は少なくとも一つの成型空間を有し、前記成型空間は前記基板の前記結合領域に設けられ、少なくとも一つの前記成型空間は穿孔として実施され、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記成型空間によって結合され、これによって、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記基板に一体的に結合され」に相当する。 7 本願発明の「前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つのフレーム型の支持架台を含み、光フィルター素子を前記支持架台に貼設し、前記支持架台は前記貼設溝に収納される」の構成について 引用発明の「光学フィルタ58」は、本願発明の「光フィルター素子」に相当する。 そして、引用発明の「撮像空間56の内部には、」「光学フィルタ取付面48b」が設けられていることから、引用発明の「上側樹脂モールド48の内部には撮像空間56が形成されており」は、本願発明の「前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し」に相当する。 また、引用発明の「光学フィルタ58を、部材を介して光学フィルタ取付面48bに固定している」と、本願発明の「光フィルター素子を前記支持架台に貼設し」とは、「光フィルター素子を前記部材に貼設し」ている点で一致する そうすると、引用発明の「上側樹脂モールド48の内部には撮像空間56が形成されており、撮像空間56の内部には、光学フィルタ58を、部材を介して光学フィルタ取付面48bに固定している」と、本願発明の「前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つのフレーム型の支持架台を含み、光フィルター素子を前記支持架台に貼設し、前記支持架台は前記貼設溝に収納される」とは、「前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つの部材を含み、光フィルター素子を前記部材に貼設し、前記部材は前記貼設溝に収納される」点で一致する。 8 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「撮像モジュールであって、 少なくとも一つの光学レンズ、 少なくとも一つの感光チップ、 少なくとも一つの裏面モールド部、及び 少なくとも一つの回路基板を含み、 前記回路基板は一つの基板及び少なくとも一つの電子部品を含み、 モールドベースを更に含み、 前記裏面モールド部が前記基板の基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合し、前記モールドベースは前記基板の基板正面に一体的に結合し、 前記感光チップは前記基板に導通的に接続され、少なくとも一つの前記電子部品は前記基板の基板裏面において前記基板に導通的に接続され、前記裏面モールド部は前記基板の前記基板裏面の少なくとも一部に一体的に結合され、 前記裏面モールド部は少なくとも一つの前記電子部品の少なくとも一部を包埋し、 前記撮像モジュールは少なくとも一つの分割側及び少なくとも一つの脱型側を有し、前記基板は少なくとも一つの分割辺及び少なくとも一つの脱型辺を有し、前記分割辺は前記分割側に対応し、前記脱型辺は前記脱型側に対応し、 前記裏面モールド部は少なくとも一つの第一脱型側を有し、 前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ 前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており、 前記モールドベースは少なくとも一つの第二脱型側を有し、 前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに対応し、且つ 前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺は互いに位置がずれており、 前記基板は少なくとも一つの貼設領域及び少なくとも一つの結合領域を有し、前記貼設領域及び前記結合領域はいずれも前記基板の正面に形成され、前記基板の前記貼設領域は中部に位置し、前記結合領域は前記貼設領域の周囲を囲み、前記感光チップは前記基板の前記貼設領域に貼設され、 前記基板は少なくとも一つの成型空間を有し、前記成型空間は前記基板の前記結合領域に設けられ、少なくとも一つの前記成型空間は穿孔として実施され、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記成型空間によって結合され、これによって、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記基板に一体的に結合され、 前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、 前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つの部材を含み、光フィルター素子を前記部材に貼設し、前記部材は前記貼設溝に収納される 前記撮像モジュール。」 【相違点1】 裏面モールド部について、本願発明は「少なくとも一つの配設空間を形成し」ているのに対し、引用発明の下側樹脂モールド46はそのようなものか明らかでない点。 【相違点2】 裏面モールド部、モールドベース及び基板について、本願発明は「前記裏面モールド部の前記第一脱型側と前記基板の前記脱型辺の間の距離パラメータをL1とし、前記モールドベースの前記第二脱型側と前記基板の前記脱型辺の間の距離パラメータをL2とする場合、パラメータL2の数値はパラメータL1の数値と異なり、パラメータL1の数値範囲は0.1mm≦L1≦10mmであり、パラメータL2の数値範囲は0.1mm≦L2≦10mmである」と特定されているのに対し、引用発明の下側樹脂モールド46、上側樹脂モールド48及び基板30はそのような位置関係か明らかでない点。 【相違点3】 部材につき、本願発明が「少なくとも一つのフレーム型の支持架台を含み」と特定したのに対し、引用発明ではそのようなものであるかどうか明らかでない点。 第6 判断 1 相違点1について 引用発明は「『一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、下側樹脂モールド46』『の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれており』」との構成を備えており、当該ずれている部分に対応する空間が形成されているといえる。そして、当該空間を、電子部品等を配設する空間とするかは、当業者が適宜決定することにすぎない。 2 相違点2について 引用発明は「一つの成型された側において、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48から基板32は突出し、当該突出した先端に位置する(当該一つの成型された側の下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の面と略平行な)基板32の面と、下側樹脂モールド46及び上側樹脂モールド48の当該一つの成型された側の面とは、位置がずれており」との構成を備えており、どの程度位置をずらすかは、当業者がカメラモジュール30を設計する際に適宜決定する事項である。 また、本願発明の「パラメータL1の数値範囲は0.1mm≦L1≦10mmであり、パラメータL2の数値範囲は0.1mm≦L2≦10mmである」との数値限定について、本願明細書に臨界的な意義、技術的な意義があることは記載されておらず、この点からも、上記判断は首肯される。 3 相違点3について (1)引用発明は「光学フィルタ58を、部材を介して光学フィルタ取付面48bに固定している」との構成を備えている。ところで、光学フィルタ58と光学フィルタ取付面48bの間の部材は、引用文献1の図2の記載をもとに認定しており、引用文献1の図2には、他にも符号のない部材としてレンズ51とレンズ50の間の部材、レンズ50と筒部52aの間の部材が記載されており、レンズ51とレンズ50の間の部材は、引用文献1の図2の記載からレンズ51をのせて支持して固定しているといえ、レンズ50と筒部52aの間の部材は、引用文献1の図2の記載からレンズ50をのせて支持して固定しているといえる。そして、光学フィルタ58と光学フィルタ取付面48bの間の部材が、レンズ51とレンズ50の間の部材、レンズ50と筒部52aの間の部材と同様な部材であると解すれば、光学フィルタ58と光学フィルタ取付面48bの間の部材も、光学フィルタ58をのせて支持して固定しているともいえるので、光学フィルタ58と光学フィルタ取付面48bの間の部材は支持架台ともいえる。また、光学フィルタ58の端の部分に部材が配置されていることから、光学フィルタ58の端の部分のすべてに位置する形状となっていると考えるのが自然である。 そうすると、相違点3は実質的な相違点でない。 (2)仮に、そうまでいえないとして以下検討する。 光学フィルタ58を直接設置するか、光学フィルタ58を支持してのせる台を設け設置するかは、当業者が装置を設計する場合に適宜選択する事項にすぎない。 4 そして、相違点に総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 5 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 審判請求人の主張について 1 審判請求人は、令和4年4月18日付けの意見書において、 「本願新請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう)は、本意見書と同日付提出の 手続補正書に記載のとおりであり、下記特徴(A)、(B)を備えております。 (A) 前記基板は少なくとも一つの貼設領域及び少なくとも一つの結合領域を有し、前記貼設領域及び前記結合領域はいずれも前記基板の正面に形成され、前記基板の前記貼設領域は中部に位置し、前記結合領域は前記貼設領域の周囲を囲み、前記感光チップは前記基板の前記貼設領域に貼設され、 前記基板は少なくとも一つの成型空間を有し、前記成型空間は前記基板の前記結合領域に設けられ、少なくとも一つの前記成型空間は穿孔として実施され、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記成型空間によって結合され、これによって、前記裏面モールド部と前記モールドベースは前記基板に一体的に結合され、 (B) 前記モールドベースの上面の内側は貼設溝を有し、 前記撮像モジュールはさらに少なくとも一つのフレーム型の支持架台を含み、光フィルター素子を前記支持架台に貼設し、前記支持架台は前記貼設溝に収納される。 本願発明は、上記(A)の特徴を備えることにより、モールドベースと裏面モールド部とを結合することができ、かつこの組み合わせを強固に固定することができ、撮像モジュールの幅を増加させないという効果を奏します。また、上記(B)の特徴を備えることにより、光フィルター素子のサイズを減少させることができ、これにより撮像モジュールの製造コストを低減させることができるという効果を奏します(出願当初明細書段落0483等)。 引用文献1には、審判官殿がご指摘されたように、カメラモジュール30の製造方法が開示されていますが(段落0035,0040~0044等)、上記特徴(A)、(B)のいずれの開示も示唆もありません。 本願発明は上記した特有の効果を奏しますが、上記特徴(A)(B)のいずれも欠く引用文献1では本願発明の効果を奏することはできません。」 と主張している。 2 上記主張について検討する。 上記(A)、(B)については、上第5の5~7及び第6の3で説示したとおりである。 また、引用発明の「上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46とは、基板32に設けられたスリット64の溝に形成された側面樹脂モールド49を介して一体化され」ていることから、上側樹脂モールド48と下側樹脂モールド46を強固に固定することを想定している。 さらに、本願発明は、「一つのフレーム型の支持架台」と特定しているのみで、当該支持架台によって光フィルター素子のサイズを減少させることができるとの特定はなく、上記「光フィルター素子のサイズを減少させることができ」るとの主張は、本願発明に基づかない主張である。 以上のとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-010225

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