商標拒絶査定不服審判
2023-003216
アイサン
- 審判番号
- 2023-003216
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-089393
- 請求日
- 2023年02月27日
- 審決日
- 2024年04月15日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】愛三工業株式会社
- 【請求人代理人】中村 知公
- 【請求人代理人】小西 富雅
- 【請求人代理人】前田 大輔
- 【請求人代理人】伊藤 孝太郎
- 【請求人代理人】朝倉 美知
- 【請求人代理人】本田 彩香
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .261-Z (W42) / T18 .262-Z (W42) / T18 .263-Z (W42) / T18 .264-Z (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-89393拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年3月4日に登録出願された商願2022-25316に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年8月2日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年8月8日付け:拒絶理由通知書
令和4年9月28日:意見書の提出
令和4年11月21日付け:拒絶査定
令和5年2月27日:審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「AISAN」の文字を標準文字で表してなり、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として登録出願されたものである。
3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6130347号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1の構成からなり、平成29年12月4日に登録出願、第35類に属する、別掲2のとおりの役務を指定役務として、同31年3月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、前記2のとおり、「AISAN」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当である。
そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、この文字部分よりは、その構成文字に相応して、「アイサン」の称呼が生じるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「アイサン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、別掲1のとおり、円弧及び小円を3個ずつ連続して円状(下部には隙間を空けている。)に配置した図柄(赤色)、その内側に下側が切れた円と横線を組み合わせた図柄(青色)を配置した図形と、その下部の隙間に配置された「AISAN」の文字(青色)からなるところ、その構成中の「AISAN」の文字は、上記(ア)と同様に、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当である。
そして、引用商標の図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないものであって、図形部分及び文字部分とが、特定の意味合いを有する等の観念上の結びつきを見いだすこともできないから、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取されると判断しなければならない特段の事情は見いだせない。
そうすると、引用商標は、その構成中の「AISAN」の文字部分を分離抽出し、これを引用商標の要部として本願商標と比較することが許されるというべきであり、「AISAN」の文字に相応して「アイサン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の「AISAN」の文字と、引用商標の要部である「AISAN」の文字部分とを比較すると、両者は、いずれも語頭から語尾までの「AISAN」の全てのつづりを共通にするものであるから、近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本願商標の「AISAN」の文字から「アイサン」の称呼を生じ、引用商標の「AISAN」の文字から「アイサン」の称呼を生じることから、両者は、「アイサン」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標と引用商標の文字部分の「AISAN」は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
以上からすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、本願商標と引用商標の要部とは近似した印象を与えるものであり、また、両者は称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
(ア)役務の類否判断について
商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。
そこで、これを踏まえて、本願の指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「本願指定役務」という。)と、引用商標の指定役務中の第35類「コンピュータデータベースへの情報編集」(以下「引用指定役務」という。)の類否について検討する。
(イ)本願指定役務について
本願指定役務は、依頼者との契約等に基づいて、電子計算機(コンピュータ)プログラム、コンピュータシステムやウェブサイトなどのコンピュータソフトウェア関連の設計、開発等を行う役務を提供することが目的であり、その提供場所は、役務の提供者自身の開発環境で行われることが一般的である。そして、コンピュータプログラム等の設計、開発に際しては、コンピュータ、サーバー、開発・テスト用のソフトウェア等のコンピュータハードウェア及びソフトウェアを用いて行うものである。
また、当該役務は、新たにコンピュータのシステムやウェブサイトの企画、運用を行うことを欲する企業等が需要者であり、契約等に基づいて役務の提供を行うものである。
さらに、本願指定役務はソフトウェア業者が提供するものであって、その業種はソフトウェア業ということができるものである。
(ウ)引用指定役務について
「データベース」とは、「(「情報の基地」の意)系統的に整理・管理された情報の集まり。特に、コンピュータで、さまざまな情報検索に高速に対応できるように大量のデータを統一的に管理したファイル。また、その管理するシステム。」(出典:株式会社岩波書店発行「広辞苑 第七版」)のことであり、引用指定役務は、依頼者の指示に従って、依頼者が利用しているコンピュータデータベースへの情報編集等を行う役務を提供することが目的であり、その提供場所は、役務の提供者自身の環境で遠隔にて行われることもあれば、派遣先である提供者又は依頼者のもとであることもある。
そして、役務の提供に際しては、コンピュータソフトウェアを用いて行うものである。
また、当該役務は、依頼者の指示に従って、依頼者が利用しているコンピュータデータベースへの情報編集等を行う役務であることから、当該情報編集を行うことを欲する企業等が需要者であり、契約や個別の依頼等に基づいて役務の提供を行うものである。
さらに、本願指定役務はソフトウェア業者が提供するものであって、その業種はソフトウェア業ということができるものである。
(エ)本願指定役務と引用指定役務との類否について
上記のとおり、本願指定役務と引用指定役務とは、役務の提供の目的、手段、場所、需要者の範囲は、一致する場合があることに加え、別掲3のとおり、現実に同一の事業者によって提供されることがあることも多いことを踏まえると、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるため、両者は類似の役務であるというのが相当である。
ウ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定役務は引用商標の指定役務と類似する役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標は、外観において、顕著に相違すること、また、引用商標から「エイアイサン」の称呼も生ずることから、互いに類似しない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は、その構成中、「AISAN」の文字部分を分離抽出し、これを要部として本願商標と比較することが許されるものであり、本願商標の「AISAN」と、引用商標の「AISAN」の文字部分とを比較すると、両者は、いずれも語頭から語尾までの「AISAN」の全てのつづりを共通にするものであるから、外観上近似した印象を与えるというべきである。
また、上記(1)のとおり、「AISAN」の欧文字からは「アイサン」の称呼を生じるとみるのが相当であって、かつ、「アイサン」の称呼を生じることを否定できる事情は見いだせないから、本願商標と引用商標とは「アイサン」の称呼を共通にするものである。そうすると、両者は称呼において類似するというべきであるから、たとえ引用商標から複数の称呼が生じるとしても、それをもって両者が類似することを否定することにはならない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記(1)のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
ウ 請求人は、本願商標の指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は、ソフトウェアの開発業者等により、記憶媒体若しくはオンラインを介して、電子計算機のプログラムの設計等の技術的、専門的なサービスを提供されているのに対して、引用商標の指定役務中の第35類「コンピュータデータベースへの情報編集」は、専門技術を要しない事務的なサービスとして行われるものが該当するので、両役務は類似しない旨主張する。
しかしながら、第35類「コンピュータデータベースへの情報編集」は、データベースの単純な入力等の単純作業以外にも、情報編集を行うにあたって、専門技術や知識を要する場合もあるものと認められる。そうとすると、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の側面に近い業務も含まれており、上記(1)のとおり、役務の提供の目的、手段、場所、需要者の範囲は、一致する場合があることに加え、別掲3のとおり、現実に同一の事業者によって提供されることがあることも多いと認められる。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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