商標拒絶査定不服審判
2023-009456
ネクストイノベーション、ネクスト、イノベーション
- 審判番号
- 2023-009456
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-093766
- 請求日
- 2023年06月07日
- 審決日
- 2024年09月04日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社NEXT INNOVATION
- 【請求人代理人】原田 貴史
- 【請求人代理人】和田 吉民
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .261-Z (W09) / T18 .262-Z (W09) / T18 .263-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-93766拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標と手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」を指定商品として、令和4年7月28日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年12月5日付けで拒絶理由の通知がされ、同年12月27日付けで意見書の提出がされたが、同5年3月22日付けで拒絶査定がされたもので、これに対して、同年6月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6056621号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ネクストイノベーション(標準文字)
登録出願日:平成29年9月19日
設定登録日:平成30年6月29日
指定商品及び指定役務:第9類「スマートフォン用アプリケーションプログラム,タブレット型コンピュータ用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,電子計算機用アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能な携帯電話用ゲームプログラム及びこれを記憶させた記録媒体,ダウンロードが可能なゲームプログラム及びこれを記憶させた記録媒体」を含む第9類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(2)登録第6428975号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:令和2年9月18日
設定登録日:令和3年8月13日
指定商品及び指定役務:第9類「スマートフォン用アプリケーションプログラム,タブレット型コンピュータ用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,電子計算機用アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能な携帯情報端末用ゲームプログラム,ダウンロードが可能なゲームプログラム,コンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた記録媒体,スマートフォン用のゲームプログラムを記憶させた記録媒体」を含む第9類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は、引用商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、左下部に突起のある彩色された円内に、白抜きで幾何学模様を施した図形(以下「本願図形部分」という。)を上部に、その下に茶色で「NEXT INNOVATION」の欧文字(以下「本願文字部分」という。)を横書きにしてなるものである。
そして、本願商標の構成中、本願図形部分と本願文字部分とは、上下に重なり合うことなく、表されており、また、これらは構成態様や色彩を異にするものであるから、両者は、視覚上分離して観察されるものである。
また、本願図形部分は特定の意味合い又は事物を表すものとして認識されているとはいい難いものであり、これよりは特定の称呼及び観念を生じないものであるのに対し、本願文字部分はその構成から「ネクストイノベーション」の称呼が生じ「次のイノベーション」ほどの意味を理解させるものであるから、両者に観念上のつながりはなく、他に本願図形部分と本願文字部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないものである。
そうすると、本願商標は、その構成中、本願図形部分と本願文字部分が、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないものである。
してみると、本願商標は、本願文字部分のみを分離抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきであるから、本願商標は、本願文字部分の構成文字全体に相応して「ネクストイノベーション」の称呼を生じ、「次のイノベーション」の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1について
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「ネクストイノベーション」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「ネクスト」の語と「イノベーション」の語とを結合させたものと容易に認識されるものであるから、その構成文字に相応して、「ネクストイノベーション」の称呼を生じ、「次のイノベーション」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、「ネクイノ」のデザイン化された片仮名と、「NEXT INNOVATION」の欧文字を上下2段に書してなるものであるところ、上段の片仮名はデザイン化された太字で大きく横書きされているものであるのに対し、下段の欧文字は上段の文字と重なることなく細字で小さく横書きされていることから、視覚上分離して観察されるものである。
そして、上段の片仮名は、辞書に掲載がない造語であるのに対し、下段の欧文字は、「NEXT」及び「INNOVATION」の英語からなり、いずれの語も平易な英語として知られている語であり、下段部一連として「次のイノベーション」ほどの意味を理解させるものであって、上段と下段の文字に観念上のつながりはなく、他に両者を常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないから、上段の片仮名と下段の欧文字が、それぞれ独立して商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、引用商標2は、その構成中、下段に表された「NEXT INNOVATION」の文字のみを分離抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきであり、「NEXT INNOVATION」の文字に相応して「ネクストイノベーション」の称呼を生じ、「次のイノベーション」の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標と引用商標1との類否について
本願商標の構成中の本願文字部分と引用商標1とは、欧文字と片仮名という文字種の相違から、外観においては相違するものの、両者はいずれも「ネクストイノベーション」の称呼及び「次のイノベーション」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そして、商標の使用においては、その構成文字を同一の称呼及び観念を生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、欧文字か片仮名かの違いは、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。
そうすると、本願商標と引用商標1との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ外観において相違するとしても、その相違は顕著なものとして強い印象を与えるものではないことを踏まえれば、称呼及び観念を共通にする両商標は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標の構成中の本願文字部分と引用商標2の下段の欧文字部分とは、色彩が異なるとしても、いずれも「NEXT INNOVATION」の欧文字からなるものであるから、両商標は、外観において近似した印象を与えるものである。
また、両商標は、いずれも「ネクストイノベーション」の称呼及び「次のイノベーション」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似する商標と判断するのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」は、引用商標1の指定商品中の「スマートフォン用アプリケーションプログラム,タブレット型コンピュータ用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,電子計算機用アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能な携帯電話用ゲームプログラム及びこれを記憶させた記録媒体,ダウンロードが可能なゲームプログラム及びこれを記憶させた記録媒体」と同一又は類似する商品であり、かつ、引用商標2の指定商品中の「スマートフォン用アプリケーションプログラム,タブレット型コンピュータ用アプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,電子計算機用アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能な携帯情報端末用ゲームプログラム,ダウンロードが可能なゲームプログラム,コンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた記録媒体,スマートフォン用のゲームプログラムを記憶させた記録媒体」と同一又は類似する商品である。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願図形部分は、本願文字部分の頭文字である「N」が白色で記されており、請求人の会社名からしても、本願文字部分と本願図形部分とは、観念上のつながりが推認され、一体的である旨主張する。
しかしながら、たとえ、請求人の本願商標の作成意図が上記のとおりであるとしても、本願図形部分が、特定の事物又は意味合いを有するものとして知られているといった事情は見いだせず、また、本願商標に接する需要者が本願図形部分と本願文字部分との観念上のつながりを認識したり、両者を一体のものとして認識したりするというべき事情も見いだせない。
そして、本願商標から本願文字部分を分離抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されることは、上記(1)アのとおりであるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、引用商標1は「ネクスト」、「イノベーション」と区切り、本願商標と同一の観念を想起することも可能であるが、「ネクス」、「トイ」、「ノベーション」と区切ることも可能で、「トイ」からは「おもちゃ」、「樋」の観念が生じ、「ノベーション」からは「更改」の観念が生じるのに対し、本願商標からは「おもちゃ」、「樋」、「更改」の観念は生じ得ないから、同一の観念が生じるとはいえない旨主張する。
しかしながら、引用商標1の語頭部の「ネクス」の文字は、一般に使用される辞書への載録は認められず、既成語とは認められない一方で、「ネクスト」及び「イノベーション」の文字(語)は一般に使用される辞書に載録されている既成語で、いずれもよく知られた語であるから、上記(1)イ(ア)のとおり、引用商標1は、「ネクスト」及び「イノベーション」の2語からなるものと認識されるとみるのが自然であり、そうすると、引用商標1からは、「次のイノベーション」の観念を生じるというべきである。
したがって、この点についての請求人の主張は採用することができない。
ウ 請求人は、過去の登録例(審決例)を挙げ、本願商標の登録が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該登録例によって、直ちに本願商標に係る判断が左右されるものではない。
したがって、この点についての請求人の主張は採用することができない。
エ 請求人は、本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」の取引の実情を見ると、アプリケーションはその品質により大きく差があり、また、日用品に比べれば高額であり、長期間使用することもあり、需要者も日用品の購入などと比べてより注意深く、慎重に、その商品を選択するため、需要者又は取引者がその商標の称呼だけによって、その商標を識別するということは、ほとんどない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」の需要者には、一般の消費者が含まれるものであるから、本願の指定商品の需要者の注意力はさほど高いとはいえないものであると判断するのが相当である。
また、本願商標と引用商標との類否判断については、上記(1)ウのとおり、称呼だけではなく、外観、称呼及び観念を総合的に考察した上で、両商標は類似する商標というべきである。
したがって、この点についての請求人の主張は採用することができない。
オ 以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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