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特許拒絶査定不服審判

2023-001080

遊技機

審判番号
2023-001080
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-108116
請求日
2023年01月23日
審決日
2023年07月19日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
  • 【請求人代理人】田邊 淳也
審判長/審判官
  • 審判長 長井 真一
  • 審判官 澤田 真治
  • 審判官 ▲高▼橋 祐介
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .561-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-108116「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月30日出願公開、特開2021-151573〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年6月29日の出願であって、令和4年4月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月5日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月8日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月6日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月2日付け(謄本送達日:同月15日)で、同年10月6日付けの手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和5年1月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和5年1月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年1月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容について 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和4年7月5日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、 「複数種類の画像を表示可能な演出表示手段と、 図柄変動を表示可能な図柄表示手段と、を備える遊技機であって、 前記図柄表示手段は、複数種類の当たり図柄を表示可能であり、 前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、所定の出玉量が得られる特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な、 ことを特徴とする遊技機。」とあるのを、 審判請求時に提出された手続補正書(令和5年1月23日付け)の特許請求の範囲の請求項1における 「複数種類の画像を表示可能な演出表示手段と、 図柄変動を表示可能な図柄表示手段と、を備える遊技機であって、 前記図柄表示手段は、複数種類の当たり図柄を表示可能であり、 前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能な、 ことを特徴とする遊技機。」 とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。以下、本件補正後の請求項1に係る発明を「本件補正発明」という。 2 本件補正の適否について (1)本件補正の目的 ア 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「所定の出玉量が得られる特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する示唆演出」における「出玉量」、「当たり図柄」及び「示唆演出」について、それぞれ「第1」及び「第2」のものがあるとの限定を付加するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるといえる。 イ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 (2)新規事項の追加の有無について 本件補正により、請求項1に追加されることとなる「第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能」(以下「示唆演出に係る補正事項」という場合がある。)との事項について、請求人は、審判請求書において、異なる期待度示唆演出が併記された期待度示唆画像が出現する図58(I)、(J)を特に挙げていることからみて、第1示唆演出と第2示唆演出とが「同時」になされることを特定した趣旨と解される。 したがって、以下、示唆演出に係る補正事項が、かかる趣旨でなされたと解した場合について、かかる技術的事項が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されているか否かを検討する。 ア 当初明細書等の記載事項 示唆演出に係る補正事項に関連して、当初明細書等には以下の記載がある(審判請求人が審判請求書において補正の根拠とする記載もこれに含まれる。なお、下線は合議体が付した。)。 (ア)「【0067】 図10、図11に基づいて、特別図柄当たり種別判定テーブルT3について説明する。図10は、特図1の抽選における特別図柄当たり種別判定テーブルT3を説明するための図である。図11は、特図2の抽選における特別図柄当たり種別判定テーブルT3を説明するための図である。特別図柄当たり種別判定テーブルT3は、遊技制御用マイコン81が主制御メイン処理(後述)において、取得した特別図柄当たり種別乱数値(0~127のいずれか)に応じて、「大当たり種別」または「小当たり種別」と、「特別図柄の種類」を判定するために参照されるテーブルである。図10では、「非時短状態時」における特図1の抽選において「大当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値が「0~15」の場合には、大当たり種別が「5R時短150回大当たり」と判定され、第1特別図柄表示器41aに停止表示される特図1の停止図柄(特図1停止図柄)が「時短図柄1」と判定される。特別図柄当たり種別乱数値が「16~127」の場合には、大当たり種別が「5R時短100回大当たり」と判定され、特図1停止図柄が「時短図柄2」と判定される。一方、「非時短状態時」における特図1の抽選において「小当たり当選」した場合には、特別図柄当たり種別乱数値によらず(0~127のいずれであっても)、小当たり種別が「3R通常小当たり(V通過実質不可)」と判定され、特図1停止図柄が「時短無し小当たり図柄1」と判定される。 【0068】 「時短状態時」における特図1の抽選において「大当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値によらず(0~127のいずれであっても)、大当たり種別が「3R時短100回大当たり」と判定され、特図1停止図柄が「時短図柄3」と判定される。一方、「時短状態時」における特図1の抽選において「小当たり当選」した場合には、特別図柄当たり種別乱数値によらず(0~127のいずれであっても)、小当たり種別が「3R通常小当たり(V通過実質不可)」と判定され、特図1停止図柄が「時短無し小当たり図柄2」と判定される。 【0069】 図11では、「非時短状態時」における特図2の抽選において「大当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値によらず(0~127のいずれであっても)、大当たり種別が「3R時短1回大当たり」と判定され、第2特別図柄表示器41bに停止表示される特図2の停止図柄(特図2停止図柄)が「時短図柄1」と判定される。一方、「非時短状態時」における特図2の抽選において「小当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値が「0~63」の場合には、小当たり種別が「3R時短1回小当たり(V通過可)」と判定され、第2特別図柄表示器41bに特図2の特図2停止図柄が「時短有り小当たり図柄1」と判定される。特別図柄当たり種別乱数値が「64~127」の場合には、小当たり種別が「3R通常小当たり(V通過可)」と判定され、特図2停止図柄が「時短無し小当たり図柄1」と判定される。 【0070】 「時短状態時」における特図2の抽選において「大当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値が「0~79」の場合には、大当たり種別が「5R時短1回大当たり」と判定され、特図2停止図柄が「時短図柄2」と判定される。特別図柄当たり種別乱数値が「80~127」の場合には、大当たり種別が「3R時短1回大当たり」と判定され、特図2停止図柄が「時短図柄3」と判定される。一方、「時短状態時」における特図2の抽選において「小当たり当選」したとき、特別図柄当たり種別乱数値が「0~63」の場合には、小当たり種別が「3R時短1回小当たり(V通過可)」と判定され、特図2停止図柄が「時短有り小当たり図柄2」と判定される。特別図柄当たり種別乱数値が「64~127」の場合には、小当たり種別が「3R通常小当たり(V通過可)」と判定され、特図2停止図柄が「時短無し小当たり図柄2」と判定される。なお、特別図柄当たり種別判定テーブルT3を参照することによって、特図停止図柄(特図1停止図柄および特図2停止図柄)に対応する「特図停止図柄データ」のほか、特別遊技の「オープニング(OP)コマンド」、「ラウンド指定コマンド」、「エンディング(ED)コマンド」も特定することができる。各大当たり、各小当たりの具体的な内容については後述する。」 (イ)「【0288】 [当たり種別期待度示唆演出A] 図56は、当たり種別期待度示唆演出Aを説明するための図である。当たり種別期待度示唆演出は、特図または普図の変動中、特図または普図の複数種類の当たり図柄のうち、特定の当たり図柄に当選する期待度を示唆する示唆演出を実行する演出である。ここでは、「図柄」として「普通図柄」が設定され、「特定の当たり図柄で当選する期待度」として「普通図柄抽選において特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度」が設定されている。以下では、特図1抽選に当選した後に実行される時短状態中の普通図柄抽選で、普通図柄当たり種別として「長開放1」と「長開放2」があり(図13(B):特図1 時短状態)、一方の当たり種別に当選する期待度を表示する演出を例示する。 ・・・ 【0298】 図56(H)では、大当たり遊技が終了して「大当たり遊技終了3000球獲得」の獲得球数画像が表示される。この文字画像に表示される獲得球数は、実際に獲得された球数であってもよいし、実際の球数ではなくて当たり種別に応じて予定されていた獲得球数であってもよい。また、獲得球数画像は、大当たり遊技の開始前に表示されてもよい。この場合、獲得球数画像には、当たり種別に応じて予定されている獲得球数が表示されてもよい。上述のように、遊技機1では、特図2抽選ではハズレることがなく、必ず当たり(大当たりまたは小当たり)になる(図9(A))。そのため、特図2保留が発生すると、当たり遊技による所定の出玉量を得ることが約束された状態になる。言い換えれば、表示画面7aに保留アイコン9Bが表示されると、その後に当たりに遊技による所定の出玉量を得られることが示唆される。また、遊技機1では、普通図柄抽選の当たりで「長開放2」(普図_当たり図柄3)が選択されると、第2始動口21が開放され、第2始動口21への入球によって特図2保留が発生する。そのため、普通図柄抽選の当たりで「長開放2」が選択されると、その後に当たりに遊技による所定の出玉量を得ることが約束された状態になる。このことから、図56(C)で表示される「特図2獲得当たり期待度:50%」の文字画像は、所定の出玉量を得る期待度を示唆しているといえる。」 (ウ)「【0315】 [当たり種別期待度示唆演出C] 図58は、当たり種別期待度示唆演出Cを説明するための図である。当たり種別期待度示唆演出は、特図または普図の変動中、特図または普図の複数種類の当たり図柄のうち、特定の当たり図柄に当選する期待度を示唆する示唆演出を実行する演出である。ここでは、「図柄」として「特別図柄」が設定され、「特定の当たり図柄で当選する期待度」として「第1または第2特別図柄抽選において特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度」が設定されている。 【0316】 図58(A)~(C)では、通常状態において特図1変動が実行されているものとして説明する。遊技者は左打ちを実行し、第1始動口20への入賞によって、第1特別図柄表示器41a(図3)において特別図柄の変動表示、および、所定の変動時間を経過したところで、抽選結果に対応する特別図柄(特図停止図柄)の確定表示がおこなわれ、遊技者に抽選結果が報知される。ここでは、「5R時短150回大当たり」と「5R時短100回大当たり」と「3R通常小当たり(V通過実質不可)」に対応する3種類の当たりの特図停止図柄がある。具体的には、図10の「非時短状態」の「特図1_時短図柄1」と「特図1_時短図柄2」「特図1_時短無し小当たり図柄」である。 【0317】 図58(A)に示すように、特図1変動中に表示画面7aに装飾図柄8L、8C、8Rが変動表示される。ここでの変動表示とは、装飾図柄8L、8C、8Rが高速移動している状態が視認できる表示のほか、高速移動によって視認できない状態になっているものも含んでいる。装飾図柄8L、8C、8Rは、左装飾図柄8Lと、中装飾図柄8Cと、右装飾図柄8Rを含む一組の図柄であり、一組の図柄の変動表示によって特別図柄の可変表示(ここでは特図1変動)を表し、一組の図柄の停止表示によって特図抽選結果(ここでは特図1抽選結果)を報知する。 【0318】 表示画面7aには、特図1保留を表す2つの保留アイコン9Aと、変動アイコン(当該保留アイコン)9Cとが表示されている。ここでは変動アイコン(当該保留アイコン)9Cは実行中の特図1抽選に対応している。表示画面7aには、他に、「特図1変動」と表された、現在変動中の特図の種類を示す変動中特図表示が表示されている。 【0319】 図58(B)では、表示画面7aに「5R時短100回大当たり 期待度:50%」の期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、5R時短100回大当たりに当選する期待度、すなわち、「特図1_時短図柄2」が選択される可能性が50%であることが示唆されている。すなわち、この期待度示唆画像が表示された場合には1/2の確率で「特図1_時短図柄2」が選択され、1/2の確率でその他の停止図柄(ハズレ図柄、「特図1_時短図柄1」、「特図1_時短無し小当たり図柄」)が選択される。期待度示唆画像は、特定の当たり種別に当選する期待度が相対的に高いことが示唆されと、他の当たり種別で当選する期待度が相対的に低いことがあわせて示唆されることになる。 【0320】 その後、第1特別図柄表示器41a(図3)において特別図柄の変動表示か終了し、特別図柄(特図停止図柄)として「特図1_時短図柄2」が確定停止する。これにあわせて、図58(C)のように、表示画面7aでは、装飾図柄8L、8C、8Rが「222」で停止表示され、「5R時短100回大当たり」の当たり種別に当選したこと、すなわち、「特図1_時短図柄2」が選択されたことが報知される。 【0321】 図58(D)~(E)は、図58(A)の後、図58(B)~(C)の代わりに実行される。具体的には、表示画面7aに「5R時短150回大当たり 期待度:30%」の期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、5R時短150回大当たりに当選する期待度、すなわち、「特図1_時短図柄1」が選択される可能性が30%であることが示唆されている。すなわち、この期待度示唆画像が表示された場合には3/10の確率で「特図1_時短図柄1」が選択され、7/10の確率でその他の停止図柄(ハズレ図柄、「特図1_時短図柄2」、「特図1_時短無し小当たり図柄」)が選択される。期待度示唆画像は、特定の当たり種別に当選する期待度が相対的に高いことが示唆されと、他の当たり種別で当選する期待度が相対的に低いことがあわせて示唆されることになる。 【0322】 その後、第1特別図柄表示器41a(図3)において特別図柄の変動表示か終了し、特別図柄(特図停止図柄)として「特図1_時短図柄1」が確定停止する。これにあわせて、図58(E)のように、表示画面7aでは、装飾図柄8L、8C、8Rが「777」で停止表示され、「5R時短150回大当たり」の当たり種別に当選したこと、すなわち、「特図1_時短図柄1」が選択されたことが報知される。 【0323】 図58(F)は、図58(A)の後、図58(Bの代わりに実行される。具体的には、表示画面7aに「5R時短150回大当たり 期待度:15%」と「5R時短100回大当たり 期待度:30%」が併記された期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、5R時短150回大当たりに当選する期待度、すなわち、「特図1_時短図柄1」が選択される可能性が15%であり、5R時短100回大当たりに当選する期待度、すなわち、「特図1_時短図柄2」が選択される可能性が30%であることが示唆されている。すなわち、この期待度示唆画像が表示された場合には15/100の確率で「特図1_時短図柄1」が選択され、30/100の確率で「特図1_時短図柄2」が選択され、55/100の確率でその他の停止図柄(ハズレ図柄、「特図1_時短無し小当たり図柄」)が選択される。このように、当たり種別期待度示唆演出では、特定の一種類の当たり種別の期待度を示す場合の他、複数種類の当たりのそれぞれの期待度示すように構成されていてもよい。期待度示唆画像は、特定の当たり種別に当選する期待度が相対的に高いことが示唆されと、他の当たり種別で当選する期待度が相対的に低いことがあわせて示唆されることになる。 【0324】 図58(G)~(H)では、時短状態で特図2変動が実行されているものとして説明する。特図2保留の消化によって、第2特別図柄表示器41b(図3)において特別図柄の変動表示、および、所定の変動時間を経過したところで、抽選結果に対応する特別図柄(特図停止図柄)の確定表示がおこなわれ、遊技者に抽選結果が報知される。ここでは、「5R時短1回大当たり」と「3R時短1回大当たり」と「3R時短1回小当たり」と「3R通常小当たり」に対応する4種類の当たりの特図停止図柄がある。具体的には、図11の「時短状態」の「特図2_時短図柄2」と「特図2_時短図柄3」と「特図2_時短有り小当たり図柄2」と「特図2_時短無し小当たり図柄2」である。 【0325】 図58(G)に示すように、特図1変動中に表示画面7aに装飾図柄8L、8C、8Rが変動表示される。ここでの変動表示とは、装飾図柄8L、8C、8Rが高速移動している状態が視認できる表示のほか、高速移動によって視認できない状態になっているものも含んでいる。装飾図柄8L、8C、8Rは、左装飾図柄8Lと、中装飾図柄8Cと、右装飾図柄8Rを含む一組の図柄であり、一組の図柄の変動表示によって特別図柄の可変表示(ここでは特図2変動)を表し、一組の図柄の停止表示によって特図抽選結果(ここでは特図2抽選結果)を報知する。 【0326】 表示画面7aには、特図2保留を表す保留アイコン9Bと、変動アイコン(当該保留アイコン)9Cとが表示されている。ここでは変動アイコン(当該保留アイコン)9Cは実行中の特図2抽選に対応している。表示画面7aには、他に、「特図2変動」と表された、現在変動中の特図の種類を示す変動中特図表示が表示されている。 【0327】 図58(H)では、表示画面7aに「3R時短1回小当たり 期待度:90%」の期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、3R時短1回小当たりに当選する期待度、すなわち、「特図2_時短有り小当たり図柄2」が選択される可能性が90%であることが示唆されている。すなわち、この期待度示唆画像が表示された場合には9/10の確率で「特図2_時短有り小当たり図柄2」が選択され、1/10の確率でその他の停止図柄(「特図2_時短図柄2」、「特図2_時短図柄3」、「特図2_時短無し小当たり図柄2」)が選択される。特図2ではハズレ図柄は設定されていない。期待度示唆画像は、特定の当たり種別に当選する期待度が相対的に高いことが示唆されと、他の当たり種別で当選する期待度が相対的に低いことがあわせて示唆されることになる。 【0328】 図58(I)は、図58(G)の後、図58(H)の代わりに実行される。具体的には、表示画面7aに「3R時短1回大当たり 期待度:10%」と「3R時短1回小当たり 期待度:40%」が併記された期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、3R時短1回小当たりに当選する期待度、すなわち、「特図2_時短図柄3」が選択される可能性が10%であり、「特図2_時短有り小当たり図柄2」が選択される可能性が40%であることが示唆されている。このように、当たり種別期待度示唆演出では、特定の一種類の当たり種別の期待度を示す場合の他、複数種類の当たりのそれぞれの期待度示すように構成されていてもよい。 【0329】 図58(J)は、図58(G)の後、図58(H)の代わりに実行される。具体的には、表示画面7aに「3R時短1回大当たり 期待度:10%」と「3R時短1回小当たり 期待度:30%」と「3R通常小当たり 期待度:10%」が併記された期待度示唆画像が出現し、装飾図柄8L、8C、8Rの変動表示に重なってこれらの前面側に表示される。この期待度示唆画像は、現在変動中の特図抽選において、特定の当たり種別(特定の当たり図柄)で当選する期待度を示唆している。ここでは、3R時短1回小当たりに当選する期待度、すなわち、「特図2_時短図柄3」が選択される可能性が10%であり、「特図2_時短有り小当たり図柄2」が選択される可能性が30%であり、「特図2_時短無し小当たり図柄2」が選択される可能性が10%であることが示唆されている。このように、当たり種別期待度示唆演出では、特定の一種類の当たり種別の期待度を示す場合の他、複数種類の当たりのそれぞれの期待度示すように構成されていてもよい。 【0330】 図58(K)では、図58(H)~(K)のいずれかの演出の後、3R時短1回小当たりに当選し、スマイル顔のキャラクタ画像の装飾図柄8L、8C、8Rが3つ揃って停止表示されている状態が示されている。遊技機1では、特図2抽選ではハズレることがなく、必ず当たり(大当たりまたは小当たり)になる(図9(A))。遊技機1では、約1/312で大当たりし、約311/312で小当たりする。特図2で小当たりすると、時短状態、非時短状態いずれの場合であっても(ここでは非時短状態)、「3R時短1回小当たり」と「3R通常小当たり」のいずれかが選択される。約1/2の確率で「3R時短1回小当たり」となり、約1/2の確率で「3R通常小当たり」となる。ここでは、スマイル顔のキャラクタ画像の装飾図柄8L、8C、8Rは、「3R時短1回小当たり」の小当たり当選であることが報知されている。 【0331】 図58(L)では、大当たり遊技が終了して「大当たり遊技終了3000球獲得」の獲得球数画像が表示される。この文字画像に表示される獲得球数は、実際に獲得された球数であってもよいし、実際の球数ではなくて当たり種別に応じて予定されていた獲得球数であってもよい。また、獲得球数画像は、大当たり遊技の開始前に表示されてもよい。この場合、獲得球数画像には、当たり種別に応じて予定されている獲得球数が表示されてもよい。上述のように、遊技機1では、特図2抽選ではハズレることがなく、必ず当たり(大当たりまたは小当たり)になる(図9(A))。そのため、特図2保留が発生すると、当たり遊技による所定の出玉量を得ることが約束された状態になる。言い換えれば、表示画面7aに図58(H)~(J)の期待度示唆画像が表示されると、その後に当たりに遊技による所定の出玉量を得られることが示唆される。このことから、図58(H)~(J)で表示される期待度示唆画像は、所定の出玉量を得る期待度を示唆しているといえる。 【0332】 [効果例] 以下に、当たり種別期待度示唆演出の効果例を示す。 [効果1] 上記実施形態の遊技機1では、図56(C)に示すように、表示画面7aは、複数種類の当たり図柄(普通図柄)のうち、特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する期待度示唆画像を表示する示唆演出を実行することができる。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。図57、図58も同様である。 [効果2] 上記実施形態の遊技機1では、図56(C)に示すように、示唆演出は、普通図柄表示器42による図柄変動中に実行される。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。図57、図58も同様である。 [効果3] 上記実施形態の遊技機1では、図56(C)に示すように、示唆演出では、特定の当たり図柄で当選する期待度が相対的に高いことが示唆される場合には、特定の当たり図柄とは異なる当たり図柄で当選する期待度が相対的に低いことが示唆される。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。図57、図58も同様である。 [効果4] 上記実施形態の遊技機1では、図56(C)に示すように、普通図柄表示器42は、普通図柄の変動を表示可能であり、示唆演出は、普通図柄において特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。図57も同様である。 [効果5] 上記実施形態の遊技機1では、図56(B)(C)に示すように、表示画面7aは、示唆演出を実行中に、普通図柄の変動に対応する装飾図柄8X、8Yの変動表示演出を実行する。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。 [効果6] 上記実施形態の遊技機1では、図56に示すように、示唆演出は、所定の出玉量を得る期待度を示唆する。この構成によれば、従来にない斬新な演出によって、遊技者を視覚的に楽しませることができ、興趣の向上を図ることができる。」 (エ)「【図10】 [図:0001402629000001.jpg] 」 (オ)「【図11】 [図:0001402629000002.jpg] 」 (カ)「【図56】 [図:0001402629000003.jpg] 」 (キ)「【図58】 [図:0001402629000004.jpg] 」 イ 判断 (ア)示唆演出に係る補正事項が、第1示唆演出と第2示唆演出とが「同時」になされることを特定したものと解した場合について、「演出表示手段」は「示唆演出」として、「複数種類の当たり図柄のうち」、「第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出」と「第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出」を「実行可能」であるところ、この点について、当初明細書等に記載されているといえるか検討する。 (イ)当初明細書等の【0067】の「時短図柄1」、「時短図柄2」、「時短無し小当たり図柄1」、同【0068】の「時短図柄3」、「時短無し小当たり図柄2」、同【0069】の「時短図柄1」、「時短有り小当たり図柄1」、「時短無し小当たり図柄1」、同【0070】の「時短図柄2」、「時短図柄3」、「時短有り小当たり図柄2」、「時短無し小当たり図柄2」を含め、図10及び図11の「特別図柄の種別」の欄に記載された各図柄は、上記補正事項における「複数種類の当たり図柄」に対応するものといえる。 また、同【0067】の「5R時短150回大当たり」、「5R時短100回大当たり」、「3R通常小当たり(V通過実質不可)」、同【0068】の「3R時短100回大当たり」、「3R通常小当たり(V通過実質不可)」、同【0069】の「3R時短1回大当たり」、「3R時短1回小当たり(V通過可)」、「3R通常小当たり(V通過可)」、同【0070】の「5R時短1回大当たり」、「3R時短1回大当たり」、「3R時短1回小当たり(V通過可)」、「3R通常小当たり(V通過可)」を含め、図10及び図11の「当たりの種別」の欄に記載された当たりで得られる出玉の数が上記補正事項における「出玉量」に対応するものといえる。 ここで、具体的な出玉の数については当初明細書等には明記されていないものの、遊技機の分野の技術常識によれば、出玉量は当たりのラウンド数と1ラウンドあたりの入球可能個数や1ラウンドあたりの時間に比例していることから、ラウンドの時間が同じでラウンド数が同じであれば、一般的に出玉量は同程度であるといえ、同【0298】の「そのため、特図2保留が発生すると、当たり遊技による所定の出玉量を得ることが約束された状態になる。言い換えれば、表示画面7aに保留アイコン9Bが表示されると、その後に当たりに遊技による所定の出玉量を得られることが示唆される。」等の記載を参酌すると、「出玉量」とは実際に得られる出玉の数ではなく、当該当たり遊技により得られるであろう出玉の数であるといえる。 そうすると、同【0067】~【0070】、図10及び図11の当たりの種別には「5R」と「3R」の2種類のラウンド数があることから、上記補正事項の「第1の出玉量」及び「第2の出玉量」のいずれかが「5R」に対応し、他方が「3R」に対応するといえる。 (ウ)上記補正事項の「第1示唆演出」及び「第2示唆演出」について検討すると、「第1示唆演出」及び「第2示唆演出」は、それぞれ「第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する」及び「第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する」ものであるから、同【0315】~【0332】及び図58に記載された「当たり種別期待度示唆演出C」のいずれかが対応するといえる。 そこで、「当たり種別期待度示唆演出C」について検討すると、同【0315】~【0332】及び図58では、「5R」及び「3R」のいずれかの当たり種別期待度示唆演出を単独で実行か、「5R」又は「3R」の当たり種別期待度示唆演出を2つ又は3つ実行することが記載されているのみである。 そうすると、当たり種別期待度示唆演出を2つ又は3つ同時に実行する場合は、出玉量としては「第1の出玉量」或いは「第2の出玉量」のいずれか同程度のものが見込まれるもののみであるといえる。 (エ)以上のとおりであるから、示唆演出に係る補正事項を第1示唆演出と第2示唆演出とが「同時」に実行されることを特定したものと解した場合、かかる技術的事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 ウ 審判請求人の主張について (ア)審判請求人の主張の概要 審判請求人は、審判請求書の「3.補正の内容及び根拠」において、以下のとおり主張する。 「(1)請求項1の補正について 「前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能な」は、例えば、出願当初明細書の段落0315~0331、図10、11、58の記載に基づいています(特に、図58(L)(I)(J))。 図10には、特図1変動において、所定の出玉量が得られる複数種類の当たり種別が示されています。 図11には、特図2変動において、所定の出玉量が得られる複数種類の当たり種別が示されています。 図58(L)には、通常状態時の特図1変動において、複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる「5R時短150回大当たり」の当たり図柄に当選する期待度(15%)を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる「5R時短100回大当たり」の当たり図柄に当選する期待度(30%)を示唆する第2示唆演出と、を実行可能であることが記載されています。 このように、補正の内容は、出願当初明細書、特許請求の範囲、および図面の記載から、当業者をして自明な範囲内にて行われており、何ら新規事項を導入するものではありません。また、補正の内容は、限定的減縮を目的としたものとなっています。」 (イ)審判請求人の主張についての検討 上記イで検討したとおり、当初明細書等には、請求項1の「第1示唆演出」及び「第2示唆演出」に対応する「当たり種別期待度示唆演出」を2つ又は3つ同時に実行する場合は、出玉量としては同程度のものが見込まれるものが記載されているのみであり、示唆演出に係る補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるといえる。 したがって、審判請求書における審判請求人の主張は採用できない。 エ 小括 したがって、示唆演出に係る補正事項を含む本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものということができず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3 独立特許要件について ここで、改めて示唆演出に係る補正事項について検討すると、示唆演出に係る補正事項では、「前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能」と特定されており、「第1示唆演出」と「第2示唆演出」とを実行可能なタイミングとしては、同じタイミングで実行されるもののみならず、異なるタイミングで実行されるものも包含すると解する余地があるものと認められる。 そこで、示唆演出に係る補正事項が「第1示唆演出」と「第2示唆演出」とが異なるタイミングで実行されるものを包含すると解した場合、新規事項でないとしても、本件補正は、上記「2(1)」で検討したとおり、特許請求の範囲を減縮するものといえ、本件補正発明は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合(特許出願の際独立して特許を受けることができるものである)しなければならないことから、以下、この点について検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明を記号A~Dを付して再掲すると、次のとおりのものである(記号A~Dは、分説するために合議体が付した。以下、記号Aを付した事項を「特定事項A」などという。)。 「A 複数種類の画像を表示可能な演出表示手段と、 B 図柄変動を表示可能な図柄表示手段と、を備える遊技機であって、 C 前記図柄表示手段は、複数種類の当たり図柄を表示可能であり、 A 前記演出表示手段は、 A1 前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、 A2 第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能な、 D ことを特徴とする遊技機。」 (2)新規性・進歩性について ア 引用文献の記載事項、引用発明 (ア)引用文献2の記載事項 原査定で引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-81079号公報(平成24年4月26日公開、以下「引用文献2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。 a 「【0016】 以下、本発明を具体化したパチンコ遊技機について図1~図19に従って説明する。 図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。また、演出表示装置11の右下には、7セグメント型の特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、複数種類の特別図柄を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特別図柄は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。 【0017】 そして、演出表示装置11には、特別図柄表示装置12の表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的に言えば、特別図柄表示装置12に大当りを認識できる大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される。また、特別図柄表示装置12にはずれを認識できるはずれ図柄(はずれ表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にもはずれ図柄(はずれ表示結果)が確定停止表示される。なお、演出表示装置11に確定停止表示される大当り図柄は、例えば、全列の飾り図柄が同一図柄となる図柄組み合わせによって構成される(例えば[222]や[777]など)。また、演出表示装置11に確定停止表示されるはずれ図柄は、原則的に、全列の飾り図柄が異なる飾り図柄となる図柄組み合わせや、1列の飾り図柄が他の2列の飾り図柄とは異なる飾り図柄となる図柄組み合わせによって構成される。 【0018】 また、演出表示装置11では、遊技者側から見て左列→右列→中列の順に図柄列の変動が停止するようになっており、特定の2列(本実施形態では左右の2列)に同一の飾り図柄が一旦停止表示された場合、リーチが形成される。ここで、一旦停止表示とは、画像表示部GHにおいてゆれ変動状態で表示されている状態であり、画像表示部GHにおいて図柄が確定停止している確定停止表示とは区別される。」 b 「【0027】 次に、本実施形態のパチンコ遊技機に設定されている大当りの種類について図2に従って説明する。また、以下の説明では、パチンコ遊技機の遊技状態として、非確変状態、かつ非変短状態を「低確+変短なし」と示すとともに、非確変状態、かつ変短状態を「低確+変短あり」と示す。また、確変状態、かつ非変短状態を「高確+変短なし」と示すとともに、確変状態、かつ変短状態を「高確+変短あり」と示す。 【0028】 特別図柄Aに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「13回」とする一方で、特別図柄Bに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「7回」としており、さらに、特別図柄C,Dに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「2回」としている。また、特別図柄A及び特別図柄Bに基づく大当り遊技終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態に関係なく、確変状態(次回大当りまで)と、予め定めた回数(本実施形態では、10000回)の図柄変動ゲームが行われるまでの間、又は前記回数に達する前に大当りが生起されるまでの間、変短状態が付与される。 【0029】 その一方で、特別図柄Cに基づく大当り遊技終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態が「高確+変短なし」又は「低確+変短なし」の場合、確変状態(次回大当りまで)のみが付与される。一方で、大当り抽選の当選時における遊技状態が「高確+変短あり」又は「低確+変短あり」の場合、特別図柄Cに基づく大当り遊技終了後には、確変状態(次回大当りまで)と、予め定めた回数(本実施形態では、50回)の図柄変動ゲームが行われるまでの間、又は前記回数に達する前に大当りが生起されるまでの間、変短状態が付与される。また、特別図柄Dに基づく大当り遊技終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態が「高確+変短なし」又は「低確+変短なし」の場合、非確変状態のみが付与される。一方で、大当り抽選の当選時における遊技状態が「高確+変短あり」又は「低確+変短あり」の場合、特別図柄Dに基づく大当り遊技終了後には、非確変状態と、予め定めた回数(本実施形態では、50回)の図柄変動ゲームが行われるまでの間、又は前記回数に達する前に大当りが生起されるまでの間、変短状態が付与される。 【0030】 以下、特別図柄Aに対応する大当りの種類を「13R確変大当り」と示すとともに、特別図柄Aに基づく大当り遊技を「13R確変大当り遊技」と示す。一方で、特別図柄Bに対応する大当りの種類を「7R確変大当り」と示すとともに、特別図柄Bに基づく大当り遊技を「7R確変大当り遊技」と示す。また、特別図柄Cに対応する大当りの種類を「2R確変大当り」と示すとともに、特別図柄Cに基づく大当り遊技を「2R確変大当り遊技」と示す。一方で、特別図柄Dに対応する大当りの種類を「2R非確変大当り」と示すとともに、特別図柄Dに基づく大当り遊技を「2R非確変大当り遊技」と示す。 【0031】 また、本実施形態では、規定ラウンド数に関係なく、1回のラウンド遊技における入球上限個数を「9球」に設定するとともに、大入賞口18での1球の遊技球の検知によって払出される賞球数(10球)を統一している。その一方で、13R確変大当り遊技及び7R確変大当り遊技における1回のラウンド遊技時間(25秒)よりも2R確変大当り遊技及び2R非確変大当り遊技における1回のラウンド遊技時間(0.6秒)を短く設定している。これにより、規定ラウンド数が多いほど、大当り遊技中に大入賞口18へ入球する度に払出される遊技球の総数である総賞球払出数が多くなる。 【0032】 本実施形態では、確変状態が付与されること及び総賞球払出数の多さが、遊技者にとって有利な特典となる。また、本実施形態では、13R確変大当り及び7R確変大当りが高有利度大当りとなる一方で、2R確変大当り及び2R非確変大当りが低有利度大当りとなる。また、高有利度大当りのうち、13R確変大当りが第1高有利度大当りとなる一方で、7R確変大当りが第2高有利度大当りとなる。 【0033】 次に、パチンコ遊技機の制御構成を図3にしたがって説明する。 本実施形態のパチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御指令(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、演出制御基板31が装着されている。演出制御基板31は、主制御基板30が出力した制御指令に基づき、各種の演出装置の動作を制御する。 【0034】 以下、主制御基板30及び演出制御基板31の具体的構成を説明する。 主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aの制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1~SW3が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、特別図柄表示装置12、特別図柄保留表示装置13、及び普通図柄表示装置14が接続されている。」 c 「【0044】 次に、演出制御基板31について説明する。 演出制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用CPU31aと、演出制御用CPU31aの制御プログラムを格納する統括制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM31cが設けられている。また、演出制御用RAM31cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。また、演出制御用CPU31aには、演出表示装置11が接続されている。」 d 「【0076】 そして、演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、図柄変動ゲーム中に全停止コマンドを入力すると、演出制御用CPU31aは、決定した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる。」 e 「【0079】 本実施形態では、変短状態中の背景画像として、戦場を連想させる画像が、複数回の図柄変動ゲームに亘って表示されるようになっている。さらに、本実施形態では、変短状態中、はずれとなるリーチ演出が行われないようになっているので、リーチ演出が実行されると大当りが確定することになる。そして、本実施形態では、背景画像の表示と併せて、図柄変動ゲーム中に、図1で示すような属性の異なる複数種類(実施形態では、3種類)のパラメータが表示され、各パラメータにおけるゲージ値の増減によって大当りとなる場合に付与される大当りの種類が示唆される。なお、本実施形態における属性とは、互いに違いを識別可能な種類又はテーマを指し、より詳しくは、敵キャラクタを攻撃するために必要な兵力に対応している。 【0080】 本実施形態では、敵キャラクタを攻撃する際の攻撃力に関する攻撃力パラメータM1と、敵キャラクタからの攻撃を防御する際の防御力に関する防御力パラメータM2と、味方キャラクタの体力に関する体力パラメータM3が設定されている。また、以下の説明では、これらのパラメータM1~M3を纏めてパラメータMと示す場合がある。各パラメータM1~M3は、11個の段階によって構成されており、ゲージ値は、「0(最小値)」~「10(最大値)」の値に設定されている。さらに、本実施形態では、MAX値に到達しているパラメータMの個数と大当りの種類を対応付けている。具体的には、MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個の場合、13R確変大当り又は7R確変大当りが決定されていることが示唆される。一方、MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合、13R確変大当りが決定されていることが確定的に示唆される。したがって、MAX値に到達していないときには、全ての大当りの可能性がある。 【0081】 なお、パラメータMによる大当りの種類への期待度の示唆は、遊技者が大当りとなる場合の大当りの種類を推測するための指標であるため、パラメータMにおけるゲージ値が指標情報となる。ただし、パラメータ変化演出は、大当りの種類への期待度を遊技者に示唆するための指標であるため、大当りとなるか否か及び大当りの種類は、大当り抽選に当選した際の抽選結果に基づいて決定される。そして、これらのパラメータM1~M3は、夫々独立して同時にゲージ値が変化可能となっている。本実施形態では、ゲージ値「0」が初期段階の指標情報となる一方で、ゲージ値「10」が最終段階の指標情報となる。」 f 「【図1】 [図:0001402629000005.jpg] 」 g 「【図2】 [図:0001402629000006.jpg] 」 (イ)引用発明 上記(ア)の記載事項から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、分説のために合議体が符号ア~オを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 「ア 遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出表示装置11が配設され、複数列の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示され(【0016】)、演出表示装置11には、特別図柄表示装置12の表示結果に応じた表示結果が表示され、特別図柄表示装置12に大当りを認識できる大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示され、大当り図柄は、例えば[222]や[777]など、全列の飾り図柄が同一図柄となる図柄組み合わせによって構成される(【0017】)パチンコ遊技機(【0016】)において、 イ 機裏側には、全体を制御する主制御基板30が装着され、全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御指令(制御コマンド)を出力し、主制御基板30が出力した制御指令に基づき、各種の演出装置の動作を制御する演出制御基板31が装着され(【0033】)、演出制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用CPU31aと、演出制御用CPU31aの制御プログラムを格納する統括制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM31cが設けられ、演出制御用CPU31aには、演出表示装置11が接続されており(【0044】)、演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御し(【0076】)、 ウ 特別図柄Aに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「13回」とする一方で、特別図柄Bに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「7回」とし、特別図柄C,Dに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「2回」として(【0028】)、規定ラウンド数に関係なく、1回のラウンド遊技における入球上限個数を「9球」に設定するとともに、大入賞口18での1球の遊技球の検知によって払出される賞球数(10球)を統一し、13R確変大当り遊技及び7R確変大当り遊技における1回のラウンド遊技時間(25秒)よりも2R確変大当り遊技及び2R非確変大当り遊技における1回のラウンド遊技時間(0.6秒)を短く設定し、規定ラウンド数が多いほど、大当り遊技中に大入賞口18へ入球する度に払出される遊技球の総数である総賞球払出数が多くなり(【0031】)、 エ 背景画像の表示と併せて、図柄変動ゲーム中に、図1で示すような属性の異なる複数種類(実施形態では、3種類)のパラメータが表示され、各パラメータにおけるゲージ値の増減によって大当りとなる場合に付与される大当りの種類が示唆され(【0079】)、敵キャラクタを攻撃する際の攻撃力に関する攻撃力パラメータM1と、敵キャラクタからの攻撃を防御する際の防御力に関する防御力パラメータM2と、味方キャラクタの体力に関する体力パラメータM3が設定され、MAX値に到達しているパラメータMの個数と大当りの種類を対応付け、MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個の場合、13R確変大当り又は7R確変大当りが決定されていることが示唆され、MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合、13R確変大当りが決定されていることが確定的に示唆され、MAX値に到達していないときには、全ての大当りの可能性があり(【0080】)、パラメータMによる大当りの種類への期待度の示唆は、遊技者が大当りとなる場合の大当りの種類を推測するための指標である(【0081】) オ パチンコ遊技機(【0016】)。」 イ 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)特定事項Aについて 引用発明の構成アの「各種の表示演出」における「画像」や「複数列の図柄列」、構成イの「画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御」する「演出制御用CPU31a」は、それぞれ本件補正発明の特定事項Aにおける「複数種類の画像」、「演出表示手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Aに相当する構成を有する。 (イ)特定事項Bについて 引用発明の構成アの「図柄変動ゲーム」、「演出表示装置11」、「パチンコ遊技機」は、それぞれ本件補正発明の特定事項Bにおける「図柄変動」、「図柄表示手段」、「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Bに相当する構成を有する。 (ウ)特定事項Cについて 引用発明の構成アの「例えば[222]や[777]など」の「大当り図柄」は、本件補正発明の特定事項Cにおける「複数種類の当たり図柄」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Cに相当する構成を有する。 (エ)特定事項A1及びA2について 引用発明の構成ウでは、「特別図柄Aに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「13回」」、「特別図柄Bに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「7回」」、「特別図柄C,Dに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数を「2回」」とされており、特別図柄と飾り図柄とが対応関係にあることは技術常識である。 また、引用発明の構成ウでは、「規定ラウンド数に関係なく、1回のラウンド遊技における入球上限個数を「9球」に設定するとともに、大入賞口18での1球の遊技球の検知によって払出される賞球数(10球)を統一し」ていることから、規定ラウンド数が同じであれば総賞球払出数は同じで、規定ラウンド数が異なれば総賞球払出数が異なることは明らかであって、引用発明の「規定ラウンド数を「13回」」、「規定ラウンド数を「7回」」、「規定ラウンド数を「2回」」の大当り遊技中に大入賞口18へ入球する度に払出される遊技球の総数である総賞球払出数は、それぞれ異なることから、そのうちのいずれかがそれぞれ、本件補正発明の「第1の出玉量」、「第2の出玉量」に相当する。 ここで、引用発明の構成エでは「MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個の場合、13R確変大当り又は7R確変大当りが決定されていることが示唆され、MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合、13R確変大当りが決定されていることが確定的に示唆され」ることから、「MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個の場合」には、「2R確変大当り遊技及び2R非確変大当り遊技」が決定されていることが0%であることが示唆されており、「MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合」には、「13R確変大当り」が決定されていることが100%であることが示唆されているといえる。 そうすると、引用発明の構成エの「MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個」表示、「MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合」は、それぞれ本件補正発明の特定事項A1における「第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出」、特定事項A2における「第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項A1及びA2に相当する構成を有する。 (オ)特定事項Dについて 引用発明の構成オの「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の特定事項Dにおける「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Dに相当する構成を有する。 ウ 合議体の判断 上記イ(ア)~(オ)からみて、本件補正発明と引用発明とは相違するところがなく、本件補正発明は引用発明である。 また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 エ 審判請求人の主張について (ア)審判請求人の主張の概要 審判請求人は、審判請求書の「4 本願発明が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張する。 「(2-1)請求項1に係る発明の概要 請求項1に係る発明は、「遊技機」の発明であり、以下の構成を備えています(下線部は補正箇所を示します)。 構成[1] 複数種類の画像を表示可能な演出表示手段と、図柄変動を表示可能な図柄表示手段と、を備える遊技機であって、 構成[2] 前記図柄表示手段は、複数種類の当たり図柄を表示可能であり、 構成[3] 前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能な、ことを特徴とする遊技機。 構成[1]~[3]を有する本願請求項1に係る発明(本願発明)によれば、複数種類の当たり図柄のうち、2種類の当たりについて、それぞれ当選する期待度を示唆するという従来にない斬新な演出によって興趣の向上を図ることができます(本願:段落0332)。 ・・・ <引用文献2> 引用文献2の図1、段落0079には、MAX値に到達しているパラメータMの個数によって大当たりの種類を示唆することが記載されています。 同日付の手続補正書により、本願発明は「前記演出表示手段は、前記複数種類の当たり図柄のうち、第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出と、第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出と、を実行可能な」ことが明確になりました。 引用文献1、2には、少なくとも上記の手続補正書によって追加された構成、すなわち、少なくとも本願発明の構成[3]について、開示も示唆もされていません。 ・・・ しかし、引用発明2では、「MAX値に到達しているパラメータMの個数」が1個又は2個の場合、2種類の大当たりのうちのどちらに当選しやすいかについては何ら示唆されません。すなわち、2種類の大当たりについて各大当たりの期待度について何ら表示されません。「MAX値に到達しているパラメータMの個数」が3個の場合、1種類の大当たりの期待度のみが表示されます。一方、本願発明では、2種類の大当たりについて各大当たりの期待度がそれぞれ表示されます。 従って、引用文献2には本願発明の構成[3]について開示も示唆もされていないといえます。」 (イ)審判請求人の主張についての検討 当初明細書等には、請求項1の「第1示唆演出」及び「第2示唆演出」に対応する「当たり種別期待度示唆演出」を2つ又は3つ同時に実行する場合は、出玉量としては同程度のものが見込まれるものが記載されているのみであり、上記主張のうち「本願発明では、2種類の大当たりについて各大当たりの期待度がそれぞれ表示され」ることについては、異なるタイミングで表示するという限りにおいて当初明細書等に記載されているといえるものの、上記「第2 2(2)イ」で検討したとおり、同時に実行すると解した場合の示唆演出に係る補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるといえる。 そして、上記イ(エ)で説示したとおり、引用発明の構成エの「MAX値に到達しているパラメータMの個数が1個又は2個」表示、「MAX値に到達しているパラメータMの個数が3個(全部)の場合」は、それぞれ本件補正発明の特定事項A1における「第1の出玉量が得られる第1の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第1示唆演出」、特定事項A2における「第2の出玉量が得られる第2の当たり図柄で当選する期待度を示唆する第2示唆演出」に相当する。 したがって、審判請求書における審判請求人の主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上に検討したところによれば、本件補正は、上記2(2)で検討したとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、また、本件補正発明は、上記3で検討したとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年7月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであるところ、分説のための符号を付して再掲すると、次のとおりである。 「A 複数種類の画像を表示可能な演出表示手段と、 B 図柄変動を表示可能な図柄表示手段と、を備える遊技機であって、 C 前記図柄表示手段は、複数種類の当たり図柄を表示可能であり、 A 前記演出表示手段は、 a1 前記複数種類の当たり図柄のうち、所定の出玉量が得られる特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な、 D ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1 ・引用文献2:特開2012-81079号公報 3 引用文献に記載された事項及び引用発明 引用文献2は、上記第2[理由]3(2)における「引用文献2」に相当する。 したがって、引用文献2に記載された事項は、上記第2[理由]3(2)ア(ア)に記載したとおりであり、引用発明は、上記第2[理由]3(2)ア(イ)に記載したとおりのものである。 4 対比・判断 本願発明(上記第2〔理由〕1)は、本件補正発明(上記第2〔理由〕3(1))から、上記「第2〔理由〕2(1)」において検討したとおり、本件補正発明において、「所定の出玉量が得られる特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する示唆演出」における「出玉量」、「当たり図柄」及び「示唆演出」に関して、それぞれ「第1」及び「第2」のものがあるという限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、「所定の出玉量が得られる特定の当たり図柄で当選する期待度を示唆する示唆演出」における「出玉量」、「当たり図柄」及び「示唆演出」に関して、より限定されたものである本件補正発明が、上記「第2の3(4)」において記載したとおり、引用発明と相違するところがないから、上記の限定を省いた本願発明と引用発明とは、相違するところはない。 よって、本願発明は引用発明である。 また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-001080

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